王と妃-177話-あらすじネタバレ感想
王と妃177話あらすじと感想 燕山君の執念
燕山君の妾となったチャン・ノクスは淑媛(スゴン)の地位を与えられました。従四品にチャン・ノクスを据えたのは型破りなことでした。
「たかが淑媛(スゴン)だと?どうせなら殿下は嬪(ピン)にしてくれればよかったのに。」
チャン・ノクスは尚宮に言いました。
燕山君はこの話を聞いて喜びました。燕山君は王妃に淑媛(スゴン)の挨拶を受けるように言いました。王妃は困り果てました。
仁粋大王大妃の部屋には大妃ユン氏をはじめとした女命婦の夫人たちが集まっていました。チャン・ノクスは王室の夫人たちに挨拶に訪れました。
「王様より会うことが難しいという話は本当だったのね。」
チャン・ノクスは内官に言いました。
オム貴人はチャン・ノクスを帰らせよと言いましたが、仁粋大王大妃は部屋にチャン・ノクスを入れました。
「私の孫の嫁ではないの。くっくっく。」
「孫の嫁が妓生とは実に滑稽ではありませんか。はっはっはっは。はっはっはっは。」
燕山君はシン・スグンに言いました。
大王大妃の部屋。
チャン・ノクスは仁粋大王大妃に拝礼しました。チョン貴人とオム貴人は挨拶の仕方が違うと意地悪そうに笑いました。
「妓房ではどう挨拶するの?」
オム貴人はチャン・ノクスに言いました。
「思い切り舞った後に挨拶します。」
「踊りは上手なの?」
仁粋大王大妃は言いました。
「ええ。ご覧に入れましょうか?」
「後で見るわ。」
チャン・ノクスは退室しました。
「どうやらこの祖母をからかっているらしい。」
王の部屋。
チャン・ノクスは出来事を燕山君に話しました。
大王大妃の部屋。
「世間の噂ほど怖いものはない。火のないところに煙は立たぬものよ。叔母が甥と貫通したなんてとんでもない。私なら自決するわ。」
仁粋大王大妃が言うと月山大君夫人パク氏は泣きました。
宮殿の庭。
「ジャウォンや。あの辺りに東屋を建てよう。芸妓を呼び酒宴を開けば賑やかでお祖母様も寂しさが紛れるだろう。そうだろジャウォナ?きっとお祖母様も楽しさで踊り出すはず。」
燕山君は大王大妃殿の近くに東屋の建築を決めました。
燕山君は宮中に妓生を呼びチャン・ノクスを踊らせ自分も踊りました。
小さな穴から漏れ始めた水はやがて長大な堤をも突き崩します。戌午士禍(ムオサファ)を機に王権の威力に目覚めた燕山君は廃妃の嫡男という呪縛から逃れるために仁粋大王大妃の権力に目に見えぬ穴を開け徐々に水を漏らし始めました。
夜の王宮。
強風が吹き内官は帽子を落としました。
「聞こえるか。天地に泣き声がこだましている。あれは風の音ではない。耳を澄まして聞いている私の母上の泣き声ではないか。いまだに廃妃から復位してもらえず悔し泣きがっている私の母上の声だ。待っていてください母上。もうすぐ廃妃という汚名をそそぎ中殿に復位して差し上げます。」
燕山君は尚膳キム・チョソンに言いました。
大王大妃の部屋。
ハン・チヒョンは仁粋大王大妃に廃妃を復位させても問題ないのではと言いました。
「廃妃を復位すれば・・・。」
「ならぬといったであろう!」
「媽媽。これは朝鮮重臣(チョチョンチョンシン、たぶん・・・そういう意味かと)の総意です。」
「廃妃を復位させれば当然母親の復讐に乗り出すはずだ。だから主上を罪人の子のままにしておくのです。」
「二人で背負っていきましょう。廃妃という重荷を主上とこの祖母の二人であの世まで背負っていきいましょう・・・。」
夜更けのシン・スンソンの家。
シン・スグンは領議政ハン・チヒョンが訪ねてきたと言いました。ハン・チヒョンは仁粋大王大妃が廃妃の復位を拒絶したと言いました。
「居昌府院君大監(シン・スンソンの尊称)。長生きなさってください。大監しかこの嵐を鎮められる方はおりません。」
「大王大妃様も頑固なお方ですね。廃妃は殿下の母上ではないか。生母が罪人の烙印を押されていたら殿下の体面はおろか君主の威厳も立たぬではないか。領相(ヨンサン、領議政)大監。大王大妃媽媽を説得してください。廃妃を復位すればわだかまりが消えます。殿下が恨みを抱き続ければ宮殿に嵐どころか血の涙が降ります。皆無事ではいられぬはず。経験豊かな大王大妃になぜそれがわからぬのでしょう。わかりました。私が何とかしてみます。」
日中の宮殿。
シン・スンソン(慎承善)は燕山君を説得しに行くと燕山君は酒を飲み音楽を愉しみチャン・ノクスと妓生や男の踊り子と一緒に踊っていました。
シン・スンソンは燕山君と会うのはやめ仁粋大妃に会いました。
「私は再来年七十歳を迎えるのですよ。ほっほっほ。」
「媽媽。今日私が参りましたのは・・・。」
「まずはお茶を飲みましょう。」
「媽媽。私は長生きできそうにありません。」
「実は私も府院君が訪ねてきそうで待っていました。シン・スグン殿に年頃の娘がいるとか。府院君の孫娘のことです。ほっほっほ。以心伝心というけど府院君も見当がついたようね。晋城大君(チンソンテグン)も大きくなりました。私が死ぬ前に妻を娶りたいと。どうですか。孫娘を晋城大君(チンソンテグン)にいただけませんか。了承してくださったと思うことにしますわ。ほっほっほっほ。ほっほっほっほ。」
仁粋大妃は力が入らず震える手で茶を差し出しました。
シン・スグンは大妃と一緒に部屋にいる晋城大君(チンソンテグン)をちらりと見て震えました。
シン・スグンが帰ると仁粋大王大妃は晋城大君(チンソンテグン)と大妃に府院君なら晋城大君(チンソンテグン)を守ってくれると言いました。
燕山君は義父のシン・スンソンに言いました。
「よかったですね。娘婿は王で孫の婿は王の弟。何があっても安泰ですね。」
「おそれながら殿下・・・私は安泰など・・・。」
「婿の私が廃位されても孫の婿が即位する。どう転んでも損はありません。義父上は運のよい方ですね。はっはっはっは。はっはっはっは。」
晋城大君(チンソンテグン)はシン・スグン(慎承勤)の娘(廃妃慎氏)を妃に迎えました。燕山君の側近であるシン・スンソンとその息子らに晋城大君(チンソンテグン)を守らせるのが仁粋大王大妃の狙いでした。その狙いに気づかぬ者は誰もいませんでした。
便殿(宣政殿(ソンジョンジョン))。
「私は承政院日誌にこう書かれていたのを読んだ。父上の側室たちが中殿(チュンジョン)を陥れついに廃妃にしたと。私の見間違いか?側室たちが中殿を中傷し廃妃に追い込んだと決死の覚悟で不当だと諫言するのが正しいか?それとも己の保身のために従うのが正しいか?私はそれが疑問なのだ。どちらが正しいと思うのか地位に関係なく言いなさい。承政院は意見をまとめて報告し弘文館(ホンムンガン)の校理(キョリ)は文書にして提出せよ。」
燕山君は重臣に命じました。
王の部屋。
「はっはっはっは。さすが武霊君(ムリョングン)ユ・ジャグァンだな。どうして思いつかなかったのだろう。都の時のことを再び議論させれば誰が忠臣で誰が逆臣か一目瞭然ではないか。」
燕山君はユ・ジャグァンに言いました。
大王大妃の部屋。
チョン貴人とオム貴人は仁粋大王大妃に命乞いをしました。
「このままでは私たちは殺されてしまいます。」
「到底許せぬ・・・。」
重臣の会議室。
領議政、左右議政、右賛成とユン・ピルサンの五人の政丞らが集まりました。
ユン・ピルサンは燕山君は廃妃の復位が狙いだと言いました。右賛成シン・スグンは口をつぐむしかないというとユン・ピルサンも同意しました。
イム・サホンの家。
「奸臣らは肝を冷やしただろうな。むははははは。」
イム・サホンは訪ねてきたユ・ジャグァンに言いました。
「皆の顔がたちまち真っ青になった。」
「私は殿下を見なおした。殿下を廃位する名分を仁粋大妃に与えぬためだ。誠に殿下は慎重なお方だ。仁粋大王大妃なら廃位しかねん。」
大王大妃の部屋。
仁粋大王大妃は激怒していました。廃妃の墓はまだ手を付けられていませんでした。
イム・サホンは府夫人に朗報があると会いました。
「なんと有り難い。ついにサンガンマーマー(王さま)が動き出されたのですね。」
廃妃尹氏の母は位牌に報告に行きました。
夜の王の部屋。
「何の報告もないのか。母上の廃位について論ぜよといったのに報告がないとは。」
「おそれながら大勢の朝鮮大臣(チョチョンテーシン)が廃妃に関わっており・・・。しかしマーマー。お母上が王宮を出て行かれた時涙を流さなかった大臣はいなかったはずです。」
キム・チョソンは王に言いました。
「その点を明らかにしたいのだ。彼らは仁粋大妃を恐れて声をあげられなかったはず。だから今言い訳の名分を与えているのだ。廃妃の件に関わった者を殺そうと思えば戌午士禍(ムオサファ)の時に殺せたのだ。未だにお祖母様の顔色を伺っているのだ。ならば誰が君主なのか見せてくれようぞ。ジャウォナー!ジャウォンはおらぬか!今すぐ晋城大君(チンソンテグン)を連れて来い!」
「イエー。マーマー。(はい王様)」
「わかりましたお祖母様。そんなに私が憎いのなら晋城大君(チンソンテグン)に譲位します。はははははは!はははははは!」
晋城大君(チンソンテグン)は輿に乗りました。するとシン・スグンが「私がお連れします」と怯える晋城大君(チンソンテグン)に言いました。
王の寝所の前。
「兄上が怖いです。きっと私は殺されます。」
晋城大君(チンソンテグン)は義父シン・スグンにすがりました。
「怖くても大君は恐れを見せてはいきません。」
晋城大君(チンソンテグン)は部屋に入りました。
「そなたは私の弟だ。私が怖いのか?」
「兄上を敬愛しております。」
「座れ。そなたに会いたくなってな。」
「私も兄上にお会いしたかったです。」
「そうか。はっはっはっは。ソ尚宮はいるか。準備したものを持って来なさい。」
燕山君が言うとソ尚宮は酒の入った膳を持って来ました。
「酒だ。久しぶりにあったのだから酒を飲まねば。」
「私は・・・まだ酒を飲めませぬ。」
「男が酒も飲めぬとは昔から英雄豪傑は酒を呑むものだ。成宗大王も世祖大王も酒を好んでおられた。家系なのだよ。盃を持て。」
「それでは一杯だけお受けいたします。」
「一杯だけだとも。慎重によく見て盃を選ぶのだ。このうち片方は毒入りだ。分かったか。」
「兄上。今夜二人のうち一人は死ぬ。私が先に選ぼうか?では私から選ぶぞ。」
「いいえ。私が先に選びます。」
「何をためらう。考えすぎると悪手を打つものだ。」
斉安大君(チェアンテグン)は震える手で自分の前にある盃を手に取りました。
「どうしたのだ。はやく飲まぬか。」
「兄上。」
「そんなに死が怖いのか。」
「いっそ私を殺してください兄上。」
「それはできぬ。弟殺しの汚名まで着たくない。そなたと私のどちらかが今夜死なねばならぬ。そなたが生きていると私が迷惑する。王に担ごうとする輩がいるからな。」
「謀反などとんでもないです。この国の重臣は王を飾り物としか思っておらぬ。自らの利益の妨げになるなら容易に裏切る連中だ。それを面従腹背という。魯山君はそれで殺された。」
「当然私が死ぬべきです。どちらが毒酒ですか?私が毒酒を飲みます。」
「それはならぬ。今は君主ではなく兄として言っているのだ。そなたが飲まぬのなら私が飲もう。」
「おやめください兄上!」
燕山君は得意げに盃を飲み干しました。
感想
なんとシン氏は仁粋大妃にいいようにされて自分の一族の栄華を選んだようですね。仁粋大妃は賢いですね~。やはり仁粋大妃(インステビ)は燕山君を嫌っていたのは当時誰もが知る公然の事実だったようですね。燕山君はこれから追いつめられていくのでしょうか。続きが気になります。