へチ王座への道13話
目次
あらすじ
世弟(セジェ)李昑(イ・グム)は世継ぎになってもその立場は危ういものでした。密豊君(ミルプングン)は人を雇って偽の告発文書を作らせました。密豊君(ミルプングン)が動いたことを知ったタルムンの部下クンテ。朝廷に戻ったばかりの少論の領袖(りょうしゅう)趙泰耉(チョ・テグ)は上疏(じょうそ、上奏)を見てたいへん驚きました。
宮廷内の見晴台。
延礽君(ヨニングン)は決してミン・ジノンと同じ汚職両班にならないことを心に誓いました。そこに密豊君(ミルプングン)がやって来て延礽君(ヨニングン)を挑発しました。
「人間というのは、みんな同じ(真っ黒)なんです。」
密豊君(ミルプングン)は言いました。
王の部屋。
景宗(キョンジョン)は趙泰耉(チョ・テグ)から報告を受けてるとたいへん驚きました。
アジト。
タルムンはユニョンから密豊君(ミルプングン)の味方になって欲しいと言われたことを思い出していました。
見晴台。
密豊君(ミルプングン)は延礽君(ヨニングン)に対し、宮廷で血の嵐が吹き荒れると予告しました。
王宮の少論派の部屋。
「そなたたちはここで何をしている!世弟(セジェ)!セジェ!セジェ邸下!今何が起きていると思う!そちらは誰の臣下だ。主上殿下(チュサンチョナ)か、東宮殿(トングンジョン)か!?」
趙泰耉(チョ・テグ)はイ・グァンジャたちに怒鳴りました。
侍講院(シガンウォン)の部屋。
延礽君(ヨニングン)が部屋に来ると講師たちは出席を拒否して部屋には誰もいませんでした。
ユン・ヒョクの屋敷。
チュ・ヨンハンはユン・ヒョクに賄賂の人参を持って来ましたが使用人は受け取りを断りました。
「ユン・ヒョクの家は使用人たちも頑固で怖い顔だ。」
チュ・ヨンハンは追い返されました。
そこに持平(チピョン)が同じ貢物を持ってやって来ました。
持平(チピョン)はチュ・ヨンハンが賄賂を断られた様子を察してユン・ヒョクの家の前を通り過ぎて行きました。
吏曹。
吏曹正郎(イジョチョンナン)となったユン・ヒョクは文書に目を通していました。部下たちは10日も家に帰らず働いているユン・ヒョクを気遣いました。ユン・ヒョクは二人の部下に文書を司諫院(サガノン)と弘文館(ホンムンガン)と司憲府(サホンブ)に届けるよう命じました。
司憲府(サホンブ)。
役所の前にユン・ヒョクの触れ書きが掲示されました。チュ・ヨンハンは怒って帰っていきました。パク・ムンスは同僚のイ監察とチャン監察とナム監察と一緒に文書を見ました。文書には司諫院(サガノン)と弘文館(ホンムンガン)と司憲府(サホンブ)の過去の不正を調査して人事資格を見直すと書かれていました。パク・ムンスの後輩たちは改革がはじまると思い喜びました。
王宮。
大司諌(テサグァン)は「我々への報復だ!」と怒りました。
大提学(テジェハク)も「国の根幹を揺るがすことだ!」と机を叩いて怒りました。
司憲府(サホンブ)。
ウィ・ビョンジュは地位の区別なく不正があった者を罷免するという吏曹正郎(イジョチョンナン)の文書を読みました。ユ掌令(チャンリョン)はウィ・ビョンジュに「我々は大丈夫でしょうか?」と不安そうに尋ねました。持平(チピョン)もユン・ヒョクを恨みました。
「主上(チュサン)と東宮殿(トングンジョン)が背後にいるからユン・ヒョクは強気なのだ。」
ウィ・ビョンジュはつぶやきました。
王の部屋。
延礽君(ヨニングン)は景宗(キョンジョン)に会いました。先に部屋に入っていたユン・ヒョクは三司(サムサ)の改革を延礽君(ヨニングン)とともに話し合うつもりでした。しかし景宗(キョンジョン)の指が不安で震えていました。
少論の部屋。
李光佐(イ・グァンジャ)やチョ・ヒョンミョンとは東宮殿が代理聴政(テリチョンジョン、王の代わりに政務を行うこと)をすべきという上疏(じょうそ、上奏)が届いたことについて激しく議論していました。
趙泰耉(チョ・テグ)は「代理聴政を行うということは殿下に退けと言うのと同じだ。逆心だ!」と言いました。
「私が見るに世弟(セジェ)様は殿下を脅かす人ではありません!」
イ・グァンジャとチョ・ヒョンミョンは延礽君を守ろうとしていました。
しかしチョ・テグは延礽君が能力を発揮して民心を得るほど評価を得れば王様の地位が危うくなると言いました。
王の部屋。
延礽君(ヨニングン)はユン・ヒョクが作った命令書について、三司(サムサ)の者たちが自ら行いを改める猶予を与えてはどうかと発言しました。延礽君(ヨニングン)が正論を主張する様子を景宗(キョンジョン)は脅威に感じていました。
「吏曹正郎(イジョチョンナン)が皆を追い込み私が抜け道を与えるのか。世弟の能力は大したものだ。私などが王であるのはさぞおかしいであろう。これからは何でも東宮殿に報告せよ。私ではなく世弟が許可すればよい。私よりもうまくやれるだろう。」
二人の議論に入れなかった景宗(キョンジョン)はユン・ヒョクに命じると部屋から出て行きました。
ユン・ヒョクには「恐れ入ります」と言っただけで国王の気持ちがわかりませんでした。
老論派の部屋。
ミン・ジノンは上疏(じょうそ、上奏)の内容をまだ知りませんでした。ミン・ジノンは承政院(スンジョンウォン)に行って上書(サンソ)の内容を調べて来るよう部下に命じました。
妓楼。
延礽君(ヨニングン)はタルムンに会うと、密豊君(ミルプングン)の動向を尋ねました。タルムンは密豊君について「妓房(キバン)に通い酒を飲んでいるようでした」と嘘を言いました。タルムンは王様の様子がおかしかったと聞くと今すぐ情報を集めて報告すると答えました。
延礽君(ヨニングン)が帰り、クンテはどうして世弟に情報を与えなかったのかタルムンに疑問を呈しました。
タルムンは「お前は世弟(セジェ)の部下じゃないだろ」と言いました。クンテはタルムンが心変わりしたのではないかと不安になりました。
ト・ジグァンの妓楼。
「憲府(ホンブ)や三司(サムサ)の高官たちはどこだ?その態度は何だ。貴様私を誰だと思ってる!」
ウィ・ビョンジュはト・ジグァンのところにやって来ました。ト・ジグァンは自分に刀を突きつけるウィ・ビョンジュを嫌っていましたが「お急ぎ下さい」とだけ言いました。そこに持平(チピョン)が声を掛け、ウィ・ビョンジュを部屋に案内しました。
三司(サムサ)の高官が焦っている様子を見た密豊君(ミルプングン)。
密豊君(ミルプングン)はト・ジグァンに機を見てウィ・ビョンジュに教えるように命じました。
妓楼の一室。
ウィ・ビョンジュを筆頭として長官を除く三司(サムサ)の高官8人が話し合っていました。ウィ・ビョンジュは「我々を仲たがいさせる気だ」と言って結束を求めました。
司憲府(サホンブ)。
ユ掌令(チャンリョン)は上司の大司憲(テサホン=長官)にウィ・ビョンジュを王に差し出すべきだと言いました。
大司憲(テサホン=長官)もウィ・ビョンジュが世弟(セジェ)を追い込んだせいで憲府(ホンブ)を敵視されることになったと認めました。
「道連れはゴメンです。ウィ執義(チビ=副長官)の不正を明らかにして憲府(ホンブ)を救ってください!ウィ執義(チビ)は老論でなく南人ではありませんか!」
ユ掌令(チャンリョン)は上司に言いました。
「(南人?極小政党の南人は切り捨てられるのか?)」
その話を障子越しにウィ・ビョンジュは盗み聞きしていました。
司憲府(サホンブ)の執義(チビ)の部屋。
ウィ・ビョンジュは慌てて不正の証拠となる文書を集めはじめました。
「外に運んで燃やせ!早く!」
ウィ・ビョンジュは部屋にやって来たチュ・ヒョンハンに命じました。チュ・ヒョンハンは上司が何をやっているのか理解できませんでした。
「ふっ(※ホコリを吹き飛ばすしぐさ)。あ~。思った通りだ。慌てて燃やすほど怪しいことだ?返せません。これは不正の証拠です。」
パク・ムンスは文書を拾いました。すぐにムンスの同僚たちと部下が集まって来ました。
「大司憲(テサホン=長官)の命令です。監察のパク・ムンスが執義(チビ)様の不正を捜査します。執義(チビ)ウィ・ビョンジュを連行して聴取せよ。」
パク・ムンスは言いました。
「お前たち!私を誰だと思っている!」
ウィ・ビョンジュは両腕を掴まれて抵抗しました。
「誰だと?不正した不正人間だろ。」
チャンダルは言いました。
「さぞかし汚いだろうな~。まるでクソを拾った気分だ。」
アボンは言いました。
「お偉方はあんたを差し出すつもりだ。心配するな。あんたひとりじゃない。全員まとめてとっ捕まえてやる。」
パク・ムンスは部下にウィ・ビョンジュを捕らえさせました。
牢屋。
「俺は司憲府(サホンブ)の執義だ!」
ウィ・ビョンジュは投獄されました。
チャンダルは部下に執義(チビ)を見張るよう命じました。
夜になりました。
延礽君(ヨニングン)は仲間のパク・ムンスとヨジとアボンとチャンダルと落ち合いました。
パク・ムンスたちはウィ・ビョンジュを捕らえたことを報告しました。
延礽君(ヨニングン)は最後まで油断しないように皆に言いました。
ヨジは王宮が騒がしいことを心配すると、延礽君(ヨニングン)はヨジの言葉を遮り心配しないように言いました。
延礽君(ヨニングン)が帰りました。
ヨジはパク・ムンスと二人きりになりました。
「わぁ。眉間のシワが。お前は男らしいな。」
パク・ムンスは考え込んでいるヨジの額に触れました。
「どうしたのですか?」
ヨジは言いました。
「お前がこくやって男兄弟の三男で末っ子だということを確かめている。このままずっと義兄弟だったらいいのに。」
「えっ?」
「今更どうしたのですか?当然でしょう。」
「いや。私が来たことにも気づかなかった。」
「心配なんです。邸下(チョハ)が。」
「?」
「こうして心配することしかできないのが悔しい。」
「邸下にさっき言ってたことか?」
「邸下は大殿(テジョン)の情報を集めています。タルムンさんを通じて。邸下が一体なんのために・・・。」
王宮。
延礽君(ヨニングン)はいつも通り医女に薬を煎じさせました。延礽君は出来上がった薬を景宗(キョンジョン)に献上しようとすると尚膳(サンソン)が断りました。そこに右議政の趙泰耉(チョ・テグ)が現れ「これからは私めと御医(オイ)にお任せください」と言いました。
「それは、王命なのか?」
延礽君は尋ねました。
「そうでございます。邸下。邸下も殿下の王命には逆らえません。」
趙泰耉(チョ・テグ)は景宗(キョンジョン)の部屋に入りました。
王の部屋。
趙泰耉(チョ・テグ)は景宗(キョンジョン)に会うと上書(サンソ)のことを公表し世弟(セジェ)を罰するように求めました。チョ・テグは王を支えるべき東宮殿が王を脅かす存在になっていると言いました。
景宗は一人になると、泣きながら上書を読みました。
「この国は危機に瀕し民心は荒れています。このようなときに邸下が現れ民の心をいたわり優れた政治力を発揮なさいました。この国の臣民すべてが望んでいるように代理聴政お任せになるのが正しいと思います。」
仁元大妃(イヌォンテビ)の部屋。
チョン尚宮は大殿(テジョン)の東宮殿に対する様子がおかしいと大妃に報告しました。
日中のアジト。
タルムンはクンテと語り部から国王についての報告を受けました。タルムンはすぐに世弟(セジェ)に伝えるよう二人に命じました。
世弟(セジェ)の部屋。
「代理聴政だと?一体誰がこのような不謹慎な上書を!」
延礽君(ヨニングン)はチャドンから報告を受けるなり部屋から出て行きました。
チャドンから世弟が逆心を抱いていると見なされているとハ尚宮(チョホン)に説明しました。
ミン・ジノンも部下から上書(サンソ)の写しを受け取りました。
大臣の部屋。
「あなたか、左相(チャサン)の仕業か?」
延礽君(ヨニングン)は部屋にいたミン・ジノンに会いました。ミン・ジノンは部下を下がらせました。
「私が仕組んだことが明らかなら承政院(スンジョンウォン)の者が上書(サンソ)の写しなど持ってくるはずがないでしょう。黒幕は誰かわかっていないのです。」
ミン・ジノンは答えました。
寺。
「私は密豊君(ミルプングン)の動きを探った。奴が東宮殿を陥れようとしていることを知った。あの文書。代理聴政。あれで世弟(セジェ)を廃するつもりか。」
タルムンはユニョンに尋ねました。
「そうと知りながら東宮殿に知らせなかったの?」
ユニョンは言いました。
「わからない。惑わされて正気を失ってるのかもしれぬ。ある者は欲をかき、ある者は恐れのために人は愚かと知りながら惑うものではないか。」
タルムンは言いました。
司憲府(サホンブ)。
ウィ・ビョンジュが解放されて出て来ました。
「その様子では手立てがなかったようですな。」
ト・ジグァンはウィ・ビョンジュに言いました。
王の部屋。
「教示通りにせよ。」
景宗(キョンジョン)は命じました。
寺。
「あなたのためでもあるの。これは本心よ。世弟は決して王になれないわ。密豊君の味方になればあなたも生きられる。世弟はあんたを信じてる・・・。」
ユニョンはタルムンの手を握り言いました。
「世弟邸下は俺の言うことを信じるだろう。これでお前の望みを叶えてやれるかもしれぬ。」
タルムンは言いました。
王宮。
「そうか。ミン・ジノンの仕業ではないのか。タルムン。あの者が嘘をつくはずがない。密豊君(ミルプングン)でもないなら誰が。誰が一体このようなことを。」
延礽君(ヨニングン)は考えました。
市場。
「クソ。順調だったのにどうしてこうなった!」
急いで走ってアボンは転んでしまいました。街の人々はアボンを心配しました。
司憲府(サホンブ)。
「ムンスナウリ。これはウィ・ビョンジュが罷免した者の名簿です。皆少論です。これだけでも十分ウィ・ビョンジュを罰する証拠になります。」
ヨジは文書をパク・ムンスに見せました。
パク・ムンスは賄賂を受け取った証拠も必要だと言いました。
チャンダルもウィ・ビョンジュを再起できないようにしたいと思いました。
そこに慌てたアボンが駆け付けました。
「ムンスナウリ!ヨジ!代理聴政(テリチョンジョン)に世弟(セジェ)邸下(チョハ)を・・・・。」
アボンは言いました。
王宮の庭。
「邸下!邸下!世弟邸下!」
延礽君(ヨニングン)のもとに領議政キム・チャンジュンとイ・イギョムが駆け付けました。
「本当にそなたたちも知らぬのか?」
延礽君は尋ねました。
「そうです。代理聴政などと。我々に邸下を支える力がどうしてありましょうか。」
イ・イギョムは答えました。
そこにチャドンが駆け付け急を知らせました。
左議政のミン・ジノンが老論を率いて王宮を歩いていると目の前を少論の大臣たちが通り過ぎました。
少論の部屋。
少論の大臣はキム・チャンジュンとイ・イギョムが世弟を代理聴政に据えたと考えていました。
王の部屋。
「上書を最後まですべて読み終えたか。どう考えている世弟。お前に私が担う国事を任せよという訴え。」
景宗(キョンジョン)は延礽君(ヨニングン)を部屋に呼び上書(サンソ)を見せました。
「主上。これは逆心を抱いた者の仕業です。惑わされないでください!」
延礽君は釈明しました。
「中傷だと。どうしてそう思う。この訴えの内容は正しい。お前は宴で民の心を得て三司(サムサ)の不正を改革しようとした。王である私を代理して。ゆえに私はこの訴えを受け入れるつもりだ。お前に代理聴政をさせて国事を任せる。尚膳はいるか!」
景宗(キョンジョン)はきつい口調で言いました。
すぐに尚膳(サンソン)たちが王の前に世弟の椅子を運んできました。
「さあここに座り政務をするがよい。余は皆が望む通りお前の後ろにいよう。」
景宗は弟に言いました。
パク・ムンスの執務室。
「こんな事が!上書ひとつで世弟邸下が窮地に陥るとは!」
パク・ムンスはタルムンから怪文書の知らせを受けて驚きました。
「殿下はいつ廃位されるかと怯えておられました。疑うのは当然です。」
タルムンはパク・ムンスに言いました。
「それで、邸下(チョハ)は、世弟邸下はどうなさるつもりか?」
パク・ムンスは言いました。
「ひたすら謝罪するしかないでしょう。王命を取り下げてくだいと。」
タルムンは言いました。
「席藁待罪(ソッコテジェ)。まさか請われるのか?一体どうして!世弟邸下は何も悪くないのに!」
パク・ムンスは悔しがりました。
世弟の部屋。
延礽君(ヨニングン)は上疏(じょうそ、上奏)をしたためました。
大殿(テジョン)の前。
チャドンは延礽君(ヨニングン)のために筵を敷きました。
延礽君(ヨニングン)は帽子を地面に置き服を脱ぎ、兄に許を請いはじめました。
尚膳(サンソン)は王にかわって世弟(セジェ)を見守っていました。
老論の部屋。
ミン・ジノンのもとにも世弟(セジェ)が席藁待罪をはじめた知らせが届きました。
「こうするのが道理だ。主上は疑っている。誤解を解くには世弟が謝罪するしか。今回は少論どもに任せよう。この風がどこから吹いてきたのか。それがわかるまで動いてはならぬ。我々が動かずとも主上と少論が東宮殿を追い込むだろう。」
ミン・ジノンは冷静に言いました。
大殿(テジョン)の前。
「師匠も疑っていますか。私が王座を狙い主上を廃そうとしていると。師匠に初めてお会いした時にそう言いました。私を信じられないのはこのためだと。王座を狙いかねないからだと。」
延礽君(ヨニングン)は様子を見に来た李光佐(イ・グァンジャ)に言いました。
李光佐は黙って世子を見つめました。
李光佐は延礽君が王を励まし続けてきたことを思い出し、自らも世弟を王になる者として教育してきたことを思い出しました。
ヨジは女官の姿になりハ尚宮に会いました。
「世弟邸下は・・・。遠くからでも耐えておられるお姿だけでも・・・。」
ヨジは泣きながらハ尚宮に目通りを願いました。
ハ尚宮は世弟様とは会えないと言いました。
少論の部屋。
「王命に逆らうのではありません!だが、侍講院(シガンウォン)の師匠として世弟邸下をお守りすべきではありませんか!」
チュ・ヨンハンは弱気な上司、イ・グァンジャに向かって怒鳴りました。
大妃の部屋。
決心したイ・グァンジャはイヌォン大妃に会いました。
李光佐(イ・グァンジャ)は仁元大妃(イヌォンテビ)に景宗を説得するように頼みました。
「主上はもとより冷たいお方ではない。政治が混乱して警戒をお強めになっただけだ・・・。」
仁元大妃(イヌォンテビ)は景宗が追い詰められていった状況を理解していました。
「殿下と世弟邸下の仲を裂く勢力が。媽媽(マーマー)のお力で止めなければなりません。」
李光佐(イ・グァンジャ)はこのままでは老論が攻勢を強めて国がもたなくなると訴えました。
司憲府(サホンブ)。
雨が降りました。
パク・ムンスとアボンとチャンダルは悔しい気持ちで雨に打たれていました。アボンは延礽君(ヨニングン)も冷たい雨に濡れているのかと心配しました。
隠れ家。
「言うなと言われましたが言わせてください。ええ。兄者が決めた事には従うつもりです。本当に邸下(チョハ)を見捨てるつもりですか?俺たちが乞食だったとはいえ、これは間違っています。何か言ってください兄者!」
クンテはタルムンに言いました。
大殿(テジョン)の前庭。
延礽君(ヨニングン)は雨に濡れながら謝罪していました。その手が寒さで震えていました。
李光佐(イ・グァンジャ)はも、仁元大妃(イヌォンテビ)も遠くから延礽君(ヨニングン)を見守っていました。
ミン・ジノンの屋敷。
「誰だろう。誰の間者が。これで終わりなのか?」
ミン・ジノンは上疏(じょうそ、上奏)を分析していました。
夜の妓楼。
ウィ・ビョンジュは密豊君(ミルプングン)に会いました。
密豊君は見捨てられたウィ・ビョンジュを利用しようとしていました。
「司憲府(サホンブ)執義(チビ)ウィ・ビョンジュ。そちは見捨てられた。取り調べから出て来たのだろう。その目をよく知っている。俺の目と同じだ。どうやって機会を掴んで来たのか。落ちるわけにはいかぬ。そちとて世弟を打ちのめしたいはずだ。」
密豊君は言いました。
「何をするつもりですか。あのような上書(サンソ)だけでは世弟(セジェ)を引きずり落とせません。」
ウィ・ビョンジュは言いました。
妓楼の一室。
密豊君(ミルプングン)が飼いならした両班の兄貴分キム・チャンジュンの孫は弟分イ・イギョムの息子と酒を飲んでいました。
そこにト・ジグァンが現れ無料で酒と食事と女を振舞いました。
密豊君はウィ・ビョンジュに文書を見せました。文書を呼んだウィ・ビョンジュは「これならすぐにでも世弟(セジェ)を追い落とせる」と言いました。密豊君(ミルプングン)はせめて今夜くらいは寒さで苦しんでもらわねば究極の心理を悟れないと言いました。
「王?世継ぎ?自分はちっぽけな虫けらだとな。」
朝になりました。
雨が止み、ハ尚宮は泣きながら席藁待罪をやめるように言いました。
チャドンはハ尚宮を連れ出しました。
延礽君(ヨニングン)は体が冷たくなり蒼白になっていました。
王の寝室。
イヌォン大妃は景宗(キョンジョン)に会いました。
「私は主上(チュサン)のお心がわかります。世弟(セジェ)の心も。主上(チュサン)は廃位することを恐れながら生きて来られました。それぞご存じの主上がどうして世弟に同じ苦しみをお与えになるのですか?主上は何が正しいかご存じです。お心を惑わされているだけです。」
仁元大妃(イヌォンテビ)は景宗(キョンジョン)に言いました。
尚膳が国王を呼びました。
都承旨(トスンジ)の部屋。
謀反の告発状が届きました。チョ・ヒョンミョンは告発文を読んで驚きました。
部屋に景宗が入って来てどういうことだと言いました。
放免されたウィ・ビョンジュは司憲府(サホンブ)の兵を率いて謀反の逆徒の摘発に乗り出しました。
司憲府(サホンブ)。
パク・ムンスはアボンからこのことを知りました。
「ウィ・ビョンジュ。一体何をしたんだ・・・。」
パク・ムンスはつぶやきました。
少論のイ・イギョムの屋敷。
「すべて捕らえよ!」
ウィ・ビョンジュは命じました。イ・イギョムの息子とイ・イギョムは捕らえられました。
ウィ・ビョンジュはキム・チャンジュンの屋敷に行き、孫とキム・チャンジュンを捕らえさせました。
便殿の前。
日が高くなり、延礽君(ヨニングン)の意識が朦朧としていました。
「水でもお飲みください。お倒れになるかと。私めは心配でなりません。耐えろよ兄貴。お前は俺の手で追い出したい。このまま死なれては困る。ダメだ。死んだら寂しくなる。」
密豊君(ミルプングン)が現れました。
「自分の心配をしたらどうだ。密豊君(ミルプングン)。寂しくないよう、私が、必ず・・・・・・。お前を・・・殺してやるから。」
延礽君(ヨニングン)は密豊君(ミルプングン)を睨みました。
「主上殿下のおな~り~。」
(役人の声。)
景宗(キョンジョン)が延礽君(ヨニングン)の前に現れました。
「だけど私は信じようとした。お前を政敵ではなく弟として。だがお前は私に刃を向けた。王座を狙い逆心を持った!」
景宗(キョンジョン)は怒っていました。
延礽君(ヨニングン)には何のことかさっぱりわかりませんでした。
感想
韓国ドラマ「ヘチ」13話の感想です。何という事でしょうか!主人公の延礽君(ヨニングン)に謀反の疑いがかけられてしまいました。密豊君(ミルプングン)が人を使って再び偽の告発上書(サンソ)を作らせたようですね。ウィ・ビョンジュが放免された理由はわかりませんが、また小賢しい敵が復活してしまいました。ミン・ジノンは老論のキム・チャンジュンとイ・イギョムが反逆者となったので政治的には都合が良い状況です。少論派にとっても延礽君(ヨニングン)がいなくなることで賄賂などの不正がごまかせるので都合が良い状況。李光佐(イ・グァンジャ)は延礽君(ヨニングン)の側近でもあるのでちょっと困るけど少論にはそれほど悪いことでもないので心境は複雑そうです。
せっかく義理の祖母である仁元大妃(イヌォンテビ)が景宗(キョンジョン)を説得したのに。
どうして皆さん偽の告発状のことを信じてしまうのでしょうか?
朝鮮の歴史では偽の告発があれば証拠とすることが可能だったと私は以前、司憲府(サホンブ)の仕組みについて詳しく説明しました。
そういうお国柄だったようです。当時は「何が科学的に正しいかわからなかった」世の中といってもよいでしょう。占いを信じてるくらいですから。
今回のパク・ムンスも前回に続いて思わせぶりなセリフを言ってました。
「ヨジ。お前は義兄弟の三男坊だろ?」
と。
それに対しヨジは
「せめて遠くからでも世弟様のお姿を見たいの・・・・。」
と泣いていました。
ここだけ恋愛劇ですね。
タルムンも好きな女性から誘惑を受けましたが、その女性は悪を唆してきます。
子分のクンテが「汚いことをやってきた俺たちはどうでも正しいことやってる世弟様だけはお守りしなければダメだ!」と言ってタルムンを改心させました。
悪い女を好きな分別のない男になるか、断れる男になるか一瞬迷ってましたよね。
このドラマ、面白いです。
続きが楽しみです。
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