仮面の王イ・ソン15話のあらすじと感想
あらすじ
ハン・ガウンが人質に取られ辺首会(ピョンスフェ)の領袖テモクのもとにイ・ソンは行くことに決めました。
夜のウ・ボの家。
「お前は朝鮮すべての民の命を預かっているのだぞ。」
ウ・ボは出発前のイ・ソンに言いました。
「師匠が何をおっしゃっているのかわかります。ですが私は行かねばなりません。私の命を守るためにカウンを死なせたら私はもう私ではなくなってしまいます。慕っている女人(にょにん)一人救えずにどうして民を救えましょうか。」
イ・ソンはそう答えると、テモクの家に向かいました。
テモクの部屋。
テモクはハン・ガウンを部屋に呼びイ・ソンをおびき寄せました。イ・ソンがテモクの前に現れました。
「私がお前を殺そうとしても見つけられなかったのに女人のために私の前に来るとは。」
テモクはイ・ソンに言いました。
「ひ弱な女人を拉致して私をおびき出すとはテモクらしくない。今すぐこの女人を解放しろ。」
イ・ソンはテモクに言いました。
「貴様の度胸だけは認めてやろう。娘を部屋に連れていけ。」
テモクは部下に命じました。
「おのれ離せ。離せと言っている!」
ハン・ガウンは腕を掴む二人の刺客に言いました。
「丁重にお連れせよ。貴様らが触れてよいお方ではない。」
イ・ソンは刺客に言いました。カウンは刺客の手を振りほどいて自ら別室に行きました。
王の部屋。
偽の国王イソンはヒョンソクからカウンがテモクに誘拐されたと報告を受けました。ヒョンソクはこのまま本物の世子イ・ソンに死んでもらったほうがよいと言うと、イソンはカウンを救うためにテモクの家に行くため準備するよう命じました。
テモクの家。
テモクはイ・ソンに茶と食事を用意しました。
「どんな花を咲かせたいのだ?王宮の外で北風や吹雪を浴びた。もうじき花を咲かせるであろう。」
テモクはかつてイ・ソンから贈られた黄色い水仙の鉢植えを示しました。
回想シーン。
「温室にいるせいで花を咲かせられないとは。不思議ではないか。北風や吹雪に晒されながら咲いてこそまことの花である。」
イ・ソンはテモクに言いました。
「私の花はテモクと辺首会(ピョンスフェ)が消えたこの朝鮮で咲かせるつもりだ。」
イ・ソンはテモクに言いました。
「テモクと辺首会(ピョンスフェ)が消えた国か。お前が私を倒して手に入れたい物は何だ?権勢か千年の名声か?または単なる親の復讐。」
テモクはイ・ソンに言いました。
「辺首会(ピョンスフェ)を倒して新たな世を開く。」
「新しい世の中だと?はっはっはっは。私と同じだな。お前はこの朝鮮をどう思う。私にとって朝鮮は貧しい国だ。豊かに暮らせるのは国王と少数の両班だけの、貧しい国。こんな国が正しいはずがない。朝鮮は一体いつまでもつだろう。貧しさに苦しむ民がいったどれだけ生きられるのか。私を手を組みこの朝鮮を豊かにする聖君にならないか?」
「豊かな、朝鮮・・・。お前が目指す国と同じかもしれぬ。だが問題はその過程に結果にお前は責任を負っていない。お前が理想の朝鮮を作るために、子が死のうと己の利益のたみに万民が搾取されようと、お前は影の権力者。お前は何一つ責任を取ろうとしない。責任を持たぬ権力は戦より恐ろしい。お前が影の実力者である限り、お前に新たな世の中を語る資格はない。」
「資格?ふっ。資格か。運よく王子に生まれたお前から資格という言葉を聞くことになるとは。お前こそ王座に就く資格が、新たな時代を作る資格があるのか?」
「それはどういう意味だ。」
「本当に何も知らぬのか?」
「死んだお前の父は私と組んだ。私の手を借り兄である王を殺めた。」
「!?」
「そうだ。先王はこの私が王にしてやったのだ。ところが奴は私を切り捨てようとした。聞かせてくれ。誰に資格があって誰にないのか。誰が本当の本当の逆賊で誰が誰に復讐すべきだ?」
「テモーク!そんな話信じられるものか!先王が兄を殺した?父上がそんなことするはず・・・!」
回想シーン。
「似ているな。お前は王座を盗んだ逆賊とよく似ている。」
尚膳はイ・ソンに言いました。
「ふっふっふっふ。ふっふっふっふ。」
テモクは笑いました。
イソンは王宮を抜け出しヒョンソクとともにテモクの家に馬で急行しました。
軟禁部屋。
「私が殺そうとしても見つけられなかったものの、たかが女一人のために私の前に来るとは。」
カウンはテモクの言葉を思い出しました。
「私が来たのだから、この女人を解放してくれ。」
カウンはイ・ソンの言葉を思い出しました。
「あの者は私の父の仇。あの者がどうなろうと私は関係ない。」
「世の中を変えるには妥協も必要だ。私と手を組め。お前がファグンと婚礼を挙げ私と手を組めば王にしてやろう。そうすれば私の夢と未来がお前の物になる。」
テモクはイ・ソンに言いました。
「・・・・・・。北方で・・・冬に狼をどうやって捕らえるか知っていますか?血の付いた刀を狼の通り道に刺しておくのです。狼は血の匂いに誘われ刀を舐め始めます。舌は麻痺して刀で斬られているとも知らずに狼は舐め続けてやがて死ぬのです。」
イ・ソンは低い声でテモクに言いました。
「私の話が血の付いた刀だと?」
「権力に目がくらんで近づけば狼と同じ最期を遂げるでしょう。」
「私の提案を拒むというのか?」
「ならば私を殺しますか?」
「いや。まずはお前の目の前でカウン、あの娘を殺す。あの娘にあらゆる苦痛を与えて殺してやる。お前はその次だ。」
テモクが言うとイ・ソンの体に戦慄が走りました。
「ダメよおじいさま!」
キム・ファグンが悲痛な叫び声を上げながらテモクの前に現れました。
「大辺首(テピョンス)は自分の部屋に戻っていろ!」
テモクは孫に怒鳴りました。
「いけませんお爺様。どうか邸下(チョハ)を助けてください。」
ファグンはテモクに言いました。
「大辺首(テピョンス)。お前はまだこいつが誰だかわからぬのか。この者は先王の息子で辺首会(ピョンスフェ)最大の敵だ!それでもこいつを率いれてやろうとしたのに私の孫娘と婚礼を挙げることも私と手を組み王になることも拒んだのだ。どうすればよいと思う?」
「お爺様・・・お爺様・・・・・・。」
ファグンは両手を擦り合わせて懇願しました。
「はっ・・・・。よいだろう。最後の機会をやる。お前が説得してみろ。それでもだめなら二度とこの祖父に助けてくれと泣きつくな。」
テモクは席を立ちました。
「邸下(チョハ)。この朝鮮より長い歴史と伝統をもつのが辺首会(ピョンスフェ)です。そんな辺首会を滅ぼすことは不可能です。辺首会を倒そうとせずに利用してください。辺首会の財力を邸下の確かな土台として辺首会の権力を使って統治するのです。邸下。私を手に入れ辺首会を手に入れてください。辺首会のためでなく邸下のためです。どうかお爺様と手を組み王になられてください。私が、邸下をお支えします。」
ファグンはイ・ソンに話しました。
「行首(ヘンス)様。私にはお慕いしている女人がいます。ですから私を助けようとしないでください。」
「邸下。中殿(チュンジョン、王妃)と邸下の女人になるとは言いません。邸下(チョハ)はどうぞお好きな女人とお過ごしください。私はテモクではなく邸下に捧げます。お爺様と手を組むとおっしゃってください。」
「申し訳ないが、私にはできません。」
イ・ソンはファグンと目を合わさずに言いました。
「邸下のお心が欲しいとは言ってません。一言そうするとだけ言ってください。私はひとえにこの身を捧げて邸下をお慕いしているのです。」
ファグンは涙を流しました。
「だからです。私は行首(ヘンス)様の真心を頂いておきながら偽りで返すことはできません。」
「お爺様が、邸下を生かしておくと思いますか?」
「ファグンナ。」
父のキム・ウジェがチャンとともに現れました。
「大辺首(テピョンス)様。テモク様に命じられました。」
チャンが言うと刺客がイ・ソンを連れ去りました。
父のキム・ウジェはファグンの気持ちを察して心を痛めました。
軟禁部屋。
ファグンは部屋に入るなりハン・ガウンの頬を叩きました。
「お前のせいだ。」
「どういう意味ですか?」
「お前のために邸下が命を失うことになるのよ!」
「あの者(クジャ)が、死ぬのですか?」
「あの者?あなたのために命を懸けたお方があの者だと?」
「あの者は父の仇。死のうが私には関係ありません。」
ハン・ガウンは手を挙げようとするファグンの手首を掴みました。
「お前は何も知らないのね。こんな女のために邸下が・・・!」
「私が何を知らぬというのですか?」
「邸下(チョハ)がお前の父の仇ですって?一生邸下のことを恨めばいいわ!」
ファグンは部屋を出ようとしました。
「邸下(チョハ)が私の父を殺していないなら一体誰なんですか?」
「・・・・・・。」
ファグンは怒って部屋から出て行きました。
「世子邸下(チョハ)。私の父を殺したのはあなたではないのですか?」
カウンは瞳を潤ませました。
テモクの部屋。
「説得できなかったか。」
テモクは孫娘を見て言いました。
「お爺様。どうか世子邸下(チョハ)を助けてください。」
ファグンは涙を流してテモクに懇願しました。
「入会するなら命だけは助けてやる。入会式の準備をせよ。」
テモクは部屋にいたキム・ウジェに言いました。
「邸下(チョハ)がもしも入会を断ったら・・・。」
「その時は命を貰うしかない。」
ファグンの部屋。
「ファグンよ。お爺様は精一杯譲歩された。私によい考えがある。入会式を行えば世子もこちら側の人間になる。私が世子の中毒を解く薬を用意してやろう。」
キム・ウジェは窮しているファグンに言いました。
「でも、解毒剤はお爺様にしか作れないはず・・・。」
「私がチムの花畑でただ遊んでいただけと思うか?父を信じろ。」
キム・ウジェはファグンの手に自分の手を重ねました。
軟禁部屋。
「お前こそ王座に就き新たな時代を語る資格があるのか?死んだ先王は私の手を借り先大王を殺したのだ。」
イ・ソンはテモクの言葉を思い出していました。
「父上・・・・・・。」
ハン・ガウンが囚われている部屋にイ・チョンウンが現れました。
「助けに来ました。」
チョンウンはカウンに言いました。
「なぜ邸下(チョハ)ではなく私を?」
カウンは立ち上がるとイ・チョンウンに言いました。
「邸下(チョハ)はお嬢様を助けて欲しいと。お嬢様。考えている暇はありません。」
テモクの家の庭。
イソンとヒョンソクがテモクに会いに現れました。
「行きましょう。」
イ・チョンウンは隙を見計らいカウンを逃がそうとしました。
「私だけ逃げるわけにはいきません。」
カウンはイ・ソンを見直しました。
「お嬢様。」
「私は邸下に直接聞かなければならぬことがあるのです。」
回想シーン。
「私が青雲(ソウン、イ・チョンウンのこと)にひとつ無理を頼まなければなりません。私が行ってもテモクはカウンをすんなり帰しはしないでしょう。カウンは私を捕らえるための囮であるがイソンを身動きできなくするための囮でもある。」
イ・ソンはチョンウンに言いました。
「ならば、なぜ・・・。」
「青雲。私は辺首会(ピョンスフェ)から生きて戻ることは難しいだろう。だがカウンは違う。私を捕らえたらカウンの監視の手が緩むはずだ。カウンを助けてくれ。」
「邸下(チョハ)。」
「頼む。青雲。」
「邸下(チョハ)はお嬢様の安全を確保したらお助けします。行きましょう。」
イ・チョンウンはカウンに言いました。
「ひとつ答えてください。私の父は、誰が殺したの?」
カウンはチョンウンに尋ねました。
「・・・・・・。ギュホ様を殺したのは、私です。私が邸下(チョハ)の仮面をつけ、あなたのお父上の首をはねました。」
イ・チョンウンは土下座しました。
「あなたが、父を打ち首に?」
「邸下(チョハ)は最期までお父上を助けようとなさっておりました。早く申し上げるべきでしたが邸下(チョハ)が言うなとおっしゃるので、許しを請うのが遅くなり申し訳ありません。」
テモクの部屋。
「テモク様。どうして私の女人を連れて行かれたのです?なんでもおっしゃる通りにします。どうかお返しください。」
仮面をつけて現れたイソンは声を震わせテモクに土下座しました。
「遅かったな。世子があの子を助けに来た。あの子を助ける代わりに世子は入会式を行い世子は辺首会(ピョンスフェ)の一員になることを約束した。」
テモクは答えました。
「世子が辺首会(ピョンスフェ)に入会したらそのあとはどうなるのですか?」
「そうだな。お前が仮面をつける日が残り少なくなるな。」
「まさか私を追い出し世子を王にするつもりですか?あ・・・旦那様。私はこれまで忠誠を尽くして参りました。どうして私を追い出すのですか?」
「私の孫娘が世子を気に入っている。世子が孫の夫となれば王位を返してやるのも悪くない。」
軟禁部屋。
「テモク様がお呼びです。」
チャンはイ・ソンに言いました。
テモクの部屋。
イ・ソンはテモクの前に突き出されました。
「偽物が言っているぞ。忠誠を尽くすので女人を返してほしいと。どうだ。あの女人を帰らせてよいか?」
テモクはイ・ソンに言いました。
「なぜ答えないのですか?お嬢様を助けたくないのですか?お嬢様の身が危ういのに私がお嬢様をお連れするのが気に入らぬのですか!」
イソンは怒った様子でイ・ソンに言いました。
「イソナ・・・。」
イ・ソンは返事に窮しました。
「あの子は既に逃げているはずだ!」
テモクは言いました。
庭。
カウンとイ・チョンウンは刺客に囲まれました。
「はっはははは。やはり、いくら抗おうとテモク様からは逃げられぬ。」
チョ・テホは言いました。
イ・チョンウンは痛めつけられた末にテモクの前に突き出されました。
「青雲!青雲!」
イ・ソンはチョンウンを見て焦りました。
「申し訳ありません。邸下(チョハ)。」
縄で縛られたイ・チョンウンは謝りました。
「女は閉じ込めておきました。」
チョ・テホは言いました。
「貴様が時間を稼いでいる間に護衛武士(ホイムサ)が女人を連れ出す手筈だったか。できると思ったのか?うりゃ!」
テモクはイ・チョンウンを斬りました。
「青雲!テモーク!」
「まだためらうか。忠実な臣下を失いそうだな。」
テモクはチョンウンにとどめを刺そうとしました。
「テモク様!入会式を行います。辺首会(ピョンスフェ)に入りますからどうか、青雲を助けてください。」
イ・ソンは泣きながら叫びました。
「なりません。邸下(チョハ)。」
イ・チョンウンは血を吐きながら言いました。
「カウンを帰してください。」
イ・ソンは泣きながら詫びました。
「カウンという娘は入会式が済めば帰してやろう。」
テモクは言いました。
軟禁部屋。
「大丈夫ですかお嬢様。」
イソンが部屋に現れ仮面を外しました。
「イソンがどうしてここに?」
カウンはイソンに言いました。
「お嬢様を助けに来ました。もう少し待っててください。私がお嬢様をお救いします。」
「イソナ。私より先に世子邸下(チョハ)を助けて。」
「誰を・・・助けるって?」
「私のために邸下(チョハ)がテモクに捕まったの。ねえイソナ。邸下(チョハ)を助けて。」
「お忘れになったのですか?世子はキュホ様を殺したのですよ。お嬢様のお父上を殺した世子をなぜ助けるのですか!あ・・・世子はお嬢様の敵ではないのですか?」
イソンの声が大きくなりました。
「邸下(チョハ)はお父様を殺していなかった。父を殺したのはチョンウンという人よ。邸下(チョハ)じゃなかったのよ。イソナ。邸下(チョハ)を助けなきゃ。力を貸して。ん?」
「・・・・・・わかりました。私を信じて、少し待っていて下さい。」
イソンは部屋を出ました。
イソンはテモク顔を合わせました。
深夜の大妃の部屋。
「テモクがハン内人(ナイイン)を拉致しました。媽媽(マーマー)。私はテモクを恐れるあまりあの者の言いなりでした。ですが今度ばかりはあの者に我慢なりません。ここぞとばかりに軽んじられ、どうすればよいですか?」
王宮に戻ったイソンは大妃に会いました。
「そうですか。もっと早くに私を頼ればよかったのです。ご安心ください主上。この私がテモクからあの子を救って差し上げます。」
「感謝いたします媽媽(マーマー)。これからは媽媽(マーマー)にだけ従います。」
「よくご決心なさいました主上(チュサン)。」
王妃は優しい口調でイソンにいいました。
翌日の王宮の政治の場。
イソンはチェ・ヨンジュを王妃にする旨の王命を出しました。イソンはチンミョンを睨みました。
キム・グァンリョルはウ・ボとパク・ムハに辺首会(ピョンスフェ)の手の者が王妃にならなくてよかったと言いました。
夜の辺首会(ピョンスフェ)。
キム・ファグンはイ・ソンに差し入れをして励ましました。イ・ソンはチョンウンの様子を尋ねると、ファグンはチョンウンは失明したと答えました。ファグンは何としても世子のために解毒剤を手に入れると約束しました。
テモクの部屋。
テモクはコンを呼び出し通常は孫娘であっても二度と機会を与えないが、と孫を人質にコンの懐柔を試みました。
コンはファグンに解毒剤のありかがわかったと報告しました。ファグンは解毒剤を取りに明日の午後の入会式に戻る予定で出発することに決めました。
入会式。
イ・ソンとハン・ガウンは入会式の洞窟に連れて行かれました。黒装束をした男たちの中に若い男(ヒョンソクか誰だかわからず)がいました。
テモクはチムの毒(チンコッタン)について説明を始めイ・ソンに飲むよう求めました。チョ・テホはカウンの首に刀を突きつけてイ・ソンを脅しました。
「だめです。それを飲んでこの者たちの言いなりになるのですか?どうか飲まないでください。私を助けるためならなおさらです。あなたに私を助ける筋合いはありません。あなたのせいで私の父が死にました。私はずっとあなたを恨み続けることになるのです!」
カウンは叫びました。
「・・・・・・。私のせいで、お父上を死なせてしまい、申し訳ない。カウン。約束してください。これを飲めばカウンを解放すると。」
イ・ソンはテモクに言いました。
「約束しよう。」
テモクは言いました。
「だめです。だめです若様(トリョンニ)。だめです邸下(チョハ)。邸下が私の父を殺していないことは知っています。だからどうかやめてください!」
「この娘が先に死ぬのを見たくなければチムの毒を飲め!」
テモクはイ・ソンに言いました。
「やめて。お願い。」
カウンはイ・ソンに言いました。
イ・ソンはカウンを見つめて涙を流すとチムの毒を飲みました。
「名を名乗れ。」
テモクが言いました。
「私は、朝鮮の世子、イ・ソンだ・・・。血が・・・。」
イ・ソンは口から血を吐きました。
「お前には特別にチムの毒を三つやった。一つなら中毒になるが、三つなら誰も生き延びることはできぬ。」
テモクはイ・ソンに言いました。
「テモク・・・はじめから・・・私を・・・殺すつもりで・・・・。」
イ・ソンは苦しみました。
「このテモクは化け物か?いや。この地獄のような世の中に真っ向から向かった民にすぎぬ。民を絶望のどん底に突き落としているこの国が、私を化け物にしたのだ。」
テモクは言いました。
「く・・・・。」
イ・ソンはあおむけに倒れました。
「ダメ・・・。若様。ダメです・・・。」
カウンはイ・ソンを抱きました。
「は・・・初めて見た・・・・ときから・・・・心から・・・慕っていた・・・・・・。」
イ・ソンはカウンの頬に手をやると、意識を失いました。
その様子を見て黒装束の若者(おそらくイソン)は動揺しました。
「ダメーーーー!若様(トリョンニ)ーーーーーーーー!ダメーーーーーーーー!ああああーーーーーーー。」
カウンは泣き叫びました。
イ・ソンの体は外に運ばれました。
キム・ファグンがコンとともに戻ってくると、キム・ウジェは入会式が終わったと言いました。
イ・ソンの体は野に打ち捨てられました。
洞窟。
ファグンはコンとともに急いで洞窟に行きました。
「コン。お前は今も、私の人なのね?今も私の人かと聞いている。」
「私は、お嬢様の人です。」
「なのによくも!私を騙したな。」
「そうしたほうがお嬢様のためだと思いました。」
「お爺様が、そう言ったの?」
「はい。」
「お爺様が、邸下(チョハ)を殺したのです?」
「そのようです。」
「や~~~!」
ファグンはコンに刀を突きつけました。
「すぐに邸下(チョハ)を捜して。すぐに捜し出せ!でないと私はお前を殺す。」
日中の王宮。
宴が開かれました。
イソンの隣に腰掛けている大妃は機嫌よく兄のソンギに語り掛けていました。キム・グァンリョルはまだ「あのお方(世子)」は戻らないのかとウ・ボに言いました。
イソンは吏曹判書(イジョパンソ)のウ・ボを呼び、妃選びで手柄を立てたので酒を振舞いました。
「吏判(イパン)は以前、世が与えた助言(“これ以上、動くな、余が吏判が傷つくところを見たくない”)を忘れずに国に忠誠を尽くしてくれている。」
イソンが言うと、ウ・ボはわざと盃を落としてシャックリをはじめました。尚膳は慌ててこぼれた酒を拭きました。
「ねいのーん。お前というやつは王様の御前で酒をこぼすとは。こやつ正気か?」
ウ・ボはパク・ムハの頭を叩きました。
「御酒をこぼされたのは大監(テガム)ではありませんか。」
パク・ムハは言いました。
「本当に私が?ふふーん。殿下。私は大罪を犯しました。」
ウ・ボは酔っぱらった振りをして土下座しました。
「もうよい。宴で褒美として振舞っただけだ。罪に問わぬ。だがもう今日は二人の顔も見たくない。」
イソンは咳ばらいをしました。
「私をころしてください~。」
ウ・ボは言いました。パク・ムハはウ・ボを連れて行きました。
王宮の一角。
「二人とも宴には戻らぬほうがよい。悪い予感がする。」
ウ・ボはパク・ムハとキム・グァンリョルに言いました。
宴の席。
イソンは酒器を取り換えて大妃とソンギに酒を注ぎました。大妃とソンギは何の疑いもなく酒を受け取りました。
「今日は実に嬉しい日だ。余がこの場にいる全員に酒を振舞おう。」
イソンは言いました。
「有難き幸せでございます。」
大臣一同は言うとイソンが飲もうと合図すると部屋の出口の方角を向いて酒を飲みました。
大妃も酒を飲みました。
イソンは酒を飲もうとする手を止めて大妃を見ました。
テモク側の大臣もまた酒を飲んでいませんでした。
「テモク様のおな~り~。」
テモク側の大臣は立ち上がりテモクを迎えました。
大妃とソンギと辺首(ピョンス)以外の大臣は突然胸を押さえて苦しみ出しました。
「お前たちはチムの酒を飲んだ。これで半月に一度チムの毒を飲まねば命を失うだろう。」
テモクは言いました。
「おのれ、貴様!テモク貴様。許さぬからな。お前を決して許さぬ。テモーク。」
大妃はイソンに言いました。
イソンは大妃の手を振り払い、部屋に連れて行くよう命じました。
回想シーン。
夜の辺首会(ピョンスフェ)。
「あの娘を連れて帰りたいか。そのためにはお前がやらねばならぬことがある。」
回想シーン。
入会式。
「これで本物(の王)になったな。」
テモクは黒装束のイソンにいいました。
イソンはテモクに頭を下げました。
イソンの声。
「文武百官に告ぐ。身内が勢力を得ることは違法なのに大妃は姪を中殿(チュンジョン)に据え権勢を振るおうとした。よって罰として大妃を離宮に幽閉する。」
政治の間。
「揚水庁(ヤンスチョン)長。余はお前に正一品、司贍寺(サソムシ、紙幣の発行を許可する官庁)の長官を授ける。今後は揚水庁(ヤンスチョン)の業務に加え造幣権も管理せよ。」
イソンはチョ・テホに命じました。
「ありがたき幸せ~。」
チョ・テホは喜びました。
「なりません殿下。」
ウ・ボとパク・ムハとキム・グァンリョルの三人は反対しました。
「吏判(イパン)は余の王命に反対するのか?」
イソンは言いました。
チンミョンは反対した三人に罰を求めました。
イソンは本来は流刑だが・・・と官職を罷免しました。
夜の尚膳の部屋。
尚膳はメチャンを呼び出し勢力の均衡が崩れたので対策を講じねばならないと言いました。尚膳は世子はどこかと尋ねるとメチャンは目に涙をうかべ「希望は、永遠に消えました」と答えました。
軟禁部屋。
イソンはカウンを迎えに来ました。
「お迎えに来ましたお嬢様。私と宮へ帰りましょう。」
「イソナ。若様(トリョンニ)は?生きているわよね?」
「亡くなりました。邸下(チョハ)を助けられず、申し訳ありません。お嬢様。大妃媽媽の勢力も一掃されました。これからは辺首会(ピョンスフェ)の世の中です。ですがご安心ください。私が何としてもお嬢さまのことだけは守ります。」
「若様は、本当に亡くなられたの?」
「はい。」
「ああ・・・ダメ・・・・ダメ・・・・まだ伝えていないことがたくさんあるのに。」
カウンは泣き出しました。
イソンはカウンを抱き締めました。
野原。
イソンの手にムカデが這っていました。破れた衣から煊(ソン)という入れ墨が見えました。
感想
仮面の王イ・ソン(韓国語: 군주-가면의 주인, 中国語: 君主-假面的主人)15話の感想です。
今回はとっても濃いストーリーでした。まずはイ・ソンはカウンを助けるために捨て身でテモクの前に現れて、その隙にイ・チョンウンがカウンを救出する手はずだったのですが、テモクに手を読まれていたため失敗に終わりました。騒動の最中にカウンは自分のお父さんを殺したのがイ・ソンではなく護衛武士のチョンウンだったことを知ります。
イソンもヒョンソクからカウンが拉致されたと聞いて慌ててテモクのところに行って「何でもするからお嬢様を助けてください」とテモクにお願いし、その願いはテモクに聞き入れられました。
一方でイ・ソンもまた何でもするからイ・チョンウンの命だけは助けて欲しいと言ったのですが、そのお願いはテモクに聞き入れられませんでした。
テモクはイ・ソンを勧誘する振りをして、イ・ソンの殺害を企てファグンを遠ざけます。コンはテモクに言われた通りに解毒剤の場所がわかったとファグンを連れ出しました。
入会式の場に覆面をしたイソンがいました。イソンはカウンを助けるためにイ・ソンを見捨てることにしました。
イ・ソンを葬ったテモクは大妃の勢力を排除しました。
お話はテモクが勝利したところで終わります。
あらすじをまとめるとこんな感じでカウンはイ・ソンが父の仇(かたき)ではないことを知って愛情噴出!でもイ・ソンはカウンの目の前で殺されてしまい・・・カウンはまた傷ついてしまいました。
イソンはカウンをイ・ソンから奪いたくて、その願いが叶う最短の方法としてテモクの言いなりになって偽の王を演じ続ける許しを得ました。
イ・ソンとイソンは親友のはずだったのですが、一人の女性を巡り、イソンはカウンとデキているイ・ソンを憎むようになりました。イソンはカウンがイ・ソンを愛していても自分の女人(にょにん)にしたいという強いこだわりがあります。それもそのはず、イソンもまた不幸な生い立ちで唯一の希望の女性と結ばれて子孫を繁盛したいという自分の人生がかかっていますから、本気出さなきゃ叶うはずがありません。イ・ソンはイソンの敵意にタジタジとなりながら温かく接しようとしていたのですが、イソンにそんな配慮を知る心の余裕はありません。
カウンの立場にしてみれば、イソンの行動は現時点でまったく理解できないものでしょう。カウンから見たイソンは奴婢であり友達ではなく自分の何か施しを与えたいという欲求を満たしてくれる無力な存在です。一応設定ではお友達みたいになってますけど、日本人の目には友達ではなく両班の令嬢が持て余した暇を解消して美しい心を保つための慈善事業ごっこ(貴族のステイタス)にしか見えません。ちょっと辛口ですが・・・。カウンの言葉の端々に、差別が見受けられますので、そこは微妙な立場を表現しているのだと思います。カウンにとっても割と夫になるイ・ソン以外はあまり重要ではないのかな?と思えます。カウンにとってイソンは憐みと同情の対象以上には見えませんでした。
政治の面では勢力が辺首会(ピョンスフェ)一辺倒で宴に出席した大妃と大臣らは全員チムの毒の中毒になってしまい、生き延びるためにはテモクの言いなりになるしかなくなった状況になりました。いわゆる一党独裁といったところです。でもこのドラマ、中国語バージョンもあるそうですが、本当にあちらのお国で放送しても政治的に大丈夫なのか?と不思議に思います。
今回はとっても濃いストーリーでした。まずはイ・ソンはカウンを助けるために捨て身でテモクの前に現れて、その隙にイ・チョンウンがカウンを救出する手はずだったのですが、テモクに手を読まれていたため失敗に終わりました。騒動の最中にカウンは自分のお父さんを殺したのがイ・ソンではなく護衛武士のチョンウンだったことを知ります。
イソンもヒョンソクからカウンが拉致されたと聞いて慌ててテモクのところに行って「何でもするからお嬢様を助けてください」とテモクにお願いし、その願いはテモクに聞き入れられました。
一方でイ・ソンもまた何でもするからイ・チョンウンの命だけは助けて欲しいと言ったのですが、そのお願いはテモクに聞き入れられませんでした。
テモクはイ・ソンを勧誘する振りをして、イ・ソンの殺害を企てファグンを遠ざけます。コンはテモクに言われた通りに解毒剤の場所がわかったとファグンを連れ出しました。
入会式の場に覆面をしたイソンがいました。イソンはカウンを助けるためにイ・ソンを見捨てることにしました。
イ・ソンを葬ったテモクは大妃の勢力を排除しました。
お話はテモクが勝利したところで終わります。
あらすじをまとめるとこんな感じでカウンはイ・ソンが父の仇(かたき)ではないことを知って愛情噴出!でもイ・ソンはカウンの目の前で殺されてしまい・・・カウンはまた傷ついてしまいました。
イソンはカウンをイ・ソンから奪いたくて、その願いが叶う最短の方法としてテモクの言いなりになって偽の王を演じ続ける許しを得ました。
イ・ソンとイソンは親友のはずだったのですが、一人の女性を巡り、イソンはカウンとデキているイ・ソンを憎むようになりました。イソンはカウンがイ・ソンを愛していても自分の女人(にょにん)にしたいという強いこだわりがあります。それもそのはず、イソンもまた不幸な生い立ちで唯一の希望の女性と結ばれて子孫を繁盛したいという自分の人生がかかっていますから、本気出さなきゃ叶うはずがありません。イ・ソンはイソンの敵意にタジタジとなりながら温かく接しようとしていたのですが、イソンにそんな配慮を知る心の余裕はありません。
カウンの立場にしてみれば、イソンの行動は現時点でまったく理解できないものでしょう。カウンから見たイソンは奴婢であり友達ではなく自分の何か施しを与えたいという欲求を満たしてくれる無力な存在です。一応設定ではお友達みたいになってますけど、日本人の目には友達ではなく両班の令嬢が持て余した暇を解消して美しい心を保つための慈善事業ごっこ(貴族のステイタス)にしか見えません。ちょっと辛口ですが・・・。カウンの言葉の端々に、差別が見受けられますので、そこは微妙な立場を表現しているのだと思います。カウンにとっても割と夫になるイ・ソン以外はあまり重要ではないのかな?と思えます。カウンにとってイソンは憐みと同情の対象以上には見えませんでした。
政治の面では勢力が辺首会(ピョンスフェ)一辺倒で宴に出席した大妃と大臣らは全員チムの毒の中毒になってしまい、生き延びるためにはテモクの言いなりになるしかなくなった状況になりました。いわゆる一党独裁といったところです。でもこのドラマ、中国語バージョンもあるそうですが、本当にあちらのお国で放送しても政治的に大丈夫なのか?と不思議に思います。
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