へチ王座への道12話
目次
あらすじ
ヨジは延礽君(ヨニングン)に東宮殿(トングンジョン)の宮女(クンニョ)にしてほしいと頼みました。ヨジには女官になる資格がなかったので延礽君に口利きを頼むしかありませんでした。断るイ・グム。ヨジはどうしても延礽君の傍にいて守りたいと主張しました。
延礽君は真剣な表情で「宮女になることはこういうことにもなる」と言い、ヨジの手を握って顔を近づけました。ヨジは表情を変えずに延礽君を見つめていました。延礽君は己が恥ずかしくなりヨジの手を放しました。
「すまない。私はそなたになんてことを・・・。わかったか。こういうことだ。宮女になることはそなたの気持ちに関係なくこのようなことが起きるということだ。ゆえに二度と、女官になると言うな。」
延礽君はヨジのもとを去りチャドンと合流ました。
放心しているヨジのもとにパク・ムンスが姿を見せました。パク・ムンスは世弟(セジェ)を王宮まで送らなかったヨジに理由を尋ねました。
ヨジは一人で軒下に腰掛けると先ほどの出来事を思い出していました。
郊外の道。
兵士のマ・サンテとその相棒は怪し気な輿を取り囲む数人の男を発見しました。男は相棒の兵士にカネを渡して見過ごしてもらおうと思いましたが、マ・サンテが輿の中から大量の銀貨を見つけました。
屋敷。
吏曹正郎(イジョチョンナン)は積荷が巡回中の捕盗庁(ポドチョン)の兵士に見つかったことで使用人に八つ当たりをしました。使用人(※輿を先導していた男)は後始末をつけたが捕盗大将(ポドテジャン)に相談したほうがいいと報告しました。吏曹正郎(イジョチョンナン)は捕盗大将(ポドテジャン)に言えばカネの半分を横取りされる思いました。
朝の水刺間(スラッカン)。
仁元大妃(イヌォンテビ)は準備された料理を見に来ました。山菜と豆腐、野菜とチヂミが卓上に並べられていました。
「民はこのようなものを間食に食べるとは。主上と世弟のよい経験になるのだな。」
仁元大妃(イヌォンテビ)は尚宮に言いました。
尚宮はこのあえ物の他に民はどぶろくも飲んでいると言いました。
王宮の一角。
景宗(キョンジョン)は民の代表者から田植えのやり方を教えてもらいました。チョ・テグとイ・グァンジャ、チョ・ヒョンミンも裾をまくり上げて一緒に田植えをしていました。延礽君(ヨニングン)は見事に土を慣らし終えました。民が恐縮すると皆は朗らかに笑いました。
田植えの儀式が終わり延礽君(ヨニングン)は帰ろうました。先ほど田植えを教えていた民が延礽君(ヨニングン)を呼び止めるなり土下座しました。
「私めは先日の宴の場におりました。小作人の思いを察してくださり感謝しています。ありがとうございます。お礼を申し上げます。」
男は延礽君(ヨニングン)に感謝しました。
「お前さん。もうやめるのだ。」
延礽君(ヨニングン)は男を立たせてやりました。
「邸下(チョハ)は必ず聖君になりましょう。」
男は正直に言いました。
その様子を通りがかった景宗(キョンジョン)が見ていました。
延礽君(ヨニングン)の表情が凍り付きました。
街。
語り部(タルムンの手下)は民に「・・・誰が誰のおかげで生きているのか。世弟(セジェ)の私が王になったら土地の持ち主に税を課す!」と言いふらして延礽君(ヨニングン)の演説を再現していました。チャンダルとアボンは聞くたびに感激して涙しました。クンテも恋人のコミと楽しそうに話を聞いていました。
司憲府(サホンブ)。
大司憲(テサホン=長官)は登庁するなり民が世弟(セジェ)を絶賛していると怒りを振りまきました。ユ掌令(チャンリョン)たちは小さくなって上司の話を聞いていました。執義(チビ)のウィ・ビョンジュは「司憲府(サホンブ)の人事権は世弟(セジェ)でも王にもないので(政敵は)憲府(ホンブ)に手出しできない」と言いました。
監察長のチュ・ヨンハンは「世間が慌ただしくなるほど我らは民を正しく導かねばならない。王族チャンヨン君の不正の件はそちが、ネジョ参議(チャミ)罷免の件はそちが、スン門将(スンムンジャン)の殺人事件はそちが」と任命書を配下の監察に渡しました。
「お前たちは遊んでろ。」
チュ・ヨンハンはユン・ヒョクとパク・ムンスに言いました。
「お許し下さい監察長。私が間違っておりました。私は分別もなく生意気な態度をとりました。これからはご命令に従います。犬ですか。ウ~ワンワン。犬の鳴きまねは得意です。おお。これは余ってますね。夫人が死んだ夫の葬儀をしない?私の得意分野です。お任せください。それをくださるまで話しませんよ。ご命令には従います。」
パク・ムンスは頭を下げてチュ・ヨンハンに取り入りました。
憲府(ホンブ)の廊下。
「どうした。考えを変えたのか。」
ユン・ヒョクはパク・ムンスに声を掛けました。
「ええ。死なずに生きることが大事です。まず力をつけます。力をつけるには事件を受け持ち監察長におせじを言わないと。」
パク・ムンスは言いました。
「今は耐えて待つのか。」
ユン・ヒョクは尋ねました。
「まずは同志を集めましょう。司憲(ホンブ)にも我々のような考えの者がいるはずです。」
パク・ムンスは言いました。
「そちは、成長したな。チョン・ヨジのことだが何かあったのか?」
ユン・ヒョクは愉快になりました。
「ヨジがどうしました?」
パク・ムンスは首をかしげました。
司憲府(サホンブ)の庭。
ヨジはまだ放心していました。アボンとチャンダルは飯も食わずにぼんやりしているヨジを不思議に思いました。ヨジはアボンを呼び質問しました。
王宮の庭。
延礽君(ヨニングン)はヨジに迫ったことについて後悔していました。そこにハ尚宮(チョホン)がやって来ました。延礽君(ヨニングン)は「私はある人にしてはならないことをしてしまいどうすればいいか考えている」と言いました。
「赤い顔をされてついに事が起きたのですね?どこまでしたのですか?告白?まさかそれ以上!?」
ハ尚宮は嬉しくなりました。
「ハ尚宮。チョホン!」
延礽君(ヨニングン)は恥ずかしくなって逃げました。
司憲府(サホンブ)の一角。
ヨジはアボンに「ある男が私にこうしてこうしたの。途中でやめたけど・・・。アボン。どういう意味?まさか、これは男女の秘め事で男女がするアレかな?」と相談していました。アボンは「どういうことか決まってるだろ!」と言いました。
寺。
タルムンはある屋敷の前で立ち止まりました。タルムンが中に入るとユニョンはその姿を見て震えました。
密豊君(ミルプングン)はタルムンが来たので喜びました。
寺の一室。
密豊君(ミルプングン)は自慢そうにタルムンをユニョンに紹介しました。酒を注ぐユニョンの手が震えていました。密豊君(ミルプングン)はタルムンを雇いたがっていました。
「人の姿をした犬とは取引しません。俺にも掟があります。二度と手下をよこさないでください。それだけが言いたかったのです。」
タルムンは断りました。
「や~っ!このゴロツキが。貴様よくも!」
密豊君(ミルプングン)は刀を抜いてタルムンを殺そうとしました。
タルムンは素手で刀を握りました。
「やめて!気は確かなの!手下にしたいのでしょ?」
ユニョンは悲鳴を上げると裾を破ってタルムンの傷の手当をしました。
「世弟(セジェ)についたのはなぜだ。野心があるからだろ!もっと金を手に入れて力が欲しいからだろ!」
密豊君(ミルプングン)は怒鳴りました。
「確かに以前はそうでした。女のために。」
タルムンは静かに言いました。
「ほら見ろ犬(クズ)のくせに。」
密豊君(ミルプングン)は言いました。
「道端を犬のように歩いているゴロツキには与えられない、もっと高みを望む、そんな女のためにな・・・。」
タルムンはそう言うと去りました。
門の外。
タルムンが帰ろうとするとユニョンが追って来ました。
「私がここにいると知ってたの?」
回想シーン(10年前)。
脱走した少女(ユニョン)が泣きながら崖から身を投げようとするところをタルムンに救われました。
「ポクタン。私、ポクタンよ。あなたは?」
焚火で暖まりながらポクタンは言いました。
「俺。タルムン。」
タルムンは答えました。
「元気そうだ。やはり似合う。絹の服が。」
タルムンはユニョンにそう言うと立ち去りました。
ユニョンは涙を流しながら地面に崩れ落ちました。
街。
パク・ムンスはチャンダルと夫人の家を探していました。アボンが遅れて合流しました。
「ヨジが男のことで質問してきて。あいつ、何もわかってません。」
アボンは言いました。
その時、女性の悲鳴が聞こえてきました。
パク・ムンスが家に行くと女性が自分の首に小刀を突きつけて「夫は殺されたのです」と役人に訴えていました。
パク・ムンスは部屋で夫人から話を聞きました。夫人は捕盗庁(ポドチョン)に務めていた夫の死に不信を抱いていました。
司憲府(サホンブ)。
パク・ムンスは司憲府(サホンブ)に戻りユン・ヒョクに事件の内容を打ち明けました。
「6日前に入った新入りの仲間が死んだことを捕盗庁(ポドチョン)が伏せている?殺人の疑いを隠そうとしている?」
ユン・ヒョクは首をかしげました。
パク・ムンスは死体が橋から落ちたにもかかわらずあざがひとつもないことに気が付きました。死体の背中に捕盗庁(ポドチョン)で使う三又の槍で刺された跡がありました。
捕盗庁(ポドチョン)。
ウィ・ビョンジュは捕盗大将(ポドテジャン)に呼ばれて会いに来ました。
捕盗大将(ポドテジャン)は吏曹正郎(イジョチョンナン)のクォン・イクスをウィ・ビョンジュに紹介しました。吏曹正郎(イジョチョンナン)であるクォン・イクスには三司(サムサ)の人事権がありました。
「数日前に金品を受け取った。それを捕盗庁(ポドチョン)の兵士二人に見つかった。一人が告発すると言い出しもう一人が刺したが殺された者の夫人が葬儀をしないため憲府(ホンブ)に回って来たということか。」
ウィ・ビョンジュは事態を察しました。
回想シーン。
巡回していた兵士の一人がもう一人を背後から槍で刺す場面。
クォン・イクスは助けて欲しいとウィ・ビョンジュに頼みました。
ウィ・ビョンジュはパク・ムンスが事件を調査していることを知りました。
王の部屋。
景宗(キョンジョン)と延礽君(ヨニングン)はパク・ムンスが吏曹正郎(イジョチョンナン)の周辺を嗅ぎまわっているという話を少論の李光佐(イ・グァンジャ)とチョ・ヒョンミンから聞きました。
殺人犯の家。
犯人の兵士が慌てて証拠を隠そうとしているとパク・ムンスとヨジが部屋に乗り込んで来ました。ヨジは大金を戸棚の中から見つけました。
「これが証拠の槍か。」
パク・ムンスは証拠を発見しました。
司憲府(サホンブ)。
「貴様はそれでも監察長か!!!あの事件をパク・ムンスに振るとは!」
ウィ・ビョンジュはチュ・ヨンハンを蹴りました。
「単純な殺人と思ったのです。葬儀をしないだけの・・・。」
チュ・ヨンハンは言い訳をしました。
「あの事件にクォン・イクス、吏曹正郎(イジョチョンナン)が関わっている。」
ウィ・ビョンジュはチュ・ヨンハンの襟首を掴んで言いました。
「何をなさっているのですか?」
パク・ムンスが戻って来ました。
「捕盗庁(ポドチョン)が解決した事件をなぜ追うのだ?すぐにやめろ。手を引け。」
ウィ・ビョンジュはパク・ムンスを突き飛ばしました。
「大丈夫か?」
同僚のチャン監察がパク・ムンスに駆け寄りました。
「どけ。」
ウィ・ビョンジュはチャン監察に言いました。
「あ~痛かったな。でもこれでお怒りがおさまれば捜査を継続しても?」
パク・ムンスは立ちあがりました。
「もう一人前になったと思ってるのか。執義(チビ)の私に逆らうのか?」
「ええ。やめたいのですが困りました。」
「困った?」
「犯人を捕まえてしまって。捕盗庁(ポドチョン)の兵マ・サンテを殺した犯人と犯人に指示した者の二人を腕の立つ部下とともに捕らえてまいりました。ご存じのようにこの単純な事件は吏曹正郎(イジョチョンナン)クォン・イクスが関わる不正と殺人事件に変わりました。私が捕らえたので私が処理します。」
パク・ムンスが言うとアボンとチャンダルが吏曹正郎(イジョチョンナン)の使用人を連れて来ました。
王宮の廊下。
「それでパク・ムンスが吏曹正郎(イジョチョンナン)の不正を暴いたらどうなるのだ?」
延礽君(ヨニングン)はイ・グァンジャとチョ・ヒョンミンに質問しました。イ・グァンジャらは現職の吏曹正郎が失職すれば王様に有利に働き人事権を少論が得られるかもしれないと答えました。延礽君は老論のミン・ジノンがそう簡単に人事権を手放すはずがないと懸念し、策を考えました。
延礽君(ヨニングン)はチャンダルとともに外出してユン・ヒョクに会いました。ユン・ヒョクは科挙に主席で合格した老論の名門出身でありながらも党派に属さず公平な人間でした。延礽君(ヨニングン)はユン・ヒョクに吏曹正郎(イジョチョンナン)となり景宗(キョンジョン)を補佐して三司(サムサ)の腐敗に立ち向かってほしいと頼みました。
「どこまでおやりになるつもりですか?主上や邸下(チョハ)には私めよりも厳しい道のりです。ですがあきらめずにやり遂げると約束してくださるなら私めは役職をまっとうしたいと思います。」
ユン・ヒョクは引き受けました。
ミン・ジノンの家。
ミン・ジノンと老論の大臣たちは土下座しているクォン・イクスを見下していました。
「そちの使用人が憲府(ホンブ)で自白した?使用人ではなくそちが老論の犠牲になるべきだった!賄賂?そのようなくだらないこともそちは処理できないのか。そちのせいで吏曹正郎(イジョチョンナン)の座を奪われてしまうのだぞ!!!」
ミン・ジノンはクォン・イクスの顎を掴んで怒りました。
ミン・ジノンは右議政チョ・テグと協議するために外出しました。その様子を密豊君(ミルプングン)が遠くから見張っていました。
隠れ家。
お忍びで外出した延礽君(ヨニングン)はパク・ムンスとヨジとタルムンらに会いました。ヨジは視線のやり場に困りました。パク・ムンスは二人の気配を察知しながら知らない振りをしました。延礽君(ヨニングン)はユン・ヒョクが吏曹正郎(イジョチョンナン)に任命される予定を打ち明けました。延礽君(ヨニングン)はタルムンに密豊君(ミルプングン)の監視を命じました。
帰り道。
延礽君(ヨニングン)はパク・ムンスとの連絡の仲介にタルムンを通すことにしました。
ヨジは延礽君(ヨニングン)と話がしたいと言いました。
パク・ムンスはアボンとチャンダルの三人でいったん隠れ家に戻りました。
「アボン。ヨジが言っていた話だが。もしや男女が手をつないで、それ以上のこともする・・・そんな話だったのか?」
パク・ムンスはぼんやりした様子で尋ねました。オジサンのチャンダルは「まさか」と笑いました。
「え?どうして知っているのですか?ヨジが話しました?」
アボンは何の気兼ねも無く言ってしまいました。
「それで何て答えた?」
パク・ムンスは少し傷つきました。
延礽君(ヨニングン)はヨジに謝りました。ヨジはなぜあのよなことをしたのか尋ねました。
アボンは「事実を言ってやりました。チョン・ヨジ。わからないのか?男が女にそうする理由は一つだ!」と。
「アボンが言ってました。男が女にそうする理由は一つだと。お前、強いのか?どれだけ強いか俺と対決だという意味だって。」
ヨジは延礽君(ヨニングン)に言いました。
延礽君(ヨニングン)は唖然としました。
「対決だと?」
パク・ムンスは首をかしげました。
「男がヨジを掴んだ。引っ張った。にらんだ。これは戦の前の駆け引きです。」
アボンは言いました。
チャンダルも同意しました。
「そっちのほうか。マヌケどもめ。私が聞くまでもなかった。」
パク・ムンスは安心しました。
「駆け引き?私がお前にしたのは対決の駆け引きだと?」
延礽君(ヨニングン)は胸をなでおろしつつもがっかりしていました。
「わかってます。そんなはずはありません。ところで邸下(チョハ)。私を信じられないのですか?実力を確かめるなんて。」
ヨジは言いました。
「違う。ヨジ。そうじゃなくて・・・。」
「私はチョン・ヨジです。人間兵器です。宮女になって邸下(チョハ)をお守りいたします。」
「バカだな。お前の事で夜通し悩んでいた。お前には実力がある。だが宮女になるのはダメだ。女人は男に守られるべきだ。」
「女人である前に私は監察のつもりです。」
「私が世弟(セジェ)である前に、男なら?」
「え?」
「そうだ。このままでもよい。お前と同じ風に吹かれている。お前が私と同じ気持ちでなくても。」
延礽君(ヨニングン)とヨジが二人で腰掛けているところを樹の影からパク・ムンスが見守っていました。
回想シーン。
延礽君(ヨニングン)がヨジに接近する場面。
「(まさか、邸下(チョハ)がヨジを?)」
パク・ムンスは遠くから見ていました。
タルムンの妓楼。
タルムンは手の傷を見つめ、延礽君(ヨニングン)の命令を思い出していました。クンテが駆け付けました。そこにユニョンがやって来ました。
タルムンはユニョンの手を引いて露地裏に行きました。
ユニョンは低い身分に生まれた現実を否定していました。ユニョンはタルムンがこの10年の間、一途に自分を愛していることを知ったうえで密豊君(ミルプングン)の味方になってほしいと頼みました。タルムンはユニョンを愛しながらもユニョンが絹の服への執着を捨てられないことに心を痛めていました。
日中のト・ジグァンの妓楼。
両班の若者たちが女と酒に溺れていました。
密豊君(ミルプングン)は怪し気な両班の若者たちに酒をおごるようト・ジグァンに命じました。
「あいつらは俺を王宮に連れて行ってくれる。」
密豊君(ミルプングン)はト・ジグァンに筆の達者な者を見つけてくるよう命じました。
司憲府(サホンブ)。
「ユン・ヒョクが吏曹正郎(イジョチョンナン)だと?どうして!なぜだーーー!」
大司憲(テサホン=長官)は怒りの余り壺を割りました。破片が執義(チビ)ウィ・ビョンジュの頬をかすめました。ウィ・ビョンジュは大司憲(テサホン=長官)にしっかりするよう言いました。
監察房。
「どうしよう。もっと親切にするべきだった!ああ、ユン・ヒョク様・・・。」
チュ・ヨンハンは部下たちの前でぼやきました。
司憲府(サホンブ)の庭。
パク・ムンスは味方のナム監察とチャン監察と外で待っていました。同僚のイ監察が駆け付け中の様子を報告しました。パク・ムンスは3人に味方を増やそうと言いました。
老論の部屋。
ミン・ジノンは仲間と合流して監察たちが動揺しているという報告を受けました。ミン・ジノンは危機感を持ちました。
王宮の庭。
チャドンが延礽君(ヨニングン)のもとに駆け付けると領議政キム・チャンジュンと吏曹判書(イジョパンソ)イ・イギョムの来訪を告げました。
延礽君(ヨニングン)は「私を世弟(セジェ)にしてくれたのだ。中に入りましょう。」と二人を部屋に招待しました。
延礽君(ヨニングン)はイ・グァンジャに領議政と吏曹判書(イジョパンソ)が味方になったと言いました。
そこにミン・ジノンが老論を率いて現れました。
「世弟(セジェ)邸下(チョハ)。ここにいらっしゃいましたか。邸下(チョハ)がいらしてから風のない日はありません。政治とは本来安定が最優先です。」
ミン・ジノンは延礽君(ヨニングン)に言いました。
「変化を恐れる者にはそうでしょう。その風で失うものがある。」
延礽君(ヨニングン)は言い返しました。
「ご自身は特別なのだとお考えなのでしょう。しかし人並みにできれば立派なものです。邸下(チョハ)には老論どもが愚かに見えるのでしょう。同じにはならない、あのようにはならない。違う政治ができるという自信がおありなのでしょう。愚かな者は自身は違うことができると信じている。なぜでしょうか。愚かゆえ自身の能力と限界を知らぬのです。」
ミン・ジノンは世弟(セジェ)を挑発しました。
「左相(チャサン、左議政)大監(テガム)!言葉を慎んでください!」
李光佐(イ・グァンジャ)らは怒りました。
「いいや。続けてください。左相(チャサン、左議政)に最後まで話してもらわねば。言いなさい左相(チャサン、左議政)。不届きな発言を言ってみよ。愚かだ?己を知れ?左相(チャサン、左議政)ごときが世弟(セジェ)への忠告か?」
延礽君(ヨニングン)はミン・ジノンに迫りました。
「私めがどうしてそのようなことを・・・しかしお許しいただけるなら申します。少論も同じです。我らのようにすればよいのです邸下。それだけでも立派です。老論と同じことをすればよいでしょう。老論のようにやれば国を守れるのだとすぐにお気づきになるでしょう。」
ミン・ジノンは言いました。
寺。
密豊君(ミルプングン)は雇った男に書かせた上疏(じょうそ、上奏)を見て満足しました。
クンテは兵の外からその様子を見てタルムンに報告しました。
王宮。
都承旨(トスンジ)のもとに密豊君(ミルプングン)が作らせた上疏が届きました。都承旨(トスンジ)は驚きました。
少論の部屋。
都承旨(トスンジ)は右議政の趙泰耉(チョ・テグ)に上疏(じょうそ、上奏)を見せました。チョ・テグは訴えの内容を見て驚きました。
王宮の一角。
延礽君(ヨニングン)はミン・ジノンの言葉を思い出していました。
「(いいやミン・ジノン。私はあなたのようにはならぬ。)」
延礽君が耐えているところに密豊君(ミルプングン)が現れました。
延礽君は密豊君を追い払おうとしました。
王の部屋。
景宗(キョンジョン)もまた上疏を見て驚きました。趙泰耉(チョ・テグ)は政治が刃となって返って来たのだと言いました。訴えには世弟(セジェ)が代理聴政(テリチョンジョン、王の代わりに政務を行うこと)をすべきだと書かれていました。
「なぜ国事を東宮殿がすべきという不敬な訴えをするのでしょうか!」
趙泰耉(チョ・テグ)はまだ混乱していました。
密豊君は逆風が吹き荒れると延礽君に言いました。
タルムンはクンテに何もするなと命じました。
「何を言っているのだタン。お前、一体。」
延礽君には何のことかわかりませんでした。
感想
韓国ドラマ「ヘチ」12話の感想です。延礽君(ヨニングン)はヨジに恋心を抱いていよいよ気持ちが抑えきれなくないそうになった時・・・肝心のヨジは何のことだかさっぱり理解していませんでした。ここでパク・ムンスが明らかにヨジのことを好きでいることがわかりいます。一体ヨジの正体って何者なの!?と思いますよね。「私は監察です!」と妙な事を言ったりして存在そのものがメルヘンです。女官の資格が無いという意味もイマイチわかりません。女官でないなら身分は何なの?!と謎すぎます。
不思議な女性ヨジ。不思議といえば、チョホンとユニョンも不思議ちゃん。
マジメ一徹のユン・ヒョクが遂に吏曹正郎(イジョチョンナン)に任命されたのかな!?ユン・ヒョクは実は科挙で主席合格という、意味不明な経歴の持ち主です。科挙に主席であったなら文官になってるはずなんですが、なぜか司憲府(サホンブ)の武官という謎設定。
今回は汚職役人をパク・ムンスが捕まえるというお手柄でした。パク・ムンスが勝手に動き回っているのにウィ・ビョンジュは何もできなかったことも不思議です!ハン・ジョンソクを殺めるくらいならパク・ムンスも陥れることができたんじゃないでしょうか。
いろいろ台本に穴があるようですが、ストーリー自体は濃密で面白いですね。
ここではミン・ジノンの主張によると、政権安定のためなら汚職も構わないしバレなければ全然オッケーと言ってました。
そして両班は土地を持って小作人の取り分は少な目。
現在の日本とは正反対の政策です。今の日本では小作人が地主よりも威張っていて儲けはすべて小作人の物で、地主は水代や組合費などの諸経費だけ払わされて永年赤字の地主と立場は逆転しました。ほんと、それで小作人が満足しているとしたら現代の小作人は悪ですが、田舎ではほんと小作人が「水代などの経費を肩代わりしてくれないなら耕さないよ!」と言って威張るのですよ。不正に富を得ている小作人の悪行が積み重なるときっといつかまた小作人と地主の立場は逆転するかもしれません。食糧自給率が低い原因が戦後の農地改革にあるのです。
田に関する政策は国運に関係するほど大きなことなのです。
両班にとっては田制改革がいかに死活問題であることがこれでわかるでしょう。李氏朝鮮が力を失って滅びたのは腐敗というよりは貨幣経済が発達することによって身分の秩序が崩壊し上も下も関係がなくなり優劣の条件が身分ではなく「どれだけお金を持っているか」に変わったからといえましょう。
脱線しちゃいました。
不思議な女性ヨジ。不思議といえば、チョホンとユニョンも不思議ちゃん。
マジメ一徹のユン・ヒョクが遂に吏曹正郎(イジョチョンナン)に任命されたのかな!?ユン・ヒョクは実は科挙で主席合格という、意味不明な経歴の持ち主です。科挙に主席であったなら文官になってるはずなんですが、なぜか司憲府(サホンブ)の武官という謎設定。
今回は汚職役人をパク・ムンスが捕まえるというお手柄でした。パク・ムンスが勝手に動き回っているのにウィ・ビョンジュは何もできなかったことも不思議です!ハン・ジョンソクを殺めるくらいならパク・ムンスも陥れることができたんじゃないでしょうか。
いろいろ台本に穴があるようですが、ストーリー自体は濃密で面白いですね。
ここではミン・ジノンの主張によると、政権安定のためなら汚職も構わないしバレなければ全然オッケーと言ってました。
そして両班は土地を持って小作人の取り分は少な目。
現在の日本とは正反対の政策です。今の日本では小作人が地主よりも威張っていて儲けはすべて小作人の物で、地主は水代や組合費などの諸経費だけ払わされて永年赤字の地主と立場は逆転しました。ほんと、それで小作人が満足しているとしたら現代の小作人は悪ですが、田舎ではほんと小作人が「水代などの経費を肩代わりしてくれないなら耕さないよ!」と言って威張るのですよ。不正に富を得ている小作人の悪行が積み重なるときっといつかまた小作人と地主の立場は逆転するかもしれません。食糧自給率が低い原因が戦後の農地改革にあるのです。
田に関する政策は国運に関係するほど大きなことなのです。
両班にとっては田制改革がいかに死活問題であることがこれでわかるでしょう。李氏朝鮮が力を失って滅びたのは腐敗というよりは貨幣経済が発達することによって身分の秩序が崩壊し上も下も関係がなくなり優劣の条件が身分ではなく「どれだけお金を持っているか」に変わったからといえましょう。
脱線しちゃいました。
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