チャン・ヨンシル~伝説の科学者~24話「国のための決断」のあらすじ詳細とネタバレ感想
最終回のあらすじ
世宗は玉漏のある部屋にヨンシルを呼び、満たされてはこぼれる器に「あの水のように自分を打ち捨てろ」という意味が込められていることを伝えました。ヨンシルは自分が犠牲になることで朝鮮の文字を守り民を守れる聖君となれるのだと言いました。世宗はヨンシルを見捨てることができませんでした。「出世させてもらえず安輿(アニョ)に細工した。そなたが愚かな理由を考えることはさぞ難しかっただろう。余はようやくあの欹器(キギ)の謎が解けた。あの水のように打ち捨てろという意味だ。今までどうしてわからなかったのだろう。いつか余がそなたを見捨てなければならぬということを。」
「私はまさか謀反の罪で見捨てられることになるとは思いませんでした。欹器(キギ)を作った頃の私はまさに自分のことを欹器(キギ)のようだと思っていました。でも免賤(ミョンチョン、身分を開放)してほしいと人々に求められて気が付きました。私は器にはなれぬと。私はこぼれる水なのです。しかし殿下は民を受け入れる欹器(キギ)のようなお方です。殿下。どうか私を見捨てて民のための器となってください。」
「それはできない。そなたを捨てるなどできるはずがない。」
「まずは私を捨てねばなりません。そうすれば民を守れます。これでよいのです。私が犠牲にしなければ朝鮮の民のための文字は守れません。」
「私はそなたを見捨てられぬ。」
「殿下は見捨てなければならないのです。それでこそ聖君の道を歩めるのです。国を守るためには逆徒を許してはなりみあせん。殿下が聖君になりたくないなら話は別です。私だって生きたいのです。殿下のお命を奪おうとしてもチャン・ヨンシル生かしておくほど大切だと皆の前で言ってほしいです。ですが殿下はそんなことをなさってはいけません。命を懸けて作った文字と守ってきた民をチャン・ヨンシルなどのためにどうしてあきらめられましょうか。私を犠牲にせずして朝鮮独自の文字は作れません。」
「私に・・・つらい選択をしろと?」
「そうしてください。朝鮮のためにチャン・ヨンシルの犠牲があったと胸に刻んでください。これ以上私がつらくならないように早く処刑してください。無慈悲な仕打ちを受ければ私は未練も残りません。」
「できぬ。そなたを突き放せるわけがない。私を苦しませるようなことを申すな。罪なき民の命など奪えるものか。そなたも民なのだ。ゆえにこれ以上私を苦しめるようなことは言う出ない。」
気持ちが高ぶった世宗は部屋を出ていきました。
「殿下。殿下・・・。」
領議政ファン・ヒは世宗にヨンシルを処刑するように上奏しました。
「領相(ヨンサン、領議政)。余はヨンシルを救うことしか考えておらぬ。それがどうしてヨンシルに処刑を命じられようか。」
世宗はファン・ヒに苦しい胸中を明かしました。
両班の家。
高官はチョ・グァンの遺した上疏(じょうそ、上奏)を部下に読み上げさせました。
「奴婢チャン・ヨンシルによる格物の記録を後世に残すべきではない。チャン・ヨンシルの記録は新たな格物を生むかもしれない。私は性理学の掟を破るような格物が二度とこの世に現われぬようにチャン・ヨンシルの記録を消さねばならない。」
「チェ・マルリを利用しましょう。朝鮮への忠義に厚いので協力してくれるかと。」
部下のひとりが高官に言いました。
王宮。
大提学(テジェハク)チョ・マルセンはヨンシルのさらし首と記録の削除を世宗に上奏しました。チェ・マルリも同じように訴えました。
両班の家。
イ・スンジ(李純之)とチョン・インジは反対派に王を弾劾し他にも格物の議論ができないようにする意図があるのだろうと話し合いました。イ・スンジは「地は太陽のまわりを回っていると」と考える学者がほかにもいたはずだがどこにも記録がないので議論できないと打ち明けました。チョン・インジも過去の記録がないと一から研究しなければならなくなりあきらめることも出るだろうと言いました。イ・スンジは全力で阻止する覚悟を決めました。
ヨンシルは牢屋の中で図面を書いていました。
「私が書いたこの帳面も焼かれてしまうのだろうな。あとは歯車の動力を考えるだけなのに。簡単だと思っていたけど意外と難しいようだ。もうじきあの世へ行くのか・・・。あ・・・来てくれましたか。これを。玉漏(オンヌ)を動かす技術を整理しておきました。確信があるのに証明できなかった格物の原理も記してあります。私が死んでも研究を続けてください。そうしていただければ格物は後世に受け継がれます。もしお時間がありましたらいくつか問題点について話し合いませんか?」
ヨンシルは面会に来たイ・スンジに帳面を渡しました。
「もちろんです。」
イ・スンジは涙をぬぐいました。
ヨンシルとイ・スンジは牢を挟んで座り込みしばらく話し合いました。
夜になり世宗は夜空を見上げていました。そこに世子(のちの文宗)のイ・ヒャンが来ました。
「殿下も星をご覧ですか?」
「久しぶりに北斗七星を見ていたのだ。」
「北斗七星の中心にある紫微垣(シビエン)の周りには二十八宿の星座と大臣らを表す太微垣(テビエン)があります。ゆえにすべての星は王を表す北極星を守っています。北極星が輝いているのでこれからも殿下と朝鮮の王室は安泰でしょう。」
「ほんとうにそう信じているのか?」
「いいえ。」
「ではなぜそのようなことを言ったのだ?」
「昔からの言い伝えです。あの星のように王室が尊重されればよいと思ったのです。」
「そうだ。支配体制を固めようという支配勢力の意志と欲望が込められている。自身を天が定めたと信じるために。ヒャンや。たかが星に威厳を持たせたうえで我々は統治を行うのだ。私は星の威厳が必要な王で、ヨンシルのような格物家は星に頼らない。星を自由にしてやらないと。チャン・ヨンシルは星なのだ。私が抱きかかえられぬ星。私は政治に携わる者だ。王ゆえに逆徒を罰さねばならぬ。」
世宗は悲しそうに目に涙を溜めました。
「殿下・・・・・・。」
世宗は大臣らを前にヨンシルの百叩きの刑とヨンシルの記録に手を付けないように命じました。
「チャン・ヨンシルの記録は余の記録だ。余の格物の記録もあの中に記されておる。余の記録を消すことは許さぬ。余は民のために格物を振興してきたことは恥ずべきことでない。何も言えぬならチャン・ヨンシルの記録を消せと申すな。わかったな。この件については二度と蒸し返してはならぬ。下がれ。」
世宗が言うとチェ・マルリは反論しかけました。
世宗はチェ・マルリが口を挟んだのでヨンシルを八十回に減刑しました。
刑の執行日。
鉄の鎖で縛られたヨンシルは兵士に叩かれながら都城の街中を連行されていました。
ファン・ヒとハ・ヨンとイ・チョンは私服姿でヨンシルを見守っていました。
ハ・ヨンは世宗は人々がチャン・ヨンシルを忘れさせないために民の前で刑の執行をお命じになったのだと言いました。ファン・ヒは世宗がヨンシルを歴史の中に埋もれさせることで自由にさせるのだと言いました。イ・チョン(李蕆)は涙をぬぐいヨンシルの魂がいつか後世に掘り出されることを願いました。
「空を見るのはこれが最後か。惜しいものだ。もし私が死んだらあの空と一緒にいたい。」
ヨンシルは空を見上げました。
「刑を執行せよ。」
「前にばかり進んできたから今度は後ろに退く番だ。あとからあがめられるかも。」
若い刑の執行人はヨンシルの耳元で意地悪くささやくと棒で叩きはじめました。
ソヒョン王女とソックも駆けつけ痛めつけられるヨンシルを息を飲んで見守りました。
世宗は執務室で落ち着かずに右往左往していました。
ヨンシルは口から血を吐きながらも何かをひらめきました。
「前に進んで後ろに退く。そうだ。これをおもりにつければ前後に振れておもり(振り子)は動き続けるだろう。止まらぬ力は永遠の動力となる。わかったぞ。やっとわかった。これだ。はっはっはっは。」
ヨンシルは世宗や王女など親しい人々が自分のことを揃って誉めている夢を見ていました。
「三十分も持たぬでしょう。」
医員(イウォン)はヨンシルを診察し手当しました。
ソヒョン王女とイ・チョンとソックが布団に寝かされたまま意識の無いヨンシルを見守っていました。
世宗は内官から二日もヨンシルが眠ったままだと報告を受け胸を痛めました。
ソヒョン王女はたまらず部屋を出て柱にもたれかかり泣きました。イ・チョンとソックも泣きました。
ソックが部屋に戻るとヨンシルが布団にいませんでした。
「ヨンシル!ヨンシル!ヨンシルが目覚めました!」
ヨンシルは部屋の隅に座っていました。
ソヒョン王女とイ・チョンが部屋に入ってきました。
しかしソックがいくら声をかけてもヨンシルは反応しませんでした。
ヨンシルは目から一筋の涙をこぼしました。
ヨンシルの工房はいつの間にか蜘蛛の巣が張っていました(時が流れました)。
測雨計が宮中に設置され文字が頒布されました。
朝鮮語と漢字でお触れ書きが出されました。
「ヨンシル。なぜお前が玉漏に民のかわいい人形を置いたかやっとわかったぞ。情を湧かせるためだ。格物と情は人文と天文が交ざり合うようなもの。広い世界を味わうことができる。今でもお前の時計と私の文字は手をつなぎ困難を乗り越えているのだぞ。しかし、やはり心残りだ。私は使命をまっとうしたらこの命を終えるのだがな。」
1450年。朝鮮の四代目の国王世宗は逝去しました。世宗は文武両道の政治精神を培い三十年以上にわたり朝鮮を泰平に導きました。朝鮮の暦と文字を生み出し民の暮らしを支えました。人々は世宗のことを海東(ヘドン)の堯舜(ぎょうしゅん)と呼びました。
イ・チョンは火砲と庚子字(こうしじ)、渾天儀(ホンチョニ)や圭表(キュッピョ)といった器具の開発を監督し世宗の科学時代を導きました。また平安道(ピョンアンド)観察使(クァンチャルサ)として四郡六鎮(サグンユクチン)を開拓しました。文官としても武官としても秀でていたイ・チョン(李蕆)は1451年その生涯を閉じました。
ファン・ヒ(黄喜)は朝鮮時代の最長寿の領議政として24年間務め上げ1452年に逝去しました。太祖(テジョ)、太宗、世宗、文宗の四人の王の側近として仕えました。
ハ・ヨンは端宗2年の1453年に逝去しました。ハ・ヨンはこの世を去る日まで法を守り続け昇平守文(スンピョンスムン)の宰相と呼ばれました。
世祖2年(1456年)。
世祖は玉漏の水を何度も指でこぼしました。
「士大夫(サデブ)は己の知識がいかに乏しいか知らずにすべてを知っていると思い込んでいる。結論も出ないのに実体のないものを正しいと信じ争っている。更には王権まで揺るがそうとしておる。どうしてその者たちを傍観できようか。朝鮮の繁栄のために一人残らず始末せよ。」
「はい殿下。仰せの通りにいたします。」
世祖の側近は答えました。
多くの官僚が粛清されました。
文宗の弟である首陽大君(スヤンテグン)は端宗(タンジョン)から王位を奪い朝鮮七大国王として君臨しました。首陽大君、世祖は六曹直啓制(ユクチョチッケジェ)を復活させ王権中心の政治を行い王権を強化しました。
ソヒョン王女の家(もしくはヨンシルが賜った家)。
老いたソックは息子と部下たちにヨンシルのための荷物を運ばせていました。知り合いの儒学者は朝鮮の行く末を心配しました。チェ・ボクは朝鮮は儒者の国として繁栄するだろうと言いました。
世祖がヨンシルに会いに来ました。世祖は「天は余を許してくださった」と救蝕禮(くしくのれい)を成功させたことを報告しました。ヨンシルは縁台に座ったまま言葉を話すことはできませんでした。太祖はヨンシルの隣に腰掛けました。
「大護軍(テホグン)。そなたを追いやった士大夫をこらしめてやったぞ。ゆえに目覚めてくれ。余は世宗大王よりこの国を繁栄させてみせる。そなたは太宗大王にこういったそうだな。朝鮮に吹く風は明国へと旅立つ私を祖国へとどまらせた。今朝鮮に吹くこの強い風をそなたは感じぬか?早く目を覚まして余に協力してほしい。早く!」
世祖は悲しそうに笑いました。
「大護軍(テホグン)は・・・夢を見ている。はっはっはっはっはっは!余は死にゆく者をよく見ているせいか心配や苦痛がどのようなものかわかる。大護軍(テホグン)は幸せそうな顔をしておる。しばし乱世を離れていろと天が夢に大護軍(テホグン)を閉じ込めたのだ。漢陽にとどまりたいと言っておったな。大護軍(テホグン)。翁主のためにも目を覚ましてくれ。もう夢は見なくてよい。もし大護軍(テホグン)が目を覚ましても王宮には来なくてよいぞ。はっはっはっは!」
世祖とソヒョン王女たちはヨンシルの家を後にしました。
「どうかお元気で。」
(かつての同僚を売った)鄭麟趾(チョン・インジ)もヨンシルに言うと世祖とともに王宮に帰りました。
「今度は私の名を呼んでください。」
イ・スンジ(李純之)はヨンシルの手に昔もらった帳面を渡して別れを告げました。
夜になりました。
ソヒョン王女は渾天儀(ホンチョニ)を操りました。
「昔観測所で見た場所にあります。あの金星が大護軍(テホグン)と私をつないでくださると思ったわ。でも違いました。すべてを捨ててあなたのところに行けばよかったと考えたこともあります。大護軍(テホグン)。いつかわからないけど私を迎え入れてくれる日を待っています。」
ソヒョン王女が振り向くとヨンシルが王女の傍に立っていました。
「翁主様。」
「大護軍(テホグン)。いつ目を覚ましたの?」
「翁主様があなたのもとへいけばよかったというあたりから・・・。」
「ありがとう。ありがとう。目が覚めてよかったわ・・・。」
「私も会いたかったです。イ・チョン旦那様は一緒ではないのですか?殿下は・・・・・・。私は・・・長い間夢の中にいたようです。」
「殿下はお亡くなりになる前にここに来られたのよ。皆と一緒に。」
回想シーン。
世宗とソヒョン王女とイ・チョンとファン・ヒはヨンシルに会いに来ていました。
「実は皆に内緒でここに来た。私は王位を退きたいが士大夫(サデブ)が反対してたいへんだ。つらくてたまらぬのに放してもらえぬ。お前やイ殿と一緒にいると思い出がよみがえるようだ。ヨンシル。ありがとう。私が平民ならこう言うだろう。ヨンシル兄貴。ありがとう。我が王室に力を貸してくれた。お前ほど尊い者はおらぬ。お前を背負って歩きたいくらいだ。」
世宗はヨンシルの手を取りました。
「はぁ。うまく言えなくて・・・すまないな。」
「ヨンシルは感じ取っていますよ。私はヨンシルのことはわかります。」
イ・チョンは言いました。
「この日が、ヨンシルと一緒にいられる最後の日かもしれぬな。ヨンシル・・・良い夢を見るのだぞ・・・。」
世宗はヨンシルに言いました。
「これからは何をして過ごされるのですか?」
ソヒョン王女はヨンシルに言いました。
「時計を作りたいです。時計・・・思いつきました。自動で動く時計の動力は・・・思い出せない。はぁ・・・。忘れてしまいました。情けないな・・・。」
「もう一度、はじめましょう。私と一緒に、毎日この簡儀で太陽と月を観測しましょう。そして七政の動きも探って予測しましょう。」
「そうです。翁主様とまた始めればよいのですね。」
ソヒョン王女とヨンシルは簡儀で観測をはじめました。
ヨンシルは手のひらにおさまる形になった時計を頼りに砂漠を歩いていました。
「いいぞ。その調子だ。そうだ。未練を残さずにすべて飲み込んでしまえ。」
ヨンシルは日蝕を観測しました。
韓国の繁栄の礎となった科学技術は長い年月を経て作られました。
「科学史技術史事典」によれば15世紀、全世界の業績は八十項目であったがそのうち朝鮮が残した業績は三十四項目、中国日本ともに五項目でありその他の国を合わせた項目が三十六項目でした。15世紀に世界最高の科学技術国家は朝鮮でした。チャン・ヨンシルと数多くの名の知れぬ格物家にこの科学時代劇チャン・ヨンシルを捧げます。
完。
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感想
ほお〜。感動しました!涙でそうでした!韓ドラで感動したのは久しぶりでした!おなじみのパターンで終わるのかと油断してました。世宗大王がどれだけ偉大な王様だったのか「大王世宗」とともによくわかりますね。このドラマを見るとハン・ソッキュが世宗役を演じていた「根の深い木」なんかはどれだけ軽いドラマで世宗をバカげた演技で侮辱したものであるか格の違いを感じさせます。やはり歴史を知っているのと知らないのとでは時代劇の評価ができませんね。このドラマで感心したのはハ・ヨンの変貌ぶりとチェ・マルリの奇妙な振る舞いについてです。ハ・ヨンは最初のほうでチョ・グァンのように振舞っていましたからまさか世宗やヨンシルを理解するとは思っていませんでしたので考えが変わったことは意外でした。朱蒙を演じていたソン・イルグクも武人系の俳優で本来のヨンシルとは似ても似つかないようではありますけれども自分の演じるチャン・ヨンシルを素晴らしく演じ抜いていましたね。ヨンシルがラストで脳卒中のような状態になるとは思ってもいませんでした。設定では脳が損傷を受けて脳に酸素が行かなくてあんなになって治るまで時間がかかったのかもしれませんね。ヨンシルの意識が眠ってしまうとは、ハリウッド的な表現手法でグッと来ました。冒頭から世宗とヨンシルの心からの会話。この時世宗は「余」とは言わずに「私」を主語にしています。このドラマの中で世宗は王として振舞うときは「余」と称し、自分の本音を語る場面では「私」と称しています。この違いに気が付けば下手な日本語訳に影響されない感動が伝わってきます。
そして意外だったのが世祖の登場です!まさか世祖があんなにヨンシルに理解を示すとは、これまでの世祖の残忍なイメージからは思いもつきませんでしたよ!!!しかも「大護軍(テホグン)」なんて呼んじゃって、ヨンシルはいつ復権したの。世祖がヨンシルに「仇をとってやったぞ」という場面がまた悲しいですね・・・。
私は前回の感想で「世祖が士大夫に苦しめられる世宗を見て憎しみを募らせたかも」と世祖の気持ちを推測したのですが、ラストはまさにその通りの描写になりましたね。大臣たちが権力を傘に私服を肥やすのは王様や王子様にとっては許し難いものであることは間違いありません。油断していると王権まで奪われてしまいますから首陽大君の目にはどれほど脅威に映ったことでしょう。そうはいっても結局はあのハン・ミョンフェとかいうドラマ「仁粋大妃」にも出てきたこなきじじいみたいな大妃にひいきにされた士大夫がはびこるのですから、臣下に清廉潔白を求めても無理な話ですね(笑)女性は男性以上に政治を混乱させるという史実も朝鮮の歴史には何度となくありますから、やはり教育というものや政治の場に性の本能を持ってこないことはほんとに大事ですね。女性は子宮で物を考えるとはよく言ったものです。
そして一番切ないのが老いたソヒョン王女とヨンシルがようやく結ばれる場面です。あの恐ろしい世祖様の公認ですから誰も文句は言えません。制作者は最後に二人を絶対的に救ってみせたのですね。めでたし。めでたし!?
チャン・ヨンシル(蒋英実)についての疑問
韓国ドラマ「チャン・ヨンシル」が終わって私はその後も余韻にひたり追加で学習しました。日本は明治時代になるまで正しい暦を導入することができませんでした。江戸時代の天保暦というものが日本が授時暦(じゅじれき)を発展させた最後の暦であの伊能忠敬も天文に関わっていました。チャン・ヨンシルが日蝕を正確に当てることができてから300年後の日本でも暦に多少のズレがあったそうです。そこで疑問に思ったのがチャン・ヨンシルは二十四節気の時計を作っただけでそれを独自の暦まで発展させなかったことです。ヨンシルがドラマ通りの人物であるならば明国の暦にズレがありそれを使い続けると暦と季節がずれてしまうことには気づいていたはずです。ヨンシルが日食や月食の時刻を正確に予測するためにはズレを修正して暦のズレの正しい計算が必要だったのではないかと思うのですが・・・もしもヨンシルたちの日食の予測が作り話じゃなくて史実だとしたら当時の書雲観と江戸時代の1754年と実に300年以上の差がありますね。
もしかしたら日本も朝鮮も暦と実際の季節のズレで「えっ?こんな時期に立春や正月!?」と思ったのではないでしょうか(笑)私もチャン・ヨンシルを見終わるまでは旧暦のズレは違和感があったものの昔の人は寒くても春だと信じてたと思うことにしていました。
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