チャン・ヨンシル~伝説の科学者~9話「明での密命」のあらすじ詳細とネタバレ感想
あらすじ
世宗大王の治世。経筵(キョンヨン。王に教書の講義をすること。)の場。高麗の残党で処刑を免れた性理学者(高官)のハ・ヨンは両班は両班らしく平民は平民らしく堯舜(ぎょうしゅん)時代を手本とすれば太平の世になると説きました。世宗はハ・ヨンの説教はためになると褒めました。世宗が合図をすると内官は扉を開きヨンシルを招き入れました。官僚たちは下の者が政治の場に現れることに渋い表情を浮かべました。奏請使(チュチョンサ、明に許可を求めに行く使臣)にヨンシルを同行させ格物を学ばせると言いました。ヨンシルは何度も王に拝礼しました。世宗は優れている者がいれば身分を問わず推挙するよう臣下たちに命じました。チャン・ヒジェは浮かない顔をしていました。
高官のハ・ヨンは若手官僚のチャン・ヒジェに明の暦を解明しに行くのだろうと明の格物を朝鮮のものにすることはとんでもないと批判しました。
「そなたのせいで明国の兵が押し寄せてきたらどうするのだ。性理学の掟を守ることが我々士大夫の指名だろ。明の国に胸を借りたと申すつもりか?」
「性理学と同じくらい天文も大事です。殿下は太平の世を築くために文物を得たいのです。」
「忘れておった。そなたも格物を好むようだな。そなたはチャン・ヨンシルに決して勝てぬ。殿下はチャン・ヨンシル一人を行かせれば臣下が不満に思うためそなたを利用したのだ。」
「それが殿下のご意思なら従うほかありません。私は殿下に命を捧げる覚悟はできております。では。」
チャン・ヒジェは立ち去ろうとしました。しかしハ・ヨンは忠臣であるチャン・ヒジェの「もう一つの顔」を知っていると脅しました。
世宗は書雲観の書庫にいるチャン・ヨンシルを尋ねました。ヨンシルは世宗から渡された本を読みました。書物には血文字で格物を否定して王を否定する落書きがありました。ヨンシルは犯人を罰するべきだと言うと、世宗は耐えなくてはならない試練だと言いました。
「士大夫の仕業だろう。罰するよりも思い知らせてやる。身分を問わずに格物に優れた者を職務に就かせることが朝鮮の安寧と民のためだと。ヨンシル。明国の簡儀を解明するのだ。」
世宗はヨンシルに言いました。ヨンシルは必ず謎を解き明かし正確な日食を予測すると答えました。世宗は明からヨンシルが事を成功させて戻った時に免賤(ミョンチョン)して身分を与えると約束しました。世宗とヨンシルはしばらく見つめ合いました。
チャン・ヒジェはヨンシルが世宗に目をかけられていることに内心嫉妬していました。
明国への出発の時。ソヒョン王女はチャンヒジェに編み笠を下賜しました。チャン・ヒジェは王女に感謝しました。王女は手作りの足袋をヨンシルに与えました。ヨンシルはとても感謝しましたがヒジェはそれを見逃しませんでした。旅立つヒジェにハ・ヨンとその手下は視線を送りました。ヒジェは目を伏せて出発しました。
一行は朝鮮を出て明の都(現在の北京)の会同館に着きました。
明の官僚マ・ボンゴルは「これほど私を待たせるとは・・・書雲観なら時間がわかるのではないか」と嫌味を言いました。朝鮮の代表であるチョ・マルセンたちは謝りました。マ・ボンゴルはユン・ボン左少監の機嫌を損ねて世子の任命を拒絶しないためにも人参をたくさん要求しました。
チャン・ヒジェの部屋。ヨンシルはいつ簡儀を見に行くのか尋ねました。ヒジェはユン・ボン様が来るまで待つようおに言いました。ヨンシルはヒジェに北極星を探す道具をあげました。ヒジェはヨンシルに王様から何を言われたのか気になりましたが聞き出すことをやめました。
ヨンシルの同僚はユン・ボンは皇帝の側近であの人だとこっそり教えました。ユン・ボンはチュ・テガンを待っていました。チャン・ヒジェは部下とともに貢ぎ物の人参をユン・ボンに献上しました。ユン・ボンが貢ぎ物を確かめようとした時に皇帝の親戚で白髪のチュ・テガンとその令嬢チュ・ブリョンが現れました。ユン・ボンは貰った朝鮮人参をチュ・テガンに献上しようとするとテガンは興味がないと一蹴しました。
会食の場。
明の官僚は朝鮮の官僚よりも動物のほうが役に立つと笑いました。腹を立てた書雲観の官僚は明の暦だから時間がわからないのだと口ごたえしました。怒ったユン・ボンとその子分にチャン・ヒジェは土下座して謝りました。するとチュ・ブリョンが笑って南京では北京の暦を用いたから予測できなかったのだと言いました。チュ・テガンは今から面白いものを見せてやると言いました。チュ・ブリョンは包みを開けると黄金色の鏡のような時計の針のようなものが付いている道具を朝鮮の官僚に見せました。朝鮮の官僚たちはその道具が何かわかりませんでした。チャン・ヒジェも道具を手に持ってみました。
「高度を測る道具だろう。この文字は何だ。」
ヒジェにはここまでしかわかりませんでした。
「あなた。見たくて仕方がないのね。こっちに来て。」
チュ・ブリョンはヨンシルを手招きして当ててみるように言いました。
ヨンシルは道具を手に持つと隅々まで観察しました。
「ひとつ伺います。この線は何でしょうか。」
「教えてやるのは不当だが誰も気づかぬゆえ教えてやろう。その線は空の方位だ。天球に記された方位を平たい物にまとめた。平射図法というのだ。」
チュ・テガンは言いました。
「素晴らしい方法です。天球の方位をここに記すとは。はー。こんなことは思いつきませんでした。はー。」
ヨンシルは感動しました。
「そちは当ててみよ。」
「とんがったのは星を表します。」
「その通りだ。指星針という。」
「これで高度を測るのです。指星針の星を選びその星を夜空で探し星の高度を調べるのです。それで時間を測るのです。これは星時計です。」
「はっはっはっは。そちの言う通りそれは回回国(イスラム教の国)の星時計だ。そちは明の官吏より優れておる。チャン・ヨンシルだな。朝鮮の国王は奴婢に文物を学ぶよう指示した。はっはっは。お前よりも朝鮮の国王は素晴らしい方だ。」
チュ・テガンはヨンシルと世宗に感心しました。
朝鮮の使臣たちは機嫌よく宿屋に帰りました。その様子をチュ・ブリョンは兵士とともに見張っていました。
「生きることに疲れました。食欲がありません。チュ様はいいですね。私の命を握ってらっしゃる。」
ユン・ボンはため息をつきました。チュ・ブリョンは欲を出して不正を働かないようにユン・ボンに言いました。ユン・ボンは不正の帳簿を握っていることに怯えていました。
チャン・ヒジェはユン・ボンに呼び出されました。ユン・ボンは自分は命がけなので銀子が足りぬとヒジェに賄賂を要求して三更(深夜11時~午前1時)に門を開いてやると約束しました。ユン・ボンはさらにヒジェに何かを囁きました。ヒジェは目を丸くして驚きました。
「これはそちと朝鮮の国王への忠告である。朝鮮は私が子供のころ火者として明へ送った国だ。今では朝鮮に歓迎されるとはな。はっはっは。そちの主上を煙たがる人間がいる。彼らがそなたによい知らせを送った。かならずそちに伝えてくれと言ってある。」
「・・・・・・。」
チャン・ヒジェが門を出ると謎の武人(キム・ハクチュ)がヒジェの首に剣を突き付けました。男は世宗がヨンシルの身分を解放し朝鮮を滅ぼす気でいるのでヨンシルの身柄を渡すようにと唆しました。
夜になりました。ヒジェはヨンシルを連れて司天台に行きました。
「一つ聞かせてくれ。殿下に奴婢から解放し官職を与えると言われたのか?」
「・・・・・・。」
「言われたのだな。」
「私が免賤されれば他の者たちも格物に励むので朝鮮は強国になれるだろうとおっしゃいました。」
「素晴らしいお考えだ。早く行こう。帰ったら簡儀を作るのだ。」
ヨンシルは簡儀を見るために階段を上がりました。ヒジェは上には行きませんでした。キム・ハクチュは「あいつの命を奪ってやる」とヒジェとすれ違いました。
「兵が戻る前に始末しろ!」
ヒジェはハクチュに言いました。
回想シーン。
ヒジェはユン・ボンに司天大に簡儀が戦でとうに焼けてしまったと囁いたのでした。
従属国に簡儀がないことを知られると皇帝の権威が失墜してしまうからでした。ユン・ボンはヒジェの命を助け簡儀の原本となる道具を見せるかわりに思い通りに動くことを要求してきました。
ヨンシルは司天大に上ると簡儀はありませんでした。キム・ハクチュは嬉しそうに剣を抜きヨンシルに襲い掛かりました。ヨンシルは何度か剣をかわすとキム・ハクチュの手を握り組み合いました。ヨンシルはキム・ハクチュを投げ飛ばして逃げました。
「殿下。奴婢に官職を与えるなどいけません。誰でも官職に就けるなら朝鮮は野蛮な民族になります。ヨンシルは殿下のせいで死ぬのです。」
ヒジェはつぶやきました。
しばらくして兵士が現れました。
逃げるヨンシルをキム・ハクチュが追いかけました。ヨンシルは腕を斬らるも必死で抵抗しました。
「何者だ!」
明の兵士が現れるとキム・ハクチュとヨンシルはそれぞれ逃げました。チュ・ブリョンは部下にヨンシルを守るように命じました。チュ・ブリョンの部下は兵士を倒していきました。ヨンシルはうれしそうに彼の活躍に感動していました。武人はヨンシルを叩いて気を失わせました。
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感想
またもやヨンシルにお邪魔虫が入りました。キム・ハクチュはなぜか浪人姿の刺客として、チャン・ヒジェは奴婢が両班になることは許せないと嫉妬心に燃えていました。キム・ハクチュと掴み合うヨンシルはどう見てもチュモンに見えますね(笑)書物を読み漁る科学者なのに武人と同等の力持ちなんてありえない設定です。面白おかしく、世宗役の俳優さんは声だけでなく演技にも温かみがありますね~さすがです。ドラマ「大王世宗(テワンセジョン)」の時はヨンシルと明の皇帝の側室の朝鮮人とのロマンスがあってそのことが大問題となりましたね。今回は簡儀台が無いという設定で微妙に話が違います。もう既に話は中盤に差し掛かり、全24話ですからヨンシルが奴婢から身分を解放されるかどうかというところがフォーカスされています。
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