仮面の王イ・ソン10話のあらすじと感想
あらすじ
ハン・ガウンはヤンや亡き父の仇を討つため、民を辺首会(ピョンスフェ)から守るためと正義感に駆られて王室の宮女となりました。
「お父さま。お父さまは正義を命より尊んだ自分をわかってほしいとおっしゃいました。これであの時お父さまがどんな気持ちだったかわかる気がします。生命よりも尊いものが私にもできました。私は辺首会(ピョンスフェ)と手を組んだ国王を引きずり下ろします。」
紅を差し身なりを整え宮女の服に着替えたカウンはハン尚宮が迎えに来た輿に乗りました。カウンはコムルを切なそうに抱き締めました。
城門の前。
「カウンナ!」
カウンが輿から降りて王宮に入ろうとすると世子イ・ソンが王宮入りを阻止するために必死で走ってカウンのもとに向かっていました。
「若様(トリョンニ)。私も辺首会(ピョンスフェ)と戦います。あの者たちが正義となるのは我慢できません。」
カウンは心の中でイ・ソンに言うと、王宮の門をくぐりました。
イ・ソンは城門で兵士に阻まれ門が閉ざされました。
♪女性ヴォーカルの歌♪
「カウンナ!カウンナ!カウンナーーー!!!」
イ・ソンは何度も愛しいひとの名を呼びました。
薬草房。
イソンのお母さんはカウンが宮女(クンニョ)になり二度と出宮できなくなったことに衝撃を受けて嗚咽していました。
イ・ソンと護衛武士のイ・チョンウン、ウ・ボもカウンの宮入りに衝撃を受けました。イソンのお母さんはカウンが何も言い残さずに行ってしまったと泣きました。イ・ソンは怒りに任せてカウンを連れ戻しに行くと出かけようとしました。イ・チョンウンはカウンは自らすすんで宮女になったとイ・ソンの腕を掴んで引き留めました。
「今のお前はどうやってカウンを連れ戻すのだ?すぐに行かねばあの子が死ぬというのか?宮女(クンニョ)だ。王の女だ。お前だけでなくカウンまで危ない目に遭うぞ。待ってイソンに会ってみろ。イソンなら力になってくれるかもしれん。」
ウ・ボはイ・ソンを叱って助言しました。
夜の王の部屋。
「主上(チュサン)。この子は父親を亡くして身よりもなく寂しく生きてきたのです。哀れでしたので私が面倒を見ようと宮女に迎えました。主上はどう思われますか?主上。」
大妃はイソンに言いました。大妃の後ろにカウンが正座していました。
「媽媽(マーマー)のご意思に従います。」
イソンは間を置かずに即答しました。
「主上。ならば今日からこの子を主上の内人(ナイイン)にいたしましょう。主上はこの国の万民(マンベクソン)の父である。命をかけてお仕えせよ。」
大妃はカウンに命じました。
「はい。大妃媽媽(テビマーマー)。」
カウンは答えました。
「下がりなさい。」
大妃が言うとカウンは部屋から出て行きました。
カウンは王の部屋から出ると辺りを見回しました。辺りには女官が王の宮殿の前でかしずき兵士は微動だにもしませんでした。松明の炎が宮殿と彼らを照らして揺れていました。カウンはハン尚宮(サングン)の後について行きました。
王の部屋。
「これで主上(チュサン)との約束は果たしました。外部の者をいきなり側室にはできぬもの。ゆえにあの子を宮人(クンイン)にしました。時期を見て側室にいたしましょう。」
大妃はゆっくりとイソンに言いました。
「恐れ入ります媽媽(マングカムニダマーマー)。」
イソンは言いました。
「これで誰が味方か確信できましたか?」
「・・・・・・。」
イソンは不安になりテモクに家族を人質に取られたことを思い出すと振るえました。
テモク「大妃が贈り物(カウンのこと)をしたそうだな。ゆえに私も与えてみた。家族に会ってみたらどうだ?」
「そういえばもうお聞きになりましたか?チェ・ホン将軍(イ・ソンが懐柔したキム・グァンリョルの知人)が都に戻るそうです。」
大妃はイソンに言いました。
チェ・ホンは鎧を着たまま馬を走らせ都城(トソン)に向かっていました。
日中の辺首会(ピョンスフェ)。
「新たな大辺首(テピョンス)を紹介する。」
テモクは侍る両班たちに言いました。
「大辺首(テピョンス)様にご挨拶します。」
両班たちは声をそろえてキム・ファグンにおじぎしました。
「当分の間、皆の者は大辺首(テピョンス)に従うように。」
テモクは皆に言いました。
「はい(一同)。テモク様。」
皆が従う中、チョ・テホは表情を変えずに声を出しました。テホはファグンに憎しみと軽蔑のまなざしを向けました。キム・ウジェは頭を下げながら鋭い眼差しで娘を睨んでいました。右議政のチンミョンもまた気になる仕草を見せました。
キム・ファグンは手の者たちの中央を通りテモクの隣に立ちました。ファグンは派手な桃色の服を着て髪を結い上げて首の後ろで夫人のようにまとめていました(高麗時代の夫人のように)。
「失望させるなよ。」
テモクは孫娘に言いました。
「はい。テモク様(オルシ)。」
キム・ファグンは凛々しい声で答えました。
「トッピョンス(キム・ウジェ)から要望があった。お前がやってみろ。」
テモクは言いました。
「トッピョンスは前に出てください。チムの畑を管理したいのか。」
ファグンは父に言いました。
「はい。大辺首様(テピョンスオルシ)。」
キム・ウジェは娘に敬語を使う屈辱に耐えていました。
「トッピョンス、そちには荷が軽すぎるのでは?」
ファグンは静かに言いました。
「チムの花の管理は小さな任務ではありません。私にお任せください。」
キム・ウジェは真顔で答えました。
「珍しくまともな事を言うな。チムの花畑は辺首(ピョンス)の力の源(資金源)だ。チムの花畑の管理はお前には荷が重すぎるのではないか?」
テモクは腕組みをしながら愚かな息子を見下ろしました。
「・・・・・・。」
キム・ウジェは唇を震わせました。
「いいでしょう。トッピョンスがチムの花畑を管理しなさい。」
ファグンは父に言いました。
「恐悦至極に存じます。大辺首様。」
キム・ウジェは娘に言いました。
テモクの部屋。
チンミョンはテモクに意見しました。チンミョンは突然ファグンに全権を委ねるのは時期尚早ではないかと苦言を呈しました。テモクは辺首会(ピョンスかい)に入りたくないと出て行ったファグンが慕っていた世子を殺した自分の跡継ぎになりたいと言い出したことを疑っていたのでまずは泳がせて観察することにしたのでした。テモクはファグンが何を考えているか知りたがっていました。
ウ・ボの家。
イ・ソンは二人の行商人にチムの畑を捜索する依頼を書いた手紙を預けました。イ・チョンウンはヤンが描いた絵にあるヨゲジ山をどこから探せばよいかわからないと言いました。イ・ソンは行商人の情報網を使って捜すと言いました。イ・チョンウンは次にカウンが王宮に入って一日が経ったと話を持ち掛けました。
王の部屋。
カウンはイソンの龍衣の着替えを手伝いました。イソンのすぐ目の前でカウンは目を伏せながら働いていました。カウンはイソンの頭に国王の帽子をかぶせて王様の襟を整えてました。
「他に御用がなければ私はこれで失礼します。」
「ちょっと待って。仕事はつらくないか?」
「大丈夫です。」
「殿下。尚膳です。」
尚膳(サンソン、内官の長=内侍府長)が部屋の外から声を掛けました。
「入れ。」
イソンが言うと、カウンは二人の若い内人(ナイイン)を連れて下がりました。
イソンは愛おしそうにカウンの後ろ姿を見つめていました。
宮殿の廊下。
「カウンナ。」
イ・ソンがカウンの前に現れ手を掴みました。
「お離しください。」
カウンはイ・ソンに言いました。
「カウンナ。一体どういうことだ。」
「お離しください。宮女(クンニョ)の体に触れるということはどういうことかお分かりになりませんか?私は宮女で頭領様は王宮にいらっしゃることを忘れないでください。」
カウンはイ・ソンの手を振りほどきました。
「宮女の教育をはじめる。ついて参れ。」
通りがかった尚宮(サングン)はカウンに声を掛けました。カウンは内人(ナイイン)の最後尾についていきました。
「そちが主上殿下(チュサンチョナ)に謁見に来た行商人の頭領か?」
尚膳(サンソン)がイ・ソンに声を掛けました。
「はい。」
「君主の前に出る者は身も心も清めねばならぬ。それが臣下の務めだ(なぜか台本棒読み)。」
尚膳はイ・ソンに言いました。
回想シーン。
「世子邸下(チョハ)。大臣の前に出得るときは身も心も清めねばなりません。将来君主となられる方の心得にございます。」
尚膳は優しく世子イ・ソンに言いました。
「わかった。私は尚膳の言葉をしかと覚えておくとしよう。」
イ・ソンは言いました。
「ついて来なさい。」
尚膳はイ・ソンに言いました。
「はい。尚膳オルシ。」
イ・ソンは言いました。
謁見の間。
「私、行商人の頭領は主上殿下(チュサンチョナ)に拝謁します。」
イ・ソンは仮面をつけたイソンの前に正座しました。
「表を上げよ。」
イソンは静かに言いました。
イ・ソンは顔を上げました。国王のイソンは固唾を飲みました。イ・ソンは切なそうに国王を見ると目を伏せました。二人は心を震わせながら会話を交わしました。
「そちの名声を聞き余も会ってみたくなった。」
イソンはイ・ソンに言いました。
「恐れ入ります。殿下。多少名を知られただけにございます。名声など恐れ多いことにございます。」
イ・ソンは言いました。
「余が東宮(トングン)で会った時、内官のチョンスという者がいた。死なずに生きていたらよかったのにと・・・・何度も、何度も思ったものだ。」
イソンはイ・ソンに言いました。
「・・・・・・。私も・・・死にかけたことがあります。死んだように幾月も眠っておりました。家族も、友もすべて失った後でした。」
イ・ソンが言うと、尚膳はイ・ソンを哀れな眼差しで見ました。
「・・・・・・。どうして朝鮮中を行脚する行商人になったのだ?」
「師匠の教えで答え(ピョンスに勝つ方法)を探すためです。」
「答えは見つかったのか?」
「はい。殿下。」
「そうか。余はそちが羨ましい。世は常に厳しい視線に晒されひとときも安らかになれぬ。」
イソンは安堵したような声で言いました。
「申し訳ありません。」
イ・ソンはイソンの心中を察し胸を痛めました。
「そちが詫びることはない。次はもう少し堅苦しくない場で会いたいものだ。その時はそちともっと話したいものだ。」
「さようにございます。殿下。私は最後にお伺いしたいことがございます。先日虹(ムジ)が現れ王宮に入りました。」
「虹だと?」
「これはこの国のさら(加)なる恩恵に違いありません。」
「(虹が王宮に入っただと?国への加(カ)なる恩(ウン)恵・・・ハン・ガウン(加恩)!世子邸下がなぜカウンお嬢様のことを?)そうであったか。世は虹(カウン)を見ておらぬ。」
イソンは疑問に思い、大妃がカウンを側室にする話を思い出しました。
「・・・・・・。」
イ・ソンは衝撃を受けたように頭を垂れました。
内人(ナイイン)の教育部屋。
「今日はこれで終わります。」
宮女の教育係であるメチャンが内人(ナイイン)への授業を終えました。内人(ナイイン)たちはメチャンに頭を下げると部屋から出て行きました。
「まさかここにいらっしゃるとは。」
部屋に残ったカウンはメチャンに言いました。
「私こそお嬢様にお目にかかる思ってませんでした。」
尚宮の服を着ているメチャンはカウンに言いました。
「客主(ケクチュ)様(ニム)も宮女になったのですか?」
「ええ。宮女に詩などを教えるようにと命令を受け尚宮(イプサングン)になりました。」
「お尋ねしたいことがあります。死んだヤンは字が書けませんでした。尚宮様(ママニム)から貰った地図には漢字で地名が描かれていました。絵も子どもが描いたと思えないほど精巧でした。どうしてあの地図を頭領様にお渡ししたのか聞いていいですか?」
「頭領様の害になることはしていません。ですがあの(本物の)地図が害にならないとは限りません。」
「なら、どうして?」
「私も描きたくて描いたのではありません。描くしかなかったのです。実は、私も・・・。」
メチャンが言いかけると扉の隙間が開き、風が吹き込みました。
「話し過ぎて時間が来ました。」
メチャンは人の気配を感じ話題を変えカウンに漢字を書き置きました。
夜の王宮の一角。
「遅かったな。」
(尚膳の声がしました。)
「申し訳ありません。」
「お前が知っている子か?ヤンという娘は。」
「一度会っただけですが気になりました。私と同じ境遇でしたので。あの子はチムの毒で手の施しようがありませんでした。私もあの時お父さまに救われていなければあの子のように死んだでしょう。感謝します。お父さま。」
「何か言いたいことがあるのだな。何だ?」
「我々の力と情報で助けられませんか?これまで世子邸下(イ・ソンのこと)を見てきました。あの方なら民を救う王になれるはず。」
「ならぬ。あの者もまた、逆徒の子だ。それで世子にあの地図を描いてやったのか?テモク、大妃、世子。誰にも肩入れするな。勢力の均衡を保ってこそ勢力は動けず争いは起きぬもの。我々の安全もまた脅かされぬ。心せよ。王などおらぬ。」
尚膳は姿を現しメチャンに言いました。ました。
王宮の一角。
「余はそちが羨ましい。世は常に厳しい視線に晒されひとときも安らかになれぬ。」
世子イ・ソンはイソンの言葉を思い出して王の寝殿を振り返りました。
王宮の一角(別の場所)
イ・ソンはカウンに出会いました。イ・ソンはカウンの後を追いかけました。
「お話があります。ヤンの描いた地図です。本当の場所はわかりませんが、京畿道にあることは事実です。時間はかかるかもしれませんが、必ず見つけられます。では。」
カウンが去ろうとするとイ・ソンはカウンの手を掴みました。
「息災か?華やかでも心休まぬのが王宮だ。大丈夫か?どこか悪くないか?カウナ。私たちの縁は終わったと思っているのか?」
「私は宮女になりました。頭領と私たちの縁はもとには戻りません。(頭領と一緒にいられないことがこれほどつらいとは思いませんでした。)」
カウンはイ・ソンの手を放しました。カウンの瞳から涙がこぼれました。
「一言だけ言ってくれ。そうしたら私がこの縁を取り戻そう。お前の心にまだ私がいるという、その言葉を。」
イ・ソンはカウンの前に立ちました。
「・・・・・・。」
カウンは涙を流して去りました。
イ・ソンは悲し気にカウンの背中を見つめました。
そんな二人をイソンは動揺しながら見守っていました。ヒョンソクはイソンを守っていました。
王の部屋。
「尚膳はいるか!すぐに大妃殿へ行く。準備せよ。」
仮面を外したイソンは尚膳に背を向けたまま命じました。イソンの瞳も涙で濡れていました。
「殿下。今日はもう夜も更けました。大妃媽媽(ママ)には明日お会いになるほうが・・・。」
尚膳が言いかけました。
「今すぐ大妃に会いに行く!」
嫉妬に駆られたイソンは声を荒げました。
「はい。殿下。」
尚膳は引き下がりました。
大妃の部屋。
「ようこそ主上。こんな時間に何か御用ですか?」
大妃はイソンに言いました。
「媽媽(マーマー)にお願いがあります。いますぐハン内人(ナイイン)を側室にしてください。かならず側室にすると約束してくださったではありませんか。」
イソンは焦ったように大妃に言いました。
「無論。主上とそのように約束しました。」
「ならすぐにあの娘を側室にしてください。」
「主上。ハン内人(ナイイン)を側室にと急がれるのはわかります。しかしあの子はまだ宮に上がったばかり。まずは宮女として教育を受けるのが筋です。それが女命婦(ネミョンブ)の掟です。」
「本当にそうしてくますか?約束するふりをして先延ばしにするのではありませんか!?」
イソンはさらに慌てました。
「主上。」
「あ・・・申し訳ありません。媽媽(マーマー)。」
「主上がお急ぎになるお気持ちはわかりますが、あの子を側室にするのとあの子の父の大逆罪人の汚名をそそぐのとどちらが先ですか?大逆在任の子が側室になれると思いますか?」
「・・・汚名をそそぐのが道理です。」
「では私がその父の汚名をそそぐとすれば反対するのは誰ですか?」
「テモク・・・。」
イソンは姿勢を変えて大妃に土下座しました。
「主上。」
大妃は驚きました。
「大妃媽媽(ママ)。辺首(ピョンス)の傀儡の王など情けないとお思いでしょう。媽媽(マーマー)はご存じないかもしれませんが訳があるのです。ですがあの者を側室にするという約束だけはお守りください。お願いします。」
テモクの部屋。
「王が今日行商人の頭領に会っただと?」
テモクはファグンから話を聞きました。
「はい。これは大妃が手の者を内人(ナイイン)にしたようです。あの子と頭領とで王を操ろうとしているのです。」
ファグンは答えました。
「なら頭領は大妃の手の者か?」
「はい。」
「では私の孫はじきにいなくなる大妃の手先にすぎぬ者(頭領)を守るために大辺首(テピョンス)になったのか?ハッ・・・お前は何を考えている。そんなことが通じると思ったか。肝に銘じておけ。人は秘密があるとどれだけ有能な者でも愚かなことをするものだ。ふっふっふっふ。ふっふっふっふ。」
テモクは鼻で笑いました。
「・・・・・・。」
ウ・ボの家。
イ・ソンはウ・ボとイ・チョンウンとパク・ムハにカウンが地図の場所が京畿道のどこかにあると教えてくれたと話しました。
「深く考えすぎでは?邸下(チョハ)が宮殿に戻られ王になったら邸下(チョハ)の女人(にょにん)になるのだろ?」
パク・ムハはその場を和ませようとしてウ・ボに叩かれました。
ウ・ボはパク・ムハに消えてほしいと思いました。
日中の王宮、勤政殿(クンチョンジョン)。
国王と大臣が揃った中で咸鏡道から戻ったチェ・ホン将軍が入ってきて挨拶しました。
イソンは北方の異民族と戦い国境を守っているチェ・ホン将軍の労を労い駿馬二十頭与えて手柄を称えました。チェ・ホンは御賜酒を一口頂戴できるだけで十分だと答えると、イソンは将軍のために二日後に宴を開くと言いました。
「将軍がこんなに早く到着すると知らずに日取りを遅らせたのです。」
領議政のチンミョンは軽蔑するように言いました。
「私が殿下にご挨拶しているのが見えませんか!」
チェ・ホン将軍は大きな声を出して領議政のチンミョンを怒鳴りました。
「いくら大将軍(テジャングン)でも領相大監(ヨンサンテガム)に何を言うのですか。」
左議政(チャイジョン)のホ・ユゴンは言いました。
「口出ししないでください。私は気が短いのです。話は後にしてください。」
チェ・ホン将軍は言い返しました。
「わっはっはっはっは。うっはっはっはっは。千里の道を馳せ参じたのに今宵酒が飲めぬと将軍はご立腹だ。」
ウ・ボは余裕を見せて笑いました。
「ふふん!」
チェ・ホン代将軍は本音を指摘され照れる気持ちを隠しました。
右議政のソンギは笑いをこらえました。
「将軍。今宵は私が朝鮮一の妓生をご案内致しましょう。」
ウ・ボは言うと酒を交わす仕草を見せました。
「・・・・・。」
チェ・ホン将軍はウ・ボの話に興味が湧きました。
大妃の部屋。
右議政のソンギは大妃に事の次第を報告しました。大妃はなぜチェ・ホンが都に来たのか尋ねると、ソンギは隣国の王が病にかかり後継を巡り争いが起きそうのでどの王子と手を組めばよいか国王に相談に来たのだと説明しました。
大妃は辺首会(ピョンスフェ)を憎み都城(トソン)に近寄らなかったのになぜ来たのか不思議に思いました。ソンギは深く考えずに一万の騎兵を持つ大将軍(テジャングン)を味方につけるいい機会だと言いました。
夜のキム・グァンリョルの家。
チェ・ホンはキム・グァンリョルを訪ね呼び寄せた理由を尋ねました。
キム・グァンリョルは自信満々のチェ・ホンに国王が辺首会(ピョンスフェ)が立てた偽物だと教えました。チェ・ホンは口を大きく開けて驚きました。
日中の王宮。
「しばしそちと話せるか。吏判(イパン)。」
仮面をつけた王(イソン)は盆に乗せた王命を両手で持ったまま固まっているウ・ボに声を掛けました。
王宮の楼閣。
「吏判(イパン)が朝廷に現れた時嬉しく思った。唯一の味方ができた気がした。」
イソンは穏やかな声でウ・ボに言いました。
「・・・・・・このような私めが殿下のお力になれるなら光栄です。」
ウ・ボは言いました。
「吏判(イパン)がそのような慎み深い事を言うとは。私が知る吏判は・・・。つまり、私は吏判の噂を聞いてよく知っているのだ。」
「私が世の道理と無縁な暮らしをしてきたという噂でしょうか。私めのことをよくご存じならしばし楽にお話してもよいでしょうか。」
ウ・ボは静かにイソンに言いました。
「そうしてください。」
「殿下に聖君になれ、民を慈しめと助言する者(大妃)がいたら糞(ケトン)にもならぬ話はやめちまえ!そう思ってください。」
ウ・ボが大きな声で言うと、控えていた尚膳と尚宮、女官は驚いて顔を上げました。
イソンは目を閉じてウ・ボの話を聴きました。
「ふふ・・・。」
「殿下が今なさるべきことはこの国朝鮮を治める前に、まずは自身を慈しみ治める。ご自身の王にならねばなりません。必ずそうなさると信じています。」
「吏判(イパン)の言葉。忘れぬぞ。余もひとつ吏判(イパン)に助言しよう。」
「はい。殿下。」
「これ以上、動く出ない。静かに過ごされよ。世は吏判(イパン)が傷つくことは見過ごせぬ。吏判(イパン)は余の言葉を覚えていてくれ。」
イソンは去りました。
大妃の部屋。
大妃は慌てたように悩んでいました。大妃に呼ばれてカウンが部屋に現れました。大妃はカウンに任務を命じました。
「半月に一度辺首(ピョンス)を主上が訪ねる。その者たちが毎回主上に渡す物が何か調べてほしい。」
「国王を降ろすことになるのでしょうか?やります。」
カウンは言いました。
夜。
キム・ウジェとチョ・テホが王宮に入り内官に木箱を渡しました。
王の寝室。
イソンは蚊帳のなかで眠りに就きました。
カウンは王の寝室の花瓶に隠されている小さな木の筒を見つけました。音がしたのでカウンが筒をもとに戻して隠れる場所を探しているとイソンは蚊帳の中にカウンを引き込み口を押さえました。そこに尚膳が部屋に入ってきました。
「殿下。水をお持ちいたしました。」
「わかった。下がるがよい。ほかにご命令はありませんか?」
イソンは尚膳に言いました。
「もう下がれと言ったであろう。」
イソンは声を強めました。
「はい殿下。」
尚膳は下がりました。
カウンが視線を下げると黄金の絹の布団に仮面が置かれていました。
「動くでない。しばしこうしていろ。」
「罰をお与えください殿下。恐れ多くもお休みを妨げてしまい私めを・・・。」
カウンはその場で土下座しました。
「よいのだ。このまま行くがよい。振り返らずに。誰かに会ったら余に呼ばれたと申せ。ところで、なぜ何度も危ない真似をするのだ?」
イソンは優しくカウンを立たせました。カウンは簾の向こうから振り返ると黙って去りました。
大妃の部屋。
「変わったことなどなかったか?」
大妃はカウンに尋ねました。
「はい媽媽。蘭の花瓶がありましたがただの蘭でした。飾りに竹筒が挿してありましたが変わったことはありませんでした。」
国王の優しさに触れたカウンは嘘で答えました。
「貴重な蘭ではなかったか?」
「普通の蘭でした。」
「主上は珍しい物にこだわる方ではない。こだわるのは・・・。ご苦労だったな。」
大妃はカウンを見ました。
「お役に立てず申し訳ありません。」
「よいのだ。寝所の様子を見てきたではないか。お前を主上のおそば仕えにしてよかった。戻るがよい。」
王宮の庭。
「また私を助けてくれた?一体なぜ?」
カウンは不思議に思いました。
日中の大妃の部屋。
大将軍(テジャングン)チェ・ホンは大妃に会い国王は本物ではないと言いました。大妃は慌てた様子で何を言うのだと焦りました。
「王は本物の世子ではありません。辺首会(ピョンスフェ)が用意した偽物です。」
「違う。違います。一度も疑わなかったと言えばうそになります。先王様は辺首(ピョンス)に殺されたのに主上は何もしませんでした。」
大妃は言いました。
「あの日私はあの場に来られず悔しいです!」
「ご自分を責めないでください将軍。将軍が軍を動かしたら国境から敵が攻めてきたでしょう。」
「今は五年前と違います。国境の軍を動かすことができます。一万の騎兵と三万の歩兵が二十日あれば都城(トソン)に到着します。私は大軍を率いて辺首会(ピョンスフェ)を討って国と王室を立て直します。媽媽(マーマー)はどう思われますか?」
テモクの部屋。
キム・ファグンはチェ・ホンが大妃に会ったとテモクに言いました。
テモクは国境の鷹が都に現れ警戒しました。チンミョンとホ・ユゴンもまたチェ・ホンの狙いがわかりませんでした。テモクはファグンにチェ・ホンと大妃が何を企んでいるか調べるように命じました。テモクは刺客の指揮権を示す鞭を取り出しファグンに与えました。
「辺首会(ピョンスフェ)の存亡はお前の手にかかっている。」
王宮の一角。
キム・グァンリョルはウ・ボに会いチェ・ホン将軍が世子に会いたがっていると言いました。ウ・ボはなぜチェ・ホン将軍が都城(トソン)に現れたのか尋ねました。キム・グァンリョルは世子に会えばわかると答えました。
夜の都城(トソン)。
酔っぱらった振りをしていたチェ・ホン将軍は辺首(ピョンス)の追ってを撒いて逃げました。
イ・ソンもまたイ・チョンウン護衛のもと待ち合わせ場所に向かっていました。
キム・グァンリョルとチェ・ホンはイ・ソンに会いました。
キム・グァンリョルの部屋。
チェ・ホンは世子と話をしました。
イ・ソンはイソンは悪くないとチェ・ホンを説得しようと思いましたが、チェ・ホンはイソンを含めて辺首会(ピョンスフェ)すべてを倒すと言いました。
「国境の軍を動かせば野人(ヤイン)が攻めてきます。」
イ・ソンは慌てました。
「隣国とは既に話がついております!ご決断ください!」
チェ・ホンは言いました。
「なりません!」
ウ・ボが庭から叫びました。
「先生!」
イ・ソンたちが庭に出ると、ウ・ボは正座しました。
「殿下。国境の軍を動かし辺首(ピョンス)を討てば内乱を起こすと同じ事。犠牲となる民のことをお考え下さい。多くの民を犠牲にして王になられるというのですか?そのような王に民がついていくと思うのですか?」
ウ・ボは言いました。チェ・ホンは気を逃せば二度と辺首(ピョンス)を倒す機会は来ないとウ・ボの隣に正座して言いました。
「私が躊躇している間に多くの者が死ぬでしょう。いつまで耐えればよいのですか!この戦いはいつ終えられるのですか?師匠。」
「邸下(チョハ)の一生をかけねばならないでしょう。辺首(ピョンス)との闘いは一生終わらない苦しい戦いとなるでしょう。しかしこれこそが民を救い辺首会(ピョンスフェ)を倒す唯一の道なのです。」
ウ・ボは心を込めて言いました。チェ・ホンは挙兵を唱えました。
二人の家臣がイ・ソンに決断を求めました。
「・・・・・・。」
感想
仮面の王イ・ソン(韓国語: 군주-가면의 주인, 中国語: 君主-假面的主人)10話の感想です。カウンの中で正義が芽生え、父のように民のために戦うはずが・・・国王を失脚させることが正しいと勘違いしています。
今回からチェ・ホン大将軍(テジャングン)というどこかで見た俳優さんが登場しました。チェ・ホンを演じているのは「大祚栄(テジョヨン)」でフクスドルを演じ「客主(ケクチュ)」でも悪い豪商キム・ハクチュンを演じたキム・ハクチョルです。私はこの俳優さん、好きじゃないのですが(笑)この人が出ている作品はどれも駄作になってしまうので。
今回のベストシーンは・・・やっぱりイソンがカウンを背後から抱く場面でしょうか。それとも世子のイ・ソンが復縁を迫っているときにカウンが涙を流して耐えてる場面でしょうか。どちらも胸キュン・・・的な場面でしたね(私はキュンキュンしませんでしたが)。
私、今回のドラマでウ・ボを演じている俳優さんの評価を見直しました。パク・チョルミン氏の役柄はバカバカしい道化の役が多くてそんなに好きな俳優さんではありませんでしたが、ウ・ボみたいな変わり者を装って本心はド真面目な役柄もデキるんだなと関心しました(笑)
テモクの俳優さんは「ホテリアー」も見てたので好きですけどね。
今回からといえば、キム・ファグンの演技が凛々しいものに変わりました。優雅なお嬢様経営者から「戦う女」に演技が変わりましたね~。ファグンちゃんもかわいいです。カウンちゃんはまだ大妃に騙されたり本領発揮できてないので、お嬢様も後で「強い女」の演技に変わっていくのでしょうか。
今回はイ・ソンよりも周辺人物の行動に詳しくフォーカスされていてボリューム満点の内容でした。
尚膳はドラマの中で世子のイ・ソンを哀れみの目で一瞥しました。後の会話を見るとどうやら尚膳とメチャンは世子の正体を知っているみたいですね。
今回からチェ・ホン大将軍(テジャングン)というどこかで見た俳優さんが登場しました。チェ・ホンを演じているのは「大祚栄(テジョヨン)」でフクスドルを演じ「客主(ケクチュ)」でも悪い豪商キム・ハクチュンを演じたキム・ハクチョルです。私はこの俳優さん、好きじゃないのですが(笑)この人が出ている作品はどれも駄作になってしまうので。
今回のベストシーンは・・・やっぱりイソンがカウンを背後から抱く場面でしょうか。それとも世子のイ・ソンが復縁を迫っているときにカウンが涙を流して耐えてる場面でしょうか。どちらも胸キュン・・・的な場面でしたね(私はキュンキュンしませんでしたが)。
私、今回のドラマでウ・ボを演じている俳優さんの評価を見直しました。パク・チョルミン氏の役柄はバカバカしい道化の役が多くてそんなに好きな俳優さんではありませんでしたが、ウ・ボみたいな変わり者を装って本心はド真面目な役柄もデキるんだなと関心しました(笑)
テモクの俳優さんは「ホテリアー」も見てたので好きですけどね。
今回からといえば、キム・ファグンの演技が凛々しいものに変わりました。優雅なお嬢様経営者から「戦う女」に演技が変わりましたね~。ファグンちゃんもかわいいです。カウンちゃんはまだ大妃に騙されたり本領発揮できてないので、お嬢様も後で「強い女」の演技に変わっていくのでしょうか。
今回はイ・ソンよりも周辺人物の行動に詳しくフォーカスされていてボリューム満点の内容でした。
尚膳はドラマの中で世子のイ・ソンを哀れみの目で一瞥しました。後の会話を見るとどうやら尚膳とメチャンは世子の正体を知っているみたいですね。
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