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仮面の王イ・ソン2話のあらすじRuler:Master of the Mask- 李煊 韓国語に忠実な翻訳

仮面の王イ・ソン2話のあらすじと感想

仮面の王イ・ソン

あらすじ

初めて仮面を外し街に出た世子イ・ソン辺首会(ピョンスかい)の追っ手チョ・テホから逃げる途中、薬房の前で令嬢ハン・ガウンとぶつかりました。ハン・ガウンはイ・ソンを輿に乗せ女物の桃色の外套を被せて病気の母のふりをさせました。チョ・テホが去るとイ・ソンは自分を匿ったハン・ガウンを見つめて「私は・・・そんなに男前か?かように私を見つめた人はそなたが初めてだ。とにかく、助かった。」と礼を言いました。

祭儀の会場。
国王のイ・ユンは禁軍別将(親衛隊長)イ・ボムから世子(セジャ)が辺首(ピョンス)に囲まれたが脱出したと報告を受けました。国王は辺首(ピョンス)に顔を知られているイ・ボムに動かないように言うと、イ・ボムの息子チョウンをすぐに呼ぶように命じました。
「始祖様(1第目の太祖のことを意味する)様にご報告します。私は不徳で無能ゆえ天命に背いて民を守れませんでした。しかし世子(セジャ)はちがいます。この国朝鮮を正せる唯一の子です。どうかあの子をお守りしてください。」
国王は心の中で太祖(テジョ)の位牌に祈りました。

街。
ハン・ガウンは一緒に付いてくるイ・ソンにふくれっ面をしました。イ・ソンは用があるのだと言い訳をしました。
「私は本売り(韓国語でチェケ)だ。」
「チェケ?それなら珍しい本もご存じですよね。『山路考』や『山水考』は知ってますか?『郷薬修正方』は?」
「すべて読んだのか?」
「いいえ。なかなか手に入らないんです。なら医書や西洋の書籍も扱っていますか?」
「西洋の書ならここにある。」
世子イ・ソンは懐から父の本棚から盗んできた書物をハン・ガウンに手渡しました。
「職方外紀?貴重な書をどこで手に入れたのですか?」
「あはは。お前は何も知らないから不思議だろうが私はこのような書をたやすく手に入れられるのだ。」
イ・ソンが言うと、ハン・ガウンは職方外記の表紙に穴(矢が刺さった跡)が開いていることに気が付きました。
「もったいない。貴重なのに。」
「あ~しまった。ウ・ボにやる物なのに。」
イ・ソンは書物をパラパラとめくりました。
「ウ・ボ先生ですか?」
「お前がウ・ボを知ってるのか?」
「私の師匠です。私は師匠に会いに行くところです。」
「本当(クレ)?地理書(チリソ)に天文書(チョンムンソ)、医書(ウイソ)まで関心を持つウ・ボの弟子か。お前さん、名は何と申す。」
「そういう・・・若様(トリョンニ)は?」
「私は、チョンスだ。」
「私はカウン。ハン・カウンです。」
(※日本語訳のようにガウンと濁っていませんでした。)

「ここで少し待っていてください。」
ハン・ガウンはイ・ソンを道端に置いていこうとしました。
「一緒に行ってはダメなのか?」
「すぐに戻ってきます。」
ハン・ガウンは言ってしまいました。

ハン・ガウンが民家の生垣をくぐるとイソンの母が息子のイソンの手当をしていました。
「じっとしていなさい。何をしてかしたんだい?」
「イソナ。大丈夫?」
ハン・ガウンはイソン話しかけました。
「アイゴお嬢様(アガッシ)。」
イソンの母とイソンは立ち上がりハン・ガウンに礼を尽くしました。
「また(揚水庁(ヤンスチョン)の)役人が暴れてたけど。」
「大丈夫ですお嬢様。」
イソンは答えました。
「お嬢様。あとでお帰りになる際にお立ち寄りください。大したものじゃありませんがお菓子を用意いたしました。」
イソンの母は言いました。
「身重の体でそんな。私のぶんまで悪いわ。申し訳ないわ。」
「そんなことおっしゃらないでください。私がどれだけ庶尹(ソユン、高官の役職名)様のお世話になっていることか。」
「お嬢様。こんにちは。騒ぎを起こすなと言っただろう。お前のせいで井戸を閉じることになった。今日の稼ぎはナシだ!」
そこにイソンの父が現れ息子を叱りました。
「俺はやられっぱなしだよ。」
「ここまで育ててもらってなんでやられっぱなしなんだ。文字なんか習いやがって。何の役に立ってないだろ。」
父はイソンを小突きました。
「本当に怪我してないの?文字を習ってることは決して無駄じゃないわ。何でも一度見ただけで覚えるから師匠は天才だと。」
ハン・ガウンはイソンを庇いました。
「アイゴ。お嬢様。賢くたってこんな低い身分では・・・。」
イソンの父は言いました。

道端。
「腹は忙しくて食えずとも気分はよい♪お前・・・ここはどこだ?」
ふらつきながら歩いてきたウ・ボは世子のイ・ソンとぶつかりました。イ・ソンは地面に押し倒されてしまいました。
「私も、知らぬ。」
イ・ソンは言いました。
「貴様はここにいるのに、どうしてここがどこかわからぬのだ!」
ウ・ボはイ・ソンの頬を叩きました。
「それは・・・その・・・。」
イ・ソンが言い訳しようとすると腹が鳴りました。」
「一杯やるか?」
ウ・ボはイ・ソンに酒瓶を渡しました。イ・ソンは酒を飲もうとすると酒は一滴も落ちてきませんでした。
「お前私の酒を飲み干したな?まだいっぱいある・・・。」
ウ・ボは意味のわからないことを言うとウ・ボは行ってしまいました。
そこにハン・ガウンがイソンを連れて戻ってきました。イソンはイ・ソンを見るなり怪しみました。

ハン・ガウンはイ・ソンとイソンを連れて山中のウ・ボの家に行きました。
「ここは本当にウ・ボ先生の家なのか?」
イ・ソンは言いました。
「師匠。師匠。」
ハン・ガウンたちがウ・ボの家に入るとウ・ボはいびきをかいて眠っていました。
「どうやら人違いのようだ。私が捜しているのは大学者(テハクチャ)のウ・ボ先生だ。」
「ウ・ボ先生です。」
「違う。こんな酔っ払いのウ・ボではない。成均館(ソンギュングァン)にいた大学者のウ・ボ先生だ。」
「師匠。」
ハン・ガウンはウ・ボに声を掛けました。
「ここはどこだ?」
ウ・ボは目覚めました。
「先生。こちらの本売りの人が師匠に渡したい本があるそうです。」
「令監は本当にウ・ボ師匠か?」
「そうだ。私はウ・ボ師匠だ。だが師匠ではない。」
ウ・ボは言いました。
「どうぞ。職方外紀です。朝鮮で一冊しかない本です。私の問いに答えてくれたらこの本を差し上げよう。」
イ・ソンは懐から本を見せました。
「すみません師匠。こんな無礼な人とは思いませんでした。」
ハン・ガウンはイ・ソンの足を踏みました。
「あっ・・・!」
イ・ソンは足を押さえました。
「大丈夫だ。お前たちは出ていなさい。」
イ・ソンが只者ではないと察したウ・ボはハン・ガウンとイソンを家の外に出しました。

「私がだれか知ってますか?」
イ・ソンはウ・ボに尋ねました。
「貴様(イノミ)が名乗っていないのに誰だかわかるはずがなかろう。問たかったことはそんなことか?」
ウ・ボは言いました。
「ならば尋ねるが世子が仮面をしている理由はわかるか?」
「知ってる。私も尋ねよう。辺首会(ピョンスフェ)は知ってるか?」
「辺首(ピョンス)?私が今知りたいのはそのようなことではない。世子が仮面をつけねばならぬ理由を本当に知ってるのか?」
「世子が仮面をつけねばならぬ理由か。ひとつ問題を出そう。今年の雨量が去年の倍なのになぜ井戸が枯れている。」
「私が問に答えてやろう。」
ウ・ボが言いかけるとイ・ソンはウ・ボから本を奪い返しました。

夕暮れの帰り道。
イ・ソンとハン・ガウンとイソンはみちをあるいていました。
「いつまで付いてくるのですか?」
「私はここまで来たのだ。必ず答えを見つけて見せる。」
「私は答えは知りませんし教えられませんよ。」
「誰が答えを教えてくれと言った。しばしそなたの家に泊まり自ら答えを探し出す。」
「どこまで世話になるつもりです。お嬢様に無礼ではありませんか。礼儀をわきまえてください。」
イソンは不快そうに口を挟みました。
「今礼儀をわきまえてないと言ったな。」
「違うのですか?私はあなたより礼儀を知ってます。」
「ウ・ボの弟子といったが身分が低いのか?」
「そのような私が学んではいけないのですか?」
「それよりお前の気の短さが問題だな。」
「なんだと!」
イソンはイ・ソンの襟首を掴んで斜面を転がり落ちました。
「貴様!」
イ・ソンもやり返そうと拳を振り上げました。
「若様(トリョンニ)!イソナ!」
ハン・ガウンはイソンを押さえようとしました。
「イソン?あはは。あはは。イソン。お前の名はイソンか?お前がイソンというのか?あ~初めて同じ年頃の者と喧嘩をした。あはは。あ。」
イ・ソンは自分の名前を呼ばれた気がして拳を止めました。
「あ・・・蛍が飛んでいる。」
ハン・ガウンが言うと三人は蛍を見て喜びました。
イ・ソンとハン・ガウン、イソンは不思議な縁を結びました。

夜道。
「はっは。何?科挙も受けられないのに学問が面白いだと?」
イ・ソンはイソンに尋ねました。
「明日の私は今日と違うと思えたり学んで成長している自分が面白いんです。」
イソンはいいました。
「成長か。はっ。変な奴。」

イソンの家。
「おばさん。」
ハン・ガウンはイソンの家の中に入りました。
「人と付き合うことがかように喜びを感じるとは知らなかった。」
世子のイ・ソンはつぶやきました。
「しっかりして!しっかりして!」
「お母さん!」
家の中からハン・ガウンとイソンが叫ぶ声がして、世子のイ・ソンは家の中に駆け込みました。
「脱水だわ。このままじゃ赤ちゃんが死んでします。」
ハン・ガウンはイソンの母を診察しました。
「ご心配なく。大丈夫です。あ~。」
イソンのお母さんは苦しみました。
「水を持ってきて!早く!」
「井戸はどこだ?水を汲んで雇用。」
イ・ソンはイソンに尋ねました。
「今は揚水庁(ヤンスチョン)が井戸を閉じていて水を汲むことはできない。」
イソンは言いました。
「揚水庁(ヤンスチョン)へ行こう!」
ハン・ガウンはイソンとともに揚水庁(ヤンスチョン)へ駆け出しました。
「揚水庁(ヤンスチョン)でなければ水を得られないのか・・・。」
イ・ソンはつぶやくと、ハン・ガウンの後を追いかけました。

夜の宗廟(そうびょう)
国王イ・ユンは怯える内官のチョンスに自分を父上(アバママ)と云うように命じていました。
「あ・・・チ・・・・殿下・・・私めは・・・。」
「父上(アバママ)と呼べ!」
「アバママ。私め(ソーイン)をお許しください。」
「私め(ソーイン)ではなく私(ソージャ)と云うのだ!わが子は決して余を恐れぬのだ。猶予ならぬゆえお前は早く慣れるのだ。もう一度!」
「あ・・・アバママ・・・・・。」
「もう一度!」
「アバマママ・・・・・。」
「もう一度!」
「父を恐れるなと言っただろ!お前は世子イ・ソンだ!」
国王はチョンスを叱りながら訓練していました。その様子を辺首(ピョンス)の手下(祭官)が格子の隙間から覗き見ていました。

「今上(クムサン)は今、宗廟の永寧殿(ヨンニョンジョン)にいます。」
祭官は見たことを司憲府持平(チピョン)のホ・ユゴンに報告しました。
「世子がその宗廟にいるのは本当か?」
「はい。ですが東宮(トングン)の内官(ネガン)を探し回っていました。」
「内官?」
「東宮の内官が消えたそうです。」
「東宮の内官が消えた?それはいつだ?」

王宮の城門前にある揚水庁(ヤンスチョン)。
「水をください!」
イソンは見張りの男に言いました。見張りの男は水の提供を断りました。
「おさん中の母と子の命がかかっているんです。一杯だけください。」
ハン・ガウンも言いました。見張りの男たちは未(ひつじ)の刻までしか水は売らないと言いました。
「貴様。私を誰だと思っている。私はこの国の世子!世子邸下(チョハ)の・・・友人だ。」
イ・ソンは言いました。
そこに馬に乗ったイ・ボムの息子イ・チョンウンが通りがかり、世子のやりとりを見ていました。
「お前が世子邸下(チョハ)の友人なら俺は主上殿下(チュサンチョナ)の友人だ。」
見張りの男は笑いました。
「お急ぎください。殿下が待てぬほど急いでおられます。」
イ・チョンウンを呼びに行った男がチョンウンに言いました。
「はっ。」
イ・チョンウンは馬を走らせました。
「十倍やろう。いや。百倍やろう。門を開けよ!」
「黙れ。すぐに立ち去らなければ痛い目の遭うぞ!」
世子が十倍、百倍金を渡すといっても見張りの男は断りました。
「少しお待ちください。これを差し上げます。」
そこに別の男(イソンの父)が現れ平身低頭で門番に何かを握らせました。
揚水庁(ヤンスチョン)の扉が開きました。
「今自分に何をしている!どけ!」
そこに馬に乗ったチョ・テホが怒鳴りつけました。
「代金は明日払います!」
男は水を持って逃げました。
「父上の揚水庁(ヤンスチョン)はなってませんね・・・。」
キム・ウジェはつぶやきました。
「邸下(チョハ)?」
キム・ファグンは駆け出す若者の首に見覚えのある傷があることに気づきました。
世子イ・ソンとハン・ガウンとイソンの三人も逃げました。

イソンの家。
イソンの母は無事お産を済ませ、赤ん坊を生みました。
手伝いに来ていたウ・ボは大丈夫かとイソンの父を心配しました。イソンの父は明日金を払うと言いました。

宗廟。
世子の服を着た内官のチョンスはベッドで仰向けになり寝たふりをしていました。
イ・ボムとその息子イ・チョンウンは国王に会いました。
「殿下。私は世子邸下(チョハ)のお顔を知りません。」
イ・チョンウンは国王に言いました。
「よいのだ。お前は世子の学友ではないか。お前ほど世子を知る者はいない。お前が世子の行方を捜すのだ。」
イ・ユンはイ・チョンウンに命じました。
「都城(トソン)で邸下(チョハ)の手がかりあればそこから捜せ。邸下(チョハ)のお顔を知らなければお声で聞き分けるのだ。今はそれしか手立てがない。」
イ・ボムは息子に言いました。
「確信はありませんが確かめるべき場所がある。」
イ・チョンウンは揚水庁(ヤンスチョン)での出来事を思い出しました。

揚水庁(ヤンスチョン)。
イ・チョンウンは門番の襟首を掴み先ほど騒いでいた者の行方を尋ねました。そこに用事を済ませたキム・ウジェとキム・ファグンが出てきてイ・チョンウンに気が付きました。門番の男は西門の外に住んでいると答えると、イ・チョンウンは男を開放し走り去って行きました。
「禁軍別将(クングンピョルチャン)の息子のようだが・・・どうしたのだ。」
キム・ウジェはつぶやきました。
「禁軍別将の息子ですか?」
ファグンは尋ね返しました。
「そうだ。あの者は世子と親しいようだ。」
「世子邸下・・・まさか。」

辺首会(ピョンスかい)の領袖の部屋。
「どうしたのだ?」
「世子邸下は今どこですか?」
キム・ファグンは部屋に入るなり祖父のテモクに尋ねました。
「祈雨(キウ)の儀式のために宗廟にいるはずです。」
ソンギは言いました。
「仮面をつけて宗廟にいる人は本人ですか?本物か確かめさせてください。」
ファグンは言いました。
「なぜ宗廟にいる世子が偽物と思うのか?お前はいい加減なことを言ったりせぬ。お前が直接確かめて来い。」
テモクは控えていた武士(コン)に命じました。

道端。
「本当に理由を知っているのですか?私には問を解いている暇はないので早くこの書を受け取ってください。」
世子はウ・ボに本をちらつかせました。
「ふむ。逆鱗が何か知っているか?」
「逆鱗とは龍(=王)の顎の下の逆さの鱗のことでしょう?」
「龍に乗っても逆鱗に触れてはならぬ。もし龍の逆鱗に触れたらその者を殺すといわれている。王が世子の顔を仮面で隠し守っている。その理由を知る必要があるか?うん?仮面を外すのはつけている時よりずっとつらいのになぜ外すのだ。」
「世子だからです。守られてばかりでなく民を守ってこその世子です。それこそが善であり仁義です。」
「善だの仁義だの民を守るだのそんな道徳はクソくらえだ!民を守る?世子にそんな有機があるか!奴は温室育ちの花だ!王宮の外の世界も知らぬ世子に民が守れるものか!怒鳴ってしまった。腹が減った。しばし仮面を脱いで自由を味わってもまたつけておいたほうがよいぞ。」
ウ・ボは怒鳴って立ち去りました。

宗廟。
世子の振りをしているチョンスは寝返りを打ちました。その膝藁で編まれた膝当てが括り付けられていました。

辺首会(ピョンスかい)。
「膝当てをしていたので内官でしょう。」
戻って来た男(コン)はテモクに報告しました。
ファグンは再び世子に出会えて喜びました。
「王が世子をにがしたのでは?」
ホ・ユゴンは言いました。
「よほど急いで入れ替えたのだろう。あの王がそんな失敗をするだろうか。」
テモクは言いました。
「王が逃がしたのではなく世子が逃げたのでしょう。」
キム・ファグンは言うと、部屋から出て行きました。
「世子が直接逃げただと?はははは。本当に世子が逃げたのならまたとない機会だ。王より先に世子を見つけなければ。コナ(コンを呼ぶ言い方)!」
テモクは言いました。

辺首会(ピョンスかい)の露地。
「コナ!おじい様から王より先に世子を捜すよう命じられたでしょう?手伝って。禁軍別将(クングンピョルチャン)の息子を知ってるでしょう?見つけたら私に知らせて。」
キム・ファグンはコンに命令しました。コンは塀の上に降り立ちファグンの命令を受けました。

イソンの家の前。
イ・チョンウンは弟を捜していると偽りイソンの父に世子の行方を尋ねました。イソンの父は「カウンお嬢様の家に行きました」と答えました。その様子をコンが隠れて聞いていました。

ハン家の前。
「嫌です。」
ハン・ガウンは門に世子を入れないようにしました。
「客が来たのに追い返す気か。積善の家には余慶ありだ。善業を行えば必ず慶事があらわれる。惜しまず振舞うがよい。」
世子イ・ソンはハン・ガウンと一緒に家に行きました。ハン・ガウンは迷惑そうにすると、
「はっはっはっは。娘が客人をお連れしたようだな。ゆえに鶏一羽を潰さねば。漢城府(ハンソンブ)庶尹(ソユン)の家は客人をもてなさぬと噂になってはまずい。はっはっはっは。」
そこに父のハン・ギュホが現れました。イ・ソンは咳ばらいをしました。ハン・ガウンは扉を開けると中から鶏が飛び出してきました。

ハン家の庭。
世子イ・ソンはハン・ガウンがタッカンマリを作っているところを眺めていました。
「そなたも仮面をつけているほうがよいと思うか?」
「え?」
「う~ん。だから、鶏は鶏小屋にいたほうが安全だ。しかし自由になろうと鶏が外に出たら危ないだろう?なら・・・。」
「バカみたい。鶏は鶏小屋にいたほうが安全なんですか?いつ食べられるかわからないのに。つらくて大変でも鶏小屋の外に出てこそ自由なんです。」
「そうか。」
「師匠の教えはなんだと思います?痛みに耐えて努力しなければまことの自由は得られない。私ならつらくても空を飛べる鳥になりたいと思います。違いますか?」
「本当の自由を語る女人(にょにん)か。すごいな。お前さん。許嫁はいるのか?まさか婚約者がいるのか?」
「突然何を聞くんです?」
「婚約者がいるかどうか尋ねているのだ。いないのだな?そうか。そうか。」
世子は嬉しそうにしました。

夜中の揚水庁(ヤンスチョン)。
男がチョ・テホを呼びに行くと、寝ていたチョ・テホは男を叱りつけました。チョ・テホが庭に出るとそこにキム・ファグンお嬢様がいました。
「お嬢様。こんな夜分に何の用ですか?」
「さっきの水泥棒を放っておくのですか?おじい様に知られる前にすぐに捕まえたほうがよいのでは?」
「おじい様・・・テモク様?」

ハン家のハン・ギュホの部屋。
「人の命が危ないのに水を売らないことがあってよいのですか?」
世子はハン・ギュホと議論していました。
「そうか。大変だったな。」
ハン・ギュホは言いました。
「民はおろかで弱いゆえ声を上げられないのだ・・・庶尹(ソユン)・・・旦那様のようなお方が声を上げるべきでは?」
「ああ。そうであり、そうでもないといえる。」
「戦う気はないのですか?」
「本売りだそうだな。民はそなたより知識もなくそなたより勇気がないから権力に立ち向かえぬと思うのか?」
ハン・ギュホが言うと、そこにハン・ガウンが膳を持って部屋に入ってきました。
イ・ソンはハン・ガウンを見ると嬉しそうに下を向きました。
「焦げてもいないし滅多にありつけない食事だ。さあ。いつでも遊びに来なさい。」
「はい。旦那様!」
イ・ソンはうれしそうに鶏肉を受け取りました。
「お父さま・・・。」
「鶏小屋も少し大きくせねばな。ははははは。」

夜明け前のハン・ギュホの家。
「旦那様!父をお助けください!庶尹(ソユン)ナウリ!」
イソンが屋敷に駆け込んで来ました。
「何事だ。」
ホン・ギュホとハン・ガウンとイ・ソンは表に出てきました。
「水を盗んだ罪で私の父が捕らえられたのです!両手を斬り落とされるそうです!どうか助けてください。」
「何?たかが水一杯のことで両手を斬り落とすだと?」
イ・ソンは首をかしげました。
「揚水庁(ヤンスチョン)のことは漢城府(ハンソンブ)で解決できぬ。管轄が違うのに放免することは・・・。」
ハン・ギュホは言いました。
「民の命が危ぶまれているのに管轄のほうが大事なのですか?先日殿下が親の命を救う盗みを働いた子に銀を賜り放免してくださいました。先例にならい放免してもらえませんか?」
イ・ソンは言いました。
「お父さま(アボジ)・・・。」
ハン・ガウンは父を見つめました。
「旦那様。どうか父をお助けくださいませ。旦那様!」
イソンは土下座して頼みました。
「その通りだ。法より徳が先だ。」
ハン・ギュホが言うと、イ・ソンとハン・ガウンは安堵したように顔を見合わせました。
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
イソンは何度も礼を言いました。

揚水庁(ヤンスチョン)。
チョ・テホは捕まえたイソンの父を茣蓙の上に土下座させ尋問していました。チョ・テホはこれまでの働きに免じれ片手を斬り落とすだけにしてやろうと言いました。イソンの父は命乞いをしました。まさに刑が執行されようとした時に、ハン・ギュホが青い官服を着て手下を率いて現れました。
「水は揚水庁(ヤンスチョン)の管轄だが盗まれた場所は漢城府(ハンソンブ)の管轄ゆえこの者を連行する。罪人を連れて行け!」
ハン・ギュホが命じると、イソンの父は揚水庁(ヤンスチョン)から連れ出されました。イソンはハン・ギュホに礼をしました。キム・ファグンは一瞬世子を見かけました。イ・チョンウンは世子を小屋に引き込むとハン・ガウンは世子がいなくなり辺りを見回しました。

小屋の中。
「あ・・・チョンウンさん(韓国語でチョンスフ。スフは官職名)!ところで、どうしてわかったのですか?」
「一番愚かで分別がなさそうな人を選んだら世子邸下(チョハ)でした。」
「はっ。久しぶりに毒舌が聞けました。」
「すぐに宗廟にお戻りください。」
「まだやることがあります。」
「今がどれほど危険な状況かおわかりなのですか?」
「私より危険な状況にいる民がいます。」
「安全に戻る手筈を整えました。時間がありません。急いでお戻りください。」
「幼い私が剣術の稽古を嫌がるとあなたはどう言ったか覚えていますか?民を守ることを放棄するのかと言いました。世子がそんなことをすれば化け物が民を食い物にするだろうと言いました。あなたは民を守ることを放棄しろというのですか?」
世子イ・ソンはイ・チョンウンと出会いました。イ・チョンウンはすぐに宗廟に帰るよう世子の手を引こうとしました。

漢城府(ハンソンブ)。
チョ・テホはイソンの父を連れ戻しに現れました。
「罪人を護送する権限は漢城府(ハンソンブ)にある。」
ハン・ギュホはチョ・テホに言いました。
「はいはいはい。ごもっともでございます。でも今日のことは王命に背くことです。その責任は免れません。殿下は民のために揚水庁(ヤンスチョン)を設置なさるとき、揚水庁(ヤンスチョン)に水の権利と裁判権をお任せになられた。しかし裁判中に罪人を連れて行かれたのです。庶尹(ソユン)様はこれが王命に背いていないと言えますか?」
チョ・テホは身分が低いにも関わらず横柄な態度で言いました。
「たった一杯の水だろう。死にかけている妻を救うためだ。許してやらぬか。」
ハン・ギュホは言いました。
キム・ファグンはコンを伴い世子の姿を捜しました。
「どうかお許しください。」
民はそれぞれ言いました。
「判尹(パニュン)大監(テガム)のおな~り~。」
そこに漢城府(ハンソンブ)の長官が現れました。判尹(パニュン)はイソンの父を揚水庁(ヤンスチョン)に引き渡すよう命じました。怯えるイソンのちち。
「皆の者。世子邸下(チョハ)だ。礼を尽くせ。」
イ・チョンウンは世子の号牌(ホペ、身分証)を見せました。そこに世子イ・ソンが両班の私服姿のまま仮面を付けて現れました。人々は世子イ・ソンを前にひれ伏しました。キム・ファグンは世子の首筋に印があるのを見てうれしそうに微笑しました。ハン・ガウンとイソンも地面にひれ伏しました。

チョ・テホは震える手で確かめた号牌(ホペ)を世子に差し出しました。
「その号牌(ホペ)は誰の者だ。」
イ・ソンはチョ・テホに言いました。
「せ・・・世子邸下(チョハ)の物です。」
チョ・テホは答えました。
「そちの理論ではそちの手にあるゆえそちの物だろう。」
「それはどういう意味でしょうか。私の物であるはずがありません。」
「王世子は天が与えた物。号牌(ホペ)を手にしてもその者は世子にはなれぬ。水も天と同じこと。ゆえに揚水庁(ヤンスチョン)のものとはいえぬ。天が民に授けたものだ。間違っているか?」
「それは・・・。」
チョ・テホは答えに窮しました。
「判尹(パニュン)の務めは民を守ること。揚水庁(ヤンスチョン)の水売りはこの朝鮮の民ではないのか?」
「ですが邸下(チョハ)。主上殿下(チュサンチョナ)がおつくりになられた法というものがありまして・・・。」
判尹(パニュン)は釈明しました。
「はっ!法は民を守るためのもので罰するためのものではない。すぐにこの者を放免するのだ!」
世子は判尹(パニュン)に命じました。
「世子邸下の栄光あれ!」
街の人々は世子に感謝しました。
ハン・ガウンとチソンも世子の徳を称えました。
「やっぱり私の邸下(チョハ)だわ。」
キム・ファグンはつぶやきました。
「お嬢様。」
コンはファグンに尋ねました。
「待ちましょう。邸下(チョハ)が漢城府(ハンソンブ)を出るところを狙うわ。」

漢城府(ハンソンブ)の一室。
「早く帰ろうと言っていたのに今度は戻れぬだと?」
仮面をつけたままの世子はイ・チョンウンに言いました。
「邸下(チョハ)がここにいると知られたのです。ゆえに内禁衛(ネグミ)の五衛(オウィ、오위)が来るまでここで待っていてください。」
「帰る前にどうしても会って尋ねたい人がいるのです。」
「邸下(チョハ)を無事連れ戻せとの王命です。」
イ・チョンウンが扉を開けると青い服の武官が二人の盗み聞きしていました。イ・チョンウンは男(義禁府の武官)の首に刀を突きつけました。

世子イ・ソンは武官から話を聞きました。武官は酔った職人から水路工事をするたびに民の共同井戸が干上がると言いました。
「なぜ今年のほうが井戸が枯れているのだ。」
「ええ。ええ。ええ。それで調べたら揚水庁(ヤンスチョン)が埋めた水路の岩をどけると近くの民の共同井戸が水であふれました。」
「揚水庁(ヤンスチョン)が水路をふさいで共同井戸を干上がらせて揚水庁(ヤンスチョン)がその水を揚水庁(ヤンスチョン)への井戸へ引いたということだな?かように重要なことを報告せずにどうして書簡を置いて帰ろうとした!」
「邸下(チョハ)・・・。揚水庁(ヤンスチョン)ですよぉ。揚水庁(ヤンスチョン)の報復が怖くて誰も言えませんよ!力のある官僚はは過ちを咎める意思がなく私には力がありません。先ほど裁きの場にいらした邸下ならと思いまして。すみません。」
男は帰ろうとしました。
「待て。調査をして過ちがあるなら正さねば。私は調査の指揮は庶尹(ソユン)に任せようと思う。」
世子は言いました。

しばらくして・・・。

イ・チョンウンが庶尹(ソユン)ハン・ギュホを連れてくると廊下に先ほどの武官が現れました。
「邸下(チョハ)が喉が渇いたとおっしゃったので。」
男が答えるとイ・チョンウンとハン・ギュホは世子がいた部屋に駆け込みました。すると、そこには世子がいませんでした。ハン・ギュホは世子の置手紙を読みました。
「漢城府(ハンソンブ)庶尹(ソユン)ハン・ギュホは武科とパク・無はと揚水庁(ヤンスチョン)の水路工事を調査せよ。」
「私ハン・ギュホは世子邸下(チョハ)のご命令しかと承りました。」
ハン・ギュホは書状に向かって言いました。
「私も調査しないといけませんか?」
武官は怯えました。

街。
キム・ファグンは通りの向こうから世子がやってくるとうれしそうにほほえみました。
しかし世子はファグンには気づかず走り去って行きました。
「あ~どこに行ってたんですか?世子邸下(チョハ)がいらしたんですよ!民を守るための法で民を罰するためのものではない!ただちに水売りの者を放免せよ!すごくかっこよかった!」
ハン・ガウンは世子に言いました。
「かっこよかった?本当に?」
「本当ですよ!」
「そうか!」
世子とハン・ガウンは仲良くしていました。

辺首会(ピョンスかい)。
テモクはコンからファグンがコンをまいて世子を捜しに行ったと報告を受けました。テモクはコンにファグンを見つけるよう命じました。するとチョ・テホが現れ事態の経緯を報告しました。
「二度とこのようなことにならぬようにするにはどうすればいい?」
テモクはチョ・テホを脅しました。

通り。
イソンと父は再開することができました。

山。
イソンは拷問で傷ついた父を背負いました。
「お前、カウンお嬢様がつけてくださった名前を書けるのか?旦那様(ハン・ギュホ様)もお前は賢いから勉強させろとおっしゃってたな。」
「文字なんか学ぶなと怒ってたくせに。なぜ師匠の家に水を運んでる?」
「聞かなくていい。学問を継続したいか?殴られてばかりではダメだ。白丁(ペクチョン)だからと罵られても父親は水売りだと胸を張っていればいい。わかったな。」
「夜明けとともに働いて、夜に勉強するよ。」
「それでいい。なあ父さん重くないか?」
「別に。」
「そうか?」
二人が会話をしていると、突然男がイソンの後頭部を木の棒で殴り、お父さんを連れ去りました。

イソンが目覚めると父が木の上から吊り下げられていました。

ウ・ボの家へとづづく道。
「もうウ・ボ師匠の家は知ってるでしょう。なぜ私に道案内をさせるのです?」
ハン・ガウンは世子イ・ソンに言いました。
「う~ん。生涯?カウナ。ひとつお前に言わねばならぬことがある。だから・・・だから私は・・・この国の・・・。」
イ・ソンは言いかけました。
するとウ・ボとイソンの母、そして知り合いの奴婢たちが急いで駆けて行きました。
イ・ソンとハン・ガウンが後を追っていくとそこには殺されたイソンの父が横たわっていました。イ・ソンはハン・ガウンを抱いて遺体を見せないようにしました。

揚水庁(ヤンスチョン)の前。
イソンは鎌を手に持ち出てきたチョ・テホを襲おうとしました。イ・ソンはイソンを止めました。
「正義?法?俺たちを守る法や正義なんかない!」
激上したイソンはイ・ソンに鎌を振り上げました。その時イ・チョンウンはイソンの手を掴んで世子を守りました。
「離してください。離せ!すまない。私のせいだ。私が裁判に関わるべきではなかった。すまない。私がお前の父の無念を晴らすまで待っていてくれ。」
「待てなんてお前何様だよ!」
イソンは怒りました。
「私は!」
「身分を明かしてはなりません。」
イ・チョンウンは言いました。
「私はこの国の世子だ。」
「世子?お前が世子だと?」
イソンが怒るとイ・ソンは号牌(ホペ)をイソンに見せました。
「邸下(チョハ)のせいです。邸下(チョハ)のせいで父は死んだのです!邸下(チョハ)のせいですーーーーーー!!!」
イソンは尻もちをつき、再び鎌を握りしめました。
「すまない・・・。」
イ・ソンは謝りました。
「あああ・・・・・・ううう・・・・・・・。あ~!アボジ~!あ~!あ~!あ~!」
イソンは大声で泣きました。

辺首会(ピョンスかい)。
テモクはキム・ファグンになぜ世子の顔を知っているのか尋ねました。そこにコンが現れイ・チョンウンを見つけたと報告しました。テモクはコンに世子を捕らえるよう命じました。

小屋。
世子は泣きつかれたイソンの目の前でイ・チョンウンが持ってきた服に着替えました。
「庶尹(ソユン)らが揚水庁(ヤンスチョン)の不正を調査していると殿下に報告する。お前の父の件も裁くよう伝えるゆえ待っていてくれ。」
「はい。邸下(チョハ)。これを・・・。」
イソンは号牌(ホペ)を世子に返そうとしました。
「約束の証だ。持っていてくれ。お前の父の無念が晴れたときに返してくれ。」
イ・ソンはイソンに約束しました。

イ・ソンとイソンとイ・チョンウンが小屋から出ると、網が立ち上がり三人は辺首会(ピョンスかい)の刺客に囲まれました。イ・チョンウンは刀を抜いてコンに立ち向かいま

感想

仮面の王イ・ソン(韓国語: 군주-가면의 주인, 中国語: 君主-假面的主人)2話の感想です。話がいきなり動き出して面白くなってきました。揚水庁(ヤンスチョン)が共同井戸の水を揚水庁(ヤンスチョン)が管理する井戸に引いて出し惜しみして、夜になると井戸が閉じられるというトンデモナイ事になっていて、そのせいでイソンのお父さんが死んでしまったということです。イ・ソンは自分がでしゃばったせいでイソンのお父さんが殺されてしまったと悔やみ、立ち上がる決意をします。そこに絡んでくるハン・ガウンとキム・ファグン。ハン・ガウンのお父さんの命もなんだかやばそうですね。

単純で狭い構造の朝鮮時代の社会。国王や辺首会(ピョンスかい)が人々のライフラインを掌握して民は困窮。なんだかそれって、朝鮮半島でリアルによくあるパターンなのでしょうか。その背景には独自の思考パターンが根付いていそうです。

イ・ソンはハン・ガウンと出会ったその日に恋に落ちてしまいました(笑)

かわいいお姉ちゃんがいたら自分の物にしたいと即決する決断力。さすが有能な世子様ですね。

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