仮面の王イ・ソン11話のあらすじと感想
あらすじ
「あの玉座は実に孤独だ。朝廷の臣下たちは口々に異なることを言うだろう。誰の言葉を信じるか何が正しいかわからなくなる時が来るだろう。」
かつてイ・ユンは息子のイ・ソンに言いました。
「その時が来たらどうすればいいですか?」
「ただ、心の声を聴くのだ。誰もお前の代わりになれぬ。お前以外に責任を取る者もおらぬ。それが、王だ。」
夜のキム・グァンリョルの家。
世子イ・ソンは父の言葉を思い出していました。目の前には挙兵して辺首会(ピョンスフェ)を討つ強硬論を唱える大将軍(テジャングン)のチェ・ホンと、民を第一に考え血を流してはいけないという吏曹判書(イジョパンソ)のウ・ボがそれぞれ正座しながら異なる意見を唱えていました。
「私は・・・辺首会(ピョンスフェ)を倒したい。」
イ・ソンは言いました。チェ・ホンは意見が通ったと思い息を大きく吸い込みました。
「私の父上と母上に復讐し、禁軍別将(ピョルチャン、チョンウンの父)の仇を・・・キュホ様(ハン・ギュホ)の仇を討ちたいです。すぐにテモクと辺首会(ピョンスフェ)を討ちに行きたいです。」
イ・ソンが言うとウ・ボは失望したようにうなだれました。
大妃(テビ)の部屋。
右議政のソンギは妹の大妃に謁見しチェ・ホンが辺首会(ピョンスフェ)を倒すために北方から挙兵したがっていることを知らせました。
大妃はチェ・ホンの4万の軍ならテモクを破れるだろうと思い、挙兵を期待していました。
「お祝い申し上げます媽媽(マーマー)。」
ソンギは大妃に祝辞を述べました。
大妃もテモクに勝ったつもりでいました。
大妃もテモクに勝ったつもりでいました。
キム・グァンリョルの家。
「だが。そうはできません。まだ辺首会(ピョンスフェ)の実態を調べられていません。国境の軍を動かしたとしても辺首会(ピョンスフェ)を根絶できるとは限りません。私は王位に戻ることができるでしょう。ですが罪のない大勢の民が傷つきます。また、国が混乱すれば国境から野人(ヤイン)が攻めてくるかもしれません。内乱を起こし敵の侵入を許す王、そんな王にはなれません。国境の軍は動かしません。」
イ・ソンは言いました。チェ・ホンはイ・ソンに先王なら挙兵しただろうと考え直すようにいいました。
「民の前で恐れを見せてはならぬ。弱さを強さで隠し恐怖は残忍さで覆え。それが王だと先王様はこうおっしゃいました。しかし私は違います。大勢の民を犠牲にして王になることはできません。私は、すべての民のために王になるつもりです。民を守ることが目的なのにどうして民を犠牲にして王になれましょうか。将軍が本当に私を王だと思うなら私を信じて国境に戻り、私の民を守ってください。」
イ・ソンが言うと、チェ・ホンは感激したように身を震わせました。
「私、兵馬節度使(ピョンマチョルトサ、チェ・ホンの役職名)、主上殿下(チュサンチョナ)の王命に従います。」
チェ・ホンは正座したまま深々と頭を下げました。
ウ・ボもまた誇らしげにイ・ソンを見ると、こうべを垂れました。
日中の大妃の部屋。
大妃はチェ・ホンを部屋に呼ぶとテモクの討伐を許したのにどうして挙兵しないのか理由を尋ねました。チェ・ホンは本物の世子の命令であり本物の世子が生きていなかったら大妃の命令に従ったと答えました。大妃は急に泣き出し世子の安否を尋ねました。チェ・ホンは行商人の頭領が世子だと教えました。大妃は先王に似ていた頭領の姿を思い浮かべました。
チェ・ホンが去ると、大妃は茶を飲んでいた器を壁に投げて割りました。大妃の兄ソンギは驚いて妹に駆け寄りました。大妃はチェ・ホンに密命を下し、事がうまくいかないと一族が滅ぶと脅しました。
夜の水刺間(スラッカン)。
大妃つきのハン尚宮はハン・ガウンに大妃の客人を手厚くもてなすため失敗は許さないと茶と菓子の膳を運ばせました。
部屋。
カウンが部屋に膳を持って入るとそこにはイ・ソンが座っていました。
「カウナ。せめてこの茶を飲み終えるまで、私の傍にいてくれぬか?」
イ・ソンは美しいカウンを眺めながら茶を飲みました。
「まだ内人(ナイイン)を弄ぶ癖がおありなのですか?次は人を呼びます。」
「最後の一口が・・・惜しくて。」
イ・ソンは茶を残した器を置きましたが、カウンはすぐに膳を引き上げました。カウンは膳を持ったまま泣きました。
カウンはイ・ソンが飲み残した器を愛おしそうに口元に寄せるとただならぬ匂いに気が付きました。カウンは急いで先ほどの部屋に戻ろうとしました。カウンが部屋の近くまで来ると黒装束の男が意識を失ったイ・ソンをどこかへ連れ去りました。カウンはその跡を追いかけました。
イ・ソンは荷車に乗せられ兵士に崖まで運ばれると川の中に投げ入れられました。カウンは思わず声を上げそうになり口を押さえました。兵士が立ち去るとカウンは川に飛び込みイ・ソンを縛っている縄を切りました。カウンは途中で力尽きて川の中に沈んでいきました。
大妃の部屋。
ソンギが部屋に戻り言われた通りのことをしたと大妃に報告しました。
大妃はソンギを労いました。
暗がりの川岸。
イ・ソンが息を吹き返し水を吐くと浜辺にはカウンが横たわっていました。イ・ソンはカウンを起こすとカウンもまた水を吐き出しました。
「若様。」
「カウンナ。怪我はないか?」
「ご無事で・・・何よりです・・・。」
「カウンが、私を助けてくれたのか?私の命を助けるために命を懸けたのか。どうしてそんな危ないまねをしたのだ。」
「怖かったです。若様にもう会えないかと思うと怖かったのです。私の命より大切な人を失うと思うと怖かったのです。」
カウンが言うと、イ・ソンはカウンを強く抱きしめました。
イ・ソンはカウンを見つめ、両頬に手を当てると唇を近づけました。イ・ソンは自分の額をカウンの額に付け、熱い口づけを交わしました。
王の部屋。
「カウンお嬢様がいないとはどういうことだ。」
イソンはヒョンソクに尋ねました。
「お嬢様は宮殿の外に出られたようです。」
ヒョンソクは答えました。
「もうすぐ亥の刻(21時~23時)だ。どこに行ったとしても戻らないと仁政門(インジョンムン)が閉まってしまう。」
イソンはカウンのことが心配で居ても立っても居られなくなりました。
イソンはカウンのことが心配で居ても立っても居られなくなりました。
川辺。
イ・ソンはカウンを背負って歩いていました。 カウンは冷たい態度で接したことを謝りました。
「寒くないか?」
「いいえ。温かいです。このまま時間が止まってくれたらと思います。」
「私も。そう思う。」
城門前。
「私はこれで失礼します。」
カウンはイ・ソンに言いました。
「どうしても戻らねばならないか?カウンナ。お前が宮の中で何をしてもかまわないが、決して危険なことはするな。」
「若様もお気を付けください。若様(トリョンニ)に何かあれば私も生きていくことができません。宮の中でも若様(トリョンニ)は辺首会(ピョンスフェ)に狙われています。私が見ました。揚水庁(ヤンスチョン)の役人を。」
カウンはイ・ソンの手に触れました。カウンの声は少女から男の身を案じる女のそれに変わっていました(皆さん気が付きましたか?)。
「私は大妃媽媽に呼ばれて来たのだが?」
「この中に辺首会(ピョンスフェ)の間者がいるのです。私が調べます。」
「カウンナ!」
イ・ソンの声が大きくなりました。
「誰だ!」
兵士が声を出しました。
王宮の中。
イソンが落ち着かない様子で部屋を歩き回っていると亥の刻の鐘が鳴りました。カウンを捜さねばと言うイソンにヒョンソクは落ち着くように説得します。すると尚膳(サンソン)が部屋の外から声を掛け、漢城府(ハンソンブ)を見回っていた兵から報告があると言いました。
イソンが庭に出るとそこいは兵士がイ・ソンとカウンを連行して来ました。尚膳(サンソン)は大殿至密内人(テジョンチミルサンナイイン、カウンのこと)が男(ナムジャ)といるところを兵士が見つけたので捕らえてきたと指示を仰ぎました。
「宮女(クンニョ)が男と密通したら双方ともに打ち首にするのが宮中の掟です。」
尚膳(サンソン)はイソンに言いました。
「殿下。私に釈明の機会をお与えください。ハン内人は何の過ちも犯してはいません。」
イ・ソンは土下座して謝罪しました。
「殿下。私が足を踏み外し川に落ちたのです。この者は川に落ちた私を助けてくださったのです。私だけ罰してください。この者に罪はありません。」
カウンもまた土下座しイソンを庇いました。
「違います。理由はどうであれ宮女(クンニョ)ににむやみに近づいた私の過ちです。私だけ罰してください。罪のない宮女はご放免ください。」
イ・ソンは言いました。
「どうやら誤解があったようだな。この者は余の護衛だ。大殿至密内人が戻らなかったため余がこの者を捜しに行かせたのだ。」
イソンは兵士に言うと、カウンとイ・ソンを守りました。
「無事で、何よりであった。尚膳。ハン内人(ナイイン)を連れて行き温めてやりなさい。怪我をしているか見てやってくれ。」
イソンは上着をカウンに掛け、カウンを立たせて尚膳に引き渡しました。カウンは尚膳に連れて行かれました。
「聞くがよい。そちは余が大事にしている内人(ナイイン)を救い手柄を立てた。よって褒美を取らせよう。雲剣(ウンゴム、ヒョンソクの肩書)!この護衛(ピョルガム)に二十両与えよ。」
「はい殿下。早く主上殿下(チュサンチョナ)に感謝せよ。」
ヒョンソクはイ・ソンに言いました。
「ありがたき、幸せに御座います。殿下。」
「だが今後は宮女と男が接すると厳罰に処されると肝に命じよ。」
イソンはイ・ソンに言いました。
「はい。肝に銘じます。」
イ・ソンは小さい声で答えました。
「みなの者。今見たことは決して口外してはならぬ!余の噂が流れたらお前たちを厳罰に処する。」
イソンは言うと、兵士は従いました。
イソンは去りました。
城門前。
「イソン・・・まさかカウンを・・・。」
イ・ソンは衝撃を受けた様子で王宮の外に出ました。すぐに護衛武士のイ・チョンウンが駆け寄りイ・ソンを案じました。
「何があったのですか?」
王の部屋。
イソンは尚膳にハン内人(ナイイン)の様子を尋ねました。尚膳は温かい部屋で体を休めさせていると言いました。イソンは尚膳にも「先ほどの者は行商人の頭領ではなく大殿(テジョン)の護衛であった、どういうことかわかるな?」と念押しすると尚膳は理解して下がりました。イソンは仮面を外すと深いため息をつきました。ヒョンソクはなぜ行商人の頭領に気を遣うのか尋ねました。
「あの者は私の友だ。私に初めてできた、たった一人の友だ。」
「ご友人でしたか。」
「ヒョンソク」
「はい殿下。」
「私の望みはカウンお嬢様だけだ。権力や王座など必要ない。もしこの座にいなければカウンお嬢様を得られないとしたらどうすればいい?」
「恐れながら、私には殿下が何をご心配なさっているかわかりません。お嬢様は既に殿下の女人(にょにん)です。宮女はすべて王の女人です。」
ヒョンソクは言いました。
「いや。お嬢様は宮女で王の女だ。(本物の殿下がお戻りになられたらカウンお嬢様は殿下の女人になるだろう。)」
大妃の部屋。
大妃とソンギがいる部屋にチェ・ホンが呼ばれました。大妃は泣き臥せっている振りをしました。ソンギは行商人の頭領パク・チョンス(イ・ソン)がテモクにより殺されたと言いました。チェ・ホンはたいへん驚き衝撃を受けました。
「右相(ウサン、右議政)。この者と話したいので少し席を外してくれ。」
大妃は言いました。
「はい媽媽(マーマー)。」
ソンギが部屋から出て行きました。
「右相(ウサン、右議政)は私がこれほど悲しむ理由を知りません。私にはとても打ち明けることができませんでした。」
大妃はチェ・ホンに言いました。
「テモクは頭領が邸下(チョハ、イ・ソン)とは知らないはずです。どうして殺したのですか?」
チェ・ホンは大妃に言いました。
「世子は行商人の頭領として造幣権を阻みました。それでテモクの敵になったのです。(私の)世子があまりにも哀れです。」
大妃はおいおいと泣きました。
「邸下(チョハ)までテモクに殺されるとは。私はもう我慢なりません。国境の軍を率いて参ります。テモクは無論、王座にいる偽の王まで残らず皆殺しにしてやります!」
チェ・ホンは言いました。
夜のウ・ボの家。
ウ・ボは部屋でいびきをかいて眠っていました。パク・ムハはウ・ボの代わりに事務作業を命じられていました。パク・ムハは雑用を押し付けられてストレスが溜まっていました。すると部屋に突然キム・グァンリョルが現れて世子が亡くなったとウ・ボに泣きつきました。
「世子邸下(チョハ)が亡くなられたのは本当ですか?邸下(チョハ)が辺首会(ピョンスフェ)にお命を狙われたそうだ。チェ・ホン将軍からの手紙です。軍を動かすため国境に戻ったと。」
キム・グァンリョルはチェ・ホンから届いた書簡をウ・ボに見せました。
手紙を読んだウ・ボとパク・ムハは震えて泣きました。
「どういうことだ?」
帰って来たイ・チョンウンが三人に声を掛けました。
「チェ・ホン将軍が国境に戻ったのですか?早くやめさせないと!」
イ・ソンが現れるとウ・ボとパク・ムハはイ・ソンを撫でまわして生存を喜びました。
チェ・ホンは夜通し馬を走らせ国境に向かっていました。
正気を取り戻したウ・ボとキム・グァンリョルとパク・ムハは、イ・ソンとイ・チョンウンとで話し合いました。キム・グァンリョルはチェ・ホンは忠誠心が強く気性が激しいので軍を率いて都に戻ってくるだろうと言いました。
「国境の軍を動かせない理由を作ればよいのです。」
イ・ソンは言いました。
キム・ファグンの家。
イ・ソンはイ・チョンウンを連れてキム・ファグンに会い辺首会(ピョンスフェ)に殺されかけたが誰かに命を救われたと言いました。イ・ソンは咸吉道兵馬節度使(ピョンマチョルトサ)チェ・ホンが国境から軍を率いて辺首会(ピョンスフェ)を倒しに都城(トソン)に来るので阻止したいと助けを請いました。
「一つだけお伺いしていいですか?あなたを殺そうとした辺首会(ピョンスフェ)を倒そうとする将軍をなぜ止めようとするのですか?」
ファグンはイ・ソンに尋ねました。
ファグンはイ・ソンに尋ねました。
「無辜(むこ)の民を犠牲にできません。」
イ・ソンは答えました。
イ・ソンは答えました。
「ならば私はどうすればお助けすることができますか?」
日中の辺首会(ピョンスフェ)。
キム・ファグンはテモクに会いました。
「私があれほど頭領を殺さないように頼んだのに、約束してくださったのに、なぜまた頭領を殺そうとしたのですか?」
ファグンは祖父に詰め寄りました。
ファグンは祖父に詰め寄りました。
「頭領は私のほかにも敵がいるようだな。」
テモクはつぶやきました。
テモクはつぶやきました。
「お爺様以外にも敵がいるのですか?テモク様。重要な話があります。すぐに会合を開いてください。」
辺首会(ピョンスフェ)。
テモクはキム・ファグンにどうしてチェ・ホンが国境の軍を動かそうとしていることを知ったのか尋ねました。ファグンは豪商からチェ・ホンが野人と和解し(暇になったので)大妃と密会して挙兵を目論んでいると説明しました。領議政のチンミョンと左議政のホ・ユゴンも同意見だと言いました。キム・ファグンは北方の豪商に野人と取引をしないように手を打っておいたと言いました。
「野人どもに食糧が手に入らねば命の危険を感じ騒ぎ立てるでしょう。そうなればあの者は挙兵どころではなくなります。」
ファグンは言いました。
「大辺首(テピョンス)が手柄を立てたな。揚水庁(ヤンスチョン)長。国境へ迎え。うまくいかぬならどのような手を使ってもよい。チェ・ホンの首を取ってこい。」
テモクは命令しました。
テモクは命令しました。
王の部屋。
イ・ソンはイソンと筆談を交わしていました。
「なら大妃媽媽はチェ・ホン将軍が来るとお思いなのですか?」
「将軍は来ないはずだ。私が手をまわしておいた。民を犠牲にするわけにはいかぬ。カウンの事が心配だ。会わせてくれぬか?カウンは私が世子という事は知らぬ。行商人の頭領チョンスだと思っている。当分の間秘密を守ってくれ。頼む。」
イ・ソンはイソンに紙を渡しました。
イソンはそれまで一枚一枚紙を火にくべていましたが、カウンのことが書かれた紙だけはくしゃくしゃに丸めて火に投じ尚膳にハン内人(ナイイン)を呼ぶよう命じました。
ハン・ガウンが部屋に呼ばれました。
「お呼びでしょうか殿下。」
カウンはイソンに言いました。
「余が御医から授けたせんじ薬は飲んだか。」
「はい。殿下。」
「どうだ。体の具合は。」
「大丈夫です。」
「もう体を壊すな。お前が大殿(テジョン)内人(ナイイン)であることを忘れず常に体を大切にせよ。」
「はい。殿下。」
「もう下がれ。」
イソンが言うとカウンは部屋から出て行きました。
「手紙では時間がかかるので温室へ行きましょう。」
イソンはイ・ソンに手紙を渡しました。イソンの感情は高ぶっていました。
温室。
「お嬢様はもう宮女(クンニョ)です。行商人の頭領の身で宮女に会うなど重罪に値するとご存じでしょう!」
イソンはイ・ソンに強く言いました。
「カウン内人が私を助けるため川に飛び込んだ。だからカウンが心配で・・・。私が軽率だった。カウンを頼む。」
イ・ソンはイソンの気持ちに配慮して言い直しました。
「なぜ邸下(チョハ)がお嬢様を私に頼むのですか。私のほうがずっと幼い頃からお嬢様と一緒に育ち、(あなたより)ずっと長くお嬢様を知っていました。長い間身分も名前も無かった私にお嬢様が名前を付けてくださいました!一緒に読み書きも習い・・・お嬢様はっ!!!」
イソンは怒っていました。
「慕っているのか?お前も、慕っているのか?」
「・・・・・・。お嬢様は仮面の王を憎んでいる理由を知っていますか?私を邸下(チョハ)と思っているからです。私と父の仇と思って憎んでいるのです。お嬢様はつまり!邸下(チョハ)を憎んでいるのです!なぜ邸下(チョハ)が邸下(チョハ)と打ち明けないのですか?どうしていつまでチョンスだと嬢様を騙すのですか!」
イソンは激情を見せました。
「私は・・・・!」
イ・ソンは言い返しかけて言葉を呑みました。
「王位は邸下(チョハ)のものです。いずれお返しします。ですが覚えていてください。カウンお嬢様は邸下(チョハ)の物ではありません。」
イソンは言いました。
辺首会(ピョンスフェ)。
テモクはなぜチェ・ホンが刀を抜いたのかキム・ファグンに尋ねました。ファグンは前から辺首会(ピョンスフェ)を憎んでいたと答えました。テモクは一人で兵を動かせるわけがないとチェ・ホンに主人がいるはずだと言いました。キム・ファグンは大妃の命令で挙兵しようとしているのは間違いないと答えました。
夜の王宮の尚膳の部屋。
メチャンは義父で恩人の尚膳と会って世子がまたテモクに殺されようとしたと言うと、尚膳は大妃の犯行だったと言いました。メチャンはそれを聞いて驚きました。
「大妃が一線を越えたのだ。警告せねばならぬ。大妃の誕生日の宴に贈り物を用意しよう。世子にも見せるのだ。」
尚膳は娘に言いました。
大妃の誕生日。
皆に称えられ大妃が上機嫌で部屋に戻ると大妃の部屋にテモクが座って菓子を食べていました。
皆に称えられ大妃が上機嫌で部屋に戻ると大妃の部屋にテモクが座って菓子を食べていました。
「お祝い申し上げます媽媽(マーマー)。さあ(上座へ)どうぞ。」
テモクは大妃の席から立ち上がりました。テモクは特別な料理「第一の膳」を大妃に見せました。膳の中には手紙が入っていました。
「北方野人が蜂起した。」
手紙にはこのように書かれていました。
「北方の野人が騒ぎ出すとは。たいへんですね。」
大妃はテモクに言いました。
「待っていたチェ・ホンが来なくて残念でしょう。」
テモクは大妃に言いました。
「それはどういうことでしょうか。チェ・ホンは発ったばかりというのにもう戻ってくるのですか?」
「永遠に来られぬようにしてもよかったのですが、一羽の鷹が国境を守っていたのでそのままにしました。それでは二の膳です。」
テモクが言うと、箱の中には「婦(正妃を迎える)」という文字が入っていました。
大妃はさらに動揺しました。
「これはどういう意味ですか?」
「ふっふっふ。孫娘が言ってました。成長した息子は嫁を迎え年長者は世から退くべきなのが世の道理ではありませんか?最後の膳です。虎の血です。どうか、昔をお忘れないよう。媽媽(マーマー)。」
テモクは第三の膳を開けると血が器に入っていました。
大妃は緊張で体が固まりました。
テモクは手を叩いて去りました。
大妃には第三の膳の意味がわかりませんでした。
大妃には第三の膳の意味がわかりませんでした。
大妃の宴。
大妃と国王、大臣たちは食事と音楽を楽しみました。
「お誕生日おめでとうございます。大妃媽媽。」
イソンは大妃に言いました。
「おめでとうございます媽媽(マーマー)。」
臣下たちは声を揃えました。
「暑さが苦手と聞き遠方より取り寄せたスイカを準備しました。」
イソンは言いました。
「ありがとう。主上(チュサン)。」
テモクに脅され浮かない表情の大妃は笑顔を作りイソンに言いました。
「さあ。ぜひ媽媽(マーマー)に贈り物をしたいという者がおります。」
イソンは言いました。
「!」
大妃が視線を前にやると、(殺したはずの)イ・ソンが貢物を入れた箱を持って現れました。酒を飲んでいた右議政のソンギは驚いて杯を落としてしまいました。
「お祝い申し上げます。大妃媽媽。」
イ・ソンは言いました。ウ・ボは宴の席につきながらイ・ソンを見守っていました。
「大妃媽媽がお目を掛けていたと聞き、特別に呼び寄せました。お気に召さねば・・・。」
イソンは口を開けたまま固まっている大妃に言いました。
「よいのだ主上。お気遣いありがとうございます。頭領そちに会うのは久しぶりだな。なぜ訪ねて来なかった。」
大妃は言いました。
「申し訳ございません。こちらから伺うのは無礼ゆえ媽媽(マーマー)に呼ばれるのを待っておりました。」
イ・ソンは言いました。
「そ・・・そうか。私も呼べばそちも気楽よのう。これからはいつでも訪ねて来られるよう言っておく。いつでも来なさい。」
大妃は動揺を隠せないままイ・ソンに言いました。
「恐れ入ります。媽媽(マーマー)。」
イ・ソンは部屋から出て行きました。
大妃がソンギに目をやると、ソンギは大妃から視線を逸らしました。
メチャンは五人の男の芸人にぬかりなく実行するよう命じました。
夜の王宮。
カウンは膳を運ぶ際中にイ・ソンと顔を見合わせ微笑しました。イ・ソンもカウンに笑顔を返しました。カウンはイソンに膳を運びました。
「(カウンナ。実は、あなたの父を殺した愚かな世子は・・・私だ。)」
イ・ソンは心でカウンに話しかけました。
「余の傍にいろ。」
イソンはカウンの手を掴みました。カウンは言われた通りに座るとイ・ソンを見ました。
「今からその昔、ある国の王室で本当にあった話をお聞かせしましょう。」
五人の芸人衆が現れました。
大妃と大臣もまた芸人たちの影絵を見物しました。
「皇帝に息子がなく国中が憂いでいると、ついに側室の一人が息子を産みました。ほほほ。そちは皇室に喜びをもたらした。どう褒美を与えればよいか。喜尊妃と書いてヒギビだ。今からそちはヒギビだ。はっはっは。」
「虎の血で名を書いてやれば健やかに育つものだ(皇帝役の声)。」
「恐れ入ります殿下(ヒギビ役の声)。」
回想シーン。
昔の辺首会(ピョンスフェ)。
テモクは皇子に貢物をするよう兵曹正郎(ピョンジョチョンナン)ソンギ(当時は大臣ではなく青色の官服の身分)に命じました。ソンギは大妃に貢物を先に見せました。ソンギは辺首会(ピョンスフェ)の一員でした。貢物は青磁の玄武のような動物を模った置物でした。
「ヒギビ。陛下(ペハ)の寵愛を奪ったお前が産んだ子が太子(テジャ)とは。私が許す物か。邪気払いの儀式で使う虎の血に毒を混ぜてやろう。一滴、二滴。三摘。これで太子は死ぬだろう。ははは(お妃役の声)。」
回想シーン。
ソンギが持ってきた置物から赤い毒が産湯に注がれました。大妃の手の者(医女)は大妃が持ってきた陶器を本物とすり替え産湯に混ぜたのでした。
(赤子の鳴き声)
大妃は動揺しました。
「この芝居は本当にあったことだ。お前は生まれてすぐ実際に毒に冒されたのだ。」
ウ・ボは隣にいたイ・ソンに囁きました。
回想シーン。
「お前は生まれてすぐ死にかけたことを覚えているか?」
先王イ・ユンは言いました。
「はい。その病のせいで仮面を付けたと聞きました。」
「病ではなく毒だ。」
「これが事実なら、私が生まれてすぐ毒殺しようとしたのは・・・。」
イ・ソンは大妃を見ました。
「国王陛下。どうか忘れないでください。」
芸人は言いました。
回想シーン。
「どうか、昔を覚えていてください媽媽(マーマー)。」
テモクは大妃に言いました。
「皇妃陛下が毒を使い太子を殺そうとしたのだ。太子は皇妃を生かしておかぬでしょう。」
芸人は言いました。
大妃は動揺して立ち上がりました。
「大妃媽媽!」
ソンギは驚きました。
「皆の者!明かりを消せ!」
イソンは立ち上がりました。影を照らしていた蝋燭の火が消されました。
大妃は兄に倒れかかり、イ・ソンを見ました。
感想
仮面の王イ・ソン(韓国語: 군주-가면의 주인, 中国語: 君主-假面的主人)11話の感想です。大妃が幼いイ・ソンを毒殺しようとしたことがバレてしまいました。
テモクは当時辺首会(ピョンスフェ)の会員だったと思われるソンギという大妃の兄に毒を渡し、ソンギはその毒を大妃に渡して、大妃は女医に虎の血と毒の入った血の容器をすり替えさせて生まれたばかりのイ・ソンが毒に冒された。その毒は・・・チムの花の毒なのでしょうか?その毒に打ち勝ったイ・ソンは依頼、仮面をつけて過ごすことになりました。
今回は世子のイ・ソンとハン・ガウンが寄りを戻し、キッスをして今まで以上にラブラブになりました。そこに割り込んできているイソンですが、イソンはイ・ソンとカウンの深い関係を知りません。カウンは自分の物だと主張するイソンにイ・ソンは気を遣います。
イソンは今まで以上に国王らしく振舞うようになり、カウンを大切にしていました。
ウ・ボは相変わらずイ・ソンに対して「お前」と言いため口を使っています。ウ・ボにとっては「お前」と言ったほうが言いたい事が伝わりやすいということもあるのでしょう。ドラマの中では誰もその無礼に対し指摘する人はいません。
影芝居の場面では中国の話のこととして「(皇帝)陛下」や「皇妃(ファンビ)」といった単語が出てきました。これは韓国語を知らない私でもわかりました。
テモクは劇中でチョ・テホに北方に行くように指示をして、何かあればチェ・ホンを殺してくるよう命じています。今回はそこまでの事はなかったようです。
テモクもまたすぐに大妃とその一族をどうこうしようという気はないみたいです。
仮面の王イ・ソン、次回が楽しみです。
テモクは当時辺首会(ピョンスフェ)の会員だったと思われるソンギという大妃の兄に毒を渡し、ソンギはその毒を大妃に渡して、大妃は女医に虎の血と毒の入った血の容器をすり替えさせて生まれたばかりのイ・ソンが毒に冒された。その毒は・・・チムの花の毒なのでしょうか?その毒に打ち勝ったイ・ソンは依頼、仮面をつけて過ごすことになりました。
今回は世子のイ・ソンとハン・ガウンが寄りを戻し、キッスをして今まで以上にラブラブになりました。そこに割り込んできているイソンですが、イソンはイ・ソンとカウンの深い関係を知りません。カウンは自分の物だと主張するイソンにイ・ソンは気を遣います。
イソンは今まで以上に国王らしく振舞うようになり、カウンを大切にしていました。
ウ・ボは相変わらずイ・ソンに対して「お前」と言いため口を使っています。ウ・ボにとっては「お前」と言ったほうが言いたい事が伝わりやすいということもあるのでしょう。ドラマの中では誰もその無礼に対し指摘する人はいません。
影芝居の場面では中国の話のこととして「(皇帝)陛下」や「皇妃(ファンビ)」といった単語が出てきました。これは韓国語を知らない私でもわかりました。
テモクは劇中でチョ・テホに北方に行くように指示をして、何かあればチェ・ホンを殺してくるよう命じています。今回はそこまでの事はなかったようです。
テモクもまたすぐに大妃とその一族をどうこうしようという気はないみたいです。
仮面の王イ・ソン、次回が楽しみです。
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