チュノ6話 -推奴-追手の正体
あらすじ詳細
テハは馬で逃げるのは危険と判断して馬を逃がしてオンニョンの手を引き山中の道なき道を逃げました。テギルは馬を駆り宿屋に戻って来ました。そして馬の蹄の音を聞いて東に向かいました。山中。
テハはオンニョンに自分もテギルに追われていることを認めました。
「騙された!鞍が冷たい。乗ってなかった。」
テギルは空に向けて矢を放つと矢は空中で爆発して花火でチェ将軍とワンソンに合図を出しました。
「山道で境界を越えましょう。やつらはすぐに追ってきます。」
テハはオンニョンに言いました。
宿屋の庭。
テギルとチェ将軍とワンソンとソルファは朝飯を囲みました。チェ将軍はテハが使った手法は兵法書に書かれていると言いました。ワンソンは手分けして捜そうと言いました。テギルはテハと朝鮮で互角に戦えるのは自分だけだと言いました。
「奴の行くところは二つしかない。あそこかその近くだ。とにかく飯を食え。」
「女将さん、おかわりー。」
ソルファは無邪気に手を挙げました。
テギルはオンニョンの人相書きを女将に見せました。
「胸にホクロのある女を知らないか?」
テギルはついでにソルファの母の消息を尋ねると女将はどちらも知らないと答えました。
テハはオンニョンとともに山の尾根を歩いていました。
「旦那様(ナウリ)。私たちを追っているのは誰ですか?私たちを追っているあの者たちはいったい誰なのですか?」
「推奴師です。私とあなたを追っている者が同じか分かりません。」
「推奴師が・・・私を追うはずありません。私は奴婢じゃありません。」
「私も奴婢(ノビ)ではありません。」
「追っている者が推奴師なら私は関係ありません。私は、旦那様とは一緒に行けません。」
オンニョンは走り去ろうとしました。テハはため息をつくとオンニョンを追いかけて手を取りました。
「どこへ行くのですか?忠州(チュンジュ)まで一緒に来てください。行ったとしてもじきに奴らに捕まるでしょう。そうなれば私の行方を(拷問で)話さざるを得ません。」
「あなたは脱走した奴婢ですか?」
「違います。」
「本当ですか?」
「本当です。」
「私を疑うなら忠州までご一緒します。それ以上は行けません。」
宿屋。
テギルは貸本屋で朝報(チョボ、官報)でソン・テハの情報を調べることにしました。
チェ司果が放った女傭兵のユンジは枯れ野でオンニョンの行方を捜していました。
貸本屋。
テギルは二、三年前の朝報を主人に求めました。
「本を読む人のようには見えませんねぇ。朝報の貸し出し料は高いですよ?持ち逃げする人が多いのでいちげんさんには貸せませんよ。」
若い主人はテギルのみすぼらし服装を見て答えました。
「おい、やれ。」
テギルはワンソンに合図しました。
「我々は禁府(クムブ、発音はクンブ)の武官で隠密に謀反を調べている。口外すると痛い目にあうぞ!」
ワンソンは懐から取り出した朱塗りの木の手形を見せました。
「はっ、はい、ナウリ。ただいま、すぐに!」
本屋の主人は慌てて階段を上り朝報を取りに行きました。
宿屋。
「その人相書きは今日で三度見たよ。」
オンニョンの兄の護衛武士のペッコが人相書きを見せると女将は腕組みしてあきれました。
「どこへ行った?」
「馬に乗った方々がひと暴れして、そのお次の方々はそこにおいでです。」
女将は飯を食っているゴロツキたちを示しました。
「チェ司果(サグァ)に雇われたのか?金欲しさに追っているのか?」
ペッコは男たちに尋ねました。
「当然だ。五百両に土地までついている。他の奴らと分け合うことは考えていない!」
ゴロツキの頭目は答えると突然ペッコと二人の部下に襲い掛かりました。
ペッコは応戦するとゴロツキたちは剣を抜きました。ペッコたちは彼らの脚を斬りました。
「今は脚だけだが次は首が飛ぶと思え。お前さん。馬に乗った奴らはどこへ行った?」
ペッコの剣から血が滴り落ちました。
「なっなっ・・・なっ・・・なんにも知らないですよぉ。白い服の娘が裏山へ行っただけですぅ。」
女将は震えながらペッコの問いに応えました。
ペッコは女将に感謝するとオンニョンを追いかけました。
古本屋。
チェ将軍は昭顕世子(ソヒョンセジャ)に関わる文書を見つけました。
「葬儀中というのにその服装はどういうことだ!」
当時判官(パンガン)だったテハは武官の平服を着ているファン・チョルン(イ・ギョンシクの娘婿)とその部下を見て咎めました。
「平服に戻せという兵判(ピョンパン、兵曹判書、イ・ギョンシクのこと)様のご命令だ。」
「世子邸下(セジャチョハ)の喪中というに三、四日で終わるものか!何をしている。早く着替えぬか。従わないと命令にそむいたことになるぞ。」
「喪明けは王命だ。王命に従うことが罪なら喜んで斬られよう。さあ斬れ。」
ファン・チョルンは跪き仁祖への忠誠を示しました。
「聞け。我らは役人である前に国を守る武人である。兵書によれば道には進めぬ道があり兵には討てぬところがある。争いのない土地があり国王の命令でも聞けぬものがあるのだ!」
テハは部下たちに言いました。
古本屋。
「あきれた。死にたくて正気を失ったようだな。見ろよ。王命を拒もうとしてる。」
テギルは官報を読んでテハを知りました。
「忠臣(チュンシン)だ。」
チェ将軍はつぶやきました。
「忠臣?笑えるぜ。これが忠臣か?」
「世子の喪明けは三年だ。数日などあり得ない。」
「なら三年も喪に服するのはありなのか?」
「つまりその件でこうなったようだ。」
チェ将軍は別の文書をテギルに見せました。
回想シーン。
夜のソン・テハの屋敷に当時兵曹判書だったイ・ギョンシク(平服を着ている)が兵を連れて屋敷を捜索していました。白い喪服の官服を着たテハが二人の武官を伴い屋敷に帰宅しました。
「帰ったか。」
「なぜ兵判大監(ピョンパンテガム)こそ何の御用ですか?」
「遅くまで何をしている。」
「兵書を学んでいると毎晩遅くなります。」
「そうか。噂では明哲坊(ミョンチョルバン)あたりで米を売っているとか。」
「何のことですか?」
「何のことかそち(チャネ)がよく知っているだろう。」
イ・ギョンシクがテハに言うと、部下が何かを見つけたとギョンシクに報告しました。
公穀(こうこく)と赤い文字の紙が貼られた藁づくりの米俵が積み重ねられました。
「なぜこれが私の家にあるのですか?」
「それは私が聞きたい。なぜ国家の公穀がそちの家にあるのだ?兵曹(ヒョンジョ)で詳しく聞いてやろう。」
イ・ギョンシクが言い終えるとファン・チョルンは兵士にテハを捕らえるように命じました。テハに付き従っている二人の部下はテハを守ろうと剣を抜きかけました。テハは手を挙げて二人を制しました。ファン・チョルンは憎いソン・テハの失脚にほくそ笑みました。
貸本屋。
「訓練院(フルリョンウォン)判官(パンガン)ソン・テハ。軍糧米窃盗。」
チェ将軍はテギルに言いました。
「ふはははは。そんなことだろうと思ったぜ。コソ泥め。」
回想シーン。
牢獄でテハと部下たちは拷問されていました。テハはひたすら拷問に耐えていました。
「白状しろ。誰の指図で盗んだ。」
緑色の官服を着たイ・ギョンシクはテハに言いました。
「誰の指図だと?大監こそ誰の指図で私を陥れるのですか?」
「飲み込みが悪いな。お前は軍糧米(ぐんりょうまい)を盗んで市場で売った。その金を左議政イム・ヨンホに渡した。違うとしても、そうなるのだ。続けろ。」
古本屋。
「でも変だぞ。国法に従えば間違いなく死刑だ。なぜ生きてる?」
元両班のテギルは古い知識を持ちだしました。
「その辺りでやめておけ。政治には関わらないほうがいい。」
チェ将軍はテギルに言いました。
「なにを言うんだよ。大金がかかってるんだぞ?」
ワンソンは言いました。
「これ以上記録はない。斬首刑が減刑になった。」
チェ将軍はテギルに言いました。
「違う。何か理由があるはずだ。」
「理由がないのが不思議だ。」
「役人の異動があったか調べろ。」
「なぜだ?」
「政治的に複雑なんだろ?なら政治取引があったはずだ。早く探せ。」
テギルはチェ将軍に言いました。
夜の左議政イ・ギョンシクの屋敷の離れ。
「すばらしい。月光も美しく泰平の世ですな。」
両班の男はイ・ギョンシクに言いました。
「主上(チュサン)殿下の賜物です。一杯どうぞ。表情は温和であれという左相大監(チャサンテガム)のお教えのおかげです。私にも継いでください。」
イ・ギョンシクはイム・ヨンホに酒を注ぎました。
「表情ではなく心を温和にせよと教えなかったか?」
「常に心掛けているうちに先生の話し方まで覚えました。」
「はっはっは。それはよかった。では最後にひとつ教えよう。政治に携わる者は引き際を覚えねばならぬ。」
「私に何をあきらめよとおっしゃるのですか?」
「違う。やめるのは私だ。」
「なんのことです?」
「そなたは知っているだろう。飲みなさい。明日主上殿下と二人で話すつもりだ。長く務めたのでもう帰郷して静かに余生を過ごしたい。」
「まだ早すぎます。大監は国政のためにまだまだ・・・。」
「いや違う。国事には若い者が携わるべきだ。私はそなたにとってずいぶん邪魔だっただであろう。」
「私は先生の座など狙ってはおりませぬ。」
「世子のことで朝廷が騒がしいようだが安らかに眠らせてやろう。そなたにもそのほうが得では?ソン・テハを救う代価はそれで十分だろう。」
「風が冷たくなってきましたな。」
古本屋。
「当時左議政イム・ヨンホは病を理由に職を辞して忠州(チュンジュ)へ帰った。」
テギルは報告書を読みました。
「それで?」
チェ将軍はテギルに聞きました。
「左議政が官職を辞めたんだぞ?おかしいじゃないか。普通はその座にしがみつくだろ?それなのにソン・テハが斬首を赦されるや否や帰郷した。」
テギルはソン・テハを生かした理由を直接聞けばいいと忠州(チュンジュ)に出発することにしました。
「ソルファ。飯だ。忠州(チュンジュ)にあるって?」
ワンソンはソルファを起こしました。
回想シーン。
牢屋。
「居心地はどうだ。立ちなさい。」
緑色の官服を着たイ・ギョンシクはファン・チョルンに言いました。
「出してください。」
「ご苦労だったな。経ちなさい。」
ススキ野。
ソルファを後ろに乗せたテギルは馬を進め高原の村に着きました。
「誰かいるかー?あんた一人か?」
テギルは白髪の老人に尋ねました。
「はい。ナウリ。」
縁台に腰掛けていた老人はテギルたちの前で頭を下げました。
「我らは漢陽の左捕庁(チャポチョン)から来た役人だ。話がある。」
ワンソンは再び懐から朱塗りの木札を取り出し見せました。
「そうでございますか。」
「顔を上げろ。こいつを見たか?よく効け。こいつは礼服を着た女を連れている。もし来たら部屋を貸すふりをして俺に知らせろ。勘がいい奴だから悟られないようにしろ。」
テギルはテハの人相書きを老人に見せました。
「わかりましたナウリ。」
「協力すれば褒美がでるが妙な真似をしたら罰を受けることになるぞ。」
「おっしゃるとおりにしますナウリ。」
回想シーン。
イ・ギョンシクは家でファン・チョルンに酒を振る舞いました。
「そなたの望みは何だ?」
「義父上の期待にお答えできれば満足です。」
「はっはっはっは。そなたは私の期待に応えるのが夢か。」
「済州島で王孫二人ですか。」
「町で何人か雇うがよい。」
「私だけで十分です。」
「大事には犠牲がつきものだ。身代わりになる者を探して使え。」
「ご命令に従います。」
「この件が実現すれば私が見続けた夢をそなたに譲ろう。野を駆ける馬は後ろを振り返らぬ。」
「肝に銘じます。」
「父(アボジ)と言ってくれ。婿は息子も同然だ。」
「はい。父上。すぐに出立します。」
「娘に会っていきなさい。あの子はそなたのせいで随分とやきもきしてきた。」
「・・・・・・。」
高原の家。
テハはオンニョンを連れて老人の家に来ました。オンニョンはかんざしを老人に差し出しました。老人は納屋と黍(きび)と粟(あわ)しかないと言うとオンニョンはそれでいいと言いました。テハとオンニョンは納屋で藁にもたれました。
「私。へウォンといいます。」
「え?」
「考えてみたらおかしいですね。名前も知らない男者(ナムジャ)と旅をしているのですから。」
「私は・・・。」
テハは名乗ろうとしました。
「漢陽にお住まいのソン・テハさんなんですよね。聞きました。」
「記憶されていましたか。」
「命の恩人です。忘れません。」
「苗字は何ですか?」
「私はキムと言います。」
「キム氏ですか。家族はお兄さんだけですか?」
「はい。旦那様のご家族は?」
「丙子(へいし)の乱で離別しました。戦争が終わって清国から戻ってみると昔の人々の姿はありませんでした。」
「清国へ連れて行かれたのですか?」
「理由はどうであれ負けたのですから捕虜です。」
「私も戦乱で命を落とし掛けました。ある若様(トリョンニィ)が、助けてくださいました。」
「その方が想い人ですか?」
「ええ。その方です。」
「この世の人ではないなら忘れて婚礼した方がよくありませんか?」
「わたしはあの方に心を捧げました。殿方とは違い女人の情は深いのです。」
戸を叩く音が聞こえました。
「何か聞こえませんか?」
「いいえ。」
すると納屋の壁を槍が貫きました。二人は立ち上がると兵士に囲まれました。テハはオンニョンを背中にかばいました。
「なにをするのです。旅をしていることが罪ですか?」
テハは兵士たちに言いました。
「左捕庁の命令だ。」
兵士は答えました。
「親戚に会いに行くだけです。」
「詳しい話は牢屋で聞く。」
兵士は二人を捕らえようとしてテハは応戦しました。
「きゃー。」
オンニョンは悲鳴を上げました。
テハは数人の兵士を倒してオンニョンの手を引いて逃げました。
翌日のチョン・ジホのアジト。
ジホは五日分の食糧を子分に持たせました。
「兄貴。馬を買おうよ。」
「奴婢は馬には乗れぬ。歩いて逃げる奴を追いかけるのに馬はいらないぜ。」
「テギルも馬を使ってるから仕事が順調だ。」
「テギルはもうおしまいだ。都城のチュノ師は全員我々の傘下に入った。よいか?虎と狼は同じ洞窟に住めない。どちらかが死ぬ。」
「虎は誰なの?」
「俺だ。わからないのか?この野郎!」
チョン・ジホは棒を投げました。棒はアジトを訪ねて来たファン・チョルンの手の中に入りました。
「三百両でどうだ?」
「いますぐ荷物をまとめろ。」
「どなたにも尻尾を振るわけではありませんよ。旦那様。」
「五百両だ。ついて来い。」
ファン・チョルンは金の入った巾着を投げました。
「おまえたち!ご挨拶しろ。なんでも仰せの通りにいたします旦那様。」
チョン・ジホと子分たちはファン・チョルンにおじぎをしました。
ファン・チョルンはチョン・ジホたちに馬を与えました。
町。
テハは兵士の検問に気が付きオンニョンを路地裏の壁に押し付けて隠れて兵士の様子を探りました(壁ドン)。オンニョンは驚いて呼吸が荒くなりました。
「・・・・・・。触書が出たようです。人相書きも出たようです。二手に分かれましょう。あなたはこの道を行き、私は裏道を行きます。検問があったら、病気のふりをしてください。それしかありません。髪を編んでいない女が礼服を着れば騙せるでしょう。」
「それしかないのですか?」
オンニョンが言うとテハは笛を渡しました。
「だめならそれを吹いてください。すぐに駆け付けます。」
テハは塀を乗り越えて行きました。
オンニョンは兵士と目を合わせると逃げました。
「おい、待たれよ!」
兵士はオンニョンを追いかけ笛を吹いて仲間を呼びました。
オンニョンは兵士に囲まれました。
「おい女。」
「この無礼者!両班の娘を女人と呼ぶとは。」
オンニョンは兵士に言いました。
「髪も結ってないのに両班の女だと?」
「この女、漢陽の捕盗庁で追っている男女の中に礼服の女がいた。連れて行こう!」
「やめるのだ!」
オンニョンが抵抗するとユンジが現れて兵士を次々と殺していきました。
「騒がしいから、首だけ頂くわ。」
ユンジはオンニョンの首に短剣を突き付けました。
するとテハが現れユンジを追いかけました。
「大丈夫ですか?目を閉じて愛する人の名を十回唱えてください。」
テハが言うとオンニョンは懐から石を取り出し念じました。
「この服では目立ちます。」
テハは血のりがついた白い礼服を見て言うとチョゴリの裾を掴みました。オンニョンは脚を体に引き寄せました。
「墨です。筆のかわりに描きます。」
テハはチョゴリに梅の絵を描きました。血しぶきが梅の花となり墨で描いた線が梅の木になりました。
「疲れたでしょう。」
テハはオンニョンに言いました。
「感謝します。お元気で。」
オンニョンはテハに感謝しました。
忠州のイム・ヨンホの家。
気配がしてイム・ヨンホは後ろを振り返りました。
「そなた(テハ)か?」
しかしそこにいたのはファン・チョルンでした。
「ソン・テハを待っているのですか?」
「左議政の指図か?」
「テハが訪ねてくるのを待っているのですか?」
「考えていたより早かったな。私の首が欲しいか。」
「答えないのであればその命貰い受ける。」
「そうしなさい。」
イム・ヨンホは覚悟を決めて頷きました。ファン・チョルンは剣を抜きました。
イム・ヨンホの家の前。
テギルはチェ将軍とワンソンに三方から屋敷に乗り込むよう指示を出しました。
「一刻後に俺は正門、将軍は裏門。奴が逃げたらワンソンは屋根から方角を知らせろ。わかったな?」
「私は?」
ソルファは言いました。
「馬の見張りだ。行くぞ。」
「馬を奪って逃げるわよ。」
イム・ヨンホの家の庭。
テハがイム・ヨンホの屋敷に来ると既に見張りの兵とイム・ヨンホは息絶えていました。
「貴様が、師匠を殺したのか?そなたは・・・!」
テハは背を向けているファン・チョルンに言いました。
「奴婢にそなたと言われる覚えはない。」
ファン・チョルンは振り返りました。
「何のために、殺した!」
「奴婢は主人に問うてはならぬ。お前は常に私を見下していた。それが、私がお前を殺す理由だ。」
ファン・チョルンは黒い編み笠を外してテハに投げました。テハは編み笠を真っ二つに斬るとチョルンの剣が目の前にありました。テハは後方へ飛びチョルンを剣を交えつつ庭に降りました。
「ソン・テハ。久しぶりだな。会いたかったぜ。ここまで逃げてくるとはたいしたもんだ。老人を殺したのか?」
テギルが現れました。
「貴様(イノミ)は何者だ。」
ファン・チョルンはテハを見据えたままテギルに言いました。
「俺が誰か気になるだろ?あんたと同じ目的を持つ者さ。」
テギルは剣を抜いて振り回しながら言いました。
「餓鬼は引っ込んでろ。」
ファン・チョルンが剣を振り下ろすとテギルは剣で邪魔をしました。
「俺の獲物だ!手を出すんじゃねぇ。」
テギルはファン・チョルンの邪魔をしつつテハと戦いました。ファン・チョルンはテギルを蹴って邪魔をしました。テハは二人の刀を受け止めました。
屋根。
ワンソンはユンジに股間を蹴られました。
町。
「お嬢様。ご無事でしたか。」
ペッコはオンニョンを呼び止めると、オンニョンは走って逃げました。
イム・ヨンホの家。
三人が戦っているど真ん中の家に槍が突き刺さりました。チェ将軍が走って来ました。
「こいつを頼む!」
テギルはチェ将軍にファン・チョルンの相手を任せました。チェ将軍は槍を振り回してファン・チョルンと戦いました。テギルは肉体を使って全力でテハと戦いました。するとオンニョンが吹く笛の音が聞こえたためテハは逃げようとしました。ファン・チョルンはチェ将軍の腹を蹴りましたが将軍はそれに耐えてファン・チョルンの首に槍をつきつけました。
テギルは走るテハを全力で追いかけました。
「カタをつけよう。」
チェ将軍はファン・チョルンに言いました。
「見る目があるならこれを見なさい。
ファン・チョルンは下衣をめくり訓練院の印籠を見せました。金泥で塗られた丸い木札の身分証が露わになりました。
「これか?金に釣られるのもわかるが首を突っ込まないでくれ。」
チェ将軍もまた同じ物を腰帯から下げていました。
(チェ将軍も武官の判官と同じ地位だったから?)
「貴様死にたいのか?」
ファン・チョルンは怒りました。
町。
テハはオンニョンのもとへ走りました。テギルはテハを追いかけました。
感想
チュノ6話はとっても面白かったです。チェ将軍は本当に将軍だったみたいで?現職なのかどうかはまだわかりませんが、少なくともファン・チョルンより強い武人で政治問題は避けている人物として描写されていましたね。果たしてチェ将軍の過去はどうだったのでしょうか。テギルとテハとファン・チョルン、そしてチェ将軍が戦っているシーンは本当にかっこいいです。戦う男はかっこいい!野蛮なことなんですけど、戦っている姿に魅力を感じます。オンニョンは自分の名前を「キム・へウォン」であると初めて名乗りました。どうしてオンニョンが偽名を得られたのかはお兄さんが裏の手を使ってミョンチョンという奴婢証文を焼く過程を経られたのかどうかはわかりませんが、オンニョンは両班の端くれくらいにはなれたみたいな感じです。
それから、ファン・チョルンという男についての設定もこれで明らかになりましたね。ファン・チョルンはソン・テハをライバル視して常に嫉妬と憎しみを覚えていました。ファン・チョルンは根暗な自分とは決して相いれない王者たる性格であるソン・テハ。今の価値観で言うとファン・チョルンは劣等感で精神が病んだストーカーみたいな人間ですね。きっと本人にはそういった自覚はないのかもしれませんけど、同姓にそこまで執着するのは異常です。つまりファン・チョルンは臆病すぎてソン・テハに勝てない劣等感の塊となっていて意思が弱いのでイ・ギョンシクになびいて悪に染まってしまったということでしょう。あこがれや尊敬も病んでしまえば憎しみに変わるのでしょうか。どちらにせよ自力でああなったのだからファン・チョルンの心の弱さがソン・テハを憎んで愛してもいない病気の女性と結婚するという選択肢を選んだのです。
そして気が付いたのですが、イ・ギョンシクは緑の官服を着ていましたね。あれは当時イ・ギョンシクが兵曹判書だった回想シーンなんですよね・・・。左議政といえば第一位でしょうからドラマの今は赤服ですね。
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