秘密の扉17話
目次
あらすじ 世子の朝鮮の感想
王の謁見の間。
「もう何も教えることはない。私は今後お前への支援を惜しまぬつもりだ。殺さず生かす政治をすると言っていたな。私はお前の大きな志に感銘を受けた。だが臣下がそれを受け入れるか心配だ。お前が説得しお前の腰を折ろうとする者を私が牽制する。」
イ・グム(英祖)は人事と外交と軍事権以外の庶務の決定権をイ・ソン(思悼世子)の譲りにっこり笑いました。イ・ソン(思悼世子)は全力を尽くすと英祖に言いました。
(まるで太宗のように。)
イ・グム(英祖)の護衛ミン・ウソプは本当に臣下の牽制のために人事権を英祖は握ったのだろうかと世子に言いました。
王の謁見の間。
英祖は東宮殿に戻ってよいとチェ・ジェゴンに命じました。
「そなたの慎重さを国本(クッポン、世子)に教えてやれ。国本(クッポン、世子)が無茶な真似をしたら国本(クッポン、世子)の権力を制限するからな。」
世子と重臣の会議室、時敏堂(シミンダン、世子が政務を行う殿閣)が再び開かれました。
都承旨チェ・ジェゴンと世子イ・ソン(思悼世子)は王命を読み上げました。
「本日付で庶務の決定権を国本(クッポン、世子)に譲る。ただし外交権と人事権と軍事権は引き続き余が持つことにする。前左議政キム・サンノを領議政とする。元礼曹判書ホン・ボンハンを御営大将(オヨンデジャン、従二品)とする。イ・ジョンソンは礼曹判書、チョ・ジェホは敦寧府領事(トンニョンブヨンサ、正一品)とする。余の決定を受け入れよ。」
「すぐにまんがかうないにだ。」
「私は不偏不党の政治を望む。党派間の調整役など要りません。党利を求める者は追放され、民のために戦う者が生き残る不偏不党の朝廷を築いてくれ。」
世子は重臣たちに言いました。
「ごもっともでございます!身命を賭してお支えします!」
領議政になったキム・サンノは大きな声で言いました。皆は心にもない事を言うキム・サンノに注目しました。
老論の部屋。
キム・サンノは憤慨して帽子を投げました。ホン・ボンハンはキム・テクは殺されなかったので我々は殺されないだろうと言いました。キム・サンノは怒って「イボシゲプウォングーン」と怒鳴りました。部屋にはキム・サンノとミン・ベクサンの二人きりになりました。ミン・ベクサンは息子ウソプとの縁は切ったと言いました。キム・サンノは何としてでも世子を失脚させ廃位しなければならないと言いました。
「どうすればいい。何か方法はないか・・・。」
宮殿の壁。
ピョン・ジョンインが口笛を吹くとソ・ジダムは塀の外に竹筒に入れた密書を投げました。
「塀の外に何を捨てたのだ。この目で見たわ。」
昭媛(ソウォン)ムン氏はソ・ジダムを呼び止めました。
「ピンエという名は聞いたことがない。」
昭媛(ソウォン)ムン氏がソ・ジダムを問い詰めようとすると嬪宮ホン氏が現れソ・ジダムを庇いました。昭媛(ソウォン)ムン氏はピンエは世子が連れ込んだ愛人かと嬪宮を侮辱しました。
「判書内人(ポンソナイイン)?ならその子はパク尚宮の姪なのか?」
「なぜそれを?」
「パク尚宮と私はセンガクシの頃からの知り合いなのだ。パク尚宮は元気か?」
「無論でございます。」
ソ・ジダムはうっかり答えてしまいました。
「思った通りだ。この娘はパク尚宮が死んだことを知らぬようだ。」
「知っています。女官は死期が近づくと宮殿から追い出されるのが掟。叔母が言っておりました。」
ソ・ジダムは答えました。
「ならば先ほどの返事はどういう意味?」
「莉茉(イマル)山の日当たりのよい場所に埋葬したので安らかに眠っているという意味です。」
ソ・ジダムは答えました。
「パク尚宮の墓地は莉茉(イマル)山に?昭媛(ソウォン)はご存知でしたか?今度ピンエと墓参りしてはどうですか?親しかった宮女の墓ですから。」
嬪宮ホン氏は昭媛(ソウォン)ムン氏に言い返しました。
「そうしよう。考えておきます。」
嬪宮の部屋。
嬪宮ホン氏はソ・ジダムになぜパク尚宮の墓の場所を知っているのだと尋ねるとピンエは調べておいたと答えました。嬪宮ホン氏はソ・ジダムに東宮殿から出て他の者からの気を引かないように命じました。
夜のナ・チョルチュの家。
ピョン・ジョンインはソ・ジダムから受け取った密書をナ・チョルチュに差し出し世子が代理聴政(テリチョンジョン、王の代わりに政務を行うこと)に復帰したと報告しました。
「世子が使臣の心をつかんだ決定的な理由は・・・。黙数をについて調べ使臣の歓心を買ったからです。世子は西学の情報をどこで得たのでしょう。イ・ダルソンという名も口にしていました。鳴砂団(ミョンサダン)のイ・ダルソンだとしたら。」
(ソ・ジダムの密書)
ナ・チョルチュはイ・ダルソンに出会いました。
「え?あの男子(ナンジャ)が世子だって!?」
イ・ダルソンは驚きました。
「世子は変わっていないのか?ならば一体何を望んでいる?」
ナ・チョルチュは世子が変わってないことを知りました。
日中の世子と重臣の会議室、時敏堂(シミンダン、世子が政務を行う殿閣)
礼曹判書イ・ジョンソンは三年前の老論の家族を赦免するよう世子に求めました。
「本日付で庶務の決定権を国本(クッポン、世子)に譲る。ただし外交権と人事権と軍事権は引き続き余が持つことにする。前左議政キム・サンノを領議政とする。元礼曹判書ホン・ボンハンを御営大将(オヨンデジャン、従二品)とする。イ・ジョンソンは礼曹判書、チョ・ジェホは敦寧府領事(トンニョンブヨンサ、正一品)とする。余の決定を受け入れよ。」
「すぐにまんがかうないにだ。」
「私は不偏不党の政治を望む。党派間の調整役など要りません。党利を求める者は追放され、民のために戦う者が生き残る不偏不党の朝廷を築いてくれ。」
世子は重臣たちに言いました。
「ごもっともでございます!身命を賭してお支えします!」
領議政になったキム・サンノは大きな声で言いました。皆は心にもない事を言うキム・サンノに注目しました。
老論の部屋。
キム・サンノは憤慨して帽子を投げました。ホン・ボンハンはキム・テクは殺されなかったので我々は殺されないだろうと言いました。キム・サンノは怒って「イボシゲプウォングーン」と怒鳴りました。部屋にはキム・サンノとミン・ベクサンの二人きりになりました。ミン・ベクサンは息子ウソプとの縁は切ったと言いました。キム・サンノは何としてでも世子を失脚させ廃位しなければならないと言いました。
「どうすればいい。何か方法はないか・・・。」
宮殿の壁。
ピョン・ジョンインが口笛を吹くとソ・ジダムは塀の外に竹筒に入れた密書を投げました。
「塀の外に何を捨てたのだ。この目で見たわ。」
昭媛(ソウォン)ムン氏はソ・ジダムを呼び止めました。
「ピンエという名は聞いたことがない。」
昭媛(ソウォン)ムン氏がソ・ジダムを問い詰めようとすると嬪宮ホン氏が現れソ・ジダムを庇いました。昭媛(ソウォン)ムン氏はピンエは世子が連れ込んだ愛人かと嬪宮を侮辱しました。
「判書内人(ポンソナイイン)?ならその子はパク尚宮の姪なのか?」
「なぜそれを?」
「パク尚宮と私はセンガクシの頃からの知り合いなのだ。パク尚宮は元気か?」
「無論でございます。」
ソ・ジダムはうっかり答えてしまいました。
「思った通りだ。この娘はパク尚宮が死んだことを知らぬようだ。」
「知っています。女官は死期が近づくと宮殿から追い出されるのが掟。叔母が言っておりました。」
ソ・ジダムは答えました。
「ならば先ほどの返事はどういう意味?」
「莉茉(イマル)山の日当たりのよい場所に埋葬したので安らかに眠っているという意味です。」
ソ・ジダムは答えました。
「パク尚宮の墓地は莉茉(イマル)山に?昭媛(ソウォン)はご存知でしたか?今度ピンエと墓参りしてはどうですか?親しかった宮女の墓ですから。」
嬪宮ホン氏は昭媛(ソウォン)ムン氏に言い返しました。
「そうしよう。考えておきます。」
嬪宮の部屋。
嬪宮ホン氏はソ・ジダムになぜパク尚宮の墓の場所を知っているのだと尋ねるとピンエは調べておいたと答えました。嬪宮ホン氏はソ・ジダムに東宮殿から出て他の者からの気を引かないように命じました。
夜のナ・チョルチュの家。
ピョン・ジョンインはソ・ジダムから受け取った密書をナ・チョルチュに差し出し世子が代理聴政(テリチョンジョン、王の代わりに政務を行うこと)に復帰したと報告しました。
「世子が使臣の心をつかんだ決定的な理由は・・・。黙数をについて調べ使臣の歓心を買ったからです。世子は西学の情報をどこで得たのでしょう。イ・ダルソンという名も口にしていました。鳴砂団(ミョンサダン)のイ・ダルソンだとしたら。」
(ソ・ジダムの密書)
ナ・チョルチュはイ・ダルソンに出会いました。
「え?あの男子(ナンジャ)が世子だって!?」
イ・ダルソンは驚きました。
「世子は変わっていないのか?ならば一体何を望んでいる?」
ナ・チョルチュは世子が変わってないことを知りました。
日中の世子と重臣の会議室、時敏堂(シミンダン、世子が政務を行う殿閣)
礼曹判書イ・ジョンソンは三年前の老論の家族を赦免するよう世子に求めました。
「事件の正否を問うつもりはありません。被害者を減らしたいだけです。」
イ・ジョンソンは言いました。チョ・ジェホも加勢しました。
御営大将(オヨンデジャン)ホン・ボンハンは猛反対しました。
イ・ソン(思悼世子)は再論をしないと結論付けました。
王の政治の間、宣政殿(ソンンジョンジョン)。
世子は朝会の報告を王にしました。イ・グム(英祖)はなぜ少論ではなく自分と老論の味方をしたのだと世子に言いました。
「お前は三年前私の政敵となると言い放っただろう。権力は刀だ。刀を握ったのに振りかざさぬ理由は何だ。老論だけでなく政敵である私をも倒すことができる。」
「刀を振るうことをお許しいただけるのですか?」
「私が許せば刀を振るうのか?」
「戦争ではなく政治がしたいのです。政敵には刀を振るわず手を差し伸べます。父上も私の真心を信じてこの手をつかんでいただけますか?そうすれば父上が願う民のための政治ができるのでは?」
イ・ソン(思悼世子)は手を差し出しました。
「ふっ・・・。」
妓房。
キム・サンノら老論(ノロン)派の重臣は集まりました。ミン・ベクサンは世子は老論に報復しないと暗に言っているのでは?と言いました。ホン・ゲヒは世子が老論に手を差し伸べたのは確かなので手を掴むべきだと助言しました。ウンシムは老論の話を盗み聞きしてナ・チョルチュに報告しました。
妓房の一室。
ナ・チョルチュとピョン・ジョンインとウンシムは集まっていました。
「世子が変わっていないと期待を?我々が氾濫を起こさなくても世子が即位すればいい国になるとお考えで?」
ピョン・ジョンインはナ・チョルチュに言いました。
「世直しのために蜂起すれば多くの者が死ぬ。」
ナ・チョルチュは言いました。
「私も権力のはしくれにいたのでわかります。権力は一度持つと手放したくなるものです。」
ピョン・ジョンインは言いました。ウンシムもソ・ジダムのことはお構いなしに老論を許すなんてと言いました。
夜の王宮。
ソ・ジダムは東宮殿の建物の影に佇んで父との日々を思い出して涙を流しました。
イ・ソン(思悼世子)は泣いているソ・ジダムの後ろ姿を見つめていました。
日中の王宮。
チャン・ホンギは母から弟のトンギについて何かを頼まれていました。母は西江のトンマクというところの宿屋で待っていると言いました。チャン・ホンギは母と別れると貧しい母と弟を思い涙を拭きました。チャン・ホンギは弟が両班の息子の科挙の替え玉受験をして左捕盗庁に捕まったとチェ尚宮に漏らしました。チェ尚宮は百叩きの刑はほとんどの者が死んでしまうので何かできることはないかチャン・ホンギに言いました。チャン・ホンギは百両あれば百叩きを免れると言いました。そこにイ・ソン(思悼世子)が現れて大金がいるのはどうしてだと二人を部屋に呼びました。
イ・ソン(思悼世子)の私室。
イ・ソン(思悼世子)は役人に賄賂を渡すのは違法だと二人に言いました。チャン・ホンギはわかっているけど自分で何とかすると言って部屋を出ました。
「あいつの弟は何を考えている。いくら金がほしいからと言って替え玉で科挙を受けるとは言語道断だ。」
「しかし邸下。チャン内官の弟はお金がほしくてしたのではないようです。」
夕方左捕盗庁の牢獄。
「かなわぬ夢は捨てろといっただろ。俺の仕送りで田んぼを買って身分をわきまえて暮らせと何度も言ったはずだ。仕送りは本に使ったのか?両班じゃないお前がなぜ学んだのだ。勉強しても何にもならないどころか死ぬかもしれないのに。」
チャン・ホンギはチャン・トンギに言いました。
「生きる希望がなかったんだよ。俺は漢文の塾で一番だ。両班の息子より出来が良かったんだ。先生に言われたよ。大した文才だ。両班の子息なら科挙に主席で合格できるのに。なぜ俺はダメなんだ。」
「両班でなく平民に生まれたからだよ!」
「でもあきらめられない。」
「科挙を受けたところで両班にはなれないんだぞ!」
「自分の実力を知りたかった。両班に生まれてたら、俺は何ができたのか。」
「そんなことに命を懸けたのか!」
「俺の命だからとやかく言うな。」
「この野郎、兄に向って何てこと言うんだ!」
「俺にどうしろっていうんだよ!ごめんよ。母さんのことは頼んだよ。」
チャン・ホンギとチャン・トンギは牢を挟んで抱き合って泣きました。
イ・ソン(思悼世子)は二人を見守っていました。
秘密の部屋。
左翊衛(チャイギ)ミン・ウソプはチャン・ホンギだけでなく十数人の者が替え玉受験を受けいずれも上位に入ているとイ・ソン(思悼世子)に報告しました。チェ・ジェゴンはチャン・トンギを連れて来ました。
「兄の共として接してほしい。」
イ・ソン(思悼世子)は床にはいつくばっているチャン・トンギに言いました。チェ・ジェゴンはチャン・トンギを立たせて椅子に座らせました。
イ・ソン(思悼世子)はチャン・トンギにキムチチゲを与えました。チャン・トンギは飯を黙って掻き込みました。
「正直に話してくれないか?」
「官服を・・・着たかったんです。官吏になることを夢見ました。笑われるかもしれませんが、世の役に立ちたかったんです。民を助けて称賛されたい。そして生きた証を残したい。私には許されない夢ですか?両班でない私は夢も見られませんか?」
「そんなことはない。チャン・トンギといったな。一緒に夢を見よう。チャン・トンギという名のままで科挙を受けられる道を探そう。なければ新しい道を作ればよい。」
夜のイ・ジョンソンの家。
イ・ソン(思悼世子)はイ・ジョンソンを訪ねました。
「邸下が拙宅になんの御用ですか?」
「先生に謝罪するために来ました。なぜ私は政治の場に復帰したのか、そして何がしたかったのか。三年前、私は父上に宣戦布告しました。政敵を殺して権力を握るやり方に腹が立った。政敵を打ち破ることだけ考え政治が何のためにあるか信念を見失って忘れていた気がする。望んで逆賊の子に産まれた者はおらぬ。子は親を選べないのに連座で罰するのは不当だ。民の苦痛を取り除けないなら政治も権力もなんの意味もない。」
「その通りです。よくぞお気づきになりました。」
「大監。実は一人の民にこのことを気づかされました。その民は両班ではなく平民の子に産まれました。国政に携わる意思はあるが科挙は受けられないのです。」
「邸下は何をお考えですか?」
「私は、その者に機会を与えたい。」
「不可能です。科挙を受け国を動かしてきたのは両班です。」
「悪しき伝統です。両班か平民からはたまた逆賊かどの親の子に産まれるか自分の親は選べない。自分の選択でもないのに夢を描けないのは不公平ではないですか。私は、私の民ならだれでも身分の差に関係なく抱いた夢を実現する機会を与えたい。どうか、私に力を貸してくれないか。」
「申し訳ありませぬ。党派を問わず臣下は一人も賛成しないでしょう。」
「どうしても、助けてくれないのでしょうか?」
夜の世子の部屋。
イ・ソン(思悼世子)は世子の椅子に座りながら苦悩しました。
イ・ジョンソンの家。
イ・ジョンソンも庭で空を見上げて悩みました。
翌日の王宮。
イ・ジョンソンは世子に会いにやってきました。
「邸下が進まれる道はまさに茨の道です。すべての臣下が猛反対するでしょう。邸下が想像する以上の反発が起きます。邸下が乱心したと言われるやも。しかし私は、私はこう思いました。民を政治の中心に据えられる邸下の志は美しく貴いと。ですから私も共に乱心いたします。」
「礼を言うぞ大監。」
イ・ソン(思悼世子)はイ・ジョンソンの手を取り感謝しました。
日中の世子と重臣の会議室、時敏堂(シミンダン、世子が政務を行う殿閣)
「来月の式年試(シンニョンシ)から受験資格を大幅に広げようと思う。受験する資格を儒学校に通う両班の子息に限らず平民の男子にも拡げるつもりだ。」
世子は重臣たちに言いました。
「なりません邸下ー。」
領議政のキム・サンノは大きな声でゆっくりと猛反対しました。
「我ら士大夫の歴史を覆すおつもりですか。」
ミン・ベクサンは言いました。
「我が国朝鮮も建国当時平民にも受験を許可した前例がある。ご先祖様の決定もこの国朝鮮の秩序を覆し秩序を乱すものだと言うのか?」
イ・ソン(思悼世子)は皆に言いました。
「あれは開国時の混乱期のことです。国の土台が出来上がった後は両班家士大夫だけが受験し国を治めてきました。」
少論のチョ・ジェホは言いました。
「平民でも出仕を望む者には、平等に機会を与えてやりたいのだ。」
イ・ソン(思悼世子)は言いました。
「士農工商。身分によって役割があります。士大夫の秩序を守らねば国は乱れます。」
ホン・ゲヒは言いました。
「民が怖いかの?受験を認めたら権力を奪われそうで恐ろしいのか?そなたたちの論理では納得できない。特権を守ろうとあがいているとしか思えぬ。よってこの決定を覆すつもりはない。礼判大監。平民にも受験資格を認める決定を民に交付せよ。また過去に不正に試験を受けた平民で金銭ではなく腕試しの者は犠牲者ゆえ温情ある措置を求める。全員を釈放せよ。」
世子は言いました。
「はい邸下。ただちに執り行います。」
イ・ジョンソンは立ち上がりました。
「礼判大監(イェパンテガム)!」
領議政キム・サンノは手を挙げてイ・ジョンソンの袖を掴もうとしましたがイ・ジョンソンは執務室に向かいました。
世子の執務室。
チェ・ジェゴンはなぜ自分に相談しなかったのだと世子に言いました。イ・ソン(思悼世子)は父上に呼ばれたときに嘘をつかせたくなかったとチェ・ジェゴンに言いました。
都城に張り紙が張られチャン・ドンギは釈放されました。チャン・ホンギとチャン・ドンギは抱き合って喜びました。民は喜びナ・チョルチュは張り紙を見ました。
夜の世子の執務室。
「邸下。殿下が大殿に来るようにとの王命です。邸下・・・私の弟の一件が原因ですね?不出来な弟のせいで邸下にご迷惑を・・・。」
東宮殿内官のチャン・ホンギはイ・ソン(思悼世子)に言いました。
「いいや。お前の弟は優秀な人材だ。聖君はよい人材を確保するため努力するものだ。私も聖君を目指してみたかった。」
イ・ソン(思悼世子)はチャン・ホンギの肩に手を置きました。
「ちょは・・・。」
チャン・ホンギは涙をぬぐいました。
大殿。
「両班家士大夫でもない者にも科挙を受けさせるだと?それも万民に交付したと?なぜ無謀な真似をしたのだ。」
イ・グム(英祖)はイ・ソン(思悼世子)を問い詰めました。
「無謀ではありません。父上の教えに従ったまでです。"均(キュン)"民は身分の差なく等しい。父上のお言葉です。どこが無茶なのですか。均役法(キュニョクポ)に心血を注いだのは身分の差なく万民が平等に暮らせる国を作るためではありませんか?」
「日々の暮らしは、平等であるべきだ。だが政治となれば話は別だ。」
「なぜですか?」
「もしも両班も平民も科挙の試験場に現れて朝廷に出仕すると言い出したらこの国はどうなると思う。混乱するだけだ。選ばれし両班家士大夫がこの国を支配する。農民は土地を耕し商人は売り買いし職人は物を作る。泰平の世のあるべき姿だ。」
「農民や商人の有能な者が国を動かし両班家士大夫が農業や商いをしてもよいのでは?」
「それでは秩序が崩れる。身分制度をひっくり返したら奴らは王室を狙ってくる。王室を侮り否定してくるのがわからぬか。」
「そんな王室に存続の価値はありません。」
「い・・・今何と言った。」
「士大夫を盾にしなければ民に侮られる王室などいっそ、なくなればよいのです。」
「つまり、お前は、王室が滅びてもよいというのか!」
感想
話が難しくなってきましたね。お気楽な人は理解できないんじゃないかと思います。時敏堂(シミンダン、世子が政務を行う殿閣)についても名前は出てきませんでしたが、世子が政務を重臣たちと執り行う間で9話くらいに閉じられた部屋でしたね。ナ・チョルチュはイ・ソン(思悼世子)の思惑について情報が少ないので完全に世子の考えは掴めていないようです。賢いソ・ジダムも心的外傷や情報が断片的なせいで世子についての気持ちを察することもできず憎いので察したくもないといったところでしょう。チャン・ホンギは平民だったのですね。内官(ネグァン)は両班の男子は就職しない役職なのでしょうか。それと、英祖がいつも座っている間ですが、宣政殿(ソンンジョンジョン)なのか、大殿の私室のひとつなのか素人のわたくしには見分けがつかなくてわかりません。きっと韓国の人もこの時代劇にしか登場しない言葉を聞いて学習するという立場では日本人の私たちの視聴者と同じスタートラインにいるのではないでしょうか。もっぱら私は時代劇の韓国語ばかり先に覚えてしまい肝心の日常生活の韓国語やハングル文字についてまったく無知なんですが、そろそろほかの簡単な言葉も覚えてみたいなと思います。あの英祖の側室の昭媛(ソウォン)ムン氏って誰!?と気になって調べてみたところ、wikipediaに廃淑儀文氏と書かれていました。ということはムン氏は淑儀に昇格した後に失脚して廃される運命にあるようですね。廃されるほど素行の悪い女だったということになっているのでしょうか、それとも・・・あの
イ・サン」にも出てきた鬼女、貞純王后に追い出されたのかな?
イ・サン」にも出てきた鬼女、貞純王后に追い出されたのかな?