王と妃-180話-あらすじネタバレ感想
Title:王と妃 Episode Title:吹き荒れる嵐 Episode no.180 Season:1 Year: 1998-2000 キャスト: チェ・シラ 監督:キム・ジョンソン レーティング4(5段階中)
王と妃180話あらすじと感想 吹き荒れる嵐
夜の宮殿。
燕山君は廃妃尹氏の母シン氏夫人に初めて会いました。シン氏夫人は燕山君は廃妃尹氏によく似ている、生き写しだと泣きました。イム・サホンもユン氏によく似た殿下を見て涙をこらえていたと言いました。燕山君は実母の死に様をシン氏夫人に尋ねました。
「どうか教えてくださいお祖母様・・・・。」
「とても答えられません・・・。」
燕山君とシン氏夫人は一緒に泣きました。
チョン貴人とオム貴人は廃妃の母がデタラメを並べるに違いないので何とか助けてほしいと頼みました。
仁粋大王大妃は廃妃の悪行を一つ残らず言ってやると憎しみを募らせました。
王の部屋。
「府夫人様。そろそろあの日のことをお話ください。」
イム・サホンは王は知るべきなのでつらい気持ちはあっても話してほしいと促しました。
「お話いたします。話しますとも。」
「早く話してくださいお祖母様。」
「媽媽は朝早く起き沐浴で身を清められました。王様のおられる宮殿に向け拝礼を捧げた後に世子殿下のご無事を祈っておられたのです。媽媽は前夜によい夢を見たからと私の手を握りたいへん喜んでおられました。お母様。宮殿から吉報が来るかもしれません。上監媽媽(サンガンマーマー)が宮殿に呼び戻してくださる気がします。再び息子に会うことができます。媽媽の夢のとおりにあの日、王宮から使いが来ました。媽媽はたいそうお喜びになりきれいにお化粧をして庭に筵を敷き上監媽媽(サンガンマーマー)の王命を賜ったのでございます。上監媽媽(サンガンマーマー)のご命令は中殿媽媽が待ち焦がれていた宮殿に呼び戻すものではなく・・・媽媽に・・・毒を下すという・・・・・・。ですが媽媽は王様を恨みませんでした。もし王命に従わなければ息子の身が危うくなるからと何の躊躇もなく毒薬を飲まれました・・・。」
シン氏夫人は箱から血染めの服を取り出しました。
「これは何ですか?」
「媽媽の血でございます。媽媽の母上が流された血の涙でございます。」
「府夫人様が二十二年間大切になさっていた中殿媽媽の血痕なのです。」
イム・サホンは付け加えました。
「王妃様は真っ赤な血を吐きながらこのお着物で口を拭われたのでございます。そしてこうおっしゃいました。お母様。私を健元陵(コノンヌン、太祖の墓)に行く道に埋めてください。そうすれば太祖のお墓参りに行く上監媽媽(サンガンマーマー)と息子を草葉の陰から見られますと。」
「母上が流された血なのですね・・・。チャウォナー。チャウォンはおらぬか。これが私の母上の流した血だそうだ。これを見てみよ。」
「媽媽は息を引き取る前にこうおっしゃいました。王子が無事に成長して王になったらこの着物を見せてくださいと・・・。」
「もうやめてください。それ以上おっしゃらなくてもその日の光景が目に浮かびます。母上が私の前で血を吐きながら倒れておられるかのようです。」
燕山君は母の衣を持ち立ち上がりました。
「お祖母様もこれを見るべきだ!」
燕山君は部屋を出、シン・スグンに母の衣を見せました。
「領議政をはじめすべての役人を参内させよ。今夜中にきっと母上の汚名をそそいでみせる。お祖母様にも母上の血をお見せしなければ。なぜ母上を殺したのか本当の理由を聞かせてもらいます!」
「親不孝ではありませんか殿下ー!」
シン・スグンは両手を広げて叫びましたが燕山君は行ってしまいました。
仁粋大王大妃の部屋。
女命婦(ネミョンブ)の夫人たちが集まる中、燕山君は部屋に入ろうとして内官たちにせき止められていました。
「殿下ぁ。私を殺してからにしてください。」
仁粋大王大妃の配下の女官と内官は壁を作って守っていました。
イム尚宮は燕山君に部屋に入るように言いました。
「どうぞお入りください殿下。」
燕山君と仁粋大王大妃はふたりきりになりました。
「よく来てくれました主上。おすわりください。お話があって訪ねてこられたのでしょう。違いますか主上。とにかく座ってください。それは何ですか?」
仁粋大王大妃は燕山君に言いました。
「ひとつだけお尋ねします。なにゆえお祖母様は私の母上を憎んだのですか。答えてください。」
「新しい中殿を迎えるためにはお触れを出し良家の娘の中から中殿を選びます。主上の曾祖母である貞熹王后(チョンヒワンフユン氏)はお触れを出すべきだと主張なさいました。ですが私は義母さまの意見に反対し側室の中から新しい中殿を選ぶように成宗にすすめました。淑儀ユン氏を中殿に薦めたのはこの私です。私が主上の生母を中殿に選んだのです主上。過去のことを今更蒸し返したくはありません。しかし主上は誤解なさらないでください。私は初めから中殿を憎んだわけではありません。私が選んだ王妃です。良家の娘たちを差し置いてこの手で中殿に据えたのです。お分かりになりますか主上。」
「しかしなぜ私の母上を廃位するだけでなく大妃様は死に追いやったのですか。」
「過ぎた事です。」
「明らかにします。罪人の子が君主の座にいるのです。」
「ですからこのまま伏せておくのです。主上が明らかにしてどうなるのですか。宮中に巫女を呼び側室たちに嫉妬し毒殺しようとしたのは一度や二度ではない。成宗のお顔を傷つけた。それでも私は廃妃に反対しました。成宗を説得し謹慎令を下し事を収拾しようとしたのです。廃妃は反省するどころか成宗の絵を壁に貼り巫女に呪いをかけさせていたのです。中殿の器ではありませんでした。私の見立て違いだったのです。私に罪があるとすればそれだけです。廃妃の卑しさを見破ることができず深い悔いを残すことになりました。もう一つ悔やまれることがあります。それは何だと思いますか主上。母親を廃したときにその息子も廃さなかったことがつくづく悔やまれてなりません。」
燕山君は立ち上がりました。チョン貴人とオム貴人は壁の裏で話を聞いていました。
「どうしたのですか主上。廃妃の血がついた布をどうするつもりですか主上。覚えておいてください主上。その血痕のように主上には廃妃の息子という烙印が押されています。烙印を消したければ廃妃の血からお消しください。」
「私が知らぬとでも思いますか。晋城を王にしたいのでしょう。母上を憎んだように私も憎んでおられる。」
「ご存知でしたか主上。はっ。どうなさいますか主上。私をどうするか尋ねているのです!」
仁粋大王大妃は意地悪く燕山君に怒鳴りました。
「徹底的に究明します。どんな災いがこの身に降りかかろうと母上の無念を晴らしてみせます。」
「はっはっはっは。」
「はっはっはっは。見ていてください。この世のすべての川は私の復讐の血で染まるでしょう。私の母上を殺したやつらをひとりのこらず全員見つけ出します。皆、殺してやります!」
燕山君は奥の扉を開けました。
「母上を陥れたのはお前たちだな。母上を陥れたその舌を抜き徹底的に調べてやろう。!」
燕山君はチョン貴人とオム貴人を引きずり出しました。
「報いなのよ・・・あの時廃していれば・・・・。」
仁粋大王大妃は悔しくて泣きました。
興福寺(フンボクサ)。
月山大君夫人は仏の前にいました。
「宮殿に煌々と明かりがついているので何かあったのかと。お姉さま。宮殿に行くのです。万一大王大妃様似何かあれば・・・。」
弟のパク・ウォンジョンは言いました。
「因果応報なのです・・・。あの方がご自身で解決すべきだわ。」
月山大君夫人朴氏は仏に祈りました。
王宮。
重臣らが集められ燕山君は焼きごてを手に取りました。ユ・ジャグァンは痛快そうにしました。チョン貴人とオム貴人の脚が焼かれ内官たちは顔をそむけました。
「もう気を失うとは。私の母上は毒薬を全部飲み干した後に遺言を残す余裕があったそうだ。」
燕山君は夫人に水をかけました。
「因果応報という言葉がある。母上を中傷し殺した報いを受けるがよい。誰だ。誰の指示で母上を陥れた。」
「殺しなさい。」
「名前を言えば殺しはしない。父上の寵愛を受けた人だからな。誰の差金で母上を追い詰めたか言え。」
「ネイノン。イノミの言うとおり私たちよ王に寵愛された側室よ。お前を産んではおらぬが父親の側室ということはお前の母も同然だ。王座にいても王とはいえぬ。お前の母は卑しい女だった。運良く中殿になれたのに立場をわきまえずのさばるから毒薬を飲まされたのよ。」
チョン貴人は王に向かって貴様と言いました。
「黙らぬか。へらず口を叩きおって!ふんっ!」
「あ~っ。」
燕山君はチョン貴人の頬を拷問道具で引っ掻きました。
「お前をどうしてくれようか。母上を侮辱するとは。お前をどれだけ殺しても母上の恨みは晴れぬだろう。まだ懲りぬのか。」
「廃妃を殺したときお前を生かしておいたことが悔やまれる・・・。」
「しぶといやつだ。」
燕山君は次にオム貴人の前に立ちました。
「私は悪くありません。助けてください。」
「私の母上を殺せと命じたのは誰だ。まだ大王大妃が怖いのか。一言でよいのだ。私の母上を殺し毒薬を下して殺したのは大王大妃と言えばよいのだ。」
燕山君はモーニングスターでオム貴人を殴りました。
遠くから見ていた重臣は廃妃を復位すべきだと口走りました。
ユン・ピルサンはシン・スグンにどこまで王は追及ならる気かと気をもみました。
「このままでは皆殺されてしまう。」
「殿下。そろそろあの二人の極刑を。牛をつぶすときも一気に殺すものです。肉が裂ける匂いがします。今日はもう休まれて明日にすれば・・・。」
イム・サホンは王に言いました。
「チャウォンや。準備はできたか。余計な心配などせずに見ておれ。」
燕山君が言うとチョン貴人とオム貴人の頭に布がかぶせられました。
「安陽君(アニャングン)と鳳凰君(ポワングン)を連れて来い。あの女の息子ではないか。」
燕山君の前に側室の息子が連れて来られました。
「この者たちは謀反を起こしたのだ。そなたたちが殺せ。叩き殺せ。お祖母様にいただいた恩をいますぐ返すのだ。」
燕山君は安陽君(アニャングン)と鳳凰君(ポワングン)に木の棒で叩かせました。
「その女が息絶えるまで叩け。つったってないで安陽君(アニャングン)も早く殴らぬか。」
安陽君(アニャングン)は動かなくなった母を見て泣きました。
実録によると、夜だったので鳳凰君(ポワングン)は母に気づかず殴りました。安陽君(アニャングン)はは母親に気づき棍棒を振らずに泣き崩れたのでした。
「ご苦労だった。そなたたちに酒を振る舞ってやる。付いてきなさい。」
燕山君は安陽君(アニャングン)と鳳凰君(ポワングン)を大王大妃殿に連れて行きました。
キム・チョソンは夜が更けたと大王大妃の体調がすぐれないので挨拶は朝に来るように諫言しました。
「この者たちを放り出せ。」
燕山君は兵士にキム・チョソンら内官と女官らを排除しました。大王大妃を尚宮たちが守っていました。燕山君は大王大妃の前に安陽君(アニャングン)と鳳凰君(ポワングン)を座らせました。
「お祖母様、お助けください。」
「泣き声を出すとは情けない。今は泣く時ではないでしょう。」
仁粋大王大妃は安陽君(アニャングン)と鳳凰君(ポワングン)に言いました。
燕山君は孫の出す酒で長生きしてくださいと安陽君(アニャングン)と鳳凰君(ポワングン)の頭を押しました。
「お祖母様。」
側室の息子は震える手で酒を差し出しました。
「愚か者。こんな狼藉を働くなんて。君主として先祖様に顔向けできるのかネイノーン。」
「もちろんできません。私は罪人の子ですからね。いいえこれは私の母上の流した血です。どうぞお召し上がりになってください。」
「私達を先に殺してください媽媽。」
尚宮たちは泣きました。
「尚宮ごときが泣き声をあげるとは。私の母上のためにも涙は流したか?母上が亡くなるときは何もしなかったお前らが誰のために泣いている。」
燕山君は剣を抜きました。
「私から殺せ!私から殺すがよい!」
仁粋大王大妃は尚宮らをかばいました。
実録には燕山君が剣を持って大王大妃殿に行き仁粋大妃(インステビ)を突き飛ばしたと書かれています。野史には燕山君が仁粋大妃(インステビ)を蹴り飛ばし頭突きしたと記されています。いずれにせよ人道を逸した所業といえました。
燕山君は尋問場に戻りまだ息のあるオム貴人を斬りました。
「母上。あの世で見ていてください。母上を陥れたその女を殺しカラスの餌にしてやります!」
燕山君は刀を振り下ろしました。
「あの者には卑しい血が流れているのよ。うっ・・・。」
仁粋大妃(インステビ)は倒れました。
感想
妙にリアルでした。怖~い王室ですね。こんな密室で生きるくらいならまだ両班でいたほうが幸せですね。息子に母を殺させるとは、なんと恐ろしいのでしょう。燕山君はよほど恨みが強かったか、残酷になるほどの虐げがあったのでしょうか。知りたくもない話ですね。しかし無残に殺されていった人たちは別に燕山君の世だけではないので、燕山君だけがとりわけ残酷だったというわけでもなさそうです。仁粋大妃(インステビ)や側室たちもかなりのいじわるで、チェ・シラもそのように意識して演じているようです。いや~な展開ですが、最終回はもうちょっとマシにしていただきたいですねぇ。