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ヘチ(해치, 獬豸)王座への道 全話の詳しいあらすじと感想 延礽君(ヨニングン)を主人公とした熱血時代劇の詳しい解説

ヘチ(해치)のあらすじ

ヘチ 王座への道 全話のあらすじと感想

概要

ヘチ(韓国語: 해치)は2019年2月11日から4月30日まで韓国のSBSで月曜日と火曜日の22時から23時10分にかけて放送されました。全48話。最高視聴率9.1%(32話34話)。

日本では2019年11月10日~21時~22時にNHKBSプレミアムで放送されました。

朝鮮王朝の粛宗王の時代。父王と身分の低い側室との間に生まれた王子、延礽君(ヨニングン)は、頭は悪いが腕っぷしと正義感だけは強い両班の息子、朴文秀(パク・ムンス)と、司憲府(サホンブ)の茶母(タモ)ヨジ、ならず者の若者タルムンらと力を合わせて国王の座を勝ち取るストーリーです。

目次

製作

SBSドラマ運営チーム。ホン・チャンウク企画の時代劇。

演出 イ・ヨンソク(이용석)

「大風水(2012年)」「一枝梅(イルジメ, 2008年)」「村-アチアラの秘密(2015年)」

助演出 ハン・テソク(한태섭)

説明

脚本 キム・イヨン(김이영)

1975年生まれ。成均館大学歴史教育学科卒業。歴史教育学士。代表作は「華政(ファジョン 2015年)」「이상 그 이상(2013年)」「馬医(2012年~2013年)」「トンイ(2010年)」「イ・サン(2007年~2008年)」「商道(アシスタントライター 2002年)」

挿入歌

挿入歌1 チョン・イン(정인) 純愛(순애보)

チョンインは1980年生まれの女性歌手です。忠南大学中退。2002年デビュー。2013年結婚。2017年第一子を出産。

挿入歌2 チョン・ウソン(전우성) 風が伝える話(바람이 전하는 이야기)

チョン・ウソンは1980年生まれの男性歌手です。驪州大学実用音楽科卒業。ソウル特別市出身。

キャスト

韓国ドラマ「ヘチ」の登場人物と出演者情報です。

延礽君(ヨニングン)イ・グム / チョン・イル演

延礽君(ヨニングン)イ・グム / チョン・イル演 ヘチの登場人物と俳優
 SBS Youtube Haechi 公式動画より延礽君(ヨニングン)

このドラマの主人公。国王の息子でありながら、母が両班出身の宮女で側室の地位にあったため、正式な後継者と見なされずに王宮の外で育ちました。1話の時点で既に既婚者で都の自宅に嫉妬深い本妻が住んでいます。延礽君(ヨニングン)はドラマの冒頭で地方から出て来たチョホンを囲い女にするほど決断力にすぐれています。ヨニングンは弓が得意で勇敢で人に物怖じすることなく堂々と、それ以上に大胆に振舞います。父王に対しても敬意を示しつつ、正直に心中を言葉にして告白できるほどの賢さがあります。自分を抑えているつもりでも、何かと目立って父の知るところとなってしまうところは王の資質があるからです。

延礽君(ヨニングン)は、実在した人物です。のちの21代朝鮮国王です。西暦1964年10月31日生まれです。

延礽君(ヨニングン)を演じているのはチョン・イルという1987年生まれの俳優さんです。 ドラマの放送時には32歳くらいです。チョン・イルは「太陽を抱く月(2012年)」で脇役の陽明君を演じていました。「夜警日誌(2013年)」では主人公のイ・リンを演じていました。

ヨジ / コ・アラ演

ヨジ コ・アラ演 ヘチの登場人物と俳優
このドラマのヒロイン。1話の時点で司憲府(サホンブ)という役所の茶母(タモ)をしています。このことから官婢であり身分が低いことがわかります。ドラマの中では上司の命令で動く捜査員をしています。身体能力が高く、上司であるハン・ジョンソクへの忠誠心が高く正義感も強い熱血女です。ヨジは1話でヨニングンの股ぐらを蹴るという罪を犯しています。

コ・アラは1990年生まれの女優です。ドラマの放送時には29歳くらいでした。代表作は「花郎(ファラン, 2016年)」でヒロインのアロを演じています。 「朝鮮魔術師(2015年)」「応答せよ(2014年)」など20代で主役級の出演作多数。

パク・ムンス / クォン・ユル演

パク・ムンス(朴文秀)ヘチの登場人物

パク・ムンス(朴文秀)は朝鮮の官僚です。ドラマの序盤では科挙に10年以上落第している頭の悪い両班の無職の青年として登場します。ドラマの役柄としては正義感が強い熱血刑事に相当する役柄です。

パク・ムンスを演じているのはクォン・ユルです。「大王世宗(テワンセジョン)」でシン・スクチュ(申叔舟)役で出ています。

タルムン / パク・フン演

タルムン ヘチの登場人物とキャスト
タルムンは市場のゴロツキです。身分が低く、しかし官庁や両班の家に属していないので貴族に仕える奴婢ではありません。奴婢より下に相当する身分であることが1話の時点でわかります。タルムンは1話の時点で親分であり、何人もの子分を従えていることがわかります。

タルムンを演じるのはパク・フンという1981年生まれの俳優です。ドラマの放映時に38歳くらいでした。主な出演作は「六龍が飛ぶ(2015年~2016年)」「太陽の末裔(2016年)」です。

ミン・ジノン / イ・ギョンヨン演

ミン・ジノン ヘチの登場人物とキャスト
ミン・ジノンは老論派(ノロンは)の実力者です。1話で吏曹判書(イジョパンソ)という正二品の人事部の長官をしています。ドラマでの老論派の序列1位はキム・チャンジュンです。

閔鎭遠(ミン・ジノン)は実在した歴史上の人物です。1664年に生まれ1736年に亡くなりました。歴史上での誕生年は延礽君(ヨニングン)と同じ年です。仁顯王后(イニョンワンフ)ミン氏の弟です。

ミン・ジノンを演じるのはイ・ギョンヨンという1960年生まれの俳優です。 2002年に未成年と淫行をしたとして警察に逮捕されています。受賞歴多数。出演作多数。

密豊君(ミルプングン)イ・タン / チョン・ムンソン演

密豊君(ミルプングン)/ チョン・ムンソン演 ヘチの登場人物と俳優
このドラマの悪役です。密豊君(ミルプングン)は初回登場時で既に人を何人も殺めている凶悪すぎる殺人鬼として描かれています。しかも王座を狙っていて主人公の延礽君(ヨニングン)や延齢君(ヨルリョングン)や世子(セジャ)と敵対関係にあります。ミン・ジノンはこの密豊君(ミルプングン)を利用するため勢力を挙げて後ろ盾となり支えています。彼は「タンの計死録」という記録を持っているという噂があります。

密豊君(ミルプングン)を演じているのはチョン・ムンソン(정문성)という1981年生まれの俳優です。ドラマの放送年には38歳でした。チョン・ムンソンは2007年にデビューしました。主な出演作は「秘密の扉」「六龍が飛ぶ」などで脇役で出演しています。

ハ・チョホン / パク・ジヨン演

チョホン ヘチの登場人物
チョホンは地方出身で酒売りの娘のでしたが上京の際に船上で延礽君(ヨニングン)の世話をした縁で延礽君(ヨニングン)の囲い女となりました。1話では船内の寝室で上半身裸で目覚める延礽君(ヨニングン)が描かれており、チョホンとねんごろな関係になったかどうか・・・さてはて。本宅でも延礽君(ヨニングン)に酒を注いでおり、夫人の嫉妬を買っています。

チョホンを演じているのはパク・ジヨンという女優さんです。

粛宗(スクチョン)/ キム・ガプス演

粛宗(スクチョン)ヘチの登場人物・キャスト
粛宗は19代の朝鮮国王です。主人公の父親です。妻は複数おり、正妻と側室がいます。しかし男子の息子が3人しかおらず、しかもいずれも母の身分が高くなかったため後継者に悩まされていました。1話の次点で長男は子が作れないことになっています。

粛宗を演じているのはキム・ガプスという韓ドラでは知らない人はいないくらい有名な俳優さんです。

延齢君(ヨルリョングン)/ ノ・ヨンハク演

延齢君(ヨルリョングン)/ ノ・ヨンハク演 ヘチの登場人物と俳優
延齢君(ヨルリョングン)は粛宗の三男です。歴史上では粛宗に最も愛された王子だといわれています。ドラマの中では穏やかで優しい性格をしています。貴族の後ろ盾が僅かであったため、政治への影響力がありません。

延齢君(ヨルリョングン)を演じているのはノ・ヨンハクという俳優さんです。「師任堂(サイムダン)、色の日記(2017年)」でRADOを演じていました。 「火の女神ジョンイ(2013年)」では光海君(クァンへグン)の少年時代を演じていました。子役スターであったため、たいへん愛らしい俳優でもあります。

ハン・ジョンソク / イ・ピルモ演

ハン・ジョンソク ヘチの登場人物・キャスト

司憲府(サホンブ)の監察(下級武官)です。正義感が強い捜査官です。既婚者で妻子がいます。老論に煙たがられています。

ハン・ジョンソクを演じるのはイ・ピルモです。イ・ピルモは「鉄の王キム・スロ(2015年)でソク・タレという、主要人物を演じていました。

ウィ・ビョンジュ / ハン・サンジン演

ウィ・ビョンジュ ヘチの登場人物・キャスト

ウィ・ビョンジュは司憲府(サホンブ)の監察でハン・ジョンソクの同僚でしたが1話で先に出世しました。

ウィ・ビョンジュを演じるハン・サンジンは「イ・サン(2007年)」でホン・グギョン役を演じていました。「馬医」では国王を演じていました。「根の深い木(2011年)」でもシム・ジョンスという学者役で登場していますが、現代劇の出演が多いです。

ユン・ヒョク / チェ・ミンチョル演

ユン・ヒョク ヘチの登場人物・キャスト

ユン・ヒョクは司憲府(サホンブ)の監察です。5話の初回登場時に同じ監察であるハン・ジョンソクとの面識の有無についてはまったく描かれていません。しかし監察の人数からして知らないはずがありません。ユン・ヒョクはハン・ジョンソク同様の熱血漢で正義感溢れる捜査官です。

ユン・ヒョクを演じているのはチェ・ミンチョルという俳優さんです。チェ・ミンチョルは「オクニョ」で典獄署(チョノクソ)のチョン・デシクを演じていました。チェ・ミンチョルは1976年生まれなので、ドラマ放送時の2019年には43歳です!

各話あらすじ

「ヘチ 王座への道」1話から最終回までのあらすじと感想です。

全話あらすじ

ストーリーを完全にネタバレしています。まだご視聴されていない方はお読みにならないほうが賢明です。

序盤

粛宗の晩年、世継ぎである世子(セジャ)は子が成せない体であり後継者を巡って権力争いが激しくなってきていました。国王の次男で王宮の外で育った延礽君(ヨニングン)は幼い頃より勉学に励みながらも母子ともに父や貴族たちから遠ざけられていたため、鬱屈した気持ちを抱えたまま、自由気ままに過ごしていました。

ある日、延礽君(ヨニングン)が気まぐれで興味を持った事件に首を突っ込むと、なんだか深刻な事になっていくのでした・・・。 彼には適当に気になった事でありましたが、敵にとっては富と権力が絡む、大きな懸けだったのです。

延礽君(ヨニングン)は密豊君(ミルプングン)が斡旋している科挙の替え玉となり不正の証拠を探っていました。科挙の試験会場で出会ったのはパク・ムンスという若者でした。パク・ムンスは科挙に落第して10年。頭が悪いものの、正義感が並外れて強く司法機関である司憲府(サホンブ)の官僚になることを夢見ていました。

司憲府(サホンブ)ではハン・ジョンソクという監察(刑事)が茶母(タモ)のヨジと捜査員のアボンとチャンダルを従えて密豊君(ミルプングン)の殺人事件を捜査していました。この四人は法の正義を信じる熱血漢でした。ヨジは男と同等の力を持つため武術のできる潜入捜査員として働いていました。彼らは密豊君(ミルプングン)が人を殺して「タンの計屍録」に記録していることを突き止めました。

延礽君(ヨニングン)は科挙の不正を調べているうちにハン・ジョンソクたちと出会い、互いに密豊君(ミルプングン)を調べていることから協力しはじめます。

しかし捜査の前に老論派(ノソンパ)のミン・ジノンという吏曹判書(イジョパンソ)が立ちはだかります。ミン・ジノンは老論派の陰の実力者で次の国王に密豊君(ミルプングン)を推戴(すいたい)していました。ミン・ジノンは密豊君(ミルプングン)を擁立(ようりつ)して傀儡(かいらい)にして老論派の官僚が支配する世の中を作ろうとしていました。

ハン・ジョンソクは密豊君(ミルプングン)の犯罪を明らかにすべく司憲府(サホンブ)の長官に告発し、延礽君(ヨニングン)が証人となる予定になっていました。延礽君(ヨニングン)は密豊君(ミルプングン)が科挙の替え玉で不正に利益を上げていると証言しました。替え玉となったことで処罰を望みました。延礽君(ヨニングン)は密豊君(ミルプングン)と共倒れする覚悟でした。密豊君(ミルプングン)は投獄されました。

このことで老論派は密豊君(ミルプングン)から延齢君(ヨルリョングン)に支持を変えました。ミン・ジノンは延礽君(ヨニングン)に延齢君(ヨルリョングン)を守るためにハン・ジョンソクが偽りを申したと偽証するように脅しました。延礽君(ヨニングン)が処罰されては延齢君(ヨルリョングン)の即位に影響するからでした。

延礽君(ヨニングン)は後で態度を急変させハン・ジョンソクに証言を強要されたと逆告発しました。延礽君(ヨニングン)は弟である延齢君(ヨルリョングン)を王にするためにハン・ジョンソクを裏切ったのでした。密豊君(ミルプングン)は釈放されました。

ヨジとパク・ムンス、アボンとチャンダルは延礽君(ヨニングン)の裏切りに失望しました。

粛宗(スクチョン)はイ・イギョムと密かに面談をすると延礽君(ヨニングン)を後継者に指名しました。

ハン・ジョンソクは賄賂を受け取った罪をでっち上げられウィ・ビョンジュに捕らえられてしまいました。

粛宗は苦しい立場にある延礽君(ヨニングン)に密豊君(ミルプングン)についての行動を記録した義禁府の文書を内密に与えました。ヨジたちは寺に計屍録があることを知って潜入捜査しましたが、帳簿はユニョンに持ち去られていました。ハン・ジョンソクは友人と思っていたウィ・ビョンジュが裏切っていたことを知ったその瞬間、ビョンジュに刺殺され真相は闇に葬られてしまいました。密豊君(ミルプングン)は腹いせに延齢君(ヨルリョングン)を殺して清国に逃亡するかのように旅立ちました。ショックを受けた粛宗(スクチョン)は崩御してしまいました。延礽君(ヨニングン)は弟の最期を看取り、心に深い傷を負いました。

景宗が国王となり1年が経過しました。景宗は老論に毎日恫喝されて早くも気が滅入っていました。延礽君(ヨニングン)は宗親部(チョンチンブ)という王族に関する職務に就いていました。ヨジとアボンとチャンダルは司憲府(サホンブ)を解雇され、密かに延礽君(ヨニングン)に支援されているとも知らずに生き延びていました。

ある日、ミン・ジノンがウィ・ビョンジュに命じ、典獄署(チョノクソ)の囚人が脱走しました。その目的は少論派を弾劾するためでした。延礽君(ヨニングン)は逃亡した少論の政治犯をタルムンに預けていました。

密豊君(ミルプングン)は清国の使臣を味方にして帰ってきました。ユニョンは王妃に取り入り密豊君(ミルプングン)を養子にしてもらおうと企んでいました。

ヨジとパク・ムンスたちは死んだハン・ジョンソクの無念を晴らすために司憲府(サホンブ)に侵入して延礽君(ヨニングン)と再会しました。

延礽君(ヨニングン)とヨジたちは和解しました。

司憲府(サホンブ)では熱血漢のユン・ヒョクが科挙不正を探っている時にパク・ムンスと出会いました。

延礽君(ヨニングン)は景宗と信頼関係を結んで老論派を分裂させることを試みます。

中盤

延礽君(ヨニングン)は田制改革を主張し、地主である両班が税金を払わずに小作人である民が重税を強いられていることを朝廷で主張し、税制が変えられました。延礽君(ヨニングン)の民への徳の高さは日に日に高まりました。景宗(キョンジョン)は内心では民に慕われる弟に嫉妬していました。

延礽君(ヨニングン)の説得により、老論派での影響力が落ちた老臣で領議政のキム・チャンジュンと吏曹判書(イジョパンソ)のイ・イギョムが味方につきました。少論派で世弟(セジェ)の師匠でもある李光佐(イ・グァンジャ)とチョ・ヒョンミョンも味方になりました。

しかし密豊君(ミルプングン)は偽の上奏を国王に提出しました。その内容は延礽君(ヨニングン)が景宗(キョンジョン)にかわり政治を行うという代理聴政(テリチョンジョン、王の代わりに政務を行うこと)を推薦するものでした。怒った景宗(キョンジョン)は延礽君(ヨニングン)を代理聴政に任命しました。延礽君(ヨニングン)はこのままでは兄に逆らい王になれなくなるので席藁待罪(ソッコテジェ)といって土下座して国王に王命の撤回を求めました。

密豊君(ミルプングン)はさらに延礽君(ヨニングン)が領議政の孫と吏判(イパン)の息子と結託して謀反を企んでいるという偽の告発状を出しました。告発文を見て景宗(キョンジョン)は弟への疑いを深めていくのでした。

鞫庁(ククチョン)という特別法廷が設置され、延礽君(ヨニングン)が審理されることになりました。ウィ・ビョンジュは上司の大司憲(テサホン=長官)を説得して拷問を指揮する役を買って出ました。

延礽君(ヨニングン)は窮地を乗り切るためにパク・ムンスやタルムンとともに、密豊君(ミルプングン)とウィ・ビョンジュが犯人である証拠を掴みました。そして延礽君(ヨニングン)は朝廷にも根回しをするためミン・ジノンを説得しました。肅宗(スクチョン)の時代に兄をチャン禧嬪の罠により無実の罪で処刑されたミン・ジノンは「今回だけだ」といって「この鞫問には意味がない。なぜなら世弟(セジェ)は潔白だからだ。王様もご存じでしょう?」と王に訴えたのでした。

良心を咎められた景宗(キョンジョン)は、父王が弟を世継ぎに望んでいたことを思い出し、鞫庁(ククチョン)を中止したのでした。

事件が終わり、延礽君(ヨニングン)は正式に摂政を任されました。

延礽君(ヨニングン)は摂政に就任するとすぐにユン・ヒョクが作った三司(サムサ)の人事改革に取り組みました。一時的にイ・グァンジャが大司憲を兼任しました。

終盤

密豊君はユニョンを使い、景宗を毒殺しました。王の煎じ薬に毒が入っていることに気づいた密豊君は、王への投薬を禁じました。しかし既に手遅れで景宗は弟に王になるよう遺言を遺して亡くなりました。少論派のチョ・テグは仲間を率いて仁元大妃(イヌォンテビ)に真相が明らかになるまで国葬してはならないと反対しました。

次の王の即位まで6日の時間がありました。

少論派と老論派はそれぞれの配下の軍を掌握していつでも政治の主導権を奪えるように準備をはじめました。

このままでは世弟(セジェ)が国王になれないかもしれないと危機感を持った少論派の李光佐(イ・グァンジャ)は、老論派の左議政閔鎭遠(ミン・ジノン)に政治取引をもちかけます。それは自らと派閥の臣下チョ・ヒョンミョンと朴文秀(パク・ムンス)の辞職と引き換えにヨニングンを王にすることでした。閔鎭遠(ミン・ジノン)は取引に応じ、延礽君(ヨニングン)に味方し、チョ・テグを説得しました。

延礽君(ヨニングン)は仁元大妃(イヌォンテビ)に慣例よりも早く即位させてほしいと頼みました。仁元大妃(イヌォンテビ)は宣旨を書きました。

延礽君(ヨニングン)は第二十一代朝鮮国王英祖(ヨンジョ)となりました。

没落した南人で王族の李光佐(イ・グァンジャ)は反乱の機会を伺っていました。李光佐(イ・グァンジャ)は同じ南人のウィ・ビョンジュを味方に加え、流刑に処せられている密豊君を救出して砦(とりで)に招きました。李光佐(イ・グァンジャ)は私財を投げうって政権を奪おうと計画していました。

李光佐(イ・グァンジャ)は全国の井戸に毒を投げ、先王が英祖(ヨンジョ)に毒殺されたという怪文書を撒きました。原因不明の疫病が拡がり英祖(ヨンジョ)への忠誠心が揺らぎました。英祖(ヨンジョ)は井戸を閉鎖して処方を活人署(ファリンソ)に送ると疫病が収束しました。

密豊君とウィ・ビョンジュを味方に付けた李麟佐(イ・インジャ)。ウィ・ビョンジュは清州の武器庫の鍵を手に入れました。

パク・ムンスは李麟佐(イ・インジャ)の砦を見つけ、王様に報告しましたが戻った時には既に反乱軍は進軍を開始していました。

英祖(ヨンジョ)は李光佐(イ・グァンジャ)とチョ・ヒョンミョン、パク・ムンスを再登用しました。李光佐(イ・グァンジャ)は兵曹判書となり官軍の総帥権を任されました。パク・ムンスも遊撃部隊のリーダーになりました。チョ・ヒョンミョンは慶州の鎮圧に乗り出しました。

英祖(ヨンジョ)は朝廷の政治においても閔鎭遠(ミン・ジノン)は趙泰耉(チョ・テグ)に協力を求め、重要な決定を下しました。重臣たちは南人の登用と連座制の不問についてたいへん驚きました。この政策が功を奏し、李麟佐(イ・インジャ)の反乱軍は内部分裂を起こしました。南人の領袖たちや儒生や両班、南人派の民たちのほとんどが英祖(ヨンジョ)の側に寝返りました。

パク・ムンスの官軍はタルムンの義勇兵とともに安城(アンソン)にて反乱軍を撃退しました。李麟佐(イ・インジャ)と密豊君(ミルプングン)は逃亡し、ウィ・ビョンジュは捕らえられました。

タルムンは英祖(ヨンジョ)に敵の居場所を教えるかわりにユニョンを助けて欲しいと頼みました。ユニョンはタルムンに大金を貰って部下に逃亡を手助けしてもらいました。

ウィ・ビョンジュはパク・ムンスに密豊君の居場所を教えるから助けて欲しいと命乞いをしましたが、パク・ムンスは無視しました。

李麟佐(イ・インジャ)は密豊君(ミルプングン)に山を降りて南人を説得すれば味方が増えると嘘を言いました。

騙された密豊君は山を降りて南人派の両班が来るのを待っていましたが、そこには誰も来ませんでした。

ユニョンは密豊君(ミルプングン)が囮に使われたことを哀れに思い、彼のもとに駆け寄りました。ユニョンは密豊君を清国に逃がそうとしました。密豊君は重臣だけでなく大妃にも延礽君にも、閔鎭遠(ミン・ジノン)からも見下されていたことを思い出し錯乱状態になりました。ユニョンは買収した行商人に刺されて亡くなりました。

密豊君(ミルプングン)は心の底からユニョンのことが好きでした。ユニョンを失った密豊君は正気を失い英祖(ヨンジョ)のもとへ向かいます。

英祖(ヨンジョ)は派閥にとらわれず南人派を要職に登用しました。老論派と少論派は猛反対して朝廷への出仕をボイコットしました。政治の混乱のさなか、閔鎭遠(ミン・ジノン)と趙泰耉(チョ・テグ)は辞意を表明しました。英祖(ヨンジョ)は人事制度を改革するために領議政に少論の李光佐(イ・グァンジャ)を、大司憲(テサホン=長官)に少論のチョ・ヒョンミョンを任命しました。

司憲府(サホンブ)では高官たちがチョ・ヒョンミョンの出仕を阻みました。

報告を受けた英祖(ヨンジョ)は司憲府(サホンブ)に出向き齊坐廳(チェジャチョウ)を開き長きにわたる腐敗について論じ公正な人事制度の必要性について演説しました。しかし高官たちは猛反対し英祖(ヨンジョ)の訴えは反対の声にかき消されてしまいました。

乱心した密豊君が王宮に侵入したため英祖(ヨンジョ)は会いに行きました。密豊君(ミルプングン)は英祖(ヨンジョ)に向かって刃物を振り上げましたがその場で自害して果てました。

タルムンは反乱軍の残党を倒しました。

英祖(ヨンジョ)は反乱に加わった者の処刑を命じ、李麟佐(イ・インジャ)やウィ・ビョンジュは死刑になりました。

タルムンはユニョンを水葬しました。

夜になり、英祖(ヨンジョ)はヨジと抱き合いました。

次の日、英祖(ヨンジョ)は吏曹正郎(イジョチョンナン)と三司(サムサ)を改革しました。

パク・ムンスは暗行御史(アメンオサ)となり全国を旅しながら汚職を監視していました。

英祖(ヨンジョ)は朝廷を去った閔鎭遠(ミン・ジノン)に復帰を求めましたが固辞されました。

英祖(ヨンジョ)は民との対話を行い、民の気持ちに配慮し、両班の反対があっても少しずつ前進することに決めました。

視聴感想

全話見終えた視聴感想です。

序盤の感想

序盤(1話~5話)までの感想です。この回まではイ・ピルモ演じるハン・ジョンソクという素敵な監察と、「イ・サン」にも出ていたハン・サンジン演じるウィ・ビョンジュの男同士の親密な仲にも薄情な裏切りが何とも言えない緊張感があって面白かったです。ハン・ジョンソクの存在感が半端なくて主人公の延礽君(ヨニングン)よりも目立っていました。現代ドラマでは冴えない役柄が多いお二人ですが、時代劇となると本当に輝いて見えるから不思議です。

延礽君(ヨニングン)は世継ぎではありませんので、景宗よりも「絶対に目立ってはいけない立場」です。ですからドラマでは遊び人を演じていたのです。「私は王座を狙っていませんよ~」ということを行動で示さないと命を狙われるからです。

序盤といえば、延齢君(ヨルリョングン)も輝いていましたね。あの穏やかで薄倖そうな微笑はノ・ヨンハクさんの演技のなせる業。とっても愛らしい王子様でした!

一方で魅力が無い王族の密豊君(ミルプングン)ですが、これは本当にどうしようもない役柄ですね。心は三歳児で、体だけ大きくなって、自分自身が何者かもわからない無知な王族。それはそれで人生苦しいのでしょうが、自分が何やってるかも認識できませんから、やたらつらくて暴れてしまうのでしょう。そんな役柄は面白く無いのですが、いろいろメンタル面で考えさせられる役でした。

そんな密豊君(ミルプングン)を操っているたのがミン・ジノン。ミン・ジノンの演技から「かなりの大物感」が出ていたものの、6話以降は怯えた子猫みたいにちっさくなってしまって・・・おじさんのくせに弱っちいの。態度はデカくて心は小心者のミン・ジノン。態度は小さくて覚悟のデカいイ・イギョム。天然の領議政キム・チャンジュン。内面の演出だけで比べたらイ・イギョムが有利そうですね。

中盤の感想

イ・イギョムとキム・チャンジュンが英祖(ヨンジョ)の側近になると思ったら、あの二人は流刑になって賜死という非業の死を遂げることに!思わぬ展開に困惑しながら見続けていると、閔鎭遠(ミン・ジノン)は密豊君を捨てて自分たちだけで派閥を維持していきます。

王様の景宗(キョンジョン)が密豊君(ミルプングン)にやられ、延礽君(ヨニングン)が即位して英祖(ヨンジョ)になると、景宗(キョンジョン)の側近だった李光佐(イ・グァンジャ)たちが英祖(ヨンジョ)の側近になってまさか少論派と仲良かったの!?と思うぐらい親密な関係に!

ヨジはしばらく女官村という村で宮女になる修行をして、恋心らしい演出はなかったものの、ヨジは既に延礽君(ヨニングン)のことを愛しているらしいことになっていました。それっぽい演出が無かったのに!

ト・ジグァンなどというマフィアの親分みたいな人も出て来ました。

愛と勇気と希望の三点セットで難局を乗り切る英祖(ヨンジョ)イ・グム。

終盤の感想

ドラマを通じて密豊君(ミルプングン)とウィ・ビョンジュが最後まで主人公の延礽君(ヨニングン)に戦いを挑んできましたが、最後にイケメン色男の李麟佐(イ・インジャ)という無職が反乱を起こします!女性ファンに対する目のサービスでしょうか。李麟佐(イ・インジャ)役の俳優さんはほんとうに男前で・・・。でもあっけなく御用となり処刑されてしまうなんて!

ドラマを通じて閔鎭遠(ミン・ジノン)は面白いことを言っていました。閔鎭遠(ミン・ジノン)自身は汚職と腐敗を許容する汚職左議政として描かれています。それなのに閔鎭遠(ミン・ジノン)はそんな実際の自分とは反対に政治の道を英祖(ヨンジョ)に教え、むしろ助言しているのです。閔鎭遠(ミン・ジノン)は老論(ノロン)派の世の中を作ることが主な役割でしたが、反乱が起きると愛国心を見せて国のために南人の登用を認めました。そして政治は少しずつ辛抱強く前に進むものだと、実のところ保守派ではなく改革派であり、理想に燃えていた時期もあったようですが、兄がチャン・オクチョンの陰謀で処刑されてからは自らが生き延びるために慎重に生きて勢力を拡大して領袖に登り詰めたようです。閔鎭遠(ミン・ジノン)は「ヘチ」のような善悪を区別して罰する生き物は現実にはおらず、現実には勝つ者と負ける者しかいなくて、負けたら死あるのみと思い夢見ることをやめていました。閔鎭遠(ミン・ジノン)はドラマの最後に生きることや政治の本質は夢を見ながら前進して現実で阻まれると一歩下がり、そして再び前に進むのだと言い朝廷を去りました。夢を見られるのは王様とその友人しかいないという演出はどうかと思いましたが、ドラマの設定上は老論派も少論派も、南人派ですら官職を独占することで一生懸命で夢見るどころではないようです。それでも主人公たちのような熱意があり世の中を公平平等なものにしようという人達が世の中を少しずつ変えていく。それが政治であり生きることの本質なのだとこのドラマの脚本は言っているわけでありました。蕩平策(タンピョンチェク)を行い派閥争いによる死傷者を減らそうとした英祖(ヨンジョ)の政策に繋がった、みたいな関連付けが行われてドラマは終わります。要するに、腐敗と戦うドラマ、ですね。

司憲府(サホンブ)のハン・ジョンソクやユン・ヒョクのマジメ一徹路線はとても面白かったです。彼らみたいな熱血漢が実際にいるのでしょうか?いたら教えてください!

恋愛面ではチョン・ヨジが英祖(ヨンジョ)の側室となるのかどうかについては描かれていませんでした。歴史上でもチョン氏が英祖(ヨンジョ)の妃であったという記録もないようです。

※画像はいずれもSBS公式Youtube動画から紹介しています。

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