チュノ21話 -迫る官軍
目次
あらすじ詳細
月岳山(ウォラクサン)の夜。テハは筆を取り書状をしたためました。
丁丑の年の九月。昭顕世子(ソヒョンセジャ)は北京の天文台を管理していたドイツ人アダム・シャールとも交流した…。
「何をなさっておられるのですか?」
テハの妻、キム・ヘウォン(オンニョン)は夫に尋ねました。
「昭顕世子(ソヒョンセジャ)と交わした言葉を書き留めています。」
「最後まで聞けなかったので私も気になっていました。宴に行きましょう。」
「このまま発つつもりだ。」
「ここにいる間は皆と家族になるべきです。ゆえにあなた様をお待ちしている間、石堅(ソッキョン)様をかわいがってもらえます。」
ソルファはキム・ヘウォン(オンニョン)の優雅な振る舞いを真似ていました。
「準備ができましたわ。参りましょうお兄様。」
「その話し方は何だ。」
テギルはソルファに言いました。
「私のことですか?」
「変なことをすると早死にするぞ。」
「参りましょうお兄様。」
「酒を飲んだのか?」
チェ将軍も不思議そうに言いました。
「いいえお兄様。」
「おかしくなったらしいな。」
テギルはソルファをバカにしました。
宴会場。
テギルたちは食事を食べました。テハも席についていました。テギルは鶏肉を貪りながらテハとオンニョンを見ました。オンニョンは妻らしくテハに酒を注いでいました。テハはテギルの視線を感じるも気づかないふりをしました。
「お兄様。どうぞ。」
ソルファはテギルに酒を差し出しました。テギルはソルファの頬をつねると席を立ちました。チェ将軍も一緒に立ちました。ソルファはキム・ヘウォン(オンニョン)を睨むとやけ酒を飲みました。
村の外れ。
テギルとチェ将軍は月を眺めました。
「何をしている。」
チェ将軍はテギルに言いました。
「月を見てるだけだ。」
「チャッキの顔も立てたし気まずいならそろそろ寝よう。なぜ飢えた犬みたいに月を眺めてる。」
「チェ将軍。この前までは会えなくておかしくなりそうだった。それが今は毎日会えるから地獄の苦しみだ。」
「もうすこししたら利川(イチョン)へ行こう。推奴(チュノ)師をやめて楽しく暮らせばいい。」
「目の前に見えてるのに触れることも叶わない。本当に俺の人生はクソだな。」
「戻ろう。」
「風に当たってくる。」
「ここにも吹いてるだろ。」
「チェ将軍ーーー!養生するんだぞ。すぐに戻ってくる。」
テギルは思わず叫び、別れの挨拶のような言葉を発して行きました。
村の外れ。
「人目を避けて発ちたいのでそろそろ行きます。」
テハはキム・ヘウォン(オンニョン)に言いました。
「夜道は大丈夫ですか?危険です。」
「大丈夫です。また一人で発ってすまない。」
「帰ってくるために行くのでしょう?気にしないでください。食事は大事です。道中で食べてください。」
キム・ヘウォン(オンニョン)はテハに包みを渡すとテハはオンニョンを抱きしめました。
「これで最後です。もう離れません。」
砦の村から少し離れた山の中。
「ここで何をしている。」
テハはテギルに言いました。
「ここをどこだと思ってる・・・。夜中に一人でうろついてると撃たれるぞ。」
テギルは腕を組みながらやる気のない口調で言いました。
「警告か?」
「これが済んだらお前とお前の王孫とお前の夫人で幸せに暮らせるのか?」
「心配しているのか?」
「答えろ。どこか安全な場所で一生暮らせるのか?」
「追われることはない。」
「なら漢陽まで一緒に行ってやる。」
「その必要はない。」
「ファン・チョルンはお前の友達だろ?俺は奴をぶちのめしたい。」
「それだけか?」
「そうだ。」
「本当の理由を言え。」
「お見通しとあらば仕方ない。お前ら(テハとオンニョン)の姿を見るのはごめんだ。目の届かない所へ行ってほしいだけだ。どこへ行く気だ。」
「水原(スウォン)へ寄ってから漢陽(ハニャン)へ行く。」
「逃亡してるくせにいろいろ顔を出すんだな。いっそ全国を一周してこい。」
「お前も逃亡の身だ。」
「追うのがうまい奴は逃げるのもうまいのさ。俺についてくればいい。」
「殺すこともできたのになぜ私を生かした。」
「逃亡した奴婢を殺すか生かすかに理由はない。俺はテギルだ。道を開けろ。」
テギルが声を掛けると山賊たちが集まってきました。
「行くのか?」
山賊の頭はテギルに言いました。
「チャッキのもてなしが気に入らぬ。」
「どこへ行くんだ?」
「水原に寄ってから漢陽へ行くそうだ。」
テギルはあっさり秘密を漏らしてしまいました。テハは渋い表情を浮かべました。
砦のチャッキの家。
「この頃俺は長生きしたくなった。前は適当に生きて適当に死のうと思った。でも一回死にかけたら本気で行きたくなった。美しい嫁を二、三人もらって楽しく生きたい。」
酔っぱらったワンソンはチェ将軍に言いました。
「もう寝ろ。」
チェ将軍は言いました。
「・・・・・兄貴。五百両逃がしたしどうやって暮らそう。元通り歩けるかもわからない。急に脚が不自由になっちまって。これからどうやって生きて行けばいいんだ?」
「少し斬られたくらいで弱音を吐くな。」
「テギル兄貴はどこだ。テギル兄貴はどこに行っちまったんだよぉ。」
ワンソンは心細くなって泣きました。
チェ将軍はワンソンを抱きしめて慰めました。
ソルファはキム・ヘウォン(オンニョン)に酒をすすめました。
「私が・・・お兄様に服を作ってくれたの。なのにお兄様ったら一度も来てくれないの。あはははは。たったの一度も、見向きしないの。お姉さんのせいよ。どうしてなの。今頃現れてテギルお兄様の心を傷つけるの。ごめんなさい。でも、お姉さんが憎いの。なのに、お姉さんが、羨ましい。お姉さんみたいになれたら、お兄様は・・・私を見てくれるかな?」
ソルファは泣きました。
「泣きなさい。人には・・・泣きたい時があるわ。」
キム・ヘウォン(オンニョン)はソルファを抱いて慰めました。
ファン・チョルンと兵士は砦の見張りの山賊を襲って殺しました。
「助けてくれ。」
頭は血を吐きながら命乞いしました。
「チャッキという奴婢は?」
ファン・チョルンは頭に問いました。
「上の砦にいる。」
「イ・テギルと子連れの男女は?」
「行った。助けてくれ。」
「いつどこへ行った。」
「さっきだ。水原によって漢陽に行ったのだ。」
回想シーン。
「水原へ行け。逆徒は承政院(スンジョンウォン)のイ・ジェジュン大監だ。」
イ・ギョンシクはファン・チョルンに命じました。
「水原へ行きません。」
ファン・チョルンは思い出すと悔しそうにしました。盗賊の頭は息絶えました。
「砦に攻撃を。」
部下はファン・チョルンに言いました。
「水原に行く。」
両班の家の厨房。
「チョボクはいいわね。お嫁に行けるのよ。」
使用人の女は器を拭いているチョボクに言いました。
「え!?」
「ご主人様に南山(ナムサン)のファン先達(ソンダル)が話をつけてくださったの。代々使っていた奴婢の夫人が死んだのよ。ご主人様の部屋の警備で男の使用人が不足しているわ。嫁を出せば仔牛と男の奴婢をくれるというというので喜んで承諾したの。」
どこかの山中。
クッポンたち奴婢の部隊は射撃の訓練をしていました。
「兄貴。明日の夜、宣恵庁(ソネチョン)を襲撃します。協力してください。」
あのお方はオッポクに言いました。
「え?」
「明日の夜?なぜ急に。」
「外に漏れるのを防ぐためです。」
「俺たちだけで?」
「明日、仲間も集まります。銃を持つ者が二十人以上と刀ならその倍はいます。掌隷院(チャンネウォン)の時はその十倍です。宮殿を襲う時はその百倍の奴婢が来ます。」
「すごいですね。」
「兄貴にお願いがあります。万が一仲間が生け捕りにされそうな時は、兄貴が殺してください。拷問すればすべてが明るみになる。」
「仲間は俺たちを裏切ったりはしない。」
「心は耐えられても体は耐えられません。熱した鉄を押し付けられたら口を割ってしまいます。」
「どうして・・・仲間なのに。」
「拷問されて自白して殺される前に、殺してやるこのが救うことなのです。」
あのお方が言うとオッポクは仲間たちを振り返りました。仲間たちはこれから起きる事など知らずに楽しそうに銃を習っていました。
「兄貴。必ずやると約束してください。」
「なぜ俺にそんな役目を?ほかにいませんか?」
「もう一人います。私です。私たち二人でやるんです。」
チョボクは急いで山を走っていました。
山賊の砦。
ソルファはヘウォン(オンニョン)と石堅(ソッキョン)がいる部屋で目を覚ましました。
「私はなぜここにいるの?ここはどこなの?」
ソルファは大きなあくびをしました。
ヘウォン(オンニョン)はソルファ(雪花)という名前を書いてあげました。
「これが私の名前なの?」
「たぶんね。雪がソルで花がファ。きらきらしているから似合ってるわね。」
「字も書けるのね。ハングルじゃなく漢字を・・・。」
「習えばだれでも書けるわ。」
「これからお姉さんて呼んでもいい?」
「ゆうべそう呼んでたのに覚えてないの?」
「私は昨日の夜からここにいたの?」
テハとテギルは歩きながら食事を摂りました。
ファン・チョルンと部下たちは歩きながら雪を頬張りました。
水原(スウォン)の両班の家。
「訓練院の元将校クァク・ハンソムです。」
クァク・ハンソムはイ・ジェジュンに挨拶しました。
「噂通り屈強そうだな。どこに寄って来た?」
イ・ジェジュンは優しく尋ねました。
「全羅道(チョルラド)と忠清道(チョンチョンド)です。」
「ご苦労だったな。それで、ソン将軍とチョ先生は息災かね?」
「皆お元気です。期日が迫っているので確認をお願いします。大監が兵をくださるとか?」
「なぜ私が兵を出さねばならんのだね?」
「え?」
王宮の一室。
「ようやくこぎつけたな。王孫の名を冠した謀反が起きれば王孫は生きていても死んだも同然だ。朝廷で力を持つのは我々だけになるのだ。」
イ・ギョンシクは側近のパク・ジョンスに言いました。
「はい大監。」
「その後に最期の仕事が待っている。戸籍を整理して奴婢を集めて北方に送るのだ。本格的に清との戦争が始まったら・・・。」
「水牛の角を売るのですね?」
「はっはっはっは。ふっふっふっふ。」
イ・ジェジュンの屋敷。
「大監も官職の取引をなさるおつもりですか?」
「そんな奴らが?」
「交換条件を出したお方もいます。ある大監は兵水使(ピョンスサ)を、ある令監(ヨンガム)は堂上官(タンサングァン)をお求めになられました。」
「まったく(アイゴー)・・・。三政丞(サンジョンスン)ならともかく堂上官(タンサングァン)とはな。」
「私はただの軍人です。大監の官職のお約束はできません。」
「私の望みはそなたの答えを聞くことだけだ。なぜ私が兵を出さねばならないのか答えろ。」
チョ先生は武官とともにイ・ジェジュンの屋敷に向かっていました。
「大監が兵を出す理由は、ありません。」
クァク・ハンソムはきっぱりと答えました。
「ふふふ。それで出せと?」
「・・・王孫様をお守りしろと命令を受けました。済州で最低の暮らしをしながら私は一人の女人を愛しました。結局、彼女は殺されました。」
「大業のためか。」
「私はその女人を捨てたうえに、私も捨てました。恐れながら大監にお尋ねします。大監は最も捨てたい物を捨てられますか?」
「捨てたい物?」
「そうです。現実です。大監は何不自由ない暮らしをされておられます。世の中をよくするために恵まれた今(現実)を捨てられるなら援助してください。兵は頂きません。」
その瞬間、門が開き使用人たちが殺されました。
「そちは思い切ったことを言うな。」
「よく言われます。」
「ふっふっふ。アイゴー。そちのような者とゆっくり酒も飲めない世の中が残念だ。決行が決まったら知らせたまえ。付近の四里の村で百二十人ほど動かせる。」
「感謝します大監。」
「三割は寄せ集めになってしまうが過半数は武装できる。」
「残りは私が手配します。時期が決まったら・・・。」
「罪人よ。聞くのだ。禁府の命令だ。表に出よ。」
部屋の外から武官がイ・ジェジュンに呼びかけました。
「何ごとですか?」
クァク・ハンソムはイ・ジェジュンに言いました。
「聞きたいのは私のほうだ。」
イ・ジェジュンが言うと矢が襖を貫き部屋の壁に刺さりました。クァク・ハンソムは外を伺おうとすると頬にかすり傷を負いました。イ・ジェジュンは立ち上がりました。
「包囲されました。何をなさるつもりですか?」
「勝てば王、負ければ賊と言う。いい夢を見たのだからいい所へ行くのだ。」
イ・ジェジュンは扉を開けて外に出ました。クァク・ハンソムも一緒について行き居ました。
「どういうことか見当がついた。おめでとう。望んでいた官職を得たか。」
イ・ジェジュンは裏切り者のチョ先生に言いました。
「まだ機会は残ってます。私に協力を・・・。」
チョ先生は言いかけました。
「黙らぬかーーー!」
クァク・ハンソムは厳しく怒鳴ると刀を抜きました。すぐに矢が飛んできてハンソムの胸に刺さりました。ハンソムは刀を落としてしまいました。
「どうしてこんなことを!」
ハンソムはチョ先生に言いました。
「ソン将軍は死んだ。」
「お前が将軍の名を口にするな!!!!」
「それでも私は我々の目的を達するつもりだ。方法は違っても結果は同じになる。」
「散った花がまた咲くと思うのか?」
「川の支流は多くともすべて海に流れ込むものだ。」
「縄をかけろ。」
武官は部下に命じました。
クァク・ハンソムは矢を折りました。
「大監。俺が道をつくります。」
クァク・ハンソムは刀を拾うと兵士を斬りました。チョ先生は表情を変えずにハンソムを見つめていました。クァク・ハンソムは何人か斬ったところで深手を負いました。イ・ジェジュンは衝撃を受け顔をくしゃくしゃにしました。
「武器を捨てろ。」
武官は再度命じました。
目の焦点が定まらなくなったハンソムは立ち上がると声を上げました。
「やぁーーーーっ!」
あの世とこの世の境。
「どこに行ってたの?」
ハンソムが慕っていた女官が現れました。
ハンソムは嬉しそうに女官を見つめました。
「お前こそどこにいた。ずいぶん捜したぞ。」
「去ったのはあなたよ。」
「もういいだろ。また会えたのだから。」
二人は歩み寄りました。
「ピマッコルの、チャン・ピルスン。」
「なぜ人の名前を聞くの?」
「他人じゃない。俺の妻だ。」
「よく言うわね。」
「行こう。贅沢させてやる。」
ハンソムは手を差し出しました。
「まず痩せたら?」
ピルスンはハンソムの手を取りました。
クァク・ハンソムとチャン・ピルスンは手を繋いで歩きました。ハンソムは何度も振り返りました。
「しきりに振り向くのね。そんなに未練があるの?」
「何か置き忘れてきた気がするんだ。」
「忘れてきたのではなく、残してきたと考えたら?」
山の中。
「ここで何をしている。」
オッポクは薪を背負って帰るところでした。
「見張りに決まってるでしょ。」
チョボクは答えました。
「また地面に座り込んで。立てよ。早くしろ。」
オッポクは手を差し出しました。チョボクはオッポクの手を繋ぎました。
「宣恵庁(ソネチョン)を燃やすのはいつ?」
「時期が来たら。」
「掌隷院(チャンネウォン)はいつ襲うの?両班はいつ殺すの?」
「時期が来たらだ・・・。黙って歩けよ。そのほうが迫力があるだろ?」
「いつまで待てというのよ!ご主人様のあくび一回で奴婢の人生はひっくり返るのに!」
「どうした。何があった。」
「何でもない。」
「だったらなぜ。」
「おじさん。私がいなくなったら?」
「いなくなる?市場にでも行くのか?」
「はぁ・・・。」
チョボクは鈍いオッポクにあきれて行きました。
「いなくなれば捜しい行くに決まってるだろ。」
夜。
テギルとテハは水原のイ・ジェジュンの屋敷の付近に着きました。テギルは自分の人相書きとテハの人相書きを破りました。テハは気配に気づいてテギルの手を引っ張り隠れました。
「こうも危険に遭遇するとはお前の一種の才能だな。」
テギルはテハに言いました。すぐ目の前に武官が死体を運んでいました。
「探らねば。」
テハは急いで行きました。テギルはテハを掴もうとしましたが素早さに逃してしまいました。
「運の悪い奴といると雷ばかり落ちると言うな。」
テギルはわざわざ危険に向かって行くテハに呆れ反対方向に行きました。
テハは塀を乗り越えイ・ジェジュンの屋敷に忍び込みました。すると庭にはクァク・ハンソムの遺体が置かれていました。テハは思わず放心してハンソムに近づきました。
「貴様何者だ。」
兵士はテハに襲い掛かってきました。
テハは人たちで数人の兵士を倒しました。
「ハンソム!なぜ目を開けない。なぜ目を開けないんだハンソム!答えぬかハンソム。なぜだ。ハンソム・・・・・・。許してくれハンソム。」
テハはハンソムの胸に手を置き涙をこぼしました。
テギルはテハに矢を向けている兵士を殴って倒しテハを守りました。
「知りたいわえじゃないがどういうことか聞かせてもらおう。さっさと座れ。」
テギルは兵士を脅して事情を聞きました。テハはいつまでも泣いていました。
テギルはテハの肩に優しく手を置こうとしてやめました。
「おい奴婢両班。もう行くぞ。ここで騒ぎを起こして逃げたらすぐに追っ手が来る。」
夜の妓楼。
「よくぞやってくれたな。はっはっはっは。めでたい日にどうしてそんな顔をしているのかね。」
イ・ギョンシクは沈痛な表情のチョ先生に言いました。
「大監。本当に力を貸してくれますか?」
「もちろんだ。今やそなた以上に信じられぬ者はいない。」
「どの程度ですか?」
「そなたが望んでいる以上の力で満足か?」
「私はこの国を変えたいのです。古いものを捨てて体制を刷新したい。」
「すでにそなたは捨てつつあるではないか。仲間や考え、やり方を捨てただろ?違うかね?」
イ・ジェジュンの屋敷。
ファン・チョルンとその部下が到着しました。生き残った兵士が二人組に襲われたと言いました。クァク・ハンソムの遺体がありませんでした。
「山のような男の遺体がありませんでした。」
「ハンソムだな。一番近い山は?死体を持ち去ったなら弔うはずだ。」
妓楼。
妓生は舞いチョ先生は酒を飲みました。
山の中。
「仮に弔おう。あとでいい場所に移してやれ。」
テギルはハンソムの遺体を小枝で覆いました。
「待っていてくれ。すぐ来る。」
テハはハンソムに言いました。
「チョ先生とかいう学者を知ってるか?やっぱりあいつか?刑曹の中にいた奴か?」
「チョ先生がどうしたというのだ。」
「兵士がチョ先生がイ・ギョンシクを捕らえに来たと。」
「チョ先生が?」
「学問をやってるやつらは自分の道が開けたとたんに計算高くなる。」
「それはありえぬ。チョ先生が・・・。」
「役人が着る上等な絹を着てたそうだ。」
「ありえぬ・・・。人としてできぬことだ。」
「人だからこそだ。獣だったら裏切ったりしない。」
妓楼。
「ほかでもない私が、すべて成し遂げてやる。誰も私を無視できぬようにな。私の名前で歴史を作るのだ!」
泥酔したチョ先生は我を見失っていました。イ・ギョンシクは冷静にチョ先生の心を把握していました。女将のチャンもジェニも乱れたチョ先生を冷たく見ていました。
山の中。
「世の中に信頼できる人間は一種類しかいない。死んだ奴だ。」
テギルはハンソムに最後の一枝をかぶせました。
「生きている者は信用できない。」
「それでそなたは幸せか?誰も信じられず、自分を信じずに生きて。」
テハはテギルに言いました。
「寝首をかかれるよりマシさ。」
「だから私はお前を信じられない。」
テハは立ち上がりました。
「おい。奴婢両班。次はどこへ行く?漢陽か?」
「そうだ。」
「信頼できる者を探しに行くんだろ?正気なら宮殿には行かないよな?」
「その計画だ。」
「世の中は十中八九思い通りにいかない。お前の計画も無駄と思って俺について来い。」
「ついて来たのはお前だ。私はお前についていかぬ。」
「言っただろ?俺は誰も信じないんだ。お前のこともな。」
「そっちは漢陽とは逆のはずだ。」
「商人宿で馬を借りる。このまま歩き続けたらあと二年はかかるぞ。」
ファン・チョルンたちはハンソムの遺体を見つけました。
「松脂が固まってない。すぐ近くにいるぞ。行くぞ。・・・・・・痕跡がない。地図をくれ。奴は焦っている。馬を借りたな?ふもとに商人宿がある。」
テギルとテハは馬で急ぎました。ファン・チョルンたちも馬に乗り追いかけました。
感想
何とここに来てハンソムがやられちゃいました!イ・ジェジュンとかいうイ・ス演じる温和そうな両班も捕まっちゃいました!すべての仲間を失ったテハ。傷ついてるけど仲間を取り戻したテギル。テギルはなぜかテハに味方します、オンニョンのためだけに。テギルもテハも人生詰んじゃってるのに、未来なんか無いのに・・・どうなるのでしょうね。チョ先生も粛清が終わったからもう用済みなんじゃないかしら?と思うのですが。続きが気になったので、石堅(ソッキョン)王子の未来だけチラ見しちゃいました。うん、そういうことか。推奴(チュノ)はやっぱり面白いです。人生が終わってる人たちが主人公というのですから。男くさい音楽も割といい感じ。
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