チュノ22話 -宣恵庁(ソネチョン)襲撃!
目次
あらすじ詳細
テギルとテハは馬で漢陽に向かいました。ファン・チョルンもテハの後を必死で追いかけました。
「訓練院(フルリョンウォン)の判官(パングァン)だと?」
ヨンゴルテの部下はファン・チョルンが砦に来ていたことを手下の報告で知りました。
「はい。ソン将軍の行方を聞いて去りました。」
手下の男は言いました。
「砦に行き王孫を確保するぞ。見張りが交代して死体を発見すれば警戒が強まる。」
砦。
「媽媽は清国で捕虜の生活を送りながらも朝鮮と交易をしていました。清国の豊富な金と銀を朝鮮の綿布、カワウソの皮や薬と換えたのです。清に連れていかれた奴婢をそのお金で・・・救ったそうです。」
キム・ヘウォン(オンニョン)はまだ乳飲み子の石堅(ソッキョン)王子を膝に抱えてテハが書いた昭顕世子(ソヒョンセジャ)の記録を読んでいました。
ソルファは家の外でキム・ヘウォン(オンニョン)の影を見てはため息をつきました。
何者かがヘウォン(オンニョン)の家に忍び込みました。ソルファはその様子を見て手で口を覆いました。
「誰ですか?んーんーんー。」
ヘウォンは男に口を塞がれ王孫は奪われました。
「やめろ。将軍の夫人だ。」
ヨンゴルテの部下は手下に言うと、手下はオンニョンを気絶させました。
ヨンゴルテの部下が表に出るとソルファがチャッキを連れてきたところでした。
「やれ!」
ヨンゴルテの部下は手下に命じました。
チャッキの子分たちも集まってきました。
「かかって来いよ。貴様ら何をしている。」
チャッキは言いました。
「貴様を殺すつもりはない。道を開けろ。」
ヨンゴルテの部下は言いました。
「俺は貴様らを殺す気だけどな。どうする。全員で立ち向かうか首長(スジャン)同志で勝負をつけるか。」
チャッキは笑いました。
「主長同志が望みか?」
「面白いだろ。俺が勝てばお前が死ぬ。」
「私が勝てば?」
「お前が死ぬに決まってる。子分たちが放っておかぬ。」
「ねずみをいたぶる猫みたいだな。受けて立とう。」
ヨンゴルテの手下はチャッキに殴り掛かりました。
チャッキは男の足を踏むと簡単に殴り倒してしまいました。
「首を斬ろうか?それとも頭を落とそうか?」
チャッキは小刀を出しました。
「殺せ。」
男は唾を吐きました。」
「お望みとあらば。叶えるもんか。あはははは。」
チャッキの家の中。
「ワンソン。テギル兄貴はソンと立ったぞ。」
チェ将軍は寝ているワンソンに言いました。
「何だって?どこだよ!」
チャッキは起き上がりました。
「オンニョンを見るのがつらいのだとさ。」
「だからって敵同士でどこへ行くってんだよ。」
「落ち着く先でも探してるんじゃないか。殺すわけにもいくまい。」
「テギル兄貴がわからないよ。世の中には他に女もいるし、オンニョンは他の男のものなのに・・・。アイゴー。」
「テギルの前で言ってみろよ。」
「俺が言えないとでも?兄貴が戻ってきたら絶対言ってやるぞ!」
すると少女が部屋に入ってきました。
「おじさん!外で何かやってるよ!」
「見張りを殺したのはお前か?」
チャッキはヨンゴルテの部下たちをを縄で縛りました。
「私がやったわけではない。」
「なら誰だ。なぜここがわかった?目的は子どもか?答えろ。」
チャッキはヨンゴルテの部下を何度か殴りました。
「殴っても口は割るまい。」
チェ将軍はチャッキの手首を掴みました。
「ならお前を殴ろうか?」
「あの子が目的なら事態は深刻だ。」
「だから殴るんだ。」
「私が話してみる。・・・・・・オンニィ(兄貴)。」
チェ将軍は言いました。
「クロッチ、クロッチ、クロッチ(そうか)。はっはっはっは。」
チャッキは笑うと棒をチェ将軍に渡しました。
「誰の命令だ。あの子は済州にいたあの方か?朝廷が関わってるのか?続けてくれ。」
チェ将軍は男が答えないのでチャッキに棒を渡しました。
「クロッチ、クロッチ、クロッチ(わかった)。ははははは。」
チャッキは喜びました。
「答えろーーーー!」
部屋の中。
「私が、チャッキお兄さんを読んだの。人影を見たから呼びに行ったのよ。」
ソルファはヘウォン(オンニョン)に言いました。
「助けてくれたのね。でも心配だわ。ここも安全じゃないのね。」
山の中。
「頼みがある。」
テハはテギルに言いました。
「まさか宮廷に忍び込むのか?」
「似たようなものだ。人に会ってほしい。東宮殿の内侍府(ネシブ)のある人に伝言を伝えてくれ。」
「秘密が漏れたらどうする。」
「それはない。」
「俺たちは役人を信じない。悪いことは考えるくせに人のことは考えない。」
「弱音を言うな。」
「その言い草はなんだ。世子に会えば解決か?」
「そうするつもりだ。」
「どうせなら国王に会ったらどうだ。」
「世子邸下とは清国で長い間共に過ごした。私は直属の部下ではないが、実直なお方だ。また情にも厚い。」
「そんな所で情が通じるのか?」
「王宮も人が住む場所だ。」
「いいや。王宮に人らしい人がいれば世の中はもっとマシになってる。」
両班の家。
ファン・チョルンは屋敷(実家かイ・ギョンシクの家かは不明)に戻りました。
「漢陽に戻ったということはもう逃げないつもりだろう。決着をつける気だ。王孫を救う方法は?」
ファン・チョルンは部下に言いました。
「王命を取り付ける気でしょう。」
「王命以外に方法が無いのなら、王命を請うはずだ。」
「では殿下に謁見するつもりでしょうか。」
「殿下ではなく邸下だ。」
「清で八年を過ごした仲だ。期待するだろう。」
「東宮殿に部下を忍び込ませます。」
「戦争に準ずる体制で兵を待機させろ。」
山の中。
「世子が来なければ?」
テギルは言いました。
「きっと来る。」
テハは信じていました。
「罠だったら?」
「だったら朝鮮では打つ手がない。」
「手がなければ?」
「清国へ行く。」
「そんな遠くへ・・・いいかもしれん。そこに行けば安全に暮らせるのか?」
「最後の手だ。」
「最後の手は最後に打てない。失敗した時には本当に打つ手が無いからな。」
「失敗は考えていない。命がけで誰かを守る気持ちはわかるだろう。だから付いてきた。」
「奴婢のことを教えてやろうか。奴らは暮らしに耐え切れずある日逃げだす。そして捕まれば叩かれる。死ぬほど打たれると、手近にある刃物を掴んで反撃に出る。死なばもろともさ。お前は順序が間違っている。戦いから逃げるのではなく逃げきれずに戦っている。」
「まだ戦いをあきらめてはいない。」
「だから最後だと言うな。本当の最期が来るまではな。」
両班の家。
「おじさん。話があるの。」
チョボクは寝ずに主人を“両班殺し”から守っているオッポクに声を掛けました。
「やぁ。夜中に何をしている。ご主人様に怒られるぞ。」
「おじさん。私・・・・・・。」
すると扉が開きました。
「何の用だ。」
両班の男はチョボクに言いました。チョボクとオッポクは主人に向かい頭を下げました。
「はい。徹夜の番なのでおこげを持ってこようかと。」
「食べると眠くなる。余計なことはするな。」
「はいナウリ。申し訳ございません。」
拷問場。
イ・ジェジュンと同志たちはチョ先生の裏切りで拷問にかけられ傷だらけになっていました。
「はぁ。皆の者、なぜ暗い顔をしておる。宝を盗めば死刑だが国を盗めば諸侯になれる。この程度は覚悟していた。すべてを捨ててきたのに未練が残るとは。まだ修行が足りぬのだろう。はっはっは。」
イ・ジェジュンは言いました。
翌日の朝廷。
「左副承旨(チャブスンジ)イ・ジェジュンが逆徒の首謀者とわかりました!追及したところ奴らは王孫を擁立し・・・。」
パク・ジョンスらは王の御前で告発しました。
「もうよい。」
仁祖は言いました。
「はい殿下。私どもの不徳でご心配をおかけしました。」
パク・ジョンスは言いました。
「左相(チャサン、左議政)も口を閉じよ。今後は一切王孫のことは口にしてはならぬ。」
ヨンゴルテの宿泊所。
「謀反だと?」
龍骨大(ヨンゴルテ)は部下から報告を受けました。
「王孫を擁立しようとして摘発されました。」
「左議政は王孫を見つけ出さずに消すことができたのだ。王孫はもう朝鮮では生きていくことができぬ。」
「それはたいへんではありませんか。」
「ははは。いや。我々にとっては都合がよいかもしれん。」
東宮殿。
世子は仁祖に拝礼しました。
「お呼びいただけたら私が参りましたのに。」
世子は父に言いました。
「宮殿が静かなので散歩のついでに寄っただけだ。」
仁祖は世子の席に座ると言いました。
「謀反の話は聞きました。事前にわかってよかったです。」
「私ではなく世子に対する謀反だったのだ。」
「・・・・・・。」
「世子や。」
「はい殿下。」
「これ以上世子の正統性が議論されることはない。」
「はい。では王孫、石堅(ソッキョン)はどうなるのですか?」
「ならぬ。これからはその名前を口にすること自体が謀反だ。あの子が、哀れか?」
「はい。」
「人情は無用だ。庶民の人情は和を招くが王族の人情は血を招くことがほとんどだ。何を言っているかわかるな?」
「肝に銘じます。」
漢陽の山。
「伝えたか?」
テハは戻ってきたテギルに言いました。
「気に入らないな。」
「何がだ?」
「世子に会うことだ。食べろ。鹿の干し肉だ。」
テギルは大きな岩に腰掛けるとテハに肉を分けました。
「あの言葉を聞いて胸が痛んだ。」
「何だ?」
「誰しも死ねない理由があると。」
「よく覚えているな。」
「戦場で生きてきてこう思っていた。戦って力が及ばなければ死ねばいい。全力を尽くせば悔いはない。しかし今は違う。力が及ばなくても生きなければ。そのほうが、死ぬよりもはるかに難しく骨が折れる。」
「どんなに大志を抱いたとしても人は皆同じだ。歳をとるほどみじめになっていく。だから欲を捨てて息を殺しほどほどに生きろ。幸せじゃないか。妻と子どもがいて少しばかりの畑があれば。それで十分だ。悠々自適に生きろ。それだけで心がぬくもる。」
テギルはかつて夢に描いていた生活を言いました。
「お前も世の中を変えようとしていたのだろう?両班とそれ以外の身分の違いがない世の中を。愛する人と共に暮らせる世の中を夢見たのでは?」
「ははっ。世間知らずの頃はそんな夢も見た。」
テギルは酒をあおり、テハに酒の入った壺を譲りました。
「世の中への愛があれば世の中を変える勇気が湧く。」
テハは酒を飲むと言いました。
「水は流れても瀬を変えることはできない。かっこいいだろ?」
「堅固な早瀬でも水の流れは止められない。」
「ははははは。奴婢両班。お前は面白い友だな。」
テギルはテハから壺を受け取りました。
砦。
「私の旦那様を知っているの?」
石堅(ソッキョン)を抱いたオンニョンは牢に入れられたヨンゴルテの部下に問いました。
「ああ。そうだ。」
「訓練院(フルリョンウォン)官吏?」
「いいや。」
「では清国で知り合った?」
「そうだ。」
「この方が王孫様と知っているのね。」
「迎えに来たのだ。」
「どこへお連れするつもりなの?」
「朝鮮では生きられぬ。」
「生きられるように変えればいい。そのために行動しているわ。」
「王孫の安全を願うなら縄をほどいてくれ。」
「解けばどうする?」
「王孫と一緒に清国へ送り届ける。」
「夫が帰るまで縄を解けないわ。」
オンニョンは外に出るとソルファを見つけました。
三人は部屋に入りソルファが持ってきた二本弦の弦楽器を王孫に与えました。王孫はぎこぎこと弓を引きました。
「この子は何歳なの?」
「四歳よ。」
「かわいい?」
「ええ。」
「こんなかわいい息子が五人ほしい。」
「娘は?」
「私みたいになったらたいへんよ。」
「そんなこと言わないで。」
「だって事実だもん。・・・・・・。」
「話があるの?女者同志だから何でも話して。」
「テギルお兄様がお姉さんの旦那様と出かけたみたいなの。ちょっと出かけるとか言ってチェ将軍お兄様も教えてくれないみたい。二人で一緒に出掛けたのよね?」
「同時にいなくなったのならその可能性はあるわ。」
「二人でいて平気かしら。まさか殺し合ったり・・・。」
「しないでしょう。誤解があったけど解けたと言ってたわ。」
「ええ。」
「戻ってくるわ。心配しないで。」
「そうよね。それでお姉さん。私に文字を教えてくれない?」
ソルファはテギルに縫った衣に名前を刺繍しました。
「字はあってるのか?
ワンソンはソルファに言いました。
「大きいの大に吉よ。戻ったらあげるの。」
「どうしてお前があげるんだよ。」
どこかの山の中。
オッポクたちは別の奴婢と合流しました。
「もしかしてオッポクさんか?俺はマル村から来た奴婢のカンアジだ。あのお方に来るように言われた。」
「ではあんたたちも?」
「そうだ。俺たちは同志だ。」
「ようこそ。他にもいると聞いて会いたかった。」
オッポクはカンアジの手を握りました。
「話は聞いている。それであのお方は?」
家。
「よっこらしょ。」
詐欺師の男ウォン・ギユンはあの方からくすねた軍資金を壺に隠しました。
「よく稼げましたね。兄貴。ここが買いたがっていた家ですか?」
あのお方が現れました。
「俺がこんな家を買えるわけがない。大砲を買おうと思っていた。銃だけではだめだ。大きなのを手に入れないと。」
「ああ。大砲ですか。」
「そうだとも。」
「仲間たちのために集めた金だ。本当だぞ。」
「はぁ・・・。同志が命がけで作った金なのに手形を換金したり銃を作るたびにくすねていたのか?」
あのお方は壺から金を出すとため息をつきました。
「何を言ってる。誤解だ。」
「最初から兄貴はそういう人だと思った。」
「やい!」
ギユンは懐から短刀を出してあのお方に刺そうとしました。
あのお方は刀の柄でギユンを倒しました。
「待て待て。こうしよう。俺たちで山分けだ。お前も儲けたいだろう?」
ギユンが言うと、あのお方は刀を抜きました。
「待て待て。お前が全部持っていけ。他のやつには内緒にしておく。あ〜っ。」
あのお方は刀を振り下ろしました。
山の中。
オッポクたちとカンアジたちは交流していました。するとまた別の京畿から来た奴婢の集団が現れました。合流した奴婢は主人の両班から剣を習ったと言いました。皆が話しているとあのお方が現れました。
王宮の世子の部屋。
「以前私邸で仕えたソンという者がお伝えしたいことがあると。私の家に来たそうです。以前視察の時に見に来た桧(ひのき)を光熙門(クァンヒムン)に移したそうです。邸下がそうお命じになったそです。」
内侍は世子に報告しました。
「覚えておらぬ。視察には何度も行くし“桧”は・・・・・。分かった。」
「はい邸下。」
内侍は下がりました。
「ソン将軍か。」
山の上。
「時間を決めていないから先に行く。」
テハはテギルに言いました。
「あ〜。生きてたら妙なことがある。王の孫や息子に会うとは。」
山の中。
クッポンはあのお方から壺を預かりました。
「この壺は何なのだ?何が入っている。」
クッポンはオッポクにささやきました。
「全員ではないがこうして集まると心強い限りです。来てもらったのは、今日の晩、宣恵庁(ソネチョン)に攻め込むためです。宣恵庁(ソネチョン)にある米は私たちの血と汗です。だが両班たちは遊び暮らして我々を苦しめています。太公望も言ってます。身分が高いからと下の者を軽んじてはならぬと。その言葉を知りながら両班は実践しません。」
あのお方は言いました。
「殺せ〜。」
奴婢たちの士気が上がりました。
「我々が燃やすのは宣恵庁(ソネチョン)ではなく両班の罪です。これは両班の頂点に立つ国王への宣戦布告です。ここにいる奴婢の皆さんの中で両班に大声を出した人はいますか?死ぬ前に、一度でも大声を上げようではありませんか。やーーーーーーー!」
あのお方は刀を抜いて叫びました。
「や〜〜〜!」
同志たちは叫びました。
夜の世子の部屋。
「おるか。極秘で視察に行く。準備せよ。」
世子は言いました。
ファン・チョルンの部屋。
「東宮殿に動きがありました。」
部下はファン・チョルンに報告しました。
「極秘の視察か?」
「ご存じで?」
「ソン・テハとは長年同僚だった。奴の考えは想像がつく。お前たちだけでついて来い。兵は待機だ。」
「兵を連れて行ったほうが?」
「兼司僕(キョムサボク)に見つかったら邸下(チョハ)の監視と疑われる。」
夜の街。
「中で学者と雑談してくる。」
世子は家の中に入るふりをすると塀を乗り越えました。
「義禁の兵をまいたな。」
ファン・チョルンは世子を見てつぶやきました。
両班の家。
チョボクが奴婢の小屋の扉を開けると誰もいませんでした。
「どこに行ったのかしら。」
宣恵庁(ソネチョン)の近く。
「チョボクは?」
銃を持ち武装したクッポンはオッポクに尋ねました。
「今日は見張りは不要だ。危ないから話してない。」
「過保護だな。」
「あのお方は?」
「ここには来ずに直接攻め込む。」
無人の通り。
世子はテハとテギルに会いました。
「ソン将軍。」
「邸下。ご挨拶申し上げます。」
テハは屈みました。
「お元気ですか?」
テギルは適当に言いました。
「この者は?」
「お気になさらず。」
「推奴(チュノ)師のイ・テギルです。」
テギルは言いました。
「そんな職業が?」
「あるからここにいます。本当に世子ですか?」
テギルは言いました。
「お許しください邸下。」
テハは言いました。
ファン・チョルンは三人を監視していました。
「兵を連れて来い。邸下が去ったら攻撃する。」
テギルは世子に軽く頭を下げると辺りをぶらつきました。
「石堅(ソッキョン)のことか。」
「はい。邸下。」
「赦免を求めるためか?」
「お許しください。」
「そちはなぜそのようなことをした?」
「亡くなった昭顕世子(ソヒョンセジャ)との約束です。王孫様をお守りすると約束しました。」
「約束だと?王孫を擁立して王位につけるつもりでは?」
「さようでございます。」
「私を追いやり子の座を奪おうとした者が、私に頼み事をするのか?石堅(ソッキョン)がいなくなって喜ぶのは私だぞ!」
「だからこそこうして会いに来たのです。邸下も本当にそれをお望みですか?王孫様は親兄弟を亡くしました。祖父には殺されかけ叔父は見て見ぬふりをしています。王孫様の死をお望みですか?」
「庶民の情を政治に持ち込むな!」
「王宮も人の住む場所です。」
「甥を立てて叔父を追い落とそうとしながら今度は甥の命乞いとは!それが人情か?」
「この後どうするかまだ話していません。」
「ではこれからどうするのだ。」
「媽媽を守り抜きます。ともに生きて世の中を変えます。」
「謀反を企むのか?」
「いいえ。王でなくても世の中を変えられると、名もなき民の小さな希望が、歴史を作ることを証明するつもりです。」
「要するに謀反だな。」
訓練院から兵が出動しました。
テギルは背を向けていました。
「どちらにせよ私は石堅(ソッキョン)を助けるだけの力がない。」
世子はテハに言いました。
「邸下。どうかお願いします。」
「殿下にお願いしてみるという約束もできぬ。」
「邸下。」
「いっそ朝鮮を離れてはどうか。助けてやる力も殺す勇気も私にはない。」
テギルはゆっくりとファン・チョルンのほうに歩き出しました。
「どうしますか?」
部下はファン・チョルンに尋ねました。
「邸下の前で刀を振り回すわけにもいくまい。兵はどうした。」
「今こちらに向かっているはずです。」
「二度と庫内でくれ。石堅(ソッキョン)の名を口に出せば謀反とみなされる。」
世子は帰りました。
テハは衝撃を受けました。
テギルはファン・チョルンのすぐ近くまで来ました。
「おい奴婢両班。罠だったらどうする。」
「かかれ!」
ファン・チョルンはテギルたちに襲い掛かりました。
テギルとテハは刀を抜いて背を合わせました。
宣恵庁(ソネチョン)の前。
「おい聞け。混戦の時に打ち損ねたら味方に当たる。できなければ空に撃て。銃声だけでも脅かせる。」
オッポクは皆に言うと宣恵庁(ソネチョン)に向かって銃を放ちました。
「襲撃だーー!」
兵士は騒ぎ出しました。
「おーーーーっ!」
あのお方は門を破って中に入りました。
オッポクたちは刀で戦うあのお方を銃で援護しました。
あのお方はオッポクの援護に気が付きました。
「援軍が来る。逃げろ。」
テハは背中を合わせているテギルに言いました。
「清渓(チョンネ)川(チョンネ)か?」
テギルはテハに言いました。
「検問がある。崇教坊(スンギョバン)へ。」
宣恵庁(ソネチョン)。
オッポクは銃を撃ちました。
あのお方は火薬を書庫に投げ入れました。
「撤退だー!!!」
あのお方は命じると、書庫が爆発しました。
テギルとテハ、ファン・チョルンは爆音に気が付きました。
奴婢のひとりが逃げ遅れました。
テギルとテハは逃げました。
「援軍はどうした!」
ファン・チョルンは部下に怒鳴りました。
「宣恵庁(ソネチョン)です。」
兵を率いてファン・チョルンのもとに向かっていた捕校(ポギョ)は男同僚の男に言いました。
「ファン判官のご要請はどうする?」
同僚の捕校(ポギョ)言いました。
「襲撃を見て見ぬふりをすれば責任を問われる。宣恵庁(ソネチョン)へ行くぞ!」
宣恵庁(ソネチョン)。
「抜け出すんだ。」
オッポクたちは逃げました。すると捕校(ポギョ)が来て逃げ遅れた奴婢を捕まえました。オッポクはあのお方の言葉を思い出し涙ながらに捕まった奴婢に銃を向けました。
「助けてくれ!」
奴婢の男はオッポクに胸を撃たれました。
オッポクは泣きながら逃げました。
もうすぐ結婚させられるチョボクは泣きながらオッポクを待っていました。
テギルとテハは二手に分かれて逃げました。ファン・チョルンの部下も二手に分かれました。
「いたか?」
ファン・チョルンは部下に言いました。
「いません。」
部下が答えるとファン・チョルンは悔しそうに刀を地面に叩きつけました。
テギルとテハは拳を握りしめ互いの後ろにいた敵を殴り倒し顔を合わせて不敵な笑みを浮かべました。
感想
今回の推奴(チュノ)22話のストーリーも面白かったです。オッポクを慕うチョボクの女心。チョボクはあまり女女していなくてオッポクに時々甘えることで好意を示してきましたが、オッポクはオジサンの俺が好かれるとは思っていないといった感じでした。そして今回は穏やかそうに見えた「あのお方」が刀を抜いて雄々しく戦ってるではありませんか!あのお方を演じるパク・キウンはあまり出演作が無いみたいですが、このチュノでは光ってますよ!ラストで泣きながら逃げるオッポクと、大好きなオッポクを待ってるチョボクは可哀そうでした。ソルファも可哀そうで、ソルファの身分はおそらく白丁(ペクチョン)であると推察できます。
そしてテハの衣装です。あの裾の長い衣装はテハが輝いて見えます(笑)これまでのノースリーブみたいな服はイマイチ強そうには見えませんでしたが、厚手の衣を着るとテハ(オ・ジホ)が一層大きく見えて強そうな武人に見えました。テギルは相変わらずチンピラみたいですね。
ファン・チョルンは漢陽では王や大臣らの目があるので面目を保つために大きく出られませんでした。
そして仁祖の息子の世子は昭顕世子(ソヒョンセジャ)の弟、鳳林大君(ポンニムテグン)かな?鳳林大君(ポンニムテグン)は後に孝宗(ヒョンジョン)となった王様です。
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