へチ王座への道1話
目次
あらすじ
プロローグ
1719年の朝鮮王朝。粛宗の崩御が近く朝廷は老論(ノロン)派と少論(ソロン)派に分かれて対立していました。世子イ・ユン(景宗)の後ろ盾にはそのどちらにも属さない僅かな派閥があるだけでした。この時期には司憲府(サホンブ)という役人の不正を監視する司法機関がありました。
夜。ミン・ジノンは木彫りの魚の鱗を小刀で彫りながら背後に立っている武官ウィ・ビョンジュと話していました。ミン・ジノンは次期政権を獲得すべく生きるか死ぬかの懸けに出ようとしていました。ミン・ジノンはもし権力を失えば命が無いと武官に呟きました。
王宮。
世子イ・ユンの前に下着姿の女たちが整然と並んで立っていました。女たちは指示通りに上の衣を脱ぎ捨てました。イ・ユンは暗い表情のまま微動だにしませんでした。突然扉が開き、医官が部屋に入って来ました。世子付の内官は医官に向かって首を横に振りました。しばらくすると父王が部屋に入って来ました。既に中年になった男、イ・ユンは父王の来訪を恥ずかしく思い、気落ちしたように僅かに顔を横に動かしただけでした(※のちほど解説します)。
雨が降る大臣の私邸の庭。
東宮殿(世子付き)の内官はミン・ジノンという大臣とその勢力の前で「間違いなく世子が交代します」と宮廷の情報を伝えました。
「東宮が変わるかもしれぬ。」
彼らは密談を始めました。
その中の一人に、若い王子(密豊君)がいました。
その中の一人に、若い王子(密豊君)がいました。
冒頭の部屋(小屋)。
吏曹判書(イジョパンソ)のミン・ジノンは話を終えると手を休めて政変は決して過去の一度限りではないことを示唆しました。まだ若い男、司憲府(サホンブ)の監察(一番下級の役職)のウィ・ビョンジュはなぜ自分をここに呼んだのかミン・ジノンに尋ねました。辺りには高価そうな白磁の壺がいくつも並べられていました。
ミン・ジノンは優秀なウィ・ビョンジュに科挙を受けたとしても属している派閥が小さいので出世できないと言いました。ウィ・ビョンジュは今夜出動することを言い当てられて動揺しました。ミン・ジノンはウィ・ビョンジュを唆して味方に引き入れようとしていました。
「そなたらのような司憲府(サホンブ)の者をヘチと呼ぶのだ。ヘチ。善と悪を審判する空想上の生き物。なぜヘチがこの世にいないと言われるのか。現実では善悪を審判できないからだ。」
雨が降る通り。
とぼとぼと歩いていたウィ・ビョンジュは上司のハン・ジョンソクに声を掛けられました。ウィ・ビョンジュは正義感溢れる同僚を見て、ミン・ジノンの甘い言葉を思い出しました。
監察が待機する場所。
「今夜、我々司憲府(サホンブ)の監察が集ったのは、政治は時流ではなく、法と正義を守るためである。」
ハン・ジョンソクは部下の前で演説をしました。
夜明け前(領議政の自宅の前)あ。
ハン・ジョンソクは門の前に設置された「たとえ武芸の腕前が最も弱くても、正義の刀を握れば強くなれる」と書かれたスローガンを読み上げました。それに対しウィ・ビョンジュはミン・ジノンに世の中には正義は一度も勝ったことがないと言われたことを思い出しました。
本編
船上の朝。
酒売りの娘(チョホン)はもうすぐ漢陽(ハニャン)に着くと男に声を掛けました。上半身裸の青年は布団からゆっくりと起き上がると衣を身に着けました。男、延礽君(ヨニングン=トンイの息子)イ・グムは甲板に出ると「朝廷に行っても私は役に立たない」とつぶやきました。チョホンは初めて自分を人間扱いしてくれたイ・グムにとても感謝していました。イ・グムはチョホンに自分の住まいの場所を伝えると、礼を言って別れました。
「酒売りの女を囲ったらあなたが悪く言われるわ。」
「心配するな。悪く言われるのは私の仕事だ。」
イ・グムは船を降りると馬で都に向かいました。
「酒売りの女を囲ったらあなたが悪く言われるわ。」
「心配するな。悪く言われるのは私の仕事だ。」
イ・グムは船を降りると馬で都に向かいました。
漢陽(ハニャン)の馬市場。
ケドルは偉そうで無知な男に「いい馬に乗ると出世できないからこの中間の価格帯の馬がいい」と安物の馬を売りつけようとしていました。ケドルは奴婢のタルムンに合図すると、馬の体を拭いていたタルムンは200両の馬を300両で売ると答えました。
イ・グムは乗馬を終えると馬場に戻るとケドルに馬を褒めました。ケドルは無料で馬を差し上げると言いました。イ・グムはケドルの頼みを聞き入れました。ケドルはケドンという場所は昨夜、領議政(ヨンイジョン=宰相)が捕らえられたので行かないほうがいいと言いました。
領議政の自宅前。
門の前に街の人々が集まっていました。
領議政(ヨンイジョン=現代日本でいう総理大臣)のキム・チャンジュンは怒って器を投げました。
隣に立っている妓生の女、ユニョンは付き人の娘に、司憲府(サホンブ)は領議政が悪いという噂をでっち上げていると説明しました。
その場にミン・ジノンが現れました。
司憲府(サホンブ)。
大司憲(テサホン=長官)のイ・イギョムは領議政が陥れられたため憤慨していました。執義(副長官)は、次の世子は密豊君(ミルプングンか)、延齢君(ヨルリョングン)に交代しそうだが、有利なのは密豊君だと言いました。イ・イギョムはこの時期に密豊君の後ろ盾となっている老論(ノロン)派の領袖である領議政が捕まるとは何事かと怒っていました。
役所の部屋。
上司のチョ・ヨンハンは自分を含めて24人の部下を並べると「監察は誰だ!」と怒鳴りました。監察(下級管理職)のハン・ジョンソクは不正を正しただけだと言いました。ウィ・ビョンジュは上司こそ監察の報告を聞かなかったと言いました。ハン・ジョンソクは圧迫して殺人事件の捜査を妨害したと訴えました。チョ・ヨンハンは命令文を床に投げると、ハン・ジョンソクに都で開かれている成均館(ソンギュングァン)の科挙の試験を監視して来るように命じました。
試験会場。
ある者は服の中にカンニング用の紙を忍ばせていました。延礽君(ヨニングン)は試験会場に入ると、置かれていた酷い筆を手に持ち受験生として着席しました。隣に受験生のパク・ムンスが座ると、大君に気安く声を掛けました。パク・ムンスは試験に落ちて二けたになると打ち明けるとヨニングンを励ましました。パク・ムンスは上等のイタチの筆だといって白く柔らかい毛で出来た新品の筆を延礽君(ヨニングン)にあげました。
ハン・ジョンソクは部下のチャンダルとアボンと並んで歩いていました。二人の部下は、チュ・ヨンダルの悪口を言っていました。
科挙の試験がはじまりました。延礽君(ヨニングン)は52歳、イ・テピョンという偽名を使いました。パク・ムンスはそれを見て「替え玉だろう」と大きな声を出しました。
「これ、イタチの毛でなく豚の毛だろ。」
延礽君(ヨニングン)は答案を適当に混ぜると逃げました。
パク・ムンスは延礽君(ヨニングン)の後を追い掛けました。
(※筆者が見たところ、豚ではなく本物の羊毛でしたが・・・。)
(※筆者が見たところ、豚ではなく本物の羊毛でしたが・・・。)
街。
通りを歩いていたハン・ジョンソクたちは知人のパク・ムンスの姿に気が付きました。
延礽君(ヨニングン)はパク・ムンスの答案では当分は合格しないだろうと軽く言いました。怒ったパク・ムンスは延礽君(ヨニングン)に向けて槍を投げました。槍は延礽君(ヨニングン)の脇にある壁に突き刺さりました。
その時、延齢君(ヨルリョングン)イ・フォンの行列が通りかかりました。延礽君(ヨニングン)はパク・ムンスがヨルリョングンに気を取られている隙に走って逃げました。
ハン・ジョンソクはパク・ムンスに声を掛けました。
路地裏。
息を切らしている延礽君(ヨニングン)に弟の延齢君(ヨルリョングン)が優しく声を掛けました。
王宮。
宴が開かれ、密豊君(ミルプングン)イ・タンは母の仁元(イヌォン)王妃と世子嬪(セジャビン)、や弟の前で剣の舞を披露しました。背後でやられ役として舞っていた部下はイ・タンの殺気にひっくり返って驚きました。
舞を終えた密豊君(ミルプングン)はなぜ世子が来ていないのかと言いました。世子嬪が答えづらそうにしていると、仁元(イヌォン)王妃は傍系は考える必要が無いと牽制しました。そこに世子の延齢君(ヨルリョングン)が到着しました。延礽君(ヨニングン)も延齢君に招かれて姿を見せました。仁元(イヌォン)王妃は渋々再会を喜んだ振りをしました。
王宮の一角。
密豊君(ミルプングン)は失敗した部下を斬り殺そうとしました。
延礽君(ヨニングン)は「内禁衛(ネグミ)が見たらどうするのだ」と弟の行為をやめさせました。密豊君は「私は、昭顯世子(そひょんせじゃ)の直系の者だ」と王になる意欲を見せましたが、延礽君は「延齢君側の領議政を摘発させたのはそなただろう」と言い当てました。延礽君は怒って刀を振り上げました。そこに、武官が急いでやって来て王様が密豊君に直接言いたいことがあると伝えました。
国王の粛宗は、密豊君に曾祖母の昭顯世子(そひょんせじゃ)の妃である姜氏の身分を回復して昭顯世子(そひょんせじゃ)の霊廟に入れると言いました。密豊君(ミルプングン)は「ご厚恩の極みにございます!」と土下座しました。
世子嬪は部屋で泣き叫びました。
仁元(イヌォン)王妃は粛宗(スクチョン)に尋ねると、粛宗は血統を絶やさないためだと言いました。
延齢君のもとにも知らせが届きました。延齢君は「私のことは心配するな」と側近たちに言いました。
密豊君は後ろ盾の大臣たちに祝辞を述べられていました。
夜になりました。
延礽君(ヨニングン)はチョンドンの自宅に帰りました。
執事のチャドンは帰って来た主人を出迎えました。
妃のソ氏は「卑しい女め!」とチョホンの頬を叩いて怒ってました。
そこに延礽君が帰ってくると、ソ氏は「妓生は構いませんが、この女はいけません!」と怒りました。
延礽君(ヨニングン)は布を湿らせてチョホンに渡し、自分の出自について打ち明けました。チョホンは王族にも民にもなれない延礽君(ヨニングン)に理解を示しました。
司憲府(サホンブ)の前。
パク・ムンスは門から出て来たハン・ジョンソクに声を掛けました。
酒場。
パク・ムンスは替え玉がいたことについてハン・ジョンソクに話すと、すぐにでも捕まえるように言いました。
ハン・ジョンソクは手順を踏まないと捕らえることはできないと答えました。
納得がいかないパク・ムンスは残って酒を飲んでいたチャンダルとアボンを誘いましたが断られました。
パク・ムンスはヨジのところに行くことに決めました。
妓楼。
延礽君は酒瓶が日増しに小さくなっていくことを嘆いていました。
妓生のチョン・ヨジは自分の胸の大きさを気にしていました。
個室。
吏曹判書(イジョパンソ)のミン・ジノンと領議政のキム・チャンジュンと大司憲の3人は狂暴な密豊君が世子になりそうだと密談していました。彼らは密豊王を王にすると話していました。ミン・ジノンはウィ・ビョンジュを監察の長にするとうまくいくと大司憲に言いました。
延礽君(ヨニングン)はケドルから替え玉に密豊君とタンとノ・テピョンが関わっているという知らせを受けました。ケドルは「タンの計屍録(ケシロク)」の話を持ち出し、ました。密豊君の周辺では多数の使者が出ているという噂がありました。
小屋の中。
密豊君は誰かを拷問していました。
ハン・ジョンソクは延齢君に密豊君のまわりでは死者が続出しているという噂は本当で、三年前に密豊君の不正を告発しようとした者が殺され事件を追っていた者やその家族までもが死んだ事件を話しました。
小屋の中。
ノ・テピョンは密豊君に「姪を殺されたことは黙っていますので科挙に合格させてほしい」と頼みました。密豊君は「科挙にうかっただけで十分だろう」と言ってノ・テピョンを殺して山に遺体を埋めました。
ハン・ジョンソクは密豊君の事件を追うので延齢君に気を付けるよう助言しました。
妓楼。
ウィ・ビョンジュは何かを探っていました。そこに妓女(キニョ、妓生の女)でハン・ジョンソクの手下のヨジが声を掛けました。ウィ・ビョンジュはヨジの髪型が変わったことに気が付きました。未婚のヨジは「髪を上げた女人(にょにん)にあこがれて真似をしただけなのでお見逃し下さい」と宝飾品(賄賂)をウィ・ビョンジュに渡しました。
朝になりました。
延礽君(ヨニングン)は執事から矢を受け取りました。延礽君は密豊君の狩りに付いて行って様子を監視すると言いました。
司憲府(サホンブ)の役所。
ヨジは髷を結って男装すると「密豊君を捕まえなければ」とハン・ジョンソクに言いました。ヨジは「タンの死屍録」を手に入れると意気込みました。
役所から出て来たアボンはパク・ムンスにこっそり会って文書を渡しました。
パク・ムンスはノ・テピョン52歳を捕まえようとしていました。
狩場。
部下たちは密豊君を褒めました。
太鼓が鳴って角笛の音が鳴りました。
街。
パク・ムンスはノ・テピョンの家にやって来ると、そこには誰もいませんでした。パク・ムンスはノ・テピョンとその家族が逃亡したと思いました。
狩場。
ヨジは延礽君(ヨニングン)と会いました。延礽君(ヨニングン)はヨジに気が付きませんでした。
街。
科挙の合格者の名前が発表されました。パク・ムンスは「ノ・テピョン主席」という名前を見て驚きました。
狩場。
ヨジはテントの中に忍び込んで帳簿を捜しました。そこに延礽君(ヨニングン)が現れヨジに声を掛けました。延礽君(ヨニングン)はヨジが手にした箱を置いて行くように言いました。ヨジは延礽君(ヨニングン)の股間を蹴って逃げました。
狩りから戻って来た密豊君はヨジに気が付きました。ヨジはあっという間に兵士に囲まれてしまいました。密豊君はヨジの首に刀を突きつけました。
延礽君はヨジを解放するように言いました。
感想
韓国ドラマ「ヘチ」1話の感想です。粛宗の息子、延礽君(ヨニングン)が主役のようですね!しかし、今回は「似たようなお顔の人がたくさん出演している」ので、日本人の私が見ても、誰が誰かはっきりと区別することができませんでした。ハン・ジョンソクとウィ・ビョンジュも年齢や顔つきがよく似ていて、ヨニングンとヨルリョングンも年頃や顔つきがそっくりで見分けが付きません。何度も巻き戻して見直して、ようやく、少しずつわかってきました。
冒頭の場面は世子のイ・ユンが不能であることを表現しています。一度見ただけでは何のことかさっぱりわからなかったので、歴史を読み直してから、もう一度ドラマを見て理解しました。この場面はユンの下半身が美しい女性たちの裸を見ても反応しないことを意味しています。男としての勤めが果たせないということです。
冒頭の場面は世子のイ・ユンが不能であることを表現しています。一度見ただけでは何のことかさっぱりわからなかったので、歴史を読み直してから、もう一度ドラマを見て理解しました。この場面はユンの下半身が美しい女性たちの裸を見ても反応しないことを意味しています。男としての勤めが果たせないということです。
女性のほうはヨジという女性と、チョホンという女性がいましたが、同じ人ですよね!?というくらい声の低さもよく似ています。
対となる登場人物の年や容姿が似ているというのは意図的に配役されたのでは?と思ってしまいます。
今のところ面白いかどうかといった感想ではなく、シリアス系、サスペンス系なのかな?と思います。
続きを期待したいと思います。
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