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仮面の王イ・ソン最終回20話のあらすじ感想 Ruler:Master of the Mask 李煊

仮面の王イ・ソン20話のあらすじと感想

仮面の王イ・ソン

あらすじ

内医院(ネイウォン)。ハン・ガウンは師匠のウ・ボとともに解毒剤の作り方を探っていました。二人は解毒剤にチムの花が必要なところまで判ったものの、どの部位をどう使うかわかりませんでした。二人が考えていたところに尚膳(サンソン)がキム・ウジェを連れて来ました。
「根を使うのです。」
キム・ウジェは言いました。
「あなたは・・・テモクの息子。」
ハン・ガウンはキム・ウジェの姿を見て呟きました。
「この花のせいで私の娘は死んだ。」
キム・ウジェは言いました。
「この方が解毒剤の作り方を教えてくれます。」
尚膳は言いました。

キム・ウジェは解毒剤の処方をウ・ボに渡しました。
「解毒剤の処方に違いない。どうやって毒を消すのか私は原理がわかったぞ。」
ウ・ボはキム・ウジェに言いました。
「忘れないでください。チムの毒の中毒でない者には猛毒となります。」
キム・ウジェは言いました。
「わかった。肝に銘じよう。」
ウ・ボは言いました。
「どうしてあなたが処方を教えてくれるのですか?」
ハン・ガウンは帰ろうとするウジェに尋ねました。
「お前が知る必要はない。私は主上殿下(チュサンチョナ)と取引したまでだ。」
キム・ウジェは言いました。
「取引?」
カウンは首をかしげました。

山。
「王が、テモク様を捕らえようとしている。我々が、暮らしていられるのは誰のおかげだ?テモク様のおかげだ。」
チョ・テホは招集した水売りたちの前で演説しました。
「そうだ。テモク様のおかげだ。」
「王は何をしてくれた!」
「そうだそうだ!」
水売りたちは同意しました。
「それだけではない。王は揚水庁(ヤンスチョン)をなくし我々から仕事を奪う気だ!」
チョ・テホは刀を掲げて水売りを制すると言いました。
「そんな話あるか!」
「食えなくなる!」
「どうしたらテモク様に恩返しできますか?」
「我々はどうしたら仕事を失わずに済みますか?」
水売りたちは同意しました。
「今日の未(ひつじ)の時、王宮の城門の前に集まれ!民を飢え死にさせる暴君にテモク様を捕らえるなと、我々皆で訴えよう!」
チョ・テホは言いました。
「行くぞーーー!」
民たちはテホの言葉に従いました。

王宮の王の部屋。
「たいへんです殿下。揚水庁(ヤンスチョン)の水売りたちが門のところに押し寄せています。」
パク・ムハはイ・ソンに報告しました。イ・チョンウンはイ・ソンの脇に立って警護していました。大臣のキム・グァンリョルも床に座って話を聞いていました。
「その理由はなんだ。」
イ・ソンはパク・ムハに尋ねました。
「おそれながら、テモクを捕らえるのは不当だ、主上殿下(チュサンチョナ)は横暴だと訴えています。」
パク・ムハは言いました。
「水売りならば平凡な民ではないか。その者たちがどうしてテモクの支持するのだ?」
イ・ソンは言いました。
「テモクは皆に主上殿下は揚水庁(ヤンスチョン)をなくすつもりだ、ゆえに皆飢え死にだという噂を広めたそうです。」

回想シーン。
「もしお前が私を捕らえれば、民はお前を見捨てるでしょう。」
テモクはイ・ソンに言いました。

「殿下。すぐに武力で鎮圧せねば。」
キム・グァンリョルはイ・ソンに言いました。
「武力で鎮圧してはならぬ。テモクの計略だ。素朴な民にすぎぬのだ。」
イ・ソンは言いました。
「ですが殿下。このまま民を放っておいてはなりません。ますます規模が大きくなれば暴徒になりかねません。」
キム・グァンリョルは言いました。
「揚水庁(ヤンスチョン)がなくなれば水売りたちが暮らしに困るのはわかっているテモクの計略とはいえ水売りの行動もわからぬではない。」
イ・ソンは言いました。
「殿下・・・。」
パク・ムハはイ・ソンの気持ちを理解しました。

王宮。
官僚たちの身体じゅうに斑点が現れました。官僚たちは揚水庁(ヤンスチョン)の水売りが押し寄せてきたと噂をしていました。官僚たちはこのまま死ぬのではないか、王様は本当に解毒剤を作ってくれるのかと怯え切っていました。そのような時に、内人(ナイイン)が会員の官僚に書簡を渡しました。

テモクの屋敷。
「旦那様のご命令通り主上殿下に寝返った辺首(ピョンス)会員たちに解毒剤を与えないことを伝えました。」
チンミョンはテモクに会って言いました。
「解毒剤が作れなければ皆王を見限って私に泣きつくだろう。さらに民が暴動を起こして王宮に火を放ち王を殺して適当な王族を王に据え、再び辺首会(ピョンスフェ)の世が来るだろう。」
テモクはチンミョンに言いました。

内医院(ネイウォン)。
「これだ。解毒剤だ。できたぞ!」
とうとうウ・ボはチムの中毒の解毒剤を完成させました。ハン・ガウンとメチャンたちは喜びました。

王の部屋。
イ・ソンは民に真実を伝えるため全国の行商人にテモクと辺首会(ピョンスフェ)と揚水庁(ヤンスチョン)の横暴を知らしめさせ揚水庁(ヤンスチョン)の水売りを雇って各地の城壁の補修工事をさせ民の暮らしを保証するよう伝えよとキム・グァンリョルとパク・ムハに命じました。そこに領議政のウ・ボが現れ解毒剤の完成をイ・ソンに知らせました。イ・ソンはすぐにチムの中毒の者たちに解毒剤を与えるよう命じました。

牢屋。
ウ・ボが解毒剤を持って行くと、ホ・ユゴンとソンギは信じられぬと断りました。牢屋に入っている他の者たちも解毒剤を拒否しました。

王の部屋。
ウ・ボとカウンはこのことをイ・ソンに報告し会員たちがテモクのもとに行きたがっていると言いました。カウンは解毒剤が安全とわからせなければならないと言いました。そのとき尚膳が部屋に入ってきて大臣たちが宮に押し掛けていると言いました。

刑曹判書(ヒョンジョパンソ)をはじめ大臣たちは王のいる宮に押し掛け解毒剤はテモクが仕掛けた罠かもしれない、テモクにひれ伏したら助かるのでテモクのもとに行かせてほしいと土下座して頼みました。
「わかった。王を見捨てテモクのもとに行っても構わぬ。」
イ・ソンは大臣たちに言いました。
「殿下。ほんとうによろしいのでしょうか?」
大臣のひとりは言いました。
「余はそなたたちを助けるために王になった。皆が余を信じないならその道を閉ざすしかない。」
イ・ソンは言いました。
「愚か者どもめ!解毒剤を信じずテモクのもとへ行こうとするとは!」
ウ・ボは怒鳴りました。
「今泣きついた所でテモクが助けてくれると思いますか?」
パク・ムハは言いました。
「主上殿下を信じるべきだ!」
キム・グァンリョルは言いました。
毒に冒された大臣たちはテモクのもとへ行こうとしました。
「お待ちください。解毒剤を信じられないなら私が試します。これはチムの毒です。」
カウンはチムの毒を飲みました。
「カウンナ!」
イ・ソンはカウンに駆け寄りました。
「ああ・・・あ・・・・はぁ。はぁ。ああ・・・・。チムの毒の症状が早くでるよう二つ飲みました。私がこの解毒剤を飲めば、皆も安心して飲めるはずです。」
カウンは苦しそうに解毒剤を飲みました。カウンは意識を失いました。
「カウンナ~!しっかりしてくれカウンナ!」
イ・ソンはカウンを揺すりました。
「見てみよ。テモクの息子が解毒剤の処方を教えるわけない。皆の者。テモク様のところへ行くぞー!」
大臣たちは王宮から去りました。
イ・ソンはカウンを抱いて泣きました。
パク・ムハは大臣たちの後を追いかけました。

「テモク様のところへ行こう!」
大臣と、捕らえられた囚人たちは脱獄してテモクのもとへ向かいました。

「殿下。幸い脈はございます。」
ウ・ボはイ・ソンに言いました。
「殿下。重臣たちが捕らえられた者たちを連れて辺首会(ピョンスフェ)のもとへ行こうとしています。」
パク・ムハが戻ってきてイ・ソンに言いました。
「皆をテモクのもとに行かせれば反乱となってしまいます。今すぐ止めるべきです。」
イ・チョンウンは言いました。
「このままではあの者たちが逆徒となってしまいます。」
キム・グァンリョルは言いました。
「テモクが皆を救うなら、それでよい。」
イ・ソンはカウンを抱えたまま言いました。

辺首会(ピョンスフェ)の楼閣。
屋敷の周囲は官軍に包囲されていました。
「旦那様!現れました!」
チョ・テホはテモクに言いました。チンミョンも楼閣から大臣たちを見下ろしていました。
「いるか。客人を迎える準備をせよ。」
テモクは執事のチャンに命じました。
「はい旦那様。」
チャンは従いました。

「今上(クムサン)に救ってもらえなかったのか?だが私も皆を救ってやれぬ。こうしよう。真っ先に私にひれ伏し許しを請うた者に解毒剤を与えよう。」
テモクは大臣たちに言いました。
「・・・・・・。」
ホ・ユゴンとソンギ、そして大臣たちは何も言わずに立っていました。
「旦那様。すでに斑点が体を覆っているはずですが、斑点がありません。」
チンミョンは言いました。
「旦那様!」
チョ・テホも焦りました。
「主上殿下(チュサンチョナ)のおな~り~!」
役人は声を張り上げました。大臣たちと兵士は皆国王のイ・ソンに侍りました。
イ・ソンが武人姿でテモクの前に現れました。

回想シーン。
「皆の者待たれよ。」
イ・ソンは逃げようとする大臣たちに声を掛けました。大臣たちが振り返るとカウンが元気に立っていました。
「殿下・・・・!」
大臣たちはカウンを見て驚きました。

「テモーク!チムの毒の解毒剤が完成した!これでお前はもう二度とチムの毒で世の中を支配することはできぬ。」
イ・ソンはテモクに言いました。
「ならば他の手立てを講じよう。我々辺首会(ピョンスフェ)は千年の刻を続いている。根の深い木は風が吹いても揺るがぬものだ。我々辺首会(ピョンスフェ)は倒れはせぬ!」
テモクは言いました。
「そよ風とて集まれば嵐となる。その嵐に辺首会(ピョンスフェ)が根こそぎ吹き飛ばされるのを今日見ることになるだろう。」
イ・ソンはテモクに言いました。
「ならば今日、私を討ちに来たのか?」
「違う。私はそのつもりで来たのではない。辺首会(ピョンスフェ)は大逆罪を犯した。王を殺し市場で民から金を搾取し罪なき者を死へと追いやった。天と民に代わり辺首会(ピョンスフェ)を討伐する。みなの者、武器を捨てて投降せよ。今からでも罪を認めて投降すれば善処しよう。だが抵抗すれば容赦せぬ。」
イ・ソンは言いました。
チョ・テホは震えました。
「半時間の猶予を与える!それまでに投降すれば命は助けてやろう。」
イ・ソンは言いました。
「今から半時辰(ハンシジン)です~!」
兵士は太鼓を叩きました。

テモクの部屋。
「今上(クムサン)が全国の行商人を使い民心を落ち着かせ新しい仕事を保証したため水売りは解散したようです。」
チャンはテモクに報告しました。
「残り三刻です~!」
兵士が外から声を掛けると部屋にいた官僚たちは逃げだしました。
チョ・テホは逃げる者をの背中を斬りました。

「旦那様。兵たちが精鋭を除いて全員王に投降しました!」
チョ・テホは外を見て帰ってくるとテモクに報告しました。
「今上(クムサン)が旦那様を捕らえにくるでしょう。」
チンミョンは言いました。
「旦那様!」
チョ・テホとチンミョンは指示を仰ぎました。

「半時辰が過ぎました~!」兵士は太鼓を鳴らしました。門を警備していた辺首会(ピョンスフェ)の兵士は投降しました。

「これよりテモクと辺首会(ピョンスフェ)の残党を捕らえる。皆の者行くぞ!」
イ・ソンは屋敷に乗り込みました。チョ・テホが精鋭を率いて庭に立ちはだかっていました。

「前に私が、貴様を殺せなかったことが心残りだ。」
チョ・テホはイ・ソンに言いました。
「命を粗末にするな。皆の者武器を捨てよ!」
イ・ソンは言いました。
「私はチョ・テホだ。テモク様のおかげで人らしく生きられた。テモク様をお守りして人らしく死ぬ。かかれ~!」
チョ・テホは双刀の武器を構え攻撃をはじめました。
イ・ソンはイ・チョンウンとコンとともにテモクの刺客と戦いました。
「や~!」
チョ・テホはイ・チョンウンに襲い掛かりました。イ・チョンウンはチョ・テホを斬りました。テホは口から血を吐きました。
「皆の者刀を収めよ!」
イ・ソンは命じました。

チンミョンは捕らえられました。

イ・ソンが奥に進むとチャンが現れました。
「テモク様がお待ちです。」

イ・ソンはチョンウンとコンとともにテモクの部屋に入りました。
「テモク。投降してください。そうすれば命だけは助けます。」
イ・ソンはテモクに言いました。
「ふ。ふっふっふっふ。私を、助けるだと?」
テモクは笑いました。
「余がそなたを助けたいからではない。信義を守るためだ。」
イ・ソンは言いました。

回想シーン。
夜の国王の部屋。
「解毒剤の処方を教えて差し上げます。しかし条件があります。」
キム・ウジェは言いました。
「条件とは?」
イ・ソンはウジェに言いました。
「私の父、テモク様のお命だけはお助けください。」
キム・ウジェは言いました。

「テモクの息子が父を助けてほしいと言った。そちが私に与えた苦痛、それは到底許すことはできぬが、そちが、今の私を作った。そちが宮中しか知らなかった私に民と民の暮らしを教え、王座から王が見下ろすのではなく、民の立場に立てる王に育てた。」
イ・ソンはテモクに言いました。
「私に、感謝するというのか。」
テモクは言いました。
「いや。詫びたいのだ。国が、君主が、そちを絶望の底に突き落とした時から、地獄のような世で化け物になったと言っただろう。私が、そちに、詫びる。」
イ・ソンは言いました。
「詫びか。ケッ。ならばお前はどうするのだ。民が絶望のどん底で苦しんでいる時に孔子や孟子を教えを説くのか?それとも、もう諦めろと忠告するのか?」
テモクは言いました。
「余は絶望の底に飛び込み民に肩を貸してやるつもりだ。私が踏み台となっても決して民が化け物となるような世の中を作らぬ。」
イ・ソンは言いました。
「私がお前のような君主に早く出会っていたら・・・・ぶへっ・・・・。はぁ。はぁ。水が、上から下へ流れるべき世の中で、私は世の中の流れに逆らった。はっ。こうして再び落ちたが、世の中に逆らったことを恨みはせぬ。私は、あの世で、お前が朝鮮をどう変えるかとくと見届けよう。」
テモクは咳き込み血を吐きました。傍には小瓶が倒れていました。
「そうしてください。テモク。」
イ・ソンはテモクの最期を看取りました。
テモクは座ったまま最期を迎えました。太極の図に一本の波と四つの丸が描かれた辺首会(ピョンスフェ)の旗がテモクの背後に掲げられていました。

王宮の康寧殿の前。
「思っていたより殿下のお帰りが遅い。」
ウ・ボはキム・グァンリョルに言いました。
「そうだな。まさかテモクに逃げられたのでは・・・。」
キム・グァンリョルは言いました。
ハン・ガウンは心配そうにイ・ソンの帰りを待っていました。
「主上殿下のおな~り~。」
尚膳の声がして、イ・ソンが王宮に帰って来ました。
「大逆罪人のテモクと揚水庁長(ヤンスチョンジャン)のテモクは死に、皆は投降しました。」
イ・チョンウンはウ・ボたちに報告しました。
カウンは安堵の表情を浮かべました。
「殿下。お祝い申し上げます。」
ウ・ボとキム・グァンリョルは言いました。
イ・ソンはハン・ガウンを抱き締めました。イ・チョンウンは咳ばらいをして反対の方向を見ると、兵士や侍従たちも同じようにイ・ソンに背を向けました。
「長いしすぎたようだな。」
キム・グァンリョルは微笑みながら言いました。
「殿下・・・。」
カウンは言いました。
「どれだけ心配したかわかるか?」
イ・ソンはカウンを抱き締めながら言いました。
「殿下。大丈夫です。」
「私が、私がどう言えばよいかわからぬ。怒るべきか褒めるべきか。今日そなたは74人の命を救った。あとは我々の友イソンを救わねば。共に行こう。」
「解毒剤を持って参ります。」

夜の牢屋。
「主上殿下がお待ちだ。」
イ・チョンウンはイソンを牢から出しました。

王宮の庭。
「イソン。受け取れ。解毒剤だ。私を信じられねばカウンを信じて飲め。」
イ・ソンは解毒剤を奴婢の姿をしたイソンに差し出しました。
「カウンお嬢様が下さるものなら、毒薬でも構いません。あっ・・・・。」
イソンは解毒剤を飲みました。イソンは苦しみの声をあげると体から斑点が消えました。
「お前に私の身代わりを頼んだ時は、それがどれだけ危険な事か知らなかった。心から申し訳ない。」
イ・ソンはイソンに言いました。
「私は・・・あなたの王座を奪おうとしたのに・・・私に謝らないでください。殿下に許しを請われる筋合いはありません。」
イソンは立ち去ろうとしました。
「生きていればいつか誤解が解ける日も来よう。運命が私たちを引き裂こうと、お前は今も私に初めてできた、友だ。」
イ・ソンはイソンに言いました。

「イソナ。私たち、また前みたいに戻れない?家族のように、友として一緒にいられないの?」
カウンはイ・ソンに言いました。

「どうしてこぼれた水を戻せましょうか。どうして折れた枝をもとに戻せましょうか。戻したくても、戻すことができません。お嬢様は私の事が心配なのでしょうが、私はお嬢様のことが心配です。どうか、いつまでも、お元気でお嬢さま・・・・。」
イソンは去りました。

「いつか戻ってくるだろう。共に、イソンが戻る日を、待とう。」
イ・ソンはイソンの背中を見ながらカウンに言いました。

日中の王の部屋。
「どうして大逆罪人を放免なさったのですか!」
兵曹判書は国王に抗議しました。
「あの者は私が身代わりにした者だ。余はあの者に責任がある。」
イ・ソンは答えました。
「殿下。どうして私心で死罪にすべき者をお見逃しなさるのですか。」
兵曹判書はイ・ソンに言いました。
「私情だけではない。どんな理由があれあの者は一度は王になった。王になった者を殺さぬしきたりがあるのを知らないのか?」
イ・ソンは言いました。
「殿下。でしたらお考えの通りなさいませ。しかし私めはどうしても見過ごせぬことが他にあります。廃主の中殿(チュンジョン、王妃)でございます。廃主の中殿が宮中で暮らしていると聞きました。先王の中殿(チュンジョン)が殿下の中殿(チュンジョン)になるなどあり得ません。どうか私的なご縁はお切りくださいませ。」
隣に座っている刑曹判書(ヒョンジョパンソ)は言いました。
カウンはその声を聴いてうなだれました。


街。
「殿下は俺に、本物の解毒剤をくださった。俺が、殿下を疑い始めたのはヒョンソクがくれた毒薬の時からだ。まさか、ヒョンソクが、ヒョンソクが!?」
イソンは考えていました。イソンはヒョンソクが偶然自害しようとした自分を助けてくれたことを思い出し、急いで駆けだしました。

城門前。
「もはや恨みを晴らせるのはお前だけだ。」
牛に引かれているチンミョンは黒装束のヒョンソクに言いました。
「主上を殺しますか?」
ヒョンソクはチンミョンに言いました。
「いや。テモク様なら本人でなく別の者を狙う。標的を最も動揺させられる他の者。先王にとってそれは世子だった。今上(クムサン)は・・・。」
チンミョンは言いました。


ハン・ギュホの家。
ハン・ガウンは荒れ果てた実家に戻りました。

回想シーン。
「嫌です。」
カウンは鶏を殺すのを嫌がりました。
「客人が来たのにタッカンマリすら振舞わぬとは。」
イ・ソンはカウンに言いました。

「殿下。この手紙が。もしかして殿下の御心を惑わすののではと、何度も筆を執っては置きました。これから殿下は朝鮮の君主として大きな責任を追われる身です。殿下の将来に差し障ってはいけません。どうか、市場で平凡な暮らしを送ることをお許しください。殿下がお築きになられる平和な世の中を、民とともに見守らせてください。」

イ・ソンはカウンの手紙を読んで震えました。
「お序様はお部屋にお手紙を置いて宮をお出になられました。」
尚宮(サングン)のメチャンはイ・ソンに言いました。
「今日の日が来るとは。カウンお嬢様がどれほど手柄を立てられたか。違いますか?殿下。」

日中の便殿。
「余には、君主としての資質が欠けている。ここにいる多くの臣下の命がある女人(にょにん)によって救われた。」
イ・ソンは大臣たちに言いました。
「殿下。何をおっしゃっているのか・・・。」
兵判は言いました。
「それほど献身した者にもはや知らぬふりをするのか?たった数日前に命を助けれくれと請うたそなたたちのために命をかけた者をもう忘れねばならぬのか?それがこの国の掟か?」
イ・ソンは言いました。
「殿下。私情は捨てねばならぬと言いました。」
刑判は言いました。
「殿下。私たちの気持ちもお考えください。」
兵判は言いました。
「よかろう。大臣たちの気持ちがそうならしかたあるまい。」
イ・ソンは言いました。
「殿下。ありがたき幸せ・・・・!?」
兵判はイ・ソンを見て驚きました。
イ・ソンは国王の帽子を脱いで机に置きました。
「余は直系だからではなく、辺首会(ピョンスフェ)に苦しめられている民を救うために王位に戻った。もう余がすべきことは済んだゆえ、余より徳高く知恵ある者を、この座に据えてください。」
イ・ソンは言いました。
大臣たちは戸惑いました。

街。
井戸の施錠が解かれ、民は喜びました。人々は自由に水を汲むことができるようになりました。

「殿下。見えますか。民が笑っています。殿下は万民のためにいるべきです。あなたのためにはこれでよかったのです。」
ハン・ガウンは喜ぶ人々を見て言いました。
「何を言うのだ。」
イ・ソンがイ・チョンウンとともに現れました。
「・・・・・・。」
カウンは顔をそむけました。
「カウンナ。私を見よ。カウンナ。私を見てくれ。私が書籍売りの時からそなたは変わらぬ想いをくれた。行商人の頭領は王宮の護衛の時も変わらなかったのに、国王の私はなぜいけぬのだ。」
イ・ソンはカウンの手を繋いで言いました。
「殿下。廃主の中殿(チュンジョン)が殿下の中殿(チュンジョン)に選ばれたら殿下の治世に障ります。」
カウンは言いました。
イ・ソンはカウンの手を放しました。
「民にとって何が大事かわかるか?私が、そなたを失うことだ。そなたがテモクに捕らえられた時、民のために自分の命を守れと皆が私に言った。だがもしあの時、私が自分を守りそなたを見捨てていれば、私は、以前の私でなくなっていただろう。辺首会(ピョンスフェ)に立ち向かい民を守ろうとしていた私は消えたはずだ。カウン。王座はテモクのような化け物になりかねない座だ。私がそうならぬよう、そなたが、そばで、見守ってくれぬか?私のために、そして民のために。長い年月を待ちわびひとつとなった、この太陽と月のように。これからは、いつもそなたといたい。心から、深く、そなたを想っている。いつか、私が天に召されても、死んでも、そなたを想っている。この気持ちは変わらぬゆえ、私と、生涯を共にしてくれぬか?万民の母となり私と共に、民を守ってくれぬか?」
イ・ソンはカウンに求婚し装身具を差し出しました。
「そうします。殿下の妃となりいつまでもおそばにいます。」
カウンはイ・ソンに応えました。
イ・ソンは太陽と月の首飾りをカウンに掛けるとカウンを抱き締めました。
「殿下だ~!」
民たちがイ・ソンとカウンのもとに集まってきて万歳をしました。
イ・ソンとカウンは民を見守りました。

山。
「本当にヒョンソクという息子はいないのですか?」
イソンは山に行き薪拾いのおじさんに確かめました。イソンは駆け出しました。

街。
「今からすぐに帰ろう。」
イ・ソンはカウンに言いました。
「殿下。みんなにお別れの挨拶をしないと。おばさんとコムル、市場の人に会ってきます。」
カウンはイ・ソンに微笑みました。
「わかった。半時辰たったら輿をよこすゆえ帰るのだぞ。」
「はい殿下。」

森の中。
「師匠!師匠!私の護衛だったヒョンソクはテモクの刺客でした。」
イソンはウ・ボに言いました。
「本当か?」
「殿下のそばにいますか?殿下が危険です。」
「あの者は殿下のそばではなく・・・。」
「今あいつはどこにいるのですか!」

ハン・ギュホの家。
「さあ輿にお乗りくださいお嬢様。すべて元通りになるんです。」
イソンのお母さんはカウンに言いました。
「イソンももとにも戻るわ。」
カウンはお母さん言いました。
「幸せにね。」
コムルはカウンに言いました。
「中殿(チュンジョン)媽媽(ママ)。千歳!」
人々はカウンに言いました。
ヒョンソクはカウンを睨んでいました。

王宮。
「殿下~!殿下~!」
ウ・ボはイ・ソンのもとに駆け付けました。

竹林。
「待て。輿を降ろすのだ。扉を開けよ。」
ヒョンソクは部下に命じました。
「どうしたのですか?」
カウンが輿から降りました。
ヒョンソクは目の前にいた兵士を斬りました。女官たちは悲鳴を上げて逃げました。
「あなたに恨みは無い。今上(クムサン)にこれ以上ない苦痛を与えたいだけだ。だから私を恨むな。や~!」
ヒョンソクは刀を振り上げました。
「お嬢様には触れさせぬ!」
イソンはカウンの前に立ちはだかりました。
「仮にも一時王だったあなたを殺したくありません。どいてください。」
「黙れ!や~!」
イソンは刀を拾うとヒョンソクに向かいました。ヒョンソクはイソンを倒し、カウンを斬ろうとしたところ、イソンはカウンを庇って斬られました。
「お嬢様・・・お逃げ下さい・・・・。」
イソンは意識を失いました。
「カウンナ!」
イ・ソンが現れました。カウンは斬られると思い涙を流して目を閉じました。イ・ソンはヒョンソクの刀を受け止めるとヒョンソクを斬りました。
「イソンナ目を開けて!」
カウンはイソンを起こそうとしました。
「泣かないでください・・・お嬢様。」
「イソンナ。いつも苦しませてごめんなさい。」
「そんなことありません。お嬢様に名前をつけてもらって・・・夢を持てて・・・幸せでした・・・・。」
イソンは苦しそうに咳き込みました。
「イソンナ!」
イ・ソンはイソンに声を掛けました。
「殿下・・・。殿下をお恨みした私をお許しください・・・。」
「いや。よいのだ。大丈夫だ。それよりどうか死なないでくれ・・・・。」
イ・ソンは泣きました。
「殿下。私にとっても・・・殿下は・・・・最初で・・・最後の・・・友でした・・・・どうか・・・・お嬢様と・・・お幸せにおなりください・・・・この国の・・・本当の君主に・・・おなりくださいませ。」
イソンは事切れました。
「イソンナ・・・。イソナ!ああイソナ!イソナーーーー!ああーーーーー!イソナーー!」
イ・ソンとカウンは泣きました。
イ・チョンウンとコンも悲しそうに見守っていました。

一年後の王宮の庭。
「まことの君主とは何か。私は生涯この問を繰り返すだろう。私はその答えを探すことはやめぬ。そうすることが、私のために死んでいった人々に報いる、唯一の道だから。」
「私は生涯、殿下をおそばでお守りします。」
カウンは答えました。
イ・ソンとカウンは手をつなぎました。

国王の婚礼の儀。
「そなたハン氏を朝鮮の王妃に迎える。万民の母となり永遠に余と共にいてください。」
イ・ソンは結婚を宣言しました。
メチャンはカウンの傍に立っていました。
臣下たちは二人を見守りました。
「主上殿下(チュサンチョナ)。中殿(チュンジョン)媽媽(マーマー)。お祝い申し上げます。千歳。千歳。千千歳。」
ウ・ボらは国王の結婚を祝いました。
「(旦那様。私が、カウンを幸せにします。見守っていてください。)」
イ・ソンは言いました。
「(殿下。万民のために賢明な国王におなりください。)」
ハン・ギュホはイ・ソンを見て微笑みました。
「(ありがとう。ありがとう。私は何度礼を言っても足りぬ。行首(ヘンス)さまから受けた御恩をどう返せばよいのか。)」
イ・ソンはキム・ファグンに言いました。
「(お幸せに。殿下がお幸せならそれで十分です。)」
ファグンはイ・ソンを見て微笑みました。
「(イソナ。お前は永遠に私の友だ。)」
イ・ソンはイソンに言いました。
「(殿下。この国のほんとうの君主におなりください。)」
イソンはイ・ソンに微笑みました。

イ・ソンはカウンに微笑みました。カウンもまたイ・ソンに微笑みました。武官となったコン、イ・ソンのお母さんとコムル、メチャン、大妃(テビ)、尚膳、キム・グァンリョル、高官となったパク・ムハ、ウ・ボらは皆二人の結婚を祝いました。

完。



感想

仮面の王イ・ソン(韓国語: 군주-가면의 주인, 中国語: 君主-假面的主人)最終回20話の感想です。

とうとうイ・ソンが終わってしまいました!イ・ソンとカウンは本当に幸せなカップルですね!イケメンとかわいい女性、心も美しく人が羨む組み合わせです。韓国の時代劇の中でもこんなに綺麗なカップルは珍しいかもしれません。

残念なことにイソンは死んでしまいました。悪役となってしまったので罪を償うためにシナリオで死ぬ必要があったというのでしょうか。かわいいキム・ファグンもお亡くなりになってしまい、四人の主役だったのが二人に減ってしまい、これはこれで悲しい結末となってしまいました。

そんな過酷なストーリーの中でイ・ソンとカウンが結ばれるのですから、幸せだとしても、心はつらいはずです。幸せなようで傷ついている人々の姿を見るのは本当に心が痛みます。何も考えずに見てるとハッピーエンドに見えますが、大事な人たちはたくさん死んでしまったので、それでも尚、心から笑うというのは、芯が強くないとできないことです。普通は酒浸りとか気持ちが病んでしまうレベルの内容ですからね。娯楽なので、そこまで考えてる人はいないと思いますけど。そういえば、カウンのお母さんはどうだったのでしょうか?忘れてしまいましたが、いたのかな!?ドラマでは、あたかもカウンが天涯孤独のように描かれてましたが。カウンの立場も相当苦しいはずです。ですが、そんな状況でも笑っていられる二人は、作り物という要素を除いては、立派なものだと思います。

世の中であのようなイケメンとかわいい若者が結婚する組み合わせは珍しいかもしれません。たいていはフツメンだたり、それ以下だったり・・・容姿では。やっぱり結婚に容貌は重要でしょうか?あまりのブサメンはよほどマネーを持ってないと、持ってても愛情を得られるかどうかわかりませんね。やっぱりある程度の見た目も大事ってことですか!?
どうでしょう、みなさん。

幸せですか?

来週から「秘密の扉」が始まります。私も一緒に見ようと思います!ではまた!

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