サイムダン(師任堂)色の日記 5話のあらすじと感想
目次
あらすじ
青葉茂る森の中、少女サイムダン(師任堂)は王族の青年イ・ギョムに比翼鳥(ピイクチョ)という片羽の手彫りの圧印を渡しました。師任堂(サイムダン)はイ・ギョムにもう片方を彫って婚礼の日に合わせるように頼みました。イ・ギョムは自分のために手を怪我してまで印を彫ってくれたサイムダンのことがますます好きになりました。
「そなたに早く渡したくてたまらなかった。朝鮮では手に入りにくい代物だ。肝心なのはこれ(帯)だ・・・。」
イ・ギョムは中宗(チュンジョン)から賜った青墨の龍煤墨(ヨンメモク)という高級な墨と、髪を留めるための帯をサイムダンにあげました。
「これはすごい墨です。色に深みがあります。美しい黒だけど青みがかっています。この墨をおろすとどんな色になるでしょうか?」
師任堂(サイムダン)は帯よりも龍煤墨(ヨンメモク)に夢中になりました。
「あ・・・。いや今大事なのはそうではなく・・・。」
イ・ギョム(宜城君)は少しがっかりしました。
「もうわくわくします。すぐにでも描いてみたいです。画具を取って来ましょう!」
師任堂(サイムダン)が立ち上がろうとしました。
「そうではなく・・・。これを見てくれ。ただのシャクヤクではない。そなたを思いながら私が徹夜してひと筆ひと筆丁寧に描いたのだ。この世の中に一つしかない。」
イ・ギョムは帯に橙色で自分が夜を徹して描いた芍薬の花を説明しました。
「それで、このような墨は初めて見ます。ずっと使ってみたかったんです。私にくださるなんて!」
師任堂(サイムダン)はあまりの嬉しさにイ・ギョム(宜城君)に口づけをしました。
イ・ギョム(宜城君)は笑みを手で覆い隠しました。
「我らを引き合わせた金剛山図に、我らの気持ちを表す詩を添えてはどうだろうか。」
イ・ギョム(宜城君)は師任堂に言いました。
「河の水と海の水にしばし尋ねよう。」
師任堂(サイムダン)は詩を書きました。
「そうしてそなたと私の心はかようにも同じだろうか。」
イ・ギョムは師任堂(サイムダン)に続いて詩を金剛山図に書きました。
「ならば比翼鳥(ピイクチョ)の印を押して私たちの心の証とします。」
「ならば比翼鳥(ピイクチョ)の印を押して私たちの心の証とします。」
師任堂(サイムダン)は二人が綴った詩の左下に判を押しました。
比翼鳥(ピイクチョ)が印から飛び出すと空に舞い上がっていきました。
「比翼鳥(ピイクチョ)の印鑑。愛し合っていたのね。師任堂(サイムダン)はイ・ギョム(李岒)に比翼鳥(ピイクチョ)の印をあげた。」
ハン・サンヒョンが訳した古典によりソ・ジユンは本物の金剛山図に比翼鳥(ピイクチョ)の印が押してあることに気が付きました。
「つまり、本物の金剛山図には師任堂(サイムダン)とイ・ギョム(李岒)の詩と、比翼鳥(ピイクチョ)の印鑑があると?まるで小説だ。こんなこと聞いたことがない。」
ハン・サンヒョンは言いました。
「師任堂(サイムダン)・・・イ・ギョム(李岒)・・・金剛山図・・・。」
ジユンはつぶやきました。
「ほら見て。ミン学長らは贋作を国宝にしようとしている!」
ハン・サンヒョンはスマートフォンで見たページをジユンに見せました。
ジユンとサンヒョンはミン・ジョンハク教授が見つけた金剛山図に印が押していないことに気が付きました。
「比翼鳥(ピイクチョ)・・・・ハッ・・・!!!」
ジユンは立ち上がりました。
「そこに行くんですかーーー!」
ハン・サンヒョンはジユンの後を追い掛けました。
ジユンの借家。
「この絵がイ・ギョム(李岒)の作なら比翼鳥(ピイクチョ)の印が必ずあるはず。あ・・・圧印(アビン)!比翼鳥(ピイクチョ)の印だわ!」
ジユンは自分によく似た女性の肖像画を虫眼鏡で詳しく調べると比翼鳥(ピイクチョ)の圧印(アビン、凹凸があり浮き出ているように見せる印)が押してあることを発見しました。
博物館。
ハン・サンヒョンは博物館に行くと金剛山図(クムガンサンド)が偽物であることを確信しました。
大学。
「ソ・ジユンが古書を持って解読しているというのか?ハン・サンヒョンは姿を消した。ハン・サンヒョンはどこだ?ハン・サンヒョンを調べて来い。いいから早く行ってこい!」
ミン・ジョンハクは大学前に姿を現さなくなったハン・サンヒョンが何をしているのか調べるように部下に命じました。
ジユンの借家。
ジユンの借家。
「あ~ここか?玉仁洞(オギンドン)だよな?」
ジユンの家に借金取りの4人の男たちが現れました。男は宅配を装いドアを叩きました。ジユンが出て来るとやくざたちは家の中に押し入りました。ジユンと義母と子どもは怯えました。
ジユンの家に借金取りの4人の男たちが現れました。男は宅配を装いドアを叩きました。ジユンが出て来るとやくざたちは家の中に押し入りました。ジユンと義母と子どもは怯えました。
「僕は親戚です。一緒に住んでいる親戚です!ちょっとちょっとちょっとちょっと!金融利用者保護法に違反しています。取り立てに次の行為は認められない。暴行や脅迫、理由なく関係者を訪ねること。お!強制執行でさえ日没後はできまえん!アイゴ。日が沈みつつあるな。」
ハン・サンヒョンはジユンを守るために法律を盾に借金取りのやくざを追い払おうとしました。
「両班のような人には日が沈みそうに見えるかもしんが、無学の俺たちには真昼間に見える。」
やくざは言いました。
「もしもし。違法な取り立てに遭って困ってます。はい。はいぞうです。五分ですか?帰るか警察に行くか?」
ハン・サンヒョンはやくざに言いました。
「おばさん。酷い目に遭いたくなければ一週間以内にどんな手を使ってでも金を返してください。わかったか!」
やくざたちは帰って行きました。
ジユンたちは胸を撫でおろしました。
夜になりました。
まだやくざたちがジユンのアパートの前に居座っていました。ハン・サンヒョンは外に様子を見に行きジユンと義母に報告しました。ハン・サンヒョンはウンスと一緒に遊ぼうとしました。義母はジユンにサンヒョンとの関係を尋ねました。ジユンが答えづらそうにしました。
「同じ大学の後輩でした。共同研究をしていました。でも私は斬らわれていて・・・。あ。お母さま。挨拶いたします。ハン・サンヒョンです。借金取りが帰るまでここにいます。先輩。研究に続きを早くしましょう。遅れていますしこれを機にやりましょう。」
夜になりジユンとサンヒョンは借家の中で古典の続きの解読をはじめました…。
ジユンの部屋。
「満天に陽暉く、雲平寺(ウンピョンサ)観音殿。その門の華、花より艶やかなり。日差しあすれる日、雲平寺(ウンピョンサ)にある観音殿の扉はどの花よりも美しい・・・。先輩。続きをお願いします。私が、全部訳しました。」
ハン・サンヒョンは漢文を読み下し義母に気を遣いました。
「季節により時間帯により異なる色に見えるその扉を・・・見たままに何度も描いてみた。」
ジユンはハン・サンヒョンが訳した続きを読みました。
朝鮮時代の雲平寺(ウンピョンサ)。
師任堂(サイムダン)は観音殿の前で絵を描いていました。扉には木彫りの花の彫刻に鮮やかな色が塗られていました。和尚が観音殿の中に入ると「水月観音図(スウォルクァヌムド)」という美しい観音の肖像画に両手を合わせました。和尚は絵を丸めて片づけました。
「先生!絵を見せてください!先生が丸めて隠した絵のことです!美しい夫人が描かれていました。」
観音像に魅せられたサイムダン(師任堂)が和尚が描いた絵を見せて欲しいと頼みました。
「何かの見間違いでしょう。」
和尚は言いました。
「いいえ。確かに見ました。美しく悲し気な高貴な夫人が描かれていました。慈悲を施す観音菩薩様ですよね?お願いします。」
師任堂(サイムダン)は和尚に言いました。
「そのような絵はございません。」
和尚は断りました。
ジユンの部屋。
「水月観音図(スウォルクァヌムド)。」
ジユンはハン・サンヒョンに図録を見せました。
「わ~。日本でないと見られない。高麗仏画の多くは日本にあります。ところで、この絵を近くの山で見たということですか?雲平寺(ウンピョンサ)のあちこちを先生(和尚)について回り・・・。」
ハン・サンヒョンは義母に聞こえるように日記の続きを読みました。
朝鮮時代の雲平寺(ウンピョンサ)。
「先生!先生!」
師任堂(サイムダン)が和尚の後をつけて寺をうろついていると、働いている人々は高麗紙(コリョジ)を漉いて一部の紙を黄色に染色していました。
「先生!先生!」
師任堂(サイムダン)は高麗紙を見て胸をときめかせました。
領議政(ヨンイジョン)の屋敷。
ミン・チヒョンという平昌(ピョンチャン)県令(ヒョルリョン)の役人はより一層の権勢と富を得るため領議政に近づき玉の指輪や銀子などを贈りました。
師任堂(サイムダン)は高麗紙を見て胸をときめかせました。
領議政(ヨンイジョン)の屋敷。
ミン・チヒョンという平昌(ピョンチャン)県令(ヒョルリョン)の役人はより一層の権勢と富を得るため領議政に近づき玉の指輪や銀子などを贈りました。
領議政は見返りに戸曹判書(ホジョパンソ)に話をつけてやると言いました。
ミン・チヒョンは六矣廛(ユギジョン)という六種の御用商店のうちの一つ「紙廛(テジョン)を営んでいました。ミン・チヒョンは漢城府(ハンソンブ)での役所に紙を卸したいと遠回しに言いました。領議政(ヨンイジョン)は戸曹判書(ホジョパンソ)に伝えておこうと約束しました。
領議政の息子が部屋に入ってきました。息子は金剛山の遊覧に行きたいと言いました。息子は貢物の蓋を開けようとすると、領議政は慌てて使用人を呼ぶと息子を部屋の外に追い払いました。領議政はチョ・ガンジョのの策にはまり自分が流刑となり家が没落しそうになったこと、母親を亡くしてから心を病んだ息子の扱いに困っていると言いました。息子は継母になつきませんでした。領議政は普段はおとなしいが切れやすく問題のある息子の世話をミン・チヒョンに頼みました。ミン・チヒョンは息子の世話を約束しました。
江陵(カンヌン)雲平寺(ウンピョンサ)。
申師任堂(シン・サイムダン)が和尚の後に続いているとみすぼらしく貧しい人々が怪我をして苦しんていました。師任堂(サイムダン)は和尚に理由を尋ねようとすると、和尚はならず者がもうじき集まるので帰るように忠告しました。
申師任堂(シン・サイムダン)が和尚の後に続いているとみすぼらしく貧しい人々が怪我をして苦しんていました。師任堂(サイムダン)は和尚に理由を尋ねようとすると、和尚はならず者がもうじき集まるので帰るように忠告しました。
雲行きが怪しくなりました。
馬に妓生と二人乗りをしている領議政の息子と、護衛や使用人を引き連れて来たミン・チヒョンが現れました。
師任堂(サイムダン)はミン・チヒョンとすれ違いました。
雲平寺(ウンピョンサ)の境内。
ミン・チヒョンは領議政の息子の機嫌を取るために寺の境内で宴を開いて女たちに躍らせました。
「やはり酒と女遊びはここに限るな。修行僧が作る豆腐にまさるつまみはない。」
愚かな息子は妓女(キニョ、妓生の女)の肩に手を回して遊んでいました。
「人々が飢えているそばで・・・なんということ!」
その様子を見ていた師任堂(サイムダン)は淫らであさましい光景に衝撃を受けました。
寺の一角。
ミン・チヒョンは雲平寺(ウンピョンサ)の高麗紙で一儲けを企んでいました。ミン・チヒョンは和尚に銀子を渡そうとしました。ミン・チヒョンは江原(カンウォン)一帯で紙の商売をしているので朝鮮一の高麗紙が欲しいと言いました。
寺の一角。
ミン・チヒョンは雲平寺(ウンピョンサ)の高麗紙で一儲けを企んでいました。ミン・チヒョンは和尚に銀子を渡そうとしました。ミン・チヒョンは江原(カンウォン)一帯で紙の商売をしているので朝鮮一の高麗紙が欲しいと言いました。
「私は援助を惜しまないので手を組みませんか?朝廷も明から高麗紙を求められて困っているそうです。私と大きな仕事をしましょう。」
ミン・チヒョンは言いました。
住職は高麗紙は経典を写すためのものなので金銭で売り買いできないと断りました。
ミン・チヒョンは住職しか知らない紙の製造法を知っている者がいると思いました。
ミン・チヒョンは紙漉き職人を買収して紙づくりで盗み見た者から製法を聴き出すことにしました。
寺の境内の大きな岩の上。
師任堂(サイムダン)は貧しい人々を思い観音様の肖像画を描いて漢字で詩を添えました。
「此(こ)の下民を哀しむ天の彝(い)を喪う。己卯(きぼう)の逐客 心 断絶す。」
寺の境内の大きな岩の上。
師任堂(サイムダン)は貧しい人々を思い観音様の肖像画を描いて漢字で詩を添えました。
「此(こ)の下民を哀しむ天の彝(い)を喪う。己卯(きぼう)の逐客 心 断絶す。」
師任堂(サイムダン)が書いた詩は中宗(チュンジョン)は趙光祖(チョ・グァンジョ)事件に関わる内容でした。師任堂(サイムダン)は寺にいる貧しい人々は己卯(きぼう)の飢饉で飢えて集まって来た人だと勘違いしていました。
幼い少女が師任堂(サイムダン)が持っているおむすびを欲しそうに指さしました。が師任堂(サイムダン)は少女におむすびをあげました。少女は食べずに(家族のために)包んで懐に入れました。が師任堂(サイムダン)はミカンを少女に食べさせ、観音様の絵を少女にあげました。サイムダンは明日食糧を持ってくることを少女に約束しました。少女は言葉が話せませんでした。
夜になりました。
鳥竹軒(オジュッコン)に戻ったが師任堂(サイムダン)は寺にいた流民(るみん)について考えていました。師任堂(サイムダン)は父の申命和(シン・ミョンファ)に寺で宴を開いている両班が少しも食べ物を流民に分けてあげないことが不思議だと言いました。申命和(シン・ミョンファ)は婦女上寺(プニョサンサ)の禁があるからと師任堂(サイムダン)に雲平寺(ウンピョンサ)へ二度と行かないように言いました。
師任堂(サイムダン)の部屋。
師任堂(サイムダン)はイ・ギョムに明日一緒に雲平寺(ウンピョンサ)に行こう書いた手紙を侍女のタムに預けました。
「キョム若様に直接届けて。お母さまが起きる前に蔵から米を運ぶわ。担いでもらいたいの。ご神木の前で会おうと伝えて。」
師任堂(サイムダン)は言いました。
タムは腹の調子が悪くなってきました。
タムはソクスンの家の傍を通りました。
ソクスンの母が営む酒屋。
ソクスンは鳥竹軒(オジュッコン)で学問を学んでもいいと申命和(シン・ミョンファ)の許しが出たので勉強したいと母に言いました。母は「飯の足しにもならない」と言ってソクスンの頬を何度も叩きました。ソクスンは逃げ出すと、路地でタムにぶつかりました。
タムは腹がますます痛くなりソクスンに手紙を渡しに行ってくるように頼みました。
軒轅荘(ホノンジャン)。
軒轅荘(ホノンジャン)。
「あ~。どうして返事が来ないのだ。遅すぎる。確かめに行くか?それではお父上に嫌われる。」
イ・ギョムは師任堂(サイムダン)への求婚の返事が来なくて勉強も手につきませんでした。
ソクスンは胸をときめかせながらイ・ギョム(宜城君)の部屋の前の塀の近くに行きました。部屋の外でイ・ギョム(宜城君)が悩まし気に右往左往していました。
「は~。華やかな楼閣に春が来るのを待つが、まだ来ない。つがいの燕が飛んで柳は揺れ桃の花が舞う。小雨は一向にやまず庭には風が吹くだけ。」
イ・ギョムは花弁の舞う夜の空を見上げながら師任堂(サイムダン)をを想って詩を引用して吟じました。
「庭には風が吹くだけ。目元には憂いが漂う。待ち人はまだ現れぬ。」
「庭には風が吹くだけ。目元には憂いが漂う。待ち人はまだ現れぬ。」
ソクスンはイ・ギョムに合わせて吟じました。
「誰・・・師任堂(サイムダン)?師任堂(サイムダン)?確かに詩を吟じる声がしたのだが・・・。」
イ・ギョムはサイムダンが来たかと思い外に出ました。
「誰・・・師任堂(サイムダン)?師任堂(サイムダン)?確かに詩を吟じる声がしたのだが・・・。」
イ・ギョムはサイムダンが来たかと思い外に出ました。
酒売りの娘ソクスンがしゃがみ込んで隠れていました。
「申し訳ございません。」
ソクスンは謝りました。
「どうして詩が読めたのだ?字が読めるのか?」
イ・ギョム(李岒)はソクスンに尋ねました。
「少し。」
ソクスンは小さな声で答えました。
「少しかぁ。どこで学んだのだ?」
イ・ギョム(李岒)は優しく尋ねました。
「鳥竹軒(オジュッコン)の女書堂です。盗み聞きしたわけではありません!」
ソクスンは土下座しました。
「そうか?誰の詩か知っているのか?」
イ・ギョム(李岒)は尋ねました。
「欧陽脩(おうようしゅう)の蝶恋花の詩です。」
ソクスンは言いました。
「欧陽脩(おうようしゅう)を知っている酒売りの娘か。」
イ・ギョム(李岒)はソクスンに合わせてしゃがみました。
地面には文字が書かれていました。
「地面に書いてばかりなので下手なのです。」
ソクスンは答えました。
「紙や筆でなく地に字を書いて覚えたとは。これをやろう。」
イ・ギョム(李岒)は懐から筆を取り出すとソクスンに与えました。
「このような高貴な物をくださるのですか?」
ソクスンはイ・ギョム(李岒)に言いました。
「貧しくても学ぼうとすることはとても立派だ。さあ貰って。」
イ・ギョム(李岒)はソクスンの両手をしっかり握りました。
「ありがとうございます。若様。ありがとうございます。」
ソクスンはお礼を言いました。
「ところで夜分のこんな時間にここで何をしていたのだ?」
イ・ギョム(李岒)はソクスンの髪に付いた桜の花びらをとってあげました。
「タムおばさんが・・・。」
ソクスンは言い掛けました。
「タムが?婚書(ホンソ)の返事を持ってきたのか?師任堂(サイムダン)との許しが出たのか?」
イ・ギョム(李岒)の声が高くなりました。
「あ・・・。」
ソクスンは師任堂(サイムダン)という名前を聞くと拳を握りしめました。
「お前にそのようなことを任せるはずがないよな・・・。」
イ・ギョム(李岒)は思い直しました。
「使いの途中で立ち寄ったら若様の声がしたのです。」
ソクスンは釈明しながらイ・ギョム(宜城君)の様子を探りました。
「は~。」
イ・ギョム(李岒)の胸が重くなりました。
ソクスンはサイムダンの手紙を隠して帰りました。
鳥竹軒(オジュッコン)。
師任堂(サイムダン)は筆を走らせていました。そこには雲平寺(ウンピョンサ)での淫らな様子が描かれていました。
ソクスンの部屋。
「イ・ギョム(宜城君)。ご神木の下、明日会おうと?」
ソクスンは筆を愛おしそうに撫でました。ソクスンはサイムダンに嫉妬しながら手紙を読みました。手紙には待ち合わせの場所が書かれていました。
現代の質屋。
ソ・ジユンはフランスで買ったブランドバッグを質に入れ僅かなお金と交換しました。
カフェ。
ジユンは英語の講師の仕事に応募しましたが、断られてしまいました。
「すごいですよ。ドラマ化したら大ヒットです。ところで、喉がからからなんです。じゃあ、それで・・・。」
ハン・サンヒョンはジユンのいるカフェに行って日記の続きを読み始めました。
ジユンはハン・サンヒョンにジュースを飲ませてあげました。
朝鮮時代。
「ここで何をなさっているのですか、お嬢様?」
ソクスンはサイムダンが待っている場所に行ました。
「待っているの。雲平寺(ウンピョンサ)に行くの。」
師任堂(サイムダン)は答えました。
「私が持って行きましょうか?」
ソクスンは荷物を抱えて師任堂(サイムダン)と雲平寺(ウンピョンサ)に向かいました。
雲平寺(ウンピョンサ)の一角。
パルボンという男は自分の父が作っている紙の製造法を盗んでミン・チヒョンに渡しました。ミン・チヒョンはパルボンに謝礼金を渡しました。パルボンは礼を言って立ち去りました。
師任堂(サイムダン)はソクスンとともに雲平寺(ウンピョンサ)に向かいました。師任堂(サイムダン)は松の木に留まっている虫を捕まえるとソクスンに見せました。
「この芍薬の絵を見て。この虫と同じ色なの。えんじ色。えんじ色と名付るわ。」
ソクスンはサイムダンがしている髪帯に目が留まりました。
「きれいな髪紐ですね。お嬢様が直々に作られたのですか?ああ。贈り物なんですね。お嬢様。今度一緒に色を作りましょう。クチナシで黄色を。私も絵を描くのが好きなんです。釣鐘人参の根からは赤色が作れます。私が作ってあげましょうか?」
ソクスンは言いました。
「そう。ところであなたの名前は?」
師任堂(サイムダン)は尋ねました。
「ソクスン。ソクスンです。」
ソクスンは名乗りました。
「ソクスンね。行きましょう。」
師任堂(サイムダン)とソクスンは雲平寺(ウンピョンサ)に向かいました。
雲平寺(ウンピョンサ)では今日も宴が開かれていました。妓女(キニョ、妓生の女)たちは上着を脱いで肩を露わにしていました。庭に屏風が立てかけられ、曲が演奏されていました。
領議政の息子は両班の男を連れて酒と女を楽しんでいました。
「わ~っ!」
妓女(キニョ、妓生の女)が突然叫びました。
貧しい少女は病気の母のためにみかんを盗もうとしていました。
「汚い手で食べ物に触れるな!」
少女は領議政の息子に見つかってしまいました。
「高価な刀が汚れるだけです。どうかお許しください。」
和尚は少女をかばいました。
「刀を汚すだけですよ。」
妓女(キニョ、妓生の女)も言いました。
「こいつらの命はこの刀にも及ばぬ。これは何だ?流民ごときが絵など!」
領議政の息子は少女が落とした師任堂(サイムダン)が描いた絵を拾いました。
藪の中から様子を見ていた師任堂(サイムダン)は声を上げそうになりました。ソクスンは師任堂(サイムダン)を制止しました。
領議政の息子は詩に「己卯(きぼう)の逐客心断絶する。悲しいものだ。哀れな民よ・・・」と書かれていたことに気が付きました。逆鱗に触れた息子は激高すると、少女を庇った和尚とともに斬り殺してしまいました。
ミン・チヒョンはすぐに趙光祖(チョ・グァンジョ)事件のことだと思いました。
一緒にいた両班たちも黙り込んでしまいました。
少女の仲間が領議政の息子に石を投げました。
領議政の息子はその男の腹に刀を突き刺しました。
「私には知略がありあなたには権力がある。よく覚えておけ。ここで人生が変わるのだ。皆殺しにできなければただの犯罪者だ。皆殺しにできればお前たちの手柄だ!領議政様は絶対に忘れないであろう!やれ!」
ミン・チヒョンは事態を無かったことにするために寺にいる者を皆殺しにするよう部下に命じました。
ソクスンは師任堂(サイムダン)を連れて逃げました。
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感想
「師任堂(サイムダン)、色の日記」5話の視聴感想です。2017年8月21日に1回目を見て、2020年6月9日に2回目を視聴しました。1回目では見逃していた小さなところまでよくわかってきて面白かったです。
師任堂(サイムダン)は中宗(チュンジョン)が書いた詩のことを思い違いしていました。己卯(きぼう)の年に飢饉が起こり、流民を憐れんでいる詩と思っていたようです。しかし中宗(チュンジョン)が言う「民」とは両班のことで貧しい人たちのことではなかったのです。師任堂(サイムダン)は「民」のことを貧しい人々と思っていました。
イ・ギョム(李岒)とソクスンとの出会いについて。ソクスンはイ・ギョム(李岒)から手を握って貰えたり、髪についた花びらを取ってもらったことは「特別なこと」でした。しかしイ・ギョム(李岒)にとっては「何でもないこと」でありこの時点で二人の認識は大きくすれ違っています。
ソクスンは両班の令嬢、師任堂(サイムダン)のことを守るべき主人として扱っていましたが・・・本当に憎いならこの時にミン・チヒョンの前に突き出して自分だけ逃げればよかったのです。しかしなぜソクスンが師任堂(サイムダン)を連れて逃げたのでしょうか!?その理由は二度目の視聴でも理解できませんでした。
ドラマの冒頭では若い頃のイ・ギョム(宜城君)とサイムダン(師任堂)が詩を書き、比翼鳥(ピイクチョ)の判子を押して愛を誓い合う場面がありました。本当に美しい名シーンだと思います。
ミン・チヒョンが紙問屋を営んで一儲けを企んでいたことは、一回目の視聴でほとんど見逃していました。
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