へチ王座への道2話
目次
あらすじ
王子の狩り場。密豊君(ミルプングン)イ・タンは幕舎の中に小さな男(ヨジ)が忍び込んでいることに気付いて刀を突きつけました。延礽君(ヨニングン)イ・グムは見覚えのある女が男装していることに気が付きました。
「こんな小さくてわいいネズミが山中に潜んでいたとは。殺すには忍びない。」
密豊君(ミルプングン)はヨジの首に刀を突きつけたまま言いました。
ヨジは無言で密豊君(ミルプングン)を見上げていました。
「そいつは女だろ?女に手荒な真似をするのか?」
延礽君(ヨニングン)は涼し気な微笑を浮かべながら盃を手に持っていました。
「女?」
密豊君(ミルプングン)は首をかしげました。
「私と一杯やろう。」
延礽君(ヨニングン)はヨジに向かって言いました。
「おい。あんた(俺を)どうするつもりだ。」
ヨジは延礽君(ヨニングン)に向かって言いました。
「仮にこいつが女だとしよう。だからカッコつけたいのか?」
密豊君は延礽君に言いました。
「男ならみんなそうだろ?女人が美しければ尚更だろう。」
延礽君は弓を手に取りました。
「マジか?こいつら(部下)相手にやろうってか?」
密豊君が延礽君を挑発すると・・・
「無論。私の狙いは一人だけだから。」
延礽君はそう言うと密豊君に狙いを定めました。
「ちょっと待て!一緒に心中する気か!」
ヨジは延礽君に怒鳴りました。
「まさか。我々は一緒に死ぬ仲じゃない。」
延礽君はそう言いつつも、空に向かって矢を射ました。
驚いた密豊君は尻餅をついてしまいました。
草むらの中から獣のうなり声がしました。
突然矢が刺さった猪が現れ暴れ出しました。
陣営が混乱している隙に延礽君(ヨニングン)はヨジを連れて逃げました。 ヨジは盗んだ箱を抱えて走りました。延礽君はクァントン橋に亥の刻に来るようヨジに言いました。
延礽君が密豊君の兵士を引き付けている間にヨジは逃げました。
延礽君が兵士と戦っていると、そこに密豊君が現れました。延礽君は密豊君を倒すと「時期国王の俺に何をする!」と密豊君は鼻血を流しながら叫びました。
狩場に知らせを聞いた父王の粛宗(スクチョン)が現れました。
「またお前か。そうだ。いつも(騒ぎを起こすのは)お前だ。」
粛宗は延礽君に言いました。
延礽君(ヨニングン)は傷ついた様子で拳の力を緩めました。
都城(トソン)の街。
語り部は新しい話のあらすじを紹介していました。
飲食店。
ハン・ジョンソクの部下のアボンが飯を食べているところにパク・ムンスがやって来ました。パク・ムンスは科挙に主席で合格したのは自分の隣にいた美形の替え玉だったと言いました。パク・ムンスはまた落第しましたが自分のことより替え玉のことが気になっていました。
飲食店の一角。
店主はやくざのタルムンに無料で食事を持ってくると、なけなしの売上金を場所代として差し出しました。
タルムンは向かいの魚屋で自分の名前を出せば安くて良い煮干しを売ってくれると店主に教えました。
タルムンは場所代を受け取りませんでした。タルムンは飯代を店主に渡して店を出ました。
タルムンは手下のクンテにパク・ムンスとアボンについて調べてくるよう命じました。
司憲府(サホンブ)。
領議政(ヨンイジョン)のキム・チャンジュンは現れるなり武官のハン・ジョンソクに自宅を囲まれたことについて抗議しました。監察のハン・ジョンソクは「密豊君(ミルプングン)への捜査を妨害されました」と平然とした態度で言い返しました。キム・チャンジュンは逆上しました。すぐに執義(副官)が 部下を率いて駆け付けるとハン・ジョンソクの無礼を謝罪して領議政をもてなすために別の部屋に案内しました。
夜の宮中の役所。
延礽君(ヨニングン)は武官(おそらく内禁衛将)に聴取されていました。武官は逃亡した女について尋ねました。
「遊びが過ぎると視線が変わってしまうのだ。女人から別の方向に。男装させれば気が元に戻るかと思ったのだ。そちは官服が似合っておるな。好きだ。」
延礽君は武官に色目を使いました。
粛宗(スクチョン)は武官から延礽君(ヨニングン)が男色だという報告を受けました。粛宗は延礽君に失望しました。
延齢君(ヨルリョングン)が側近の大臣(おそらく都承旨)と宮中を歩いていると吏曹判書(イジョパンソ)のミン・ジノンに声を掛けられました。
「延礽君をお待ちなのですか?君大監。とてもご心配でしょうね。君大監(クンテガム)と近しい人が密豊君を貶めるとはさぞご心配でしょう。」
ミン・ジノンは延齢君に嫌味を言いました。延齢君側の大臣は憤慨しました。
そこに、延礽君が通りがかりました。
「お静かにしなさい。大監(テガム)。宮中ですよ。今夜の事は秘密であり政治と関係無い。また、延礽君(ヨニングン)大監(テガム)とお呼びするべきだ。私の兄上に礼を尽くせ。」
延齢君(ヨルリョングン)は静かに言いました。
ミン・ジノンは延齢君(ヨルリョングン)の聡明さを認めると、大君に味方が少ないことについてまた嫌味を言って去りました。
話を聞いていた延礽君(ヨニングン)は延齢君(ヨルリョングン)と二人きりになりました。延礽君は延齢君の心中を察して「私のせいで済まなかった」と謝りました。延礽君は延齢君にミン・ジノンと手を結んでみたらどうかと言いました。延齢君は「世子様がいらっしゃるのに!」と不安な表情を見せました。延齢君は老論(ノロン)派とは手を結べないと断りました。延礽君(ヨニングン)は弟の密豊君(ミルプングン)が「タンの計死録」を持っていることをほのめかしてその帳簿があれば密豊君をけん制できると暗に言いました。
「なぜそれを兄上が?」
延齢君(ヨルリョングン)は驚きました。
司憲府(サホンブ)の役所。
ヨジが持ち帰った箱を開けると中には乾燥した植物がたくさん入っていました。
ハン・ジョンソクとアボンとチャンダルは中身を確認しました。
ヨジは「タンの計死録」を持ち帰れなかったことを謝りました。
役所の庭。
アボンはパク・ムンスから科挙で替え玉受験したノ・テピョンのことをヨジに言いました。
ヨジは見覚えのある人相書き(ヨニングンの顔)を見ると腹を立てました。
妓楼。
ヨジは枯れた植物が詰められている箱をゴミだと思い延礽君(ヨニングン)に渡しました。ヨジは延礽君(ヨニングン)に正体を名乗るように言いました。延礽君が返答を拒むとヨジは「私は司憲府(サホンブ)のチョン・ヨジ。盗賊ではない。」と先に名乗りました。ヨジは延礽君(ヨニングン)の正体を言い当てました。
延礽君(ヨニングン)が部屋を出るとパク・ムンスが駆け付けました。
会合の場所。
ミン・ジノンが家に帰ると妓生のユニョンが出迎えました。ユニョンはミン・ジノンにしっかりと密豊君の手綱を握るようにアドバイスしました。不機嫌なミン・ジノンは卑しい女に指図されたのでさらに不愉快になりました。
「大監(テガム)は私と大君の関係をご存じでしょう?領相(ヨンサン、領議政)は私が説得しますので、密豊君をお願いします。」
ユジョンはミン・ジノンの肩に触れると微笑を浮かべました。
部屋の中。
密豊君(ミルプングン)は「延礽君(ヨニングン)を殺してやる!」と言いながら手あたり次第の物を壊して暴れていました。領議政のキム・チャンジュンたちは大君をなだめることができずにうろたえていました。そこにミン・ジノンが部屋に入って来るなり密豊君の頬を叩きました。大臣たちはさらに驚きました。
ミン・ジノンは尻餅をついて怯える密豊君(ミルプングン)と部屋で二人きりになりました。
「今上(クムサン=王)の治世は何が行われましたか?王は粛正を繰り返し朝廷の大臣を交代させてきました。王はこの国の根幹である両班(ヤンバン)を排除したのです。二度とそのような王が出てはなりません。ゆえに我々を捨てては王になれません。またわれら老論(ノロン)を軽視なさらないでください。」
ミン・ジノンは密豊君(ミルプングン)を見下しました。
妓楼。
パク・ムンスは延礽君(ヨニングン)に詰め寄りました。延礽君(ヨニングン)にはノ・テピョンという人物について知らない振りをしました。
ヨジは延礽君(ヨニングン)にノ・テピョンはユン・ヨオクの叔父で、ユン・ヨオクは密豊君に自害を装って殺されたと説明しました。
延礽君(ヨニングン)はパク・ムンスに正体を明かすと引き下がるように言いました。
パク・ムンスは延礽君の正体を知って茫然としました。パク・ムンスは「俺の人生はもうおしまいだ」と崩れ落ちました。
延礽君(ヨニングン)はヨジの話を聞くと本物のノ・テピョンは密豊君(ミルプングン)と取引して殺されたのではないかと思いました。
タルムンは道に立って考えている延礽君を陰から眺めていました。
朝の王の部屋。
ミン・ジノンは国王に謁見すると、王様が薬を召し上がる回数が増えたことを指摘しました。
粛宗は「王がもじき死ぬのだろうと心の中で嘲笑しているのだろう」と言い返しました。ミン・ジノンは密豊君(ミルプングン)を時期国王に推薦しました。
粛宗は「タンの計死録」の噂について尋ねるとミン・ジノンは否定しました。
馬場。
密豊君(ミルプングン)は馬売りのケドルに何度も暴力を振るいました。
「誰がノ・テピョンを首席にしろと言った!替え玉の口を封じるのだ。今宵までに死体を持ってこい!」
密豊君は脅迫しました。
タルムンは黙って見ていました。
延礽君の自宅前。
延礽君(ヨニングン)はチャドルという執事から合格者のノ・テピョンが試験会場に名乗りに来なかったと報告を受けました。そこにパク・ムンスがやって来ました。
司憲府(サホンブ)。
ヨジは上司のハン・ジョンソクに延礽君が科挙の替え玉でノ・テピョンについて何か知っているようだと報告しました。
街。
パク・ムンスは延礽君に「真実が明らかになり正義が果たされるまで」つきまとっていました。パク・ムンスは「罪に見合った罰を受けるのが本当の世の中です」と言いました。
「そちは頭が悪いのにマジメで無茶なことをする。そちとは志を共にできぬ。もうじき世の中は不公平と気づくことになるからだ。」
延礽君はそう言うと馬に乗って走り去りました。
パク・ムンスも馬を借りようとしましたがお金が足りませんでした。ムンスは安いロバを借りると延礽君を追いかけました。
街の医院(イウォン)。
延礽君は治療中のケドルに会いました。ケドルは早く街から逃げるように延礽君に言いました。
「物乞いの遺体を見繕いますので行ってください。」
夕方の街。
「さあ、今日は、ここまで~!お帰りくださいませ!」
九雲夢という書店の語り部の男は「若い妓生と男の話」を終えると皆を帰らせました。
そこに酒売りの娘チョホンという女性がもっと面白い話があると言いました。
チョホンは言われた通りにしたことを延礽君(ヨニングン)に報告しました。
夜になりました。
タルムンは書店の語り部から報告を受けると、都城(トソン)中にその話を言いふらすように命じました。タルムンの脇では身代わりの遺体に服が着せられていました。
次の日。
語り部の男は「密豊君が女を懐妊させて殺し、その子の叔父が科挙の替え玉になった」と噂しました。
噂は粛宗の知るところとなり、粛宗は都承旨(トスンジ)に噂が本当か調べるように命じました。また、粛宗は今夜はヨリョングンではなく延礽君(ヨニングン)を呼んでくるように命じました。
密豊君(ミルプングン)の自宅前。
延礽君(ヨニングン)は帰って来た密豊君(ミルプングン)に声を掛けました。
「噂を聞いた。お前のことだろ?ちゃんと死体を片付けろよ。見つかったら死罪は免れないぞ。」
延礽君は軽い調子で言いました。
怒った密豊君は延礽君に小刀を突きつけて脅しました。
延礽君は「(王の側室の母が死んで王宮の外で育った)俺には失うものが無いから」と言って密豊君の腕をねじ伏せました。
ハン・ジョンソクの仕事部屋。
ハン・ジョンソクはヨジとチャンダルとアボンから噂について報告を受けました。チャンダルは語り部が都を離れたことを報告しました。ハン・ジョンソクはノ・テピョンの死体を捜すことに決めました。
「父上。」
幼い息子、ハン・チュンジェと妻が部屋に入って来ました。
夫人は部下にも食事を食べさせてあげるように夫に言いました。
ヨジは花に水をあげながらチュンジェの子守りをしつつ、事件について考えていました。
「あ~!河東(ハトン)にしか咲かない花なのに!」
ヨジは考え事をしすぎて花に水を掛け過ぎてしまいました。
ヨジが倒れた花を起こしていると突然ひらめきました。
監察房。
ヨジは密豊君(ミルプングン)から盗んだ箱を開けて紅葉した葉を取り出しました。その中の一枚はまだ枯れていなかったのです。ヨジは密豊君(ミルプングン)が殺した者から記念となる物を持ち帰るのではなく、殺した場所にあった植物を集めていることに気が付きました。
夜の山。
延礽君(ヨニングン)は密豊君(ミルプングン)の私兵の後を尾行しました。延礽君が岩にぶつかって矢を落としてしまいました。音に気づいた私兵が戻って来そうになると、パク・ムンスは獣の声の真似をしました。延礽君はパク・ムンスと合流すると私兵の後をつけました。
私兵たちは山中に埋められた死体(タルムンが用意した遺体)を掘り起こしはじめました。
パク・ムンスは本物のノ・テピョンかもしれないと思うと驚きました。
しばらくしてたいまつを持ったヨジが現場に現れました。
ヨジが地面を掘ることに夢中になっていると、背後から私兵がヨジを襲おうとしました。
延礽君は兵士の胸に矢を放ちました。
ヨジが兵士に囲まれるとパク・ムンスが助太刀に現れました。
延礽君は暗闇に身を隠しながら私兵に狙いを定めて矢を次々に射ました。
兵士たちは逃げて行きました。
「大丈夫か?」
延礽君(ヨニングン)はヨジに声を掛けました。
「うっ・・・!うっ・・・。」
パク・ムンスは青白くなったノ・テピョンの遺体を見て悪心をもよおしました。
延礽君の自宅。
延礽君が自宅に戻ると都承旨(トスンジ)が待っていました。
捕盗庁(ポドチョン)。
「ノ・テピョンの遺体が見つかった。ミン大監(テガム)に知らせろ。」
捕盗大将(ポドテジャン)は部下に命じました。
ミン・ジノンの家。
ミン・ジノンは部屋にいたウィ・ビョンジュに動くよう命じました。
王宮の宝慶堂(ポギョンダン)。
延礽君は父王に会いました。
粛宗は延礽君に「お前が生まれた時に、お前は泣かなかった。私はこのまま死ねばよかったと思った。いっそ翁主(姫)ならよかった。身分の低い母から産まれた王子が人間らしく生きていけるのか。この世の誰がお前を王子と呼ぶのだろうかと思った。」と言いました。
粛宗は「別の生き方もあった。己の意思でまともに生きることもできた。どうしてそのような生き方をするのだ!」 と延礽君(ヨニングン)を叱りました。
「私が優れているからでしょう。あまりに優れすぎてこのようにしかできなかった。いっそならず者になろうと思いました。」
延礽君(ヨニングン)は苦しそうに答えました。
「ゆえに私もつらかった。お前から王の資質を見出すたびに。私はもうじき世を去る。その前にお前が少し自重して世の中に立派な姿を見せてくれ。」
粛宗は言いました。
司憲府(サホンブ)。
ウィ・ビョンジュは監察長に明日任命されることをハン・ジョンソクに打ち明けました。ハン・ジョンソクは友人の昇進を喜びました。ウィ・ビョンシクは捜査の進捗状況について尋ねました。
延礽君の家。
ハン・ジョンソクは延礽君に証人になって欲しいと頼みましたが、延礽君は密豊君を処罰するのではなく懲らしめたかっただけだと言いました。ハン・ジョンソクは追い返され、一緒について来たパク・ムンスは屋敷に向かって怒鳴りました。ヨジもヨニングンの対応にがっかりしました。
ハン・ジョンソクが帰ると延礽君(ヨニングン)はチャドルからハン・ジョンソクについて尋ねました。チャドルはハン・ジョンソクは老論と縁を持たず気概のある男で、もう一人そのような人材がいると報告しました。
朝の司憲府(サホンブ)。
大司憲(テサホン=長官)は前の監察長を罷免してウィ・ビョンジュを任命しました。ウィ・ビョンジュはハン・ジョンソクを懐柔しようとしても無駄なので齊坐(チェジャ)を開いて密豊君を裁く場を設けるほうがよいと長官に進言しました。ウィ・ビョンジュは二度と論じることができぬよう手を回してハン・ジョンソクを追い込むほうが賢明だと言いました。
ハン・ジョンソクは齊坐(チェジャ)が開かれることを知り、部下たちから心配されました。
延礽君の部屋。
囲い女として同じ屋敷で暮らしているチョホンは延礽君に酒を注ぎました。
齊坐廳(チェジャチョウ)の部屋。
ハン・ジョンソクは大司憲(テサホン=長官)や執義らの前で事件について一生懸命弁証しました。
パク・ムンスは延礽君(ヨニングン)を証人に呼ぼうと門を必死で叩きました。
ハン・ジョンソクは司憲府(サホンブ)が本分を果たすべきだと主張していましたが、延礽君は現れませんでした。
大司憲(テサホン)と執義はハン・ジョンソクを処分しようとしたその時に、延礽君(ヨニングン)が現れました。
「こんな小さくてわいいネズミが山中に潜んでいたとは。殺すには忍びない。」
密豊君(ミルプングン)はヨジの首に刀を突きつけたまま言いました。
ヨジは無言で密豊君(ミルプングン)を見上げていました。
「そいつは女だろ?女に手荒な真似をするのか?」
延礽君(ヨニングン)は涼し気な微笑を浮かべながら盃を手に持っていました。
「女?」
密豊君(ミルプングン)は首をかしげました。
「私と一杯やろう。」
延礽君(ヨニングン)はヨジに向かって言いました。
「おい。あんた(俺を)どうするつもりだ。」
ヨジは延礽君(ヨニングン)に向かって言いました。
「仮にこいつが女だとしよう。だからカッコつけたいのか?」
密豊君は延礽君に言いました。
「男ならみんなそうだろ?女人が美しければ尚更だろう。」
延礽君は弓を手に取りました。
「マジか?こいつら(部下)相手にやろうってか?」
密豊君が延礽君を挑発すると・・・
「無論。私の狙いは一人だけだから。」
延礽君はそう言うと密豊君に狙いを定めました。
「ちょっと待て!一緒に心中する気か!」
ヨジは延礽君に怒鳴りました。
「まさか。我々は一緒に死ぬ仲じゃない。」
延礽君はそう言いつつも、空に向かって矢を射ました。
驚いた密豊君は尻餅をついてしまいました。
草むらの中から獣のうなり声がしました。
突然矢が刺さった猪が現れ暴れ出しました。
陣営が混乱している隙に延礽君(ヨニングン)はヨジを連れて逃げました。 ヨジは盗んだ箱を抱えて走りました。延礽君はクァントン橋に亥の刻に来るようヨジに言いました。
延礽君が密豊君の兵士を引き付けている間にヨジは逃げました。
延礽君が兵士と戦っていると、そこに密豊君が現れました。延礽君は密豊君を倒すと「時期国王の俺に何をする!」と密豊君は鼻血を流しながら叫びました。
狩場に知らせを聞いた父王の粛宗(スクチョン)が現れました。
「またお前か。そうだ。いつも(騒ぎを起こすのは)お前だ。」
粛宗は延礽君に言いました。
延礽君(ヨニングン)は傷ついた様子で拳の力を緩めました。
都城(トソン)の街。
語り部は新しい話のあらすじを紹介していました。
飲食店。
ハン・ジョンソクの部下のアボンが飯を食べているところにパク・ムンスがやって来ました。パク・ムンスは科挙に主席で合格したのは自分の隣にいた美形の替え玉だったと言いました。パク・ムンスはまた落第しましたが自分のことより替え玉のことが気になっていました。
飲食店の一角。
店主はやくざのタルムンに無料で食事を持ってくると、なけなしの売上金を場所代として差し出しました。
タルムンは向かいの魚屋で自分の名前を出せば安くて良い煮干しを売ってくれると店主に教えました。
タルムンは場所代を受け取りませんでした。タルムンは飯代を店主に渡して店を出ました。
タルムンは手下のクンテにパク・ムンスとアボンについて調べてくるよう命じました。
司憲府(サホンブ)。
領議政(ヨンイジョン)のキム・チャンジュンは現れるなり武官のハン・ジョンソクに自宅を囲まれたことについて抗議しました。監察のハン・ジョンソクは「密豊君(ミルプングン)への捜査を妨害されました」と平然とした態度で言い返しました。キム・チャンジュンは逆上しました。すぐに執義(副官)が 部下を率いて駆け付けるとハン・ジョンソクの無礼を謝罪して領議政をもてなすために別の部屋に案内しました。
夜の宮中の役所。
延礽君(ヨニングン)は武官(おそらく内禁衛将)に聴取されていました。武官は逃亡した女について尋ねました。
「遊びが過ぎると視線が変わってしまうのだ。女人から別の方向に。男装させれば気が元に戻るかと思ったのだ。そちは官服が似合っておるな。好きだ。」
延礽君は武官に色目を使いました。
粛宗(スクチョン)は武官から延礽君(ヨニングン)が男色だという報告を受けました。粛宗は延礽君に失望しました。
延齢君(ヨルリョングン)が側近の大臣(おそらく都承旨)と宮中を歩いていると吏曹判書(イジョパンソ)のミン・ジノンに声を掛けられました。
「延礽君をお待ちなのですか?君大監。とてもご心配でしょうね。君大監(クンテガム)と近しい人が密豊君を貶めるとはさぞご心配でしょう。」
ミン・ジノンは延齢君に嫌味を言いました。延齢君側の大臣は憤慨しました。
そこに、延礽君が通りがかりました。
「お静かにしなさい。大監(テガム)。宮中ですよ。今夜の事は秘密であり政治と関係無い。また、延礽君(ヨニングン)大監(テガム)とお呼びするべきだ。私の兄上に礼を尽くせ。」
延齢君(ヨルリョングン)は静かに言いました。
ミン・ジノンは延齢君(ヨルリョングン)の聡明さを認めると、大君に味方が少ないことについてまた嫌味を言って去りました。
話を聞いていた延礽君(ヨニングン)は延齢君(ヨルリョングン)と二人きりになりました。延礽君は延齢君の心中を察して「私のせいで済まなかった」と謝りました。延礽君は延齢君にミン・ジノンと手を結んでみたらどうかと言いました。延齢君は「世子様がいらっしゃるのに!」と不安な表情を見せました。延齢君は老論(ノロン)派とは手を結べないと断りました。延礽君(ヨニングン)は弟の密豊君(ミルプングン)が「タンの計死録」を持っていることをほのめかしてその帳簿があれば密豊君をけん制できると暗に言いました。
「なぜそれを兄上が?」
延齢君(ヨルリョングン)は驚きました。
司憲府(サホンブ)の役所。
ヨジが持ち帰った箱を開けると中には乾燥した植物がたくさん入っていました。
ハン・ジョンソクとアボンとチャンダルは中身を確認しました。
ヨジは「タンの計死録」を持ち帰れなかったことを謝りました。
役所の庭。
アボンはパク・ムンスから科挙で替え玉受験したノ・テピョンのことをヨジに言いました。
ヨジは見覚えのある人相書き(ヨニングンの顔)を見ると腹を立てました。
妓楼。
ヨジは枯れた植物が詰められている箱をゴミだと思い延礽君(ヨニングン)に渡しました。ヨジは延礽君(ヨニングン)に正体を名乗るように言いました。延礽君が返答を拒むとヨジは「私は司憲府(サホンブ)のチョン・ヨジ。盗賊ではない。」と先に名乗りました。ヨジは延礽君(ヨニングン)の正体を言い当てました。
延礽君(ヨニングン)が部屋を出るとパク・ムンスが駆け付けました。
会合の場所。
ミン・ジノンが家に帰ると妓生のユニョンが出迎えました。ユニョンはミン・ジノンにしっかりと密豊君の手綱を握るようにアドバイスしました。不機嫌なミン・ジノンは卑しい女に指図されたのでさらに不愉快になりました。
「大監(テガム)は私と大君の関係をご存じでしょう?領相(ヨンサン、領議政)は私が説得しますので、密豊君をお願いします。」
ユジョンはミン・ジノンの肩に触れると微笑を浮かべました。
部屋の中。
密豊君(ミルプングン)は「延礽君(ヨニングン)を殺してやる!」と言いながら手あたり次第の物を壊して暴れていました。領議政のキム・チャンジュンたちは大君をなだめることができずにうろたえていました。そこにミン・ジノンが部屋に入って来るなり密豊君の頬を叩きました。大臣たちはさらに驚きました。
ミン・ジノンは尻餅をついて怯える密豊君(ミルプングン)と部屋で二人きりになりました。
「今上(クムサン=王)の治世は何が行われましたか?王は粛正を繰り返し朝廷の大臣を交代させてきました。王はこの国の根幹である両班(ヤンバン)を排除したのです。二度とそのような王が出てはなりません。ゆえに我々を捨てては王になれません。またわれら老論(ノロン)を軽視なさらないでください。」
ミン・ジノンは密豊君(ミルプングン)を見下しました。
妓楼。
パク・ムンスは延礽君(ヨニングン)に詰め寄りました。延礽君(ヨニングン)にはノ・テピョンという人物について知らない振りをしました。
ヨジは延礽君(ヨニングン)にノ・テピョンはユン・ヨオクの叔父で、ユン・ヨオクは密豊君に自害を装って殺されたと説明しました。
延礽君(ヨニングン)はパク・ムンスに正体を明かすと引き下がるように言いました。
パク・ムンスは延礽君の正体を知って茫然としました。パク・ムンスは「俺の人生はもうおしまいだ」と崩れ落ちました。
延礽君(ヨニングン)はヨジの話を聞くと本物のノ・テピョンは密豊君(ミルプングン)と取引して殺されたのではないかと思いました。
タルムンは道に立って考えている延礽君を陰から眺めていました。
朝の王の部屋。
ミン・ジノンは国王に謁見すると、王様が薬を召し上がる回数が増えたことを指摘しました。
粛宗は「王がもじき死ぬのだろうと心の中で嘲笑しているのだろう」と言い返しました。ミン・ジノンは密豊君(ミルプングン)を時期国王に推薦しました。
粛宗は「タンの計死録」の噂について尋ねるとミン・ジノンは否定しました。
馬場。
密豊君(ミルプングン)は馬売りのケドルに何度も暴力を振るいました。
「誰がノ・テピョンを首席にしろと言った!替え玉の口を封じるのだ。今宵までに死体を持ってこい!」
密豊君は脅迫しました。
タルムンは黙って見ていました。
延礽君の自宅前。
延礽君(ヨニングン)はチャドルという執事から合格者のノ・テピョンが試験会場に名乗りに来なかったと報告を受けました。そこにパク・ムンスがやって来ました。
司憲府(サホンブ)。
ヨジは上司のハン・ジョンソクに延礽君が科挙の替え玉でノ・テピョンについて何か知っているようだと報告しました。
街。
パク・ムンスは延礽君に「真実が明らかになり正義が果たされるまで」つきまとっていました。パク・ムンスは「罪に見合った罰を受けるのが本当の世の中です」と言いました。
「そちは頭が悪いのにマジメで無茶なことをする。そちとは志を共にできぬ。もうじき世の中は不公平と気づくことになるからだ。」
延礽君はそう言うと馬に乗って走り去りました。
パク・ムンスも馬を借りようとしましたがお金が足りませんでした。ムンスは安いロバを借りると延礽君を追いかけました。
街の医院(イウォン)。
延礽君は治療中のケドルに会いました。ケドルは早く街から逃げるように延礽君に言いました。
「物乞いの遺体を見繕いますので行ってください。」
夕方の街。
「さあ、今日は、ここまで~!お帰りくださいませ!」
九雲夢という書店の語り部の男は「若い妓生と男の話」を終えると皆を帰らせました。
そこに酒売りの娘チョホンという女性がもっと面白い話があると言いました。
チョホンは言われた通りにしたことを延礽君(ヨニングン)に報告しました。
夜になりました。
タルムンは書店の語り部から報告を受けると、都城(トソン)中にその話を言いふらすように命じました。タルムンの脇では身代わりの遺体に服が着せられていました。
次の日。
語り部の男は「密豊君が女を懐妊させて殺し、その子の叔父が科挙の替え玉になった」と噂しました。
噂は粛宗の知るところとなり、粛宗は都承旨(トスンジ)に噂が本当か調べるように命じました。また、粛宗は今夜はヨリョングンではなく延礽君(ヨニングン)を呼んでくるように命じました。
密豊君(ミルプングン)の自宅前。
延礽君(ヨニングン)は帰って来た密豊君(ミルプングン)に声を掛けました。
「噂を聞いた。お前のことだろ?ちゃんと死体を片付けろよ。見つかったら死罪は免れないぞ。」
延礽君は軽い調子で言いました。
怒った密豊君は延礽君に小刀を突きつけて脅しました。
延礽君は「(王の側室の母が死んで王宮の外で育った)俺には失うものが無いから」と言って密豊君の腕をねじ伏せました。
ハン・ジョンソクの仕事部屋。
ハン・ジョンソクはヨジとチャンダルとアボンから噂について報告を受けました。チャンダルは語り部が都を離れたことを報告しました。ハン・ジョンソクはノ・テピョンの死体を捜すことに決めました。
「父上。」
幼い息子、ハン・チュンジェと妻が部屋に入って来ました。
夫人は部下にも食事を食べさせてあげるように夫に言いました。
ヨジは花に水をあげながらチュンジェの子守りをしつつ、事件について考えていました。
「あ~!河東(ハトン)にしか咲かない花なのに!」
ヨジは考え事をしすぎて花に水を掛け過ぎてしまいました。
ヨジが倒れた花を起こしていると突然ひらめきました。
監察房。
ヨジは密豊君(ミルプングン)から盗んだ箱を開けて紅葉した葉を取り出しました。その中の一枚はまだ枯れていなかったのです。ヨジは密豊君(ミルプングン)が殺した者から記念となる物を持ち帰るのではなく、殺した場所にあった植物を集めていることに気が付きました。
夜の山。
延礽君(ヨニングン)は密豊君(ミルプングン)の私兵の後を尾行しました。延礽君が岩にぶつかって矢を落としてしまいました。音に気づいた私兵が戻って来そうになると、パク・ムンスは獣の声の真似をしました。延礽君はパク・ムンスと合流すると私兵の後をつけました。
私兵たちは山中に埋められた死体(タルムンが用意した遺体)を掘り起こしはじめました。
パク・ムンスは本物のノ・テピョンかもしれないと思うと驚きました。
しばらくしてたいまつを持ったヨジが現場に現れました。
ヨジが地面を掘ることに夢中になっていると、背後から私兵がヨジを襲おうとしました。
延礽君は兵士の胸に矢を放ちました。
ヨジが兵士に囲まれるとパク・ムンスが助太刀に現れました。
延礽君は暗闇に身を隠しながら私兵に狙いを定めて矢を次々に射ました。
兵士たちは逃げて行きました。
「大丈夫か?」
延礽君(ヨニングン)はヨジに声を掛けました。
「うっ・・・!うっ・・・。」
パク・ムンスは青白くなったノ・テピョンの遺体を見て悪心をもよおしました。
延礽君の自宅。
延礽君が自宅に戻ると都承旨(トスンジ)が待っていました。
捕盗庁(ポドチョン)。
「ノ・テピョンの遺体が見つかった。ミン大監(テガム)に知らせろ。」
捕盗大将(ポドテジャン)は部下に命じました。
ミン・ジノンの家。
ミン・ジノンは部屋にいたウィ・ビョンジュに動くよう命じました。
王宮の宝慶堂(ポギョンダン)。
延礽君は父王に会いました。
粛宗は延礽君に「お前が生まれた時に、お前は泣かなかった。私はこのまま死ねばよかったと思った。いっそ翁主(姫)ならよかった。身分の低い母から産まれた王子が人間らしく生きていけるのか。この世の誰がお前を王子と呼ぶのだろうかと思った。」と言いました。
粛宗は「別の生き方もあった。己の意思でまともに生きることもできた。どうしてそのような生き方をするのだ!」 と延礽君(ヨニングン)を叱りました。
「私が優れているからでしょう。あまりに優れすぎてこのようにしかできなかった。いっそならず者になろうと思いました。」
延礽君(ヨニングン)は苦しそうに答えました。
「ゆえに私もつらかった。お前から王の資質を見出すたびに。私はもうじき世を去る。その前にお前が少し自重して世の中に立派な姿を見せてくれ。」
粛宗は言いました。
司憲府(サホンブ)。
ウィ・ビョンジュは監察長に明日任命されることをハン・ジョンソクに打ち明けました。ハン・ジョンソクは友人の昇進を喜びました。ウィ・ビョンシクは捜査の進捗状況について尋ねました。
延礽君の家。
ハン・ジョンソクは延礽君に証人になって欲しいと頼みましたが、延礽君は密豊君を処罰するのではなく懲らしめたかっただけだと言いました。ハン・ジョンソクは追い返され、一緒について来たパク・ムンスは屋敷に向かって怒鳴りました。ヨジもヨニングンの対応にがっかりしました。
ハン・ジョンソクが帰ると延礽君(ヨニングン)はチャドルからハン・ジョンソクについて尋ねました。チャドルはハン・ジョンソクは老論と縁を持たず気概のある男で、もう一人そのような人材がいると報告しました。
朝の司憲府(サホンブ)。
大司憲(テサホン=長官)は前の監察長を罷免してウィ・ビョンジュを任命しました。ウィ・ビョンジュはハン・ジョンソクを懐柔しようとしても無駄なので齊坐(チェジャ)を開いて密豊君を裁く場を設けるほうがよいと長官に進言しました。ウィ・ビョンジュは二度と論じることができぬよう手を回してハン・ジョンソクを追い込むほうが賢明だと言いました。
ハン・ジョンソクは齊坐(チェジャ)が開かれることを知り、部下たちから心配されました。
延礽君の部屋。
囲い女として同じ屋敷で暮らしているチョホンは延礽君に酒を注ぎました。
齊坐廳(チェジャチョウ)の部屋。
ハン・ジョンソクは大司憲(テサホン=長官)や執義らの前で事件について一生懸命弁証しました。
パク・ムンスは延礽君(ヨニングン)を証人に呼ぼうと門を必死で叩きました。
ハン・ジョンソクは司憲府(サホンブ)が本分を果たすべきだと主張していましたが、延礽君は現れませんでした。
大司憲(テサホン)と執義はハン・ジョンソクを処分しようとしたその時に、延礽君(ヨニングン)が現れました。
感想
韓国ドラマ「ヘチ」2話の感想です。粛宗の長男の世子は後継者としての資質に欠けていました。粛宗は大人しい延齢君(ヨルリョングン)を可愛がっていましたが、ヨルリョングンには味方がいなかったので王権が脅かされると考えていました。そんな時に延礽君(ヨニングン)が危ない橋を渡りつつも人を使って密豊君(ミルプングン)をけん制するという政治手腕を見せはじめたため、粛宗はそこに王としての資質を見出します。
なんだかお話がものすごく長い気がしませんか?内容が濃すぎてとっても疲れてしまいます!疲れている時に見ると余計に疲れる・・・正義を果たすことはこんなにも疲れることなんですね~と思いました。
韓ドラの時代劇にはいくつかの正義の味方系のドラマがありますけども「鄭道伝」や「秘密の扉」もそっち系の真面目なドラマでした。
このドラマでも延礽君(ヨニングン)は軽やかに演じており、ハン・ジョンソクの生真面目な武人の姿が見ていて本当に疲れ・・・いいえ、演説も素晴らしくて見事なのですが、日々の生活でくたびれている私はとても・・ついていけません・・・。
マジメって本人もすごく疲れると思うのですが、見ているほうも疲れますね(笑)
今までそういう事は考えたこともなかったのですが、今回はマジメキャラが多すぎるせいか、少々むさくるしいと思います。
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