秘密の扉8話
目次
あらすじ 裏の顔
東宮殿(トングンジョン)の別監(ピョルガム)で剣契(コムゲ)ソンバンの頭目カン・ピルチェは猛毅(メンイ)を丸めて煙管(きせる)の中にしまいました。
どこかの暗い部屋。
「そなたは何と言った?」
左捕盗庁(チャポドチョン)の従事官(チョンサガン)ピョン・ジョンインはフクピョに聞き返しました。
「今夜消されます。」
剣契西方(コムゲソバン)の二番手のフクピョは領議政に答えました。
「内輪もめか?」
ピョン・ジョンインは笑いました。
「上からの指示です。うまく始末すれば、そちらの処遇もずいぶん変わるでしょう。」
老論(ノロン)の首領キム・テクの家。
「カン・ピルチェが殺されたら左捕盗庁を動かし現場を封鎖させる。長官は信用できるか?」
キム・テクは静かに言いました。
「あの者は骨の髄まで老論(ノロン)ゆえご心配なく。」
右議政のキム・サンノは答えました。
「まずは猛毅(メンイ)の持ち主を確実に仕留めることですな。」
副提学(プジェハク)のミン・ベクサンは言いました。
「猛毅(メンイ)は封鎖後に捜せばいい。」
キム・テクは言いました。
「刺客は信用できる者を?」
ミン・ベクサンはキム・テクに言いました。
キム・テクの妾の墓。
「カン・ピルチェを殺して猛毅(メンイ)を持って来い。」
キム・テクは息子のキム・ムに命じました。
夜。
「七牌(チルペ)へ行き影を片付け煙管を奪え。よいか。煙管だぞ。」
パク・ムンスは剣契東方(コムゲトンバン)の頭目ナ・チョルチュに命じていました。
ソ・ジダムはその様子を陰から見ていました。
少論の首領イ・ジョンソンの家。
「一万両ある。猛毅(メンイ)を手に入れてこい。」
イ・ジョンソンは大司諌(テサグァン)のシン・チウンに命じました。
夜道。
「尚膳(サンソン)に助けを求めよ。」
世子イ・ソンは東宮内官のチャン・ホンギに命じ馬でカン・ピルチェの家に向かいました。
王の部屋。
「やっと猛毅(メンイ)が手に入るのか。」
イ・グム(英祖)は震えて喜びを隠せませんでした。
カン・ピルチェが庭に出ると首に針が刺さりました。カン・ピルチェはフクピョに縛られ部屋の中で仰向けにされました。
「猛毅(メンイ)の場所を言う気になったか?」
フクピョは猿ぐつわをされたカン・ピルチェに言いました。
するとナ・チョルチュが屋敷に入り、フクピョは隠れました。
「よいか煙管だぞ。何本かある場合は一番太い物だ。」
ナ・チョルチュはパク・ムンスの言葉を思い出し、そして床に血痕があるのを発見し剣をゆっくり抜き屏風を突き刺しました。すると屏風の裏にいたフクピョが襲いかかってきました。ナ・チョルチュは素早くカン・ピルチェの懐にあった煙管を抜き出し自分の胸に隠しました。フクピョはカン・ピルチェの首を刺して逃げました。
東宮殿の女官チェ尚宮は嬪宮ホン氏にふくらはぎをムチで何度も打たれて世子の居場所を教えるように脅迫されていました。床入りの夜に世子が寝所に来なかったことで嬪宮は腹を立てていたのでした。
遅れて世子イ・ソンはカン・ピルチェの家に着き、カン・ピルチェが息絶えていることに焦りました。しばらくしてカン家の奴婢が事態に気づいて騒ぎました。奴婢が世子に誰かと言うと、世子はイ・ソンと名乗りました。すると奴婢たちは地面に平伏しました。
どこかの林。
ナ・チョルチュはかつての友人フクピョと対峙していました。
カン・ピルチェの家。
世子イ・ソンがいると従事官ピョン・ジョンインが部下とともに現れました。世子イ・ソンは漢城府の管轄だとピョン・ジョンインに下がるように言いました。ピョン・ジョンインが食い下がると少論(ソロン)で漢城府判尹(パニュン)のチェ・ジェホが現れ老論(ノロン)のピョン・ジョンインを牽制しました。チェ・ジェホは仕事をしていたら殺人との通報があったので来たと言いました。世子はチェ・ジェホに漢城府で検視するよう命じました。ピョン・ジョンインたちは焦りました。
キム・テクの家。
キム・テクとキム・サンノとミン・ベクサンは世子が介入したことを知りました。
王の部屋。
「キム・テクの奴め。しっぽを切り落としたのだな。それで左捕庁(チャポチョン)の従事官に後始末を・・・。」
英祖(ヨンジョ)はさらに漢城府判尹(パニュン)や世子が現場に来たことに苛立ちました。
「もしかして東宮殿は猛毅(メンイ)の存在をお知りに?」
尚膳キム・ソンイクは王に言いました。
「つまり、世子が、猛毅(メンイ)を捜していると言うのか!」
イ・グム(英祖)は大きな声で怒鳴りました。
カン・ピルチェの家。
世子は判尹(パニュン)にカン・ピルチェの家中の本を集めさせて猛毅(メンイ)がないか調べました。チェ・ジェホは世子になぜ夜に一人で外出し左捕庁(チャポチョン)の従事官を追い払ったのか質問しました。イ・ソンは信頼できる者以外を現場に近づけてはならず検視の結果を機密にして自分だけに教えるよう命じました。チェ・ジェホは世子の命令に従いました。
世子はカン・ピルチェの家の近くでソ・ジダムに会いました。チダムは犯人を知っているとパク・ムンスが剣契(コムゲ)のナ・チョルチュに会っていたと世子に言いました。チダムはパク・ムンスがナ・チョルチュにカン・ピルチェの煙管を奪えと命じているところを聞いたと言いました。一緒にいたチェ・ジェゴンはすぐにパク・ムンスを捕らえて調べようと言いましたが世子はパク・ムンスが事件を起こす理由がないと言いました。チェ・ジェゴンはパク・ムンスが煙管の中にある重要な文書に秘密があるかもしれないのでパク・ムンスを調べるべきだと言いました。世子はパク・ムンスの執務室を調べることに決めました。
チェ・ジェゴンはソ・ギュンに今夜は危険なので自分の家に泊まるように言いました。
少論の首領イ・ジョンソンの家。
シン・チウンは一時辰待っても返事がないので何か起きたのではと思いました。
イ・ジョンソンはもしかしたら王様が君主交代の首謀者かもしれないと言いました。
「左捕庁(チャポチョン)と漢城府に人を送り殺人がなかったか調べよ。」
イ・ジョンソンはシン・チウンに命じました。
王の部屋。
英祖(ヨンジョ)はパク・ムンスが剣契(コムゲ)を雇った情報を尚膳キム・ジョンイクから得ました。英祖(ヨンジョ)は世子が猛毅(メンイ)を見つけられなかった可能性を知って喜びました。
パク・ムンスの家。
ナ・チョルチュは煙管をパク・ムンスに渡しました。パク・ムンスは煙管を受け取ると何も言わずに部屋に戻りました。パク・ムンスはナ・チョルチュが傷を負ったことを知りました。
どこかの林。
ナ・チョルチュの首に針が刺さりました。
「キム・ム。」
ナ・チョルチュは剣を抜こうとして意識を失いました。
パク・ムンスの執務室。
世子イ・ソンとチェ・ジェゴンとチャン・ホンギはパク・ムンスの部屋を調べました。
カン・ピルチェの家。
「チョン・スギョムの回顧録か。」
チェ・ジェホは部下から怪しい書物があると報告を受けました。チェ・ジェホは回顧録を読み驚きました。
パク・ムンスの執務室。
すぐにチャン・ホンギは捜すのをあきらめましたがチェ・ジェゴンは「本棚の裏までくまなく捜せ」と怒り、すぐに掛け軸の裏に隠し扉があることに気が付きました。チェ・ジェゴンはチャン・ホンギに鍵を壊すよう命じました。世子は書庫の扉を開けると隠されていた「文会所(ムネソ)殺人事件」という本と貸出札を取り出しました。チェ・ジェゴンはシン・フンボクが本に何かを隠したためパク・ムンスが本を隠したのではないかと言いました。
「しばし何も言わずに私に時間をくれないか?」
「わかりました。」
「一人にしてくれ・・・・・・。」
喜雨亭(ヒウジョン)の世子の部屋。
世子は明かりも付けずに一人泣いていました。チェ尚宮は右副承旨チェ・ジェゴンからパク・ムンスが世子を裏切っていたという話を聴き本当かとチャン・ホンギに尋ねました。すぐに嬪宮ホン氏が現れ寝殿に入れるよう命じました。チェ尚宮は脚を斬り落とされようと今は部屋に入れることはできないと断りました。
「九歳まで成長されても泣き顔より笑い顔が多く私は安心しておりました。ですが違ったのです。まだ子供だったにもかかわらず世子様が隠れて涙を流した場所、それが喜雨亭(ヒウジョン)なのです。」
「邸下は今泣いているのか?ならば尚更通しなさい。」
「心から願っております。邸下が喜雨亭(ヒウジョン)の扉を自ら開けて嬪宮様を自らお迎えし悲しみを分かち合えたらどんなにいいことか。そういう光景を私もいつか見たいものです。ですが今はそっとしておいて差し上げたいのです。誰にも邪魔されずに一人で泣くべき時です。媽媽。」
パク・ムンスの家。
パク・ムンスは煙管の中から猛毅(メンイ)を取り出しました。
世子の部屋。
世子は「文会所(ムネソ)殺人事件」のページをめくり調べていました。世子はウ・オクチュンが鎌を研ぐ場面に何か残されていると思い蝋燭の炎にページを照らしました。すると文字があぶり出されました。
猛毅(メンイ)の内容は「国を救う唯一の方法は賢明な臣下が賢者を君主に立てるのみ。君主を選ぶべくここに同志を募る。新しい君主の擁立によって朝鮮に安泰が訪れるなら、たとえ王に刃を向けてもそれは罪とはならないであろう。大義の前に手段の正邪なし。大一統(テイルトン)猛毅(メンイ)の正当性は歴史が証明する。」とキム・テクが書いた内容に花押が書かれたものでした。
世子は猛毅(メンイ)の模写が文会所(ムネソ)殺人事件に映されている様子を目の当たりにして目に涙を浮かべました。
「竹波(チュクパ)。」
それはパク・ムンスがイ・グム(英祖)に贈った風流名(号)でした。パク・ムンスは英祖(ヨンジョ)も王位簒奪の一味であることを知りました。かつてイ・グム(英祖)は震えながらも竹波と猛毅(メンイ)に花押(かおう)を書いたのでした。
パク・ムンスは「はっはっはっは」と悲しそうに笑いました。
王の部屋。
「見つけました殿下。」
パク・ムンスは英祖(ヨンジョ)の前に現れました。
「そなたならやり遂げると思っていた。礼を言う。この恩は一生忘れぬぞ。出してくれ。」
イ・グム(英祖)はパク・ムンスを抱きしめました。
「猛毅(メンイ)は殿下にお渡しできません。」
パク・ムンスが言うとイ・グム(英祖)は激怒しました。
「どうする気だ。天下に知らせるというのか。」
「すべては殿下次第です。三十年前のこと。王位の継承に不正義がありました。首謀者を処罰するのです。猛毅(メンイ)に名を連ねた者は全員処罰を免れぬのでは?」
「ならばキム・テクらを処罰せよというのか。私もか?」
「殿下がそうお考えであるならそれも一つの案でしょう。」
「私に、どうしろと!王座を明け渡せと言うのか!そこまでして何を手にれたいのだ!」
イ・グム(英祖)は剣を抜いてパク・ムンスの前で構えて震えました。
「私は過去の過ちを精算し、曲がった歴史を正したいのです!」
パク・ムンスは王の前に膝を突きました。
「過去の過ちを生産し、曲がった歴史を正したいだろ!?アイゴー。パク・ムンス。正直に言え。私が過去なら、未来は誰だ!世子か?私を追い払って、世子を王座に付ける気か!」
「世子様はもう二十歳です。王位を継承しても問題ないと存じます!」
「貴様。やっと本心を言いおったな。お前も君主を替えてみたいか?」
「違うと言えば、信じますか?」
「私はいつもそなたを信じていたぞ。」
「時間を差し上げます。この猛毅(メンイ)で曲がった歴史をどう正すべきか、首謀者をどう処罰すべきかお考えください。」
「私が何もしなかったらどうする気だ?」
「殿下ならどうなさいますか?どうか賢明なご判断を。私は信じて待つのみです。」
パク・ムンスが英祖(ヨンジョ)に背を向けて部屋を出ようとすると、イ・グム(英祖)は刀を振り上げました。
「老婆心ながら、ひとつ申し上げます。私の家を調べたり命を狙ったりしないようにお願いします。もし私が死ねば猛毅(メンイ)の写本が都城中にばらまかれます。」
パク・ムンスは振り返って言いました。
「パク・ムンス。お前、腕を上げたな。」
「これも、殿下のおかげです。では私はこれで失礼します。」
漢城府の検視室。
「被害者はひどい拷問を受けています。怨恨による殺人かと。」
検視の結果を役人はチョ・ジェホに伝えました。
「拷問か。ならば犯人は顔見知りの可能性がある。死因は?」
「頸動脈の刺傷による大量出血です。」
「凶器は何だ?」
「それが大監。問題があります。」
「問題とは?」
王宮の廊下。
パク・ムンスは力なく歩いているとキム・テクが「右参賛(ウチャムチャン)」と声をかけ呼び止めました。
「もしや昨晩、愉快な文書を拾わなかったか?」
「どう思われますか?」
「これからが勝負どころのようだな。実に面白い戦いになりそうだ。」
王の謁見の間。
パク・ムンスが東宮殿に行ったと尚膳は英祖(ヨンジョ)に言いました。英祖(ヨンジョ)は穏やかではありませんでした。
世子の部屋。
世子はパク・ムンスに「御史パク・ムンス」という氷愛居士(ピエゴサ)の処女作は人気がなく自分を含め10人しか借りていないと話しました。
「しかしこの本は違います。先生も書庫に隠して楽しんでいるくらいですから。」
イ・ソンは「文会所(ムネソ)殺人事件」をパク・ムンスに見せました。
王の謁見の間。
「なぜこれを私に見せる?法に従え。」
イ・グム(英祖)はチョ・ジェホに命じました。
東宮殿。
イ・ソンはパク・ムンスになぜこの本を持っていたのか尋ねました。
「あなたは私の先生ですか?罪人ですか?」
「罪人です。」
「では、先生は私にどんな罪を犯したのですか?」
「睿真画師(イェジンファサ)シン・フンボクの遺体を御井(オジョン)に捨てました。」
するとチェ・ジェホが現れ捜査結果が出たと言いました。
「罪人は邸下です。」
漢城府判尹(パニュン)チェ・ジェホはイ・ソンを捕らえました。
王の謁見の間。
「どうやら、命拾いしたようだ。」
英祖(ヨンジョ)は安堵しました。
感想
なんとけしからん王様ですね、イ・グムは。とんだ悪党じゃないですかwでも面白いですね、演技が。英祖(ヨンジョ)を演じているハン・ソッキュの演技も英祖(ヨンジョ)の人間性をうまく表現していますし、パク・ムンスを演じているイ・ウォンジョンも懐の寛い男を演じてパク・ムンスの演技にはハン・ソッキュよりも深み、中身からにじみ出る優しさがあります。それがハン・ソッキュにはないんですね、本心からの慈愛のような心が他の作品を見ても感じられない。領議政のキム・テクを演じている人はいつも同じ演技で、どちらかというとひとつの演技パターンしか持ってないので演技力はないほうでしょう。ひとつの演技パターンしか持ってない俳優さんは、たとえば水谷豊みたいなタイプですね。それだけで成功することもできるのでしょうが、演劇としては幅が狭い。私は初めてイ・ウォンジョンを「チャンミョンゴ」で見た時はなんて気持ちの悪いやつなんだと偏見を持っていました。ですが何作か見ているうちに、イ・ウォンジョンのよさもわかるようになってきました。
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