韓国ドラマ客主-ケクチュ-商売の神10話のあらすじと感想
目次
あらすじ
夜の山。
「や〜。飯を炊く香が香ばしいな。」
逃亡中のソン・マンチはパングムを伴い野営しているキル・ソゲのところに現れました。
「・・・・・・。」
キル・ソゲは十八年前に自分に荒々しく暴力を振るったソン・マンチを思い出しました。
「飯を、俺にもくれ。」
ソン・マンチはキル・ソゲとケトンの間に割り込み腰掛けました。
「米が足りない。」
キル・ソゲはソン・マンチを嫌がりました。
「足りるさ〜。お焦げをお粥にすればいい。」
何も知らないケトン(塩辛の行商人)は愛想よく言いました。
「そうだ。そうだとも。若造のくせに年上への礼儀がなってない。出会った者に飯を分け与えるのは行商人の基本だ。」
図々しくもソン・マンチは言いました。
「わかった。」
キル・ソゲは答えました。
「や〜。米二升分のカネだ。半月は食える。」
ソン・マンチはキル・ソゲに金を投げました。
「・・・・・・。」
キル・ソゲは気前が良すぎるソン・マンチを怪しみました。
「お米を準備してなかったの。これで許して。」
パングムは愛想をつき場を和ませようとしました。
「ええ。」
ケトンは気をよくしました。
「炊けたかな?」
ソン・マンチが勝手に鍋の蓋を開けました。
「まだだよ!」
キル・ソゲは言いました。
「や〜(おい)!俺の目は確かだ!馬鹿め。」
ソン・マンチはキル・ソゲに怒鳴りました。
「アイゴ〜。メシを一緒に食おう!」
五人ほどの行商人が闇の中から現れました。
「もうない。」
意地悪なソン・マンチは言いました。
「アイゴ。米は大丈夫だ(ある)から火だけ貸してくれ。人を捜してるんだ。」
行商人の男は疲れた体を休めようとしました。
「誰だ?言ってみろ。一体何をしでかした。ろくでもない奴なんだろ。」
ソン・マンチは偉そうに言いました。
パングムは不安そうに様子を伺いました。
趙家客主の近くにある酒場。
ボンサムはソリンの使用人に見られそうになるといきなり倒れて隠れました。
「あはは。あはははは。」
ソンドルはソリンの使用人の女に手を振りました。使用人の女はソンドルを睨むとそのまま通り過ぎて行きました。
「やいボンサム。」
「行ったか?」
「ボンサム。勇んで来たのに何してるんだ。」
「迷ってるんだ。すぐに会いに行くべきか。まずは歯をきれいにするべきか。」
「そりゃ悩むよな。」
「あはははは。そうだ。決めたぞ。鼻血を流すか、肘鉄砲を食らうかわからんが、当たって砕けろだ。」
「よ〜ボンサム。食事中すあないがお尋ね者を捜してる。」
顔見知りの行商人がボンサムに声を掛けました。
「?」
山の中。
「松坡馬房(ソンパマバン)客主チョ・ソンジュが訴えた。松坡馬房(ソンパマバン)は規律を破り逃走したソン・マンチを捜している。」
行商人の男は書状を読みました。
酒場。
「松坡馬房(ソンパマバン)が?」
ボンサムは飛び起きて行商人たちのもとに駆け寄りました。
山の中。
「どうした?」
行商人は言いました。
マンチとパングム、キル・ソゲの表情に緊張が走りました。
酒場。
「おう。見るか?知り合いか?ソンとかいう番頭の奴が主人の女房と浮気して逃げたんだ。しかも逃げただけじゃない。奴は馬房(マバン)の権利書まで盗んだんだ。」
行商人は手配書をボンサムに渡しました。
「だめ・・・だめだ!」
ボンサムは叫びました。
山中。
キル・ソゲは白い目でソン・マンチを見ました。
「た・・・食べましょ。まずは食べなきゃ。」
パングムはその場を取り持とうとしました。
「そうだな。食おう。貝の塩辛が実にうまそうだ。」
ソン・マンチも言いました。
「ソン・マンチは殺されて当然の重罪人だ。あんたたちも是非捜してくれ。」
行商人たちはマンチたちの背後にいるためソン・マンチの顔は見えませんでした。
「何だと?殺されて当然だと?」
ソン・マンチは怒りました。
パングムは首を横に振りました。
キル・ソゲは二人の様子を伺いました。
「・・・いや。つまり痛めつけて殺すべきだと。」
ソン・マンチは言いなおしました。
「松坡馬房(ソンパマバン)なら数万両で売れるな。」
キル・ソゲはチクリと言いました。
「たった数万両だと?松坡馬房(ソンパマバン)は二十万両の価値が・・・。」
マンチは怒鳴るとパングムはマンチの足を踏みました。
「早めに山を降りたほうがいい。」
察しがよいケトンはマンチに言いました。
「そうだな。」
マンチとパングム、行商人たちは一斉に立ち上がり支度をはじめました。
キル・ソゲは目を輝かせました。
真っ暗な街道。
「ボンサム!女はどうするんだ。ここまで追いかけてきたんだぞ。」
ソンドルは急いでいるボンサムに言いました。
「それどころじゃない。すべてを失うかどうかの瀬戸際だ。」
ボンサムは言いました。
「安心しろ。松坡馬房(ソンパマバン)を誰が買うと思う?主人の仕返しが怖くて誰も買うまい。」
「そうだな。ソンドル。また会おう。」
「妙だな。会って七日なのに情がうつっちまった。」
「何言ってる。じゃあな。」
「ボンサム。友の証を!」
「よし!連絡をくれよな。じゃあな。」
ボンサムは答えると上着を脱いで交換し、ソンドルと抱き合いました(サッカーの試合後みたいに)。
「ボンサム!元気でな!」
「おう!」
ボンサムとソンドルは別れました。
宿屋。
キル・ソゲはケトンとマンチとパングムと同じ部屋で寝ていました。
キル・ソゲは眠っているソン・マンチの懐を探り手形を盗みました。目覚めたマンチはキル・ソゲともみ合いになりました。ケトンも目を覚ますと横になったまま様子を伺っていました。
「返せ!なぜ俺がソンだと分かった?」
二人はもみ合いながら外に出ました。
「怪しい態度を見れば誰でもわかる。」
「お〜勘が鋭いな。だが手形は俺の物だ。」
マンチは手形に手を伸ばしました。
「江景(カンギョン)客主キム・ハクチュン?アイゴ。たったの二万両とは。」
「返してくれ。」
「半分くれ。」
「え?」
「松坡馬房(ソンパマバン)を売ったカネだ。一人じゃ使い切れないだろ。俺が大声出して人を呼んでもいいんだぞ。あんたはともかく客主の奥さんまで・・・。」
「何だと?人でなし目。お前みたいな奴は殺してやる!」
マンチはキル・ソゲを投げました。
「クソッ。」
キル・ソゲはソン・マンチに襲い掛かりました。
マンチはキル・ソゲの懐から手形を取り戻すと、キル・ソゲはマンチを両足で飛び蹴りしました。二人は地面に倒れました。
「うりゃ〜。捕まえたぞ。俺が首を引っこ抜いてやる。」
ソン・マンチは大きな石をソゲに投げるとソゲの首に両手を掛けました。
「あっ。おい!手を離せ。よりによってお前は男の大事なあそこを・・・。」
ソン・マンチは前に垂れ下がっている物を掴まれて悶えました。
「だめだ・・・。」
キル・ソゲはソン・マンチのあそこを蹴りました。
「あ〜ん。あそこが潰れちまう!や〜っ。おい離せ。あそこを潰されたら結婚できなくなる。わかった。半分やるから離せ!あうっ。あ〜。ぜんぶやるから離してくれ。持っていけ。うあ〜。アボジ。アボジ。それをあげえるからアボジのお好きなようにお使いください!」
ソン・マンチはキル・ソゲに手形を盗まれました。
その様子をオ・ドゥッケは藪の中から監視していました。
「礼を言う。あうっ。」
キル・ソゲは手形を眺めていると後頭部に石が当たり気を失いました。
「兄貴か?兄貴なのですか?」
ソン・マンチはソゲから手形を奪うと逃げました。
日中の松坡馬房(ソンパマバン)。
「いつ支払ってくれるんだ。」
「麦と米を十五俵も納めたんだぞ?」
男たちが支払いを求めて騒いでいました。
「そう言われましても。」
チェ・ドリは催促に対応していました。
「じゃあ中に入って金目の物を頂こう。主人はいないしやむを得ない。」
男が言うと他の男たちも同意しました。
「旧知の仲だ。やめてくれよ。ボンサム。いい所に来た。檄文を見たんだろ?」
チェ・ドリのところにボンサムが現れました。
「なぜ騒いでいる。俺らの客主が潰れると思ってンのか。」
ボンサムは男たちに言いました。
「馬房(マバン)はいつ潰れてもおかしくない。」
「そうだ。主人はいないし支払いも滞っている。」
男たちはボンサムに言いました。
「俺たちの松坡馬房(ソンパマバン)が今まで代金を踏み倒したことがあるか?世の中世知辛いとはいえ、あんまりじゃないか!すぐに解決する。文句を言うなら旦那様と相談し、取引先を変えるぞ。」
「え?」
男たちは動揺しました。
「ならばボン先生を信じてるから解決してくれ。松坡馬房(ソンパマバン)は得意先だ。潰れてもらっては我らも困る。」
男の一人は言いました。
「はははははは。ご安心を。絶対にそのようなことはありません。この馬房(マバン)は潰れない。お帰りを。」
チョン・ボンサムは皆を帰らせました。
「水をくれ。あ〜。新しいわらじをいくつか出してくれ。」
疲れたボンサムは縁台に腰掛けました。
「飯を食わずに出ていくのか?ダメだ。」
チェ・ドリはボンサムに水を与えるとそっぽを向きました。
「二人が殺し合いでもしたら大変だぞ。馬房(マバン)を守らねば。クソッ。」
「俺も行く!」
チェ・ドリはボンサムの後を追いかけました。
昼の宿屋。
ケトンは痛めつけられたキル・ソゲの背中に大量のお灸を据えていました。ケトンはソゲの背中に鍼を刺しました。
「一度手に入れたんだ。」
キル・ソゲが反応し寝言を言いだしました。
「ソゲや。気づいたのか?三日も眠ってたぞ。心配させるなよ!」
「この手で二万両を掴んだのに。あ〜。」
ソゲは拳を固めて悔しがりました。
「ちょっと待って。」
ケトンは鍼を抜きました。
「ケトン。俺は泥棒か?江景(カンギョン)で貝とエビ、小魚の塩辛をたくさん買い付け元山に持って行き、たらこに換える。足を棒にして売り歩いても一年の稼ぎは二十両だ。これでいつ六牟塵(ユギジョン)に入れるんだ。いつメンの奴に水をたらふく飲ませてシン・ソクチュの奴を追い落とせるというんだ。はあ。六牟塵(ユギジョン)に入るにはカネが要る。もう八年も肩にタコを作り重い荷を背負っている。六牟塵(ユギジョン)に入るのは儚い夢なのか。俺の目の前に松坡馬房(ソンパマバン)のソン・マンチが現れた。盗んじゃだめなのか?」
「盗みはよせ。この世は泥棒だらけでデカい盗みを働けば国王になり失敗したら逆賊になる。それは運命しだいだ。あんたにコソ泥みたいな盗みは似合わない。なれるさ。兄貴なら六牟塵(ユギジョン)の大行首(テヘンス)になれる。義州でも言ったろ。」
「俺が六牟塵(ユギジョン)の大行首(テヘンス)になったら辛家大客主(シンガテケクチュ)の主はお前にやる!」
「二人はまだ山にいる。」
「本当か?」
「ああ。遠くに逃げなきゃいけないのに、気の小さい奴ほど頭を隠すのに必死で尻を出しているものさ。」
ケトンが言うとキル・ソゲは服を手に持ち獲物を見つけたようなに目をぎらつかせて山に行きました。
夜の山。
チョン・ボンサムとチェ・ドリはチョ・ソンジュンとワンバルの野営地に合流しました。
「お前たち。何しに来た。」
チョ・ソンジュンは驚きました。
「この山にいるとボンサムが言うから、辺りをくまなく捜しました。」
チェ・ドリは言いました。
「そうか。そうか。」
ワンバルは暖かく二人を招きました。
「それで、マンチの行方はわかりましたか?」
ボンサムはソンジュンに尋ねました。
「マンチの行方よりお前がすべきことは馬房(マバン)を守ることだ!八十七人の働き手を守り牛の面倒を見ろ!」
チョ・ソンジュンはボンサムを指さし怒鳴りました。
「馬房(マバン)は今キム・ハクチュンに売られて失うかどうかの瀬戸際なんですよ。キム・ハクチュンが関わってるのに何もせずにいられますか?」
「こいつ!お前は馬房(マバン)の後継者だぞ!」
「誰が?誰が後継者だって?」
「お前(イノミ)。帰らぬか。」
ソンジュンは木の棒を握りました。
「おい。雉を持って行くな。俺たち腹が減ってるんだ。」
ワンバルは雉を手に持つボンサムに言いました。
「争うところを見せたくないんでしょうが今は馬房(マバン)を救うのが先です。雉をさばきますから串を用意してください。兄貴。行くぞ。」
ボンサムはソンジュンを連れ帰ろうと説得しチェ・ドリとともに林の中に消えました。ワンバルは安心したように息をつきました。
チョ・ソンジュンは心中をボンサムに見透かされて言い返す言葉がありませんでした。
ボンサムは小川のほとりに行くと、男が野営するために川で刃物を研いでいました。
「よかった。仲間がいるぞ。ちょっと小便してくる。」
チェ・ドリは男の背中を見て言うとボンサムと別れました。
「ちょっとお兄さん。お兄さん。すみませんが雉をさばくのに鎌を貸してください。」
ボンサムは男に声を掛けました。
ソン・マンチは聞き覚えのある声に手を止めました。
「これは雉をさばく鎌ではなく貴様の首を刈り取るための鎌だ!」
ソン・マンチは振り向きざまにボンサムに襲い掛かりました。
「お?」
チェ・ドリはマンチに背を向け小便をしていました。
ボンサムは鎌を避けました。
「ダメよマンチや〜!」
パングムは叫びました。
「ダメだ来るな!小便中だからこっちに来ないでくれ〜。」
チェ・ドリは小便を散らしながらパングムに言いました。
「俺をお尋ね者にしたのはお前だな?」
「その話は後にしてください。キム・ハクチュンの手形をください。」
ボンサムは地面に尻もちをつきながら片手でマンチを制しました。
「おのれ貴様!」
マンチは鎌を振り回しました。
「あ〜っ。」
ボンサムの腕に鎌がかすりました。
「あ〜っ。ボンサム!」
パングムは悲鳴を上げました。
「ボンサム。待ってろ。旦那様を呼んでくる!」
ドリは言いました。
「だめだだめだ!読んだらみんな死ぬ。兄貴だけじゃなく姉後も死ぬ!」
ボンサムはドリに言いました。
「テメエの心配が先だろ!うりゃ〜。あ〜っ!」
マンチはボンサムに襲い掛かりました。
「この分からずや!人が死なないと目が覚めないのか!」
ボンサムはマンチの腕を掴むと強い力を加えました。ソン・マンチは鎌を落としてしまいました。
「力比べで俺に勝てるとでも?」
ソン・マンチは力の限りを出しました
「だめだ呼んでくる!」
チェ・ドリは叫びました。
「あっ。」
ボンサムが土を投げるとマンチの目に入りました。
「どうしよう。どうしよう。どうしよう。」
ドリは右往左往しました。
「帰りが遅いな。まさか生のまま雉を食べているのだろうか。だとすれば・・・!!!」
ワンバルは心配になりボンサムのもとへ向かいました。
チョ・ソンジュンは厳しい表情で焚火を囲んでいました。
「こいつ!俺に乗りやがって。」
マンチはボンサムと殴り合っていました。
「松坡馬房(ソンパマバン)を地に落としたいのか?」
「何を言う。」
「世の中は地獄のようだというが、本当に地獄なのは破産した客主だ。俺の父さんが言っていた。」
「善人ぶったテメエの親父の話はやめろ。」
「米を納める者、餌を納める者、牛を預けた者たちが返済を迫ってる。客主の働き手たちは路頭に迷い、明日の食い物にも困る。まさに地獄だ。兄貴はどうして馬房(マバン)を地獄に落としたいのか!」
「俺が松坡馬房(ソンパマバン)にそんなことするわけないだろ!俺が地獄に陥れたいのは松坡馬房(ソンパマバン)ではなくチョ・ソンジュンだ!」
「マンチ。マンチだ。」
そこにワンバルが現れ小さな銅鑼を叩いてソンジュンに場所を知らせました。
チョ・ソンジュンは火を消すと慌てて音のする方向に急ぎました。
キル・ソゲも音を聞きつけて急ぎました。
「ダメだ!ダメだ!」
ボンサムはワンバルに音を出すのをやめさせようとしました。チェ・ドリも手伝いました。
「何の真似だ。」
マンチは言いました。
「早く山を降りてください。客主様に見つかる前に。」
「お前が俺の心配を?お前に言われたくない!」
「そうだ。あんたは俺の命の恩人だ。お堂で倒れていた俺を兄貴は助けてくれただろ?その恩をどうやって忘れようか。兄貴にどうやって知らないふりをできようか。手形を俺に渡して山を降りてください。早くしてください。」
「客主様〜ここです〜!」
ワンバルは叫びました。
チョ・ソンジュンが現れました。
ソン・マンチは鎌を拾いました。
「お前がこの私に刃向かうつもりか〜!皆を巻き添えにしてでも戦うつもりか?」
チョ・ソンジュンはブチ切れました。
ボンサムはマンチとソンジュンの間に立ちました。
「そうだ。一か八かだ。」
マンチは言いました。
「そうか。それでこそ天下無双の怪力、ソン・マンチだ〜!」
チョ・ソンジュンは刀を抜きました。
「よし。」
マンチはソンジュンをやる気で一杯でした。
「もういい。マンチや。終わったのよ。やめてマンチや。」
パングムはマンチの腕を掴みました。
「・・・・・・。」
マンチは黙りました。
ボンサムはマンチに鎌を下ろすように身振りで示しました。ソン・マンチは鎌を捨てました。パングムは涙を流しました。
ソン・マンチとパングムは縄で縛られワンバルが縄を引いて一行は山を降りました。
その様子をキル・ソゲは藪の中から見ていました。
深夜の納屋。
「ここに座らせろ。」
チョ・ソンジュンはワンバルに命じました。ワンバルは縛られたパングムを床に座らせました。
「パングムは行商人として京畿道に籍を置き、今も身分証を持っている。その身分証には何が書かれている?」
ソンジュンはパングムに言いました。
「マンチには、私しかいないの。あなたも松坡馬房(ソンパマバン)を捨てたら、あとは私しかいない・・・・・。」
「淫行を、淫行を働くなかれ。パングムは夫を捨てて他の男と情を通じた。その罪は重大だ。掟通りに、かかとを切り落とす。」
チョ・ソンジュンが言うとボンサムはパングムを心配しました。マンチは口を封じられながら興奮しました。
「足を、乗せるのだ。」
チョ・ソンジュンは道具と縄を用意しました。
「んーんー。」
マンチは叫びました。
「あ〜。あ〜。」
パングムは怯えました。
「許してくれ姉御。これも掟なんだ。」
ワンバルは申し訳なさそうに言うとパングムの足を掴みました。
「マンチや。」
パングムは愛しい男の名を呼びました。
「やめてくれ。俺が罰を受ける。俺の足なら切ってもいい。手もくれてやる。体の節々をぜんぶ切り落としてもいい。体中の肉を切り刻んでもいい。だが、パングミはダメだ。パングミはダメだ。」
マンチはさるぐつわを外すとソンジュンに言いました。
「ワンバル。肩を押さえろ。」
チョ・ソンジュンは命じました。
「やめてくれ!」
「客主様!」
チョン・ボンサムは処刑台に手を置きチョ・ソンジュンの腕を掴みました。
「人情に流されるのか。止めるつもりならここに来るな!」
興奮したソンジュンはボンサムに怒鳴りました。
「押さえろ。」
「姉御。口にくわえてください。」
ワンバルはパングムに木の棒を咥えるように促しました。
「マンチや!マンチや!マンチや!」
パングムは泣き叫びました。
「パングム!ダメだ。ダメだ。兄貴。俺が悪かった。このソン・マンチが心から反省している。やめてくれ。パングムを許してください。」
マンチは泣きました。
チョ・ソンジュンは道具に足で力を加えました。
キル・ソゲは納屋の外で怯えながら様子を盗み見していました。
パングムは気を失いました。
ワンバルは布でパングムの足を包みました。
「そうか。そうかい!今のチョ・ソンジュンは実に立派だ。いいぞ。やってくれ。俺の首を、切り落とせ!どうした。俺を!殺してくれーーーーー!」
マンチは叫びました。
ソン・マンチは首をうなだれました。
「ソン・マンチ。お前は松坡馬房の行首の掟を二つも破った!松坡馬房を権利書を盗んだ勿盗賊(ムルトジョク)!」
「客主様!」
ボンサムはチョ・ソンジュンとマンチ間に立ちました。
「気を失ってます。見るに堪えません。この辺りで、怒りを収めてくださいーーー!女房を盗まれた腹いせなど!みっともないですよ!いっそ、ひと思いに殺すべきです。それとも、そのまま殺しては物足りませんか?怒りが、収まりませんか?」
ボンサムは言いました。
チョ・ソンジュンはボンサムの頬を叩きました。
「奥様の足は誰が支えますか?マンチ兄貴がいなければ、今年の冬を、どうやって越せましょうか!」
「妻らから子だから弟だからと目をつぶり!わたしの家族が犯した罪を伏せて隠している!そして上に立つ者がそうして私心にとらわれ、情けをかけては・・・。」
「いいじゃないですか〜!人情はいけませんか?大事なのは原則ではなく、人情です。荷人情!」
「ボンサム!お前の父にとって、キル行首はどんな存在だった?千家客主(チョンガケクチュ)のキル行首が大事だったように私ちとってソン・マンチが大切だ。違うか?何があろうと、信用を守らねばならぬ!信用!信用だ!信用はどこから来ると思う!原則を守ることだ!私は冷たい男か?血も、涙もない男か?私の心も、それほど、強くはないのだ!や〜!」
チョ・ソンジュンは切株に手を置くと、刀を振り下ろしました。
チェ・ドリは悲鳴を上げました。
「客主様!客主様!」
ボンサムはソンジュンに駆け寄りましたがソンジュンはボンサムを払いのけました。
「あ・・・・あ・・・・。私が身内を罰するのは・・・自分の手足を切るよりつらく、困難なのだ。」
チョ・ソンジュンは苦しそうに言いました。
「客主様。そこまでして客主でいる必要がありますか?」
ボンサムは唸り声を上げました
「牛皮の密売の、罪滅ぼしなのだ。それが、私が見つけた答えなのだ。ボンサムお前の答えは、自分で見つけろ。ああ・・・・。」
チョ・ソンジュンはうずくまると痛みをこらえました。
「・・・・・・。」
ボンサムは納屋から出て行き外に出ました。
ボンサムは父のチョン・ウスがキル・サンムンに自害を命じた時の父の心情を思いました。
「はははははは。父さん。つらかったろうな。本当に。つらかっただろ。」
ボンサムは悲しそうに笑いました。
ワンバルはマンチの顔に水を浴びせました。
「ソン・マンチ。お前は松坡馬房(ソンパマバン)の行首の掟を二つも破った。馬房(マバン)の権利書を盗んだ勿盗賊(ムルトジョク)。客主の妻と情を通じた勿淫乱(ムルウムナン)。」
チョ・ソンジュンは切株に刺さった刀を抜きました。
「もういい!耳障りだ。ごたくを並べずに早く・・・首を切ってくれ兄貴。」
マンチはソンジュンに言いました。
「下履きを脱がせろ。」
「え?」
ワンバルは首をかしげました。
「下履きを脱がせろと言った。」
「何をする気だ。ひと思いに、殺してください。」
マンチは震えあがりました。
「早くしろ!」
「ええ。ええ・・・。」
ワンバルは戸惑いながらも命令に従いマンチの腰に手を掛け紐をほどいて履き物を下ろしました。
「わかった。好きにしろ。だが、兄貴のために、一言言っておく。よく聞け。今この場で、殺したほうが、身のためだ。さもなくば、俺が、兄貴に、復讐する。兄貴を、必ず、殺してやる!」
「そうか。そうしろ。」
「罰を受けてやる。」
マンチは顔を真っ赤にして震えながら涙を流しました
「や〜!」
チョ・ソンジュンはマンチの前に座るとあそこを切り落としました。
「チョーソンジューン!」
マンチは叫びました。
ワンバルとチェ・ドリはつらそうに顔をそむけました。
裁きを終えたチョ・ソンジュンとワンバルとチェ・ドリは納屋の外に出てきました。
「行くぞ。江景(カンギョン)へ。」
チョ・ソンジュンはチョン・ボンサムに言いました。
チョン・ボンサムは建物の中のマンチに向かって頭を下げました。
キル・ソゲは一部始終を固唾を飲んで静観していました。
感想
客主10話の感想です。チョ・ソンジュンが身内を処刑するという、何ともお下品な話でした。やはり韓国というか朝鮮の伝統なんでしょうか?そっち系の下ネタを堂々と放送するとは。商人の掟?そんなものが本当にあるのでしょうか?きっと作り話に違いない。でも過激な考え方というのは本当なんだろうと思います。韓ドラでは親分(兄貴)子分(弟分)という上下関係が頻繁に登場しますよね。友達なんじゃなくて親分と子分。それに対する裏切りは何をやってもいいみたいな考え方は実際にあるのではないか?と思います。想像ですけどね。あんなことをして当時の生活の中でそう簡単に止血できるのかどうかというと、そのままにしておくとさすがに生きていられないし感染があると思うので、さすがに今回の演出はやりすぎですね。山小屋の持ち主がかわいそうです!
ボンサムはソンジュンが父に感銘を受けて父のごとく生きようとしていたことを初めて知ります。ソンジュンは父チョン・ウスと同じ覚悟で妻と舎弟を裁きました。しかしソン・マンチは反省するどころかチョ・ソンジュンに殺意を抱く結果となってしまいました。そもそも理解する頭があれば、マンチは主人を裏切ったりするはずがありませんけどね。ソンジュは妻を捨ててしまい・・・その辺の風習はよくわかりませんが、掟を破ったら追放ということになるでしょうか。自分の手か指を斬り落としたチョ・ソンジュンの気持ちをソン・マンチは理解していないようです。現実にチョ・ソンジュンみたいに自分を断罪する人はほぼいないと思いますけどね・・・。あの風習ってまさに日本の8〇3映画と似てますよね。
キム・ハクチュンの手形はチョ・ソンジュンが手に入れ、チョ・ソンジュンはそれを持ってキム・ハクチュンに会いに行き店の権利を取り戻すかどうかが次話の見どころかもしれませんね。
続きが楽しみ・・・じゃないけど、見てみようと思います。
ボンサムはソンジュンが父に感銘を受けて父のごとく生きようとしていたことを初めて知ります。ソンジュンは父チョン・ウスと同じ覚悟で妻と舎弟を裁きました。しかしソン・マンチは反省するどころかチョ・ソンジュンに殺意を抱く結果となってしまいました。そもそも理解する頭があれば、マンチは主人を裏切ったりするはずがありませんけどね。ソンジュは妻を捨ててしまい・・・その辺の風習はよくわかりませんが、掟を破ったら追放ということになるでしょうか。自分の手か指を斬り落としたチョ・ソンジュンの気持ちをソン・マンチは理解していないようです。現実にチョ・ソンジュンみたいに自分を断罪する人はほぼいないと思いますけどね・・・。あの風習ってまさに日本の8〇3映画と似てますよね。
キム・ハクチュンの手形はチョ・ソンジュンが手に入れ、チョ・ソンジュンはそれを持ってキム・ハクチュンに会いに行き店の権利を取り戻すかどうかが次話の見どころかもしれませんね。
続きが楽しみ・・・じゃないけど、見てみようと思います。
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