不滅の恋人1話
あらすじ
プロローグ
吹雪の雪山。三人の若者は雪深い道ともいえぬ道を歩いていました。毛皮のフードを被った女と片箭(弓)を携える男、そして刀を持った武人。それぞれは北方系の襤褸を着て朝鮮とは異なる姿をしておりました。若者たちは頂きを通り過ぎると斜面を降りました。獣の鳴き声がしました。一人が弓を番えて狙いを定めている瞬間に、もう一人は手刀を野兎に命中させました。刀を投げた男は焚火の真ん中に陣取り、焼いた獣の肉を捌き、まずは女に与え、男にも与えました。食事を終えると一行は旅立ち氷の河を渡りました。
1話
朝鮮の王宮。
桃色のチマに紺色のチョゴリを着た二人の宮女は走りながら膳を運ぶと、二つの御膳を尚宮(サングン)に渡しました。
王の寝所。
朝鮮国王のイ・ヒャンは金色の布団に臥していました。国王の母、大妃(テビ)シム氏とまだ幼い息子が見守る中、中殿(チュンジョン)キム氏は夫の口に匙で煎じ薬を運びました。
「アバママ(父上)・・・。」
幼い王子は父を心配して呟きました。
「朝鮮の王の病気が、外に漏れてはいけぬ。」
大妃は言いました。
「心得ておりまする。」
大妃の後ろに立って控えている尚宮(サングン)は答えました。
「少しでも知られたなら、大殿内人(テジョンナイイン)たちの命はない。」
大妃は尚宮に箝口令を命じました。
「・・・・・・。」
尚宮(サングン)は冷やりとして首をすくめました。
「アバママ(父上)・・・・・。」
幼い大君は小さな手で父の手を握りました。
「ですがこうやって数年間、耐え忍ばれておられるのに・・・。」
王妃キム氏は呟きました。
「もう一度ご回復なさるはずだ。世子(セジャ)はかようにまだ幼いのだ。このまま逝ってはならぬ。」
大妃は言いました。
大殿尚宮(サングン)は王の傍を抜け出すと、密かに内人(ナイイン)に密書を渡しました。
王宮の城門。
三人の若者は門をくぐろうとして武官に止められました。
「そこを通せ。ウンソン大君媽媽(テグンママ)がお戻りになられた。」
弓使いの男、パク・キトゥクは青い軍服を着た武官に言いました。
「は・・・何と。何をふざけたことを言っておるのだ。失せろ。」
武官は笑いました。
「何を申す。媽媽(マーマー、王子様)に無礼ではないか!」
パク・キトゥクは怒って言いました。
「異国より帰ったというなら通行証か号牌(ホペ)を見せろ。ウンソン大君様はお亡くなりになられたのだ!」
武官は若者に怒鳴りました。
「北方よりご生還されたのだ。」
パク・キトゥクは言いましたが大君はキトゥクを制すと城門に背を向けました。
「尚膳(サンソン、内官の長)か至密尚宮(チミルサングン、女官の長)に知らせましょう。あの者らが媽媽(マーマー)をご覧になれば・・・。」
パク・キトゥクが言いかけると、武官が顎で合図をして三人は兵士に槍を突きつけられました。
「武器を持って王宮に入ろうとした者だ。謀反を企んでおるやもしれぬ。捕らえて調べるのだ!」
武官は兵士に向かって命じました。
兵士は大君らに襲い掛かりました。
ウンソン大君は兵士の槍を奪い地面にねじ伏せました。パク・キトゥは力業で兵士をなげたおしました。女は軽い身のこなしでのけぞると、兵の刀を避けて短く軽量の刀で兵士の槍を捌きました。ウンソン大君は粗暴な女に殺すなと目で合図を送りました。
乱闘の最中、内人(ナイイン)が城門から抜け出しました。
ウンソン大君は女官が王宮を抜け出す様子に気が付きました。
さらに兵士が現れたので、三人は逃げました。
チニャン大君の邸宅。
内人(ナイイン)は密書をチニャン大君イ・ガンに届けました。チニャン大君が手紙を開けると「赤龍が昏睡に陥り大妃が四方に口止めをした旨」が書かれていました。大君の妻、ユン・ナギョムは内人(ナイイン)を労い褒美を渡すと王宮に帰るよう命じました。
チニャン大君の屋敷の門前。
内人(ナイイン)が人目を忍ぶように門から出て行きました。
両班の令嬢ソン・ジャヒョンは外套で顔を隠しながら私奴婢で侍女のクッタンと門前を歩いていました。
街角。
内人(ナイイン)は褒美の中身を確認するために巾着の紐をほどきました。すると、背後からパク・キトゥが現れ女官を引きずり拉致しました。
チニャン大君イ・ガンの部屋。
イ・ガンは尚宮が送った密書を火にくべました。
「主上殿下(チュサンチョナ)と大妃殿(テビジョン)の側と、我々の勢力は拮抗しています。」
ユン・ナギョムは夫に言いました。
「どういたしましょうか。主上(チュサン)イ・ヒャンがご危篤なのに、大妃様が御子息の大君様を遠ざけておられます。手遅れになれば・・・。」
大君の側近ユン・ジャジュンが重い口を開きました。
「万一危篤になった場合、誥命(コミョン、遺言)を受ければよい。」
イ・ガンは言いました。
「ウンソン大君もいらっしゃらないので、誥命(コミョン)をお受けになれば大監(テガム)は王になれます。」
ユン・ナギョムは言いました。
「宮へ行こう。」
イ・ガンは言いました。
「お兄様は我が一族にも王宮に来るよう伝えてください。」
ユン・ナギョムはユン・ジャジュンに言いました。
「奥様。お客様です。」
部屋の外から使用人の女が声を掛けました。
ユン・ナギョムは部屋を出て客を見に行きました。
イ・ガン宅の庭。
未婚の両班の令嬢ソン・ジャヒョンは外套を脱ぐと、ユン・ナギョムの前に姿を現しました。
イ・ガンの部屋。
ソン・ジャヒョンはイ・ガンの前に座りました。イ・ガンはソン・ジャヒョンの白い肌と、紅桃色の花びらのような唇が動く様子を大事な物を見るかのように眺めていました。
「ウォルリョン君から縁談がありました。勿論破断にしてください。(あの方は)大君の忠臣です。ゆえに大君のお力をお貸しください。」
ソン・ジャヒョンは真剣な口調で言いました。
「他に嫁ぐ先を探していたではないか。」
イ・ガンは言いました。
「一体何をおっしゃるのですか?」
ソン・ジャヒョンは抗議しました。
「私の女になるのを拒んだではないか。ゆえに他の男を捜してやった。」
イ・ガンは言いました。
「私に貞操を捨てろとおっしゃるのですか?」
ソン・ジャヒョンは言いました。
「フィは、戻って来ない。弟は死んだ。もう受け入れなさい。」
イ・ガンは言いました。
「弟君を死地に追いやったのは、大君でした。」
チャヒョンは言いました。
「自らこの国の王子として、戦に行ったのだ。」
イ・ガンは言いました。
「どうしてでも、私の望みも奪うおつもりですか?」
チャヒョンは言いました。
「ウォルリョン君は私の従弟だ。王族に嫁げるのだぞ。喜ばしいことではないか。」
イ・ガンは言いました。
「すぐに破断にしてください。私は嫁ぐつもりはありません。」
チャヒョンは目を赤くして言いました。
「ウォルリョン君が嫌か。」
イ・ガンは涼しく言いました。
「ハッ・・・。」
チャヒョンは怒りで顔をそむけました。
「ならば、やはり、私が貰い受ける。今すぐ側室になるのだ。」
イ・ガンは結論を言いました。
「頼むべきではありませんでした。大君にまだ少しでも人の心があると思っていましたが、私が愚かでした。」
チャヒョンは立ち上がり
「夜道に気を付けよ。もうじき嫁ぐ身だ。」
イ・ガンは姿勢を変えずに言いました。
ソン・ジャヒョンが靴を履いて帰ろうとすると、庭で待ち構えていたユン・ナギョムはチャヒョンの頬を激しく叩き「チャヒョンが夫を誘惑しようとしている」と怒りました。ソン・ジャヒョンは旧友ユン・ナギョムの妻としての自信のなさを指摘し、それで縁談を持ち掛けたのかと尋ねました。ユン・ナギョムは「大君を誘惑した時からもう友達ではない」と冷たく言い「ウンソン大君が三年前に死んだ時に後追い自殺をすればよかったのに」と意地悪を言いました。ユン・ナギョムはクッタンに急かされて背を向けるソン・ジャヒョンをさらに悪く罵りました。
湖畔。
パク・キトゥクは仲間の女を先ほど捕らえた女官の服に着替えさせると、号牌(ホペ)を渡しました。
ウンソン大君は突然女のチマをめくると下着を破りました。ウンソン大君は小刀で指を切ると、血文字で自らの存在を証明するメッセージを書きました。
夜の城門。
北方から来た女は号牌を見せると武官は通行を許可しました。女は「テビマーマー」という発音を何度も練習しました。
ソン家。
ソン・ジャヒョンは服を畳んでその上にアヤメの絵を置きました。
王宮。
大妃が宮殿の庭を歩いていると、内人(ナイイン)の姿をした女が現れました。尚宮(サングン)は兵を呼ぼうとすると、女は尚宮の口を押さえて「徽(フィ)」と書かれた血文字を大妃に見せました。
「フィ・・・。これは・・・。これはもしや・・・・!フィの血か?私の息子フィなのか?」
大妃は女に尋ねました。
女(ルシゲ)は頷きました。
イ・ガンは輿に乗り王宮に向かいました。
編み笠を被ったイ・フィはパク・キトゥクと共に王宮に入り、大妃に再会しました。
イ・フィは編み笠を脱ぐと、大妃は口を開けて驚き、涙を流しました。
「不肖者イ・フィはお祖母上にご挨拶します。」
イ・フィは正座をして震える声で祖母に挨拶しました。
「生きていたのか。かような姿になって。さぞや苦労したであろう。主上(チュサン)が、ご危篤なのだ。天が、この私を哀れに思い、孫をお返しいただいたのだ。」
大妃は孫のフィを抱き締めました。
イ・フィは祖母を見て涙を流しました。
イ・ガンは正装して王の寝殿の前に行きました。イ・ガンは薬を持参したと言いましたが、尚膳(サンソン)は「本日は誰も通すなという王命でございます」と断りました。イ・ガンは「今夜殿下に何かあったら尚膳は罰を受ける覚悟があるのか」と脅しました。尚膳が返答に窮していると、部屋の中から「媽媽(マーマー)」という内官たちの鳴き声が聞こえてきました。イ・ガンは階段を上がり王に会おうとすると、部屋から大妃が出てきました。
「みまかられました。尚膳。」
大妃が言うと、尚膳は王の部屋に入りました。
「おひとりで看取られたというのですか?私は王の弟なのに何故!誥命(コミョン)は誰が受けたのですか?理由を教えてください。」
イ・ガンは大妃に言いました。
「誥命は私が受けました世子(セジャ)邸下(チョハ)がご成人なさるまで、お祖母上が摂政をなさり、大君どもは忠誠を尽くせと。これが、最期の遺言です。」
王の寝所から旅装束のままのイ・フィが出て来ました。
「誥命を、お前が受け取ったのか?」
イ・ガンは弟を疑いました。駆け付けた大臣らは顔を見合わせました。
「私は戻って参りました。生き延びました・・・・・。」
イ・フィは兄を抱き締めました。
「主上(チュサン)の御霊よ~!主上(チュサン)の御霊よ~!」
尚膳は屋根の上に上がり、王の龍衣を振りました。
真夜中のチャヒョンの部屋。
チャヒョンは化粧箱から鋏を取り出すと、三つ編みのおさげを切りました。
朝の王宮。
イ・フィは兄のイ・ガンとともに白い麻の喪服に着替えさせてもらっていました。イ・フィの胸や背中には刀で斬られた傷跡が生々しく残っていました。兄と弟はしばし話をしました。
「満身創痍だな。」
「戦場にいましたので。」
「生きて戻って来てよかった。」
「死ねませんでした。待っている人がいましたので。」
「殿下が崩御され国葬になるのでお前の生還を喜んでやれずに済まない。お前もつらいだろう。想い人ゆえに。だが心配する必要はない。もうすぐ他に嫁ぐゆえ、彼女には会わないほうがいい。チャヒョン殿には。だが幼馴染ゆえ、チャヒョン殿は生還を喜ぶであろう。」
「チャヒョンが婚礼すると・・・?」
「王族のウォルリョン君に嫁ぐそうだ。」
イ・ガンが言うと、イ・フィは部屋を飛び出しました。
ソン・オクの邸宅。
イ・フィはパク・キトゥクと共に喪服姿のまま馬で掛け出しました。
「ソン・オク殿は?お嬢様はどこだ?」
イ・フィはソン家に乗り込みました。
ソン・オクと夫人何事だと部屋から出て来ました。
イ・フィは国王の崩御と自身の生還を伝えました。
ソン・オクは王宮に向かって哭泣しました。
チャヒョンの部屋。
母が部屋に入るとチャヒョンは髪を下ろしていました。
庭。
ソン・オクは娘の嫁ぎ先入ると決まっているとイ・フィに言いました。
イ・フィはチャヒョンの部屋の前まで行くと、叫びました。すると、髪を短く切ったチャヒョンが出て来て靴も履かずに大君のもとに駆け出しました。
イ・フィとソン・ジャヒョンは涙を流しながら抱き合いました。
少年少女時代。
少年イ・フィは内官見習いの少年パク・キトゥクが見守る中、詩を書き上げました。そこに一匹のコオロギが飛んできたのでパク・キトゥクは虫を捕まえようとしましたが、イ・フィはコウロギを憐れに思い、庭に逃がしてあげました。その様子をセンガクシ(少女の宮女見習い)のヨニが盗み見ては嬉しそうにしていました。
世子(セジャ)の部屋。
王妃シム氏(のちのテビでフィの実母)は病床に臥せっている世子(セジャ)イ・ファンの看病をしていました。尚宮(サングン)は息子のチニャン大君イ・ガンが謁見を求めていると報告しましたが、王妃は追い払うよう命じました。
王宮への門。
「どけ。どけというのだ。私はこの国の大君、イ・ガンだ!」
正装した少年イ・ガンは偉そうに門番に怒鳴っていました。
イ・ガンは飢え死にしようと決して自宅には帰らないと言い張りました。
「兄上!ようこそおいでくださいました兄上。入りましょう。母上がお待ちです。」
イ・フィが王宮から出て来て兄に抱き着きました。
門番の男はカンを宮中に入れてはならないとフィに言いましたが、何も知らないイ・フィは「責任は私が取る。通せ」と威張ると兄を連れて王宮に入りました。
王宮内の王妃の部屋。
イ・ガンは王妃シム氏に拝礼しました。
王妃は王宮に来るなという言いつけに背いたイ・ガンに冷たくしました。
イ・ガンは「母上への恋しさのあまりご命令に背くしかなかったのです」と顔を歪めながら釈明しました。イ・ガンは上座に座る弟を見て、弟のほうが兄より身分が高いのかと母に抗議しました。イ・フィは謝ると兄の左側に座り直しました。
王妃はイ・ガンに王子としての振舞いにふさわしいよう怒りを鎮めるよう言いました。
イ・フィは兄のために詠んだ詩を吟じました。
「一月両地面照。一つの月が、両方の地を照らす。二人千里隔。二人は千里も離れている。願隋此月影。我が身はこの月影を追い。夜夜照君側。夜ごとに君(兄上)を照らすことを願っている。(遠く離れていても、いつも兄上がお輝きになられることを祈っております。お会いしたいです。)」
フィが言うと、実母のシム氏は息子の詩の才能は明国の人も認めるほどであり、息子と同じように待っていたとイ・ガンに優しく言いました。イ・フィが無邪気に「兄上」と手に触れようとするとイ・ガンはその手を避けました。
王妃の寝殿の廊下。
イ・ガンは弟と二人きりになりました。イ・ガンは「戻るべき場所に戻って来ただけだ」と弟に冷たく言いました。イ・フィは兄の気持ちに気づかず「兄上をお待ちしておりました」とまた抱き着こうとして断られました。
イ・ガンとイ・フィが寝殿から出て来るとヨニという見習いの少女がフィ王子の靴を磨いていました。フィはヨニに腕の怪我を治したければ靴など磨いて気を引こうとせずに己を大事にするように言いました。
夜の世子(セジャ)のへや。
王妃は世子(セジャ)イ・ファンの看病をしていました。王妃はイ・ガンが来たせいでファンの熱が上がったと尚宮(サングン)に漏らしました。尚宮(サングン)は世子(セジャ)が他の兄弟と一緒に過ごさず一人で王宮にいたので厄払いを出来たと慰めました。
「朝鮮の建国以来、長男が王位を継いだためしがない・・・。」
王妃シム氏はファンの行く末を心配していました。
日中の王宮の弓の練習場。
叔父のヤンアン大君はイ・ガンの弓の稽古に助言をしました。ヤンアン大君は病弱な世継ぎがイ・ガンに王位を奪われることを王妃は恐れていると吹き込みました。そしてイ・フィは眉目秀麗で書画を愛し神童といわれているが脅威ではないから王宮で育ったのだと言いました。
「お前が王にふさわしい。私は王位を弟に譲ったが、王の長老だ。お前と狩りをしよう。はっはっはっは。」
ヤンアン大君はイ・ガンに優しくしました。
王宮の一角。
ヨニはかくれんぼで10を数えました。センガクシの少女たちは散り散りに隠れ、フィはガンにも隠れるよう勧めました。ヨニは隠れている子どもたちを捜しに行きました。パク・キトゥクも隠れていました。
ヨニは池の前に堂々と佇んでいる王子に「見つけました」と声を掛けました。王子が振り返ると少年はイ・フィではなくイ・ガンでした。ヨニは「失礼いたしました。またお隠れください」と行こうとすると、ガンは「私ではなくフィを見つけたいのだな?」と言いがかりをつけてきました。
「ヨニと言ったな。今日から私に仕えよ。どうした。嫌だというのか?私はフィより年上だぞ。フィの物は何でも手に入る。」
イ・ガンは言いました。
「センガクシには他の者をお仕えさせます。」
ヨニは断りました。
しかしイ・ガンはヨニに詰め寄りました。
その様子を見ていたパク・キトゥクは急いでフィを捜しに行きました。
パク・キトゥクはイ・フィにヨニがイ・ガンに捕まったと報告しました。
「私に仕えろ!」
イ・ガンはヨニに詰め寄りました。
ヨニは弟君にだけにお仕えするのだと言い返すと、イ・ガンはヨニを「死んでしまえ!」と池に突き落としました。
ヨニは池で溺れました。
イ・フィはパク・キトゥクとともに急いで池に向かいました。
ヨニは意識を失い池に浮かんでいました。
イ・ガンは怖くなって逃げようとしました。
「兄上。ヨニはどこですか?」
イ・フィはイ・ガンに言いました。
「媽媽(マーマー)!」
パク・キトゥクはヨニを見つけて叫びました。
「ヨナ!ヨナ!なぜこんなことに?人を呼ぶべきです。死んでしまいます!」
イ・フィは兄に怒鳴りました。
イ・ガンはヨニは自ら喜んで飛び跳ねて池に飛び込んだと言いました。
「聞いていた話しと違う!」
イ・フィは言いましたが、イ・ガンは「それがどうしたのだ」と言い返しました。
ヨニの死を医官が診断しました。泣いているセンガクシたちは尚宮と内人(ナイイン)たちに連れて行かれました。
尚宮(サングン)はイ・フィとイ・ガンの目を手で覆いました。
イ・ガンは叔父を見つけると駆け寄り「叔父上。これからどうすれば。私はまた追われるのですか?牢に入れられるのですか?」と泣いて抱き着きました。ヤンアン大君は私に任せておけば大丈夫だとイ・ガンを慰めました。
イ・フィは泣きながらパク・キトゥクに濡れた服を着替えさせてもらっていました。パク・キトゥクも泣きながら、兄のイ・ガンがヨニに自分に仕えろと言って嫌だと言われ、兄が怒っていたと言いました。
パク・キトゥクは大君の部屋の廊下に出たところを大人の内官に連れ去られてしまいました。
ヤンアン大君はカンに会いに来たフィに帰るように言いました。
「貴様(カーミ)は、カンが罰を受けると思うか?死んだセンガクシと生きた大君。中宮(王妃)はどちらをとると思うか?王室とどちらが大事かわかっているだろ。中宮は目撃者を消すつもりだ。一人消え、また消える。また死なせたいか?死んだ者のために生きている者を死なせるのか?お前が黙っていればこれ以上死なずに済む。」
ヤンアン大君はイ・フィの肩を掴みました。
「キトゥクはどこですか?あの子に罪はありません。」
イ・フィは勇気を出して言いました。
「ふふふふふ。あの者を、殺されたくないのか?」
「脅さないでください。」
「脅すだと?国家のために王位まで譲った両班だ。王室の安寧を願ってる。」
暗い部屋。
「媽媽(マーマー)。お助け下さい。お助けください。」
パク・キトゥクは納屋に入れられて覆面を被せられていました。
そこにヤンアン大君と私兵が現れました。
夜の王妃の部屋。
シム氏は読書をしていました。
イ・フィは母に訴えたい気持ちを我慢しました。
チンヤン大君の部屋。
イ・ガンは弟から貰った詩を破りました。
日中の楼閣。
イ・ガンは叔父から貰った弓で矢の練習をしていました。
ヤンアン大君は弓の感想を尋ねました。
イ・ガンは高価な弓をとても気に入りました。
イ・ガンは叔父にセンガクシのことがバレたらどうするのだと尋ねました。
ヤンアン大君はこの件で弟の弱みを握ったのであり、権力を握ればすべての過失を葬れ罪に問われないと唆し、権力を求めるように教えました。
王宮の庭。
イ・フィはヨニが自分のために棗を取ろうとして木登りをして刺で怪我をした思い出を(叔父に解放された)パク・キトゥクと分かち合いました。短い命ならば、突き放さずに
自分も与えるべきだったとイ・フィは後悔しました。
「これからは私のそばを離れるな。ヨニのことは忘れろ。兄上のことも言ってはならぬ。もう人を失いたくない。私が無力なせいで兄上のことを明らかにできぬのだ。お前も、私も互いを守るために強くなるのだ。」
数年後。
「ヨナ。どうしている。まだ幼いままなのか?大きくなったのか?気になる。もうお前の顔を思い出せぬ。」
青年になったイ・フィは行けに白い花を浮かべました。
イ・ガンは池に浮かんだ白い花を矢で射ました。
感想
不滅の恋人1話の感想です。ドラマを見ると、どうやら冒頭の三人はイ・フィと、従者のパク・キトゥク、ルシゲという女真族(ヨジンジョク)の女性なんですね。北方から生還したみたいです。ソン・ジャヒョンは1話の段階でイ・フィと恋愛関係にあり、イ・ガンに想われていて、イ・ガンの妻ユン・ナギョムに憎まれていることがわかります。
はじめから結末ありきのドラマのようですね。
イ・フィは戦で3年前に死んだことになっています。ソン・ジャヒョンは結婚適齢期に入ってもすぐには嫁がずに愛する人のことをずっと想っていることがわかります。イ・ガンもまたずっとチャヒョンを自分の者にしたいという願望を懐き続けています。
そして時は少年少女時代に遡り、イ・ガンは幼い時に女の子を殺めてしまって、イ・フィはそのことを知りながらパク・キトゥクを守るために兄の罪を黙認しています。
叔父のヤンアン大君は、イ・ファンとイ・ガン、イ・フィの実父の兄ということになるでしょうか?ファンとカン、フィは父母ともに同じ人から産まれて来たようで、人物相関図を見ると、実の兄弟ですかね?1話の段階では確定はできません。
話しのモデルは世宗(セジョン)大王の息子たちだそうです。
病弱な文宗(ムンジョン)と世祖(セジョ)、安平大君(アンピョンテグン)。
世祖がどれほど評価されているのか、日本の私にはわかりませんが、現代の価値観ではかなり最低な部類の人であるようです。
今回チン・セヨンが演じたソン・ジャヒョンは、とても美しいですね!オクニョとは違う可憐さを感じます。
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