大王世宗(テワンセジョン)(全86話)第43話あらすじ 王の敵を一掃せよ
戊戌 西暦1418年11月18年 兵曹判参 カン・サンインは処刑されました。
チョ・マルセンは上王太宗の命で謀反の罪を着せたシム・オンを捕まえるためには世宗の承認が必要だと世宗に迫りました。
元敬王后は命だけはお助けをと上王に懇願しました。「あなたは息子にも息子の妻の胸にも杭を打たせるのですか。」
パク・ウンは世宗に裁可を求めました。イ・スは王様に無礼ではないかとマルセンに言いました。
チョ・マルセン「逆徒をかばうのはよせ、王様の裁可がひとつ増えるだけだ。」
世宗は硯に置いた筆をとり執行書に署名をして力なく政務室から立ち去りました。パク・ウンは「裪(ド)」と書かれた世宗の名の上に玉璽を押しました。
朱のチマに水色に金の刺繍を施した絹を羽織った昭憲王后は世宗にいいました。
「裁可されたのですか。まさか、そのようなことは・・・王様は父の忠心を誰よりもご存じのはずです。父が反逆をするなどありません。」
その様子を見守っていたイ・スは昭憲王后の言葉をきいて心で泣きました。
「まさか・・・裁可を・・・したのですか。そうなのですね。」
「中宮中殿を宮殿へ」
世宗は妻の問に答えることがつらくて女官を中殿に送るように命じました。
「いいえ、もはや王宮は私の家ではありません。」
「中殿(チュンジャン)・・・」
世宗は傷ついた眼差しを妻に向けました。
「私を、王室の名簿から永遠に消してください。」
涙で目を赤く腫らした昭憲王后はしっかりと世宗を見つめていいました。
「もとより私は自分が王后にふさわしいと思たことはありません。いいえ、私は国母の器ではありません。ですから私を王様の手で廃位してください。」
イ・スは目に涙をためていました。
「その代わり、私の父の命を奪わないでください。私が王后でなければ父は王様の義父でも外戚でもありません。逆徒にもなりえません。ですから・・・」
そこにチョ・マルセンとパク・ウンが世宗の裁可を得た執行書簡を持って政務室から出てきました。
イ・スはすぐに察して心を痛めました。
「父を助けてください。」
昭憲王后は世宗に哀願しました。
「中宮殿へ連れていけ。すぐにだ。」
世宗は妻の命乞いに答えず女官に命じました。
昭憲王后は泣きながら夫の命令に従いました。
その様子をイ・ス、マルセンとウンも見守っていました。
自分の部屋に帰った昭憲王后はただ涙を流していました。
パク・ウン「先に先手を打つ?」
チョ・マルセン「ご自身の身を守るためです。」
パク・ウン「中殿(チュンジョン)は私に何もできまい。」
チョ・マルセン「未来の王の母ですぞ。息子に怒りを教え込むかもしれません。」
パク・ウン「私は上王様の命に従ったまでだ。何よりも裁可した王様に責任がある。」
チョ・マルセン「しかし指揮したのは左議政大監です。王位に就いても上王に逆らうのは難しいものです。でも母の恨みを晴らしてやりたい。そうなれば矛先は誰に向きますか。」
パク・ウンは動揺し、目を大きく開いて口をへの字に結びました。
パク・ウン「王后を廃妃(ペビ)にさせるのか?」
チョ・マルセン「まずは大義名分が必要です。」
パク・ウン「名分ですか・・・」
ウンは次の王の復讐から自分を守る方法があることをマルセンに教えられました。
昭憲王后の女官イソンは涙を流している主人に話かけました。
「領議政様はどうなるのですか。助かる方法はあるのですか。」
目を赤く晴らした昭憲王后は言いました。
「助かる方法があったなら、殿下は裁可などされなかったはずだ。」
「このままでいいのですか、何とかしなければ。」
イソンは主の不幸にいたたまれずに言いました。
「私を明国に行かせてください。」
遼東では集賢殿の博士チェ・マルリがシム・オンと敬寧君に今夜は泊まるところがないので野営になりますといいました。
敬寧君「帰国するのに浮かない顔ですね。」
元気のない表情をしているチェ・マルリ。
敬寧君「皇帝の任命書も受け取ったし、明国の書物も購入したのに。」
チェ・マルリは二人に深々とおじぎをしてため息をつきながら去りました。
「永楽大典のことか。閲覧を申し込んで断られたそうだな。」
マルリのいる幕舎にシム・オンが入ってきました。
マルリ「永楽大典は皇帝が即位してから二千人の学者が編纂した百科事典です。天文、地理、歴史、政治、医学や祭礼に至るまで網羅しています。」
シム・オン「うらやましいか。」
マルリ「領土の広さや物の豊かさよりもうらやましいです、はるかに。」
目に涙を貯めながら悔しがるマルリをシム・オンは優しく共感しました。
シム・オン「私はそなたがうらやましい。」
マルリ「大監(テガム)」
シム・オン「私らの世代は国が亡びるのを目にしてきた。法は崩れ秩序や倫理も乱れた。」
マルリ「高麗のことですか。」
チェ・マルリは学究心をもちながらもわが子を慰める父を見るような眼差しでシム・オンを見つめました。
シム・オン「朝鮮が建国されても混乱は続いた。"強い国を救いたい"上王様が刀を血で濡らして実現しようとした夢だ。思えば、その姿を見て我らも同じ夢を見たのだ。だが現王の時代に生きるそなたたちは別の夢を見ている。揺るがぬ国を作る時期を過ぎて文化的にも豊かな国を作りたいと夢見ている。王様が集賢殿を作ったのもその夢のためだ。」
マルリ「大監」
マルリはシムの息子である世宗が処刑に頼らない豊かな国を作ろうとしていることを理解していることに感動しました。
シム・オン「喜んで私が若い世代を支えよう。きっと集賢殿なら永楽大典よりも優れた百科事典が作れるはずだ。」
マルリ「なんだか力が湧いてきました。」
世宗の義父の慰めに喜び力が湧いたチェ・マルリの声は力強くなりました。
シム・オン「では野営の準備を手伝ってくれるか。今君がするべき重要任務だ。はっはっはっは。」
シム・オンのところに明の使臣がやってきてシムに同行するといいました。明の宦官ファン・オムは「別の問題が起きたのです」といいました。
明の学士ヨ・ジンは宗貞守に秘密を白状するように拷問されていました。
ヨ・ジンの失踪は倭寇に拉致された可能性が高いとシム・オンは明の宦官にいいました。宦官は朝鮮と協力して学士の行方を捜したいという皇帝の命令があったいいました。
義州でシム・オンを捕らえる上王の命令書をパク・ウンは部下に渡しました。集賢殿にいる世宗のところにキム・ジョンソが来て忠誠と引き換えに次は誰が命を落とすのかと詰め寄りました。
キム・ジョンソ「殿下いつまで傍観するおつもりですか。」
上王「傍観か、実にうまい言い方だ。」
蘭の絵を描きながら太宗はマルセンの報告をききました。
元敬王后は昭憲王后が寝込んでいる知らせをきいて見舞いの使いを出すことにしました。
昭憲王后は男装させたイソンを明に送ることにしました。イソンは馬に乗って従者を2名連れて旅立ちました。その様子を元敬王后の尚宮が見ていたので昭憲王后は元敬王后に呼び出されました。上王派の武官はその様子をきいていました。元敬王后は義理の娘の行いに浅はかだと怒りました。
すぐにイソンの人相描きが作られました。パク・ウンは礼曹判書のホ・ジョに伝えてイソンが国境を越える前に捕まえろと命令しました。隣にチェ・マルリも同席していました。ホ・ジョはすぐにイソンを捕らえるように指示しました。キム・ジョンソも礼判の指示をきいていました。
船着き場でイソンは明の国のふりをして船に乗り込もうとしました。そこを兵士に止められましたが、「産まれそうだ」というと明の人たちがイソンの味方をしたので捕まえることはできませんでした。イソンはそこに牌を落としていきました。礼曹判書のホ・ジョは我々が明に入ってでも捕まえるといったらキム・ジョンソは国境を越えたら政治問題になるといいました。
イソンはシム・オンに知らせを伝えることができました。敬寧君もその様子をきいていました。
敬寧君「大監、逃げるというのなら私は知らなかったふりをします。」
チェ・マルリ「イボゲ!(あんた!一国の宰相に何もかも捨てさせて逃げろというのですか。)」
シム・オンは黙って部屋を出ていきました。チェ・マルリは勅使殿でシム・オンを亡命させたいと中国の使臣にお願いしました(恥をかかない逃亡の仕方です)。シム・オンはいかなる学者にもひけをとらない逸材です、どうか亡命を認めてくださいと。使臣は皇帝に伝えてみようといいました。そこにシム・オンがやってきて、何もきかなかったことにしてくれと頼みました。朝鮮の名誉を傷つけるつもりかとシム・オンはチェ・マルリを叱りました。
チェ・マルリ「亡命してください、不当な命令です、政治亡命をして戦ってください、今の法は悪法としかいえません大監。」
世宗は集賢殿で夜遅くまで書物を読みふけっていました。その様子を妻の昭憲王后は見つめていました。
同じころ、上王の太宗は金の絹糸で装飾が施された弓を引いていました。太宗はシム・オンが兵権と人事権を含む全権を世宗に譲位するべきだといっていたことを思い出していました。シム・オンもまたそのことを思い出して老いた義父の心配を上王様は不忠の心をみなしたのですかと心で上王に問いかけていました。
礼曹判書のホ・ジョは国境を越えてでもイソンを捕まえる判断をしました。
チェ・マルリはシム・オンに帰国しないように説得しました。
シム・オン「悪法なら破ってもよいのか?私は朝鮮の領議政だ。その悪法を作った責任の一端があるはずだ。」
マルリ「ハオナー(しかし・・・)」
チェ・マルリ「私が帰国せねば政治的な粛清は続くだろう。反対せずに手伝ってくれ。一国の宰相として。そして奏請使(チュチョンサ)として。この手で王様に任命書を届けねばならない。この役目が最後になるかもしれない。無事に務めたいのだ。」
チェ・マルリと敬寧君、イソンたちはシム・オンの覚悟に何も言えませんでした。しばらくの沈黙が続いたあと、明の勅使がやってきました。シム・オンは勅使に深々と礼をしたあと、勅使の朝鮮への訪問をあと一日延ばしてもらえないかといいました。
明の勅使「あなたは自分の身の安全よりも国の名誉を優先するのですか。シム領議政殿、あなたは誰が何と言おうとも朝鮮の忠臣です。」
国境(か義州の)役所に牢の牛車が待っていました。
キム・ジョンソ「遠い道のりお疲れさまでした。ここからは私がお供致します。」
歯を食いしばる敬寧君。
シム・オン「では面倒をかけるとしよう。」
中宮殿の女官イソンも捕まってしまいました。
「自白をさせて早々に終わらせよ。」
パク・ウンは上王に深々と頭を下げました。
シム・オンはため息をつき、キム・ジョンソにご苦労だったなと労いました。シム・オンの妻アン氏は今にも倒れそうでした。イ・チョンやイ・ス、ユン・フェたちもみなシム・オンを出迎え見守っていました。
シム・オン「私で最後と約束してくればすべてを認めて罰を受けよう。」
パク・ウン「認めようが認めまいが何も変わらない。そなたの反逆は故カン・サンインの証言で十分だ。
シム・オン「これ以上の粛清は許せない。終わらせてくれ。」
パク・ウン「それはできない。逆徒の逃亡を助けた者も処罰せねばならぬ。」
シム・オン「まさか・・・」
パク・ウン「娘の育て方を間違えたな。」
世宗「王后の廃位を?」
世宗と重臣が集まる前にイソンが連れてこられました。パク・ウンは王后の廃位を求めました。世宗は拳を握りしめました。
礼曹判書のホ・ジョは廃位の音頭をとりました。義禁府のユ・ジョンヒョン、パク・ウンたちもそれに続きました。
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ほんと腹立たしい回ですね!パク・ウンむかつくーーーー。チェ・マルリは冷酷で残忍!もとはといえば太宗のせいです!それにしてもユ・ジョンヒョンあんた中立じゃなかったの?いつの間に上王の忠臣だったのですか、領議政のときは中立のふりしてただけなんですね。太宗の犬。
前は世宗にとって嫌なやつだった敬寧君はいい味でてましたね。くっと悔しそうに唇をかむ演技、見てました?
太宗は譲位したのに世宗の味方を殺しまくって好き勝手にやりたい放題ですね。
こんな場面を見てたら太宗に倣う首陽大君と世宗派のキム・ジョンソが将来対立するのは明らかですね。
それにしても、この太宗や首陽大君の考え方は今の朝鮮にも受け継がれてますね。難癖つけて政敵を殺すやり方はもはや未来永劫朝鮮半島の文化なのでしょうか。
今同時に見ています「王と妃」こちらは首陽大君とインス大妃の時代です。今ちょうど首陽大君の偽善ぶりに辟易しているところです(笑)
ドラマではすっかり悪役の太宗ですが、ほんとうはどんな人だったのでしょうね。もしかしたらシム・オンは権力におごって威張ってたのかもしれないし。カン・サンインもシムの忠実なしもべだったのかもね。太宗が世宗の邪魔になりそうな権力者を排して世宗が政治を行いやすくなったかもしれないし、ね。数々の改革をしてきた太宗からみると粛清された官僚たちは金と権力を求めて悪さするだけの卑しいだけの人間だったのかもしれないね。