王と妃 第167話 あらすじネタバレ感想
王と妃 167話 あらすじ 成宗崩御
成宗25年。新しい朝を迎え12月24日となりました。
世子である燕山君にとってはこの夜は誰よりも長く感じられたでありましょう。燕山君は寝ずに父の成宗の傍にいました。大王大妃の仁粋大妃が燕山君に成宗の傍にいるよう命じたと内官は官僚に説明しました。
仁粋大妃は昨夜の燕山君が酒臭かったと憎みました。
「なんて子なの。酒臭かったわ。」
嬪宮の部屋。
世子の義兄シン・スグンは嬪宮とシン・スンソンと話し合っていました。シン・スグンはハン・チヒョンは穏健派で六曹は晋城大君(チンソンテグ、のちの中宗)の味方とは限らないようだと父に言いました。
「いくら仁粋大王大妃といえども世子邸下を廃位できません。」
仁粋大王大妃の部屋。
「次期主上を決めるのはこの私です。官僚などに干渉されてたまるものですか。」
仁粋大王大妃はハン・チヒョンに言いました。
大殿。
「政丞を呼んでくれ。最後に言いたい事がある。約束は守るとも。そなたの無念が少しでも晴れるように・・・。許してくれ・・・。」
成宗は尚膳のキム・チョソンに命じると廃妃ユン氏との約束を思い出しました。
王の最後に言いたい事というのは顧命(コミョン)です。後を頼むということでした。王の亡き後国を守る者たちのことを顧命大臣(コミョンテシン)と言いました。
仁粋大王大妃はそれを聞いて都承旨を呼び宣政殿(ソンジョンジョン)の門を閉め顧命大臣を入れぬよう命じました。
宣政殿(ソンジョンジョン)の門前。
シン・スグンは父シン・スンソンに早く顧命を聴くために大殿に行こうとしたら宣政殿(ソンジョンジョン)の前で左議政が門番に早く門を開けよと言いました。都承旨が門の内側から出てきて帰るようにとの命令だと言いました。
「みな帰ったか?いかに身分の高い者でも大殿に入れぬように。」
仁粋大王大妃は内官に命じると意地悪く笑いました。
成宗の部屋。
燕山君は目覚めました。
「私は眠っていたのか?なぜ起こさなかったのだ?」
燕山君は尚膳キム・チョソンに尋ねました。キム・チョソンは成宗が起こさないように命じたのだと答えました。
「私は何という親不孝なのでしょう。」
燕山君は父に言いました。
「ユンよ・・・もっと・・・近くへ・・・来てくれ・・・。」
「はい父上。はい父上。」
成宗は燕山君に何かをささやきました。
「・・・分かったな?晋城はそなたの弟だ。何があろうと晋城を守るように。」
「はい父上。どうぞお話しください。」
「・・・・・・。」
「父上・・・父上・・・はっ!御医を呼べ。早く大殿へ御医を呼べ。」
午の刻に成宗は大殿で逝去しました。享年38でした。
成宗の生涯はこう記されています。国王は聡明であるばかりか情に溢れ慎み深く親と兄弟を大事にしました。学問を愛し勤勉で経書と史学にも精通し弓術や書画の腕前も優れていました。官僚には敬意を払い臺諫(テガン)を厚遇し官爵をとても重要視していました。そして刑罰は明確かつ慎重に与えました。文武両道で国内外に優れた統治能力を発揮し国を治め太平の世を築いたため在位二十五年を通じて民の生活は安定していました。徳と統治能力の高さはどんな聖君にもまさるものでした。
「王よお戻りください~。」
尚膳キム・チョソンは梯子をかけ宮殿の屋根に上がり白い布をはためかせました。
町の両班たちは宮殿の門前に集まり地面にひれ伏し「殿下~」と一日中泣きました。
夜になりました。
ハン・チヒョンが大王大妃を尋ねると仁粋大王大妃は文昭殿にいるため留守でした。
文昭殿。
仁粋大王大妃は位牌に語り掛けていました。
「この世の中が嘆き悲しみにおおわれています。それでは終わりません。私の息子は希代の聖君でしたのでこの世のすべてが涙の海となるでしょう。お義父様がこの世を血で満たし手に入れた王位です。弟たちの血と甥の涙が染みついた王位ではないですか。その罪滅ぼしをしたのは私の息子です。二十五年間善政を敷いたのですから民に平穏な暮らしを与えることで祖父である世祖大王の悪行を洗い流したのです。そのような大事な王位を廃妃の息子に譲ってなるものですか。そうですとも。私の目の黒いうちは廃妃の息子を王にはさせません。主上が逝去したということを知ったら墓の中で廃妃は踊り出しかねぬ。王子が即位したら復讐するのでしょう?きっと嬉しくて墓の中で小躍りしているわね。踊ればいいわ。でも思い通りにさせない。はっはっは。」
仁粋大妃は燕山君を呪いました。
世子の義兄のシン・スグンは燕山君に王になるためには大王大妃の命令が必要なので仁粋大妃に従うように助言しました。
「今回も再び世子様の廃位を大王大妃媽媽は試みるでしょう。不服そうにしてはなりません。晋城大君(チンソンテグン)に優しく務めるのです。そんな寛容な態度をお示しになれば仁粋大妃の心は動かせなくても朝鮮の朝廷の重臣たちも官服するでしょう。一時辛抱なされば天下は世子様のものでございます。それまでは耐え忍ぶのです媽媽。」
仁粋大妃の部屋。
ハン・チヒョンは明日に成宗の身体を清め殯宮を整え燕山君が王になると言いました。仁粋大王大妃はハン・チヒョンを国葬都監の提調に任命しました。
「まだ主上のお体が温かいのになぜ即位式をそんなに急ぐ必要があるのですか!」
左賛成ハン・チヒョンは政丞らに国葬都監(ククチャントガム)を設置する命令を伝えました。ユン・ピルサンは仁粋大王大妃の味方をし、別の官僚は即位式が行われないことを不審に思いました。
成宗が逝去した日の夜はこのようにして過ぎていきました。
皆は白い喪服に着替えました。燕山君と晋城大君(チンソンテグン)は成宗の身体が清められる様子を見守りました。燕山君は気分が悪くなり部屋を出ました。
「親不孝者の私を父上は追い出したいのでしょう。だから吐き気がするのだ。」
「殿下。親不孝者の烙印を押されてしまいます。」
政丞の一人が言うと燕山君は部屋に戻りました。
このことを仁粋大妃が聞きつけました。
「さすが廃妃の子ね。」
重臣らは麻の喪服に、女官は白の綿の喪服に着替えておいおいと哭泣しました。
二日目。王の寝殿で成宗の遺体を清め殯宮を設置し国葬都監を設置しました。知中枢府事(チチュンチュブサ、職がない高官のための官庁の官職)イ・グッキュン、左賛成ハン・チヒョン、戸曹判書ホン・ギダルを国葬都監の提調に任命しました。そして左参賛チョン・ムニョン、工曹判書ユン・スン、広陽君(クァンヤングン)イ・セジャを山陵都監の提調に任命しました。
ハン・チヒョンは提調らと話し合いました。新国王を決めるのが急務だと官僚のひとりが発言しました。別の官僚はそのことは後で話そうと言いました。
政丞らは集まり新国王は誰にするのか大王大妃に誰が尋ねに行くのかについて少々言い争い左議政が行く事になりました。
仁粋大妃の部屋。
左議政は早く王を冊立しなければというと仁粋大妃と月山大君夫人は後にしましょうと言いました。
「哭止(コクチ)興(フン、拝礼)」
燕山君と斉安大君(チェアンテグン)は王の遺体に拝礼しました。
「肉は食べられましたか殿下。お食事は抜いてませんよね。」
「おやめください叔父上。」
燕山君は小声で言いました。
「ふっふっふっふ。朝廷の官僚たちは陰で肉や酒を口にされているはずです。殿下もお肉を召し上がって力をつけるのです。大王大妃と戦うためです。」
斉安大君(チェアンテグン)はハン・チヒョンに国葬都監がしっかり新国王を決めてもらわねば困ると嫌味を言って退出しました。
「よく聞け。偽りの涙など流すな。殿下の在位中に贅沢したならその恩を返すのだ。泣きまねをするくらいなら王の後を追って死ね。はっはっはっは。はっはっはっは。」
斉安大君(チェアンテグン)は宮殿の庭で泣きまねをしている官僚は女官たちに言いました。
「私を信じてください。生涯かけても返せぬ借りを作りました。」
ハン・チヒョンは燕山君に言いました。
「もしかして廃妃のことですか?廃妃のことは知ってます。私を試すのはやめてください。廃妃は罪を犯して宮殿を追い出され処刑されたのは知っています。廃妃が私の母上なのですね。親には二通りあります。一つは生みの親でありもう一つは育ての親です。廃妃は私の産みの親ですが別に情など感じません。私の生母は処刑された罪人です。おばあさまが私を即位したがらないのは私に廃妃の血が流れているからでしょう。」
燕山君が言うとハン・チヒョンは驚愕しました。
「殿下は高貴なお方です。廃妃の子などとおっしゃらないでください。」
「おばあさまに伝えてください。父上の遺言は知っています。今後百年間廃妃のことは話すな。墓に土をかけてはならぬ。」
「そのとおりでございます殿下。」
「私は父上の遺言に従います。」
ハン・チヒョンは仁粋大王大妃のもとに行きました。
「(私には罪人の血が流れていると?だから私を嫌うのですか?)」
燕山君を尚膳のキム・チョソンは見守りました。
ハン・チヒョンは仁粋大妃に燕山君の言葉を伝え世子が廃妃のことを離すのを聴いていたら胸が張り裂けそうだったと言いました。
「だから恐ろしいのです。母の死を知りながらおくびにも出さない。祖母を恨んでいながら憎しみを隠す。世子は腹が読めない子だわ。」
「世子を信じるのです媽媽。」
「いいでしょう。世子がどう出るかみてみましょう。」
二日目の夜が過ぎました。
礼曹判書のソン・ヒョソンが仁粋大妃の部屋に呼ばれました。成宗の側室たちも同席していました。
「亡き王様のために水陸斎(すいりくさい)をしようと思うのだけど夫人の意見がまとまらないのです。礼曹判書殿のご意見を伺いたいのです。」
仁粋大妃は言いました。仏教を避けられていた成宗を寺でやってよいものかとソン・ヒョソンは答えました。仁粋大妃は寺でテヘンテワンの水陸斎を行うよう命じました。
政丞らはこれを聞いてとんでもないと戸惑いました。ある者は燕山君の意見を聞いてみたらどうだと言うと別の者は燕山君を矢面に立たせることになると言いました。官僚たちは言い争いになりました。
仁粋大妃の指示通りに水陸斎を行うと燕山君は墓穴を掘ることになるのであり仁粋大妃はそれが狙いでした。
燕山君は大王大妃の望みなのでやりましょうと言いました。
「おばあさまを喜ばせるためなら私は仏像を背負って踊ってもいい。」
感想
仁粋大妃(インステビ)て意地悪で何がしたいのか意図がわかりませんね。仁粋大妃の意地悪に政治的な利益があるのかというと、そうでもないし。成宗の側近も排除したりして実の息子の成宗にも数々の嫌がらせをしてきた仁粋大妃。この人はいったい何がしたかったのか???わかりませんね・・・成宗は垂簾聴政を終わらせてから死ぬまで19年間でしたから、成宗の聖なる政治が25年であるというのは正しいとは言えませんし成宗が手腕を発揮したのはそれからのようです。成宗は士林勢力と勢力を育成し新たな政治の勢力を築き上げ弘文館(ホンムンガン)を設置しました。成宗は僧侶と女真族という政治の邪魔になる者を排除し歴史書などの書籍を編纂させましたが後半は道徳的に乱れた世になったとwikipediaに書かれています。おそらく於干同(オウドン)とかいう女性とのことなのでしょうから後半の成宗は性に溺れたのでしょうか?