チャン・ヨンシル~伝説の科学者~18話「自撃濡命名」のあらすじ詳細とネタバレ感想
あらすじ
「人形が百個しかない。そうか。水運儀象台のように一日百刻でなければ百個の人形は不要だ。ならば必要な動力を低減できる。はっはっは。動力の低減をした新たな時計とはこれだったのか。こんな簡単なことなら私でも考えられた。ヨンシルめ。こんなことなら私も考えた。お前は特別ではない。はっはっは。・・・いや。どうやっても思いつかなかったはず。燃やせ。燃やすのだ。燃やしてしまえ!!!・・・・・・。」チャン・ヒジェはヨンシルがいなくなると再び時計を調べました。ヒジェは何度も松明の火を時計に放とうとしましたができませんでした。
「はっはっはっは。笑わせてくれる。そなたは面白い奴だな。」
キム・ハクチュが現れました。
「燃やすのか?」
ヒジェは恐れました。
「してやろうか?仕方あるまい。この日を待っていた。こうするほか楽しみはない。」
キム・ハクチュはヒジェから奪った松明を時計の中に投げ入れました。
「ダメだ!ダメだ!ダメだ!」
ヒジェは火を消しました。
「チャン・ヒジェ!目を覚ませ!頼むからもう終わりにしようぜ!うりゃーー!」
キム・ハクチュは剣を抜いて時計を斬りました。
「やめろ!そうだ。そなたの通りだ。そなたがヨンシルを恨むのは私のせいだ。すまない。これだけは頼むから燃やさないでほしい。お願いだ。これはヨンシルではなく天が授けてくださったのだ。朝鮮のために与えてくださったのだ!!!」
ヒジェは両手をさすり合わせてキム・ハクチュに頼みました。
「わかった。」
キム・ハクチュはそう言うとヒジェの背中を斬りました。キム・ハクチュが笑っているとヒジェはハクチュの背中に短剣を突き刺しました。
「すまないハクチュ。」
ヒジェは倒れるハクチュを抱きました。
ヒジェはキム・ハクチュを背負って逃げましたが倒れてしまいました。
「旦那様!」
ヨンシルはヒジェとハクチュの死体を見つけました。
「ハクチュを背中に乗せろ。私は役所に出頭する。ヨンシル。どうやって動力の原理を思いついた。」
「え?・・・木から柿が私の顔に落ちてからです。」
「なんだと?」
「旦那様に何度も殺されかかってそのたびに湧き出る力。」
「私を恨む気持ちが原点か?」
「いいえ。復讐せずに耐える力です。私を愛してくれた人々のおかげで他の力が湧いたと考えています。力が増幅したといえましょう。球は穴に落ちることで穴をふさぎ次の球に道を開くことになります。球が穴にはまった時(窮地に陥った時と言葉をかけている)に私が失敗と考えないようにすれば立ち上がる力を養えるのです。」
「愚か者め。なぜ私を呼んだのだ。一日でも早く私に屈辱を与えるためか?私をあきらめさせるつもりか?」
「そうです。」
「なんだと?」
「殿下より先に見せることは誰が抱えてもおかしいですね。ナウリ。私がどうして呼んだと思います?」
「チャン・ヨンシルおのれ!」
「ナウリ。屈辱や挫折と探求心、どっちが大切ですか。私が何度も死にそうになりながらも生き延びたのはあの時計を作る運命だったのです。」
「私には作れないと言われているようだ。」
「ナウリ。私と同じ方法で造ることは無理でしょう。」
「なぜだ。私は死にそうな目に遭っていないからか?」
「いいえ。私を同じ道をたどらなくても旦那様にはできるのです。自分に問いかけてください。なぜ来たのですか。若様。子供のころ私を理解してくれたのは母とソックしかいませんでした。でも母とソックは私が作った格物には若様ほど興味を示してくれませんでした。若様はすぐに気づいてくださる。若様に憎まれると思っても見せたかった。奴婢に若様が興味を持ってくださり嬉しかったのです。私はひたすら作り続けました。北京で旦那様と閉じ込められて水運儀象台を旦那様と一緒に治した時にすこしずつ時計が動くことに喜びを感じました。嬉しかったです。あの日のようにいつか旦那様と一緒に格物を作って働きたいと思っています。」
「(そうだ。あの日は幸せだった。)そんな日は来ぬ。」
ヨンシルがキム・ハクチュを動かそうとするとキム・ハクチュが息を吹き返しました。
「ヨンシル。許さぬ。殺してやる。」
キム・ハクチュは呻きました。
ヨンシルはキム・ハクチュを背負って走りました。
「すまない。こんな主で。私はお前を壊せぬからここを発つ。お前を置いて行く卑怯な主人を許してくれ。」
チャン・ヒジェは東海禁漏(ヘドンクムヌ)に優しく触れました。
ヨンシルがヒジェの庭に来ましたが東海禁漏(ヘドンクムヌ)が置いてあるだけでヒジェはいませんでした。
ある日。世宗がヨンシルの工房を訪ねました。ヨンシルたちは世宗と大臣たちを迎えました。
「これだな。新たな方法で造った時計を余は大臣に見せに来た。」
世宗はヨンシルに言いました。ハ・ヨンも不思議そうに時計に興味を示しました。ヨンシルは時計に鉄の球と水の力の両方を利用しました。
世宗は大臣たちに感想を求めました。ハ・ヨンはチャン・ヨンシルを称えてくださいと述べました。メン・サソンは時計を完成させて王宮の時計にするように述べました。チョ・マルセンは明にはない時計だと言いました。
世宗はイ・チョンに時計製造の責任者となるように命じ時計を自撃濡(チャギョンヌ)と命名し時計作りを手伝った職人にも褒美を約束しました。
ヨンシルは町の人々も呼び時計を見せました。
夜になり世宗はヨンシルを王宮の庭呼びました。
「そなたは余のためではなく民のために自撃濡を作ったのであろう?大臣たちが話している時にそなたの顔は雲って負った。民のために作ったと言わなくて正解だった。ヨンシル。民に時計を与えてはならぬことを知っておるか?時間は王だけのものだ。国を維持するために必要な刻のみを民に与える。民には城門を開閉する時刻以外に必要はない。王が天を調べて時を民に知らせる。観象授時(カンサンズシ)という。王が時を与える前に民が知ることは、王が民に統治されていないことを意味する。余に害をなそうとしているのかヨンシル。お前の行為は謀反に値する。」
「そんなつもりはありません。」
「だったら王のものを民に与えることは黙っていなさい。」
「殿下。民が時計を持てば豊かな暮らしができますが曇りや夜は使えないので水時計を作ったのです。殿下。時間が殿下のものなら民にお与えください。私が与えるものは否定されても殿下は違います。」
「そのように簡単なことではないのだ。士大夫は余を思っているのではなく体制と己の権威が崩れることを恐れている。お前が思っている以上に反対されるであろう。」
「自撃濡は民にお与えなさらないのですか?」
「ヨンシル。余はお前と同じように自撃濡を民に与えて格物の恩恵を施し民が豊かに暮らせるようにしてやりたい。だが民に与えるには時期を待たねばならぬのだ。私が民に与えたいものがもうひとつある。余は文字を持っている。漢字ではなく朝鮮の文字だ。漢字は意味を表している。余は音を表す文字を作ったのだ。口とのどからでる文字だ。音の通りであれば民も容易に字が読める。」
世宗が言うとヨンシルは驚きました。
「殿下。出来上がりましたら私にも見せてください。私も民に与えたいものがもうひとつあります。常に時刻を知ることのできる持ち運べる時計です。」
「とてもよい考えだ。あっはっは。士大夫が驚くだろうな。ヨンシル。少しずつ。少しずつくればよい。文字と持ち運べる時計か。あの星のように美しく見えるが遠く離れている。余の文字とお前の時計、どちらが与えることが難しいだろう。あの星は井宿だったかな。手をつないでいるかのようだ。」
「はい殿下。私もそう思います。」
「二人で手をつなぎ困難を乗り越えて行こう。余の文字もお前の時計も苦難を乗り越えるのだ。」
町の人はヨンシルが設置した時計を修理していました。
通りがかったチョ・グァン(忠堡チョンボ先生)はその人に何をしているのか尋ねました。男は二十四節気の針が擦り減ったので時期を正確に当てられなくなったと先生に言いました。子どもたちが節気の唄を口ずさんでいました。チョ・グァンは子供たちに唄を歌ってもらいました。チョ・グァンは「世の中がひっくり返るくらいすばらしい」とつぶやきました。チョ・グァンの背後では護衛のピョン・デチというみすぼらしい服を着た男が腕を組んで厳しい表情を浮かべていました。
ヨンシルは町の男たちが餅をついている規則正しい音を聞いて何かをひらめきそうになりました。
雪が降る日。集賢殿の学士チョン・ヒョスンとキム・ボルレは王宮前の城門でむしろの上に座り格物の公開を禁じる座り込みをしていました。日が暮れると寒さで二人は倒れて死んでしまいました。
メン・サソンは誰かが指示したに違いないとホ・ジョとチョ・マルセンともうひとりの大臣と話し合っていました。真犯人は忠堡先生だろうという結論に達しました。
「忠堡先生・・・裏で朝廷を操るとは。太宗大王の時にも六曹直啓制を廃止しろと成均館の儒生と士大夫をそそのかし大勢の命が失われた。忠堡先生も官職をはく奪されたはず。」
ホ・ジョは思い出しました。
大成殿ではチョン・ヒョスンとキム・ボルレの葬儀が行われました。
忠堡先生は二人は朝鮮のために命を捧げた士大夫だと弔辞を読み上げました。
弔辞は部下によって燃やされました。
メン・サソンとチョ・マルセンともうひとりの大臣は葬儀を見に来て忠堡先生と会いました。忠堡先生はチャン・ヨンシルを憎み王は王族という理由だけで王になり無能だったので大臣たちが実験を握り士大夫が統治すべきだとメン・サソンたちに言いました。忠堡先生先生は自撃濡は王が民に与え商業や工業が発展すれば士大夫の権力が低下すると言いました。
「結局あの時計は今上のものではない。我々士大夫のものだ。イ・ド(世宗)はまるで自分の物のように扱い民に与えようとしておる。」
「主上殿下の諱を言うとは謀反に値しますぞ!」
メン・サソンは怒りました。
「民が時計の前に集まり交流が活発になれば公論が生まれる。公論はそなたにもどのようなものかわかるな。交論は統治者に反対し支配される者の利益のみを追求する。このような出来事が公衆の時計が置かれた町の中心で行われる。今上はそれが自分の力が増したと勘違いするようになる。士大夫をおさえつけて民と対話できると。その先に王朝が滅びるとは思っておらぬだろう。」
メン・サソンたちはその話を聞いて王宮に戻り自撃濡を宮殿に入れることに反対しました。
世宗は災害が起きているのは自分のせいだと救食の礼を行い罪を償うと宣言しました。
「しかしこれだけははっきりさせよう。朝鮮の格物が発展したなら日食と月食を正確に予測できる。王が天に許しを請う救食の礼を正確な時刻に行うのは、そなたたちが望むことだろう。そなたらは再び日食が起きずに余が待たされるのを見たいのか?」
「殿下。そのようなことを我々が望むはずはありません。」
ファン・ヒが助け船を出しました。イ・チョンも世宗を応援しました。
「こたびの礼を余が正確な時刻に行えたらそれは格物の発展のおかげだ。以降は格物の発展に大臣全員が協力することを願う。自撃濡を宮中に置いて町に公の時計を設置する。大臣たちが先頭に立つように。」
「万一救食の礼が成功しなかったら格物はおやめください。」
メン・サソンは言いました。
「そうしよう。」
世宗は約束しました。
ヨンシルは世宗に天文の計算書は焼かれて失われたので正確な予想は難しいと言いました。
「余が信じている者がいるだろう。ヨンシルとチョン・インジ、イ・スンジ、チョン・インジとチョン・チョ、チョン・フムジそなたたちがいるから私は心配していない。私は信じている人々にすべてを懸けている。人々が一か所に集まって予測している姿を思い浮かべるだけで私は幸せを感じ胸が高鳴る。儀式を行うことは天の秘密を探れるよい機会だ。ヨンシルそなたが願って来たことだろう。ヨンシル。我々が朝鮮の運命を変えるのだ。」
世宗はヨンシルの手を取りました。
「はい殿下。朝鮮の運命を変えましょう。」
大臣のひとりは忠堡先生に会い世宗の様子を報告しました。忠堡は救食(クシク)の礼はできないだろうと言いました。
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感想
ヨンシルが作った新しい時計はドラマの中ではヒジェの気持ちを汲んだかのように水も使われていました。そしてイ・チョンが大砲の訓練をしていましたが次回への布石なのでしょうか。ここに来ていつも悪の誘惑に負けていたチャン・ヒジェが珍しく戦って(といっても筋力がないから背後から・・・)かつての悪友をやっちゃいました。何となく群れただけの友達は本当の友達じゃないという、そんな感じの典型ですね。チャン・ヒジェという登場人物の物語での役割はさしあたり凡人の金持ち息子の優等生代表といった感じでしょうか。苦労せずに親の力で勉強させてもらったりしつつもヨンシルとおじさんに刺激を受けて書雲観に入門して、従弟の父親が死のうがそれほど悲しくもなく従弟を遠慮なく憎んできたけど大人になって王様や王女様の影響で善悪の分別がついてきて自分が発明で苦労することで他人の苦労する気持ちもはじめてわかりやっと何をすべきかわかるようになった。そんな感じでしょうか。チャン・ヒジェは一言で言うと世間知らずなおぼっちゃま君です。 一方イ・チョンは恵まれたリーダー(笑)おいしい場面はイ・チョンがいつもいただいています。イ・チョンの背景についてはよくわかりませんね。実在したのかどうかも私にはわかりません。世宗がヨンシルに謀反になるぞという場面ではドラマ中の世宗様は今まであんなキャラじゃなかったのにとヒヤリとしました。何とか先生という怪しい学者は士大夫(サデブ)が無能な王にかわって政治をするべきだという主張をしました。あの先生は先の王様太宗にしてみれば粛清したいくらいの反逆者に映ったのではないかと思います。でも太宗の粛清を逃れたあざとさは只者ではありません。世宗とヨンシルは新たな格物を民に施せるのか。次回のチャン・ヨンシルも楽しみにしています。関連リンク
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