ミストレス5話「獲物」~愛に惑う女たち~
あらすじ
2年6か月前の夜のカフェ。セヨンたち4人の親友はどこかのカフェに集まっていました。
「あなたの夫、テレビに出てたわね。」
セヨンはビールをテーブルに持ってくると席に着きました。
「もう手が震えちゃってて。見た?」
セヨンの向かいの席に座っているジョンウォンは言いました。
「笑っちゃった。おかげで野菜がうまく炒められていたわね。」
ファヨンは両手を拡げて言いました。
「でも食材を一つも落とさなかったわ。」
ウンスは言いました。
「これでもシェフだから。」
ジョンウォンは言いました。
「また出演するの?」
ウンスはセヨンに尋ねました。
「わからないわ。代役だったのに、すっかり調子に乗ってるわ。」
ジョンウォンは言いました。
「店の宣伝になるじゃない?」
セヨンはそう言って立ち上がると食事を取に行きました。
「気楽に言ってくれちゃって。テレビは人気に左右されるから信用しちゃだめよ。」
ウンスは言いました。
「疑り深いわね。私はドンソクさんの出演には賛成よ。ドンソクさんが芸能人と合コンを開いてくれるかも。」
ファヨンは言いました。
「ファヨンらしい考えね。」
セヨンは食べる物を持ってきました。
「おつまみた♪」
ジョンヨンは喜びました。
「あら。もしかしてセヨンじゃない?わぁ。ウンスもいる。」
女性がセヨンの顔を覗き込みました。セヨンは女性に気が付き歓声を上げると女性とハイタッチしました。
「ジョンウォンもいるわよ。」
ジョンウォンは言いました。
「私は幽霊?ごめんね。仲が悪かったから。」
ファヨンは女性に言いました。
「まだ4人でいるの?」
女性はセヨンに言いました。
「飽きてきたわ。」
セヨンは冗談を言いました。
「そうよね。もう話すこともないでしょ。男の話をして、若い頃の話をしたら、またおと男の話になる。そうだ。ちょうどよかったわ。工房に来て。私が来週オープンするの。ローソク工房よ。みんなで作れば楽しいわ。」
女性はセヨンに微笑みました。
夜の美容室。
「セヨンさんの立場になって考えると大した額じゃないのにセヨンさんは欲深いわね。」
美容室のおばさんナ・ユンジョンはカフェのアルバイトの女性の頭をシャンプーで洗いながら言いました。
「お金の問題じゃないわ。」
カフェ・ブラウンのアルバイトの女性は言いました。
「なぜ詐欺師はセヨンさんの持ってる遺産に詳しかったのかしら?」
「店長は私の社長に興味があるんですね。」
「まあ白髪が多いわね。サービスで染めてあげる。」
「いいですよ。今日のカットも無料だったし。」
「ちょっと待ってね。電話だわ。お~社長。チョンダムドンの店はもう閉めました。髪を切りにいらっしゃいますか?予約はいりませんから、いつでもいらしてくださいね。お待ちしています。お待たせ。」
ナ・ユンジョンは電話を掛けてないのにぶつぶつ言いながら勝手にアルバイトの女性のコートから鍵を盗むと、鍵の型を写し取りました。
目撃者の少年の家。
少年は「おばさんが赤くて四角いローソクをチャ・ミンジェの家から持って出た」とウンスとチャ・ソンホに言いました。
チャ・ソンホはどうしてローソクが無くなったことが判ったのかウンスに尋ねると、ウンスは自分が贈ったものだと正直に答えました。
「それより大事なのは誰が凶器を持ちだしたかよ。蝋燭で気持ちが落ち着くから患者で恩師だった先生に贈っただけよ。もう答えたから手を放してちょうだい。」
「今までは口でしか嘘をつかなかったのに、今日は目でも嘘をついてる。」
「悪いけど別々に帰りましょう。」
ウンスはソンホと別れて車に乗り込みました。
回想シーン。
夜のチャ・ミンジェの部屋。
「おお。君が作ったのか?」
チャ・ミンジェは書斎の自分の席に腰掛け蝋燭のプレゼントを受け取ると、ウンスに言いました。
「大事に使ってね。」
ウンスはチャ・ミンジェに言いました。
「どうして?」
「じきにわかるわ。」
夜のトレーニングジム。
スカッシュというスポーツをする部屋で、カン・テオは茶髪の若い女性にスカッシュのやり方を教えていました。ファヨンはブルブルを腰に当てながらカン・テオを見張っていました。
回想シーン。
夜のファヨンの家の前。
「私と寝る?」
ファヨンはテオに言いました。
「お前は十年前と、変わってないな。」
カン・テオはそう言うと帰りました。
トレーニングジム。
女性が転ぶと、カン・テオは優しく手当をしてあげました。
「はっ。わざとらしい女。」
ファヨンはスマホで二人の様子を撮影しながらつぶやきました。
朝のセヨンのアパートの近く。
セヨンは黄色のスクールバスに娘のイェリンを乗せて幼稚園への登校を見送りました。
ハン・サンフンの家。
セヨンはハン・サンフンのアパートを尋ね、欠席したというアヨンの様子を尋ねました。ハン・サンフンは娘のアヨンはおなかが痛くて一睡もしていないが下痢はおさまり熱も無いと言いました。セヨンはハン・サンフンの家に上がり込むとアヨンの様子を見に行きました。セヨンはアヨンを病院に連れて行ったほうがいいとハン・サンフンに言いました。ハン・サンフンは病院に行く支度をするために部屋に入りました。セヨンはサンフンがいなくなった隙に部屋の中を観察すると、ジャンクフードが食卓の上に散らかっており、子ども用のおもちゃとリュックサックがリビングテーブルの周辺に散らかっていました。
高校。
「昨日の作戦は成功だったね。」
生徒の自習を監督しながらジョンウォンは同じ部屋にいるクォン・ミンギュにメールを送りました。
「ドンヒョクは脚が速いからね。連れ戻したお祝いをしましょう。私は料理が得意なんです。」
クォン・ミンギュは同じ部屋の後ろからジョンウォンにメールを送りました。
「料理ができるの?」
「ワインだけ準備してください。」
「私、味にうるさいから覚悟して。」
「食べたらわかります。」
その時、理解のある女子生徒がペンで机の角を叩いてジョンウォンに合図を送りました。
ジョンウォンは教頭がこちらを見ているに気が付き立ち上がりました。クォン・ミンギュは厳しい表情で生徒を監督している振りをしていました。教頭は厳しい視線をジョンウォンに送りました。
カフェ・ブラウン。
ウンスはセヨンに会うと、ローソクが凶器かもしれないと打ち明けました。
「(あなたも)ジェヒ(チェヒ)の工房で夫のために作ったでしょ。」
ウンスはセヨンに言いました。
「うん。覚えてるけどどうして凶器だとわかったの?」
セヨンはウンスに言いました。
「目撃者がいたの。でも気になることがあるの。犯行現場はそのままだったけど、寝室だけが散らかってなかった。」
「それがどうしたの?」
「寝室ではなくリビングで争ったようだわ。なのに寝室にあった蝋燭を使うのはおかしいでしょ。リビングにある水石(スソク)や花瓶も凶器になるのに。」
「そうね。寝室にある蝋燭を。でもウンスや。もう関わるのをやめたら?私は心配だわ。」
「あのね、セヨン。実は私のせいなの。事件があった日、家じゅうの指紋を拭きとったのは、先生のためでも、遺族のためでもないの。私のためだった。私は不倫を知られるのが怖くて、それで消したの。だから犯人の痕跡もない。」
回想シーン。
チャ・ミンジェが倒れている傍で、ウンスが床や冷蔵庫を一生懸命拭いているシーン。
「セヨンナ。私は共犯者よ。」
ウンスはセヨンに言いました。
「ウンスや。」
セヨンは掛ける声がありませんでした。
「私は償いたいの。犯人を隠したのだから、見つけ出したいわ。」
弁護士事務所。
「これが浮気相手か?どう見てもそういう雰囲気じゃないか。」
弁護士のヤン・ジンゴンはファヨンが撮影した写真を見て言いました。
「違うわ。」
ファヨンはヤン・ジンゴンの手から写真を奪うと写真をクライアントに渡しに行くと出かけて行きました。
歩道。
ウンスはチャ・ソンホと落ち会うと、ローソクの話をしました。
「蝋燭の話は本当にそれで全部ですか?なぜ犯人は持ち出したのか?しかも先生からの贈り物です。凶器を持ち去る理由が?」
「なぜかは犯人に聞いてみないと。」
「先生は積極的ですね。目撃者探しも犯人捜しも興味なかったのに。」
「私は無礼な態度と屈辱だけは我慢できないの。あなたが初めて会ったときに私にしたことよ。」
「私がですか?私がいつ無礼なことをしましたか?」
「相手の態度は変えられないわ。でも屈辱ならいくらでも返せる。私にコピーをとらせて。」
高校の職員室。
「お先に失礼します。」
クォン・ミンギュは皆に挨拶すると部屋を出て行きました。
「どうやら恋をしてる顔らしい。」
同僚の男の先生はミンギュを見て微笑ましく思いました。
「夕飯を楽しみにしてね。」
クォン・ミンギュはジョンウォンにメールを送りました。
「ああ。席を移ろうかな。クォン先生はデートだし、ハン先生は夫のメールでにやけてるし。久しぶりにハン先生の笑顔を見たよ。順調なんですか?」
男の先生はジョンウォンに言いました。
「私がいつ笑いました?」
「さっきスマホを見た時に。おおメールの後に電話とは。うらやましいよ。」
男の先生は言いました。
「はい。あなた?」
ジョンウォンは夫からの電話に出ました。
ファン・ドンソクのレストラン。
ジョンウォンはレストランに行くと、店は閉店していました。ジョンウォンは丸いテーブルの席に座りました。
セヨンの家。
セヨンは中国人の家政婦とハン・サンフンとアヨンのために料理を作りながら話をしていました。
「友達にも分けたくて。おばさん(中国人の女性)もどうぞ。」
セヨンはナムルを手でこねながら言いました。
「じゃあ私もがんばらないと。どんな友達ですか?もしかして中華街に行った人?」
「違うわよ。塩で味付けして味見しないと。」
セヨンが言った瞬間、ガラスが割れる音がしました。
「大丈夫?」
セヨンと家政婦はイェリンとサンヒのところに駆け寄りました。額に入れられた家族写真のガラスが割れていました。
「お母さん。お父さん。お父さんだよ。」
サンヒは家政婦の母に言いました。
「この子は男性を見るとだれかれ構わずお父さんと言うんです。」
家政婦の女は焦った様子で言いました。
「違うってば。お父さんだよ。」
サンヒは言いました。
セヨンの表情が険しくなりました。
すると、家政婦は中国語で厳しい口調でサンヒに何かを言いました。
セヨンはアパートの廊下から下を見下ろしましたがそこには通行人が歩いているだけでした。
病院のウンスの執務室。
ウンスが書類を調べていると、チャ・ソンホから電話がかかってきました。
「年賀状を渡したけど進展はありました?」
チャ・ソンホはウンスに言いました。
「いいえ。ないわ。でもお送り主は先生と書いてるわね。気にしなかったけど、もしかしたら生徒なのかも。」
ウンスは書類を見ながら言いました。
「先生みたいに?ありえますね。父は生徒と仲が良かったから。そういえば家にも資料があります。」
「どんな資料?」
「生徒の詩集とか。
「ああ。確かに高校の時に詩を書く課題が多かったわね。」
「記録を調べてみましょう。」
夜の街。
中国人の女は娘の手を引き古いアパートに入りました。セヨンはは二人の後を追って建物の中に入りました。女はドアの鍵を開け、部屋の中に入りました。
クォン・ミンギュの家。
クォン・ミンギュは料理の腕を振るっていました。するとジョンウォンからメールが届きました。
ファン・ドンソクのレストラン。
「座っていてくれないか。大した料理じゃないから。」
ファン・ドンソクが料理の台車を運びながらジョンウォンの前に現れました。
ジョンウォンはメッセージを送ったばかりのスマホを持ちながら立ち上がりました。
ジョンウォンは再び席につきました。
ドンソクはジョンウォンの机の前に自分で作ったとっておきの料理を置きました。
チャ・ミンジェの家。
「これで最後です。」
チャ・ソンホは段ボールをウンスのところに持ってきました。
「女生徒の詩集を調べて。独特の筆跡だからすぐにわかるわ。」
ウンスはソンホに言いました。
ファン・ドンソクのレストラン。
ジョンウォンはナイフとフォークでメインディッシュを食べました。
「どう?」
「おいしいわ。メニューに加えたらどう?」
「テレビで紹介しようかと。下積みしていた頃の店を覚えてる?」
「今はカフェだけど向かいの・・・。」
「ああ。厨房でお前の夜食を作ったよな。」
「覚えてるわ。遅かったよね。」
「だが次の日に、社長にバレたんだが、何度も殴られて罵られたよ。」
ドンソクはワインを注ぎました。
「そうなの?私のせいで・・・。」
「私がなぜ店を持てたと思う?社長に言われたんだ。お前がシェフになって店を構えることはできないと。だから成功して、あなたに見せたかった。ジョンウォン。私が忙しい時間帯に店を閉めてこうして料理できるのもあなたのおかげだ。二人でがんばろう。私も帰る。」
その時、ジョンウォンのスマホにメッセージが届きました。
「今どこですか?」
クォン・ミンギュからのメッセージでした。
クォン・ミンギュの家。
クォン・ミンギュは料理を完成させ、ラジコンカーで遊びながらジョンウォンを待っていました。
「ごめんなさい。行けなくなったわ。」
クォン・ミンギュはジョンウォンからのメッセージを見て、がっかりしました。
真夜中のカフェ・ブラウン。
「何をしてるんですか?」
ハン・サンフンはカフェ・ブラウンの中に勝手に入り、店を調べている美容室の店長ナ・ユンジョンを見つけて言いました。
「あなたこそ何をしているの?」
ナ・ユンジョンは言い返しました。
「後をつけたんです。ずっとセヨンさんを見張ってたでしょ。怪しいと思ってたら偶然見かけてついてきました。ちょっと店の鍵はどうしましたか?なかなかやりますね。それで私を刺しますか?」
ハン・サンフンは言いました。
「なぜ私がチャン・セヨンを見張ってるとわかったの?」
ナ・ユンジョンは言いました。
「え?」
「あなたも監視してるんでしょ?」
「思い込みが激しいですね。」
「チャン・セヨンはあなたの正体を知ってるの?」
「これは想定外ですね。何を調べた?」
ハン・サンフンは演技をやめてショーケースにもたれかかりました。
「チャン・セヨンはあなたの仕事を知ったらどう反応するでしょうね。監視しているのはお互い様。チャン・セヨンに近づく男を私が放っておくわけがない。チャン・セヨンの身の上調査なんて、ほとんどしてないわ。こうする?あなたのことはいったん秘密にしましょう。お互いそのためよ。キム・ヨンデ。」
ナ・ユンジョンは言うとハン・サンフンに近寄りました。
「獲物は分けたくないな。」
ハン・サンフンは顔をしわくちゃにしました。
「何の獲物かそのうちわかるわ。」
ナ・ユンジョンは言いました。
チャ・ミンジェの家。
「綿菓子。2年4組み。キム・ウンス。舌の上で溶けてしまう綿菓子のようだ。口にすると消えてしまう彼の名前。夢中になってまた手を伸ばすうちにもどかしくて何度も読んでみる。ああ。しらけるな。片思いだったんですか?素早いですね。」
チャ・ソンホはウンスの詩を読み始めました。ウンスはソンホから詩を奪おうとしました。ソンホは逃げると嬉しそうに詩を朗読しました。
「何?どうしたの?見つけた。これだ。」
チャ・ソンホはウンスに自分の顔を近づけると何かを取りました。
「でも名前が・・・。」
ウンスが見た紙には「キム・デヒョン」と書かれていました。
「男ですね。」
ソンホは言いました。
ハン・サンフンのアパート。
セヨンはドアホンを鳴らすと出てきたハン・サンフンに手料理を渡しました。
「明日の朝少し時間を戴けませんか?」
セヨンはサンフンに言いました。
朝のジョンウォンの家。
ハン・ジョンウォンは夫とともに、ベッドに横になっていました。
朝のセヨンの家。
セヨンはイェリンに仮病をつかって家にいるように命じました。すると、インターホンがなり、家政婦が出勤して来ました。
どこかの駐車場。
カン・テオは(スカッシュしていた時とは別の)若い女性から何かを受け取っていました。
中国人の女が住んでいると思われるアパート。
セヨンはハン・サンフンとともに女のアパートを探索しました。セヨンはドアの前の植木鉢を探り、鍵を探しました。ハン・サンヒョンは手すりの下に落ちていた針金を手にすると、家の鍵を開けました。
「セヨンさん。」
サンフンはセヨンに合図しました。
セヨンはハン・サンフンとともに女の家の中に入り手がかりを探しました。
「何かあった?パスポートはどこかしら。」
セヨンが言うと、ハン・サンフンは見つけた小さな封筒を懐に隠しました。
病院のウンスの執務室。
「チャ・ミンジェ先生と?いつから?いつ別れたの?どうして隠してたの?」
ジョンウォンはウンスから話を聞いて驚きました。
「興奮しないで。隠すつもりはなかったけど言いづらかったの。あなたは不倫を否定してたでしょ。」
ウンスはコーヒーを二人分入れました。
「なのに。私が不倫するとは・・・。」
ジョンウォンは小さくなりました。
「それで、どうするの?」
ウンスはコーヒーをジョンウォンに差し出しました。
「判らない。それで、ミンギュ先生と何かするつもりはないけど夫に努力しようと言われた。」
「どう思ったの?」
「喜べないわ。私も夫のことでつらかったの。まさかあの人が謝って仲直りしようとするなんて。その間に私はミンギュ先生と関係をもってしまったの。どうしたらいいかわからない。」
「あなたの気持ちはどうなの?何か理由があったから関係を持ったんでしょ?ジョンウォン。大事なのは自分の気持ちに素直になることよ。教師や妻じゃなく一人の女として心のままに生きるの。」
街。
ハン・サンフンは車を調べていました。するとピアスをしたやくざ風の男(セヨンを貨物置場に誘い出した男)が工具を持ってハン・サンフンに襲い掛かろうとしました。ハン・サンフンは動じずに男に振り返ると「面白いか?」と言いました。男は「面白くねぇ」と工具を降ろしました。
カフェ・ブラウン。
セヨンは仕事をしながらサンヒがヨンデの写真を見て「パパ」と言っていたことを思い出しました。
街の一角、店の前。
「さあ。パク・ジョンシムとキム・ヨンデの関係は?」
ハン・サンフンはピアスの男に書類を渡すと言いました。
「じゃあ。奥さんは無実?」
ピアスの男は自分のスマホに映ったセヨンの写真を見て言いました。男は受け取った書類の写真をスマホで撮影しました。
「夫が島にいると信じただろ。カネも要求通りにすぐ渡したし、夫をよく知らないようだ。」
「キム・ヨンデが単独で詐欺を?」
「この女が共犯かも。」
「オッケー。あのカネは?」
「お前が使え。」
「マヂか。」
「どのみち手に入るカネだからな。早くしろよ。」
ハン・サンフンは去りました。
ファン・ドンソクのレストラン。
「記念日には恋人や家族と一緒に、このステーキを召し上がってください。ファン・ドンソクシェフからでしした。」
ファン・ドンソクは動画を撮影されながら視聴者にメッセージを送りました。ファン・ドンソクはキムPD(プロデューサー)から妻との調子を尋ねられました。ドンソクは毎晩頑張っていると目の下のクマを見せました。キムPDは「妊娠して出産するまで奥さんのために料理を作る企画に上が乗り気だった。高視聴率は間違いない。」とドンソクに言いました。
「奥さんには話した?」
「今仲直り中だからもう少し待って。」
「ファイティンしなきゃ。ほかの人が起用されちゃうよ。自分の企画を奪われたら悲しいだろ。」
「俺以外になったら悲しいだけでなく、お前の命はないぞ。バーン!お疲れ様。」
ハン・サンフンはキムPDに言いました。
高校の誰もいない廊下。
「クォン先生。私は昨日・・・。」
ジョンウォンが謝ろうとすると、クォン・ミンギュは何も言わずに去って行きました。
ハン・サンフンの車の中。
「あの子はキム・ヨンデの子か?」
ハン・サンフンは雇った男から情報を得ました。男はサンフンにもっとすごい情報があると言いました。サンフンはそれを聞いてため息をつきました。ハン・サンフンは写真を青色の封筒にしまいました。
夜のセヨンのアパート。
セヨンはメールボックスの中に気になる紙きれが入っていることに気が付きました。
セヨンの家。
セヨンは家に帰ると中国人の家政婦がイェリンをサンヒと遊ばせていました。セヨンはイェリンをサンヒと一緒に公園に行かせました。
セヨンは青色の封筒に入った写真を中国人の家政婦の目の前に突き出しました。
「私が全部説明しますから。」
女はセヨンに言いました。
「やめて。また嘘をつこうと思ってるなら、黙っていてちょうだい。一つ聞きたい。サンヒは、あの人の娘なの?」
「ほんとうにすみません。サンヒを妊娠するまで独身と思ってました。」
「中国で会ってたの?」
「はい。責任をとるといって、生活費もお父さん(アッパ)に面倒を見て貰っていました。でも2年前にお父さんが死んで立ち行かなくなりました。働こうと思って韓国に来て、一度だけ遠くから見るつもりでした。お父さんの言葉を思い出して。」
「お父さんなんて言わないで!何て言ってたの?」
「サンヒにお姉ちゃんがいて、あの子が妹を欲しがってたと。子どもたちが会えば、姉妹のようになれると・・・。」
「はぁ。はぁ。あなたよく平気で言えるわね。」
「すみません。あなたも私と同じくらい苦労していると思いました。」
「余計なお世話よ。ここへは何しに来たの?どういうつもり?」
「イェリンのお母さん・・・。」
「イェリンの名前は呼ばないで!二度と会いたくない。私の前から消えてちょうだい!」
セヨンが低い声で言うと、中国人の女は泣きながらアパートを出て行きました。
セヨンは夫との写真を投げ割りました。
公園。
ハン・サンフンはイェリンとアヨンとサンヒを見守っていました。そこに中国人の女が現れサンヒを抱いて去りました。
「サンヒや。どこ行くの?」
イェリンは不思議に思いました。
セヨンのアパート。
セヨンはヨンデとの結婚指輪を投げ捨てました。
ハン・サンフンはイェリンとアヨンに(夜なのに)外で遊んで来るように言いました。
セヨンは茫然と立ち尽くしていました。
「セヨンさん。大丈夫?」
ハン・サンフンは優しくセヨンに声を掛けました。
セヨンは堰を切ったようにき出しました。
ハン・サンフンはセヨンの頭を自分の胸に引き寄せました。そしてセヨンの両頬に手を当てるとセヨンの唇に、自分の唇を重ねました。
「ごめんなさい。ごめんなさい。今日は帰ってください。」
セヨンはサンフンから離れると、うつむいて恥じらいながらサンフンに言いました。
「電話します。」
ハン・サンフンは部屋から出ようとすると、セヨンは声を上げて泣き崩れました。ハン・サンフンはセヨンを置いて家から出て行きました。
廃屋の付近の橋。
セヨンたちは男を車のトランクに入れ、スコップで地面を掘っていました。
「何か聞こえない?」
「きゃあっ!」
女たちは動物が羽ばたく音に悲鳴を上げました。
ウンスは懐中電灯を拾うとビニール袋に包まれた男の顔が照らされました。
女たちはまた悲鳴を上げました。
回想シーン。
「夕食はどうですか?」
ハン・サンフンがセヨンを誘う場面。
ハン・サンフンがセヨンと口づけをする場面。
「機会をください。」
ハン・サンフンがセヨンに求婚する場面。
セヨンはスコップで土中を突き刺しました。
「あなたの夫、テレビに出てたわね。」
セヨンはビールをテーブルに持ってくると席に着きました。
「もう手が震えちゃってて。見た?」
セヨンの向かいの席に座っているジョンウォンは言いました。
「笑っちゃった。おかげで野菜がうまく炒められていたわね。」
ファヨンは両手を拡げて言いました。
「でも食材を一つも落とさなかったわ。」
ウンスは言いました。
「これでもシェフだから。」
ジョンウォンは言いました。
「また出演するの?」
ウンスはセヨンに尋ねました。
「わからないわ。代役だったのに、すっかり調子に乗ってるわ。」
ジョンウォンは言いました。
「店の宣伝になるじゃない?」
セヨンはそう言って立ち上がると食事を取に行きました。
「気楽に言ってくれちゃって。テレビは人気に左右されるから信用しちゃだめよ。」
ウンスは言いました。
「疑り深いわね。私はドンソクさんの出演には賛成よ。ドンソクさんが芸能人と合コンを開いてくれるかも。」
ファヨンは言いました。
「ファヨンらしい考えね。」
セヨンは食べる物を持ってきました。
「おつまみた♪」
ジョンヨンは喜びました。
「あら。もしかしてセヨンじゃない?わぁ。ウンスもいる。」
女性がセヨンの顔を覗き込みました。セヨンは女性に気が付き歓声を上げると女性とハイタッチしました。
「ジョンウォンもいるわよ。」
ジョンウォンは言いました。
「私は幽霊?ごめんね。仲が悪かったから。」
ファヨンは女性に言いました。
「まだ4人でいるの?」
女性はセヨンに言いました。
「飽きてきたわ。」
セヨンは冗談を言いました。
「そうよね。もう話すこともないでしょ。男の話をして、若い頃の話をしたら、またおと男の話になる。そうだ。ちょうどよかったわ。工房に来て。私が来週オープンするの。ローソク工房よ。みんなで作れば楽しいわ。」
女性はセヨンに微笑みました。
「セヨンさんの立場になって考えると大した額じゃないのにセヨンさんは欲深いわね。」
美容室のおばさんナ・ユンジョンはカフェのアルバイトの女性の頭をシャンプーで洗いながら言いました。
「お金の問題じゃないわ。」
カフェ・ブラウンのアルバイトの女性は言いました。
「なぜ詐欺師はセヨンさんの持ってる遺産に詳しかったのかしら?」
「店長は私の社長に興味があるんですね。」
「まあ白髪が多いわね。サービスで染めてあげる。」
「いいですよ。今日のカットも無料だったし。」
「ちょっと待ってね。電話だわ。お~社長。チョンダムドンの店はもう閉めました。髪を切りにいらっしゃいますか?予約はいりませんから、いつでもいらしてくださいね。お待ちしています。お待たせ。」
ナ・ユンジョンは電話を掛けてないのにぶつぶつ言いながら勝手にアルバイトの女性のコートから鍵を盗むと、鍵の型を写し取りました。
目撃者の少年の家。
少年は「おばさんが赤くて四角いローソクをチャ・ミンジェの家から持って出た」とウンスとチャ・ソンホに言いました。
チャ・ソンホはどうしてローソクが無くなったことが判ったのかウンスに尋ねると、ウンスは自分が贈ったものだと正直に答えました。
「それより大事なのは誰が凶器を持ちだしたかよ。蝋燭で気持ちが落ち着くから患者で恩師だった先生に贈っただけよ。もう答えたから手を放してちょうだい。」
「今までは口でしか嘘をつかなかったのに、今日は目でも嘘をついてる。」
「悪いけど別々に帰りましょう。」
ウンスはソンホと別れて車に乗り込みました。
回想シーン。
夜のチャ・ミンジェの部屋。
「おお。君が作ったのか?」
チャ・ミンジェは書斎の自分の席に腰掛け蝋燭のプレゼントを受け取ると、ウンスに言いました。
「大事に使ってね。」
ウンスはチャ・ミンジェに言いました。
「どうして?」
「じきにわかるわ。」
夜のトレーニングジム。
スカッシュというスポーツをする部屋で、カン・テオは茶髪の若い女性にスカッシュのやり方を教えていました。ファヨンはブルブルを腰に当てながらカン・テオを見張っていました。
回想シーン。
夜のファヨンの家の前。
「私と寝る?」
ファヨンはテオに言いました。
「お前は十年前と、変わってないな。」
カン・テオはそう言うと帰りました。
トレーニングジム。
女性が転ぶと、カン・テオは優しく手当をしてあげました。
「はっ。わざとらしい女。」
ファヨンはスマホで二人の様子を撮影しながらつぶやきました。
セヨンは黄色のスクールバスに娘のイェリンを乗せて幼稚園への登校を見送りました。
ハン・サンフンの家。
セヨンはハン・サンフンのアパートを尋ね、欠席したというアヨンの様子を尋ねました。ハン・サンフンは娘のアヨンはおなかが痛くて一睡もしていないが下痢はおさまり熱も無いと言いました。セヨンはハン・サンフンの家に上がり込むとアヨンの様子を見に行きました。セヨンはアヨンを病院に連れて行ったほうがいいとハン・サンフンに言いました。ハン・サンフンは病院に行く支度をするために部屋に入りました。セヨンはサンフンがいなくなった隙に部屋の中を観察すると、ジャンクフードが食卓の上に散らかっており、子ども用のおもちゃとリュックサックがリビングテーブルの周辺に散らかっていました。
高校。
「昨日の作戦は成功だったね。」
生徒の自習を監督しながらジョンウォンは同じ部屋にいるクォン・ミンギュにメールを送りました。
「ドンヒョクは脚が速いからね。連れ戻したお祝いをしましょう。私は料理が得意なんです。」
クォン・ミンギュは同じ部屋の後ろからジョンウォンにメールを送りました。
「料理ができるの?」
「ワインだけ準備してください。」
「私、味にうるさいから覚悟して。」
「食べたらわかります。」
その時、理解のある女子生徒がペンで机の角を叩いてジョンウォンに合図を送りました。
ジョンウォンは教頭がこちらを見ているに気が付き立ち上がりました。クォン・ミンギュは厳しい表情で生徒を監督している振りをしていました。教頭は厳しい視線をジョンウォンに送りました。
ウンスはセヨンに会うと、ローソクが凶器かもしれないと打ち明けました。
「(あなたも)ジェヒ(チェヒ)の工房で夫のために作ったでしょ。」
ウンスはセヨンに言いました。
「うん。覚えてるけどどうして凶器だとわかったの?」
セヨンはウンスに言いました。
「目撃者がいたの。でも気になることがあるの。犯行現場はそのままだったけど、寝室だけが散らかってなかった。」
「それがどうしたの?」
「寝室ではなくリビングで争ったようだわ。なのに寝室にあった蝋燭を使うのはおかしいでしょ。リビングにある水石(スソク)や花瓶も凶器になるのに。」
「そうね。寝室にある蝋燭を。でもウンスや。もう関わるのをやめたら?私は心配だわ。」
「あのね、セヨン。実は私のせいなの。事件があった日、家じゅうの指紋を拭きとったのは、先生のためでも、遺族のためでもないの。私のためだった。私は不倫を知られるのが怖くて、それで消したの。だから犯人の痕跡もない。」
回想シーン。
チャ・ミンジェが倒れている傍で、ウンスが床や冷蔵庫を一生懸命拭いているシーン。
「セヨンナ。私は共犯者よ。」
ウンスはセヨンに言いました。
「ウンスや。」
セヨンは掛ける声がありませんでした。
「私は償いたいの。犯人を隠したのだから、見つけ出したいわ。」
弁護士事務所。
「これが浮気相手か?どう見てもそういう雰囲気じゃないか。」
弁護士のヤン・ジンゴンはファヨンが撮影した写真を見て言いました。
「違うわ。」
ファヨンはヤン・ジンゴンの手から写真を奪うと写真をクライアントに渡しに行くと出かけて行きました。
歩道。
ウンスはチャ・ソンホと落ち会うと、ローソクの話をしました。
「蝋燭の話は本当にそれで全部ですか?なぜ犯人は持ち出したのか?しかも先生からの贈り物です。凶器を持ち去る理由が?」
「なぜかは犯人に聞いてみないと。」
「先生は積極的ですね。目撃者探しも犯人捜しも興味なかったのに。」
「私は無礼な態度と屈辱だけは我慢できないの。あなたが初めて会ったときに私にしたことよ。」
「私がですか?私がいつ無礼なことをしましたか?」
「相手の態度は変えられないわ。でも屈辱ならいくらでも返せる。私にコピーをとらせて。」
高校の職員室。
「お先に失礼します。」
クォン・ミンギュは皆に挨拶すると部屋を出て行きました。
「どうやら恋をしてる顔らしい。」
同僚の男の先生はミンギュを見て微笑ましく思いました。
「夕飯を楽しみにしてね。」
クォン・ミンギュはジョンウォンにメールを送りました。
「ああ。席を移ろうかな。クォン先生はデートだし、ハン先生は夫のメールでにやけてるし。久しぶりにハン先生の笑顔を見たよ。順調なんですか?」
男の先生はジョンウォンに言いました。
「私がいつ笑いました?」
「さっきスマホを見た時に。おおメールの後に電話とは。うらやましいよ。」
男の先生は言いました。
「はい。あなた?」
ジョンウォンは夫からの電話に出ました。
ファン・ドンソクのレストラン。
ジョンウォンはレストランに行くと、店は閉店していました。ジョンウォンは丸いテーブルの席に座りました。
セヨンは中国人の家政婦とハン・サンフンとアヨンのために料理を作りながら話をしていました。
「友達にも分けたくて。おばさん(中国人の女性)もどうぞ。」
セヨンはナムルを手でこねながら言いました。
「じゃあ私もがんばらないと。どんな友達ですか?もしかして中華街に行った人?」
「違うわよ。塩で味付けして味見しないと。」
セヨンが言った瞬間、ガラスが割れる音がしました。
「大丈夫?」
セヨンと家政婦はイェリンとサンヒのところに駆け寄りました。額に入れられた家族写真のガラスが割れていました。
「お母さん。お父さん。お父さんだよ。」
サンヒは家政婦の母に言いました。
「この子は男性を見るとだれかれ構わずお父さんと言うんです。」
家政婦の女は焦った様子で言いました。
「違うってば。お父さんだよ。」
サンヒは言いました。
セヨンの表情が険しくなりました。
すると、家政婦は中国語で厳しい口調でサンヒに何かを言いました。
セヨンはアパートの廊下から下を見下ろしましたがそこには通行人が歩いているだけでした。
病院のウンスの執務室。
ウンスが書類を調べていると、チャ・ソンホから電話がかかってきました。
「年賀状を渡したけど進展はありました?」
チャ・ソンホはウンスに言いました。
「いいえ。ないわ。でもお送り主は先生と書いてるわね。気にしなかったけど、もしかしたら生徒なのかも。」
ウンスは書類を見ながら言いました。
「先生みたいに?ありえますね。父は生徒と仲が良かったから。そういえば家にも資料があります。」
「どんな資料?」
「生徒の詩集とか。
「ああ。確かに高校の時に詩を書く課題が多かったわね。」
「記録を調べてみましょう。」
夜の街。
中国人の女は娘の手を引き古いアパートに入りました。セヨンはは二人の後を追って建物の中に入りました。女はドアの鍵を開け、部屋の中に入りました。
クォン・ミンギュの家。
クォン・ミンギュは料理の腕を振るっていました。するとジョンウォンからメールが届きました。
ファン・ドンソクのレストラン。
「座っていてくれないか。大した料理じゃないから。」
ファン・ドンソクが料理の台車を運びながらジョンウォンの前に現れました。
ジョンウォンはメッセージを送ったばかりのスマホを持ちながら立ち上がりました。
ジョンウォンは再び席につきました。
ドンソクはジョンウォンの机の前に自分で作ったとっておきの料理を置きました。
チャ・ミンジェの家。
「これで最後です。」
チャ・ソンホは段ボールをウンスのところに持ってきました。
「女生徒の詩集を調べて。独特の筆跡だからすぐにわかるわ。」
ウンスはソンホに言いました。
ファン・ドンソクのレストラン。
ジョンウォンはナイフとフォークでメインディッシュを食べました。
「どう?」
「おいしいわ。メニューに加えたらどう?」
「テレビで紹介しようかと。下積みしていた頃の店を覚えてる?」
「今はカフェだけど向かいの・・・。」
「ああ。厨房でお前の夜食を作ったよな。」
「覚えてるわ。遅かったよね。」
「だが次の日に、社長にバレたんだが、何度も殴られて罵られたよ。」
ドンソクはワインを注ぎました。
「そうなの?私のせいで・・・。」
「私がなぜ店を持てたと思う?社長に言われたんだ。お前がシェフになって店を構えることはできないと。だから成功して、あなたに見せたかった。ジョンウォン。私が忙しい時間帯に店を閉めてこうして料理できるのもあなたのおかげだ。二人でがんばろう。私も帰る。」
その時、ジョンウォンのスマホにメッセージが届きました。
「今どこですか?」
クォン・ミンギュからのメッセージでした。
クォン・ミンギュの家。
クォン・ミンギュは料理を完成させ、ラジコンカーで遊びながらジョンウォンを待っていました。
「ごめんなさい。行けなくなったわ。」
クォン・ミンギュはジョンウォンからのメッセージを見て、がっかりしました。
「何をしてるんですか?」
ハン・サンフンはカフェ・ブラウンの中に勝手に入り、店を調べている美容室の店長ナ・ユンジョンを見つけて言いました。
「あなたこそ何をしているの?」
ナ・ユンジョンは言い返しました。
「後をつけたんです。ずっとセヨンさんを見張ってたでしょ。怪しいと思ってたら偶然見かけてついてきました。ちょっと店の鍵はどうしましたか?なかなかやりますね。それで私を刺しますか?」
ハン・サンフンは言いました。
「なぜ私がチャン・セヨンを見張ってるとわかったの?」
ナ・ユンジョンは言いました。
「え?」
「あなたも監視してるんでしょ?」
「思い込みが激しいですね。」
「チャン・セヨンはあなたの正体を知ってるの?」
「これは想定外ですね。何を調べた?」
ハン・サンフンは演技をやめてショーケースにもたれかかりました。
「チャン・セヨンはあなたの仕事を知ったらどう反応するでしょうね。監視しているのはお互い様。チャン・セヨンに近づく男を私が放っておくわけがない。チャン・セヨンの身の上調査なんて、ほとんどしてないわ。こうする?あなたのことはいったん秘密にしましょう。お互いそのためよ。キム・ヨンデ。」
ナ・ユンジョンは言うとハン・サンフンに近寄りました。
「獲物は分けたくないな。」
ハン・サンフンは顔をしわくちゃにしました。
「何の獲物かそのうちわかるわ。」
ナ・ユンジョンは言いました。
チャ・ミンジェの家。
「綿菓子。2年4組み。キム・ウンス。舌の上で溶けてしまう綿菓子のようだ。口にすると消えてしまう彼の名前。夢中になってまた手を伸ばすうちにもどかしくて何度も読んでみる。ああ。しらけるな。片思いだったんですか?素早いですね。」
チャ・ソンホはウンスの詩を読み始めました。ウンスはソンホから詩を奪おうとしました。ソンホは逃げると嬉しそうに詩を朗読しました。
「何?どうしたの?見つけた。これだ。」
チャ・ソンホはウンスに自分の顔を近づけると何かを取りました。
「でも名前が・・・。」
ウンスが見た紙には「キム・デヒョン」と書かれていました。
「男ですね。」
ソンホは言いました。
ハン・サンフンのアパート。
セヨンはドアホンを鳴らすと出てきたハン・サンフンに手料理を渡しました。
「明日の朝少し時間を戴けませんか?」
セヨンはサンフンに言いました。
ハン・ジョンウォンは夫とともに、ベッドに横になっていました。
朝のセヨンの家。
セヨンはイェリンに仮病をつかって家にいるように命じました。すると、インターホンがなり、家政婦が出勤して来ました。
どこかの駐車場。
カン・テオは(スカッシュしていた時とは別の)若い女性から何かを受け取っていました。
中国人の女が住んでいると思われるアパート。
セヨンはハン・サンフンとともに女のアパートを探索しました。セヨンはドアの前の植木鉢を探り、鍵を探しました。ハン・サンヒョンは手すりの下に落ちていた針金を手にすると、家の鍵を開けました。
「セヨンさん。」
サンフンはセヨンに合図しました。
セヨンはハン・サンフンとともに女の家の中に入り手がかりを探しました。
「何かあった?パスポートはどこかしら。」
セヨンが言うと、ハン・サンフンは見つけた小さな封筒を懐に隠しました。
病院のウンスの執務室。
「チャ・ミンジェ先生と?いつから?いつ別れたの?どうして隠してたの?」
ジョンウォンはウンスから話を聞いて驚きました。
「興奮しないで。隠すつもりはなかったけど言いづらかったの。あなたは不倫を否定してたでしょ。」
ウンスはコーヒーを二人分入れました。
「なのに。私が不倫するとは・・・。」
ジョンウォンは小さくなりました。
「それで、どうするの?」
ウンスはコーヒーをジョンウォンに差し出しました。
「判らない。それで、ミンギュ先生と何かするつもりはないけど夫に努力しようと言われた。」
「どう思ったの?」
「喜べないわ。私も夫のことでつらかったの。まさかあの人が謝って仲直りしようとするなんて。その間に私はミンギュ先生と関係をもってしまったの。どうしたらいいかわからない。」
「あなたの気持ちはどうなの?何か理由があったから関係を持ったんでしょ?ジョンウォン。大事なのは自分の気持ちに素直になることよ。教師や妻じゃなく一人の女として心のままに生きるの。」
街。
ハン・サンフンは車を調べていました。するとピアスをしたやくざ風の男(セヨンを貨物置場に誘い出した男)が工具を持ってハン・サンフンに襲い掛かろうとしました。ハン・サンフンは動じずに男に振り返ると「面白いか?」と言いました。男は「面白くねぇ」と工具を降ろしました。
カフェ・ブラウン。
セヨンは仕事をしながらサンヒがヨンデの写真を見て「パパ」と言っていたことを思い出しました。
街の一角、店の前。
「さあ。パク・ジョンシムとキム・ヨンデの関係は?」
ハン・サンフンはピアスの男に書類を渡すと言いました。
「じゃあ。奥さんは無実?」
ピアスの男は自分のスマホに映ったセヨンの写真を見て言いました。男は受け取った書類の写真をスマホで撮影しました。
「夫が島にいると信じただろ。カネも要求通りにすぐ渡したし、夫をよく知らないようだ。」
「キム・ヨンデが単独で詐欺を?」
「この女が共犯かも。」
「オッケー。あのカネは?」
「お前が使え。」
「マヂか。」
「どのみち手に入るカネだからな。早くしろよ。」
ハン・サンフンは去りました。
ファン・ドンソクのレストラン。
「記念日には恋人や家族と一緒に、このステーキを召し上がってください。ファン・ドンソクシェフからでしした。」
ファン・ドンソクは動画を撮影されながら視聴者にメッセージを送りました。ファン・ドンソクはキムPD(プロデューサー)から妻との調子を尋ねられました。ドンソクは毎晩頑張っていると目の下のクマを見せました。キムPDは「妊娠して出産するまで奥さんのために料理を作る企画に上が乗り気だった。高視聴率は間違いない。」とドンソクに言いました。
「奥さんには話した?」
「今仲直り中だからもう少し待って。」
「ファイティンしなきゃ。ほかの人が起用されちゃうよ。自分の企画を奪われたら悲しいだろ。」
「俺以外になったら悲しいだけでなく、お前の命はないぞ。バーン!お疲れ様。」
ハン・サンフンはキムPDに言いました。
高校の誰もいない廊下。
「クォン先生。私は昨日・・・。」
ジョンウォンが謝ろうとすると、クォン・ミンギュは何も言わずに去って行きました。
ハン・サンフンの車の中。
「あの子はキム・ヨンデの子か?」
ハン・サンフンは雇った男から情報を得ました。男はサンフンにもっとすごい情報があると言いました。サンフンはそれを聞いてため息をつきました。ハン・サンフンは写真を青色の封筒にしまいました。
セヨンはメールボックスの中に気になる紙きれが入っていることに気が付きました。
セヨンの家。
セヨンは家に帰ると中国人の家政婦がイェリンをサンヒと遊ばせていました。セヨンはイェリンをサンヒと一緒に公園に行かせました。
セヨンは青色の封筒に入った写真を中国人の家政婦の目の前に突き出しました。
「私が全部説明しますから。」
女はセヨンに言いました。
「やめて。また嘘をつこうと思ってるなら、黙っていてちょうだい。一つ聞きたい。サンヒは、あの人の娘なの?」
「ほんとうにすみません。サンヒを妊娠するまで独身と思ってました。」
「中国で会ってたの?」
「はい。責任をとるといって、生活費もお父さん(アッパ)に面倒を見て貰っていました。でも2年前にお父さんが死んで立ち行かなくなりました。働こうと思って韓国に来て、一度だけ遠くから見るつもりでした。お父さんの言葉を思い出して。」
「お父さんなんて言わないで!何て言ってたの?」
「サンヒにお姉ちゃんがいて、あの子が妹を欲しがってたと。子どもたちが会えば、姉妹のようになれると・・・。」
「はぁ。はぁ。あなたよく平気で言えるわね。」
「すみません。あなたも私と同じくらい苦労していると思いました。」
「余計なお世話よ。ここへは何しに来たの?どういうつもり?」
「イェリンのお母さん・・・。」
「イェリンの名前は呼ばないで!二度と会いたくない。私の前から消えてちょうだい!」
セヨンが低い声で言うと、中国人の女は泣きながらアパートを出て行きました。
セヨンは夫との写真を投げ割りました。
公園。
ハン・サンフンはイェリンとアヨンとサンヒを見守っていました。そこに中国人の女が現れサンヒを抱いて去りました。
「サンヒや。どこ行くの?」
イェリンは不思議に思いました。
セヨンのアパート。
セヨンはヨンデとの結婚指輪を投げ捨てました。
ハン・サンフンはイェリンとアヨンに(夜なのに)外で遊んで来るように言いました。
セヨンは茫然と立ち尽くしていました。
「セヨンさん。大丈夫?」
ハン・サンフンは優しくセヨンに声を掛けました。
セヨンは堰を切ったようにき出しました。
ハン・サンフンはセヨンの頭を自分の胸に引き寄せました。そしてセヨンの両頬に手を当てるとセヨンの唇に、自分の唇を重ねました。
「ごめんなさい。ごめんなさい。今日は帰ってください。」
セヨンはサンフンから離れると、うつむいて恥じらいながらサンフンに言いました。
「電話します。」
ハン・サンフンは部屋から出ようとすると、セヨンは声を上げて泣き崩れました。ハン・サンフンはセヨンを置いて家から出て行きました。
廃屋の付近の橋。
セヨンたちは男を車のトランクに入れ、スコップで地面を掘っていました。
「何か聞こえない?」
「きゃあっ!」
女たちは動物が羽ばたく音に悲鳴を上げました。
ウンスは懐中電灯を拾うとビニール袋に包まれた男の顔が照らされました。
女たちはまた悲鳴を上げました。
回想シーン。
「夕食はどうですか?」
ハン・サンフンがセヨンを誘う場面。
ハン・サンフンがセヨンと口づけをする場面。
「機会をください。」
ハン・サンフンがセヨンに求婚する場面。
セヨンはスコップで土中を突き刺しました。
感想
韓国ドラマ「ミストレス5話」の感想です。どうやらハン・サンフンという男はやくざを使ってセヨンを騙したり、何やら怪しげな行動をしていますね。向かいの美容院のおばちゃんも盗んで作った合鍵使ってセヨンの店に入って物色するなど訳ありのようですね。ドラマの前半ではハン・サンフンはキム・ヨンデのカネを盗もうとしているかのように見えます。美容院のおばさんは何か別の意図があるのか?ローソク店の事件(が何かはまだわかりません)と関係があるのか?といった感じです。
ハン・サンフンを演じているのはイ・ヒジュンという俳優さんです。「王女の男(2011)」ではコン・チルグという脇役を演じ「チョンウチ(2012)」ではウチの敵を演じてるあの悪役です。ハン・ガインの知名度と釣り合わないかな~と思ったんですが、ハン・ガイン自体が結婚以来、仕事をしていなかったので商業価値が下がってしまったのかもしれませんね。かつてのヒロインと脇役がねんごろの関係の演技をする組み合わせになるなんて、芸能界は厳しいですね。
さてと、今回の内容からは料理人のファン・ドンソクは同じ店の女と不倫していたのではなく(?)ジョンウォンのために夜な夜な新メニューを考えていたかのような演出がなされていました。それが本当かどうかはわかりませんが、ジョンウォンにとっては厳しい展開になってきました。私はドンソクのこれまでの振舞いから、ドンソクはジョンウォンを心から愛していないと思っているのですが・・・だとすればドンソクの振舞いは社会的な名声を得るための演技である可能性も考えられます(私としては予想が外れてくれたほうが嬉しい)。ジョンウォンの不倫相手のクォン・ミンギュは家でラジコンカーで遊ぶようなガキっちょな一面があります。ミンギュが料理の腕を振るうのは、やはり料理人の妻の舌を喜ばせ気を引く目的、ドンソクへの対抗心があったのでしょう。しかし愛情という観点からはミンギュでさえも、人妻に手を出し何も悪びれることも無いところが奔放すぎて、脳みその中身は自己中心。この二人の男は家庭生活には向いてない性格をしているといえましょう。
家庭生活に向いてないといえば、ファヨンの上司である弁護士のヤン・ジンゴン。ヤン・ジンゴンは自分に正直で自己中心でありながらも自分自身でその性質を認めておりファヨンに対しても特別に入れ込むことがなく正直でサバサバした性格であるといえます。恋愛対象としては嫌な奴かもしれませんが、キャラとしてはこのドラマの中で唯一正直者の男であるといえましょう。
ファヨンはカン・テオに惹かれているものの、カン・テオは既婚者でありながら謎めいており、このドラマではまだ正体が明らかになっていません。
ウンスはチャ・ミンジェの息子チャ・ソンホに近寄られてドキリとしてしまいました。この二人に男女の展開はあるのか?という謎が今回の5話で新たに追加されました。そしてチャ・ミンジェはウンスの、おそらく高校の先生であることが明らかになりました。
あと気になったことが。このドラマでは韓国と中国との関係が描かれています。韓国では中国に対し露骨な差別がなされているのでしょうか?その辺りの事情はわかりませんが、少なくともこのドラマでは韓国人にとって、韓国に出稼ぎにくる中国人がダークな印象で描かれています。韓国の男性が中国人の女性を愛人にしてしまい子どもまで産ませてしまったことがこの5話で描かれており、なんだかやけにリアルだなぁ・・・と思いました。日本の男性は中国人を正妻にする人が少なくないので、女性としては日本と似たような心理なのかな、女性の立場としては中国の女性に対する本国の女性の嫉妬心みたいなものがうっすらと・・・あるような気がしまして、そんなビミョーな演出が気になりました。日本でも日本人の男性が異国の貧しい国の女性を妻に・・・となると、やっぱり日本女性という立場から見るといい印象はありませんし・・・そんな嫉妬心のようなセヨンの心情を、今回は思い浮かべました。。
ああそうだ。忘れるところでした。心底悲しくて泣いている女に優しく接吻して株を上げようとする男の場面は「定番」ですね(笑)
ハン・サンフンを演じているのはイ・ヒジュンという俳優さんです。「王女の男(2011)」ではコン・チルグという脇役を演じ「チョンウチ(2012)」ではウチの敵を演じてるあの悪役です。ハン・ガインの知名度と釣り合わないかな~と思ったんですが、ハン・ガイン自体が結婚以来、仕事をしていなかったので商業価値が下がってしまったのかもしれませんね。かつてのヒロインと脇役がねんごろの関係の演技をする組み合わせになるなんて、芸能界は厳しいですね。
さてと、今回の内容からは料理人のファン・ドンソクは同じ店の女と不倫していたのではなく(?)ジョンウォンのために夜な夜な新メニューを考えていたかのような演出がなされていました。それが本当かどうかはわかりませんが、ジョンウォンにとっては厳しい展開になってきました。私はドンソクのこれまでの振舞いから、ドンソクはジョンウォンを心から愛していないと思っているのですが・・・だとすればドンソクの振舞いは社会的な名声を得るための演技である可能性も考えられます(私としては予想が外れてくれたほうが嬉しい)。ジョンウォンの不倫相手のクォン・ミンギュは家でラジコンカーで遊ぶようなガキっちょな一面があります。ミンギュが料理の腕を振るうのは、やはり料理人の妻の舌を喜ばせ気を引く目的、ドンソクへの対抗心があったのでしょう。しかし愛情という観点からはミンギュでさえも、人妻に手を出し何も悪びれることも無いところが奔放すぎて、脳みその中身は自己中心。この二人の男は家庭生活には向いてない性格をしているといえましょう。
家庭生活に向いてないといえば、ファヨンの上司である弁護士のヤン・ジンゴン。ヤン・ジンゴンは自分に正直で自己中心でありながらも自分自身でその性質を認めておりファヨンに対しても特別に入れ込むことがなく正直でサバサバした性格であるといえます。恋愛対象としては嫌な奴かもしれませんが、キャラとしてはこのドラマの中で唯一正直者の男であるといえましょう。
ファヨンはカン・テオに惹かれているものの、カン・テオは既婚者でありながら謎めいており、このドラマではまだ正体が明らかになっていません。
ウンスはチャ・ミンジェの息子チャ・ソンホに近寄られてドキリとしてしまいました。この二人に男女の展開はあるのか?という謎が今回の5話で新たに追加されました。そしてチャ・ミンジェはウンスの、おそらく高校の先生であることが明らかになりました。
あと気になったことが。このドラマでは韓国と中国との関係が描かれています。韓国では中国に対し露骨な差別がなされているのでしょうか?その辺りの事情はわかりませんが、少なくともこのドラマでは韓国人にとって、韓国に出稼ぎにくる中国人がダークな印象で描かれています。韓国の男性が中国人の女性を愛人にしてしまい子どもまで産ませてしまったことがこの5話で描かれており、なんだかやけにリアルだなぁ・・・と思いました。日本の男性は中国人を正妻にする人が少なくないので、女性としては日本と似たような心理なのかな、女性の立場としては中国の女性に対する本国の女性の嫉妬心みたいなものがうっすらと・・・あるような気がしまして、そんなビミョーな演出が気になりました。日本でも日本人の男性が異国の貧しい国の女性を妻に・・・となると、やっぱり日本女性という立場から見るといい印象はありませんし・・・そんな嫉妬心のようなセヨンの心情を、今回は思い浮かべました。。
ああそうだ。忘れるところでした。心底悲しくて泣いている女に優しく接吻して株を上げようとする男の場面は「定番」ですね(笑)