チュノ20話 -天恵の要塞
目次
あらすじ詳細
月岳山(ウォラクサン)の盗賊のアジト。テギルはチャッキに倒されました。
「ところであんた誰だ?」
チャッキはテギルが連れて来たテハに言いました。
「お前が先に名乗れ。」
テハはチャッキに言いました。
「初対面のくせに態度がデカいな。なかなか力強さがありそうな奴だ。」
「喧嘩の強さとは力の強さではない。」
テハが言うとチャッキはテハに襲い掛かりました。テハはチャッキの蹴りを軽々とかわしました。テギルは仰向けになりながら起き上がるとテハの拳を掴みました。
「寒いから中へ入ろう。」
「お前はまだオンニョンとかいう女を捜しているのか?」
チャッキはテギルに言いました。
「おいチャッキ。そんな女を見つけても金になるかよ。あの女ならとっくにほかの男のものになってるさ。兄貴。一勝負しないか?」
「お前がそういうなら嬉しいぞ。」
チャッキが言うとテギルは短い刀を構えました。
「テギル!」
「兄貴!」
チェ将軍とワンソンが嬉しそうに駆け寄りテギルに抱き着きました。
テギルはチェ将軍に髷留めを返しました。
小屋の中。
テハとオンニョンと石堅(ソッキョン)は小屋のような家の中に案内されました。
「ここを見て納得しました。まさに天恵の要塞です。」
テハはオンニョンに言いました。
「どれくらい滞在するのですか?」
「すぐに発ちます。」
「教えてもらえませんか?どうしてあの方と来たのか。」
「互いに誤解があってそれが解けました。」
山の中。
数人の両班の男たちが砦を見張っていました。
「ソン将軍が山賊の砦に行きました。」
私服の武人と思われる男は若い指揮官(演:チョン・ウヌ、新しい登場人物)に報告しました。
「安全なのか?」
若い男は言いました。
「山賊から家屋を与えられています。」
「滞在は数日か・・・。」
「ソン将軍と共に行動しては?」
別の男が指揮官に言いました。
「いや。万一の時は王孫だけ確保する。」
山賊の砦。
「居候を増やしやがって。」
チャッキはテギルに言いました。
「お布施でもしたと思えよ。」
テギルは返しました。
ソルファは馬に乗って月岳山(ウォラクサン)に向かっていました。
「ああ。南大門のケペッチョンに会ったか?」
チャッキはテギルに尋ねました。
「奴なら寺で念仏を唱えている。」
「そうだろう。そうだろう。あんな奴が俗世にいると世の中が悪くなる。チョン・ジホは?」
「チョン・ジホは、虫けらのように死んだ。」
「悪党は長生きするという諺があるが、そんなのは嘘だったな。残るは二人か?」
「いや。俺だけだ。兄貴は漢陽から逃げてきた。」
「なぜ俺が漢陽を去ったか・・・覚えてるかテギル。雪の降りしきる白さがまぶしい冬・・・。」
「夏だ。」
テギルが言うとチェ将軍とワンソンは笑いました。
「あ〜あ〜。そうだった。そうだった。」
チャッキの家。
「ここが兄貴の家?」
テギルは丸太や板を並べただけの壁のある家に案内されました。チェ将軍とワンソンも二人の後ろについて来ていました。
「テギルにやる部屋は向こうの納屋がいいか?」
「ここがいい。しばらく俺はここを使わせてもらう。」
「ちっ・・・相変わらず上下関係を虫するんだな。」
「俺たちの間に上下はないだろう。」
「チョン・ジホの犬だった頃お前に武術を教えたのは誰だ。誰のおかげで一人前になれた。」
「ワンソンや。拳ではチャッキ兄貴が朝鮮で一番だった。俺が習う前まではな。そして足技では南大門のケペッチョンが最強だった。もちろん俺が習うまではない。」
「えへへへへ。足技ってのはこういうものか?」
チャッキはテギルに足を繰り出しました。テギルはチャッキの脚を捌いて手で掴みやり返しました。
「恥ずかしいな。」
そう言いながらチャッキはまだ喧嘩を続けようとしました。
「兄貴。長旅で疲れてるからそろそろ休ませろ。」
「俺が棺桶を組み立てたからその中でゆっくり休め。」
チャッキはまたテギルに足を繰り出しました。
テギルはチャッキの足を受け止めました。
「おじさん!」
扉が開き、少女が入ってきました。
「おいでおいで。」
チャッキが両手を差し伸べると少女はテギルに抱き着きました。チェ将軍とワンソンは笑いました。
「会いたかった。おじさん。」
「誰だ?」
テギルは両班の家で少女が主人の女になろうとしていた時のことを思い出しました。
「皆おじさんに挨拶しに来たの。」
少女が示すと両班に仕えていたと思われる十人ほどの奴婢(奴隷)がテギルに頭を下げました。
「覚えておいででしょうか。」
「覚える必要があるか。」
「皆旦那さまに捕まりましたがここに来て暮らしています。」
「大げさだな。同じ境遇の者は一緒に暮らせばいい。」
テギルは奴婢たちに言いました。
「はじめはおじさんの悪口言ってたの。捕まえたり、逃がしたりするから。」
「とにかく我慢してここで暮らせ。逃げたらまた捕まえてやるからな。」
「捕まえたのに逃がす?」
ワンソンは不思議に思いました。
「受け入れたのは俺なのになぜ奴が感謝される。」
チャッキは感謝されているテギルが気に入りませんでした。
「テギル兄貴は隠れていい奴ぶってたんだな。」
ワンソンはチェ将軍に言いました。
「おじさん。宴を開かないの?」
少女はチャッキに言いました。
「宴会だと?なぜ俺が。」
「テギルおじさんが来たら開くってチャッキおじさん言ってたでしょ。」
「ああ!そうだった。テギルの耳を切って宴を開こうってな。」
ファンチョルンは黒装束の部下を引き連れて月岳山(ウォラクサン)の山中にいました。
「月岳山(ウォラクサン)の大きな峰は下峰、中峰、国師峰(ククサボン)です。名前のない峰まで入れると捜索は数か月に及びます。」
部下の男は地図を拡げて見せました。
「この辺りに寺はあるか?」
「徳周寺(トクチュサ、実在の寺)があります。」
「そこで話を聴けば山賊たちの居場所がわかる。頭(かしら=チャッキ)の所へ行くのは簡単だ。」
チャッキの家。
「俺の家の居候だから挨拶してもらおう。丁寧にな。」
チャッキはテハとオンニョンに言いました。
「お前はチャッキという盗賊か?」
テハはチャッキの言葉を無視して言いました。
「無礼な態度には無礼な扱いで返すぞ。梁上(ヤンサン)の君子という言葉もあるだろう。」
「皆盗賊なのか?」
「悪く言えば泥棒だ。もっと悪く言えば強盗だ。おい女。子どもを渡してみろ。かわいいな。」
「子ども好きなんですね。」
オンニョンはチャッキに石堅(ソッキョン)を渡しました。
「どれどれ。はっはっはっは。笑ってみろ。はっはっはっは。オジサンを見て笑う奴は少ないがお前はオジサンを見て笑ったな。この子の名前は何という?」
「名前は・・・テウォンと言います。」
オンニョンはテハを見てから言いました。
「テウォンか。テウォンだな。」
「太という字に遠いという字です。」
「漢字はよくわからん。ははははは。」
チャッキは石堅(ソッキョン)をあやしました。
夜になりました。
テギルとチェ将軍とワンソンは食卓を囲みました。
「いや〜兄貴と飯を食うとうまいな。」
ワンソンは喜びました。
「笑うな。聞き分けのない野郎に情が移るから笑うな。」
テギルは黙々と飯を食べました。
「兄貴。そろそろ話してくれよ。兄貴がファン・チョルンの策略にはまったのは置いといて、ソン・テハと一緒に来た理由は何なんだ?」
「黙って飯を食え。」
「五百両は無しか?」
「連れの夫人がオンニョンか?」
チェ将軍はテギルに言いました。
「おおあの似顔絵の女だろ。二人が結婚したって話は本当だったんだな。」
ワンソンはテギルの気持ちを無視して言いました。
「飯の時には他の話はせず飯の話だけにしろ。」
テギルは匙を乱暴に茶碗の中に投げました。
「ソン・テハには関わるな。」
テハはテギルに言いました。
「関わる気はない。奴らはここに残って俺らは俺らの道を行く。」
「推奴(チュノ)師の他に俺たちにどんな道が?」
ワンソンは飯を頬張りながら言いました。
「利川(イチョン)の家と土地のことは?」
テギルはチェ将軍に言いました。
「話す暇もなかった。」
「利川(イチョン)って?教えてくれよ。なんで俺だけに隠すんだよ!」
ワンソンは拗ねました。
「ソルファはどうした。」
「知らん。どこかへ行っただろう。」
ソルファは野犬の吠える山中を歩いていました。
「体はどうだ?砦から出られそうか?」
テギルは二人に言いました。
「俺は大丈夫だがワンソンはろくに歩けない。」
「あっあっあ〜。」
テギルはワンソンの足に触れるとワンソンは痛くて声を出しました。
「いつもお前だ。三週間前の怪我をまだ治せないのか。」
「三週間ですぐ治るとでも?」
「ワンソン。宴では酒を飲もうと考えるな。肉を食え。脂身の多い肉だぞ。」
「わかった。でもチャッキが宴なんか開くか?」
「チャッキは子どもの言うことはよく聞くんだ。妻が子供を産んで死んだ。でなきゃ鬼になってただろ。」
「へっへっへ。飯は食ったか?」
チャッキは石堅(ソッキョン)に言いました。
「うん。」
「踊りを教えてやろうか?それそれ。よいよい。お前がどこで何をしていたか知らぬが他人の家と思いゆっくりしろ。」
チャッキはテハに言いました。
「すぐに発つつもりだ。」
「出入りするときは許可を取れ。矢か銃弾が飛んでくるかも知れんぞ。へへへへ。おじさんと外で一緒に遊ぼうか?」
「あの・・・子どもを・・・。」
オンニョンはチャッキに促しました。
「そうだった。そうだった。」
チャッキはおとなしく石堅(ソッキョン)を返して家を出て行きました。
「王孫様の名前は・・・。」
「旦那様の太と私の遠の字を使いました。」
「王孫様のお名前は桧(フェ、ひのき)という字です。」
「王族のお名前は一文字なんですね。」
「名前に使われた字は他の誰にも使えないので、不便を減らすために一字になったのです。」
「国王の名前すら誰も呼ぶことができません。誰かが覚えてくれないと民の名前も無いのと同じです。どちらも同じことですね。王孫様。私の名前はヘウォンです。そして昔はオンニョンでした。」
「あなたの名前は重要ではありません。ヘウォンであれ、オンニョンであれ、あなたは私の妻です。」
「今の言葉を聴いて夫人(妻)になったと実感しました。」
「私たちが、子供を授かったら、その時は名前をテウォンにしましょう。」
夜の銃使いのオッポクが仕える両班の家の厨房。
「俺のご主人様を急いで殺す必要があったのか?」
クッポンはオッポクに言いました。
「すまない。一日も長生きさせたくなかった。」
「ありがとう。」
「何が?」
「何度も殺そうと思ったけど勇気が出なくて・・・。俺と関わってない両班は殺せたがご主人様は顔見知りだから。」
「両班は俺たちのことを人として見ているか?」
「パンチャクは・・・とても怖がってたぞ。」
「逃がしてやりたいが推奴(チュノ)師の手の届かない所へ逃がすのは無理だ。」
オッポクが言うと主人の部屋から笑い声が聞こえました。
「いるか?」
両班の男は奴婢を呼びました。
「はい旦那様。」
奴婢の男は正座して主人の部屋の障子を開けました。
「私の友人が突然世を去った。」
両班の男は一人手酌をして嘆いていました。
「はいナウリ。」
「我が身のために賊を警戒せねばならん。」
「はいナウリ!」
奴婢はますます声を大きくして答えました。
奴婢の男は自分たちの部屋に戻りました。
「友人が殺されたから不安なんだろう。今日から交代でご主人様をお守りする。」
「そう命じられたのか?」
「いいや。ご主人様が怯えてらっしゃるからお守りするんだよ。お前たちが行け。オッポクはどこだ?」
「ケノムおじさんのところへ縄をないに・・・。」
「なぜ奴が毎日行く?戻ったら見張りをさせろ!」
オッポクたちは集まっていました。
「主君。大丈夫でしょうか。そろそろ捕盗庁(ポドチョン)が動き出すのでは?」
オッポクはあのお方(若い指導者)に言いました。
「捕盗庁(ポドチョン)がどうやってこの広い漢陽から我々を捜すのです?」
あのお方は言いました。
「検問が増えればやりにくくなります。」
「そうなれば捕盗庁(ポドチョン)も襲撃します。」
「もし捕まりそうになったら隠れる場所が必要です。」
「俺もそう思います。ギユンに聞いたところによると逃げた奴婢が隠れる場所があって・・・。」
ケノムは言いました。
「おじさん。逃げたら誰が戦うと思いますか?巨事のために皆が強い心を持たなければいけません。」
あのお方が言いました。
オ捕校(ポギョ)はパン画伯を連れまわしてテギルについて尋ねていました。画伯は連絡は一切ないと答えました。
奴婢たちの集会所。
詐欺師のウォン・ギユンが戻り、奴婢たちに銃が渡されました。
「これで全部ですか?二十丁以上かえる額を渡しました。」
あのお方はギユンに言いました。
「材料費が値上がりした。毎晩銃を持った盗賊が両班を殺してると噂になってる。鍛冶師が怯えてるんだ。むやみに銃を作って捕まりたくないからな。それで銃の値段が三倍だ。」
ギユンは答えました。
「それにしても、あと二丁は買えたはずだ。」
オッポクは言いました。
「だったらお前らが買ってこい。」
ギユンは銃を回収しようとしました。
「すみません兄貴。私が相場に疎くなっていました。」
あのお方は謝りました。
「怒らないで銃を渡してやれ。」
ケノムも言うとギユンは素直に銃を差し出しました。
「オッポク兄貴は銃の指導をしてください。もうすぐ漢陽と京畿一体の責任者も来ます。」
あのお方は言いました。
「え?」
「開戦です。宣恵庁(ソネチョン)に火をつけてはじめます。」
「本当に始めるんですか?」
「はい。本当の戦いを。」
朝の月岳山(ウォラクサン)。
山賊はソルファを驚かしました。
「お兄さんたちは山賊なの?行こう!案内して!」
山賊の砦。
オンニョンは寒い中、家の外で家事をしていました。
テギルはオンニョンを遠くから愛おしそうに見つめていました。
ソルファがやって来ました。
オンニョンはテギルに気が付き目をそらしました。
ソルファはテギルに駆け寄り抱き着きました。オンニョンはテギルにも特別な女性がいると思い思わず切ない気持ちになりました。テギルはオンニョンを見つめるとソルファを抱きました。オンニョンは緊張した面持ちになりテギルを見つめると、納得したように口元を緩めて去りました。
「若い男が大勢いると聞いて急いで来たんだろ。ついて来い。」
オンニョンはチェ将軍とワンソンと再会し同じ部屋で過ごしました。
「やぁ。書堂(ソダン)で飼う犬は三年ほどで字を書くと言うけどここまで来るとはお前も一人前の推奴(チュノ)師だな。」
ワンソンはソルファに言いました。
「二人とも死んだと思ってたわ。お兄様。漢陽へは行かないで。捕校(ポギョ)や軍人がお兄様を捕まえようと見張ってるわ。」
「なんで俺たちを?」
ワンソンは言いました。
「ソン・テハが死刑にされて・・・。」
「しーっ。」
テギルはソルファを黙らせました。
「何だって?お前さんテハが死刑にと言ったな?そう聞こえたぞ。」
チェ将軍は事態が良くないことを感じ取りました。
「心配するな。漢陽に行かなければ済むことだ。」
テギルは言いました。
「漢陽に行かずに済むことか?」
「そうだ。問題ない。ワンソン。飯にしよう。」
テギルは矢を飛ばしました。
「私がやる!」
ソルファは家から出ました。するとチャッキがやって来ました。
「これはまた、あんた誰だ?」
「お兄さんこそ誰よ。」
「・・・ったく。盗賊の砦に入ってきて主人を知らないとは!」
「ああ!お兄様に殴られて気絶したチャッキお兄さんね!」
ソルファが言うとチャッキは衝撃を受けました。
「そうだ。そうだ。テギルー!でてこいー!今日はどちらかが死ぬぞーー!でてこーーい!」
「平穏に見えてここは不安が多いですね。」
オンニョンは石堅(ソッキョン)を膝に抱えて食事を食べさせていました。
「山賊の砦ですから。」
テハも食事を摂っていました。
「はじめは心配しましたがいい人たちのようです。」
「最初から道を外れていた者も、流れてきた者もいるでしょう。」
「いずれここも官軍に襲われるでしょうね。」
「世の中に一生隠れられる場所などありません。」
「同志を失って、大業を成すのも難しいでしょう。逃げるのも無理があります。」
「しばらくここで一人で過ごせますか?」
「発つのですか?」
「そうです。」
「私が重荷になるのですね。」
「負担なのではなく危険だからです。」
「私はどうすれば?ここで待つだけですか?それとも他にすることが?」
「私は王孫様に隠れて生きていて欲しくはありません。意志を持ち勇敢に生きて欲しいです。」
「ならば聞いていいですか?清国では何をしていましたか?前の邸下はどのようなお考えをお持ちだったのか私も知るべきです。」
拷問所
チョ先生が名前を書いた両班たちが縄で縛られ連れてこられました。
「顔を見なさい。」
イ・ギョンシクはチョ先生に罪人の顔を確かめさせました。チョ先生は官職を得て深緑の官服を着ていました。
「そなたがどうして・・・。」
罪人は言いました。
「全員間違いありません。」
チョ先生は答えました。
「投獄しろ。まだ終わっていない。水原(スウォン)にも寄ってもらおう。ふっふっふっふ。」
山賊の砦。
「ここで楽しく暮らせ。若い男も大勢いるから縁を結べ。」
テギルはソルファに言いました。
「お兄様もここに残るの?」
「俺は残る必要は無い。ここを出る。」
「どこに?」
「知る必要はない。」
「私もお兄様と一緒に行くわ。男の人についていくのは、初めてよ。」
「おい。もうやめろ。」
「どうしてよ。見てよ。私が仕立てたの。」
ソルファは手縫いの紫の服を見せました。
「しまえ。」
「かっこいいのに。あ・・・逃亡した奴婢だ。川で弓を射た時の。」
ソルファはオンニョンと連れ添っているテハを指さしました。
「早く家に入れ。」
「じゃあ隣にいる女性がオンニョン?」
オンニョンは先に行くとテハはテギルに近づいてきました。
「話がある。」
「俺たちはそんな仲か?」
「少し歩こう。女たちは宴の準備で忙しそうだ。」
テハはテギルを誘いました。
オンニョンは石堅(ソッキョン)を抱きながら調理場で挨拶して回りました。村の女たちは温かくオンニョンを迎えました。
「使用人なのに優雅ね。」
ソルファは両班として振舞っているオンニョンを観察しました。
村のほとり。
「今日、時をみて出発する。」
テハはテギルに言いました。
「憎らしいことばかり言う奴だな。静かになるまでここにいろ。」
「私一人発つ。一生逃げ隠れできない。決着をつける。」
「名誉ある最期を遂げると言ってた奴がどうした。」
「死は避けるべきものではないと学んだのだ。残った人を信じて死ぬのは無駄死にではない。」
「ケツの穴がムズムズするわけだ。」
「やめてくれ。計画通りにいけば夫人(妻)と王孫様が楽になれる。」
「なぜお前らが楽になれる計画を関係の無い俺に話す?」
「お前も私と同じく夫人(プイン)の幸せを望んでいる。ここの頭領とは親しいようだが夫人と王孫様を頼みたい。信じてる。」
「おい。奴婢両班。なぜあの日俺を殺さなかった。」
「私は今まで一人として民を殺したことはない。」
テハは行きました。
ソルファはオンニョンを観察して優雅な身のこなしに見とれていました。オンニョンはソルファを見つけて微笑み手招きしました。ソルファは緊張した面持ちで誘いに乗りました。
月岳山(ウォラクサン)の山中(さんちゅう)。
ファン・チョルンとその部下は山賊を殺しました。
「貴様らの頭(かしら)はチャッキという者か。」
ファン・チョルンの部下は山賊に尋問しました。
「ええ。そうです。その通りです。でも俺たちは何も知りません。命令されただけです。」
リーダー格の山賊は正座して震えました。
「チャッキはどこにいる。」
「俺が話したとお頭にバレたら・・・殺されます。」
「心配するな。チャッキは我々が始末する。お前には褒美を与える。」
「あの。あっちの霊峰に・・・。」
「霊峰とは国師峰(ククサボン)か。」
「その通りでございます。褒美は?」
「月岳山(ウォラクサン)の霊峰です。」
部下はファン・チョルンに報告しました。
ファン・チョルンたちは山賊を殺して行きました。
山賊の砦。
「一度見たことがあるの。」
オンニョンは食事の支度を手伝いながらソルファに話しかけました。
「私を?」
「ええ。雲住寺(ウンジュサ)の下の市場で生地を選んでいたわ。若様のお嫁さんはかわいい人だなと。」
「そうなの。そちらは?あなたは・・・オンニョンさん?」
「ええ。そうです。」
ワンソンは足を引きずりながら宴の準備をしている女たちを物色しに行きました。若い女が餅をつきながらワンソンに微笑みました。
「大変そうですね。手伝いましょうか?こうして、こう・・・。はぁ。はぁ。はぁはぁはぁ。」
ワンソンはまだ少女ともいえる年ごろの女の肩を抱きながら餅をついてあげました。
「よしよし。手伝ってるのか?偉いな。やっはっはっは。俺に似てるな。」
チャッキは石堅(ソッキョン)を抱き上げました。
オンニョンとソルファは笑いました。
ファン・チョルンたちは砦に向かって走っていました。
テギルは沢のほとりで考えていました。
テハは家の中でヨンゴルテから賜った大剣を見つめて覚悟を決めていました。
感想
テギルとチェ将軍とワンソンそしてソルファ。テハとオンニョンがひとつの村に集まりました。チャッキという力自慢の山賊の頭を演じているのはアン・ギルカンという「善徳女王」や「大風水」などで武人役や僧侶を演じ臭い役で見かける濃いキャラの俳優さんですね。テハ(オ・ジホ演)はドラマの中で妻と王孫を守るために再び命を懸けることを決めました。どんな方法か考えがあるのかわかりませんが…テハにはヨンゴルテという敵でありライバルであり刀で分かりあえた友人で、ヨンゴルテは石堅(ソッキョン)の身柄を欲しがっているので石堅(ソッキョン)とともにヨンゴルテと合流し清に行くという選択肢もあると思います。でもドラマの中で言ってたセリフからはそうではない感じがしたのでベストな道じゃなくて一か八かの賭けのような大胆な行動に出るかもしれません。
ソルファが漏らしたのかパン画伯がオ捕校(ポギョ)に密告してオ捕校(ポギョ)がファン・チョルンに月岳山(ウォラクサン)のことを教えたために、あの砦の村は次回で酷いことになりそうな予感。
チャッキの子分みたいな山賊は褒美と聞いてすぐにチャッキを裏切るし、賊の忠誠心なんてその程度のものなのかも!?
来週はクァク・ハンソムというテハにとっては心強い子分と イ・ジェジュン(チョ・ソンハ演)が出てくるわけですが、予告を見てたら大ピンチみたいでハラハラしそうです。
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