鞫廳(鞫庁=グクチョン)
鞫廳(鞫庁)とは韓国語で국청(グクチョン)という朝鮮時代の官庁です。謀反、大逆、綱常のような国家体制を脅かす犯罪を諮問するために王命により臨時に設置される特別裁判所です。
※写真は韓国ドラマヘチ14話(Youtube SBS公式動画)から鞫庁(親鞫)演じられている様子を転載しました。
目次
解説
鞫廳(鞫庁, グクチョン)は王命により設置される一時機関で常任の官員や庁舎がなく、鞫廳(鞫庁, グクチョン)が設置されるたびに宮中に特別法廷を設置して、領中樞府事(ヨンジュンチュブサ)や領敦寧府事(ヨンドンニョンブサ)、議政府(ウイジョンブ)の三政丞(サンジョンスン=領議政・左議政・右議政)、義禁府堂上、司憲府(サホンブ)大司憲(テサホン)、司諫院(サガノン)の大司諌(テサグァン)、都承旨(トスンジ)そして承旨(スンジ)、執義(チビ)、校理(キョリ=敎理)などの政府の重要な高位(正一品と正二品)の官吏が一時的に委官(主管)に任命され同席し罪人を取り調べます。任命された裁判長が審理して国王が裁決します。
鞫廳(鞫庁, グクチョン)は親鞫(シングク)、庭鞫(チョングク)、三省推鞫(サムスンチュグク)などがありました。親鞫は国王が裁判に参加します。親鞫以外は裁判長格の委官を中心に鞫問(ククムン, きくもん)が行われました。委管は堂上官(タンサングァン)や問事郎廳(ムンサナンチョン)とともに尋問した内容を王に報告しました。
鞫廳(鞫庁, グクチョン)のほとんどが親鞫で参加した官吏は事件の内容によって異なりました。
鞫廳(鞫庁, グクチョン)の実施内容と判決は推案(チュアン)と鞫案(グクアン)に分けて記録されました。親鞫の案件を中心に承政院(スンジョンウォン)の官僚が鞫庁日誌を作成しました。
朝鮮時代後期には鞫廳(鞫庁, グクチョン)は常設機構化されました。その過程で決定権を行使する管理者の権限が強くなり、政治的裁判の性格を持ったので悪用されることもあり、朝廷横暴の象徴となりました。
参考
- 実録wiki
- http://dh.aks.ac.kr/sillokwiki/index.php/%EA%B5%AD%EC%B2%AD(%E9%9E%AB%E5%BB%B3)
- 朝鮮文化事典
- http://encykorea.aks.ac.kr/Contents/Item/E0006535
備考
日本においては鞠問(きくもん)という漢字が第一義として使われることがあります。個人的には「鞫」の書き間違いが「鞠」として広まったのではないかと思います。
筆者は韓国語についてはほとんどわかりませんので発音や翻訳が間違っている場合があります。内容のご利用(他へのアウトプット)はご遠慮ください。
鞫廳(鞫庁=グクチョン)が登場するドラマ
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李氏朝鮮時代を描いた韓国ドラマ「ヘチ 王座への道」14話にて鞫廳(鞫庁=グクチョン)국청 が登場しました。他の時代劇ではグクチョンとは言わずに単に王が尋問の場に同席する形で描かれています。グクチョンが具体化された様子が描かれていることは珍しく、このドラマの扁額(へんがく)に鞫廳などと書かれいます。場面に映っているのは赤い服を着た官僚が右議政(ウイジョン)で濃い紫色の服を着た官僚が左議政(チャイジョン)です。このドラマは司法機関である司憲府(サホンブ)について詳しく描かれているのでおすすめです。