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仮面の王イ・ソン16話のあらすじ感想 Ruler:Master of the Mask 李煊


仮面の王イ・ソン16話のあらすじと感想

仮面の王イ・ソン

あらすじ

宮中の一角。
「お。これは吏判(イパン)大監(テガム)ではありませんか。あ。罷免されたんだっけ。」
令監(ヨンガム)に昇格したチョ・テホは赤い官服を着ていました。チョ・テホは官職をクビになったウ・ボたちに声を掛けました。
「貴様!」
ウ・ボと一緒に歩いていたパク・ムハはチョ・テホに怒りました。
「なんだと?長官様に向かってイノミ(貴様)とは何だ。」
チョ・テホはパク・ムハに意地悪く言いました。
「下がれ。令監殿よ、許したまえ。」
ウ・ボはパク・ムハを制しテホに詫びました。
「待たぬか。お前たちの態度はまた・・・。」
チョ・テホは言いかけて袖の中から出した小さな帳面をめくって「目不忍見」と書かれた言葉を読みました。
「見るに忍びないほどであったが行商人の頭領が死、いや、いや、いや、頭領ではなく世子が死んでさぞつらいだろう。」
チョ・テホは続けて言いました。
「貴様何を言うのだ。」
老人のキム・グァンリョルは怒りました。
「貴様、ふざけるな!」
パク・ムハも怒りました。
「死んだのだよ。世子も護衛武士(ホイムサ、イ・チョンウン)も一緒に死んだ。」
チョ・テホは意地悪くウ・ボに言いました。
「ふざけるな!もう一度言ってみろ!貴様どの口で言っている!」
パク・ムハは我慢できずにチョ・テホの襟首を掴みました。
「貴様らテモク様に逆らって無事で済むと思うなよ。世子のように(遺体を)カラスに食われなくなければ今すぐテモク様に・・・。」
チョ・テホはパク・ムハを地面に倒すとウ・ボに言いました。
「ネイノーン(おのれー)!貴様はテモクを信じ悪行を重ねて後が怖くないのか!世の中がもとに戻れば貴様はいつの日にか必ず報いを受けるであろう!」
ウ・ボは唇を震わせながらパク・ムハに怒鳴りました。
「お前なんか怖いものか!万一邸下(チョハ)が亡くなられたとしても俺たちがお前らを放ってはおかぬ!」
パク・ムハはテホに言いました。
「この俺様を侮辱するとは・・・ただではおかぬからな(覚えてろよ)!」
チョ・テホは捨て台詞を吐いて走り去りました。
「邸下(チョハ)ぁ・・・・・・。」
パク・ムハは地面に座り込んで泣きました。

どこかの山。
世子イ・ソンは山に打ち捨てられたまま目を開けました。荷車が通りがかると四人の少女が近くに捨てられました。
「お。生きてるぞ。」
揚水庁(ヤンスチョン)の兵士が動いている少女を見て小刀を取り出しました。
「やめとけ。どうせ死ぬ。」
もう一人の兵士は言いました。

離れ。
尚膳(サンソン)は大妃(テビ)に新たな世話係となるミン尚宮を紹介しました。
大妃は激怒しテモクを恨むと兄の右議政(ウイジョン)からの知らせがないか尚膳に尋ねました。
「おのれー。私の人(手の者)はどこにいるのだーーー!」

辺首会(ピョンスフェ)。
大妃の兄で右議政のソンギと配下の重臣たちはテモクに許しを請い取り入ろうとしていました。
「テモク様~どうか受け入れてください~。」
ソンギたちは何度も土下座しました。

ウ・ボの家。
チョ・テホが兵を率いてウ・ボの家に現れるとそこには誰もいませんでした。
ウ・ボとパク・ムハとキム・グァンリョルは近くの岩の裏に隠れていました。
「しらふではとても生きられぬ・・・。」
ウ・ボは酒を飲んで泥酔しながら泣きました。
キム・グァンリョルは世子はきっと生きているとウ・ボを励ましました。

山。
少女は這いながらイ・ソンに近寄ると、持っていた水を世子に飲ませてあげました。
「ありがとう。」
「生きて。生きて・・・。」
少女はそう言うと息絶えました。
イ・ソンは起き上がって悲惨な光景を目の当たりにして悲しくなりました。当りには揚水庁(ヤンスチョン)の兵士が捨てたと思われる民の遺体が捨てられていました。

王宮。
イソンのお母さんは正装して娘のコムルを連れてヒョンソクに会いました。
ヒョンソクは主上殿下(チュサンチョナ)が会いたがっているとイソンのお母さんに言いました。

王の部屋。
「殿下。ヒョンソクです。殿下が立てた手柄に対し殿下に差し上げる贈りものとテモクが言った者たちです。」
ヒョンソクは偽の国王のイソンにお母さんと妹を引き合わせました。
「面(おもて)を・・・上げてください。」
イソンは仮面を取るとお母さんに言いました。
「殿下・・・卑しい私どもがどうして・・・。」
お母さんと妹は床にひれ伏していました。
「これまで苦労されたでしょう。あまりにも長くお待たせしてすみません。」
「どういうことでしょうか。」
「オモニ(お母さん)・・・。」
イソンは涙を流しました。
「イソン。イソン。ああイソン。」
イソンのお母さんはイソンを抱き締めました。
「お母さん。お母さん。イソンです。」
イソンは母と妹を見て泣きました。
イソンのお母さんはコムルを紹介しました。
イソンは「私は国王だ」と言うと、イソンのお母さんは信じられない様子で息子の姿を見つめました。

宮中のカウンの部屋。
「お嬢様!イソンはなぜ国王の振りをしているのですか?知らなくてよいと言われました。何の心配もせず王宮で暮らせと。私はお金も身分もいりません。今すぐ一緒に帰りたいんです。いけませんか?もしもイソンが偽物の王と知られたら・・・。」
イソンのお母さんはカウンに言いました。

宮中の一角。
チョ・テホはイソンのお母さんと妹、そしてカウンに気安く呼びかけました。そこにイソンが現れました。

温室。
イソンはカウンを部屋に呼びました。ハン・ガウンはもし偽物の王と民に知られたらどうするのだと尋ねるとイソンは心配はいらないと答えました。
「こうやって王として暮らすことは以前の暮らしより楽なの?テモクの傀儡で幸せなの?」
「違います。お母さんとお嬢様が心配するのはわかります。でももう以前の私ではありません。私がキュホ様の仇を必ず討ちます。旦那様の無念を晴らします。」
「イソナ・・・。」
「なぜ驚くのですか?世子邸下(チョハ)にできたことが私にはできぬと言うのですか?行商人の頭領にできても一国にはできぬと思うのですか。私はお嬢様のためなら何でもします。」
「イソナ。だめよ。何もしないで。お母さんとコムルのことも考えて。」
「お嬢様・・・。世子邸下にも何もしないでとおっしゃったのですか。お嬢様は私のそばにいてくれるだけでよいのです。私が旦那様の仇を取るのを見ていてください。」

辺首会(ピョンスフェ)の楼閣。
テモクはヒョンソクから報告を受けました。
「それで、王は贈り物を受け取ったか。」
「喜んでいました。」
「それで?」
「声が大きくなりました。本当の王のように振舞っています。」

朝廷の会議。
大臣らは国王のもとに集まりました。
チンミョンは大妃と奸臣(かんしん)が一掃されたので空席になった吏曹判書(イジョパンソ、吏曹の長官)と大司憲(テサホン、司憲府の長官)を選びたいとイソンにいいました。
イソンは領議政のチンミョンの言葉を遮ると左議政(チャイジョン)のホ・ユゴンに任命権を与えました。チンミョンは動揺し、ホ・ユゴンは喜びました。

王の部屋。
イソンはホ・ユゴンを部屋に呼び「義理の父になる方かもしれないので」と囁きました。ホ・ユゴンは自分の娘が中殿(チュンジョン、王妃)になれるかもと聞いて態度を改めました。
「左相(チャサン、左議政)に頼みたいことがある。」
「はっ。お命じ下さい。」
私が借りを返さねばならぬ相手がいるので左相(チャサン、左議政)が手伝ってくれぬか?
イソンはホ・ユゴンを懐柔しました。

王宮の廊下。
チョ・テホはホ・ユゴンに国王から何を言われたか尋ねました。ホ・ユゴンは図星をさされ、慌てました。するとヒョンソクが内官を連れて現れチョ・テホを連れ去りました。

王宮の真っ暗な部屋。
「私が誰かわかるか?」
イソンは椅子に縛られているチョ・テホに言いました。
「誰だと?偽物の王だろ。偽物がよくもこんな真似を。俺はテモク様に忠誠を示してきた。よくもこの俺様を・・・!」
「始めよ。」
イソンが命じるとチョ・テホは拷問されました。
しばらくして・・・。
「わー。わー。わー。いったいどうしてですか。私め(ソーイン)が一体何をしたというのです?」
チョ・テホはイソンに怯え切っていました。
「これで、私が誰かわかるな?私を覚えていないとは。私はお前のしたことをはっきり覚えているのに。」
イソンは仮面を取りました。
「一体どうしてこんなことをなさるのかわかりませんが、私めはテモク様の者です。」
「お前も私もテモクの犬だがどちらが価値がある。偽物でも私は王。お前よりは価値があるのではないか?貴様は、私の父を殺した。たかが水一杯盗んだだけで死ぬまで殴った後、木に吊るしておいただろう。」
イソンが言う様子をヒョンソクは黙って見守る振りをしながらイソンを監視していました。
「あ・・・あの時の水泥棒の息子?あー!殿下。どうか、お助けください殿下!私めはご命令に従います。犬になれとおっしゃれば犬に、豚にとおっしゃれば豚になります。テモク様より殿下にお仕えいたしますーーー!命だけはお助けください殿下ーーー!」
チョ・テホが震えながら土下座すると、イソンはチョ・テホの頭を踏みつけました。
「テモクではなく私に使えるだと?」
「今から私めの主人は殿下です。殿下。殿下が私の主人です。殿下。」

辺首会(ピョンスフェ)。
テモクはチョ・テホが拷問されたと報告を受けチンミョンと話していました。領議政のチンミョンは左議政のホ・ユゴンを疑っていました。テモクは王が勢力を作ろうとしていると笑いました。チンミョンはホ・ユゴンには野心が見えると言いました。
「揚水庁長(ヤンスチョンジャン、チョ・テホ)はどうだ(野心でいっぱいであろう)?野心がある者を排除したら私は誰とやればよい?私の力が衰えれば背後からやられるだろう。今は皆の者が私に従っている。野心が見える者などかわいいものだ。」
テモクは焦るチンミョンを軽くあしらいました。
「死んだ世子のように花を咲かせた者。勝つ術を身に付けた者。そんな者が手ごわいのだ。」

山。
世子のイ・ソンはとうとうチムの花畑を見つけました。イ・ソンの心は怒りでいっぱいでした。

キム・ファグンが軟禁されている部屋。
父のキム・ウジェが娘の部屋に入るとファグンは泣き腫らした姿で座っていました。護衛武士のコンは心配そうにファグンを盗み見しました。
「ファグンよ。大丈夫か?三日たっても目を覚まさぬからどれほど心配したか。世子のことは・・・。この父が悪かった。父上があんなことをなさるとは。」
ウジェは娘に言いました。
「もう・・・大丈夫です。お爺様に報告もありますので。やるべきこともたくさんあるのに。長く休んでいました。もうお爺様のところへ行かないと。」
ファグンは立ち上がりました。
「ファグンよ。あまり大丈夫そうには見えないな。もう少し休んだほうがよいのでは?」
キム・ウジェはそう言うとファグンの後に付いていきました。コンはすれ違うファグンの心を察し自らの心を痛めました。

キム・ファグンは祖父のテモクに会いました。ファグンは配下の者が増えチムの薬が不足しているので揚水庁(ヤンスチョン)長にもっと子どもを連れて来させて働かせると言いました。
「熱心だな。」
「私は大辺首(テッピョンス)ですから。」
「私を憎いと思わないのか。」
お爺様は大切な人を奪われたことがありますか?
「ある。」
「それでお爺様はどうなさいましたか。」
「力を付けた。そして大事な人を奪った者からそれ以上を奪った。」
「やはり私はお爺様に似ているようです。」
ファグンは立ち上がると祖父に礼をして部屋から出て行きました。
「ファグンは立派です。いつもどおり忠実に大辺首(テピョンス)の務めを果たしています。」
ウジェは父のテモクに言いました。
「いつも通りとは妙だな。チャンよ。ファグンが出かける時は見張りをつけて監視せよ。」
テモクはチャンを呼び命令を下しました。

チム畑の村。
イ・ソンは労働者の振りをして民家に忍び込みました。イソンが床の板を開けると地下道がありました。奥の部屋では少女たちがチムの丸薬を作っていました。
「(子どもたちが素手で毒に触れているとは。)」
イソンは驚きました。少女がひとり倒れると、兵士が現れ遺体を運び出しました。子どもたちが動揺していると夫人が現れ仕事を続けるよう命じました。

尚膳の部屋。
メチャンはチム畑で働く子どもを自分で助けるので力を貸してほしいと頼みました。メチャンは辺首会(ピョンスフェ)の世の中、テモクの世の中になり均衡が失われたと危機感を表しました。

隠れ家。
ウ・ボはパク・ムハとキム・グァンリョルとともにチム畑の場所がどこにあるか考えていました。パク・ムハは辺りを調べるだけでも十年はかかると言いました。ウ・ボは解毒剤を作るにはチムの花が必要だと言いました。そこにメチャンが現れ手を貸すと言いました。
「その地図を描いたのは私です。私も亡くなったヤンのようにチムの毒(チムコタン)を作っていたのです。ずっとお話できずに済みません。」

夜のチム畑の村。
イ・ソンは倉庫にある辺首会(ピョンスフェ)の名簿を見つけました。
「イ・ジュンギョン刑曹判書(ヒョンジョパンソ)、カン・シオン工曹判書。テモクは朝廷を操っていたのか。大妃媽媽まで・・・。」
イ・ソンは名前が書かれた竹の筒を手に取りました。
「何者だ。所属は?おい待て!」
兵士が走り去るイ・ソンを見つけました。

日中の辺首会(ピョンスフェ)。
テモクは侵入者の報告を受け、ファグンに調べるように命じました。

テモクの庭。
ファグンを慕っているコンはファグンに会い、テモクを裏切ることになっても従うので命令して欲しいと言いました。
「お嬢様。私は何がお嬢様のためになるか何度も考えました。しかし答えは見つかりませんでした。ですからどうかご命令ください。何でも致します。」
「私がチム畑に行くから準備して。」

夜のチム畑の地下室。
キム・ウジェは辺首会(ピョンスフェ)の名簿が置いてある地下室で命令を下していると、チョ・テホが現れました。
「そちの顔はどうした。」
「それは・・・・・・なんでもありません。」
「数を確かめろ。春の日差しが強くわずかなことで火事になりかねん。」
「はい。」

チムの花畑。
畑にファグンが来たのでウジェは喜んで娘を迎えました。キム・ウジェは薬を運びに行ってくるので畑をしばらく見ているとよいと娘に言いました。

展望台。
ファグンはコンに尋ねると、ファグンの後を追っていた者が消えたと言いました。
「私はチムの畑を全部燃やすつもりよ。お爺様が最も大切にしているものを私も奪うの。手伝ってくれる?」
「はい。お嬢様。」
「ではチョンウンがここに閉じ込められた入るか確かめて来て。」
「はい。」
コンは命令を受けると調べに行きました。
「邸下(チョハ)。私がこの戦いを終わらせます。これが私が邸下(チョハ)に捧げる最後の心です。」

王宮の楼閣。
ハン・ガウンは楼閣に立っていました。すると尚膳が尚宮と内人(ナイイン)を連れて現れました。
「お嬢様は正式に側室になられます。よって主上殿下(チュサンチョナ)にから呉服と装身具と部屋が与えられました。お嬢様に尚宮と内人(ナイイン)が贈られました。」
尚膳は楼閣の下からファグンに言いました。
「尚膳様・・・。」
「敬語はどうかおやめください。お嬢様は間もなく昭儀(ソイ)の称号が与えられます。もう私めに敬語はおやめくださいませ。主上の贈り物を拒まれたら務めを怠った罪でこの者たちが罰せられます。お嬢様はよくご存じではありませんか。お受け取りくださいお嬢様。」

部屋。
カウンは部屋で側室の身なりに着替えさせてもらいました。

宮中の庭。
イソンは尚膳から準備が整ったと耳打ちの報告を受けました。

夜の宮中の池。
「幼い頃、一緒に灯篭を浮かべましたね。覚えていますか?ここには誰もいません。私があらかじめ人払いを命じておきました。」
イソンはカウンの前に現れると仮面を外しました。池には灯篭がいくつも浮かんでいました。
「覚えているわ。十歳だったかしら。灯篭に願いを込めて川に流れていく灯篭を、灯篭が見えなくなるまで追いかけたわ。」
「お嬢様は灯篭にどんな願いをかけましたか?」
「どんな願いを掛けたかもう覚えてない・・・。」
「(私はお嬢様の前で立派な男になれるように願いました。その時から、いいえ、ずっと前からお嬢様を、お慕いしていたのです。)この宮(クン)はどこよりも安全ですお嬢様。」
「だけどイソナ・・・。」
「しばらく人目を欺くためです。お嬢様。本当の側室になることは、ありません。」
「ありがとう。イソナ。・・・・・・。」
カウンが言うと、あたりに蛍が飛び始めました。カウンはイ・ソンと出会った夜を思い出し涙を流しました。
「邸下(チョハ)の・・・ためですか?」
「私のせいです。邸下(チョハ)が亡くなられたのは。」
「いいえ・・・・・・。私のせいなのです。私のせいで、亡くなったのです。」
「違うわイソナ。あなたはテモクによって偽の王にさせられただけ。」
「偽・・・そうです。偽の王です。ですが、この気持ちだけは、本物です。お嬢様。」

夜のチム畑。
「準備が、できました。」
コンはファグンに言いました。
「時間になったら、チョンウンを助けましょう。」
ファグンはコンに言いました。

地下室。
ファグンはコンとともにチョンウンを助けに行こうとするとイ・ソンが現れました。
「あそこに、囚われているのは誰だ?」
イ・ソンは言うとコンと剣を交えました。ファグンはイ・ソンの顔を見ました。
「コンよ!やめてちょうだい!邸下(チョハ)!ああ!生きていらしたのですね。感謝します。生きていてくれて・・・。」
ファグンはイ・ソンに抱きつきました。
「行首(ヘンス)様がどうして?」
「チョンウンを、あの者を助けに来たのでしょう?」

牢屋。
ファグンはイ・ソンをチョンウンに引き合わせました。
「青雲・・・・ソウン・・・・。」
イ・ソンは壁に吊り下げられているチョンウンを見つけて刀を落としました。
「邸下(チョハ)・・・・。」
「遅くなって本当に済まなかった青雲。」
「生きておいでと思っていました。」
「青雲。動けそうか?」
「右の眼が見えなくても邸下(チョハ)にお仕えできます。大丈夫です。どうやってここを見つけたのですか?」
チョンウンが言うと、キム・ファグンは入会式の通路と繋がっていると言いました。
イ・ソンは子どもたちも連れて行くとファグンに言いました。
「どうして幼い女子(おなご)なのですか?」
イ・ソンはファグンに色々尋ねました。
「できるだけチムの花びらを傷つけないように、小さな柔らかい手で摘ませるためです。」
ファグンは答えました。
「死んだと思われた私は捨てられましたが、そこはここで働いている子どもたちを捨てる場所でした。そこで死にかけていた少女に私は水を飲ませてもらい助けられました。これ以上あの子たちを死なせるわけにはいきません。すぐ救わねば。」
イ・ソンは真剣な様子でファグンに言いました。
「わかりました。子どもたちを救ってください。」
ファグンは了承しました。


洞窟の外。
「万一気づかれた場合は私たちが兵士を引きつけ時間を稼ぎます。もうすぐ夜が明けます。お気をつけて。」
ファグンはイ・ソンに言いました。
「ありがとうございます。行首(ヘンス)様。いずれまた会いましょう。」
イ・ソンはファグンに言うと去りました。
「お嬢様。大丈夫ですか?子どもたちを逃がしたら・・・。」
コンはキム・ファグンを心配しました。
「コナ。辺首会(ピョンスフェ)の兵士を引き付けるわ。」
「まさか。あの鞭はだめです。テモク様がお許しになりません。」
「コナ。お前は私の人でしょう?」
「・・・はい。」
「行こう。」

地下通路。
イ・ソンとチョンウンは見張りの兵士を倒し、少女たちに話しかけました。チョンウンが声を掛けると子どもたちはおびえました。
「もしかしてヤンを知っている子はいないか?名前は?」
イ・ソンは話しかけました。
「オウル。」
少女の頭目は言いました。
「私たちはヤンに頼まれて来たのだ。ヤンにあなたたちを助けてほしいと。ヤンとの約束を守るために。一緒に来てくれるか?」
「ヤンはどこにいるの?」
「ヤンは両親とともにいる。早くついてこい。」
チョンウンが口を挟むと少女たちはまた怯えました。
「本当のことを言おう。ヤンは・・・死んだ。」
「知ってます。体に斑点が現れたら死にます。どうせ死ぬのになぜ逃げるのですか?」
「私はこのままあなたたちを死なせたくない。何としても助ける手立てを考える。」
「みんな。このおじさんと一緒に逃げるわよ。」
オウルは少女たちに言いました。

朝。
イ・ソンとチョンウンは少女を連れて逃げました。見張りの兵士が逃亡に気づいて太鼓を叩いて仲間を呼びました。
「すぐに捕らえろ!」
兵士たちはイ・ソンとチョンウンに襲い掛かりました。
イ・ソンとチョンウンは刀を抜いて戦いました。
「皆動くな。お前たちは辺首会(ピョンスフェ)の一員だ。ならばこの鞭の意味は知っているな。この者を追うな。私はテモクの孫で大辺首だ。私の命令に逆らうのか。行ってください。」
キム・ファグンはコンとともに現れ兵士を従えました。
イ・ソンたちは逃げました。ファグンとコンも途中まで一緒に行きました。
しばらくしてチョ・テホが現れ兵士を叱りました。兵士は大辺首の命令だと答えました。チョ・テホは兵士に早く追いかけるよう命じました。兵士は戸惑いながらもイ・ソンたちを追いかけました。

キム・ファグンとコンは途中まで行くと、イ・ソンたちと別れました。
「このままでは無理です。行ってください。」
「行首(ヘンス)様は?」
「ここは任せてください。」
「しかし皆の前で逃げたのですから逃げなければ。」
「私はテモクの孫で大辺首です。」
「しかし!」
「私は、ファグンです。」
キム・ファグンは涙を浮かべてイ・ソンに言いました。
「無事でいてくれ。ファグナ。」
イ・ソンは言いました。
ファグンはイ・ソンに口づけをするとイ・ソンから背を向けました。
イ・ソンは尾ひれを引かれる思いでファグンのもとを去りました。
「(邸下に会えて、幸せでした。)コナ。必ず邸下(チョハ)を守ってあげて。邸下が無事にここから逃げだせるか見届けて。」
「それではお嬢様が・・・・。」
「また命令に逆らうのか?」
「はい。命令に従います。」
コンもイ・ソンと共に行きました。

キム・ファグンは何事もなかったかのようにチョ・テホと兵士とすれ違うとチムの畑に戻りました。

チム畑。
「ファグン。」
キム・ウジェが戻ってきました。
ファグンはチムの畑に火をつけました。
キム・ウジェたちは大騒ぎをして火消しに取り掛かりました。
「ファグン。お前は何て事を・・・。」
キム・ウジェは気力を失い地面に座り込みました。

「お嬢様。」
コンは燃え盛る花畑を振り返りました。
「ああ・・・・。」
イ・ソンは声を失いました。

感想

仮面の王イ・ソン(韓国語: 군주-가면의 주인, 中国語: 君主-假面的主人)16話の感想です。

イ・ソンの最終回まで残すこと4話となりました。

偽国王のイソンは辺首会(ピョンスフェ)の大臣の仲を引き裂きホ・ユゴンとチョ・テホを自分の味方に引き入れようと試みましたがヒョンソクを通じて筒抜けになっています。

テモクはイソンに母と妹、ハン・ガウンを与えてイソンにしばしの安らぎを与えます。イソンは家族と想い人を手に入れ強気に出ようとしていたのでした。

イソンはカウンを夜のデートに誘い、側室になったけど(まだイ・ソンを慕っているので)夜の営みはしなくてよいと言いました。イソンはカウンのお父さんの無念を必ず晴らす誓いを立てました。

本物の世子のイ・ソンはチム畑の近くに捨てられて、花畑を見つけて単独で乗り込みます。

ファグンは世子のためにできることはテモクの大事な物を奪うことだとチムの畑を燃やすために畑に行き、そこでイ・ソンと再会しました。ファグンはイ・ソンと子どもたちの逃亡を助け、自らチム畑に火を放ちました。

テモクの力の源である「チムコタン」の生産を絶ったつもりなのでしょうが、果たしてチム畑はそこにあるだけなのでしょうか!?この話、まるであの組織を連想してしまいますね。言葉にするのも恐ろしいあの実在の組織を。薬で中毒にしたり資金源にしたり、本当によく似てます。もしかしたらこのドラマのストーリーは現実の出来事にヒントを得たのかもしれませんね。

この回に来て「コン」が男を見せました(笑)

韓ドラで「男を見せる」とはズバリ「切ない表情を浮かべること」です。ちょっと笑っちゃいますけど、「男版胸キュン」といったところでしょうか。面白いですね。相手の心を読めるということは、好きになった相手の心の痛みまでわかるということですから、コンはファグンの傷ついた気持ちを知って、自分が傷ついているみたいに心を痛めているのです。なるべく無表情を演じてきたコンですが、ここに来て胸キュンを表現しています(笑)

チョンウンは少女に怖がられるオジサンを表現しています。誰からも慕われる世子イ・ソンとの対比としての表現。子どもに嫌われるチョンウンを演じることで、子どもからも好かれるイ・ソンを表現しているのです。味方の男も女も涙して慕うイ・ソン。優しいイ・ソン。たくましいイ・ソン。悪党と戦う正義のイ・ソン。理想の儒者も涙するほど愛するイ・ソン。すぐれた政治家のイ・ソン。イ・ソンの完璧な面をドラマでは表して、それこそが国王の理想像という風に表現しています。

完璧な国王イ・ソンに対し、イソンはキレやすさと単純でストレートな思考、女性への情熱と一途さを表しています。愛する女性のためなら汚いこともできるイソンという風に。そこはテモクと共通しています。

今回のイ・ソンもまた大きな動きを見せてくれました。続きが楽しみです。今回は面白かったですよ!

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薯童謠(ソドンヨ)1話~最終回あらすじとネタバレ感想まとめ ソドンヨ 1話~66話 あらすじと感想 長文注意。薯童謠はよかったので感想もあらすじもしっかり書いてます!薯童謠とは新羅に伝わる童謡で物語がすすむにつれて意味がわかってきます。百済は三韓のうちのひとつを引き継ぎ前の国の王を倒す際にとある約束をしました。百済の技術師モンナス博士は仲間を連れて新羅に亡命します。そして新羅でしばらく過ごした後に・・・詳しくはソドンヨ各話あらすじをご覧ください。 薯童謠(ソドンヨ) 1話 薯童謠(ソドンヨ) 2話 薯童謠(ソドンヨ) 3話 薯童謠(ソドンヨ) 4話と5話  新羅へ亡命 薯童謠(ソドンヨ) 6話 薯童謠(ソドンヨ) 7話 薯童謠(ソドンヨ) 8話 薯童謠(ソドンヨ) 9話 薯童謠(ソドンヨ) 10話 11話 薯童謠(ソドンヨ) 12話 薯童謠(ソドンヨ) 13話 薯童謠(ソドンヨ) 14話 薯童謠(ソドンヨ) 15話 薯童謠(ソドンヨ) 16話 薯童謠(ソドンヨ) 17話 薯童謠(ソドンヨ) 18話 薯童謠(ソドンヨ) 19話 薯童謠(ソドンヨ) 20話 薯童謠(ソドンヨ) 21話  木羅須百済に帰国 薯童謠(ソドンヨ) 22話 薯童謠(ソドンヨ) 23話 薯童謠(ソドンヨ) 24話 薯童謠(ソドンヨ) 25話 薯童謠(ソドンヨ) 26話 薯童謠(ソドンヨ) 27話 薯童謠(ソドンヨ) 28話 薯童謠(ソドンヨ) 29話 薯童謠(ソドンヨ) 30話 薯童謠(ソドンヨ) 31話 薯童謠(ソドンヨ) 32話 薯童謠(ソドンヨ) 33話 薯童謠(ソドンヨ) 34話 薯童謠(ソドンヨ) 35話 薯童謠(ソドンヨ) 36話 薯童謠(ソドンヨ) 37話 薯童謠(ソドンヨ) 38話 薯童謠(ソドンヨ) 39話 薯童謠(ソドンヨ) 40話  武康太子の誕生 薯童謠(ソドンヨ) 41話 薯童謠(ソドンヨ) 42話 薯童謠(ソドンヨ) 43話  威徳王逝去 薯童謠(ソドンヨ) 44話  惠王即位 薯童謠(ソドンヨ) 45話 薯童謠(ソドンヨ) 46話 薯童謠(ソドンヨ) 47話 薯童謠(ソドンヨ) 48話  法王即位 薯童謠(ソドンヨ) 49話 薯童謠(ソドンヨ) 50話

薯童謠(ソドンヨ)最終回第66話恋の成就のあらすじとネタバレ感想

薯童謠(ソドンヨ)最終回 あらすじ 夜の百済王宮。 女性たちが華やかに舞い、貴族の男とメクトスたちは庭で酒と食事を楽しんでいました。 「こんなに楽しい日は生まれて初めてだ。ははは。」 メクトスは有頂天でした。 「親父、俺も結婚したいよ。」 ポムノはメクトスに言いました。 「何だと。」 「チョギとだよ。陛下がうらやましいよ。」 「父親を片付けてから結婚しろ。」 「あー!ちくしょう。」 「ところで陛下は男女の営みをご存知だろうか。事前に教育するのを忘れてたよ。」 メクトスは卑猥な想像をしていました。 「そんなの心配いりませんよ。(未経験の)俺でも知っています。」 トゥイルはメクトスに言いました。 「そうか?」 「今頃うまくやってますよ。」 「はっはっはっはっはっは。」 男たちは笑いました。 「紙に穴をあけてのぞきたいところだけど、陛下にそれはできないな。」 メクトスは笑いました。 寝所の控室。 「結髪(キョルバル)の用意はできた?」 モジンはウンジンとウスに言いました。三人は桃色に白地の縁取りの刺繍の絹を着て初夜の営みの準備をしていました。 「はい。」 「香油は?」 「用意しました。」 ウンジンはモジンに言いました。 「櫛は?」 「置きました。」 ウスが答えました。 「浄化水は?」 「用意しましたー。」 チョギは明るく言いました。 「分かったわ。」 三人は王の寝所を出ました。 「準備が整いました。」 寝所の前で控えていたボミョンが外に出てきたモジンに言いました。 「はい。では五歩下がるように。」 モジンは侍従と侍女たちに命じました。 ウンジンとチョギとウスは口に手を当てて照れ笑いして顔を見合わせました。 「陛下。初夜の儀式を始める時間です。今から申し上げる順序でなさいませ。」 モジンは寝所の中に向かって話しかけました。 「まず、生涯を共にすると誓う意味の結髪をしてください。」 ベッドの上には白地の縁に金の刺繍が施された衣に着替えたチャンと白い絹に薄桃色の縁取りの絹を着たソンファ公主が腰かけていました。二人の髪が少し切られて絹の敷物の上に赤い紐で結ばれ置かれていました。 チャンは置

朱蒙(チュモン)全話1から最終回81話までのあらすじと感想

朱蒙(チュモン)のあらすじ一覧 朱蒙(チュモン)の1話から最終回81話までのあらすじを解説し感想も述べています。途中でちょっと面倒になったこともありましたが、何とか最後まで視聴することができました。朱蒙(チュモン)は感情移入するようなドラマではないと侮っていたのですが、最後らへんになると思わず登場人物の結末に涙してしまいました。 チュモンの全話あらすじ詳細とネタバレ感想 チュモン 1話 あらすじネタバレ感想 チュモン 2話 あらすじネタバレ感想 チュモン 3話 あらすじネタバレ感想 チュモン 4話 チュモン 5話 あらすじネタバレ感想 チュモン 6話 チュモン 7話 あらすじネタバレ感想 チュモン 8話 チュモン 9話 あらすじネタバレ感想 チュモン 10話 あらすじネタバレ感想 チュモン 11話 あらすじネタバレ感想 チュモン 12話 あらすじネタバレ感想 チュモン 13話 あらすじネタバレ感想 チュモン 14話 あらすじネタバレ感想 チュモン 15話 あらすじネタバレ感想 チュモン 16話 あらすじネタバレ感想 チュモン 17話 あらすじネタバレ感想 チュモン 18話 あらすじネタバレ感想 チュモン 19話 あらすじネタバレ感想 チュモン 20話 あらすじネタバレ感想 チュモン 21話 あらすじネタバレ感想 チュモン 22話 あらすじネタバレ感想 チュモン 23話 あらすじネタバレ感想 チュモン 24話 あらすじネタバレ感想 チュモン 25話 あらすじネタバレ感想 チュモン 26話 あらすじネタバレ感想 チュモン 27話 あらすじネタバレ感想 チュモン 28話 あらすじネタバレ感想 チュモン 29話 あらすじネタバレ感想 チュモン 30話 あらすじネタバレ感想 チュモン 31話 あらすじネタバレ感想 チュモン 32話 あらすじネタバレ感想 チュモン 33話 チュモン 34話 あらすじネタバレ感想 チュモン 35話 チュモン 36話 チュモン 37話 あらすじネタバレ感想 チュモン 38話 あらすじネタバレ感想 チュモン 39話 あらすじネタバレ感想 チュモン 40話 あらすじネタバレ感想 チュモン 41話 あらすじネタバレ感想 チュモン 42話 あらすじネタバレ感想 チュモ