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仮面の王イ・ソン19話のあらすじ感想 Ruler:Master of the Mask 李煊

仮面の王イ・ソン19話のあらすじと感想

仮面の王イ・ソン

あらすじ

勤政殿(クンジョンジョン)に二人の国王が現れました。大臣たちは二人の国王を見てどちらが本物なのか判りません。領議政(ヨンイジョン、大臣の最高位)のチンミョンはこう尋ねました。
「東宮方よ。どちらが本物の主上殿下(チュサンチョナ)か証明してください。」

「ならば余(よ)が先に証明しようチンミョン。刑判(ヒョンパン)。」
本物の国王イ・ソンは言いました。
「はい殿下。」
刑曹判書(ヒョンジョパンソ)は戸惑いながら返事をしました。
「余が幼い頃、余はそなたの靴(シンバン)の中に泥を塗ったことを覚えているか。そなたは靴を脱げずに恥をかいたな。」
「はい。覚えています。後から楹嬪(ヨンビン)様から新しい靴を賜りました。私はその靴を今も大事に持っています。」
刑曹判書(ヒョンジョパンソ)は答えました。
ウ・ボとパク・ムハとイ・チョンウンたちは固唾を飲んで見守っていました。

「刑判!先日、余に渾天儀(ホンチョニ)をくれたであろう。」
偽の国王イソンは荒々しい声で刑曹判書(ヒョンジョパンソ)に言いました。
「はい。確かにそう覚えています。隣国からいらした使臣から頂いた物を差し上げました。」
刑曹判書(ヒョンジョパンソ)は答えました。
「幼い頃の話をしているので、あちらが本物の世子ですね。」
ホ・ユゴンはチンミョンに耳打ちしました。

「主上殿下(チュサンチョナ)のお首に三つほくろがあります。確かめさせてください。」
チンミョンは言いました。
「余の首にほくろがある。確かめてみよ!」
偽物のイソンが言うと、ホ・ユゴンはイソンの周りを一周してほくろを確かめました。
「ほくろは、このお方にあります。このお方が、本物の王様です。」
ホ・ユゴンは言いました。
「(貴様が王座を取り戻そうとするとは。生きて帰れると思うなよ。)」
チンミョンは心の中でイ・ソンに言いました。
大臣たちはざわめきました。

「私、キム・グァンリョル。ここにお集まりの文武百官(ムンムペククァン)殿に申し上げたいことがあります。」
キム・グァンリョルは芸人の服を着たまま言いました。
「これは。大司憲(テサホン)令監(ヨンガム)ではありませんか。そのような格好でなぜこの場に?」
青色の官服を着た官僚(大司憲グァンリョルの部下)が目を丸くして尋ねました。
「私の記憶では主上殿下は東宮の世子の頃、武芸の稽古の際にお怪我をなされました。十文字の形をした傷があるはずです。兵判大監(ピョンパンテガム)。大監(テガム)もお怪我をされたときにいらっしゃいましたね。」
キム・グァンリョルは言いました。
「その通りです令監(ヨンガム)。私も覚えています。」
兵曹判書が言うと、イ・ソンは右腕の袖をめくってキム・グァンリョルに十字の傷を見せました。
「ここにお痕があります。」
キム・グァンリョルはイ・ソンの傷跡を確かめて言うと、次にイソンの腕を確かめようとしました。
「無礼者!卑しい芸人ふぜいの身なりで貴様は余に触れると申すのか!」
キム・グァンリョルが近寄ろうとすると、イソンはグァンリョルに怒鳴りました。
「傷跡など後でいくらでもつけられる。あのような傷がどうして証拠になりましょうか。」
ホ・ユゴンもイソンの味方をしました。
「小さなほくろより、確かではありませんか?」
キム・グァンリョルは言いました。
「まったくもどかしいですな。仮面を外しましょう。」
揚水庁(ヤンスチョン)長のチョ・テホは言いました。
「無礼な!主上殿下(チュサンチョナ)はお一人であらせられる。」
赤い服を着ている大臣の一人は言いました。
「揚水庁(ヤンスチョン)長はここにいる皆を愚弄しているのか。ここにいる者はだれ一人主上殿下のお顔を知らぬのに、誰が主上殿下(チュサンチョナ)のご龍顔(ヨンアン)を知っているのだ。仮面を外して何がわかる。」
刑曹判書(ヒョンジョパンソ)は言いました。
「確かに我々は主上殿下のご龍顔(ヨンアン)を知りませんが、偽物の顔はわかるかもしれません。」
チョ・テホは言いました。
「尚膳(サンソン)。東宮の仮面を外しなさい。」
チンミョンは言いました。
「はい。領相(ヨンサン、領議政)大監(テガム)。」
尚膳は答えました。
「その必要はない。私と、この者が同時に仮面を外そう。」
イ・ソンが自ら仮面に手をかけると、イソンもまた仮面を外しました。
「ご覧ください。あやつは行商人の頭領です。あいつが偽物です!」
チョ・テホは大きな声で言いました。
イ・ソンはイソンを睨みました。

温室。
ハン・カウンは壺の中から胎壷を探していましたが見つかりませんでした。カウンは楹嬪(ヨンビン)がどうやって胎壷を隠したのか考えました。

勤政殿(クンジョンジョン)。
「行商人の頭領ごときが主上殿下(チュサンチョナ)に成りすますとは。はやく捕らえよ!早く捕らえよと言っておる!」
チンミョンは怒鳴りました。
「このお方をどなたと心得る。主上殿下(チュサンチョナ)であらせられる!」
イ・チョンウンがたまりかねて大臣の前現れました。
「そなたは禁軍別将(ピョルチャン)の息子チョンウンではないか。そなた生きていたのか。」
大臣の一人が言いました。
「チョンウンまで来ていたとは。」
ホ・ユゴンはチンミョンに耳打ちしました。
「皆の物聞くがよい。私は本物の世子であり、また行商人の頭領だ。私がこの五年間行商人として宮から出たのは、五年前、私の父王が辺首会(ピョンスフェ)のテモクに殺されたからだ。テモクが、先王を殺して偽物の王座に据えたのだ。」
イ・ソンが言うと大臣たちはどよめきました。
「先王が殺されただと?偽物だと?行商人の頭領ふぜいがここをどこだと思っている!」
チンミョンは言いました。
「ここに、あの日の証人がいる。」
イ・ソンはチョンウンに目配せしました。
「五年前。先王が殺された時に私もそこにいました。テモクは先王だけでなく邸下(チョハ)までころそうとし、偽物に仮面をかぶせ傀儡の王にしました。」
イ・チョンウンは説明しました。
「嘘だ!先王が殺されたならなぜ記録にない。承政院(スンジョンウォン)日誌を読んでみよ!」
イソンは怒鳴りました。
「歴史はそもそも!勝者の記録だ。国王は記録をねつ造するくらい朝飯前であろう!違いますか?」
パク・ムハは援護しました。
「私は嘘は言わぬ。三司(サムサ)で働いた大監(テガム)殿も知っておるだろう。このお方こそが、まことの世子邸下(チョハ)であらせられる。」
キム・グァンリョルは言いました。
「皆知っているだろう。大司憲令監(テサホンヨンガム)は本当のことしか言わぬ!」
青い服を着た大司憲の部下は言いました。
「あの者が偽物で、余が本物だと説明できるお方がいる。ここにお連れせよ。大妃媽媽(テビママ)なら真実を証明できる。」
イソンは言いました。

大妃の部屋。
「大妃媽媽。主上殿下が勤政殿(クンジョンジョン)にお越しになるようおっしゃっています。」
尚膳の部下の尚宮(サングン)は大妃の服を差し出しました。

勤政殿(クンジョンジョン)。
「大妃媽媽のおな~り~。」

武官が叫ぶと、勤政殿(クンジョンジョン)の扉が開き、大妃が現れました。
「よくお越しくださいました。国の命運が媽媽(マーマー)のお手にかかっています。五年前、何があったかお話しください。」
イソンは大妃に恭しく言いました。
「今日ここに私が大臣らの前で真実を明かします。皆の物とくと聞くがよい。先王様は・・・・・・。・・・・・・・。五年前、殺されました。五年前、テモクは刺客を率いて宮に乗り込み、先王を殺して本物の世子と、偽物を、入れ替えたのです。」
大妃は言いました。大臣たちはどよめきました。
「大妃媽媽!今、ご自分が何をおっしゃっているのかおわかりですか?」
チンミョンは大妃に言いました。
「もちろんだ。私はあの者のことをとくと覚えています。」
大妃は言いました。

テモクの屋敷。
「大妃媽媽が洗いざらいお話しになりました。」
執事のチャンはテモクに報告しました。
「は~。」
テモクは息を吐いて驚きました。

勤政殿(クンジョンジョン)。
「あの時右相(ウサン、右議政)はテモクのために門を開けたのです。違いますか右相(ウサン、右議政、ソンギのこと)。」
大妃は自分の兄に言いました。
「私めは・・・覚えていません。」
武官の服を着たソンギは答えました。
「あの時お前をどれほど憎んだのか、本当に覚えておらぬのですか?」
大妃は言いました。
「そんなはずはない。そんな大事なことを覚えていないはずはありません。」
パク・ムハは言いました。
「私も年をとったのです。近頃は体調もよくないため記憶力が衰えたらしい。覚えていないものは覚えておらぬ。」
ソンギは釈明しました。
「右相大監(ウサンテガム)!そんな大臣な事も覚えていられないのに政丞(チョンスン)を務めていらっしゃるのですか?」
パク・ムハは食い下がりました。
「この者はテモクが偽物を王にしたことをわかっていましたが、真実を明かせば朝廷に血の雨が降るのを恐れて明かせませんでした。すべて私のせいです。大臣たちよ聞いてください。この人が、本物の世子です。」
大妃は言いました。
「なぜそう言えるのですか。媽媽(マーマー)も世子邸下(チョハ)のお顔は知らぬはず!」
チンミョンは言いました。
「私は世子の母です。母がどうして子の顔がわからぬといえるのでしょうか。」
大妃は言いました。
「世子邸下(チョハ)が本物だという証拠はもうひとつあります。本物の世子邸下(チョハ)は毒薬に冒されると、ご龍体に文字が浮かびます。本物の世子邸下(チョハ)は毒に勝つ力をお持ちです。お生まれになった日に、何者かに猛毒に冒され、毒に勝つ力を得られたのです。」
ウ・ボは言いました。
「初めて聞きました。世子邸下(チョハ)は重いご病気だと伺っていました。」
刑曹判書(ヒョンジョパンソ)はウ・ボに尋ねました。
「皆の者が知っている通り、世子邸下(チョハ)が病にかかられたということになっていますが、実は毒に冒されたのです。私も、あたあの場にいました。」
ウ・ボは説明しました。
「たわごとを申すでない!吏判(イパン)は世子邸下(チョハ)のご誕生の日に、治療を誤り主治医として罷免されたではないか。」
チンミョンは反論しました。
「世子は、毒薬に冒されました。」
大妃は小さな声で言いました。
「世子邸下(チョハ)が毒に冒されたというなら、誰が毒薬を盛ったのですか?」
兵曹判書は言いました。
「それは・・・それは・・・他でもない・・・・私です。私がテモクと手を組み、世子を毒殺しようとしました。」
大妃が言うと大臣たちは動揺しました。
「そのような話、どうして信じろと?媽媽(マーマー)はテモク様を陥れるつもりでしょう!」
ホ・ユゴンは言いました。

温室。
ハン・ガウンは壷をひとつひとつ割って胎壷を探しました。カウンは壺の破片で手を切ってしまいました。カウンは次の壺を割ろうとした時、棚の奥から黒い壺を取り出しました。カウンは黒い壺を割ってみると、藁の中に赤い胎壷が隠されていました。
「楹嬪殿元子胎■(一文字隠れて見えず)。」
札にはこのような字が書かれていました。
カウンは壺を開けて中身を確かめると、温室の外に出ました。
見張りの兵が現れカウンは襲われました。
メチャンは尚宮の姿で兵士を倒すとカウンにすぐ勤政殿(クンジョンジョン)に向かうように言いました。カウンは壺を抱いては知りました。

勤政殿(クンジョンジョン)。
「世子邸下(チョハ)が毒に冒された証拠があるのか!」
ホ・ユゴンは怒鳴りました。
「お龍体の文字です。ご龍体に現れる文字こそ確かな証拠です。本物の世子邸下(セジャチョハ)は毒に冒されると左の肩に煊(ソン)という字が現れます。」
ウ・ボは言いました。
「そんな事、王宮の記録にない。」
チンミョンは言いました。
「そうです。でたらめでないならどうして証拠を見せられないのですか!」
ホ・ユゴンは怒鳴りました。

勤政殿(クンジョンジョン)の門。
「何者だ!勤政殿(クンジョンジョン)に誰も通すなとの王命だ!早く帰らぬか!」
ハン・ガウンが門をくぐろうとすると、見張りの兵士がカウンを取り囲みました。
「お嬢様。準備はできましたか?」
コンが現れカウンに言いました(身分が低いのでカウンと視線は合わさず)。
カウンは頷きました。
コンは刀を抜くと兵士をみね打ちにしていきました。
カウンは勤政殿(クンジョンジョン)の門をくぐりました。

勤政殿(クンジョンジョン)。
「早く本物だという証拠を出してください!」
ホ・ユゴンは言いました。
「証拠を出せないということは偽物に違いない!」
チンミョンは言いました。
「・・・・・・。」
ウ・ボは黙りました。
「大妃媽媽(テビマーマー)。主上殿下(チュサンチョナ)のご身分を取り戻す物をお持ちしました。大妃媽媽。主上殿下(チュサンチョナ)が本物であるという証拠をお持ちしました。」
ハン・ガウンは扉の外から呼びかけました。
「中へ入れなさい!」
大妃は命じました。
「お前は何者だ。」
ホ・ユゴンは言いました。
「私は五年前、処刑された漢城(ハンソン)府判尹(パニュン)ハン・ギュホの娘、ハン・ガウンです。先王が殺された日、私は楹嬪(ヨンビン)様に会いました。楹嬪(ヨンビン)様はお亡くなりになる前に私にこの壷のことを教えてくださいました。これは世子邸下(チョハ)の胎壷です。ここに世子邸下(チョハ)が本物である証拠が納められています。」
ハン・ガウンは地面に伏せながら言いました。
「持ってきなさい。」
大妃は言いました。
ハン・ガウンは大妃に胎壷を見せました。
大妃は壺の中から小箱を取り出し書かれている文書を読みました。
「この文書は先王のものです。先王の、王拇(おうぼ)も押されています。疑う者はここに来て文書を確かめるがよい。本物の世子は毒薬に冒されると、左の肩に煊という字が現れると書いてあります。ここに毒薬を用意しました。本物の世子ならどくを飲んでも打ち勝ち生き残れるはず。これを飲み生き残った者なら、本物の王です。」
大妃は皆に文書を見せました。
尚膳が毒薬を大妃の前に持参しました。
「お前が本物なら毒を飲んでみよ。どうしたのだ。飲まぬのか。お前が本物の世子ならこのどくを飲み、本物の王だと言ってみよ!」
大妃は毒薬をイソンの前に差し出しました。
「だめよイソン。やめてちょうだい。」
カウンはつぶやきました。
イソンは毒を飲もうとしてイ・ソンに腕を掴まれました。
イ・ソンは毒薬を飲むと、すぐに苦しみだしました。
「邸下(チョハ)!」
ウ・ボはイ・ソンを支えました。
イ・ソンはすぐに起き上がりました。
「世子は、左の肩を、皆に見せてください。」
大妃は言いました。
ウ・ボとイ・チョンウンは世子の衣を脱がせると、肩に煊という文字が現れました。
大臣たちはとても驚きました。
「しばし世を欺くことができても、偽りは真実には勝てぬものだ。」
ウ・ボはイソンに言いました。
「これで真実が明らかになったな。何をしておる。早く偽物を捕らえよ1」
大妃は兵士に命じました。
「はっはっはっは!はっはっはっはっはっは!はっはっはっは!はぁ。はぁ。はぁ。こいつが、本物の世子だからといって何が変わるというのだ。」
イソンはキレました。
「イソナ。もうやめろ。」
イ・ソンは小さな声でイソンに語りかけました。
「皆の者!今まで私に跪いていたではないか。媽媽(マーマー)も初めからご存じだったではありませんか。こいつが正当の世子としましょう。そんな正当性が、皆の者の命より大事なのですか?」
イソンは言いました。
「テモク様が決めた者が本物の王だ!自分の命を握っている者が誰かおく考えましょう。」
チンミョンは言いました。
「領相(ヨンサン、領議政)の言う通りだ。この世に自分の命より大切な物はない。皆が卑怯でも臆病なわけでもない。だが今は、皆の者は真実を知らぬ。テモクはチムの毒を盛っていない。チムの花畑はすべて焼けた。チムの毒で朝廷を操ることはできぬ!」
イ・ソンは言いました。
大臣たちはどよめきました。
「どういうことだ!チムの畑が焼けただと?」
ホ・ユゴンは驚愕しました。
「尚膳。辺首会(ピョンスフェ)の殺生簿(サルセンブ)をこれへ。」
イ・ソンは命じました。
「はい。殿下。」
尚膳は文書をイ・ソンに渡しました。
「これは、辺首会(ピョンスフェ)のテモクがチムの花畑が燃えた後に作った殺生簿だ。テモクは辺首会(ピョンスフェ)の会員でも全員を助けるつもりはない。」
イ・ソンは殺生簿を皆に見せました。
「領相大監(ヨンサンテガム)。殺生簿とはどういうことですか?」
ホ・ユゴンはチンミョンに尋ねました。
「でたらめだ。辺首会(ピョンスフェ)を動揺させようとしているのだ。」
チンミョンは言いました。
「ホ・ユゴン。癸酉(ケユ)の年に辺首会(ピョンスフェ)の会員となった。」
イ・ソンは言いました。
「そ・・・それをなぜあなたが?」
ホ・ユゴンは動揺しました。
「いつもぬかりなく辺首会(ピョンスフェ)に献金したが自分の娘を中殿(チュンジョン)にしようとした罪は重い。サ(死)・・・。」
イ・ソンは言いました。
「サ・・・まさか死の死?領相大監(ヨンサンテガム)。まさか名簿に私の名前があるのですか?」
ホ・ユゴンは動揺しました。
「左相大監(チャサンテガム)!あのような者のいう事を信じるのですか?」
チンミョンはホ・ユゴンに怒鳴りました。
「そちはチムの花畑を管理しているな。なら本当のことを話せ!本当に花畑が燃えたのか?」
ホ・ユゴンはチョ・テホに詰め寄りました。
「わかりましたよ。本当のことを放しますよ・・・・。」
ホ・ユゴンは勤政殿(クンジョンジョン)から逃げ出しました。

「本当にテモク様が殺生簿に私の名前を載せたのですか?」
ホ・ユゴンは地面に手をついて愕然としました。
「チムの毒の解毒剤は限られている。75人が五日以内に死ぬだろう。」
イ・ソンは言いました。
「私の名前も殺生簿にあるのですか?」
ソンギはイ・ソンに尋ねました。
「右相(ウサン、右議政)の名もある。」
イ・ソンは答えました。
「貴様!助けてくれると言いながら私を殺そうと殺生簿に名前を載せたのか!」
ソンギはチンミョンに詰め寄りました。
文官たちはチンミョンに詰め寄り名簿に自分の名があるのかと尋ねました。
イソンは涙を流して放心していました。
「皆の者!私の話を聞くがよい!助かりたければ落ち着いて私の話を聞きなさい。皆が知っている通り私もチムの毒に冒されたいます。皆が助かる道はひとつしかない!本物を王に迎えること。本物を君主と信じ我々の命を託すこと!もはや世子が我々の最後の希望。皆を救ってくれますか?」
大妃は叫ぶとその場は静かになりました。
「救います。何としてでも解毒剤を作り皆の命を助けます。」
イ・ソンは約束しました。
「皆の者。世子のことばを聞きましたか?私と共に本物の世子を王に迎えますか?」
大妃は言いました。
「はい。大妃媽媽。」
文官も武官もひれ伏しました。
「何をしておる。はやく偽物を連れていけ!」
大妃は命じました。
「これで終わりと思うなよ!解毒剤がなければお前たちはどのみち死ぬんだ。解毒剤の作り方はテモクしか知らぬのだ。お前たちはいずれ死ぬのだ!え~い!」
イソンは暴れました。
カウンは憐みの目でイソンを見つめました。イソンはカウンの眼差しを見て衝撃を受けました。

「無礼者!私にこんなことをしてタダで済むと思うなよ!私が本物だ!私が本物の王だ!」
イソンは龍衣を脱がされ牢屋に閉じ込められました。
「え~ん。え~ん。え~ん。わ~ん。あ~。」
イソンはカウンの目を思い出してショックを受けて泣きました。

辺首会(ピョンスフェ)。
「オルシ―!オルシ―!オルシ―(旦那様)!世子がチムの花畑が燃えたことをバラしてどうやって手に入れたのか殺生簿まで持っていました。」
チョ・テホはテモクの部屋に駆け込みました。
「殺生簿も持っていたのか?それで、世子はどうなった。」
「私が宮をでる時、千歳千歳千歳と聞こえてきましたので、奴は王になったようでございます。」
チョ・テホは体を震わしました。
「本物の王になったようだな。じきに私を捕らえに来るだろう。揚水庁長(ヤンスチョンジャン)。辺首会(ピョンスフェ)の兵を総動員して屋敷を守り、王の軍を防ぐのだ。」

勤政殿(クンジョンジョン)。
「余がはじめてこの国の王として命令を下す。皆の者の力を総動員してチムの毒(チムコッタン)の解毒剤を作れ。内医院(ネイウォン)のすべての医員と医女は無論、医術に長ける者も力を合わせて解毒剤を作るのだ。今後は信賞必罰をもって新しい人事を行う。手柄は称え、罪を償わす。辺首会(ピョンスフェ)の手先となり朝廷を操った罪で領議政チュ・チンミョン、左議政ホ・ユゴン、右議政チェ・ソンギを皆罷免する。後任に吏曹判書(イジョパンソ)ウ・ボを領議政に任命するゆえ左議政と右議政は適材を捜して余に報告せよ。」
本物の国王イ・ソンは言いました。
「私ウ・ボ、王命を賜りました殿下。」
ウ・ボは言いました。
「大司憲キム・グァンリョルは義禁府(ウイグンブ)判事(パンサ)に任命し、吏曹正郎(イジョチョンナン)パク・ムハは義禁府(ウイグンブ)知事(チサ、正二品)に任じる。罪人を一人残らず調べて罪状を明らかにせよ。」
イ・ソンは言いました。
「王命を承りました殿下。」
キム・グァンリョルは言いました。
「王命を承りました殿下。」
パク・ムハは言いました。
「前禁軍別将(クングンピョルチャン)の息子イ・チョンウンは、余の護衛に命ずる。これまで通り余の傍らで余を支えてほしい。」
「私イ・チョンウン。王命を承りました。殿下。」
イ・チョンウンは答えました。
「禁軍はすぐにチュ・ジンミョンをはじめ辺首会(ピョンスフェ)の者を全員捕らえよ!」
イ・ソンは声を張り上げました。兵士はチンミョンとホ・ユゴンとソンギたちを捕らえて投獄しました。


イ・ソンは義禁府知事(ウイグンブチサ、副長官)のパク・ムハに派兵してテモクを捕らえるよう命じました。パク・ムハは塀を率いてテモクの屋敷に乗り込みました。

テモクは部屋で茶を飲んでいました。チョ・テホは禁軍が来たので支持を仰ぎました。テモクは一歩でも屋敷に入れば解毒剤をすべて燃やすと言うよう命じました。チョ・テホは逃げる準備をすると言うと、テモクはその必要はなく解毒剤を持っていない向こうが降参するだろうと言いました。

王の執務室。
部屋にはイ・ソンとイ・チョンウン、キム・グァンリョルが知らせを待っていました。
パク・ムハが部屋に現れテモクに解毒剤をすべて燃やすと脅されたので捕らえずに帰って来たとイ・ソンに報告しました。キム・グァンリョルとイ・チョンウンはすぐにテモクを捕らえなければ機会を逃すと懸念しました。

イ・ソンはパク・ムハにテモクの兵について尋ねました。パク・ムハはテモクの兵は1,000人以上、、禁軍の兵は3,000人いると答えました。

イ・ソンはパク・ムハに禁軍を動員してテモクの屋敷を取り囲みテモクを逃がさないよう命じました。

夜になりました。
怒れるイソンのもとにイ・ソンが現れました。
「なぜ来たのですか?クズが王座を望んだから、私をあざ笑いに来たのですか?」
中毒の症状が出かかって正気を失いかけているイソンは攻撃的な口調で言いました。
「それより、(毒の)具合はどうだ?」
イ・ソンはイソンの体調を気遣いました。
「偽善はやめろ!もとはといえばお前のせいだ!お前のせいで!こんなことになった!」
「その通りだ。私のせいだ。すべて、私のせいだ。こんな目に遭わせて、本当に済まない。」
「貴様はまた私を騙そうとしているのか?」
「解毒剤ができたらすぐに飲ませて、すぐにここから出してやる。少しだけ待ってくれ。」
「なぜ?また偽の解毒剤を使って私を殺す気か。初めからそのつもりだろう。王座に戻るために私をテモクの身代わりにして殺す気だった。」
「いや。私は、友だと思っていた。お前がどう思おうと、お前は今も私の友だ。ゆえに私はお前を助ける。解毒剤を持ってくるから少し待ってくれ。」
「嘘だ!偽善者!あ~!」
イソンは症状が現れ正気を失っていました。

離宮。
イソンのお母さんとコムルはイソンにひれ伏して泣いて懇願しました。カウンもイソンにひれ伏しました。
「殿下。どうか私の息子をお助けください。流刑になっても棒で打たれてもよいので哀れと思ってお助けください殿下。」
「私はもう、イソンに、解毒剤を持っていくと約束した。はじめからイソンは私の友だ。友を傷つけ、友の母を悲しませる理由はない。」
イ・ソンはイソンのお母さんに言いました。
「感謝します殿下。」
イソンのお母さんは泣きました。
「ご厚恩の極みでございます殿下。」
カウンも感謝の言葉を述べました。

楼閣。
「そなたは自分のことはいつも二の次だ。」
イ・ソンはカウンの手の傷の手当をしようとし軟膏を指に塗りました。
「私が自分でします。」
カウンは断りました。
「私に直接させてくれ。これでは安心しておけぬ。」
イ・ソンは言いました。
「イソンを助けてくださり感謝しています殿下。」
「私がイソンを殺すと心配していたのか?私のほうこそいつもそなたに感謝している。もう二度と、そなたに涙は流させない」
イ・ソンはカウンの頬に手を当てると抱きました。

牢屋。
「ああ。イソナ。イソナ。イソナ。」
イソンのお母さんが会いに来ました。
「何しに来たのですか。帰ってください。」
イソンは恥ずかしくて母に会わす顔がありませんでした。
「王様がイソナを助けてくださるって。」
「帰れ!帰れ!誰かおらぬか!早くこやつを連れていけ!」
イソンは母にも心を閉ざしていました。お母さんは泣きながら兵に連れて行かれました。
「おうちはすぐにみつかるよ。ソムン市場に入ると最初に反物屋があってその先に行くと薬草房があるの。来たことあるからちゃんとわかるよね。お母さんとコムルに会いに来てね。わかった?お兄ちゃん。」
コムルはイソンに言いました。
誰もいなくなるとイソンは泣きました。

夜更けの宮中の内医院(ネイウォン)。
ウ・ボはハン・ガウンとメチャンと一緒に解毒剤の開発に取り組んでいました。

夜が明けました。
ウ・ボはチムの毒に作ってみた解毒剤を入れて確かめていました。
イ・ソンはウ・ボに進捗を尋ねましたがウ・ボはすべて失敗したと答えました。イ・ソンは何としてでも作るようにとウ・ボに言いました。

夜になりました。
牢屋にいるソンギの身体に赤い斑点が現れました。ソンギは正気を失いかけていました。ホ・ユゴンは症状が出ていないチンミョンに詰め寄りました。

辺首会(ピョンスフェ)。
テモクは箱を開けると二種類の丸薬が入っていました。テモクは考えていました。

夜が明けました。
イ・チョンウンは解毒剤はまだ作れず残りのチムの花も少なくなってきたとイ・ソンに報告しました。
イ・ソンはテモクに会って解毒剤の作り方を教えてもらうしかないと言いました。

辺首会(ピョンスフェ)。
チンミョンは釈放されテモクに会いました。チンミョンは王が会いたがっていると言いました。

王宮の一角。
茶の席が設けられ、国王のイ・ソンはテモクをもてなしました。
「解毒剤の処方。なぜ。なぜ助けるのですか。主上殿下(チュサンチョナ)を裏切ったり大臣が殺そうとしたり、本物と知って知らぬふりをした者たちです。」
「その者らは皆、私の民だ。」
「それで新たな世が開けるのですか。世の中を変えたくても、体制の中に入れば、体制に順応して何も変えられぬでしょう。新たな世を作るには、すべてを捨てて、入れ替えるか器自体を変えねばなりません。今、主上殿下(チュサンチョナ)はそれができる絶好の機会なのになぜ助けるのですか。」
テモクは茶を捨てました。
「君主にとって民は最も大切だ。余の民を生かす者と殺す者とに分けられぬ。解毒剤の処方を教えよ。チムの毒に冒された者を全員助けて民を苦しめる揚水庁(ヤンスチョン)を解体せよ。そうすればそなたの命だけは助けてやろう。」
イ・ソンは強い調子で言いました。
「ふ・・・苦しめる。苦しめるだと?貧しい民が生きようとあがいていたときお前は何をしていた。孔子は道を外すなと言い、ブッダは前世の報いだからあきらめよと言った。お前は、何をしていたのだ。民が飢えて死んでいくお前たち権力者が手をこまねいていた時、私は民を食べさせ助けていた。なのに苦しめるだと?」
テモクは言いました。
「お前が民を食べさせ助けていただと?天の恵みである水で民から搾取して、さらには幼い民の命まで奪った!なのに民を助けただと?どんな名分を掲げても、お前がしたことは正当化できぬ!」
イ・ソンは言いました。
「貴様は民、民と、王座に就いてすべてを手に入れたつもりか?この朝鮮も民もお前のものか?違う。すぐに解毒剤を作らねば臣下がお前を捨てる。もしお前が私を捕らえれば民が私を捨てるだろう。解毒剤の処方だと?お前が王座を退けば、その時私が教えてやろう。」
テモクは言いました。
「テモク!」
イ・ソンはテモクを睨みました。

内医院(ネイウォン)。
ウ・ボはイ・ソンに解毒剤を作れなかったと報告しました。カウンもチムの花が残り僅かだと言いました。

辺首会(ピョンスフェ)。
テモクはチョ・テホに全国の揚水庁(ヤンスチョン)の水売り「国王が揚水庁(ヤンスチョン)を廃する気」だと噂を流すよう命じました。チンミョンはテモクが民を扇動することに理解を示しました。テモクは民を怒らせ王宮に攻め入るよう仕向けるつもりでした。

街から離れた場所(別のドラマ「推奴(チュノ)」1話でテギルが奴婢を捕校(ポギョ)に売っていた場所)。
キム・ウジェは昼間から酒を飲んで城壁に腰掛けていました。
「は~。私もファグンの後を追う時かな。お前が突然現れても怖くない。お前も一杯やるか?つまらぬ奴だ。だから最後まで一言も言えなかったのだ。慕った女人(にょにん)がほかの男を好いていて、その者に尽くしてその者のために死んだ。それなのに腹も立たぬのか?」
ウジェはコンに言いました。
「とても、幸せそうでした。私が見たお嬢様の最後のお顔は世子邸下(チョハ)を助けられて嬉しい。そんなお顔でした。世子邸下(チョハ)をお守りしてほしい。それがお嬢様の最後のご命令でした。旦那様。主上殿下をお守りするには解毒剤が必要です。助けてください。あと二日です。解毒剤がなければ75人、最悪の場合チムの毒で辺首会(ピョンスフェ)の皆が死んでしまいます。ファグンお嬢様のためにどうかお考えください。お嬢様の微笑みをお守りください。旦那様。」
コンはひざを折って頼みました。

夜の王宮。
「私が解毒剤の処方を知っています。」
キム・ウジェはコンとともに密かにイ・ソンに会いました。
「解毒剤の処方はテモクしか知らぬはず・・・。」
「私が処方を知っていることは父も知りません。解毒剤の処方を教える代わりに頼みがあります。」
キム・ウジェは国王に取引を持ち掛けました。

感想

仮面の王イ・ソン(韓国語: 군주-가면의 주인, 中国語: 君主-假面的主人)19話の感想です。

いよいよ残るあと1回ですね!イ・ソンは王位に就きました。イ・ソンは辺首会(ピョンスフェ)の会員とチムの毒に冒された大妃と友イソンを助けるように命じます。しかし解毒剤の作り方はわからず・・・テモクも教えてくれず、結局はキム・ウジェ頼み。イソンは重罪なので牢屋に閉じ込められています。

ここで意味がわからないのはテモクは民を救ってきたという主張です。テモクは大臣の命を担保に政治を操ってきました。テモクは他人の命を使い捨てにしている設定です。お金がないと水が買えないのは今の日本でも、他の国でも同じですが、このドラマは世界的に大きな問題を扱っているともいえますね。

本物の国王イ・ソンは水を政府が独占することはダメだと言う。もしもテモクがチムの毒を使わずに朝廷を操っていたならイ・ソンはテモクを倒す大義名分が乏しくなると思います。微妙な問題ですが、無料で水を飲むことのできない現在の状況とダブります。

イソンがイ・ソンに敵意を見せるのは、イソンがイ・ソンに見捨てられたと思い込んでいることが大きな原因です。大好きなカウンも取られて、身分も何もない自分は王を演じることでしか奴婢よりもマシな暮らしができると信じています。チムの中毒症状も現れているせいか、気が短くなっています。人は怯えがあると誰でも短期になってキレやすくなるものです。筋書きがわかってないと、イソンはただの乱心者にしか見えないので勘違いしている人もいるかもしれませんね。

カウンは今回も大活躍!肝心かなめの胎壷、国王がイ・ソンの真実を書いた証明書を手に入れました。

次回は最終回、続きが楽しみです。

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