チャン・ヨンシル~伝説の科学者~7話「謀反を確執」のあらすじ詳細とネタバレ感想
あらすじ
「汚物を被りしまま呆然と立ち尽くして石塊を見る・・・」太宗は昔のことを思い出しました。
「バンウォンや。見事な石刻だろう。私イ・ソンゲが天命により朝鮮を建国した証がこの石刻だ。」初代国王イ・ソンゲは完成した石刻を見て息子に言いました。太宗(テジョン、イ・バンウォン)は父の手前、それが謀反の証であることを言えず胸の中でひとり涙し仇に復讐を誓いました。
夜の王の私室。
チャン・ヒジェは高麗復興勢力の連判状を太宗に渡しました。
太宗は民を慈しんできた自分に矛先を向けるとはけしからんので死をもって償わせると断言しました。チャン・ヒジェは連判状に関わった者のすべての名前が記されていると答えました。太宗はぬかりなく処刑を遂行するようヒジェに命じました。
同じ頃、イ・チョンの家。
ヨンシルは太宗(テジョン、イ・バンウォン)が書いた詩集を見つめていました。ソックが部屋に入って来て急がないと船が出ると急かしました。ヨンシルは主上(チュサン、王)がどうなろうと自分は関係なく石刻(せきこく)の秘密を以前から知っている王が自ら問題を解決するだろうと思いました。ヨンシルはソックに先にギルスのところに行くように言うとどこかに出かけてしまいました。
イ・チョンの部屋。
ヨンシルは太宗が書いた詩集(父の形見)をイ・チョンに見せました。
「石刻を汚物をかぶった石と表現したのだな?殿下はご即位前から“建”を“立”に置き換えた秘密を知っていたのか。いったい何を思っておられるのだろう。ヨンシル。よく聞け。主上が石刻の避諱の秘密ごご存知のこと、誰にも言ってはならぬぞ。」
イ・チョンが言うとヨンシルは詩集を懐にしまい部屋を出ました。ヨンシルは部屋の外からイ・チョンに向かって丁寧に別れの拝礼をしました。
ヨンシルは逃亡するためにイ・チョンの屋敷の門を出ると兵士に囲まれました。
「書雲観(ソウンガン)寺奴婢(シノビ)チャン・ヨンシル。謀反の罪で捕らえよとの王命だ!!!」
「えっ?なんだって?」
ヨンシルは兵士に殴られました。ヨンシルが落とした王の詩集を何者かが拾い上げました。
高麗の残党の首領ユ・テクサンは「今すぐ加平(カピョン)の地へ集まれ。兵糧を奪い忠州(チュンジュ)の兵と合流しろ。己未の夜、漢陽へ挙兵しろ。」と同胞に命じました。
私服姿の両班の男(王算をお守りする役の両班)が馬で加平に着くとそこは戦いが終わった後で多くの兵士や村人が死んでいました
「あーーーーー!」
男が叫ぶと矢が飛んできて胸に刺さりました。
「連盟状がない。王算様にお渡ししなければならないのに!」
武人姿のユ・テクサンは同じく戦いの身なりをしているチャン・ヒジェに慌てて言いました。
「私がお預かりしました。」
「そちがなぜ?」
「主上殿下にお見せしました。」
「主上・・・ふっはっはっはっは。あっはっはっはっは。うっはっはっは。」
ユ・テクサンはヒジェの裏切りに気が付きました。
「謀反を告発する文書です。書き写してください。」
チャン・ヒジェは連盟状の写しをユ・テクサンに見せました。
「王算様のお命と取引しようというのか。そち以外に王算様をお守りできぬ者がいると?」
「今もうひとりいましたね。」
チャン・ヒジェが言うと先ほど終結の地で殺された両班の男の遺体が横たわっていました。
「チョン・チョ、チョン・フムジ、チョン・インジなどすべての名前が挙がりましたね。」
「イ・バンウォンの狙いはこれか。世子の取り巻きを告発する偽の文書。王算様のお命は奪わぬよう王に伝えてくれ。このユ・テクサンが憎いイ・バンウォンに懇願するとは・・・。この抑えきれない怒りがそちにわかるだろうか。私がイ・バンウォンの首に剣を突き付けたくなって当然だろう!!!」
ユ・テクサンは悔しそうに告発状に署名すると自害しました。
東宮殿。
チョン・チョ、チョン・フムジ、チョン・インジ三人の若手官僚はユ・テクサンの乱の報告を行いました。すると義禁府の兵士が部屋に入ってきてユ・テクサンの告発状をもとに三人の側近を捕らえて連行しました。
両班の家。
高麗派で生き残った官僚(ハ・ヨン)は知り合いの両班の男(名前は出ていないがおそらくファン・ヒ)になぜ無関係の世子の側近まで捕らえられたのか尋ねました。両班の男は王が世子に譲位して上王になるために必要な事だと答えました。
「人生とは綱引きだ。将来主上になられる方をめぐり上王となられる方と士大夫が綱引きをしているのだ。」
友人の男が言うとハ・ヨンは「今上の独善的な王が育たない性理学に基づく理想の国を作らねばならない。大監のお力をお貸しください」と熱く語りました。
夜。
ヨンシルは牢屋の中でため息をついて涙を流していました。
「主上殿下であられる。」
私服姿の内官は太宗の来訪をヨンシルに告げました。
「余はそちの父チャン・ソンフィの友でもある。」
「私をお許しになるのですか?」
「明日の正午に処刑する。友のよしみでそちの顔を見に来ただけだ。」
「亡くなられた旦那様は高麗を祖国と思っておられましたが私は国に見捨てられた人間です。殿下の王命を賜りようやく朝鮮の民になれました。」
「口が達者なのは父親譲りだな。」
「あんまりでございます。私はただ真実を知ろうとしただけなのに。私には何の罪もございません。主上殿下の過ちで殺されるのです。」
ヨンシルは必死に命乞いをしました。
「ふっふっふっふ。貴様は死を目前に正気を失ったか。奴婢の分際で王に物申すとは。」
「石刻の間違いは直せばいいだけなのに!」
「避諱が世に知られれば、石刻は朝鮮の正しい証と言えなくなる。国を治めることはそちが考えるほど容易ではない。」
「主上が動物以下の奴婢を殺さねばならぬとは国を治めるには変です。人の命より石刻を重んじるこの国朝鮮は善い国ではないとわかりました。」
「善い国?これは愚甫という者がそちの父に贈ったものだ。愚甫は朝鮮を善い国にするためそちの父に協力を求めた。」
太宗はヨンシルが落とした詩集を手にすると火にくべました。
太祖7年(1398年)回想シーン。
チョンアン大君(イ・バンウォン)は待てども友が来ないので「江亭 愚甫」という自分の詩集を机の上に置いて去りました。
「江亭は善い国にしようという思いが込められた文集です。殿下が愚甫ですか?」
ヨンシルは必死に太宗に言いました。
「愚甫という世間知らずな者はとうに死んだのだ。そちの死は朝鮮のための尊い犠牲だ。」
「なぜ朝鮮のために死なねばならぬのです?あんまりでございますーーー!殿下。秘密は誰にも言いませんからお助けください。殿下ーーーーーー!どうか命だけはお助けください殿下ーーーー!」
ヨンシルは牢を去る王に叫びました。
忠寧(チュンニョン)大君は投獄されたチョン・インジ、チョン・フムジ、チョン・チョら側近に会っていました。世子は自分が投獄されたいくらいだと父が仕掛けた家臣の濡れ衣に心を痛めていました。世子に付き添っているメン・サソンは側近たちに同情しました。
世子が牢を出て行こうとするとイ・チョンがチャン・ヨンシルと面会していました。忠寧(チュンニョン)大君は二人の話を聞きました。
「すまない。私がそなたを漢陽に連れて来たせいで・・・。」
イ・チョンは牢の中に座り込みヨンシルの手を取りました。
「いいえ。あなた様に愚甫の話などせずに逃亡すればよかったです。主上殿下が石刻の秘密を知っていようが私には関係ないのに。旦那様、私は愚かにも・・・。」
「どういうことだ。チャン・ヨンシル。なぜ投獄されたのだ。」
話を聞いていた世子はたまらずヨンシルに尋ねました。
深夜の王の謁見の間。
忠寧(チュンニョン)大君は父王に会いチョン・チョたちの放免を願いました。
「世子の志がわからぬではない。格物を作り民のための国を作り出いのだろう。だがそのような政策は時期尚早だ。国の土台ができてこそできるのだ。」
「私は古今の聖人の本を読みました。かつての強国は格物を土台に文物を発展させれた民を豊かにすることができました。そうなれば民は王を慕い王の力はおのずと強くなります。」
「おーほー。朝鮮は建国してまだ三十年にもならぬ。今は宰相の干渉を受けず王権を強化すべきだ。他の一族に王座を奪われることなく王権を強化すべきなのだ。余はかつて、国のため、民のため、兄弟の命を奪った。国の王は孤独な決断をしてでも采配を振らばならぬ。」
「私は、殿下と異なる道を行きます。」
「それは、一体、どういうことだ?」
「私はむやみに人の命を奪いません。意見を異にする者がいれば理解を得るまで説得します。少数で解決できぬことは大勢で話し合い、それでも解決できねば何度も議論を重ね・・・・!」
「黙れ!そちはなんと拙いことを言うのだ。そちはまだ乳離れできぬようだな。尚膳(サンソン)はいるか!世子を追い出し二度とここに通すな!」
夜の牢屋。
追い詰められたヨンシルは亡き父に話しかけていました。ヨンシルはろうそくの火を見て何か思いつきました。
「風もないのに火が揺れている・・・。」
ヨンシルはギルスが風が東から西に吹く話を思い出し帳面に絵を描きました。
「風はおのずと生じるわけではない・・・。はぁ。地が回るから風が生じる。地が決まった方向に回っているのだ!」
すると父の幻が現れてイ・バンウォンには勝てぬと笑いました。ヨンシルは上着を脱いで父の前でくるくると回り風が起きる原理を説明しました。チャン・ソンフィは緯度が変わるとなぜ逆に風が吹くのかヨンシルに尋ねました。ヨンシルは答えられませんでした。
「この地が回っていると想像するだけで目が回る。風はどこから吹き始めるのか。はっはっはっはっは。ヨンシル。この疑問を明らかにしたいだろうが処刑されるとは。残念でならぬだろう。」
ソンフィはヨンシルにもたれかかり、そしてヨンシルと一緒に笑いました。
「心残りがひとつあります。ここに記した私の考えが正しいかどうか誰かに確かめてもらいたいんです。でもそんな人はいません・・・。いいえ旦那様。いました。」
「そうか。誰だ。」
「ヒジェ若様です。ヒジェ様なら理解できるはずです。」
「私のことをそのように思っていたとは。叔父上はもう逝かれた。」
チャン・ヒジェがヨンシルに会いに来ました。
「お前は愚甫を知らなければ死ぬことはなかった。」
「いいえ。若様が殿下にお話ししなければです。でも恨みません。若様も殿下に忠義を尽くす事情があると考えました。」
「私は朝鮮のために必要なことをしただけだ。だがお前が死ぬと思うとその能力と知識が惜しい。だから生きてほしい。そう思いながらここに来た。わかってくれるか?」
「信じたいです。いえ。信じます。若様。お願いがございます。私がこの世を去ったらここに記した考えが正しいか私の代わりに確かめてください。ふっ・・はっは。死とは有り難いものです。はじめて若様に微笑み頼み事ができました。若様。明日は夜更かしして流星雨を見てください。私は見られません。最後のひとつが降り終えるまで・・・見届けてください。」
ヨンシルが言うとヒジェはヨンシルを暖かく見つめていました。
翌日。
処刑台が組み立てられました。
ソヒョン王女はヨンシルが昴星のところから流星雨が降ると言ったことを思い出していました。王女は王様にこのことを教えれば命は助かるかもしれないと世子のところに向かいました。忠寧(チュンニョン)大君はソヒョン王女から流星雨のことを聞き考えました。
「私が殿下に上奏します。どうなるかわかりませんがやってみます。」
同席していたイ・チョンは世子に言いました。
「それまでに正午の処刑を遅らせないといけません。急いでください。」
ソヒョン王女はイ・チョンに言いました。
忠寧(チュンニョン)大君もイ・チョンに頼みました。
イ・チョンは王に謁見してヨンシルが流星雨を予報したことでそれが本当ならヨンシルは稀なる人材であり処刑の時刻を遅らせるよう上奏しました。
「ヨンシルは水で動く渾象(ホンサン)を作りました。」
「そちはあの者を助けたいため偽りを申すとは。」
「私はその渾象(ホンサン)を作らせるためにあの子を漢陽に連れて来たのです。水力で動く渾象(ホンサン)を作り流星雨を予測した。それがまことであると証明する時間をあの子に下さいませ。殿下のおつくりになったこの国はそれが許される国であるはずです!」
「・・・・・・。王命を取り下げるにはしかるべき理由が必要だ。もし予測が間違っていたらそちは命を差し出すか?余の威厳は厳しい罰を下してこそ保たれる。」
「私の命は殿下に忠誠を誓った日から殿下のものでございます。どうか処刑の時刻を遅らせてくださいませ。」
ヨンシルと三人の世子の側近は処刑場に縛られました。
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感想
ようやくドラマが面白くなってきました。太宗は「大王世宗(テワンセジョン)」のキャラとおおむね同じ演技ですね、ちょっとだけコミカルだけど怖いところは同じです。でも「大王世宗」と違うところは世子(世宗)の演出ですね。このドラマではヨンシルの視点で偉大な世宗もあんな風に頼りなく見えるものかと思いました。頼りがいがあるといえばイ・チョンです。イ・チョンの演技はまさに「できる男」、しかもヨンシルのために命まで懸けてくれる肝の据わった爽快で行動的で武術にも長けている理解のある男として描かれています。イ・チョンがヨンシルを「あの子」と呼んでいるのはドラマ中で親子ほどの年齢の差があるからなのでしょうが、イ・チョンはどう見ても若く見えてしまいます。それもそのはずイ・チョンを演じているのはキム・ドヒョンという俳優さんで1977年生まれで2017年時点でおそらく40歳ほどの男性で1971年生まれの現在46歳ほどのソン・イルグクよりも6つも年下なんですよ!これからヨンシルとチョン・インジたちの命が助かることはわかりきっていますけど、続きが気になります!
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