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仮面の王イ・ソン12話のあらすじ感想 Ruler:Master of the Mask 李煊


仮面の王イ・ソン12話のあらすじと感想

仮面の王イ・ソン

あらすじ

夜の大妃の部屋。大妃は誕生日祝いの宴でテモクから三つの贈り物を受け、殺したはずのイ・ソンから貢物を献上され、夜にはかつて世子を毒殺しようとしたことを演じた影絵の芝居を見て気が動転して倒れた振りをする以外にどうすることもできなくなりました。床に臥せった振りをしている大妃は御医の脈診を受けていました。偽の国王イソンは心配そうに大妃の様子を見守り早く薬を煎じるよう御医(オイ、最高位の医者)に命じました。国王付きの宮女(クンニョ、王の侍女)のハン・ガウンは大妃付きのハン尚宮に大妃の様子を尋ねました。ハン尚宮は「大妃様が回復したら教えてやるので待っているように」命じました。カウンは大妃殿から出てきたイソンと目が合いました。イソンはカウンをしばし見つめた後に尚宮と宮女を従え大殿(テジョン)に帰りました。

国王の部屋。
「今日はとても失望したであろう。そう気を落とすな。余が媽媽(マーマー、大妃のこと)にそちの父の無念を晴らしてくれるよう伝えておこう。」
イソンは国王の帽子を外したカウンに言いました。
「なぜですか?殿下はなぜ私を助けてくれるのですか?殿下は私の父を・・・。」
カウンは国王の優しさに戸惑いました。
「お前の父を殺した仇か?」
イソンは優しく、ゆっくりとカウンに言いました。
「・・・・・・。」
カウンは国王から視線をそらしました。
「私ではないのだ。お前の父を殺したのは・・・私ではない。」
「そんなはずありません。私は直接見たのです。」
「仮面に隠された顔まで見たのか?殺していない。」
「・・・はっ・・・。」
「平素に言ってはならぬことを言ってしまったな。余が真実を言うまで当分は、秘密にしておいてくれ。」
イソンの心もまた乱れてしまいました。

寝所の前。
「王でないなら、一体誰が、誰がお父さまを殺したの?」
カウンは王の寝殿を振り返りました。

大妃の部屋。
大妃は床に臥せった演技を終え、兄で右議政のソンギとハン尚宮から報告を受けました。ハン尚宮は芸人を問い詰めたところ、すべて命令通り芝居をしただけだと言いました。
大妃は誰が命令したのか尋ねると尚宮は大妃付きの内人(ナイイン)だと答えました。大妃は激怒し(殺したはずの)世子(セジャ)はどうなったのかとソンギにも怒鳴りました。ソンギは縮こまりながら確かに深い川に沈めたのにどうやって助かったのか、何としてでも、もう一度世子を暗殺すると答えました。
「もう結構です。どのみちチェ・ホンの軍も来ません。今私が相手にすべきは世子ではなくテモクです。奴め・・・あのような影芝居で私を愚弄するとは。」
「本当にテモク様なんですか?」
ソンギは言いました。

ウ・ボの家。
イ・ソンはウ・ボとイ・チョンウンとパク・ムハと話し合っていました。パク・ムハとチョンウンは影絵を仕掛けたのはテモクに違いないと言いました。ウ・ボは辺首会(ピョンスフェ)も関わっている世子の毒殺をテモクが明らかにする必要があったのか疑問を呈し二十年前の秘密を知っている別の者の仕業だと言いました。

日中の大妃の部屋。
ソンギは大妃のご機嫌伺いに現れました。
立腹している大妃はソンギを怒鳴るともうじき国王の中殿(チュンジョン、王妃)選びが始まると言いました。
「テモクはもうすぐ中殿を選ぼうとするでしょう。中殿を決めてあやつは私を隠居させるつもりだろう。朝廷で王妃選びの話が出ぬよう手をまわしてください。右相(ウサン、右議政)は一体できることはないのですか?」
大妃はテモクに隠居を唆されたことを思い出し根回しは無理だと言うソンギに何とかするよう命じました。その時部屋の外からハン尚宮が行商人の頭領が謁見に現れたと言いました。大妃は頭領を部屋に通すよう命じました。

大妃の部屋に殺したはずのイ・ソンが現れました。
「(来たか・・・殿下の、楹嬪(ヨンビン)の息子ソンよ。)早く座りなさい。昨日はお前たちの前で醜態を晒してしまった。」
大妃は心の中でイ・ソンを憎みました。
「いいえ。媽媽(マーマー)。お体は大丈夫ですか?」
「だいぶよくなった。今日は何の用だ。」
「テモクに・・・!私めを殺されかけました。川に身を投げ込まれたものの何とか助かりましたがこうして怒りを抑えきれずに参りました。どうして恨みを晴らさずに人と言えましょうか。媽媽(マーマー)。私の知恵をお貸ししますので、どうか、テモクを討つためにお使いください!」
イ・ソンは大げさに演技して見せました。
「そなた。テモクに殺されかけたのか?」
「テモクはきっと、中殿(チュンジョン、王妃)を選ぼうとするはずです。中殿を迎えて実験を握らせ女命婦(ネミョンブ)を支配し、媽媽の力を弱めようとするはずです。」
「ならば、どうしたらよいのだ?」
「王妃選びを阻む方法は・・・ありません。殿下は成人になられ、先王様の喪は開けました。命婦(ミョンブ)の妃選びはどうしても阻止できません。」
「なら一体どうするのだ。」
ソンギは言いました。
「棄子争先(キジャセンソン)。囲碁では先手を取ることが重要です。政治で主導権を握ることが重要です。王妃は討議して決めるものです。媽媽(マーマー)が王妃選びをお始めになり主導権をお握りください。そもそも王妃選び(チュンジョンカンテ)は本来女命婦(ネミョンブ)の首長(スジャン)である媽媽(マーマー)に権限があります。守勢につくのではなく攻勢に出るのです。」
イ・ソンは言いました。
「頭領。そちは正しい。どのみち中殿を選ぶならこちら側の者を据えるほうがよい。」
大妃はイ・ソンに言いました。
「テモクの手の者を中殿にはできません。私が媽媽をお支えします。」
イ・ソンは勇ましく言いました。
「そちの話を聴き、私の長年の胸のつかえが降りたようだ。」
大妃は言いました。
「では大妃様のお呼び出しをお待ちしております。私はこれで失礼します。」
イ・ソンは下がりました。
「世子は、当分生かしておきます。」
大妃はソンギに言いました。
「大丈夫ですか媽媽(マーマー)。」
ソンギは大妃に言いました。
「今は世子の知恵を借りテモクを倒すほうが先です。」

イ・ソンは大妃殿の前で、大妃が思惑通りに術中にかかったと思いました。

夜の辺首会(ピョンスフェ)。
大辺首(テピョンス)のキム・ファグンは十人程度の朝廷の重臣を呼び、女命婦(ネミョンブ)の実権を握るため、女命婦(ネミョンブ)の首長(スジャン)となる王妃選びの準備をするよう命じました。左議政のホ・ユゴンはどうやって中殿(チュンジョン)を選ぶのかファグンに尋ねました。キム・ファグンは左議政のホ・ユゴンと領議政のチンミョンに娘がいるか尋ねました。その時急にチム畑を見張ってる下級役人(兵士)が部屋に転がりこみチムの薬が欲しいと懇願しました。
「トッピョンス(キム・ウジェ)様。私にクスリを下さい!」
「ネイノン!子ども一人探し出せぬ貴様がどうしてここに来られようか。」
キム・ウジェは見張りの男に怒鳴りました。
「申し訳ございません。」
兵士は中毒症状を呈しながら謝りました。
どういうことか理由を尋ねるファグンに、父のウジェはこの男が子ども一人の逃亡を許したと言いました。兵士は謝りました。ウジェは兵士を蹴倒すと毒を与えようとしました。
「何事だ。」
そこにテモクが現れウジェは手を止めました。
「テモク様。」
「チムの毒を与えるのはいつだ。」
テモクは息子のウジェに手を出しました。ウジェはチムの毒をテモクに返しました。
「一日と十五日と、一月に二度です。」
ウジェは答えました。
「それ以外はどうする。」
「どうなろうとも、どんな理由があろうとチムの毒を出すことはできません。」
「国の王の場合どうだ。」
「国王にも出せません。」
「掟を破ればどうなる。」
「お許しくださいテモク様!」
ウジェは土下座しました。
「ふう・・・もう少し遅かったらお前を生かしておいけなかったな。」
テモクは床に丸薬を投げると兵士の目の前で踏みつぶしました。兵士は息絶えました。
「これでチムの毒をどう管理すべきかわかったな!」
テモクはウジェの襟首を掴みあげました。
「はい・・・。」
ウジェは力なく答えました。
イ・ソンは大妃殿の前で、大妃が思惑通りに術中にかかったと思いました。

日中の王宮。
「お前との約束を守れずすまなかった。あの日テモクを討ちお前の父の無念を晴らすはずが・・・。」
大妃はカウンの手を握り謝りました。
「ならば、私の父の約束はどうなるのですか?」
「私を信じて最後まで力を貸してくれるか?そうしてくれたら必ず私は約束を守ろう。」
「はい・・・大妃媽媽。」
「以前、王に辺首会(ピョンスフェ)が渡した物が鉢だと言ったな。どう見ても怪しい。お前が見た竹筒を持って来られるか?」

山。
キム・ファグンは珍しく上機嫌で黒のチマに黄色のチョゴリを履き、めかしこんで待ち合わせ場所に向かいました。そこにはイ・ソンが待っていました。
「ようこそ行首(ヘンス)様。」
イ・ソンはファグンに頭を下げました。ファグンもまたイ・ソンに頭を下げました。
「長くお待ちでしたか?」
「いいえ。先日はチェ・ホン将軍の件で世話になっておきながらお礼が遅れてすみません。心から礼を言います。」
「頭領様のお力になれたのですから私も嬉しいです(邸下。家族の命を救ってくださったのですから感謝すべきは私のほうです)。」
ファグンはイ・ソンに微笑みました。
「今日は、厚かましくも、行首(ヘンス)のお力をまた借りに来たのです。」
「なんなりとおっしゃってください。」
「これを見たことはありますか?」
イ・ソンはチムの丸薬をファグンに見せました。
「これは、何ですか?」
「毒薬です。」

王宮。
ハン・ガウンは膳を手に持ち運んでいました。
「殿下が茶をご所望になったのか?」
尚膳はカウンを呼び止めました。
「はい。尚膳(サンソン)様。」
カウンは答えると王の部屋に入りました。

王の部屋。
「夏が来る前に体力を補ってくれる五味子茶(オミジャチャ)です。」
カウンはイソンに茶を淹れました。
「この茶を飲み終えるまで、余の傍にいてくれるか?」
イソンは茶をてに取りました。

回想シーン。
「この茶を飲み終えるまで、私の傍にいてくれるか?」
イ・ソンはカウンに言いました。

イソンはカウンの前で茶を飲みました。
カウンは硬い表情で座り直すとイソンが茶を飲み終えるまで待っていました。

山。
「朝鮮で医術に長けた者に聞いても何の毒かわかりません。解毒の方法もわからず悩んでいたところ倭国と取引をしている行首(ヘンス)ならご存じかと思いこうしてお呼び立てしたのです。」
イ・ソンはファグンに言いました。
「すみません。私にもわかりません。どこで手に入れたのですか?」
ファグンはイ・ソンの顔色を窺いました。
「辺首会(ピョンスフェ)が作っている毒薬です。」
「あの、少し待ってください。よければ今日倭館に行く商団(サンダン)の者に持たせ私が知る者に聞いてみましょう。」
「ありがとうございます。ならば是非ともお願いします行首(ヘンス)様。」
イ・ソンはチムの毒をファグンに渡しました。

王の部屋。
イソンは茶に(睡眠薬が入っていたせいで?)眠ってしまいました。カウンは花瓶の中を捜しましたが竹の筒はありませんでした。カウンは国王の脇に置かれている書物から竹筒を取り出しました。カウンはイソンの仮面を外そうとすると、イソンが眠ったまま動きました。

王宮の一角。
「カウンお嬢様。少しお話できませんか?」
尚宮のメチャンはカウンを部屋に呼びました。
「すみません。私は行くべきところがあるので・・・。」
「いいえ。大妃殿には行かせません。」

メチャンの部屋。
メチャンはカウンに茶を淹れ菓子でもてなしました。カウンは膳の下に竹筒を置き茶を飲みました。
「王宮では茶一杯にも気が抜けませんね。そうでしょう?時間がないようですからひとつ尋ねます。大妃媽媽に命を掛けられますか?」
メチャンはカウンに言いました。
「なぜそのことを・・・。」
「宮中には目と耳が多くございます。」
「・・・・・・。」
「お嬢様がお考え直されるよう言っているのです。もう危険なまねをしないでください。本当に命まで失いますよ。」
「ママニム(尚宮様)は一体何者なんですか?どうして私に・・・。」
「頭領を助けたいのです。この国の民にはなくてはならない方です。それであの方の想い人を心配しているのです。私の忠告を忘れないでください。」

王宮の一角。
カウンは竹筒を手に持ち大妃に渡しました。
「本当にただの平凡な竹筒だったのか?」
大妃は筒を開けると中には何も入っていませんでした。

回想シーン。
メチャンはカウンが膳の下に置いた竹筒を偽物にすり替えました。

王宮の一角。
「危うく大妃にチムの毒のことが知られるところだった。」
尚膳(サンソン)は竹筒を取り戻すとメチャンに言いました。
「お嬢様は何もしらずにやったのです。」
「何も知らない者が人を殺すこともある。」
尚膳は大殿に戻りました。

王の部屋。
「殿下。殿下。すみません。行商人の頭領とお会いになる約束がありましたので。まだチムの毒をお飲みでないのですか?」
護衛のヒョンソクはイソンを起こしました。
「チムの毒を飲まねば。」
イソンは竹筒を捜しましたが本の間にありませんでした。イソンの手に湿疹が現れていました。
「殿下!」
ヒョンソクも焦りました。
「チムの毒が・・・チムの毒が無い。ここに置いたのに。」
イソンは慌てました。
「それは確かですか?私がテモク様の所に行って参ります。」
「テモクを知らぬのか?(ケチな)あいつがどうしてくれようか!」
イソンは叫びました。

王宮の一角。
「殿下に何かあったのですか?」
イ・ソンはただ事ではない表情のヒョンソクに会いました。
「来てください。」
ヒョンソクはイ・ソンを案内しました。

温室。
「あ~!」
イソンは苦痛をこらえきれずに叫んでいました。
「イソナ!イソンナ!どうした!」
イ・ソンはイソンに駆け寄りました。
「どうして・・・(私の名を呼ぶのだ)。」
イソンは仮面をつけていませんでした。
「毒薬にやられたのか?一体誰が!
「テモクです。テモクが私をチムの中毒にしたのです。」
「チムの毒・・・。」
なぜ今頃来たのです!私が邸下(チョハ)の身代わりになると言ったときなぜ止めなかったのですか。なぜ私を置き去りにしたのですか!少しも気が休まりません。テモクにチムの毒を貰えないなら、少し遅れるだけでこのまま死んでしまうと思うと気が気でなりません!」
イソンは苦しい気持ちを吐き出しました。
「テモクが、チムの毒をくれなかったのか?」
邸下(チョハ)のせいです。私が半月に一度死にそうになるのも、傀儡の王だと後ろ指を指されるのも全部邸下(チョハ)のせいですーーー!
「すまない。お前が苦しんでいるとも知らず。」
「すぐに来るとおっしゃったではありませんかーーー!あ・・・ぐっ・・・・。」
イソンは首を押さえるとあおむけにひっくり返りました。
「イソナ!イソナ!私が必ずチムの毒を貰って来てやる!」
「どこで・・・あの貴重な薬を手に入れるのですか?テモクの屋敷にでも行くのですか?」
「テモクの家に行ってでも、地獄に行ってでも・・・手に入れてやる・・・!待っていてくれ。」
「私が死んでも・・・この仮面をつけて・・・邸下(チョハ)が王座に・・・・。」
イソンは意識を失いました。
「イソナ!イソナ!あ!あ!」

「もう手立てが他にない。チムの毒は倭館に向かってる!」
イ・ソンは駆け出しました。

王の部屋。
イソンは布団に寝かされていました。
「殿下はどうして急にお加減が悪くなられたのですか?」
呼ばれて来たカウンは簾の中で苦しそうにしている国王を見ました。
「申し上げられません。」
ヒョンソクは言いました。
「御医を呼んできます。」
「呼んでも意味はありません。ハン内人(ナイイン)、いえ、カウンお嬢様(アガシ)。殿下のお傍にいてあげてください。」
ヒョンソクは頭を下げました。
イ・ソンは大妃殿の前で、大妃が思惑通りに術中にかかったと思いました。

夜のテモクの家。
黒装束に覆面をしたイ・ソンとイ・チョンウンはテモクの屋敷に侵入しました。
「持ち場を離れて何をしている。合言葉はどうした。早く合言葉を言わぬか。侵入者だーーー!侵入者がいたぞーーー!」
チャンは人を呼びました。
「曲者だ!」
チョ・テホたちはイ・ソンとチョンウンを追いかけました。
イ・ソンとチョンウンが部屋に隠れるとコンが二人の首に刀を突きつけました。
「どうしたのだ。頭領様・・・。」
キム・ファグンが現れました。
「行首(ヘンス)様?!」
イ・ソンはファグンを見て驚きました。

王の部屋。
「はあ。はあ。」
イソンは苦しそうに起き上がりました。
「内医院(ネイウォン)を呼んできます。」
カウンはイソンに言いました。
「内医院(ネイウォン)に行っても無駄だ。」
イソンは簾の中からカウンの腕を握りました。
「殿下・・・同じ症状の子がいました・・・・。」
カウンは国王に言いました。
「その子はどうなったのだ?」
「死にました。」
「・・・・・・。私もじきに・・・そうなるな。どのみち死ぬなら胸にしまっておいた言葉を言い遺してよいか?慕っておる。私が・・・・・・お前を・・・・・・慕っておる。
イソンはカウンに告白しました。

ファグンの部屋。
「行首(ヘンス)様がどうしてここにいるのですか?」
イ・ソンはファグンに言いました。
「私は・・・。」
ファグンは答えようとしました。
「ファグンはいるのか?入るぞ。」
テモクが部屋の外から声を掛けました。
「おじい様待って。」
ファグンは慌ててテモクに言いました。
「読書していたのか?」
テモクは部屋に入ってきました。
「はい。どうしましたか?お爺様。」
ファグンはテモクに尋ねました。
「侵入者がいる。心配になって来た。何もないな?」
テモクは言いました。
「コンがいます。」
ファグンは答えました。
「コナ。大辺首を守ってやれ。」
「はい。テモク様。」
コンは答えました。
「では休め。このテモクの屋敷に忍び込むとは。あの頭領か?どの度胸だけは褒めてやる。」
テモクは辺りを見回すと頭領に向かって言いました。

テモクがいなくなると、しばらくしてイ・ソンが出てきました。
「なんの御用でここに来たのですか?」
ファグンはイ・ソンに尋ねました。
「急遽、チムの毒が必要です。」
イ・ソンはファグンに言いました。
「先ほど頭領様からお預かりしたチムの毒です。後ですべて説明します。今はひとまずこの者がお送りします。私の手の者です。信頼できます。行ってください。」
ファグンは机の引き出しの中からチムの毒を取り出すとイ・ソンに渡しました。

イ・ソンとイ・チョンウンはコンの案内で外に出ました。
「お嬢様のご命令なので返してやるがこんど来たら生かしてはおかぬ。」
コンは二人に言いました。

王の寝所。
私は、殿下(チョナ)のお気持ちを受け入れることはできません。
カウンは断りました。
「慕っている人がいるのか?それはあの者・・・行商人の頭領か?どうして一国の王ではなく行商人の頭領なのだ。士大夫(サデブ、両班の文官)の娘なら行商人より王のほうがよほどふさわしいではないか・・・。」
イソンはカウンから手を放しました。
頭領と、同じ夢を見ています。私はそだれだけで十分です。
カウンは答えました。
同じ夢を見ているだと?たった・・・それだけのことでよかったのか・・・・私にも・・・・・・夢があったのに・・・・・・。
イソンは悲し気につぶやきました。

回想シーン。
「異なる線で異線(イーソン)。違う生き方ができるわよ。」
カウンはイソンに文字を教えてあげました。

「私も・・・違う生き方をしたかった。昔からの・・・束縛を捨てたかった。私に勇気があったなら、その夢を誰かに話せたであろう。そうしたら、もっと多くの事が変わっていたかもしれないのに。こうしてすぐに死ぬなら・・・もっと早く打ち明ければよかった・・・・・。あ・・・・あ・・・・・。」
イソンは苦しみながら簾を開けようとしました。カウンは戸惑いながら目を伏せました。カウンが国王を見ようとしたその瞬間、扉が開きイ・ソンが現れイソンにチムの毒を飲ませました。
「邸下(チョハ)・・・・邸下(チョハ)が私を助けたのですか?はあ。はあ。」
イソンは言いました。
「邸下(チョハ)。お気づきになられましたか?」
ヒョンソクはイソンに言いました。
「ヒョンソクか。」
「はい殿下。」

王宮の一角。
「先ほど主上殿下(チュサンチョナ)に差し上げた薬ですが、もしや、これと関係があるのですか?辺首会(ピョンスフェ)が半月に一度送ってくるのです。」
カウンは竹筒をイ・ソンに見せました。
「この・・・竹筒は・・・。(父上がお持ちだった竹筒だ。父上のチムの中毒でいらしたのか。辺首会(ピョンスフェ)が王を中毒にして王室を操っているのだ。)」
イ・ソンは竹筒を手に取りました。

回想シーン。
世子だった頃、書庫の父王の机の上のサツキの盆栽の中に竹筒が置かれているのをイ・ソンが発見し父王に叱られた場面。

「頭領様。教えてください。辺首会(ピョンスフェ)と関係あるのですか?」

カウンはイ・ソンに尋ねました。
「何だ?どうしたのだ?」
「何でもありません。中には何も入っていませんでした。」
「ならば、お前がこの竹筒を盗んだのか?この筒の中にはチムの毒が入っていたはずだ。だがお前が開けた時には何もなかったのか?」
「私が・・・主上殿下(チュサンチョナ)を殺してしまうところでした。」
「カウンナ。宮中は危険なところだ。誰かがそなたを陥れたのだ。なぜ宮女になったのだ?」
イ・ソンはカウンの肩を掴みました。
「父の・・・無念を晴らすと約束してくださいました。私の父の無念を晴らして辺首会(ピョンスフェ)を倒すために宮女(クンニョ)になりました。」
カウンは一筋の涙を流しました。
「誰が・・・言ったのだ?」
「そこで何をしている。先日処罰されそうになったことをもう忘れたようだな。」
尚膳が現れイ・ソンとカウンに厳しく言いました。カウンは去りました。

王宮の一角。
「本物が偽物を助けようとするとは。はっ。偽物もなかなかしぶといな。」
尚膳はメチャンに言いました。
「あのまま死なせるおつもりだったのですか。」
メチャンは尚膳に尋ねました。
「なぜそんな面倒なことをする。また別の偽物が据えられるだけだ。」

ウ・ボの家。
イ・ソンとイ・チョンウンはウ・ボの家に行きました。
「テモクの家にお前が忍び込んで来たところだと?お前は今自分のしたことをわかっているのか!」
ウ・ボは大きな声を出しました。
「イソンの命を救うにはこうするしかありませんでした!」
「命がいくつあると思ってる!」
「お話したいことがあります。お掛けください。イソンもヤンも辺首会(ピョンスフェ)が作ったチムの中毒です。辺首会(ピョンスフェ)がチムの毒を作っている秘密の場所で、ヤンが言った言葉を覚えていますか。数十人の子がチムの毒を作らされている。辺首会がチムの毒をどこにどう使ってるかわかりますか?ええ。イソンだけではありません。朝廷の大臣もテモクの言いなりなのはまさにチムの毒のためなのです。子どもたちを救いテモクが朝廷を操るのを防ぐためには、何としてでもこの場所を見つけなければ!」
イ・ソンは地図を机の上に拡げ、解毒剤の必要性を説きました。
ウ・ボは解毒剤の開発には時間がかかると答えました。

日中の朝廷の仁政殿(インジョンジョン)。
大妃が大臣の前に現れ王妃を選ぶのでその長に吏曹判書(イジョパンソ)のウ・ボを任命すると宣言しました。

大妃の部屋。
大妃は部屋にイ・ソンを呼び吏判(イパン)を責任者に据えたが以下三名は辺首会(ピョンスフェ)の側が選ばれたことを伝えました。
イ・ソンもウ・ボなら役目を果たせると約束しました。
大妃は王宮への出入りに不自由のあるイ・ソンのために官職を与えたいと言いました。
イ・ソンは別監(ピョルガム)という下級の護衛武士の官職でよいと言いました。

王の部屋。
「オミジャ茶です。先日は私が主上殿下(チュサンチョナ)に大きな過ちを犯してしまいました。」
カウンは国王に茶を淹れると突然謝りました。
「お前は悪くない。これからもお前が出す茶は残さず飲むつもりだ。」
イソンは茶を一杯飲むと穏やかな口調でカウンに言いました。
「殿下。大妃媽媽がハン内人を呼んでいます。」
ハン尚宮は部屋の外から声を掛けました。
「わかった。もう下がるがよい。」
イソンはいいました。

辺首会(ピョンスかい)。
キム・ファグンはテモクに左議政ホ・ユゴンの娘ウンスと領議政チンミョンの娘チャヨンを引き合わせました。二人の娘は令嬢らしくテモクに「ご挨拶します。テモク様。」と挨拶しました。
「二人のうち誰かがうちの養女になるのだな。どちらがよい。」
テモクはウジェに尋ねました。ウジェはどちらも美しく聡明で素晴らしいと答えました。
「審査に通過せよ。一人は中殿(チュンジョン)。もう一人は正一品(チョンイルプン)の側室になれ。」
テモクは命じました。

王妃の部屋。
右議政のソンギは自分の娘ヨンジュが臆病なため中殿(チュンジョン)選びに出ないと言いました。
王妃は鞭打ってでも連れてくるように言うと、ソンギは娘が病弱で甘やかされて育ったと断りました。

王の部屋。
王妃はイソンにハン内人を王妃選びの候補に出すと言いました。
イソンは何が狙いだと大妃に尋ねると、大妃はカウンが自分の側に立つことだと言いました。
「媽媽(マーマー)は何がお望みですか。」
「主上がこの妃選びで私の側に立つことです。考えてみてください。あの子が王宮を追い出されるかどうかは主上にかかっています。以前は寛大な措置でしたが大逆罪人の家族は奴婢(ノビ)となるのが掟です。王妃選びに失敗すればあの娘は奴婢になるかもしれません。」
大妃はイソンを脅しました。

王宮の一角。
別監(ピョルガム、宮廷護衛)の服装で登庁したイ・ソンはウ・ボとパク・ムハと合流し部屋で落合ました。領議政と左議政の娘のほかに候補もいるのか尋ねました。パク・ムハは知らないと答えました。

ソンギの家。
ヨンジュは辺首会(ピョンスフェ)が怖いと言いつつ嫌々王妃選びに行くことにしました。ソンギはカウンにヨンジュのことを頼みました。

城門の前。
ウ・ボはイ・ソンとパク・ムハを伴い妃候補の娘を出迎えました。領議政と左議政の娘が門をくぐり、右議政の娘が通ると必ず王妃にしなければならないとイ・ソンは言いました。するとヨンジュの輿の隣に妃候補の服を着たカウンが立っていました。
「崔昭蓮(チェ・ソヨン)・・・。」
ウ・ボはカウンの名前を読みました。
イ・ソンはカウンを見て驚きました。
「カウンが、どうして?」
イ・ソンは戸惑いました。

王宮。
妃候補の娘は総勢九名ほどになりました。娘たちは大妃と女命婦(ネミョンブ)の女性の前で茶の技能の試験を受けました。王室の年配者が娘の茶を飲みました。中にはおいしいお茶を淹れることが下手な娘もいました。最後にカウンが茶を淹れました。カウンは美しい所作で王室の女性が関心するほど見事な茶技を披露しました。カウンは最後に茶を飲もうとして異匂を感じ、ためらっていると、大妃と王室の女性、王妃候補の女性がすべて倒れてしまいました。
「毒を盛られました。すぐに内医院(ネイウォン)を呼んできます。」
カウンが行こうとするとメチャンはカウンを引き止めました。
「お飲みください。お嬢様だけ意識があったらお嬢様が犯人にされてしまいます。決めてください。お飲みになりますか?それとも犯人になりますか?」
メチャンはカウンに決断を迫りました。

「大変です。誰かが毒を盛りました。」
メチャンは外に出てイ・ソンに言いました。

「カウン!カウン!ああ、カウンナ!しっかりしろ!カウンナーーー!」
イ・ソンはカウンだけ抱き起しました。

感想

仮面の王イ・ソン(韓国語: 군주-가면의 주인, 中国語: 君主-假面的主人)12話の感想です。何とカウンが王妃選びに立候補!一体どういうことでしょうか。

今回は見どころが盛沢山で面白かったですね。主人公のイ・ソンはイソンの窮地に駆け付けて何とか命を救えたけど、イソンはどうせ死ぬならとカウンに慕っていると言ってしまいました。好きだよと言わずに慕っていると韓国語で言ってるところが何とも切ない・・・!しかも王様だから、日本語に直すと「慕っておる」といった語感になります。「好」や「愛」という言葉は使っていません。カウンは王様が死にかけてるのにあっさり断ってしまうところは冷たいな(笑)せめて黙っているとか、オトナならそれくらいの気遣いをしなければいけないところを、やっぱりおこちゃまだから「お断りです!」とはっきり言ってしまいました。

イソンはこんなに可愛い人なのに、カウンちゃんは見向きもしないなんて!イ・ソンのほうが勇敢で腕っぷしも強くて元気で行動力があって決断力も策略にも長けていてやっぱり「ス・テ・キ(はぁと)」と思っちゃうのね。やっぱり奴婢より強くて立派な男がモテるのね!?なんだかんだでカウンは「同じ夢を見ているから」と言い訳してますけど、正義感があるだけならパク・ムハやウ・ボ、イ・チョンウン兄さんだって同じ夢を見てるし、イソンも辺首会(ピョンスかい)を倒したい気持ちは一緒のはず。

カウンの立場はイ・ソンとイソンにとって添え物的な役割といいますか、このドラマにおいてはそんな感じですね。韓国の若い男性にとっては自分の味方をしてくれて、意志力が強くて、どんな仕打ちにも耐えて・・・あどけない童顔、そんな女の子が理想なのでしょうかね。近頃の韓ドラの若者向け時代劇ってそんなヒロインが多いです。若い女性にとっての理想の男の子はやっぱり身分があってお金持ちで強ければ!と案外単純で高い理想ですね。韓ドラで正義の味方を描いたものが増え始めたのは2010年以降なんじゃないかと思います。それまでは学芸会のノリといいますか、そんな時代劇がよくあったような。韓国の人々が権力腐敗についてようやく認識しはじめてきたというところでしょうか。そういう意味ではウ・ボという役柄はドラマの中でも一番高潔な人ですよね。

さて、次回はどうなるのか、続きが楽しみです。

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