100日の郎君様10話
あらすじ
世子(セジャ)イ・ユルは偽りの結婚生活をする中でユン・イソのことが好きになりました。イソもまたユルのことが気になりはじめました。都城(トソン)から新居に帰ったユルは心配して庭で待っていたイソに口づけをすると、雨が降り出しました。イソは雨が降って大喜びしました。クンニョとクドル、ヤンチュンとヨン氏も一年ぶりに雨が降って喜びました。ソンジュヒョンの役所に赴任してきたばかりのチョン・ジェユンは「私の予想では午後のはずだったのに」とつぶやきました。
夜になりました。ユルはイソに兄のことについて尋ねました。イソは「お兄さまはいろいろしておくことがあるの」と答え、すぐには一緒に暮らせないと言いました。ユルは漢陽(ハニャン)に行っても何も思い出せなかったとイソに話しました。しかしイソはクドルがユルについて「漢陽(ハニャン)の道に詳しかった」と言っていたことからユルが嘘をついていると思いました。ユルはモックに二文字の名前を与える約束したことを思い出しました。
イソが降りやまない雨を見て寒くなってきたと言うと、ユルは背後から優しく抱き着きました。
真夜中の王宮(王妃の部屋)。
国王のイ・ホは妃を見舞に来ると、王妃パク氏は布団から起き上がるなり苦しそうな芝居をはじめました。イ・ホは王妃から白紙の玉璽をキム・チャオンに見せつけられて以来、食事も水も喉を通らないと怯えていました。中殿(チュンジョン)パク氏は白い衣に白い鉢巻き姿で恐怖心とひたすら闘っている振りをしました。イ・ホは中殿(チュンジョン)を哀れに思い、必ず王妃と息子のソウォン大君を守ると約束しました。
ユルは縁側に腰掛けると漢陽(ハニャン)でムヨンに襲われた出来事を思い出しました。
回想シーン。
ユルは手負いのムヨンとの戦いに勝ちました。ムヨンはユルに決して自分の正体を知ろうとしてはならぬと言いました。ユルはムヨンを見逃してあげました。
ユルとイソの家。
「何を考えているの?」
お風呂から上がって来たイソは考え事をしているユルに尋ねました。
「女人が風呂に入るのはこうも長いのかと思っていた。」
ユルはまた嘘をつきました。
風呂。
ユルが風呂場に行くと、新しく清潔な服が用意されていました。
キム・チャオンの家。
ヒョクとその部下のポミはムヨンが襲われたとキム・チャオンに報告しました。
「何か隠し事をしているな?」
キム・チャオンはヒョク(ムヨンの腹心)に尋ねました。ヒョクは答えませんでした。キム・チャオンは隣にいるポミに同じ質問をすると、ポミは「私を殺してください!私があの方(ムヨン)に矢を射ました。(ムヨンを動けなくして)ご主人様のお傍にいたかったのです。腕に当てるつもりでした。治療しているうちにご主人様の気持ちが(私の方向に)変わると思い・・・ですが矢がそれてしまいました。」と土下座しました。
キム・チャオンは罰としてポミを閉じ込めて水を与えないように命じました。
キム・チャオンは娘の部屋に行くと、キム・ソヘにすぐに王宮に帰るように言いました。
ユルの部屋。
イソが布団を敷いているとユルがお風呂から戻って来ました。ユルはイソが用意した手縫いの新しい服を着ていました。
「なぜ右の袖が短いのだ。」
ユルは尋ねました。
イソは右手が長いだけだとごまかしました。
「ホンシム。三日も家を空けていたのだからさぞ恋しかった、会いたかったであろう。だが一緒に寝るつもりがないなら今のうちに部屋を出たほうがよい。」
ユルがイソをからかうと、イソは慌てて部屋から出て行きました。
イソの部屋。
イソは腹を立てていると、昼間の出来事を思い出しました。
ユルの部屋。
ユルは床に入ってムヨンから自分が死んだと思われているので正体を思い出さないほうがよいと言われたことを思い出しました。
納屋。
ポミは閉じ込められていました。
そこにキム・ソヘが現れて父に拷問される前に逃げるように言いました。
ポミは逃げたら騒ぎが大きくなるので拷問に耐えてみせると言いました。
「ですが、回復したらムヨンさんはまたここから出ようとするはずです。」
ポミは意味深な事を言いました。
「案ずるな。」
キム・ソヘは健気なポミに言いました。
日中の王宮。
チョン・サヨプはキム・ソヘが隠した手紙を読んでいました。手紙には(ソヘが)身の安全が不安なので大切な者を遠ざけたいと書かれていました。
チョン・サヨプは世子嬪の恋文をソウォン大君に見せました。
「これが恋文に見えますか?誰かを案じる手紙に過ぎぬ。」
ソウォン大君は答えました。
「もしかして世子嬪媽媽(セジャビンママ)をお慕いしていますか?」
チョン・サヨプは直接的に尋ねました。
「むろんだ。父上と母上と大司諌(テサグァン)のことも。同じように私も民のことを思っている。王室に世継ぎが生まれるのだ。騒ぎ立てるな。世子嬪様のお心に配慮しろ。これ以上詮索するならお前もただでは済まない。」
ソウォン大君は立派に答えました。
ユルとイソの家。
ヨン氏はユルを見るなり「ウォンドゥク。また会えてよかった。」と抱き着いて泣きました。
ユルはどうしてヨン氏が自分を心配しているのかわかりませんでした。ヨン氏は子犬でも自分で育てると可愛いものだと説明すると、ユルはヨン氏の愛情を知って礼を言いました。
イソが起床して庭に行くとユルがヨン氏と縄を編んでいました。ヨン氏は婿に朝食を作ったのだと言いました。ユルもイソが作った飯よりおいしかったと言いました。ユルは縄をきれいに編めるようになっていました。ユルはヨン氏から鎌の扱い方も習いたいと言いました。
ヨン氏はイソを呼ぶと「どうやらウォンドゥクとして生きていく決心がついたようだ。ウォンドゥク。可愛い奴だ。」とユルのことをたいそう褒めました。
ソンジュヒョンの役所。
チョン・ジェユンはパク・ポグンを呼んでホンシムの「何でも屋」について尋ねました。パク・ポグンはホンシムに頼み事をすると婿と一緒になって何でも解決してくれると答えました。
道。
ユルが草を背負って道に迷っていると幼い少年モックが現れました。モックはユルに石を投げつけ「俺に二文くれると言っただろ?俺が子どもだからと見くびっていのだろう!」と怒りました。ユルは「では問題に答えたら10文やる。年上の男を何と呼ぶ?」となぞなぞを問いかけるとモックは突然泣き出しました。そこにチョン・ジェユンが現れ「何事だ?」と少年に尋ねました。モックは「お使いをしたのにお小遣いをくれなかったんだ。それで母さんの薬を買おうと思ってたのに」と泣きました。するとチョン・ジェユンは少年に二文を渡してユルを「いい奴と思っていたのにこんな奴だったとは」と言って去りました。少年は「兄者(ヒョンニィ)」と答えをユルに言うと10文をねだりました。ユルはモックのあざとさに呆れつつお金をあげました。モックは「俺に母さんはいない。死んでしまった。クッパを食べてみたかったんだ。あの人(チョン・ジェユン)は悪い奴だから言うなよ。ホンシムのに手を出そうとしててるとみんな言ってた。」と言いました。
ユルとイソの家の前。
チョン・ジェユンはイソに会い、秘密の頼みごとをしました。そこにユルが帰って来て二人が顔を近づけていることを不審に思いました。
「縣監(ヒョンガム)とあろう者が昼間から郎君(ナングン=夫)がいる女人を口説いてよいものか?」
ユルは不機嫌そうに言いました。イソはユルを家に連れて帰りました。
「あんな奴と結婚したのか。」
チョン・ジェユンはつぶやきました。
ユルとイソの家。
イソはユルの顔が赤い様子を見て嫉妬しているのかと尋ねました。ユルは日焼けをしたのだと答えました。
イソは膝枕をしながらユルの顔に薬を塗ってあげようとしました。
「会いたかった。三日ぶりに会ったのだ。」
ユルは台にねそべりながらイソに言いました。
イソはユルの顔立ちの美しさ、眉の太さに見とれてしまいました。
「勝手に触れてはならぬ。・・・だが私に触れてよいのはそなただけだ。」
ユルはイソに身も心も許しました。
クンニョとクドルは庭で薪割りをしているユルを見て感心しました。
ユルは薪100個で2文になると言いました。
クンニョは魚を包丁でさばける人がいないのでホンシムに頼みに来たと言いました。
ユルは「ホンシムにすべてやらせるわけにはいかぬ」と言って生きた魚を見てみると、どうしていいのかわかりませんでした。
「・・・ホンシムを待たねばならぬ。」
ユルはつぶやきました。
夜になりました。
イソは四つん這いになっているチョン・ジェユンの背中に乗ってパク・ソンドの屋敷の中を偵察しました。パク・ソンドは高価な犬に干し肉を与えて酒を飲んでいました。
イソは縣監(ヒョンガム)として赴任したのにどうしてこんなことをするのかチョン・ジェユンに尋ねました。
「ここに来た理由は二つある。一つ目は叶わなかった。・・・心を寄せた女人(にょにん)が嫁いでしまった。私に残された道は一つ。あなたに頼むしかない。あの時のことは済まなかった。少し水を汲む振りをしようと思った。」
チョン・ジェユンはイソに言いました。
チョン・ジェユンはイソに役所までの道案内を頼みました。
二人が並んで歩いていると、茂みに隠れて様子を見ていたユルは、さらに不機嫌になりました。
日中の王の部屋。
イ・ホは人払いをしてチョン・サヨプと二人きりになりました。イ・ホは王になった時にチョン・サヨプに密命を下しました。
パク・ソンドの家。
パク・ソンドは昼寝をしていました。
イソは干し肉を見せびらかせて犬の五大夫(オデブ)先生を誘い出しました。
イソは道でユルとぶつかると、犬が逃げ出してしまいました。
ソンジュヒョンの役所。
「もうそろそろ来るはずだ。」
チョン・ジェユンはパク・ポグンとともにイソを待っていました。
「ヒョンガーーム!助けてくださーーい!五大夫(オデブ)がいなくなったのです!」
パク・ポグンが慌てて役所に駆け込んで来ました。パク・ポグンは明国のとても偉い方から犬を預かっているのだと説明しました。
チョン・ジェユンは「ご安心ください。私が見つけてみます」と芝居を打ちました。
役所の庭。
チョン・ジェユンが待ち合わせの場所に行くと、イソではなくユルが待っていました。ユルは配下がいるのにイソを使うとはどういうことだと不満を示しました。そこにイソが戻って来て犬が本当にいなくなってしまったと言いました。
「私が犬を見つける。縣監(ヒョンガム)に私の女人(にょにん)を関わらせたくない。」
ユルは不機嫌そうに言いました。
くさむらの中。
ユルはチョン・ジェユンと二人で犬を探しに行きました。ユルは手製の罠を作って道に設置しました。二人は茂みの中に隠れました。ユルは犬が見つからなかったら正直に「縣監(ヒョンガム)が犬を盗ませたと言うつもりだ」と言いました。チョン・ジェユンが「お前ごときが(成そうとしている大義の邪魔をするのか)」と腹を立てると、ユルは逆に「庶子ごときが、と言われたらどんな気分だ?権力者の声だけを聴き弱者の声を聞かぬと偉大にはなれぬ」と、民よりもパク・ポグンに取り入ろうとするチョン・ジェユンを批判しました。
「もしやどこかに会ったことがないか?その声はどこかで聞いたことがある。」
チョン・ジェユンは首をかしげました。
そこに犬が走って来ました。
ユルは紐を引っ張って箱の中に犬を閉じ込めました。
「礼を言う。おかげで犬になれそうだ。パク縣監(ヒョンガム)を罷免しただけでは枝を切ったにすぎぬ・・・私は根を断ち切りたい。」
チョン・ジェユンはユルに「お前ごときが」と言ったことを謝り和解と友好を求めました。
「不愉快だ。浅はかな者とは断る。」
ユルはチョン・ジェユンのやり方では根が切れないと言いました。チョン・ジェユンはならばどうするのだとユルに尋ねました。
王宮。
イ・ドニョンは世子(セジャ)が生きているという噂が広まっているとキム・チャオンに報告しました。
キム・チャオンは口を慎まねばならぬとイ・ドニョンを脅すと、上疏(じょうそ、上奏)文を破棄するよう命じました。そこに右腕のチャン・ムンソクが現れて「噂を広めた者を見つけました。ただし・・・。」と苦渋の表情を浮かべました。
王宮の一角。
キム・チャオンの息子、キム・スジは宮女見習いたちを集めて「突然世子(セジャ)邸下(チョハ)が土の中から生き返ったのだ!」と噂を拡げていました。そこに父キム・チャオンが現れました。
遊び場。
チョン・ジェユンは二人の妓生を侍らせパク・ソンドを貴族の遊びに招待しました。庭には矢を射る的が設置され、そこにはユルが立っていました。チョン・ジェユンはパク・ソンドに今のうちに暗行御史を手名付けようと言いました。
チョン・ジェユンはユルに的がわりの盆を頭上に掲げさせ「蝶の模様を射抜いたほうが勝ちです」と言いました。
チョン・ジェユンが矢を放つと、矢はユルが掲げた的ではなく、背後の的に当たりました。
次に、パク・ソンドが矢を放つとユルはイソが射られて倒れる幻を見てショックを受けました。
王宮の一室。
キム・チャオンはキム・スジを問い詰めました。キム・スジは「世子邸下と瓜二つだったのはソンジュヒョンから来た男です」と怯えながら答えました。
キム・チャオンの家。
キム・チャオンは納屋に行くとポミに「本当に世子(セジャ)を殺したのか?」と尋ねました。ムヨンは豪華な部屋で治療を受けていました。ムヨンの寝床にキム・チャオンが入って来て「ソンジュヒョンに行かねばならぬ」と言いました。
ソンジュヒョン。
パク・ソンドはユルを懲らしめられたと思って、たいへん喜んでいました。上機嫌のパク・ソンドはチョン・ジェユンの頼みを聞いてやると言いました。
パク・ポグンは慌ててユルのそばに駆け寄ると「大丈夫か?こんな酷いことをしやがって。あいつら罰を受けるぞ」と慰めました。
ユルは矢を見て父王や王妃の姿を思い出しました。
ユルとイソの家。
ヨン氏はユルが初めて作った草鞋を見て「俺のために作ったのかな?アイゴ~。ぴったりだ。」と履いてみました。
「お父さんはウォンドゥクが好き?」
イソはヨン氏に尋ねました。
ヨン氏は亡くなった妻が妊娠していた時のことを打ち明け息子が生まれると楽しみにしていたと言いました。
そこにクンニョが慌てて走って来て「縣監(ヒョンガム)がウォンドゥクを矢の的にしたの!」と知らせました。
役所。
パク・ソンドは満足して帰りました。
入れ替わりイソがやって来ました。
イソはチョン・ジェユンに激しく抗議しました。
「優しそうな目をしてどうして酷いことをするのですか!」
イソが声を荒げると、そこに妓女(キニョ、妓生の女)のエウォルがやって来ました。
イソはチョン・ジェユンに腹を立てて帰りました。
エウォルは妓楼に世子嬪のお腹の子の父親は世子(セジャ)ではないという噂を王妃が流そうとしているとミン・ヨンギが左議政に密告し、世子(セジャ)が生きているという噂が流れているとチョン・ジェユンに報告しました。
パク・ポグンは文書を確かめて欲しいとチョン・ジェユンに渡しました。チョン・ジェユンはナ・ウォンドゥク(羅願徳)の借金の証文を目にしました。チョン・ジェユンは「願」という筆跡が世子(セジャ)の筆跡に似ていることに気が付きました。そしてウォンドゥクが「不愉快だ」と言っていたことを思い出しました。
キム・チャオンが馬でソンジュヒョンに向かっていると、刺客に襲われました。
ユルとイソの家。
イソが家に帰るとユルが草鞋を編んでいました。
ユルは50足で10両になると言いました。
「漢陽(ハニャン)で何かあったのでしょう?事実を言ってちょうだい。」
イソは言いましたがユルは話したくありませんでした。
「私は、記憶を取り戻したくない。そなたのそばにいたいから。」
ユルは言うと、イソは泣き出しました。
イソは兄が来たら、二人だけで旅立って一生隠れて生きようと思っていたと言いました。
「・・・こんな私でも、一緒に来てくれる?」
イソが泣きながら言うと、ユルはイソを抱き締めました。
感想
「100日の郎君様」10話の感想です。今回はユルが世子ではなくウォンドゥクとしてホンシムと一緒に夫婦として暮らしたいと言う気持ちが描かれていました。ユルがウォンドゥクとして生きていくためには高慢な態度や正義感を捨てて、貧しく暮らして民らしい振舞いをしなければなりません。ユルも自分が命を狙われる存在であることを自覚したようですね。でもイソは正義を主張しないユルのことがどうも理解できません。イソの理想の男は父のような正義感溢れる武人です。ユルが使用人のような振舞いをして奴隷になることについて、イソにはとても耐えられそうにありません。
ムヨンはイソの夫が世子であることに気が付いているのでキム・チャオンに報告しませんでした。ポミはムヨンをかばって、自分がムヨンを襲えばキム・チャオンの目に叶うと思ったのだと嘘をつきました。本当にポミが矢を放ったのでしょうか!?ムヨンの部下のヒョクもポミも、キム・チャオンではなくムヨンに忠誠を誓っているようですね。
忠誠心というと、日本人の感覚ではキム・チャオンと王妃のそれぞれの勢力に忠臣がいてみんな従っているのかと思うのですが、どうやら朝鮮の文化では忠誠心というのは、そんなに厚いものではないみたいです!?
続きが楽しみです。
ムヨンはイソの夫が世子であることに気が付いているのでキム・チャオンに報告しませんでした。ポミはムヨンをかばって、自分がムヨンを襲えばキム・チャオンの目に叶うと思ったのだと嘘をつきました。本当にポミが矢を放ったのでしょうか!?ムヨンの部下のヒョクもポミも、キム・チャオンではなくムヨンに忠誠を誓っているようですね。
忠誠心というと、日本人の感覚ではキム・チャオンと王妃のそれぞれの勢力に忠臣がいてみんな従っているのかと思うのですが、どうやら朝鮮の文化では忠誠心というのは、そんなに厚いものではないみたいです!?
続きが楽しみです。
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