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客主-객주ケクチュ6話の詳しいあらすじ


韓国ドラマ客主-ケクチュ-商売の神6話のあらすじと感想

韓国ドラマ客主-ケクチュ-商売の神

目次


あらすじ

青年チョン・ボンサムは詐欺を働いた罪で詐欺に加担したチェ・ドリとともにチョ・ソンジュンに裁かれました。ボンサムはソンジュンも十年前に国の法を犯して牛の皮革の密売を働いたことを明かしましたが誰もボンサムの言う事を聞いてくれませんでした。
「ボンサム。大丈夫か?」
チェ・ドリおじさんはボンサムを支えました。
「客主様。お尋ねしますが牛革の密売をした者は何発叩かれるのですか?死罪になるのでは?」
ボンサムは松坡馬房(ソンパマバン)の客主チョ・ソンジュンに言いました。
「生意気な奴め!」
馬房(マバン)の行首ソン・マンチはボンサムを汚く罵りました。
「千家客主(チョンガケクチュ)の息子がこのありさまではお前の父がそなたを見たら、嘆かれるであろう。」
チョ・ソンジュンはボンサムに言いました。
「俺の親父は阿片の密売で首を斬られちまった。千家客主(チョンガケクチュ)の客主チョン・ウスは開城(ケソン)一の商人だった。海に潜ってナマコを獲る漁師から身を起こし、朝鮮で一番の黒蟲(フクチュン)客主を立ちあげた。昔の苦労を忘れず漁師からナマコを買う時も決してごまかさなかった。碧瀾渡(ピョンナンド)の人々を養ったんだ。不漁の時は先払いで大金を渡して漁師たちを支えたんだ。最高にかっこいい、俺の親父〜!俺の親父だ〜。」
ボンサムは悲しそうに手を叩いて泣きました。チェ・ドリはボンサムに同情しました。
「聞いてくれ。ところがそれは見せかけだったんだ。笑っちまうぜ。ははははははは。」
ボンサムは笑いました。
「お前は何もわかっておらぬ。」
チョ・ソンジュンはボンサムに言いました。
「俺はわかってるさ。偽善者。表向きはまじめで誠実な行首を演じながら裏では阿片の密売。義兄弟の仲だったキル・ソゲ兄さんの親父に罪を着せて殺したんだ。」
「どうしてお前は息子のくせに愚かなんだ!」
チョ・ソンジュンはボンサムを叱りました。
「禁門(クンムン)で斬首されたのをあんたも見てただろ?俺の親父は阿片の密売人だたんだ!おかげで俺はこのありさまだ!姉さんと生き別れた。俺は、これ以上何を知る必要がある!」
「ネイノン(おのれ)!子が親を信じなければ誰が信じるのだ!」
「・・・・・・。お前に、何が分かるというんだ。密売人のくせに!」
「そうだ!私はチョン客主のことを詳しく知らぬ。だが千家客主(チョンガケクチュ)の商いは極めて公平で公正だった。私が密売を手伝えば九千両やると言ったがすぐに拒否された。要領がすべての(発覚しなければ不正も是とする)世の中で目をつぶれば九千両が手に入るのに、それを拒絶した人が阿片の密売人だと?私は、お前の父に会い、恥とは何か知った。お前の父は、チョン客主はお前のために立派な客主であろうとした。お前のために客主は正しい道を歩んだ。あの人は私に子がいるなら、寝ている我が子の顔をよく見よとおっしゃったのだ!」
チョ・ソンジュンは熱く語りました。

回想シーン。
「そなたに子がいるなら、その子の顔をよく見よ。その場限りの商いは真の商いではない。」
チョン・ウスはチョ・ソンジュンを諭しました。

「・・・・・・・。」
ボンサムはチョ・ソンジュンの話を聞いて衝撃を受けました。
「お前の父が阿片の密売をすると思うか?」
「・・・・・・。教えてくれ。俺の親父に密売人の汚名を着せて死なせた奴は一体どこのどいつだ?」
ボンサムは小銭を一つ摘まむと、チョ・ソンジュンの手に握らせました。
「・・・・・・。愚かな息子を持ったチョン客主が哀れだ。行くぞ。自分の父親の顔に泥を塗る奴は、見たくもない。」
チョ・ソンジュンは目を潤ませながら立ち上がるとその場から去りました。
「客主様。」
ボンサムは後を追おうとしましたが殴られた痛みで腰をぬかしてしまいました。

深夜のキム・ハクチュンの家。
キム・ハクチュンの側室となったソホン(チョン・ソレ)は父の遺言を思い出していました。
「ソレや。気を強く持て。ソレが千家客主(チョンガケクチュ)を支えねばならぬ。開城(ケソン)に戻りホン書記と一緒に在庫を整理せよ。そのお金で時期を見て千家客主(チョンガケクチュ)を再興せよ!」

「いるか〜?いるか〜?」
キム・ハクチュは部屋に向かってソホン(チョン・ソレ)を呼びました。
「ドゥッケや。」
ソホン(チョン・ソレ)は使用人の男に言いました。ソホン(チョン・ソレ)とドゥッケはチョン・ウスを祭る祭壇を急いで片付けました。
キム・ハクチュンは奴婢の草鞋が部屋の框に置かれているのを見ました。
「ソホン!ソホン!」
キム・ハクチュンはチョン・ソレの偽名を呼びました。
ソホン(チョン・ソレ)は急いで書を机の上に置きドゥッケは立ち上がって護衛しているふりをしました。
「旦那様。お戻りは明日かと思っておりました。」
部屋に現れたキム・ハクチュンにソホン(チョン・ソレ)は媚びを売りました。
「ほほう。寝ているのかと思った。ドゥッケもいたのか。」
「書を見ていました。」
ソホン(チョン・ソレ)四美楼と書かれた書をキム・ハクチュンに見せました。
「そうか。」
「四美楼(サミィル)なんて、妓生の住む屋敷に似合いません。憎まれることが心配ですが、やはり扁額(へんがく、門の前に掲げる額)を作ります。私の夫(ナンピョン)の筆を自慢しませんと。」
「はっはっは。もう板を準備したのか?」
「あ・・・慶尚道の奉化(ポンファ)から取り寄せました。」
ソホン(チョン・ソレ)は父の扁額が裏向けに立てかけていることに気づいて嘘をつきました。
「慶尚道の奉化(ポンファ)の金剛松か。銘木だ。どれどれ。かなり乾いておるな。」
「割れぬよう乾いた物を注文しました。」
「ドゥッケ。裏も見せろ。」
キム・ハクチュンはドゥッケに命じました。
「表も裏も同じですわ。」
「木目が違うだろ。何をしている。裏返せ。」
キム・ハクチュンが言うとドゥッケは刀の鞘に手を掛けました。
ソホン(チョン・ソレ)は顔を横に振ってドゥッケを制止しました。
「私が直接見てみよう。」
キム・ハクチュンは立ち上がりました。ドゥッケは抜刀する準備をしました。
「うっ。うっ。」
ソホン(チョン・ソレ)は突然口元を押さえて吐き気を演じました。
「ん?ソホンや。子ができたのだな?」
キム・ハクチュンが戻ってきて喜んでソホン(チョン・ソレ)を抱きました。

ソホン(チョン・ソレ)はキム・ハクチュンが見守る中で医員の脈診を受け、しばらくしてキム・ハクチュンの執事パク・ソギが使用人に煎じ薬を持ってこさせました。医員は首を横に振るとキム・ハクチュンは落胆しました。
「ソホンや」
「両班と妓生との子など疎まれるだけです。」
ソホン(チョン・ソレ)は拗ねて見せました。
「ソホンや。私は子を望んでおるのだ。」
「子は諦めてください。私は自分の子が安東金氏のつまはじき者になるなんてごめんです。体調がよくありません。今日は別に寝てください。」
ソホン(チョン・ソレ)が言うとキム・ハクチュンは落胆して部屋から出て行きました。

チョン・ボンサムは父との日々を思い出していました。

日中の市場。
ボンサムはチェ・ドリと通りでチョ・ソンジュンが通るのを待ち伏せをしていました。
「お前ら、どうしてここに。何をたくらんでおる!」
通りがかったソン・マンチはボンサムに言いました。
ボンサムとマンチは杖をついて歩み寄りました。
「松坡馬房(ソンパマバン)で、俺を雇ってくれ。俺を馬房(マバン)で働きたい。」
ボンサムはチョ・ソンジュンに言いました。
「俺たちは童蒙庁(トンモンチョン)を追い出されました。松坡馬房(ソンパマバン)以外では働けません。」
チェ・ドリも言いました。
「何だと?ずうずうしい奴め!」
ソン・マンチは怒りました。
「禄は、白米五俵からはじめましょう。」
チョン・ボンサムは言いました。
「俺はもっと安いですよ。三俵でいいですよ!両班の使用人と同じでいいです。どうですか?」
チェ・ドリも言いました。
「やい!そこのオヤジ!お前には麦一升もやりたくない!」
ソン・マンチは意地悪く言いました。
「私はチョン殿を尊敬しているが、息子の面倒は見たくない。」
チョ・ソンジュンはボンサムに言いました。
「馬房(マバン)に俺ほどの商才を持つ者はいません。」
ボンサムはソンジュンに言いました。
「そうですよ。なんたって鶏を鳳凰に変えたんですよ?ボンサムを・・・。ちょっとまだ話の途中なのに。」
チェ・ドリもボンサムを立てました。
チョ・ソンジュンは黙って歩き出しました。
「来いと言ってるんだ。行こう。」
ボンサムはドリを連れて勝手にチョ・ソンジュンの後に続きました。

チョ・ソンジュンは迷惑そうに立ち止まりました。
「いい加減にしないと殴るぞ。兄貴。あいつら本気だ。うちの牛を盗んで売りさばくつもりでは?」
ソン・マンチはソンジュンに言いました。
ソンジュンは振り返ると再び歩き出しました。
「ははははは。どこにでもついていきますよ〜!」
ボンサムは笑ってソンジュンの後に続きました。
「脚は?」
ドリはボンサムを心配しました。
「平気だ。」

松坡馬房(ソンパマバン)。
人々は肉牛の世話をして働いていました。
「奥様。餌をよく食うからか牛が丸々と太ってますね。」
商人のワンバルは藁を束ねながら、牛の毛を梳いているパングムに言いました。
「ワンバル!」
ソン・マンチはワンバルに声を掛けました。
「兄貴!もうお帰りですか!」
ワンバルとパングムは手を休めて主人のもとに駆け寄りました。
「どうも。へっへっへっへ。」
チョン・ボンサムはパングムに挨拶しました。
「違うわ。雇うのは賢い少年のはずでしょ?」
パングムは夫のチョ・ソンジュンに言いました。
「雇われたんです。特にコイツ(ボンサム)はものすごく賢いんです!」
チェ・ドリはパングムに言いました。
「いや〜。驚きました。相変わらずお“キレイ”ですね〜。」
ボンサムはパングムに言いました。
「美人です!」
チェ・ドリも不細工なパングムの機嫌を取るために言いました。
「この人たち誰なの?本当にこの人たちを雇うつもり?え?なんなの?」
「お前たち図々しいぞ。この線から中に入ってくるな。この線を越えたら痛い目に遭わせてやる!」
ソン・マンチはチェ・ドリの杖を奪うと地面に線を描きました。
「客主様。嘘じゃありません。今までのでたらめな暮らしは忘れ、人として生まれかわります。」
チョン・ボンサムはチョ・ソンジュンに言いました。
チョ・ソンジュンは振り返らずに家に帰りました。

キム・ハクチュンの家。
「漢陽(ハニャン)は美食の都ですが道中召し上がってくださいませ。酢飯なので傷みません。」
ソホン(チョン・ソレ)はキム・ハクチュンに手作りの豪華な弁当を見せました。
「食は全羅道(チョルラド)と言うがお前の手料理はそれ以上にうまい。」
キム・ハクチュンは言いました。
「全羅道(チョルラド)の料理は味付けが濃いだけで食は開城(ケソン)が一番です。どの地方の料理も開城(ケソン)の料理に敵(かな)いません。」
「そなたは開城(ケソン)の生まれか?」
「開城の出身ではなく開城に詳しいだけです。人払いをしてくれ。」
ソホン(チョン・ソレ)は使用人に命じました。
「大院君(テウォングン、高宗の父で興宣大院君)大監はどうやっても王妃様(閔妃)には敵いません。」
ソホン(チョン・ソレ)はキム・ハクチュンに言いました。
「ほほう。そうか?」
「老いるのは悲しいことです。黙っていても周りが老齢を理由に権力の座から追い立てます。ミン氏(閔妃の一族)と手を組まれたのは正解です。」
「はは。そなたがなぜそう言える?破滅するかもしれぬ。」
「私の父はこう言いました。権力もお金も季節と同じだと。夏の暑い盛りに立秋を迎え厳冬のさなかに立秋、つまるところ春が兆します。権力もお金も絶頂に達したら、つまり衰退のはじまりです。ゆえに勢いに乗る時こそ謙虚であれと。」
「そなたは謙虚であれと言うのか?」
「今の大院君(テウォングン)は全盛期です。あとは落ちるだけでは?」
「そなたの父はどんな人だ?」
「娘を妓房に売った極悪人です。それよりも、十年待って迎えた機会です。六牟塵(ユギジョン)大行首(テヘンス)シン・ソクチュに勝つためにはあなたの弟キム・ボヒョンを手中に収めなくてはなりません。」
ソホン(チョン・ソレ)が言うとキム・ハクチュンは納得しました。

港。
ソホン(チョン・ソレ)は使用人のドゥッケとともに高台から港を見下ろしていました。
キム・ハクチュンは執事とともに漢陽(ハニャン)へ行く船に乗り込むところでした。
「ソホンは何者なのだろう。生きている者には過去があるがソホンの過去はわからん。」
キム・ハクチュンは振り返りソホンを見上げました。

回想シーン。
「妓房の料理人?」
キム・ハクチュンはまだ生娘のソホン(チョン・ソレ)に聞き返しました。
「オ・ドゥッケです。」
ドゥッケは地面に這いつくばってハクチュンに挨拶しました。
「妓房で見た気がするが。何の用だ。」
「私が呼びました。そばに置きたいんです。」
ソホン(チョン・ソレ)はドゥッケを庇いました。
「ドゥッケ。“犬を得る”か。犬の先祖は狼だから主人を噛むかもしれぬ。」
「そんなことはありません。ドゥッケはやりません。主人に逆らわず狩りも上手な忠犬です。そうでしょ?忠犬になるんでしょ?」
ソホン(チョン・ソレ)はドゥッケに言いました。
「“ドゥッケ(忠実な犬)”は決して主人を裏切りません。私こオ・ドゥッケ、主人のために死ぬ覚悟でございます!」
ドゥッケは地面に這いつくばりながら忠誠を誓いました。
キム・ハクチュンは納得してドゥッケを雇いました。

「ソホンについて探れ。故郷はどこか。父親は誰で兄弟は誰なのか。」
キム・ハクチュンは執事に命じました。

ソホン(チョン・ソレ)はハクチュンに手を振りました。
「漢陽(ハニャン)への道のりは半月。戻ってくるまで時間はあるわ。山中のお堂からもう一度調べて来て頂戴。ボンサムを置き去りにしたあのお堂から、調べなおして来て。もうボンサムを待てないの。今度こそ必ず捜すのよ!」
ソホン(チョン・ソレ)はオ・ドゥッケに命じました。

松坡馬房(ソンパマバン)。
「あ〜はっはっは!」
チョン・ボンサムとチェ・ドリは馬房(マバン)の商人たちと仲良くなっていました。
「あいつら居座るつもりだ!」
怒ったソン・マンチは食事中のチェ・ソンジュンのもとに戻って来ました。
「だけど計算は速くて正確でとても詐欺師には見えないぞ。俺は気に入りました。」
ワンバルは言いました。
「何だと?」
ソン・マンチはさらに苛立ちました。

回想シーン。夜の宿舎。
「ソンナク角は外側に曲がった角で、ウゴク角はこうやって内側に曲がった角。まっすぐな角は?黄角か?へへへ。寝てる場合か!」
チョン・ボンサムは勉強しながらチェ・ドリを叩き起こしました。
「あ、いや。あはははは。」
オジサンのチェ・ドリは年のせいか、だるそうに起き上がりました。
「童蒙庁(トンモンチョン)の時から怠けっぱなしだろ。学べ。」
「へっへ。わかった。」
「はははは。」
「マクチョッタって何だ?」
「マクチョッタは六歳の牛の事だ。牛は年齢で価値が違うんだ。一番人気が高いのはこの書によると二歳か三歳の牛だ。ん?その理由はなんだ?」

「そうね。昔から意志が強そうだったし頭がいいのは間違いないわね。」
パングムはチョ・ソンジュンに言いました。
「・・・ワンバル。行ってボンサムを呼んで来い。」
チョ・ソンジュンはワンバルに言いました。
「はい!ボンサム!ボンサム!旦那様がお前をお呼びだ!アイゴ。早く行け!」
ワンバルは走って庭に出るとボンサムを手招きしました。
「俺たちを客主が呼んでいる?」
チェ・ドリも騒ぎながらボンサムと一緒に客主のところに行きました。

「こっちだ。客主様!」
ワンバルは二人を連れて来ました。
「なんでお前が付いてくる。」
ソン・マンチはチェ・ドリに言いました。
「付き添いです。俺たちは裁縫の針と糸のような関係です!」
チェ・ドリはソン・マンチに言いました。
「そうだ!」
ボンサムは言いました。
「それに俺たちはクッパで言うところのネギとカ・・・。」
「カクテギ!」
「カクテギです!」
「そうだ。あはははは。」
ボンサムが笑うとパングムも吹き出しました。
「私は、一度決めたことは覆さぬ。」
チョ・ソンジュンはボンサムに言いました。
「知ってます。俺を嫌ってることも。」
ボンサムは言いました。
「ワンバル。」
「はい。」
「お前は一年間に何頭の牛を売る?」
「兄貴。俺は一年で四十五頭も取引しました。」
「我ら馬房(マバン)では一人につき最低三十頭の牛を売らねばならん!俺は百頭だ!俺らの兄者は何と百二十頭をお売りになる!」
ソン・マンチは厳しく言いました。
チョン・ボンサムは皆が売り上げを述べている間に一人計算をしていました。
「牛三頭を売ったら正式に雇おう。熟れなかったらここを去れ。十日だ。」
チョ・ソンジュンはボンサムに言いました。
「たった十日で三頭も?」
チェ・ドリはおじけづきました。
「十日で三頭・・・。」
ボンサムはつぶやきました。

夜。
チョ・ソンジュンは厠を済ませるとすっきりした様子で出てきました。
「わ〜!お前!」
チョ・ソンジュンの前に突然ボンサムが現れました。
「客主様。どうすれば売れますか。」
「簡単だ。ボンサムよ悟りを開け。必死になって牛を売る手段を考え苦悩しろ。悟りが開ける。」
「禅問答だ。俺は本気だ。」
「私は両班のようにお前と言葉遊びをしている暇はない。例え義禁府に捕って牛を売れば命を助け売れなければ首を斬り落とすと言われたらどうする?」
「牛を知らずとも売ることはできる。知識も大事だが気持ちが重要だ。売れなければお前も家族も飢え死にすると考えろ!必死になるだろ?そうなれば売れる。」

日中。
ボンサムはチェ・ドリと畑に行きました。
「ちょっとすみません。牛を一頭いかがですか?」
チェ・ドリは娘と妻を牛のようにこき使って畑を人力で耕している農夫に尋ねました。
「いきなり言うな!」
ボンサムは結論から先に言ってしまったドリを注意しました。
「帰っておくれ!」
農民の娘はボンサムとドリに土を投げました。
「アイゴ。どうも失礼しました!」
ボンサムたちは逃げました。
「牛を売るなら市場に行くべきだろ。何のつもりだよ。」
チェ・ドリはボンサムに言いました。
「考えてみろ。市場で俺たちが相手にされるか。口を開けば素人とバレちまう。口の立つ仲買人が多いから絶対売れない。もう一度あの村に行ってみよう。」
「本当に買う気はないですか〜?」
チェ・ドリが農民に言いました。
「さっさと行かんか!」
農夫もボンサムに土を投げました。
「悪気はないんです。すみませんでした!」
ボンサムは謝って去りました。

辛家大客主(シンガテケクチュ)。
「光山(クァンサン)のチュ家に絹百疋。全州(チョンジュ)金家客主(キムガケクチュ)に三種の絹各五十疋。新しい妓房(キバン)が出来て注文が増えたんだな。光陽(クァンヤン)金家客主に梅汁五百樽!」
大人になったキル・ソゲはしっかりと働いていました。
その様子を大行首(テヘンス)のシン・ソクチュは見守っていました。
「ソゲや。」
「あ、はい!大行首(テヘンス)様!お呼びでしょうか。」
ソゲは瞬時にシン・ソクチュのもとに馳せ参じました。
「準備せよ。一緒に行こう。」
「大行首(テヘンス)様にご同行できるのですか?身に余る光栄にございます!」
キル・ソゲは土下座して地面に頭を下げました。

漢陽(ハニャン)の妓房(キバン)。
「アイゴ。大行首(テヘンス)〜!」
キム・ボヒョンは庭に出ると両手を拡げてシン・ソクチュを迎えました。
その様子を部屋の中からキム・ハクチュンが監視していました。
「大監。お久しぶりです。」
シン・ソクチュは親し気にキム・ボヒョンに言いました。
「さあ。」
キム・ボヒョンは部屋へ入るようにシン・ソクチュを促しました。
「うちの行首を紹介します。」
シン・ソクチュはキル・ソゲをキム・ボヒョンに紹介しました。
「私はキル・ソゲと申します。」
キル・ソゲは土下座して挨拶しました。
「大行首(テヘンス)に紹介されたのはメン行首以来二人目だ。目をかけておるのだな。」
「世の中では強い者が生き残ると言いますが私の考えは違います。お前が来てからうちの客主をやめた商人の数は?」
「はい。五百八十五名が去っていきました。」
キル・ソゲは答えました。
「アイゴ。十年の間に六百名も辞めたとは。メン行首がこき使ったのだろう。」
キム・ボヒョンは言いました。
「とんでもない大監様。」
メン・グボムは謙遜しました。
「仕事に耐えかね辞めていく者がどれほど多いことか。強い者が生き残るのではなく、耐えて残った者が強いのです。こいつも十年耐えました。そろそろ信頼してもよい頃です。あっはっは。さあ。中へ入りましょう。」
シン・ソクチュはキム・ボヒョンに言うと妓女(キニョ、妓生の女)を伴い部屋に入りました。
「おい。」
メン・グボムは地面に這いつくばっているキル・ソゲの体を脚で蹴って呼びました。
「何ですか?」
「何だと?独身のくせに髷まで作りおって!」
メン・グボムはキル・ソゲに拳を振り上げました。
「仕事が忙しくて妻をめとる暇がないのです。」
キル・ソゲは言い返しました。
「部屋の前に控えてろ。」
メン・グボムはキル・ソゲをけしかけました。
「ははっ。」
キル・ソゲはメン・グボムの嫉妬心を察せず理解できないまま行きました。
「お前が十年なら私は二十七年耐えて来た。六牟塵(ユギジョン)大行首(テヘンス)になるため三十年近くもシン家に頭を下げて来たのだ。」
メン・グボムはひとりつぶやきました。
「メン行首様!」
キル・ソゲは親し気にメン・グボムを呼びました。
「生意気な。お前ごときには負けぬぞ。早く辞めろ!」
その様子をキム・ハクチュンが見ていました。

妓楼の部屋。
「宣恵庁(ソネチョン)の人選だと?私は大過なく役目を果たしてきた。人選など不要ではないか。」
キム・ボヒョンはシン・ソクチュに聞き返しました。
「十年も懐を潤してこられたのです。そろそろ次に譲られては?我ら六牟塵(ユギジョン)とも関係が深い戸曹判書(ホジョパンソ)になられてはどうですかな?」
「いやいや。私はそなたに堂上官(タンサングァン)になれと言われても断る。もう言うな!」
「困りましたな。では見てみましょう。今回の人選で誰が大監を守ってくれるのか。大院君大監をはじめ王族の方々にたんまりと賄賂を贈らねばなりません。」
「見せろ!」
キム・ボヒョンは人事の草稿をシン・ソクチュから奪って読みました。

しばらくして妓房(キバン)に中央軍の大将ミン・ギョムホ(イム・ホ演)と兵士が押し寄せました。

回想シーン。
ミン・ギョムホはあらかじめキム・ハクチュンからキム・ボヒョンがシン・ソクチュと結託して税を横領して大院君に賄賂を渡していると話を持ち掛けられていました。
「裏帳簿を押さえよう。キム・ボヒョンと大院君一派を捕らえ司憲府に任せる。はっはっはっはっはっは!」
ミン・ギョムホは笑いました。

「行くぞ。」
ミン・ギョムホはシン・ソクチュと目を合わせて妓房(キバン)に押し入りました。
「離さぬか!大監。ミン・ギョムホです。入りますよ。」
「大監様!」
メン・グボムの悲鳴が妓楼の中にも聞こえました。
「六牟塵(ユギジョン)大行首(テヘンス)ではないか。」
ミン・ギョムホはシン・ソクチュとキム・ボヒョンのいる部屋に入って来ました。
「こっちだ。アイゴ。食事の時間だ。膳を早く運べ。」
キル・ソゲは使用人に膳を運ばせシン・ソクチュに目配せしました。
「ソゲや。令監(ヨンガム)。食べましょう。せっかくいらしたのですからどうぞ。ささあ。ここに置け。どうぞ。」
シン・ソクチュは言いました。使用人たちが膳を置こうとするとキル・ソゲは使用人の足を蹴り膳をミン・ギョムホの方向にひっくり返させました。
「何をする!」
ミン・ギョムホは怒りました。
「アイゴ。」
キル・ソゲは蝋燭の火を帳簿に点けました。
「ん?」
「いかん!火が移った!」
ミン・ギョムホは急いで火を消そうとしました。
「アイゴ!令監(ヨンガム)様!大監様!」
キル・ソゲは大げさに慌てたふりをしました。
火は帳簿に手を伸ばしたミン・ギョムホの袖に移りました。
「アイゴ!酒をかけるな!」
メン・グボムはそう言いながら花瓶の水で袖の火を消しました。

妓楼の庭。
ミン・ギョムホは兵を引き上げました。
「令監(ヨンガム)。さんざんでしたな。」
キム・ボヒョンはミン・ギョムホを見送りました。
「近いうちに私がお詫
をして去りました。
「あっはっはっはっは。くっくっくっくっく。」
キム・ボヒョンとシン・ソクチュは笑いました。
「なるほどな。」
シン・ソクチュは部屋からキム・ハクチュンが見ていることに気が付きました。

「私がお膳立てまでしてやったのに!これだからミン氏の奴は大院君に勝てぬのだ。アイゴ。アイゴ。アイゴ。」
キム・ハクチュンは悔しそうに酒を飲みました。

シン・ソクチュとキム・ボヒョンは部屋に戻りました。
「アイゴ。助かった。」
「大行首(テヘンス)様。」
キル・ソゲは燃えかけた帳簿をシン・ソクチュに渡しました。
「お前、名を何という。」
キム・ボヒョンはキル・ソゲに言いました。
「キル・ソゲでございます。」
「アイゴ。知っていたのか?」
「部屋を警備しろとの命令に従っただけです。大監さま。」
「大行首(テヘンス)!さすがだ!働き手まで機転が利く者ばかりだ。人事は万事というがまさに人事は万事だ!人を見る目も使う手腕も見事だ。」
キム・ボヒョンは喜びました。
「今回は私も驚きました。偶然とはいえお前は大きな手柄を立てた。ソゲや。よくやった。よくやったぞ!」
シン・ソクチュはソゲを褒めました。
「本当に偶然と思いますか?私は違うと思います。」
キル・ソゲは落ち着かない様子で答えました。
「そうだな。偶然ではなかった。お前の才が私を助けたのだ。」
シン・ソクチュが言うとキル・ソゲは笑顔を見せました。

焦ったキム・ハクチュンは酒を飲みました。
「久しぶりです兄上。何年ぶりでしょう。」
扉が開き、キム・ボヒョンとシン・ソクチュが部屋に入って来ました。
「アイゴ。大行首(テヘンス)様。」
「ミン・ギョムホと親しくしているようだが。まだその時ではない。秋の日はつるべ落としと言うが、当分沈みはせぬ。まずは王妃様が王子様をお産みになることだ。そうすればミン氏が謀反を起こす口実になる。私に勝つ方法がひとつだけある。」
シン・ソクチュはキム・ハクチュンに言いました。
「どうか教えてください。」
「せいぜい長生きすることだ。長生きしろ。そうすれば勝てる。」
「教えてくださり感謝します。大行首(テヘンス)様!」
キム・ハクチュンは両手を広げてシン・ソクチュに拝礼しました。
シン・ソクチュは部屋を出ました。
「実によい景色だ。そのままで聞いてください兄上。ひれ伏す者の姿はなんとも美しい。」
「ボヒョナ!何をする。」
「まだ不十分だ。頭をもっと下げろ。肩と背中の力を抜くのだ。私に偉そうに振舞うのはやめろ。はいつくばってひれ伏せろ!腹を床につけろ!そうだ。その姿勢のまま生きてください。シン・ソクチュにひれ伏すのです。それが兄上の生きる道です。たとえ百年が過ぎようともシン・ソクチュには勝てぬ。わかったな?」
キム・ボヒョンは兄のハクチュンの背中を踏みつけました。

畑。
「もっとちゃんと引っ張れ!」
ボンサムは畑を耕しているチェ・ドリに言いました。
「ボンサム!もう限界だ!なんで俺たちが畑仕事をするんだ?」
チェ・ドリは上半身裸で汗をかきながら言いました。
「引け!」
「どう考えてもおかしい!」
「ネイノーン!人の家の農具を使いおって。ん?お前ら何してる。なぜ他人の畑を耕している!」
どこからか声がして数人の農夫が走って来ました。
「ご挨拶します旦那様。私は、松坡馬房(ソンパマバン)の見習い商人チョン・ボンサムです!」
チョン・ボンサムとチェ・ドリは腰を曲げて農夫たちに挨拶しました。
「ソンパマバン?」
お爺さんは不思議そうに言いました。
「はい。旦那様。牛はいかがですか?」
「買えるはずなかろう!ワシをからかっておるのか?帰れ!」
「あああ、ちょっと待った。怒らせるつもりはありません。」
「こしゃくな!出ていけ!」
お爺さんは棒でボンサムの頭を叩きました。ボンサムは避けませんでした。
ボンサムの頭から血が流れました。
「暴力はいけませんよー!」
「ご主人様。この村にはどうしても牛が必要なんです。娘さんや奥さんは牛じゃありません。重労働は過酷です。買いましょう。」
ボンサムは真顔で言いました。

感想

客主6話の感想です。何とチョン・ボンサムは童蒙庁(トンモンチョン)を追い出され、松坡馬房(ソンパマバン)のチョ・ソンジュンに押しかけ勝手に弟子入りしてしまいました。ボンサムを育てたおじさんのチェ・ドリを連れて。チェ・ドリはどう見てもボンサムのお父さんみたいなものですね。一応は「子分」に当たるのかもしれませんが・・・。朝鮮の考えではチェ・ドリは「子分」なのか「育ての親」なのか、どうなんでしょうね。

このドラマ、面白くなってきました!

ボンサムはチョ・ソンジュンの死罪に匹敵する悪事をバラすも童蒙庁(トンモンチョン)では誰一人それを悪く言う人はいませんでした。罪の重さでは現代も密売>>>>詐欺なのに、ボンサムだけが理不尽にも叩きのめされます。しかしチョ・ソンジュンは密売を行い財を成したことは否定せずに、悪事と並行してチョン・ウスから商道の立派な考えに感銘を受けたと正直な気持ちを告白しました。

ボンサムがチョ・ソンジュンに弟子入りすること時代、ドラマの方向性は今の日本のネチズンの「ささいな悪事もとことん叩きのめして全否定する」という価値観には反します。しかしチョ・ソンジュンは大事なことをチョン・ウスから学んだおかげで商売人としてある程度成功することができたようですね。

チョン・ソレはソホンと名を改め、なんとキム・ハクチュンと性的関係になったことがドラマの中で示唆されていました。ドラマの台詞から推測できるのが、チョン・ソレは未成年なので結ばれるまで5年待つとキム・ハクチュンに言わせていました。そういうことは現代の基準に合わせて言ったセリフなので、成人するまで5年として、チョン・ソレの6話での推定年齢は25歳であることがわかります。その間、ソレはオ・ドゥッケという味方を手に入れ教養も身に着けていったことが暗に示されていましたね。

シン・ソクチュという六牟塵(ユギジョン)大行首(テヘンス)は曲者でして、彼は朝廷の大院君という高宗(コジョン)の父の側の金銭的な支持者になっていることがわかります。大院君というのはすなわちDr.JIN(ドクタージン)にも出て来た「興宣大院君(フンソンテウォングン)」というやり手の王族です。朝鮮時代末期の話であることがわかります。もう朝鮮も末期ですから高宗(コジョン)はつまり、大韓帝国一代目の「皇帝」にあたります。ですから閔妃(ミンビ)といえば韓国の人で知らない人はいないほど有名な人で日本人の歴史好きですら名前くらい知っているかの「あの人」なんですよ。ストーリーがバレそうなのでここでは書きませんけど。

グレてるチョン・ボンサムを見てると「推奴(チュノ)」の主人公イ・テギル(李大吉)を思い出します(笑)まったくもってテギルと似たような雰囲気で。

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