へチ王座への道15話
目次
あらすじ
延礽君(ヨニングン)は謀反の疑いがかけられ鞫庁(ククチョン=国王の御前裁判)で審理されることになりました。審理の前、ヨニングンはミン・ジノンに呉越同舟を求めました。本気で政治と国を憂いているミン・ジノンは延礽君(ヨニングン)の味方につきました。
「かつてはそれが政治と信じていた時もあった。臣下は臣下として王は王として各自の任務と責任を果たせば朝廷と国を守れると信じていた。だが長く朝廷にいるとそのようなことは分かってくる。幻想にすぎないと。」
閔鎭遠(ミン・ジノン)は心の中で思いました。
回想シーン。
先の国王、肅宗(スクチョン)の時代。
「兄上ーーーーーっ!」
鞫庁で若かりし頃のミン・ジノンとその兄が拷問される場面。ミン・ジノンの兄は筵(むしろ)にくるまれ棒で何度も叩かれた末に斬首されました。釈放されたミン・ジノンは兄が処刑される場面を目撃しました。
仁顕王后(イニョンワンフ)が一時廃され禧嬪張氏(ヒビンチャンシ)が後宮の主となり、チャン氏の息子である景宗(キョンジョン)が世子に任命されました。仁顕王后(イニョンワンフ)は王宮から一時追放されました。
「権力がなければ、死あるのみ。私の妹、仁顕王后(イニョンワンフ)を陥れて廃妃させ兄を殺したのは今の王の母、禧嬪張氏(ヒビンチャンシ)。また禧嬪張氏(ヒビンチャンシ)を死に追いやったのは今の世弟(セジェ)の母、淑嬪崔氏(スクピンチェシ)。政治は信念ではなく代々繰り返される血と報復の連鎖。だが・・・だが・・・・・・。」
閔鎭遠(ミン・ジノン)は考えました。
「世弟(セジェ)は本当に弁明しないのか。答えよ!この場で余に、罪を認めるなら命だけは助けてやろう。」
景宗(キョンジョン)は厳しい口調で弟に迫りました。
「おそれながら、私めは逆心を抱いたことも、反乱を計画したこともありません。それゆえ罪を認めることができないのです。殿下。」
延礽君(ヨニングン)は答えました。
「ならば道理に従う。余が直接お前の罪を問う。委官(裁判長)はじめよ!余がこの場で罪人と世弟(セジェ)を尋問する!」
景宗(キョンジョン)は宣言しました。
「おそれながら殿下。私めミン・ジノンは審理の前に一言申し上げてもよいでしょうか。おそれながら今から行われる尋問は認められません。世弟(セジェ)はどのような疑いもないからです。私めはこの事実を以前から知っておりました殿下。また、この事実を知っているのは、私めだけではございません。殿下もご存じではありませんか?この景色に見覚えがありませんか?繰り返されてきたことではありませんか。明白な証拠もなく疑いだけでこの国は政敵を排除してきました!この国朝鮮の悪しき風習を!義禁府も鞫問官(ククモングァン)も、世弟の謀反を疑う証拠も捕らえられた両班の自白も得られていません。疑うことすらあいまいな状況で尋問することは、これは適切ではありません殿下。罪があることを示す証拠、それすらない状況で、また誰かの血が流れるなど、私めは・・・とても認められません。殿下。」
閔鎭遠(ミン・ジノン)は発言しました。
「何だ?ミン・ジノンの奴、気は確かか。」
見に来ていた密豊君(ミルプングン)はつぶやきました。
閔鎭遠(ミン・ジノン)は延礽君(ヨニングン)を見つめました。
延礽君もミン・ジノンを見つめました。
高官の控室。
「審議を中断するとは、どういうことだ。殿下が審理なさるところだったのだぞ。」
少論の領袖趙泰耉(チョ・テグ)はミン・ジノンに尋ねました。
「止めたのは私だが、決断なされたのは殿下だ。主上(チュサン)も疑うべきではないとお思いだ。そなたも。」
閔鎭遠(ミン・ジノン)は言いました。
「確かに怪しいと思った。世弟(セジェ)は無実かもしれないと。だが君主の威信を守るために尋問をするべきだ。東宮殿の犠牲なしに王の威信は守れぬ。」
趙泰耉(チョ・テグ)は言いました。
そこに延礽君が部屋に入って来ました。
趙泰耉(チョ・テグ)は気まずくなりました。
王の部屋。
「そうか。余が間違っていたというのか。お前たちもそう思うのか。余が罪のない世弟(セジェ)を敵と見なして追い込んでいるように見えるのか!?」
景宗(キョンジョン)は真剣にイ・グァンジャとチョ・ヒョンミョンに怒鳴りました。
テワンテビの部屋。
仁元大妃(イヌォンテビ)は王妃と世弟(セジェ)嬪と一緒に部屋に集まっていました。チョン尚宮は鞫問がミン・ジノンの発言によって中断されたことを報告しました。
「大妃ママ。これもすべてマーマーのおかげです。」
世弟嬪(セジェビン)はお礼を言いました。
「とんでもありません。世弟(セジェ)に罪が無いなら無実が明らかになるでしょう。」
仁元大妃(イヌォンテビ)は世弟嬪(セジェビン)の手を掴んで励ましました。
「おそれながらママ。これにて失礼します。」
宣懿王后(ソニワンフ)は機嫌が悪くなり部屋を出ました。
仁元大妃(イヌォンテビ)は世弟嬪(セジェビン)と顔を見合わせました。
控室。
延礽君(ヨニングン)はミン・ジノンに感謝しました。ミン・ジノンはくだらない陰謀で政治の質を落としたくなかったと答え、感謝の気持ちを固辞しました。
「今は同じ舟の上です。乗り切りましょう。前に申した通りにそのあとで、邸下(チョハ)を突き落とします。」
閔鎭遠(ミン・ジノン)は言いました。
延礽君(ヨニングン)は庭でウィ・ビョンジュに会いました。
「さぞ驚いた顔だ。当然だろう。」
延礽君(ヨニングン)は言いました。
「尋問は中断しても逆徒どもがいます。そいつらが白状したら明らかになります。」
ウィ・ビョンジュは言いました。
「そうか。早く自白させてみるがよい。どこまでやれるか競ってみるか?そちが勝か、私が勝つか。死力を尽くすがよい。そちの、命が懸ってるゆえ。」
延礽君(ヨニングン)はウィ・ビョンジュを挑発しました。
世弟(セジェ)の部屋。
延礽君(ヨニングン)は公式の外出着に着替えると王宮の外に行こうとしました。ハ尚宮は危険なことに挑む延礽君の身を案じました。延礽君は密豊君(ミルプングン)の不正を突き止めるつもりでした。
「あの二人は墓穴を掘るだろう。密豊君とウィ・ビョンジュ。今度は逃すつもりはない。」
延礽君(ヨニングン)は言いました。
パク・ムンスの家(もとハン・ジョンソクの家)。
パク・ムンスとチャンダルとアボンは集まりました。
チャンダルはカン・スチャンという元監察がウィ・ビョンジュに犯行現場の目撃を口止めされた末に司憲府(サホンブ)から兵曹(ピョンジョ)に異動したと報告しました。パク・ムンスはこれでウィ・ビョンジュを捕まえられると思いました。そこに延礽君がやって来ました。延礽君は無実の両班たちが拷問に耐えかねて自白する前に証拠を掴むため、タルムンに会うと言いました。
王宮。
義禁府(ウイグムブ)の兵士は「しばし出かける」と言いました。
タルムンのアジト。
兵士はタルムンのアジトで情報を渡しました。鞫問の情報も集められました。集められた情報は語り部によりタルムンにすべて報告されました。
回想シーン。
クンテは密豊君(ミルプングン)から土地と家を貰った者がいるとタルムンに報告しました。タルムンは密豊君に力を貸した者を調べて来るようクンテに命じました。クンテはその両班の男を尾行すると、男は当てが割れた妓女に囲まれて幸せそうでした。
寺。
「どうしていつもダメなんだ。どんな手を使ってもクムの奴を潰せない。お前はもういらない。奴はいつも俺をバカにしてきた。俺は昭顯世子の直系の孫なのに。水汲みの女の息子のくせに私を没落した王族の子だとアイツは俺をバカにしてきた!」
密豊君(ミルプングン)は壺を割って暴れました。止めようとしたユニョンは転んでしまいました。
「自信がないのですね。私が知る限り、世弟(セジェ)は生まれで人を区別しません。だから、あなたは生まれにこだわっている。ああ。だから世弟(セジェ)が憎いのですか。あんな卑しい生まれの奴に劣等感を抱いて。」
タルムンは密豊君(ミルプングン)に言いました。
「もう一度言ってみろ。劣等感?これしきの情報程度で偉そうにするとは。殺されたくなければうせろ。」
密豊君(ミルプングン)はタルムンに言いました。
「お困りになるでしょう。今は情報が必要な時期ですから。俺は世弟(セジェ)もミン・ジノンも知っています。どう動くかも。だから俺を利用してはどうですか。あなたの計画がすべてわかれば私は力になれます。」
タルムンは言いました。
「よいだろう。教えてやろう。俺の力になる?はぁ。何だ?この生意気な口は。なぜ。」
密豊君(ミルプングン)はタルムンの顎を掴みました。
屋敷の表から世弟(セジェ)の声がしました。
延礽君(ヨニングン)が密豊君(ミルプングン)に会いに来ました。延礽君の護衛の兵士は密豊君の私兵と対峙しました。密豊君(ミルプングン)とタルムンとユニョンは表に出て来ました。
「そちは言ってたな。ミン・ジノンの犬が私についたと思ったら今度は密豊君の味方か。こう言ってたな。必要なのは自分の仲間を守る権力だと。」
延礽君はタルムンに言いました。
「ここに来ている場合ですか邸下。審理の途中でしょう。早くお帰りください。」
密豊君は延礽君帰るように言いました。
「私がお前を謀反の容疑者として捕まえてやる。逆風が吹くという親切な警告のおかげでこたびの陰謀の証拠も得られた。なぜミン・ジノンが私の側についたのか。スクピンチェシ。ピグムイミル。私が先王の子でないという無礼な張り紙を広めて貴様(タルムン)、ただで済むと思うか。」
延礽君(ヨニングン)は密豊君(ミルプングン)に言う振りをしながらタルムンにメッセージを送りました。
「もちろん死を覚悟してやりました。密豊君のもとで力を得るために。」
タルムンは答えました。
「そちは、自信があるのか。」
延礽君(ヨニングン)は言いました。
「ある程度は。そう言われると俺も密豊君にすべてを懸けるしかなくなる。」
タルムンは言いました。
「そうか。そちは決めたのだな。密豊君が倒される様子をしかと見るがよい。」
延礽君(ヨニングン)はそう言って帰りました。
「あいつ証拠なんか持ってないよな。まさか。」
密豊君は心配になりました。
「世弟(セジェ)は侮られない相手です。ミン・ジノンを味方につけました。もう俺も引き返せません。いいですか。情報をくれなければ私も動けないではありませんか!」
タルムンは密豊君(ミルプングン)に怒鳴りました。
帰り道。
延礽君(ヨニングン)はタルムンに気持ちが伝わったとチャドンに言いました。延礽君(ヨニングン)はチャドンにタルムンのことをパク・ムンスに伝えるよう命じました。
タルムンのアジト。
戻ったタルムンはクンテと語り部に本当のことを打ち明けました。クンテは語り部に「兄者は我々を裏切るような人じゃありません。黙っていてすみません」と謝りました。語り部は驚いたものの、すぐに状況を理解しました。
司憲府(サホンブ)。
監察長チュ・ヨンハンは憲府(ホンブ)の様子がおかしいことに気が付きました。
司憲府(サホンブ)の中。
「ハン監察殺害容疑でウィ執義(チビ)を告発する。」
パク・ムンスは自分が書いた板の前に立っていました。同僚たちは騒いでいました。
「次も同じ目に遭うかもしれない。今口を閉ざしたらまた同じことが起きても誰も調べようとしない。黙ることに慣れて。」
パク・ムンスは監察たちに言いました。
チュ・ヨンハンが部屋に入って来ました。
「行きましょう。」
パク・ムンスはチュ・ヨンハンを無視して同僚たちと部屋から出て行きました。チャン監察たちは板を表に運びました。
上官の部屋。
「ウィ執義(チビ)を早く追い出すべきです。鞫庁(ククチョン)で謀反を取り調べています。証明できねば司憲府(サホンブ)の責任になります!」
持平(チピョン)の一人が言いました。
「あいつは不正の嫌疑がかけられている。追い出すか。」
大司憲(テサホン)は悩んでいました。
「ならば憲府(ホンブ)が世弟(セジェ)を助けることになります。世弟(セジェ)の地位が上がれば我ら憲府(ホンブ)が危うくなります。」
ユ掌令(チャンリョン)は言いました。
「それは避けねばならぬ。ウィ・ビョンジュのせいだ!老論でもない南人のせいで何てザマだ!」
大司憲(テサホン)は叫びました。
「大司憲令監(テサホンヨンガム)!大変です!摘発です!監察たちが摘発に乗り出しました!」
チュ・ヨンハンが部屋に入って来て報告しました。
「何!すぐにやめるのだ!」
大司憲は慌てて表に出るなりパク・ムンスのもとに駆け寄りました。
「行くな!すぐに止まるのだ!そうか。ウィ執義(チビ)のことは聞いた。驚いた。だが今ウィ執義(チビ)を摘発して何の得になる?火中の憲府(ホンブ)に油を注いでどうする。憲府(ホンブ)の高官が同僚に殺人を犯したとなれば、それが知れたら我らは!」
大司憲(テサホン)はパク・ムンスに言いました。
「その時のあなたは執義(チビ)でした。大司憲令監(テサホンヨンガム)。掌令(チャンリョン)様は持平(チッピョン)でした。誰もがハン・ジョンソク殿の上司でしたが黙殺した。明らかに疑わしかったのに。憲府(ホンブ)に油を注ぐつもりです。火が体に燃え移ったら少しは熱さもわかるでしょう。行くぞーーーー!」
パク・ムンスは数十人の監察を連れて行きました。
「パク監察が掴んだ証拠は確かなもののようです。」
ユ掌令(チャンリョン)は言いました。
「あやつらは我々まで道連れにする気かーーー!」
大司憲は両手を上げました。
「俺が監察長の時に限ってかならず内部摘発だ・・・。」
チュ・ヨンハンは時流に対する無力さを感じました。
回想シーン。
科挙の試験結果が発表されました。
ウィ・ビョンジュは主席で合格していました。
「そう。私は苦労してここまで来た。奴らの自慢は老論に生まれたことだけ。」
ウィ・ビョンジュは過去を思いました。
昔の司憲府(サホンブ)。
ウィ・ビョンジュは老論派の同僚からバカにされました。ウィ・ビョンジュは笑ってごまかしました。
チュ・ヨンハンたちが先に帰ってもウィ・ビョンジュは残業していました。苦労して報告してもユ持平(チピョン)はウィ・ビョンジュとは視線を合わせず軽くあしらいました。
「無能で腐った奴らの中で、後ろ盾もなく、実力だけで這い上がって来た。なのに、どうして私は再び窮地に・・・・・・。」
ウィ・ビョンジュは動揺していました。
「命じられるままかみつき命じられるまま権力者を守る犬になり果てたかーーーっ!」
ハン・ジョンソクの声。
「そうだ。もう一度できる。ああ、よいところに来た。憲府(ホンブ)に報告してくれ。謀反は捏造された可能性がある。密豊君(ミルプングン)が背後にいるようだ。」
ウィ・ビョンジュは部屋に入って来たチュ・ヨンハンに言いました。チュ・ヨンハンは目を丸くして驚きました。
「これで失敗したら、本当に終わりですよ?ナウリが生き残る道がなくなりますよ?」
チュ・ヨンハンは言いました。
「チョンソク(韓正石)兄者・・・・・・。」
パク・ムンスは捜査本部を設置しました。
「すぐにやめるのだ!ムンス!私を潰すつもりか!」
ウィ・ビョンジュが駆け付けるとパク・ムンスの襟首を掴みました。
「正気になってください。誰が誰を潰す?あんたはあんた自身に潰されるのです。あんたの選択と罪が。」
パク・ムンスはウィ・ビョンジュを払いのけました。
「こんなことをしても無駄だ!憲府(ホンブ)は内部の恥を晒さない!」
ウィ・ビョンジュは言いました。
「どうやら、今回は(お偉方は)覚悟されているようですが。」
パク・ムンスは言いました。
「おそれながらナウリをお連れします。」
ユ掌令(チャンリョン)がチュ・ヨンハンたちを連れてやって来ました。
「司憲府(サホンブ)執義(チビ)ウィ・ビョンジュ。当時の監察ハン・ジョンソク殺害容疑で逮捕します。何をしている。すぐに罪人を捕縛せよ!」
パク・ムンスは言いました。
「私に触るな!パク・ムンス!パク・ムンス!」
ウィ・ビョンジュは叫びましたが監察たちに連れて行かれました。
「ちょっとあけてくれ。狭い。」
チュ・ヨンハンはアボンとチャンダルの間に入り込みました。
「ん?こちら側につくのですか?今更?」
アボンは呆れました。
「最後に乗り換えたのですか。大したものです。」
チャンダルは言いました。
漢城府(ハンソンブ)の門前。
「殺人だ。司憲府(サホンブ)の執義(チビ)が当時の監察を殺した容疑だ!」
チャンダルは民に聞こえるように言いました。
ユ掌令(チャンリョン)たちはウィ・ビョンジュを司憲府(サホンブ)に連行しました。都城(トソン)の人々は先日は世弟(セジェ)を連行していたウィ・ビョンジュを見て噂しました。
「へへ。上を向いてくださいよ。あの時はこの道を歩いた俺たちは下を向かなかった。覚えていますか。世弟(セジェ)様があんたから屈辱を受けた時だ。」
アボンはウィ・ビョンジュに言いました。
延礽君(ヨニングン)がウィ・ビョンジュを見に訪れました。ウィ・ビョンジュは世弟(セジェ)を見て悔しくなり声にもならない声を上げました。
街の人々はウィ・ビョンジュに石を投げつけ水を浴びせました。
夜の王の部屋。
寝間着姿の景宗(キョンジョン)は緊張した様子で酒を飲んでいました。
世弟(セジェ)の部屋。
世弟は着替えもせずに朝服(ちょうふく)に触れました。
少論の部屋。
チョ・テグはイ・グァンジャに王の様子を尋ねました。李光佐(イ・グァンジャ)は殿下は自分を顧みる時間が必要だろうと答えました。
王の部屋。
景宗(キョンジョン)の手が震えました。景宗はイ・グァンジャから「世弟を追い込んでいる」と図星を指されたを思い出して動揺していました。
昼間の回想シーン。
「答えよ。私が罪のない世弟を追い込んでいるように見えるのか!」
景宗(キョンジョン)はイ・グァンジャに怒鳴りました。
「私めは正直に申し上げます。殿下は世弟邸下(チョハ)を追い込んでいるように見えます。これまでの殿下は判断を誤るような方ではありませんでした。しかし代理聴政(テリチョンジョン)、謀反と上書(サンソ)に続き告発が上がると殿下は待っていたかのように・・・。」
李光佐(イ・グァンジャ)は言いました。
「もうよい。やめよ。同知事(トンジサ)、そちもそう思うのか?」
景宗(キョンジョン)はチョ・ヒョンミョンに尋ねました。
「申し訳ございません。」
チョ・ヒョンミョンは謝りました。
王の部屋。
「待っていただと?この私が・・・!!!」
景宗(キョンジョン)は自分の心の奥底にある弟への敵意を認めたくありませんでした。
景宗は怒りのあまり、体に痛みを感じました。
王の寝殿の外。
延礽君(ヨニングン)は兄に目通りを願いました。
王の寝室。
「よく来たな。一杯どうだ。動じないのだな。その手も、その目も。私の手はこのように震え目も泳いでいるだろう。罪を犯したのは私のほうだからだ。李光佐(イ・グァンジャ)の言っていたことは正しい。私は待っていたかのようにお前を追い詰めた。実はお前だったのだ世弟(セジェ)。父上がお決めになったこの国の王は。私は死んだフォンでなくお前だった。王に・・・王座に就くべき者は・・・・・・。」
景宗は言いました。
「父上(アバママ)が、私めにおっしゃったのでしょうか?」
延礽君は言いました。
「だからお前を世弟(セジェ)にした。だから私は、お前が失敗することを願った。」
景宗(キョンジョン)が言うと、ヨニングンは動揺しました。
別の部屋。
「これは、まことに殿下のご命令か?」
李光佐(イ・グァンジャ)は王の命令書を見て動揺しました。
「内禁衛(ネグミ)の軍を動かすように殿下がお命じです。」
尚膳(サンソン)は答えました。
王の部屋。
「この件の裏に、密豊君(ミルプングン)がいるのか?」
景宗(キョンジョン)が尋ねました。
「ご存じでしたか?」
延礽君(ヨニングン)は言いました。
「はじめは知らなかった。疑いはじめてからも認めたくなかった。内禁衛(ネグミ)の軍を与えよう。この忌むべき報復の連鎖を終わりに城。お前なら、私のかわりにできるだろ?」
景宗(キョンジョン)は言いました。
王の寝殿の前。
「すべてを終わらせる証拠を見つけて来いと。」
延礽君(ヨニングン)は駆け付けたイ・グァンジャとチョ・ヒョンミョンに言いました。
夜道。
「逃げよう。カネを全部集めて来い。」
ト・ジグァンはファウンに命じました。
屋敷の前。
タルムンはクンテと清の商人を見張っていました。商人たちは慌てて逃走しようとしていました。清の商人は密豊君(ミルプングン)に毒薬を売ったのでした。
妓楼の中。
ト・ジグァンは逃亡の準備をしていました。
「今度お前を逃がしたら本当に眠れなくなりそうだ。」
パク・ムンスが兵を率いて現れました。
「やれ!」
ト・ジグァンは私兵に命じました。
「行くぞーーー!」
パク・ムンスは同僚たちに命じました。
渡し場。
清国の商人が船に乗り込もうとするとタルムンが現れました。
「すべて捕らえよ!」
タルムンは部下に命じました。クンテたちは刀を抜いて構えました。
清国の商人は私兵にタルムンたちを襲うよう命じました。
タルムンたちは戦いました。
妓楼。
「一人残らず捕らえよ!」
パク・ムンスたちは私兵と戦いました。
渡し場。
タルムンは商人の首に刀を突きつけると、私兵は刀を捨てました。
「待て。望みを言ってみよ!」
商人はタルムンに言いました。
「密豊君(ミルプングン)との取引を証言してもらう。」
タルムンは言いました。
妓楼。
ト・ジグァンは司憲府(サホンブ)の兵士を何人も切り殺しました。
「おい。ト・ジグァン。俺とやろう。このクソ野郎。」
パク・ムンスはト・ジグァンと一騎打ちしました。パク・ムンスが飛びかかろうとすると、背後からファウンが小刀を投げつけました。パク・ムンスの背中に刃が刺さり、ムンスは転げてしまいました。パク・ムンスは素手でファウンの刀を掴みました。
延礽君(ヨニングン)はパク・ムンスを守るためにト・ジグァンの胸に矢を射ました。義禁府の兵士が現れト・ジグァンたちは捕まりました。
延礽君はパク・ムンスに手を差し伸べました。パク・ムンスは立ち上がりました。
延礽君は密豊君を捕らえに向かいました。
寺。
密豊君は怯えながらお経を読んでいました。
ユニョンが駆け付けました。
密豊君はト・ジグァンから連絡が来なくなったので異変を察知しました。
ユニョンが自室で逃げる準備をしていると、タルムンが現れました。
「もう終わりだ。やめるのだポクタン。密豊君は終わりだ。お前だけでも生きろ。」
タルムンは言いました。
「まさか・・・あなた・・・。」
ユニョンはタルムンの裏切りを知りました。
「そうだ。世弟邸下(セジェチョハ)を俺は、見捨てられなかった。」
タルムンは言いました。
「私を騙したの?あなたが?ダメ。こんな終わり方はできない。私がこれまでどう耐えて来たか。あんた何様もつもりよ!」
ユニョンはタルムンの胸を叩いて泣きました。
タルムンはユニョンを抱き締めました。
漢城府(ハンソンブ)。
下級役人たちが鞫庁(ククチョン)を片付けていました。
密豊君(ミルプングン)はどうして鞫庁(ククチョン)を片付けているのか役人に尋ねました。
役人は王様がもう終わりだとおっしゃったのでと答えました。
「知らなかったのですか。自身がどんな状況に置かれているのか。世弟(セジェ)が君大監(クンテガム)を捕らえるため内禁衛(ネグミ)の兵を動員して捜しています。証拠が無かったのです。君大監(クンテガム)らしく素晴らしい策だったと思います。だが詰めが甘かった。」
そこに私服姿のミン・ジノンが現れ延礽君(ヨニングン)が密豊君(ミルプングン)を捜していると教えました。
「俺の祖母姜嬪(カンビン)がどうやって死んだと思う?王を毒殺しようとしたと疑われ証拠がなかったのに賜死した。その後昭顯世子まで亡くなった。王の直系である俺たちの一族は皆殺しになったんだ!どうして!どうして今回はダメなんだ!なぜ証拠が無いのに殺される人と助かる奴がいるんだ!ふざけるな!どうしてクムだけどうして!」
密豊君(ミルプングン)は暴れました。
「しっかりしてください!君大監(クンテガム)。しっかりしてください!悔しければ、生き延びるのです。私も君大監が捕まることは望みません。君大監を捕らえて世弟(セジェ)に味方するつもりはないのです。どうかご無事でいてください。」
閔鎭遠(ミン・ジノン)は涙を流す密豊君(ミルプングン)の肩を掴んで励ましました。
義禁府の長官は密豊君(ミルプングン)を捜索しましたが、見つかりませんでした。
延礽君(ヨニングン)は都城(トソン)の門を閉めるよう部下に命じました。そこにイ・グァンジャが駆け付け鞫庁(ククチョン)の役人が密豊君(ミルプングン)を見たと報告しました。
城壁。
「南無阿弥陀仏・・・なんてクソ食らえ。」
密豊君(ミルプングン)は下級役人を殺しました。
延礽君(ヨニングン)はどうして密豊君(ミルプングン)が王宮に現れたのか不思議に思いました。
王の寝殿の前。
景宗(キョンジョン)は報告を受け執務室に行こうとしました。そこに血まみれの密豊君(ミルプングン)が現れました。
「タン!」
延礽君(ヨニングン)は密豊君(ミルプングン)の名を呼びました。
感想
韓国ドラマ「ヘチ」15話の感想です。鞫庁(ククチョン)での裁判でミン・ジノンはそもそも裁判そのものをやる意味が無いといって証拠が無いことを指摘しました。淑嬪(スクピン)崔氏により母を殺され、異母弟への復讐心に燃えていた景宗(キョンジョン)はイ・グァンジャの忠言で父の遺言を思い出し、理性を取り戻しました。延礽君(ヨニングン)は密豊君(ミルプングン)が清の商人から毒薬を買ったことを突き止め、証拠を押さえようとしました。
今回もヨジが出演していませんでしたね。
今回の見どころはパク・ムンスが義兄弟だったハン・ジョンソクを殺した犯人であるウィ・ビョンジュを捕まえ、ト・ジグァンと戦った場面です。パク・ムンスは少論派の御曹司ですが、老論だらけの司憲府(サホンブ)で同僚たちを率いるまでになりました。
でも一番の見どころはミン・ジノンの政治観でしょう。ミン・ジノンは不正(汚職)などは政治にとって重要ではないささいな事という方針でいましたが、実は人一倍嘘の報告、陰謀による粛清について嫌悪していました。その理由は自分の兄が処刑されたからです。しかしミン・ジノンは権力を得るためなら何でもするようになりました。両班による政治が一番重要であると考えたミン・ジノンは言いなりになる王なら誰でもよいと思っていました。ミン・ジノンが延礽君(ヨニングン)を助けた理由は個人的な思いが強かったようです。嘘の自白をさせて罪のない両班を死罪にすることはミン・ジノンにとって最も嫌悪すべきことだったのです。
さて、タルムンですが、ユニョンを哀れに思っているようです。愛情もあるような演技でしたが、我がままで意地悪なユニョンをタルムンの思い通りにすることはできません。ユニョンはユニョンで何とか自分の力で生きようともがいていたのです。タルムンはそんなユニョンのことを一番わかっています。経済的自立を求めるために悪い道を選んだユニョン。タルムンならユニョンに仕事を与えて一緒に生きることもできたのですが、ユニョンはそうやって他人の世話を受け、そこそこで終わることが嫌なのです。確かにユニョンは哀れで愚かな女性ですが・・・そんな女性だからそそ密豊君(ミルプングン)やタルムンに愛されるという魅力があるようです。
関連記事
- へチ王座への道 全話のあらすじと感想
- へチ王座への道 1話のあらすじと感想
- へチ王座への道 2話のあらすじと感想
- へチ王座への道 3話のあらすじと感想
- へチ王座への道 4話のあらすじと感想
- へチ王座への道 5話のあらすじと感想
- へチ王座への道 6話のあらすじと感想
- へチ王座への道 7話のあらすじと感想
- へチ王座への道 8話のあらすじと感想
- へチ王座への道 9話のあらすじと感想
- へチ王座への道 10話のあらすじと感想
- へチ王座への道 11話のあらすじと感想
- へチ王座への道 12話のあらすじと感想
- へチ王座への道 13話のあらすじと感想
- へチ王座への道 14話のあらすじと感想
- へチ王座への道 16話のあらすじと感想
- へチ王座への道 17話のあらすじと感想
- へチ王座への道 18話のあらすじと感想
- へチ王座への道 19話のあらすじと感想
- へチ王座への道 20話のあらすじと感想
- へチ王座への道 21話のあらすじと感想
- へチ王座への道 22話のあらすじと感想
- へチ王座への道 23話のあらすじと感想
- へチ王座への道 最終回24話のあらすじと感想
- ヘチ 王座への道 日本語吹き替え声優と主要キャストの解説
- 景宗(キョンジョン 경종)は少論と老論の激しい党争に巻き込まれた朝鮮国王-粛宗と禧嬪張氏(ヒビンチャンシ)の息子
- 密豊君(ミルプングン)李坦(イ・タン)は実在した歴史上の人物-ヘチに登場する悪役の王子
- 延齢君(ヨルリョングン=연령군)は実在した李氏朝鮮の王子 母の顔も知らない寂しい青年
- ミン・ジノン(閔鎭遠 민진원)は実在した朝鮮の老論(ノロン)派の権力者
- 李光佐(イ・グァンジャ 이광좌)は科挙主席の文臣で景宗を支えた少論の重臣
- 李麟佐の乱(イ・インジャのらん) 少論と南人の過激派イ・インジャ(이인좌의 난)らが英祖を廃止密豊君を武力で擁立しようとした反乱
- 司憲府(サホンブ 사헌부)李氏朝鮮時代に実在した官庁についての解説
- 仁元王后(イヌォン王妃)は粛宗の三番目の正室で英祖の継母 女の中の堯舜と絶賛される
- 鞫廳(鞫庁=グクチョン)국청 朝鮮時代の特別裁判所の解説