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秘密の扉-最終回24話-あらすじネタバレ感想:비밀의 문 Secret Door-韓国時代劇ドラマの解説

秘密の扉 最終回24話

秘密の扉

キャスト&スタッフ

英祖(ヨンジョ)・・・ハン・ソッキュ
イ・ソン(サド世子)・・・イ・ジェフン
貸本屋の少女・・・キム・ユジョン

監督・・・キム・ジョンソン初回放映年:2014年
韓国ドラマ秘密の扉の日本語吹き替え声優・・・イ・グム(てらそままさき)、イ・ソン(川田紳司)、ソ・ジダム(小松未可子)、恵慶宮ハン氏(合田絵里)、キム・テク(山岸治雄)、山本格、増山浩一、佐竹海莉、中村章吾、吉田朝実、宮崎敦吉、荒井勇樹、鳴海崇志、岩澤俊樹、吉城よしき、北村謙次、各務立基、櫻井トオル、山元兼平

目次


秘密の扉 最終回24話 あらすじネタバレ 夢を託して

夜の王宮の秘密の部屋。
「お前ソンよ、世継ぎの地位から降りよ。」
イ・グム(英祖)はイ・ソン(思悼世子)に言いました。
「お断りします。」
イ・ソン(思悼世子)は父に言いました。
「世継ぎは、逆徒と見なされている。」
「誤解です。」
「ならば!!なぜ兵を訓練したのだ。」
「訓練などしていません。」
「それでも、何も変わらんぞ。書斎(ソジェ)を関西に作って官服を着る資格のない者どもを集めた。そう説明した時点で、国本(クッポン、世子)の廃位は免れん。だが、お前の逆徒の汚名はそそがねばならぬ。お前が逆徒のままでは孫のサンを君主することができぬからな。今から私の言うことをよく聞け。お前は父王に書斎(ソジェ)を作った罪のみを償え。責任を取って、自ら進んで廃位を、すればよい。ほかのことは、すべてナ団長の仕業だ。軍隊を養成して書斎(ソジェ)の奴らを逆徒の思想に染めた罪はナ団長がかぶる。」
「それはできません。」
「よく考えて決めろ。これ以外に、これ以外にサンを守る道はない。そしてお前が生き残る道も、これしかないのだ。」
イ・グム(英祖)はイ・ソン(思悼世子)の肩に手を置きました。

世孫(セソン)購書院(カンソウォン)。
「子いわく。君子は義に喩り(さとり)。小人(ソイン、しょういん)は利に喩る。」
イ・サンは四人の講師と机を囲んで経書を音読していました。
「意味はわかりますか?」
若い講師がイ・サンに優しく尋ねました。
「物事を処理する際に君子は道義を第一に考え、愚か者は利益を考えるという意味です。」
イ・サンはすらすらと先生に答えを述べました。
イ・グム(英祖)は廊下の扉の隙間からかわいい孫が聡明な様子を見て喜びました。
「お見事です。次へ進みましょう。」
講師は世孫に言いました。
「賢を見て斉し(ひとし)からんことを思い不賢を見て・・・。」
イ・サンは書を読みました。

購書院(カンソウォン)の廊下。
「世子から逆徒の烙印を消さねばならぬ。そうしないとサンまでもが逆徒に、そう思わぬか?そなたが責任を取れ。そなたが世子に国本(クッポン、世子)の地位から降りるように決意させよ。」
イ・グム(英祖)は都承旨チェ・ジェゴン(蔡済恭)に命じました。
「しかし殿下・・・。」
「それ以上言うでない!皆が助かる道はこれしかない。」
イ・グム(英祖)は都承旨に振り返り顔を震わせて言いました。

日中の英祖の部屋(座敷タイプ)。
都承旨チェ・ジェゴン(蔡済恭)は辞職上疏を英祖に出しました。
「辞職したいだと?この状況でお前が辞職したらどうなる。余の気持ちが、わからぬのか?」
イ・グム(英祖)は辞職上疏をチェ・ジェゴンに投げつけました。
「ええ、存じております。どうして息子を見捨てるのか、君主としてどうして決意されたのか、私めにもわかる気がします。しかし、父親の意向に従えない息子の気持ちもわかるのです。ですので私は殿下のご命令にも、邸下のご命令にも従えません。」
チェ・ジェゴンは偽りのない気持ちを英祖に表しました。
「どうせ逃げるつもりだろう。」
「私めが官職に就いてから二十年、そのほとんどの時間を邸下に仕えて過ごしてきました。だから邸下を私めが廃そうなどとてもできません。」
チェ・ジェゴンは瞳を潤ませました。
「(邸下。邸下。どうかお達者で。)」
チェ・ジェゴンはイ・ソン(思悼世子)のことを思いながら王に拝礼し退室ました。

「使えん奴め。」
英祖はチェ・ジェゴンの辞職上疏を持ちながら尚膳キム・ソンイクに言いました。
「ならば私はどうすれば・・・。」
キム・ソンイクは王の命令を望みました。
「私が直接処理する。誰にも任せずに、私自らが手を下さねば。まず、世子の手足を切れ。」
英祖は尚膳に命じました。

早朝のミン・べクサンの家。
「父上。こんな危険な時にどうして都城にお戻りになったのですか?」
出勤しようとしていたミン・ウソプのところにミン・べクサンは姿を見せました。
「それは危険だからだ。」
書斎(ソジェ)の指導者ミン・べクサンは息子の手を取りました。
「罪人ミン・ウソプ。」
すぐに義禁府(ウィグムブ)の兵士たちが現れました。
「私の息子が何の罪を犯したのだ。」
ミン・べクサンは言いました。
「逆徒と通じた罪だ。」
「逆徒だと?」
「連れていけ!」
ミン・ウソプは連行されました。

東宮殿内官のチャン・ホンギは官服を脱がされ白い肌着で靴も履けずに街の雪道を歩かされていました。
チョ・ジェホは木の檻に入れられ牛舎に引かれていました。

世子の部屋。
「チョ・ジェホとチャン・ホンギが流刑になっただと?」
イ・ソン(思悼世子)はチェ尚宮に聞き返しました。
「ミン・ウソプは逆徒に通じた罪で・・・。」
チェ・尚宮は眼を伏せたままイ・ソン(思悼世子)に言いました。ソ・ジダムはチェ尚宮の後ろに黙して侍っていました。
「どちらへ行かれるのですか。」
イ・ソン(思悼世子)は部屋を出ようとすると、嬪宮(恵慶(ヘギョン)宮)ホン氏が立ちふさがりました。
「どいてくれ。」
「邸下の状況が悪くなるのがどうしてわかりませんか。邸下の補佐を怠ったと宮女まで罰せられるではありませんか。・・・・・・廃位をお認めください。邸下の罪をできるだけ他の者にかぶせて廃位でおさめるのです。ご決意なされば私は従います。罪人の身となり死ぬまで世に出られず、このまま四角い空を眺めて暮らすのも構いません。過酷な囚人暮らしに耐えるのがあなたの運命なら私も喜んで耐え抜きます。しかし子は別です。私たちのサンだけは危険な目に遭わせてはなりません。」
「嬪宮・・・。」
「国母になり君主の妻として称えられる夢は、今を最後にきっぱりと、あきらめます。しかし君主の母、次のこの国の王の母となる夢まで捨てろとおっしゃるのなら、私は邸下を絶対に許さないでしょう。」

秘密の部屋。
世子は机の上の紙を払いのけて苦しみました。

王の部屋。
「まだ東宮殿から連絡はないのか?」
英祖は尚膳に尋ねました。
「そのようでございます。」
キム・ソンイクは同意しました。
「ならば廃位の手続きを進めるしかないな・・・。」
イ・グム(英祖)は決意しました。
廃位ですと!言語道断です!
赤い官服に着替えたミン・べクサンが許しもなく王の部屋の扉を開けて入ってきました。
どういうことだ!なぜ逆徒が王宮に入ってきた!いったい誰の仕業だ!
英祖は立ち上がり逆上しました。キム・ソンイクは内禁衛を呼びに行きました。
お願いでございます殿下ー。私の息子を殺すことも邸下国本(クッポン、世子)を殺すこともなりません。
ミン・べクサンは床に手を突いて王に懇願しました。
「貴様は、この二年間書斎(ソジェ)で指導していたのか?」
「そうでございます。ですから私めの命で皆の罪を償わせてください。私めが死んでも息子の命だけはこの手で守ってやりたいのでございます。」
「もう下がれ。」
「殿下ー。」
「お前は生きろ。」
「殿下。」
逆徒としての罪は問わぬことにする。生きろ。息子を正せなかった罪を、お前も一生悔いて生きるがよい。死ぬのは許さん!
イ・グム(英祖)は屏風の前の座布団に座りました。
「な・り・ま・せ・ん殿下ー!」
ミン・べクサンは自分を抑えつつも気持ちを込めて英祖に訴えました。
「おい尚膳!こいつを今すぐつまみ出せ!」
「なりません殿下ー!殿下ー!私めの命と引き換えに息子だけはお救いくださいーー!どうか息子をお助けくださいーーー!」
ミン・べクサンは大きな声で言いましたが英祖の耳には届きませんでした。ミン・べクサンは黒い服の兵士に連れて行かれました。

夜のミン・べクサンの家。
ミン・べクサンは帽子を脱ぎました。

英祖の部屋。
「殿下ー!殿下ー!」
キム・ソンイクが大声を出しながら廊下を走り英祖の部屋に入りました。
「殿下・・・ミン・べクサンが・・・自害しました。」
キム・ソンイクはミン・べクサンの遺書を英祖に渡しました。
英祖は遺書を読みました。

「生きろと殿下に言われましたが私には生きる自信がありません。親が子に先立つのが天の理。その理にどうして逆らえましょうか。ふがいない父親の命と引き換えに、息子の命だけは、息子の命だけはどうかお助けください。」
ミン・べクサンは自宅の庭に筵を敷いて宮殿の方向に向かって毒薬を飲み倒れました。

「世の父親は実に気楽なものだな。子供のために、いつでも死ねるのだから。だが、王室は違う。君主である父親は、息子のために、何ができる。どうすればよいのだ。」
英祖はつぶやきました。

世子の部屋。
「それでミン・ウソプは今どうしてる。」
イ・ソン(思悼世子)はチェ尚宮に問いました。
「一端、釈放されました。」
チェ尚宮は答えました。

(悲しげな音楽が盛り上がり女性の歌声が流れる。)

ミン・べクサンの家。
ミン・べクサンは部屋の中で上敷きを敷いた上に横たえられていました。高貴な位を示す帽子とベルトが脇に置かれていました。ミン・ウソプは動かなくなった父親を前に悲しみました。
「あきれた奴め・・・。窮地に陥った父親を一度くらい見ぬふりしたとて誰にも文句は言われまい。なのにお前はそうしなかった。だからお前と国本(クッポン、世子)は愚直すぎるから酷い目に遭うのだ。愚か者め。だがな、私はこう思う。国本(クッポン、世子)とお前はあきれるほど不器用な若者だから、それで、だから誇らしいと。」
ミン・ウソプは義禁府(ウィグムブ)の牢に入れられた父の言葉を思い出しました。ミン・ウソプは床を叩いて泣きました。

王の部屋(座敷タイプの小さな部屋)。
英祖のもとに少論の重臣が集まりました。
「国本(クッポン、世子)にはどのような処罰をするのですか。」
領議政キム・サンのは王に言いました。
「国本(クッポン、世子)を東宮殿に幽閉したきり沙汰がないのはどうしてですか。」
兵曹判書ホン・ゲヒも追撃しました。
「廃位。世子の座から降ろすことにする。」
イ・グム(英祖)は重臣に言いました。
廃位だけですか!
キム・サンのは大きな声で言いました。
「廃位した後どうするのですか?」
ホン・ゲヒは言いました。
「流刑とし、二度と外に出られぬよう監禁する。死ぬまでの間、世の中とのいかなる接触も、禁じることにする。」
英祖は力なく言いました。
「あの高い王宮の塀も、国法をも軽々と飛び越え、平民の国を目指した世子です。だから!監禁してもすぐに逃げ出すのではありませんか?世子のいる場所には必ず悪がはびこります!乱心者がまいた種は芽吹いて大きく育ちます!やがてこの国すべてが混乱に陥るでしょう!」
キム・サンノは食い下がりました。
「すぐに危険な芽は摘むべきです殿下!」
ホン・ゲヒも英祖に言いました。
「貴様ら・・・貴様らは一体何を望んでいるというのだ。私に、父親としての天の理に背けと?私に、この手で息子ソンを殺せと言うのか!」
英祖は低い声で力を込めました。
君主としての責任を果たしてください。国本(クッポン、世子)を殺さねば国の秩序が正せません!
ホン・ゲヒは世子を殺せと王に言いました。
悪を断つのです!!!
キム・サンノも大きな声で言いました。
「世子を断罪してください!」
ホン・ゲヒも言いました。
「い・・・。」
英祖は牙を剥いて怒りに震えました。
「邸下を謀反の罪に問うのですー!」
府院君キム・ハングも発言しました。
「おのれ貴様ら!」
イ・グム(英祖)は立ち上がると部屋を出ました。
「殿下ぁ~。」
六人の老論の重臣は声を揃えて頭を下げて訴えました。

秘密の部屋。
「私を殺して世孫まで廃位するだと?」
イ・ソン(思悼世子)は顔を真っ赤にして机の上の紙を掴みくしゃくしゃにしました。
「打つ手はないのですか?このままおめおめと殺されるのを待つのですか?邸下の夢はどうなるのです。民と交わした約束はどうするつもりですか。団長は今こそ世を変える時だと。」
判書内人(ポンソナイイン)のソ・ジダムは世子に言いました。
「何が言いたい。」
「鳴砂団(ミョンサダン)の精鋭が都城に戻ってきました。」
ソ・ジダムは書簡の入った筒を世子に差し出しました。

王の部屋。
英祖は領議政を部屋に呼びました。
「世子に関してはそなたの意に従う。」
英祖が言うとキム・サンノは満足そうに笑いました。
「だが世孫には手を出すな。」
英祖は付け加えました。
「お言葉ですが、世孫と世子の親子は切っても切れぬほど固い絆に結ばれています。世孫にもよからぬ考えが芽生えているかもしれません。」
「その芽は、余の手で摘み取る。」
「それはなりません殿下。」
「ならぬと言うなら!お前の首を斬る!」
「殿下。」
「余が譲歩できるのは、ここまでだ。世子を切り捨てて世孫に王位を継がせる。」
「しかし・・・。」
「世子の息子としてではない。余の長男、つまり早世した孝章世子(ヒョジャンセジャ)の嫡子として王位を継がせる。直系図から、国本(クッポン、世子)が世孫の父親だった痕跡を、完全に消し去る。これ以上、余は譲歩するつもりはない。譲歩を要求するなら、戦を覚悟せよ。これから、どちらかが死ぬまでは、絶対に、終わらぬだろう。」
「わかりました。重臣を説得します。」

イ・サンの部屋。
「上手になりましたね。」
嬪宮ホン氏はイ・サンに動物の絵を見せられて息子を褒めました。
「まだ父上には及びません。父上はどうなるのですか?」
イ・サンは言いました。
「どうなるとはとういう意味だ?」
「父上は君主になれぬと宮女が噂をしています・・・。」
「誰がそんなでたらめを言ったのですか?」
「でたらめですか?」
「信じないことです。お父様はご立派なお方です。それは誰よりも世孫が、私たちの世孫がよく知っているではありませんか?お父様は必ず君主に、ご立派な君主になられます。」
「そうですよね。きっとそうですね母上。」

夜の王の謁見の間。
「お呼びでしょうか。」
イ・ソン(思悼世子)は父に言いました。
イ・グム(英祖)は優しい微笑を浮かべていました。
「やつれたな。そうか。お前もさぞかしつらいだろう。月日が流れるのは早い。お前が生まれたのがまるで昨日のことのようだ。何も出来なかったただの乳飲み子が、初めてよく座った日、そして初めて言葉を発した日。ふ・・・筆を持ちたがって初めて文字らしきものを書いた日。不思議で胸躍るような初めての日々を・・・今もはっきり覚えておる。ソンや。私は我が息子について、誰よりもよく知っている。私の息子のことは、何から何まで父の私がすべてわかっている。そう思って今まで胸を張ってきたが、だがそれは私の思い上がりだったようだ。どこから溝ができたのか。お前と私は、どういうわけで、ここまで至ったのか。」
「父上・・・。」
「私の息子は、私の息子は、生まれてこなければよかった・・・。どうせなら、どうせなら、普通の家庭の息子として生まれれば、よかっただろう。どうして私の子に生まれてしまったのだろう・・・。」
英祖は立ち上がりすすり泣きながら部屋を出ていきました。

日中の東宮殿の庭。
イ・ソン(思悼世子)とイ・サンは矢を青銅の筒に投げ入れる遊びをしていました。
「また外れましたね。」
イ・サンは矢を外した父に言いました。
「そうだな。今日はなぜかうまく入らぬ。」
イ・ソン(思悼世子)は息子に言いました。
「よく集中できないのですか?うわさのせいでは?」
「噂?」
「父上が、君主になれないって。心配いりません。でたらめです。」
イ・サンは父を慰めました。
「誰が、でたらめだと?」
「母上です。」
「そうか。」
「父上は立派な方だから必ずよい君主になると。だから元気を出してください父上。」
「そうか。元気にならないとな。」
イ・ソン(思悼世子)は矢を投げました。
「入った~!」
イ・ソン(思悼世子)は息子のために楽しそうに振る舞いました。
「父上が集中できたから入ったのです。」
イ・サンは喜びました。
「そうだな。」
イ・サンも矢を投げると父に抱き着きました。
イ・ソン(思悼世子)とイ・サンは抱き合いました。

秘密の部屋。
「お呼びでしょうか。」
ソ・ジダムは世子に呼ばれて参じました。
「もしもだ。もしも蜂起が成功して生き延びたら私は世孫に言い訳しなければならぬ。」
イ・ソン(思悼世子)はソ・ジダムに言いました。
「邸下。」
生き残るために、仕方なく敵を皆殺しにしたのだと言い訳する父親になる。そして私を慕う民にとって非情な君主になる。反対する者を武力で制圧するからだ。
「今、何をお考えに・・・。」
「ナ・チョルチュにつたえよ。蜂起は取りやめにするとな。」
イ・ソン(思悼世子)は手紙をソ・ジダムに渡しました。

鳴砂団(ミョンサダン)の陣営。
「間違った手段で大義は為せぬ。目的のために生き残ったとしても目的は果たせぬだろう。間違った手段が我々を変えてしまうからだ。蜂起の取りやめは敗北とは違う。夢のために多くの忍耐が必要だというこの現実を受け入れるだけだ。ゆえにどうか今この現状に絶望しないでほしい。」
ナ・チョルチュは世子の手紙を読みました。
「皆を集めろ。蜂起の日が目前に近づいた。やってくれるな?」
ナ・チョルチュはソ・ジダムを伴い同志に言いました。

世子の部屋。
イ・ソン(思悼世子)は帽子を脱ぎました。

鳴砂団(ミョンサダン)の陣営付近の川。
ピョン・ジョンインら同志たちは川で髭を切り内官に扮装しました。

王宮。
鳴砂団(ミョンサダン)の刺客は内官の姿をして王宮の門をくぐりました。

夜の王宮の世子の部屋の廊下。
「何かご心配事でもおありでしょうか。」
廊下に控えているチェ尚宮にソ・ジダムは言いました。
「都承旨チェ・ジェゴンに手紙を出したのだが、連絡がない。」
「手紙を?」

雪の積もるチェ・ジェゴンの家。
麻の白い喪服を着て謹慎中のチェ・ジェゴンは庭でチェ尚宮の手紙を読み驚きました。
「邸下を、失うわけにはいかない。この現状を打開できるのは、チェ・ジェゴン令監(ヨンガム、従二品と正三品への尊称)だけでしょう。」
手紙には世子の危機が書かれていました。
「はっ。」
チェ・ジェゴンは喪服のまま馬を駆りました。

世子の部屋の廊下。
「早く来てくださらないと・・・。」
チェ尚宮は不安でたまりませんでした。
「ご心配いりません媽媽様。邸下を救おうと動いている者がいます。」
ソ・ジダムは言いました。
「何の話だ。」
イ・ソン(思悼世子)が廊下に姿を現しました。
「何の話だと聞いておる。説明しろ!」
イ・ソン(思悼世子)はソ・ジダムの両肩を掴んで揺すりました。

イ・ソン(思悼世子)はひとり剣を携え英祖の寝殿の前に駆けつけました。寝殿の前には黒装束の十数人の刺客たちが集まっていました。
イ・ソン(思悼世子)は剣を抜くと刺客と戦いました。
「や~。」
イ・ソン(思悼世子)は次々と刺客を倒していきました。

王の寝所。
寝間着姿のイ・グム(英祖)の前に、黒装束のナ・チョルチュが立っていました。
「どうしたのだ。」
イ・グム(英祖)は目を合わせずにナ・チョルチュに言いました。
「そのお首を貰いに来ました殿下。」
ナ・チョルチュは静かに言いました。
イ・グム(英祖)は目を閉じました。ナ・チョルチュは少し礼をすると剣を抜きました。
「うわ~!」
ナ・チョルチュが叫びました。
「(どうして、どうしてこんなことに・・・。)」
イ・ソン(思悼世子)はナ・チョルチュの腹に剣を突き刺し心で語りかけました。
「(どうして、俺たちは敵になってしまったのでしょうか。よい相棒になれると思っていたのに。)」
ナ・チョルチュも世子を振り返り心で思いました。
「(私もすぐに後を追うかkらそなたと相棒になれるだろう。)」
世子は目に涙を浮かべました。
ナ・チョルチュはイ・グム(英祖)を見ると床に倒れました。
イ・ソン(思悼世子)の剣先に血のりがついていました。
「どうした。なぜ突っ立っている。こちらへ来い。むしろ、これでよい。すべて丸くおさまる。その剣で、私を斬れ。権力は、そうやって得るのだ!私が逝って、お前が残る。父が、先に死んで、子が、子が後に残るのだ。それが天の理だ。さあ・・・。だから・・・。」
イ・グム(英祖)は布団の上に座ったままイ・ソン(思悼世子)に微笑み目を閉じましたました。
イ・ソン(思悼世子)は剣を捨てて脱力し膝をつきました。
「やめるな!刀を持て!その刀で・・・。」
イ・グム(英祖)は息子を叱りました。
「もう苦しむのはおやめください父上・・・・今度こそ、私が去る時が来たのです。刺客の狙い通り私が父上を殺して王座を手に入れたら歴史が繰り返されてしまいます。敵を、殺して王座を得る負の連鎖を断ち切らねば、虐殺を指揮した手で未来を創ることがどれほどつらいことか、誰よりも、父上がご存じではないですか。」
イ・ソン(思悼世子)は父に言いました。
イ・グム(英祖)は顔を震わし悲しそうに息子を見つめて頷きました。

夜明け前。
イ・ソン(思悼世子)は義禁府(ウィグムブ)に連行されました。

イ・サンの部屋。
「お父上が遺された物でございます。」
チェ尚宮はイ・サンにイ・ソン(思悼世子)の遺書を渡しました。

王宮の庭。
イ・ソン(思悼世子)が庭を通ると嬪宮ホン氏は世子に背を向けていました。白装束の世子が通り過ぎると嬪宮は涙を流しながら夫の背中を見送りました。

鞠問の場。
庭の中央には米櫃が置かれていました。
英祖と重臣はイ・ソン(思悼世子)が来るのを待っていました。

イ・サンの部屋。
「サンや。父はもう長くはない。だからお前は父の仇を討ってくれ。」
イ・サンは手紙を読むと泣きながら父のもとへ走りました。

鞠問の場。
キム・サンノは空を見上げました。
イ・グム(英祖)はイ・ソン(思悼世子)を見ていました。
「父上。なりません父上。なりません。なりません。ああああああなりません。なりません。」
イ・サンが扉を開けて庭に入って泣きました。
「世孫を入れたのは誰だ?世孫を外へ連れていけ!」
イ・ソン(思悼世子)は兵士に命じました。
「話すのだ。父上。離してくれ。父上!」
イ・サンは門の外に連れ出されました。門を叩きながら父を呼ぶイ・サン。そこに喪服姿のチェ・ジェゴンが駆けつけました。
「泣くのは、おやめなさい。父上が、叱られてしまいますよ。だから今は、めそめそしてはいけません。毅然として、父上をお見送りするのです。」
チェ・ジェゴンはしゃがむとイ・サンの両腕を掴んで力強く励ました。
イ・サンは泣き止もうと努力しました。
イ・サンとチェ・ジェゴンは門の内側のイ・ソン(思悼世子)に向かって頭を下げました。
世子の義父ホン・ボンハンは目を閉じました。
イ・ソン(思悼世子)は父に頭を下げ自ら米櫃の中に入り目を閉じました。
米櫃の蓋が閉じられるとイ・グム(英祖)は一筋の涙を流しました。

月日が流れ・・・。
老いたイ・グム(英祖)はイ・ソン(思悼世子)に支えられながら散歩をしていました。
「久しぶりに外の空気を吸った。実に気分がよい。」
「寒いでしょう祖父上。部屋に戻られてはどうでしょう?冬だからかなぁ。太陽の出ている時間が、とても短くなったな。太陽の出ている時間は、こんなに短いのに、うんざりするような人生は、一体いつまで続くのやら見当もつかぬな。」
青年になったイ・サンは祖父に言いました。
「祖父上・・・。」
「サンや。私はな・・・この祖父は・・・私の息子を見送ってから、常に宿題を抱えているような気分だった・・・息子の命を奪ってまで、この国を守ったら・・・半時も、手を抜けなかった。あと少し経てばこの国はお前が継ぐことになる。サンや。」
「なんでしょう祖父上。」
「お前は最近、誰と食事をしている?」
「祖父上。」
「友はいるのか?どっしり構えて一人で座って食事を摂るのが国王というものだが、ともに食事をする友くらい作れ。そうすれば、この天罰ともいえるような君主の道を・・・この孤独な道を・・・耐え抜ける気がする。ふっ・・・・。」
英祖はイ・サンの肩を叩きました。
「疲れたな・・・・・・。」
英祖はイ・サンに支えてもらいながら歩きました。イ・サンの金色の帯には、緑青の錆が生じていました。

イ・ソン(思悼世子)の声。
「サンや。私はもうすぐ死ぬ。だからお前は、私の仇を討ってくれ。私の仇を討つために、王宮の最も美しい場所に書斎(ソジェ)を構えよ。」

国王となったイ・サンは奎章閣(キュジャンガク、正祖イ・サンが設置した人材育成機関)の扉を開けました。パク・ジェガ、チョン・ヤギョン、ぺク・ドンスら若手の官僚らはイ・サンに頭を下げました。最後にチェ・ジェゴンが頭を下げました。

「そして、身分の差なく人材を登用して夢を実現させろ。そうすることが、私の仇を討つ最善の方法なのだ。」

朝鮮二十二代国王イ・サン(正祖)は振り返って言うとチェ・ジェゴンと顔を見合わせました。イ・サンはイ・ソン(思悼世子)に瓜二つでした。
「私は、思悼世子の息子だ。」

完。

感想

わかっていたとはいえイ・ソン(思悼世子)が哀れな結末を迎えてしまいました。いつもの「陰謀」「復讐」パターンの中にもとても硬派な時代劇ドラマでしたね!軽いところがほとんどないし、死ぬとわかっている思悼世子(サドセジャ)を主人公に視聴者はわくわくしながら最後までついていけたのでしょうか!?私は登場人物が涙してもたいして感動しなかったタイプなのですがwというより普通じゃない人たちの気持ちなんか同情できるもんじゃないですよね。私にしてみれば「お前、自分の手で息子を殺してなに泣いてるんだよ」と英祖が苦しんでいてもまったく同情できません。もちろん英祖は思悼世子を可愛がっていたことはわかるけど、子を殺す親の苦しみは凡人には頭でわかっても心でわかりっこありません。しかしこのドラマの思悼世子が老論の政敵だったことについての解釈は納得できるものがありました。共感できるのは現代的な価値観のチェ・ジェゴンとミン・べクサンあたりかな。ソ・ジダムも後半はたいした見せ場がないまま終わってしまいました。どうせならソ・ジダムはナ・チョルチュを慕っているかあるいは世子を好きな設定にするとか何かあってもよさそうだったのに。あのキム・サンノとホン・ゲヒの俳優さんは今回も大悪党を演じてしまいましたね。朝鮮の王室の王子様たちの身分はまさに死と隣り合わせ!王になっても幼いというだけで殺されちゃうのですからとんでもなく無茶苦茶で恐ろしい世の中だったのでしょうね。私には当時の朝鮮の王朝が現代の韓ドラ時代劇のような優しさを持ってるとは思えません。この「秘密の扉」の最終回までを見ていて思うのが「思悼世子よ、どうして英祖の死を待たなかったのだ」とツッコミタイですね。何も王様がご存命のときに世をひっくり返すようなことをしなくても!と思いませんでしたか?それはドラマですから、無茶して死んじゃうほうが面白いってなるのでしょう。鳴砂団(ミョンサダン)という剣契(コムゲ)も結局無意味に終わっちゃいましたね。ソ・ジダムは逆賊を王宮に手引きしていたので隠し通さない限り死罪を免れない運命でしょう。運がいい男なのが、やっぱりチェ・ジェゴン。世子の味方をしてたら普通は罪をねつ造されて一緒に殺されるのが朝鮮の文化ですよね。それが三代の王に仕えて命があるのですから運が良いと思います。ただやっぱり解せないのが英祖は前半では思悼世子を愛していない冷酷な演技だったのに、仇敵キム・テクが失脚してから後半から父親として振る舞っているのですよね。英祖の心に余裕でも生じたのでしょうか。タイトルの「秘密の扉」が意味するものは何だったのか?そこも説明がなくてわかりませんね。視聴者の都合で世子の隠し部屋の扉なのかな?とも思ったり、はたまた猛毅(メンイ)という連判状の秘密を開ける扉のことなのか。終わってしまったからどうでもいいけど、セリフが盛りだくさんのドラマでした。最後の英祖の特殊メイク、顔がふくれてデコボコだったのでそういう病気なのかな?というくらいちょっと不自然だったかも。イ・サンの官帯というのか、王族と貴族の官僚が身に着けているベルトですね、英祖のベルトには白の石(プラスチック)がはめてあったけど、イ・サンのベルトは金色に緑の錆が出ているデザインだったのですよね。若いのにベルトに錆が・・・気が付きましたか?この「秘密の扉」から得られる教訓は多いと思いますが、身分固定で腐敗し汚職が蔓延する国は遠からず滅びることと、世の中をよくするためには常に悪党と戦わねばどんどん悪くなる一方であるということを学びました ^^) 悪党にしてみれば善人が悪党にしか見えないのだろうけどwあ、みなさん既に知ってましたかな。

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