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客主-객주ケクチュ1話の詳しいあらすじ

韓国ドラマ客主-キャクチュ-商売の神1話のあらすじと感想

韓国ドラマ客主-ケクチュ-商売の神

目次


あらすじ

朝鮮の物流を担う行商人は財を蓄え港湾などで仲介売買をする客主となった。

商団の本部。
大勢の商人たちが荷物を運び忙しく動き回って賑わっていました。
千家客主(チョンガケクチュ)の大行首(テヘンス)チョン・オスキム・スンス演)は慶事があるこの日、部下たちに準備を急がせました。

行首キル・サンムンイ・ウォンジョン演)は部下に荷物を落とさないように指示していました。サンムンは兄貴分の行首チェおじさんを見かけると声を掛けました。イ・ダリョンは上機嫌でサンムンに準備はできたか尋ねると、サンムンは順調だと答えました。サンムンは商人たちを激励しました。

まだ思春期にも差し掛かっていない少年チョン・ボンサムは仕事を投げ出そうと庭に逃げました。その後を二人の年端の行かない兄が後を追いかけました。チョン・ボンサムは父キム・サンムンにぶつかりました。
「商人の息子が歩くのも商いも嫌いとは。この先どうするつもりだ。」
サンムンは息子に言いました。
「遊んで暮らします。」
ボンサムは嬉しそうに答えました。
「遊んで暮らす?いいご身分だな。」
「他の子たちは貧しい家に生まれたけど、私は幸運にも金持ちの家に生まれたではありませんか!私が遊んで暮らしても大丈夫です。お父さんは商売が好きだからずっーと働いて、私は商売が嫌いだからずーっと遊んで暮らします!」
「ちゃ〜。私の息子だ。人生設計が完璧だ!はっはっはっは。さあ付いて来い。」
サンムンは親指を立てて息子を褒めると耳を引っりボンサムを連れて行きました。
「痛いよお父さん!あ〜。」

商団の庭。
薬剤などの準備を終えた商人たちは皆集まりました。
「開城(ケソン)商団千年商家の主が商団の出立の祝辞を読み上げる〜。」
キル・サンムンは祝詞を読み上げました。
「閉じられていた柵門(さくもん、清国との交易市場)市場が三年ぶりに開かれました。今から我ら千年客主の商団は百二十里の道を行き、清国の柵門市場で黒蟲(フクチュン)を商う。松獄山(ソンファクサン)の神霊(シンリョン)よ。道中の地の神霊よ。我々の一行が出発前と変わらぬ姿で帰って来られるように。そして我々商団が大きな利益を得られるようにお守りください。」
大行首(テヘンス)のチョン・オスは紙に書いた挨拶文を読み上げると紙を火にくべました。
「さ〜客主のチョン様〜出立のお酒をお飲みくださいませ〜。」
サンムンはチョン・オスに促すと、チェおじさんは銅器になみなみと白い酒を注ぎました。
「あ〜うまい。蜜のようだ。今回の商いも成功するだろう!」
チョン・オスは正座して酒を飲み干しました。
「皆準備はできたか〜?」
チョン・オスは皆に呼びかけました。
「はい〜!客主様〜!」
商人たちは声を揃えて答えました。
「行くぞ。」
チョン・オスはボンサムを伴い歩き出しました。
「はい〜。山を越え〜谷を駆け抜けろ〜!はっはっは〜。」
商人たちは出発しました。
「客主様!客主様!村の向こうの峠道に開城(ケソン)留守(ユス、長官)、キム・ボヒョン様がお見えです。」
道の前から部下の商人(ユン・ウォンソク演)が三人走って来ました。

チョン・オスと商人たちは揃ってキム・ボンヒョンに会いに行きました。
「留守(ユス)旦那様はどうしてかような所にお越しになられたのですか?」
チョン・オスはキム・ボヒョン(キム・ギュチョル演)に言いました。
「おぬしが姿を見せぬからだ。千年客主は多くの税を納めておるではないか。しかと稼いで来い。」
留守(ユス)のキム・ボヒョンはチョン・オスに盃を差し出しました。
「・・・・・・私めは、しっかりと商いを終えてから頂きとうございます。既に出立の儀式を客主で終えました。商いを終えるまで酒は絶たねばなりません。」
チョン・オスは言いました。
「留守(ユス)旦那様。道中に酒を飲んでは災いが起こります。」
キル・サンムンは言いにくそうに言うと、キム・ボヒョンはサンムンの顔に酒を浴びせました。
「ネイノン!商人のくせに私に逆らうのか!さあ。」
キム・ボヒョンは盃を地面に叩きつけて割ると、新しい盃をチョン・オスに差し出しました。
「留守(ユス)旦那様。柵門での商いは我々にとって国の法と同じ重みがあります。」
チョン・オスは真剣な表情で言いました。
「俺が飲んで商いから抜けます。」
キル・サンムンはチョン・オスに囁きました。
「兄貴。言わないでください。」
チョン・オスはキル・サンムンを制止しました。
「留守(ユス)旦那様。盃は私が頂きます。」
キル・サンムンは勝手に盃を飲み干しました。
「こやつめ!貴様!貴様は死にたいのか!」
キム・ボヒョンはキル・サンムンを蹴り飛ばしました。
「さあ。」
キム・ボヒョンは三度目の盃をチョン・オスに差し出しました。
「留守(ユス)旦那様。私が柵門から戻ったらお受けいたします。」
チョン・オスは頭を下げました。
「留守(ユス)旦那様。私めに盃を下さいませ。」
キル・サンムンはチョン・オスを庇いました。
「貴様(イノミ)!貴様!貴様!」
キム・ボヒョンはキル・サンムンを蹴り倒して棒で何度も叩きました。
商人たちはその様子を見て怖気づきました。
「今すぐ飲め。すぐに飲むのだ。早く!」
キム・ボヒョンは手を震わしながら盃を差し出しました。
「我々商団は三年もの間、柵門市場の再会を待ちわびておりました。千年客主と皆の命運がかかっているのです!私は戻ってから頂きます。」
チョン・オスは力を込めて言いました。
「えい!」
子どものボンサムは盃を奪い取りました。
「ボンサム!」
チョン・オスだけでなく長官のキム・ボヒョンも行首のキル・サンムンも唖然としました。
「あ〜。」
チョン・ボンサムは盃を飲み干しました。
「ボンサム!」
チョン・オスとキル・サンムンはは青ざめました。
「カネより酒がお好きですか?」
チョン・ボンサムはキム・ボヒョンに向かって言いました。
「ボンサム!何を言うのだ。やめろ。」
チョン・オスは息子を止めようとしました。
「人参(インサム)より山参(サンサム)。山参より黒蟲!」
ボンサムは言いました。
「お前は、何者だ。」
キル・サンムンはボンサムに問いました。
私は父さんの息子です。チョン・オスの息子チョン・ボンサムです!
ボンサムが堂々と言うと、チョン・オスは慌てました。
「これこれ。お前は正気か。」
キム・ボヒョンはボンサムに言いました。
「以前、清の商人が我々の商団に来て我々に言いました。人参(インサム)より山参(サンサム)。山参より黒蟲!人参を売る客主より、黒蟲を売る我々千家客主のほうが優れていると。だから開城(ケソン)府に税金もたくさん納めていますよね。」
「それで?」
キム・ボヒョンはボンサムの話に興味が湧きました。
「酒を飲んで商いを休めれば私は嬉しいです。歩くのが大嫌いだから。でも商いができなければ商いができず開城(ケソン)も貧しくなります。それでもいいですか?」
「はっはっは!お前の言う通りだ!開城(ケソン)が貧しくなるのは困る!お前の名はチョン・ボンサムか?大きくなったら朝鮮一の商人になれ!わかったな?」
キム・ボヒョンは笑いました。
「私は商人にはなりません!」
ボンサムは酔って倒れました。
「はっはっは。酔いが回ったのだ。酔っておる!面白い奴だ!はっはっはっは。」
キム・ボヒョンはチョン・オスを赦しました。チョン・オスたちは出発しました。

「愚かな奴だ。酒くらい飲めばいいのに。」
千年客主の後ろ姿を見送りながら、商いをやっている換銭客主(ファンジョンケクチュ)の大行首キム・ハクチュン(キム・ハクチョル演)は弟のキム・ボヒョンに言いました。
「兄貴。今の世の中はカネを持つ人間が両班で王なんです。開城(ケソン)の商人は役人など気にもしません。今度宣恵庁(ソネチョン)の長官の人事があります。私は二度も宣恵庁(ソネチョン)の人選に落ちました。カネがないからです。手を回すには三十万両ほど必要だとか。」
キム・ボヒョンは兄に言いました。
「さっきチョン・オスの息子が言ってただろう。人参より山参。山参より黒蟲。千年客主を手中に収めれば三十万両を手にできる。」
キム・ハクチュンはキム・ボヒョンを唆しました。キム・ボヒョンは不敵な笑みを浮かべました。

漢陽(ハニャン)の辛家大客主(シンガテケクチュ)。
「安東(アンドン)の商家から絹百疋。光陽(クァンヤン)からは三色の絹がそれぞれ五十疋ずつ。二種類の薄絹各二十疋。」
行首のメン・グモム(キム・イル演)は門をくぐって来た開城留守キム・ボヒョンと従者に挨拶しました。

「はっはっはっは。」
キム・ボヒョンは大行首のシン・ソクチュ(イ・ドクファ)に挨拶しました。
「開城留守(ユス)令監(ヨンガム)がなにゆえ漢陽(ハニャン)へ?」
辛家大客主の大行首のシン・ソクチュはキム・ボヒョンに言いました。
「遊びに来た。はっはっはっはっはっは。国の王は景福宮(キョンボックン)におわし商人の王は六牟塵(ユギジョン)にいるというのは大行首を見るとほんとうのようだな。驚くばかりだ。」
「またご冗談を。さあさあ、お入りください。」
シン・ソクチュはキム・ボヒョンを部屋に案内し茶と菓子でもてなしました。

「それで今回はどのようなご用件で?」
シン・ソクチュはキム・ボヒョンに言いました。
「売りたい物がある。」
「拝見しましょう。」
「持ち運びはできぬ。客主を買ってくれ。千家客主だ。」
「千家客主?開城(ケソン)の千家客主を?チョン・オスが売りに出したのですか?」
「いや。金貸しをしている異母兄が千家客主に金を貸して回収できずにいるのだ。」
「ほうほう。そうですか。」

街道。
千家客主の商団は山道を歩いていました。
「客主様〜。チョン客主。ここで一休みか?」
先に様子を見に行っていた行首のチェが戻ってきました。
「兄貴。道の状態はどうでしたか?」
チョン・オスとキル・サンムンは立ち上がりチェを迎えました。
「せかすな。腹が減って死にそうだ。メシを食わせろ。」
チェが言うとサンムンはドリに飯を与えました。
「ウットル。」
「アイゴ。通れる道がありません。お手上げです。」
ウットル(ユン・ウォンソク演)は悔しがりました。
「なっ・・・なんだって?」
サンムンは危機感を表しました。
「上の橋と下の橋、通れないのはどっちだ?」
チョン・オスは地図を拡げてウットルに尋ねました。
「どっちの橋も流されちまったよ。」
ウットルは言いました。
「先月の大雨のせいだ。」
チェは言いました。
「裾をまくって川を渡りましょう。」
行首の一人が言いました。
「それはだめだ。川が深くて大事な荷物が濡れちまう。」
チェおじさんは行首に言いました。
「だったら、少し険しいが断崖の旧道を通っては?」
キル・サンムンはチョン・オスに言いました。
「だめに決まってる。主に荷物を持って崖を通るなんて。落ちたら死ぬぞ。」
チェおじさんは反対しました。
「待ってくれ。数日待って水が引いたら渡りましょう。」
ウットルは言いました。
「柵門が開くのは七日後だ。雨ごときで歩みを止めて市に間に合わなかったら黒蟲はぜんぶダメになる。長く干した物でも三年物だ。今年売れなければ色が変わってしまう。それでいいのか?」
キル・サンムンは言いました。
「兄貴。そうは行っても十年誰も通らなかった道は危険すぎる。」
チョン・オスはキル・サンムンに言いました。
「チョン客主。黒蟲が売れなければ資金は底をつく。今までも俺たちは危ない橋を渡って来た。」
キル・サンムンは言いました。

チョン・オスはキル・サンムンの言う通り険しい崖を通ることにしました。
「岩肌にへばりつけ!荷物をひっかけないようにな!」
先を行くチェおじさんは振り返ると皆に怒鳴りました。
ボンサムの姉、チョン・ソレは足を踏み外しかけました。
「姉さん!」
ボンサムは振り返ると崖から足を踏み外してしまいました。
「あ〜っ!」
ボンサムと腹に括った紐で結ばれていたチョン・オスも一緒に崖から滑り落ちてしまいました。
「客主〜!」
「ボンサム!お父さん!」
チョン・ソレは悲鳴をあげました。
「ボンサム!」
兄も弟の名を呼びました。

「ボンサム!捕まれ!」
チョン・オスは蔦に捕まり息子を励ましました。
「いたぞ!無事なようだ!」
チェおじさんは言いました。
「助けないと。我慢しろ。すぐ助けに行く!」
キル・サンムンは縄を木と自分に結び崖を降りました。
「死にたくないよ〜。」
ボンサムは叫びました。
「ボンサム。父さんに捕まれ。あ〜。」
チョン・オスはボンサムを引き上げました。
「降ろしてくれ。大丈夫か。ボンサム。動くな。お前の父さんが苦しくなる。」
キル・サンムンがチョン・オスのところまで降りてきました。
「お父さん。」
ボンサムは怯えました。
「大丈夫だ。大丈夫だ。ぐぁ〜。」
チョン・オスはボンサムを抱きかかえて支えるだけで精一杯でした。
ボンサムは手を伸ばすとキル・サンムンはボンサムを縄に掴ませてチョン・オスの手を掴みました。
「引き上げろ〜。ぐぁ〜。」
キル・サンムンは崖にいる仲間に命じました。
「あ〜っ!」
縄が木に擦れて千切れました。
行首は手を血だらけにして縄を掴みました。
「オスや〜。もっと引け〜。」
チェおじさんは皆を励ましました。
「父さん〜。」
ボンサムは今にも落ちそうなチョン・オスを心配していました。
チョン・オスは縄を切ろうとしました。
「オスや。早まるな。死ぬときは皆一緒だ!やめろ!」
キル・サンムンは慌てました。
「兄貴。今日から兄貴が千家客主の大行首だ〜〜!」
チョン・オスは叫びました。
「ダメだオスや〜!」
「お父さん〜!お父さん〜。」
チョン・オスは自ら
縄を切って崖から落ちました。

夜になりました。
「客主様〜!」
千家客主の商人たちは下に降りてチョン・オスを捜しました。

「兄貴。背骨が折れそうだ。今日はもう勘弁してくれ。パングム。水だ。」
ソン・マンチ(パク・サンミョン演)は松坡馬房密売人チョ・ソンジュン(キム・ミョンス演)に言いました。
ソン・マンチは女に水を飲ませました。
「きゃ〜!上から何か落ちて来た〜!」
パングム(ヤン・ジョンア演)は水を飲むなり叫びました。
「おいパングム!か弱い女のふりをするな!」
ソン・マンチはパングムに言いました。
「大きな声を出すな。捕まりたいのか。」
チョ・ソンジュンはパングムを叱りました。
「兄貴もきついな。捕まりたくないからこの旧道を歩いているんだ。沼にはまって死ぬのも覚悟の上でな。」
「マンチや。分かっているなら黙ってろ。死にたいのか。」
「・・・・・・。」
「やだ〜。また落ちて来たぁ!」
パングムは足をばたつかせました。
「こら。静かにしろ。」
チョ・ソンジュは再びパングムを叱りました。
「捕まったら殺されちまうぞ!本当に毛虫が落ちてきたのか?」
ソン・マンチもパングムに呆れました。
「あ〜。足よ。」
パングムは足の不快感を訴えました。
「これは毛虫じゃないぞ。真っ黒で気味が悪い。」
「見せろ。もしかしたら干しナマコかも。黒蟲だ。」
チョ・ソンジュは黒蟲をかじりました。
「兄貴。何するんだよ。いくら腹がへってるからって。」
「マンチや。黒蟲だ。山参より珍重される黒ナマコだ。黒蟲。」
「本当に黒蟲なのか?」
「ナマコってお金になるの?」
三人は上を見上げました。
マンチが木を揺すると荷物が落ちてきました。
「これは運の悪い商人が旧道を歩いていて荷物を落としたんだ。はっはっはっは。」
マンチは喜ぶと辺りを見回しました。

しばらくしてマンチは木を失っているチョン・オスを見つけて腹の紐をほどきました。
「マンチや。何をしているの?」
「カネを持ってるか調べてる。あんた(チョン・オス)を助けるために苦労したんだ。金を持ってたら少しわけてくれ。」
「時間がない。黒蟲だけにしろ。」
チョ・ソンジュンはマンチに言いました。
「ええい!カネが無い。文無しめ。お前はどこの商人だ?松都(ソンド)。ソンド?おい。あんた松都(ソンド)の商人か?千年客主。」
マンチは身分証を取りました。
「マンチや。何て言った。」
「千年客主と言ったら柵門で商売を許された商人では?」
マンチが言うとチョ・ソンジュンは号牌(ホペ)をマンチから取り上げて読みました。
「千年客主チョン・オス・・・・・・。」
ソンジュンは驚きました。

宿屋。
「なぜだ。黒蟲があったら客主様もどこかにいらっしゃるはずだ。」
キル・サンムンは皆に言いました。
「きっと猪に食われちまったんだよ。」
チェおじさんは言いました。
「いくら捜しても履物すら見つかりません。」
ウットルは言いました。
「これも行商人の運命だ。朝鮮全土を歩き道で生まれ道で死ぬ。客主の主人であってもこの運命からは逃れられん。」
チェおじさんはあきらめようとしていました。
「二日も足止めを食らった。商いが心配だ。」
行首のひとりが言いました。
「夜が明けたら柵門へ行こう。準備しろ。」
キル・サンムンは皆に言いました。
「はい兄貴。」
チョン・ボンサムは一晩中泣いていました。

翌朝。
「父さんは生きている。私が捜しに行く。」
宿屋の壁に書置きがありました。
「ソレや。ボンサムは?」
キル・サンムンはソレに尋ねました。
「おじさん。ボンサム・・・・!」
ソレは悲鳴を上げて走り出しました。

ボンサムは一人で街道を歩いていました。
「ちょっと坊や。一人なの?」
パングムはボンサムに声をかけました。
「おい。お前。ちゃんと答えろ。」
ソン・マンチもボンサムに言いました。
「その格好はどうしたの?行商人の子どもよね。どこへ行くつもり?」
「旧街道です。道を教えてください。」
ボンサムは毅然とした態度で言いました。
「まだお前は子どもじゃないか。何しに行くんだ。」
「お父さんを捜します!私のお父さんを。」
「こいつ。人を睨むなよ。お前みたいな子にはこの道は危険だ。猪にくわれちまうぞ!」
「マンチや。」
パングムはボンサムを脅かそうとするマンチを止めました。
ボンサムは黙って歩き出しました。
「おい。行くぞ。」
マンチもチョ・ソンジュンとパングムの三人は馬と荷物を引いて歩きだしました。
ボンサムは地面に父の号牌(ホペ)が落ちていることに気が付きました。
「お父さん!お父さん!おじさん!待って!私のお父さんはどこにいるの?」
ボンサムは走って戻りマンチを止めました。
「やあ。何を言ってるんだ。」
「これは私のお父さんの身分証です。お父さんに会いましたね?」
「あれ。いつの間に無くなったんだ?どうしてお前が持ってる。」
マンチは袋の中をのぞき込みました。
「ボンサム。ボンサムや。」
積み荷の中からチョン・オスの声がしました。
「おじさんたちが言ってたよ。お父さんは猪に食べられちゃったって!」
ボンサムはチョン・オスに抱き着きました。
「これこれ。あばら骨が折れている。」
マンチはボンサムを引き離しました。
「お父さん。」
ボンサムは父の胸に顔をうずめました。
「ボンサム。」

チョン・オスとボンサムは商団と合流しました。チェおじさんはチョ・ソンジュンとマンチとパングムに御馳走を振舞いました。
「命の恩人だ。本当なら酒を振舞いたいところだが。今は商いの最中なので。」
チェおじさんは上機嫌で言いました。
「ところで皆さんはどちらから?」
キル・サンムンは三人に尋ねました。
「京畿道の松坡(ソンパ)だ。」
チョ・ソンジュンは肉を食べながら答えました。
「松坡なら俺も詳しい。それで、どこの客主の所属ですか?」
キル・サンムンは言いました。
「チョン客主と取引がしたい。」
チョ・ソンジュンは言いました。

マンチは皆を追い払いチョン・オスとキル・サンムン、チョ・ソンジュンを部屋で話合わせました。

「牛革の密売?私に悪事に加担しろと?」
チョン・オスは驚きました。
「牛革の密売は重大だ。見つかったら首が飛ぶ。」
キル・サンムンは言いました。
「自分の首を心配する前に、まずは食わねばならぬ。柵門で商いを許されているだろ?俺たちも商団に加えてくれ。千年客主に迷惑はかけぬ。頼む。」
チョ・ソンジュンは言いました。
「今の話は忘れる。」
「はっはっはっは。命の恩人の頼みでもただでは受けぬと?金か。いくら欲しい。利益の二割?」
「・・・・・・。」
チョン・オスは失笑しました。
「それで、牛革はどれくらい持ってる。」
キル・サンムンは適当に言いました。
「兄貴。なぜ聞くんだ。」
チョン・オスは動揺しました。
「やはり主は駆け引きがうまい。三割でどうだ。一万両分だぞ。柵門での値段は知らぬが三倍以上で売れる。」
「それじゃ三万両か?」
サンムンはチョ・ソンジュンに言いました。
「そうだ。三万両。九千両やる。」
「話はそれまでだ。」
チョン・オスは部屋から出ました。

回想シーン。
「三万両だ。キル行首を信じているが三万両は大金だ。約束手形だ。千家客主を担保にする証文だ。客主の主人がここにいないのは気がかりだが。」
キム・ハクチュンはキル・サンムンに紙を見せました。
「私と客主は兄弟同然だ。ここに客主の印もある。案じることはない。」
サンムンはキム・ハクチュンに言うと判を押しました。

「既に仲間が柵門で待っている。荷を渡したらすぐにカネを渡す。」
チョ・ソンジュンは部屋に残ったキル・サンムンに言いました。
「そのカネで清の茶を買って帰れば大儲けできる。」
キル・サンムンは言いました。
「その気があるなら体裁を気にせず獲物に飛びつけ。」
チョ・ソンジュンはキル・サンムンの手を握りました。

「九千両で清国の茶を仕入れ漢陽(ハニャン)に戻る。一万八千両の儲けだ。」
キル・サンムンはチョン・オスの手を引いて誰もいない場所で密談しました。
「はっは。落ち着け。一万八千両は大金だ。兄貴の心が揺れるのもよくわかる。」
チョン・オスは冗談のつもりで話を聞いていました。
「どう稼ごうとカネはカネだ。汚い匂いがするのか?汚いカネも使い道がよければいい。」
「兄貴。私は気が小さいから首を斬られると思うと怖いんだ。早く行こう。」
「ウスや!俺の目標は六牟塵だ。千年客主が漢陽(ハニャン)の大通りに立派な店を構えて国王に品物を納入できるような六牟塵の商人になりたい。そのためにはどうしても一万八千両が欲しい。役人への賄賂も必要だろ?」
「兄貴。私が客主の主人でいる限り六牟塵入りはあり得ない。六牟塵に入りキム・ボヒョンのようなカネの亡者に頭を下げて、高官にへつらうのは嫌だ。」
「俺は平気だ!商人が役人に頭を下げるのは当然だ!お前は行商人のままで満足か?」
「兄貴。楽して儲ける方法はどこにもない。」
「蛇にかまれ獣に会い山賊に襲われる!命がけの人生はもうたくさんだ。子どもたちのことを考えろ!一万八千両あれば六牟塵に入れる。お前はそのカネが欲しくはないのか?」
「もちろん欲しいさ。喉から手が出るほど。目をつぶれば大金が入るんだ。」
「だったら!」
「だからこそできぬ。苦労せずに得たカネの味を知ったら真面目に働けるか?百二十里の道を歩きとおす気になれるか?何より子どもたちに顔向けできぬ。」
チョン・オスは背を向けました。
「・・・・・・。」

交渉の場。
「四割だ。利益の四割やる。」
チョ・ソンジュンはチョン・オスとサンムンに言いました。サンムンは目の色を変えていました。
「兄貴。もう忘れなさい。」
チョン・オスはサンムンをたしなめました。
「この頑固者め!来い!」
突然マンチが扉を開けて部屋の中に入ってきてチョン・オスを庭に引きずり出しました。
チョン・オスは庭に投げ出されました。チョン・オスはあばらを抑えました。
「怪我をしている人に何をする!」
キル・サンムンは怒りました。
「こいつめ!頭をかち割ってやる!」
マンチはオスを指さすと斧を振り上げました。
「何をする!」
「マンチや!」
チョ・ソンジュンはマンチを止めようとしました。
「俺が助けた命だ。どうしようと勝手だろ!」
マンチは斧を振り下ろしました。
「や〜。」
チョン・ウスは斧を何度も避けました。
商人たちは動揺して様子を見守りました。
「くそ。逃げやがったな!や〜!シネ〜!」
マンスは再び斧を振り下ろしました。
キル・サンムンはマンチの腹を蹴りました。
マンスは再びチョン・ウスを殺そうと襲い掛かってくるとキル・サンムンは小刀でマンスの服を切り刻みました。マンスは下履きが切れて皆に笑われました。
「見事な腕前だ。鬼神にも勝てそうだ。」
チョ・ソンジュンはキル・サンムンに言いました。
「知らんのか?我々は皆武術を学んでいる。武術もできずにどうして高価な荷を運べようか。」
キル・サンムンは言いました。

夜になりました。
「この宿にいるはずだが。」
キム・ハクチュンが現れました。
「主人はいるか?」
キム・ボヒョンは宿に向かって大声で言いました。。
「ここにいる!早く助けてくれ!」
裸にされ縛られているマンスは男に居場所を示しました。
チョ・ソンジュンとパングムも縛られていました。
「客主様。あの者たちは?」
部下の男が客主のキム・ハクチュンに言いました。
「早く縄を解いてくれ。山賊に襲われた。」
マンチは言いました。
「柵門を目指す密売人だな。山賊がどうして牛革を奪わずに立ち去れようか。」
キム・ハクチュンは縄を切りました。
「あなたは柵門での許可証を持ってるのか?」
チョ・ソンジュンはキム・ハクチュンに言いました。
「持ってたら?」
「利益の三割やる。」
「だめだだめだ。商いを知らんのか。まずは相手を潤し、次に自分が儲ける。それが商いの道理では?」
「先にあんたの懐を潤せと?よかろう。いくら欲しいのだ!」
「まずは名を名乗れ。」
「ソンパのチョ・ソンジュンだ」
「私は換銭客主のキム・ハクチュンだ。」
「あの江景のキム・ハクチュン?」
チョ・ソンジュンたちは驚きました。
「はははははは!私の名声は密売人にも届いておるのか?嬉しいぞ。私に利益の九割をくれ。」
キム・ハクチュンはさらに縄を切りました。
「何だと!人の弱みに付け込み利益を横取りする気か!」
マンチは怒鳴りました。
「おのれ!」
チョ・ソンジュンも怒りました。
「悪党はお前たち密売人だ。断るなら義州の役所に突き出してやる!」
キム・ハクチュンはチョ・ソンジュンを蹴りました。
「わかった。九割やる。」
「ははははは。お前たちは苦労ばかりして大魚を見逃し俺は楽して巨利を得る。世の中は勝った者がすべてを独占するのだ。はははははは!ふふふふふ!」

感想

客主1話の感想です。すごい!韓国ドラマにしては珍しく字幕の翻訳がしっかりしていました!すごく原作を大事にしてくださっている翻訳家なのか、韓国語との違いも僅かで素晴らしいです。このドラマは日本語吹き替え版もあるようです!

第一話。主人公のチョン・ボンサムはまだ小学六年生くらいの年ごろでとってもかわいいです。少年時代のチョン・ボンサムを演じているのはチョン・ヒョンドという子役の俳優です。ボンサムのお姉さんのチョン・ソレを演じているかわいいお嬢さんはソ・ジヒさんというそうです。ソ・ジヒは「太陽を抱く月」でソルの少女時代を演じています。

まだチャン・ヒョクは出演していません。

チョン・オスを演じているのは「朱蒙(チュモン)」で帯素(テソ)王子を演じていたキム・スンス。今回は善人の役で優しいお父さん役です。もう1話で登場が終わってしまうのかと心配しましたが、助かって何よりです。

チョン・オスは部下の行首を「ヒョンニィ(兄貴)」と呼んでいることからキル・サンムンとチェおじさんとは義兄弟の仲のようですね。キル・サンムンはボンサムのことを呼び捨てにしてましたから、弟分の子どもという感じで「お坊ちゃま」と呼ぶような身分差はないようです。

さっそく1話から悪党が出てきましたね。まずはキム・ハクチュンという金貸しとキム・ボヒョンという開城(ケソン)の留守という令監(ヨンガム)。そして密売人のチョ・ソンジュンですね。彼らがチョン・オスの商団を陥れる予定になるのでしょうか。

今回の1話はとてもストーリーが詰まっててシナリオが2話分くらいありました。濃すぎる内容でした。私はあのキム・ハクチュンを演じていた俳優さんは見た目も声も演技も生理的に苦手で好きではないのですが・・・あの感じがドラマに悪役として苦痛をもたらしてくれるのでしょう(笑)

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